2024年1月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,842 100.0 407 100.0 22.1

事業内容

3【事業の内容】

 当社は「全人類の能力を全面開花させ、世界を変える」をミッションステートメント(経営理念)として、新卒学生向けキャリアプラットフォーム「外資就活ドットコム」(新卒サービス)、若手社会人向けリクルーティング・プラットフォーム「Liiga」(中途サービス)等を通じたキャリアプラットフォーム事業を展開しております。

 

 「外資就活ドットコム」は、主に国内又は国外の難関大学に所属する学生の利用を想定した新卒学生キャリアプラットフォームであり、当社が厳選した外資系企業や国内でも入社難易度が高いと目されている企業の募集情報等のみを掲載することにより、主要な登録会員である新卒学生(以下「登録会員」といいます。)につき毎年これら企業への内定者を多数輩出しております。

 登録会員は、無料で「外資就活ドットコム」に登録することができ、また、サービスを受けることができます。一方、優秀な学生を採用したいと考える国内外の企業(以下「採用企業」といいます。)に対し、当社は「外資就活ドットコム」に企業情報の掲載を行ったり、あるいは登録会員に対しアプローチする権限を与えたりするなど計上基準の異なるサービスを組み合わせにして、当該採用企業から規定の料金を収受することにより、サービスのマネタイズ(収益化)を図っております。

 「外資就活ドットコム」に登録する会員は、国内又は国外の難関大学に所属する学生であり、かつ外資系企業や国内でも入社難易度が高いと目されている企業を志望している挑戦志向の高い層が中心であり、このため登録会員の志望企業ランキングにおいては、上位に外資系コンサルティング会社や外資系金融機関が登場するなど、他社競合サービスとは異なる傾向が表れており、この点において、他社競合サービスとの差別化を図るとともに、独自性が強く高付加価値をもったリクルーティング・メディアとしての水準を維持することに貢献しております。

 「外資就活ドットコム」の登録会員の特性(難関大学に所属する大学生が主要な登録会員層であること、志望就職先が、入社難易度が高いと目されている企業であること等)を踏まえ、「外資就活ドットコム」では無差別に数多の採用企業の求人情報を掲載することなく、厳選した採用企業のラインナップの掲載を、また、タイムリーで正確な募集情報を掲載することにより、登録会員及び採用企業双方にとって価値あるプラットフォームとして機能しております。

 「外資就活ドットコム」におけるマネタイズの基本的なコンセプトとしては、登録会員である大学生に対してはコンテンツのほとんどを無償で提供する一方、採用企業に対しては当該コンテンツ内に募集広告等を掲載いただくことによって、広告掲載料、成約課金等の手数料を当社が採用企業から収受するというものであります。

 

 一方、若手社会人向けリクルーティング・プラットフォーム「Liiga」は、「世界で通用する人材を育み未来を創る」をコンセプトに、そのコンテンツであるコラム、ケーススタディや業界研究などを通じて登録会員である若手社会人のスキルアップやキャリア観構築をサポートすることを目的としております。同時に、登録会員に対するキャリアの可能性を広げるサービスとして転職サービスとしての機能も備えております。

 就職活動を終えた「外資就活ドットコム」の登録会員(主に国内難関大学に所属する学生)に対し、内定者向けコンテンツ等を通じて「Liiga」への誘導をすることにより、「Liiga」全体の登録会員の多くが「外資就活ドットコム」の登録会員出身者で占められております。この点、採用企業にとっては、キャリアアップ志向の高い若手ハイクラス層にアプローチできることが当サービスの何よりの強みとなっております。

 「Liiga」の運営管理に係る当社の収益の源泉としては、「ダイレクト・リクルーティング注1」「転職エージェント注2」の2種類があります。「ダイレクト・リクルーティング」の収益は、採用企業に対するシステム基本利用料や転職が実現した場合の成功報酬がこれに該当しております。「転職エージェント」は、「Liiga」を利用する人材エージェントより転職成功報酬を収受するものです。

 

注1 ダイレクト・リクルーティング:採用企業が「Liiga」を利用し登録会員を採用するまでの一連のプロセスを指しております。

注2 転職エージェント:人材エージェントが「Liiga」を利用し、登録会員を自身の顧客企業等に紹介する一連のプロセスを指しております。

 

 以上の二つのプラットフォームの運営に加え、「外資就活ドットコム」及び「Liiga」の登録会員向けの有料講座事業や、キャリアプラットフォームにおける知見共有の運営ノウハウを拡張したCtoCサービスである知見共有プラットフォーム「mond」の運営等を行っております。

 以上述べた事項を事業系統図で表すと、以下のとおりであります。

 

[事業系統図]

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社の事業領域である人材・就職支援業界においては、2023年12月の有効求人倍率が1.27倍(前年同月は1.36倍。厚生労働省調査)、完全失業率が2.4%(前年同月は2.5%。総務省統計局調査)を記録しております。有効求人倍率は若干の低下傾向にあるものの雇用環境は依然として売り手市場にあり、多くの業種・職種で人手不足の状況が続いております。また、株式会社リクルートが発表している「就職プロセス調査(2024年卒)」においては、2024年3月大学等卒業予定者の就職内定状況は、当該大学等卒業予定者の就職内定率が95.1%(2023年12月1日時点。前年同月は94.0%)と、前年度に引き続き高い水準となっております。2023年5月には政府により新型コロナウイルスの感染症法上の分類が引き下げられ社会全体が経済活動を後押しする体制となり、また、事業のDX化推進に伴うIT人材に対する企業需要の高まりやジョブ型採用の広がりなどにより市場全体の雇用環境や企業の採用戦略も総じてポジティブな状況にあり、特に専門性が高く優秀な人材に対する企業の需要は引き続き堅調に推移しております。

このような事業環境の中、当社は引き続き積極的な顧客開拓及び顧客単価の向上を目指した施策を展開しております。顧客開拓に関しては、既存顧客の満足度をカスタマーサクセスの拡充により高めることで継続率を向上させつつ、戦略的なマーケティング展開により新規顧客の獲得を進め、取引企業数の拡大を図っております。顧客単価に関しては、従前から顧客のジョブ型採用への移行を支援し、女性・理系採用特化商品などといった新商品を投入しておりましたが、顧客の採用課題を解決可能な商品ラインナップを拡充することにより顧客への提供価値を最大化することで単価向上を図っております。このような地道な事業施策の展開によって、キャリアプラットフォーム事業の成長性は着実に押し上げられてきております。

当事業年度においては、人員体制の強化とマーケティングに重点投資を行い、特に上半期においては従業員の採用活動や販売促進活動、広告宣伝といった投資活動を集中的に実施いたしました。その一方で、コロナ禍においては積極的に取り組むことができなかったリアルイベントを多数開催することにより会員数の拡大を図り、加えて、上記のような顧客開拓や顧客単価に重点を置いた施策により新卒サービスにおける配信型商品であるスカウト機能の利用が顕著に増加するなど顧客との取引ボリュームが拡大し収益性が向上いたしました。また、戦略的な外部成長機会の観点から、株式会社Palettが発行する新株予約権の取得による投資を実行いたしました。

当社のキャリアプラットフォーム事業においては、「累積取引社数」及び「累積会員数」を重要な経営指標として定義しております。戦略的なマーケティング施策が奏功し、当事業年度末におけるキャリアプラットフォーム事業の累積取引社数は893社(前期末から97社増)に、また、累積会員数は525,064人(前期末から56,103人増)と、順調な伸長を継続しております。

以上の結果、当事業年度の売上高は1,842,042千円(前期比19.4%増)、営業利益は406,936千円(前期比2.7%増)、経常利益は404,861千円(前期比2.3%増)、当期純利益は300,621千円(前期比6.2%増)となっております。

なお、当社はキャリアプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

当事業年度末における流動資産は前事業年度末より759,856千円増加し、1,559,775千円となりました。主な増加要因は、現金及び預金の増加792,352千円によるものであります。

当事業年度末における固定資産は前事業年度末より42,548千円増加し、350,487千円となりました。主な増減要因は、無形固定資産の増加25,614千円、投資有価証券の増加20,000千円、償却の進行に伴う有形固定資産の減少6,677千円によるものであります。

当事業年度末における流動負債は前事業年度末より90,608千円増加し、449,777千円となりました。主な増減要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加162,957千円、未払金の増加20,936千円、短期借入金の減少70,000千円、未払消費税等の減少22,572千円であります。

当事業年度末における固定負債は前事業年度末より406,811千円増加し、415,498千円となりました。主な増加要因は、長期借入金の増加406,777千円によるものであります。

当事業年度末における純資産は前事業年度末より304,984千円増加し、1,044,987千円となりました。主な増加要因は、当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加300,621千円であります。

以上の結果、特に多額の資金の借入れを行った影響により、当事業年度末における自己資本比率は54.7%(前事業年度末は66.7%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ792,352千円増加し、1,424,959千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動により得られた資金は418,402千円(前期は468,630千円の獲得)となりました。主な収入要因は税引前当期純利益404,861千円、減価償却費90,237千円、売上債権の減少額26,269千円であり、主な支出要因は、法人税等の支払額116,992千円、未払消費税等の減少額22,572千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動により使用した資金は130,190千円(前期は69,157千円の使用)となりました。主な支出要因は、無形固定資産の取得による支出102,307千円、投資有価証券の取得による支出20,000千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動により得られた資金は504,139千円(前期は76,336千円の使用)となりました。主な収入要因は、長期借入れによる収入700,000千円であり、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出130,266千円、短期借入金の純減額70,000千円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

サービスの名称

前事業年度

(自 2022年2月1日

至 2023年1月31日)

当事業年度

(自 2023年2月1日

至 2024年1月31日)

販売額(千円)

前期比(%)

販売額(千円)

前期比(%)

外資就活ドットコム

1,241,686

138.5

1,536,227

123.7

Liiga

301,476

121.8

305,815

101.4

合計

1,543,162

134.9

1,842,042

119.4

 (注)1.当社の事業セグメントは、キャリアプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、サービス別の販売実績を記載しております。

2.主な相手先別販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」及び「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。また、当社の経営成績に影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しているとおりであると認識しております。これらのリスクについては、適切なコントロールを行っていくとともに、万が一そのリスクが顕在化した場合にはしかるべき対応に努める所存であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の運転資金需要のうち主なものは、キャリアプラットフォーム事業における事業運営のための人件費、外部協力者への報酬支払いであります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、キャリアプラットフォーム事業及び新規事業におけるシステム開発投資における人件費及び外部協力者への報酬支払い並びにキャリアプラットフォーム事業における知名度拡大及び会員獲得のための広告宣伝費であります。

 当社の運転資金は、営業活動によって獲得した自己資金の充当を基本とし、資金需要等を考慮した上で外部資金調達手段として金融機関からの借入により調達することとしております。

 資金の流動性管理にあたっては、適宜、資金繰り計画を作成・更新して手元流動性等をモニタリングするとともに、取引金融機関との当座貸越契約の締結、長期借入の実施等により、将来に渡り必要な資金流動性を確保できるよう計画しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらは過去の実績等を勘案し合理的な判断のもとに見積りを行っておりますが、見積りによる不確実性のため、実際の結果は異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「3 事業等のリスク」に記載をしましたとおり、当社は、市場環境の変化、業績の季節変動、競合他社との競争、特定人物への依存、少人数編成組織であること並びに優秀な人材の確保及び育成等、様々なリスク要因が当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があるものと認識しております。

 このため、当社は、当社が提供するサービスの拡張及びコンテンツの充実、当社サービスの認知度の向上、優秀な人材の確保及び育成並びに社内管理体制の強化等に積極的に取り組むことにより、財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を低減させ、リスク要因に対して適切に対応していく所存であります。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上高及び営業利益を重要指標とし、また、潜在的顧客層の認知拡大の観点から、累積取引社数及び累積会員数を重要な経営指標として重視しております。

 これらの点につきまして、2024年1月期は、引き続き増収増益決算を達成するとともに、累積取引社数及び累積会員数ともに前事業年度を上回る増加幅となりました。今後も継続的な増収及び潜在的顧客層の拡大を目指し、株主価値向上を目標とした経営施策を実施してまいります。