事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
売上
-
利益
-
利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 610 | 100.0 | 90 | 100.0 | 14.8 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は、「未来の予定を晴れにする」を経営理念として、tenki.jp事業を軸として事業展開を行っております。
tenki.jp事業において、天気予報専門メディア「tenki.jp」を一般財団法人日本気象協会との共同事業として運営しており、「tenki.jp」におけるメディア運営及びマネタイズ手法の確立を経て培ったノウハウを基に、今後も「天気情報」の社会インフラ化を目的として事業を進めてまいります。
また、AIやビッグデータ等の技術革新を背景に、気象情報と現実社会を結びつけた新たな価値を提供する「天気3.0」へ向けて、事業拡大を図り、競争優位性を創出することで持続的な成長を目指しております。特に、天候や気温などによって影響を受けるライフスタイル領域において、気象情報と連携する新たな事業展開を模索しております。
(tenki.jp事業)
天気予報専門メディア「tenki.jp」、「tenki.jp 登山天気」の運営を行っております。
(1) 運営メディアについて
tenki.jpは、生活にかかせない天気予報と気象予報士が日替わりで季節の話題を提供する等のコンテンツに加え、観測データ、地震・津波等の防災情報の提供を行い、気象情報を多種多様な形態で提供しております。PCのWebページ、スマートフォンアプリ、スマートフォンサイトを合わせて年間56億PV(注1)(2024年2月期実績)、X(旧Twitter)のフォロワー数が2.8百万人(2024年2月末時点)に達する天気予報専門メディアです。
注1:「PV(ページビュー)」とは、ウェブサイト内の特定のページが開かれた回数を表し、ウェブサイトがどのくらい閲覧されているかを測るための一般的な指標です。
① 運営メディアの提供情報
ⅰ.tenki.jp
2週間天気や1時間ごとの天気、今いる場所の雨の様子(雨雲レーダー)等、ユーザーの志向やユーザーが必要な場所・時間に合わせた天気予報を無料で提供しております。天気予報だけでなく、一般的な気象情報として、観測データや天気図、防災情報もリアルタイムで提供しております。
また、ユーザーの未来の行動の判断材料を提供するために、気象予報士のポイント解説(日直予報士)や洗濯指数、お出かけ指数等の指数情報、天候と関係のある主要レジャーの天気情報を提供するレジャー天気、花粉飛散情報、紅葉見ごろ情報等の季節に応じた季節情報等の各ユーザーの志向に応じた多種多様な情報を提供しております。
なお、スマートフォン用天気予報アプリ「tenki.jp」では、広告を非表示にする定期購読サービス「ライトプラン」も実施しております。
ⅱ.tenki.jp 登山天気
登山準備に使用できる指数情報や山々の山頂・登山口・ふもと別の天気、雨雲の動き・雷危険度・台風情報等のリアルタイム情報をチェックできます。なお、日本の三百名山全てを網羅しております。
※なお、「tenki.jp 登山天気」は、山のふもとから山頂までのルート沿いのピンポイント予報等、気象業務法の観点から不特定多数に公開できない情報も含まれているため、スマートフォンアプリの有料会員サービスとして提供しております。
② マネタイズ方法
当社運営メディアである「tenki.jp」の主な収益は各ページに掲載される広告収入となります。アドネットワークを駆使した運用型広告の収入と枠売りやタイアップ広告等の純広告の収入が大半を占めますが、2024年2月期の実績では運用型広告の収入が全体の80%以上を占めております。
当社は、収益の拡大を図るべく、日々アドネットワーク業者とやり取りを重ね、自社で広告運用を担っております。当該業界は日進月歩で最新のテクノロジーが開発されていますが、当社は常に最先端のアドテクノロジーを追い求め、既存の業者だけでなく、海外の新興系のプロダクトも活用して0.01円単位の広告チューニング(注2)を行い、最適な運用を行うよう心掛けております。
また、広告単価や広告配信比率を「気象データ」を加味した独自のアルゴリズムで運用できる体制を構築し、天候変化に連動して広告を調整すること(以下、天気マッチング広告)で収益性の向上を目指しております。
注2:「広告チューニング」とは、広告の効果を最適化することを指します。例えば、入札制を採用している広告では、入札金額の高い広告を上位表示し、入札単価の低い広告を下位表示します。
(2) 日本気象協会との共同運営について
当社は設立以来、気象情報等をメディア上で提供し、メディア運営ノウハウ及びメディアマネタイズノウハウを蓄積しながら、気象業界に関連したインターネット事業を営んでまいりました。一方で、気象予報士を抱え、予報業務をリアルタイムで行うだけのリソースは保有しておりませんでしたので、気象予報士を300名以上抱え、予報業務や気象に係るコンテンツの制作・設計に長けている日本気象協会と互いのリソースを活かした共同事業(天気予報専門メディアの運営)を行うことで、現在の当社の経営理念を達成することを意図しております。
『「tenki.jp」の運営に関する業務提携契約書』に基づき、当該事業の事業方針及び事業計画は、両者の協議によって合意・決定しておりますが、当該事業における両者の主な役割については、以下のとおりとなっております。なお、契約の詳細は「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しております。
主担当:当該当事者がその裁量により役割を全うする。
副担当:当該当事者は他の当事者と必要に応じて協議し、一部役割を担う。
※双方が主担当とする役割については、双方協議により合意・決定し、実施するものとする。
※当社と共同事業を行う日本気象協会の概要
日本気象協会は、「安全・安心・快適な社会づくり」のために、気象・環境・防災・情報サービスを通じて社会に貢献する使命を担い、1950年に財団法人日本気象協会として設立されております。日本における気象会社として、日本で初めて気象情報をオンライン提供する等、気象業務法に基づいた気象データの提供を気象業界の創生期より継続的に行っております。2009年より一般財団法人へ移行し、民間の気象会社として、現在は、気象・環境・防災等に関わる調査解析や気象に関わるリアルタイムの情報提供等、気象コンサルティングのプロフェッショナルファームとして活動しております。
※気象産業の構造
気象データ等は気象庁から一般財団法人気象業務支援センターを通して、民間気象事業者へ気象データ等が配信されております。民間気象事業者は気象庁から提供された気象データ等を天気予報等に活用しておりますが、気象庁以外の事業者が天気や波浪等の予報業務を独自に行う場合は、気象庁から予報業務許可を受ける必要があります。下記は、一般的な情報の流れを図示したものになります。なお、tenki.jpに掲載する予報業務が必要な情報については、日本気象協会が制作・提供しているため、当社は予報業務許可を受ける必要がありません。なお、日本気象協会は下図の民間気象事業者に該当します。
(その他の事業)
その他の事業につきましては、太陽光コンサルティング事業、ダイナミックプライシング事業を行っております。
太陽光コンサルティング事業につきましては、現状では、太陽光発電設備のセカンダリー市場において、一時的に太陽光発電設備を保有することにより得られる売電収入(売上高)とエンドユーザーに売却されたことにより仲介事業者より得られるスポンサー料(受取利息(営業外収益))により構成されております。
ダイナミックプライシング事業は、市況、個人の嗜好、人流データ、立地・地理情報、気象データ(天気・気温等)等のデータを組み合わせることで、最適な価格を算出するダイナミックプライシングの技術を基盤とした事業となります。新たな事業として、2024年2月に開始を決定し、当面は、当該事業に先立ち事業譲受により取得したレンタルスペース事業をPoC(実証実験)として運営いたします。
[事業系統図]
当社の事業系統図は以下のとおりであります。当社の売上の大半をtenki.jp事業が占めることから、下記はtenki.jpに係る事業系統図を示しております。なお、実線は役務提供と対価の流れ、点線は事業上の役割等を示しております。
※tenki.jpは業務提携契約書に基づき、互いのリソースを提供し、共同事業を行っております。収入について、「主要な契約手続き」を日本気象協会が担っていることから、広告収入は一旦、日本気象協会に入金され、当社は定められたレベニューシェア(注3)の割合に応じて日本気象協会から配分されております。
注3:「レベニューシェア」とは、パートナーと提携し、相互の協力で生み出した事業収益をあらかじめ決めておいた配分率で分配することを指します。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績の状況
tenki.jp事業においては、安定的なPV(ページビュー)数の増加とPV当たり広告単価の維持に取り組んでまいりました。
当事業年度における台風発生数17個は、前事業年度の25個と比べても少なく、過去10年間で最少となりました。また、2023年7月の東京都心で雨を観測していない日が連続25日間と記録的な長期間に及ぶなど、PV数が伸び悩む外部要因がありました。しかしながら、継続的なPV数の増加施策等により当事業年度のPV数は、前期比96.6%を維持し56億PVとなりました。
一方でPV当たり広告単価は、市況要因により依然として下落傾向が続き前年同期比89.4%となりました。なお、前事業年度にPV数の測定ツールのアップデートに伴い、測定基準の変更を実施いたしましたが、アプリのPV取得方法には仮定に基づく推定値を含んでいるため、第1四半期会計期間よりそれ以前に採用していた測定基準へ変更しております。
費用面に関しては、将来の売上高及び利益の向上を目的として、新規事業を含めた新たな収益事業の構築に向けた人件費や開発費等の先行投資を行っております。
以上の結果、当事業年度の売上高は609,962千円(前年同期比11.0%減)、営業利益90,324千円(前年同期比55.4%減)、経常利益91,522千円(前年同期比53.7%減)、当期純利益102,603千円(前年同期比26.8%減)となりました。
なお、当社はtenki.jp事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は1,669,979千円となり、前事業年度末に比べ108,386千円増加いたしました。これは主に、短期貸付金が490,873千円増加した一方で、現金及び預金が355,793千円減少、積立保険の一部を解約したこと等に伴い長期前払費用が52,818千円減少したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は78,508千円となり、前事業年度末に比べ5,648千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が13,564千円増加、未払金が8,807千円増加した一方で、給与の支給日変更等により未払費用が18,212千円減少、未払消費税等が11,036千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,591,471千円となり、前事業年度末に比べ102,737千円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が102,603千円増加したことによるものであります。
なお、自己資本比率は95.3%(前事業年度末は95.3%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ355,793千円減少し、当事業年度末残高は838,766千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は132,166千円(前事業年度は185,009千円の獲得)となりました。これは、主に税引前当期純利益が151,256千円となり、長期前払費用の減少額52,818千円があったものの、未収消費税等の発生により未払又は未収消費税等の増減額59,453千円となったこと、法人税等の支払額が32,217千円であったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は489,665千円(前事業年度は2,294千円の使用)となりました。これは、主に短期貸付金の純増額が490,873千円であったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は133千円(前事業年度は338,914千円の使用)となりました。これは、新株予約権の発行による収入が133千円であったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当社はtenki.jp事業の単一セグメントであるため、事業別に記載をしております。
なお、最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記の金額は、日本気象協会が取りまとめた上で、レベニューシェアとして当社に分配される形となっております。
3.日本気象協会との共同事業である天気予報専門メディア「tenki.jp」における最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、下表記載の金額については、日本気象協会が取りまとめた上で、レベニューシェアとして当社に分配される形となっております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載されている様々な課題に対処し、ユーザーにより良いサービスを継続的に提供していくことが必要であると認識しております。そのため、経営者は、外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を把握する中で課題を抽出し、それに対する対応策を実施していく方針であります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に含めて記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費等の営業費用であり、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。