2024年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 3,592 100.0 -132 - -3.7

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、当社(アディッシュ株式会社)と連結子会社2社(アディッシュプラス株式会社、adish International Corporation)により構成されており、ソーシャルメディア(注1)やコミュニケーションサービス(注2)などの情報領域で発生する課題を解決し、利用者にとって健全で心地よい“居場所”をつくることを目的とした「カスタマーリレーション事業」を提供しております。

 現在、スタートアップを中心としたインターネット関連産業では、SNSやブログなどのソーシャルメディア、ソーシャルアプリ(注3)やスマートフォンアプリに加え、シェアリングエコノミー(注4)、Fintech(注5)、MaaS(注6)など様々な領域において新たなサービスが生まれ提供されております。

 

 当社グループは、今後の日本経済の成長の鍵となるスタートアップがグロースできるように支援することに注力しております。これまで当社が培ってきたカスタマーに係るノウハウを活かし、スタートアップによるカスタマーサクセス(注7)の実現に向けた様々な課題を解決するための支援として、カスタマーサクセスコンサルティングから施策の実行、改善提案などを推進するとともに、カスタマーサポートの体制構築・リソース提供など複合的なサービスの提供を行っております。

 

 また、新たなサービスが発展する一方で、社会通念上不適切と思われる書き込みや行為による被害が発生するなど、デジタルエコノミー特有の課題があり、これらの課題に対処するためのサービスを提供することにより、人と人のつながりあるいは人と企業などのつながりを支援し、インターネットを通じた社会が、健全で心地よいものとなるよう貢献するための事業展開を推進していきたいと考えております。

 

 「カスタマーリレーション事業」は以下の2つのサービスに区分しております。なお、当社グループは「カスタマーリレーション事業」の単一セグメントであります。

 

1.グロース支援サービス

 企業が成長する際に必要となるカスタマーに関する課題を解決するサービスであり、以下のサービスを複合的に提供しております。

・カスタマーサクセス総合支援

 スタートアップが急成長に伴い抱える課題の解決を支援するサービスであります。カスタマーサクセスコンサルティングからリソース支援など総合的に支援しております。

・ソーシャルアプリサポート

 利用者からのお問い合わせを顧客企業に代わって対応するカスタマーサポートサービスであります。電話、メール及びチャットを利用したカスタマーサポートに対応しており、海外市場に向けてサービス展開をしている顧客企業にも幅広くサポートするために10ヵ国語以上の言語に対応しております。

・インターネットモニタリング

 利用者の行う投稿を24時間365日体制でモニタリングし、不適切なものが発見された場合に、注意、報告、警告、非表示化などの対応を行うサービスであります。

 

2.アダプション支援サービス

 デジタルエコノミーに適応する上での課題を解決するサービスであり以下のサービスを複合的に提供しております。

・スクールガーディアン

 学校生活上の課題となり得るネットいじめの可能性がある書き込みや、インターネットでの個人情報流出をモニタリングして生徒指導に活かしていくコンサルティングサービスであります。

・フロントサポート

 企業がソーシャルメディアを活用して利用者に能動的に働きかけることで、利用者とのつながりを維持、向上させ、ファンコミュニティ(注8)を形成していくためのサービスであります。

・システムプロダクト

 インターネットモニタリング、カスタマーサポートの技術及び知見を活かし、チャットボット(注9)サービス「hitobo」、誹謗中傷投稿AI検知サービス「matte」、SNS炎上対策サービス「Pazu」を提供しております。

 

(注)1.「ソーシャルメディア」とは、インターネット上で不特定多数の人が双方向でコミュニケーションをとることで、情報共有及び情報の拡散が発生するメディアのことであります。

2.「コミュニケーションサービス」とは、インターネット上で利用者が投稿する文章、画像、映像、音声などの様々なコンテンツをとおしてコミュニケーションを取ることができるサービスのことであります。

 

3.「ソーシャルアプリ」とは、SNSなどのソーシャルメディア上で利用できる、利用者同士のつながりや交流関係を機能に活かしたWebアプリケーションのことであります。

4.「シェアリングエコノミー」とは、主にインターネット上のプラットフォームを介して、遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しや利用をするサービスにより構成される経済圏を指します。

5.「Fintech」とは、金融を意味する「Finance」と、技術を意味する「Technology」を組み合わせた造語であります。ICTを駆使した革新的、あるいは破壊的な金融商品・サービス自体及びその潮流を意味しております。

6.「MaaS」とは、Mobility as a Serviceの略称で、マイカー以外のすべての交通手段による移動をひとつのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念であります。

7.「カスタマーサクセス」とは、顧客が製品・サービスを使うことで成功し、望ましい結果を達成することを支援するビジネス方法と定義しております。

8.「ファンコミュニティ」とは、特定のサービスや製品などに対して熱狂的な愛好者が形成するコミュニケーションネットワークの総称と定義しております。

9.「チャットボット」とは、テキストや音声を通じて会話を自動的に行うプログラムのことであります。

 

 

[事業系統図]

 当社の事業の系統図は次のとおりであります。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは「スタートアップにおけるカスタマーサクセス支援のトップパートナーへ」という方針を掲げ、スタートアップへのカスタマーサクセス設計コンサルティングや運用サービスの提供を中心にしたカスタマーリレーション事業を展開しております。よりよいカスタマーサクセスサービスを提供するために、昨年来「カスタマーサクセスプライムラーニング」を全従業員に向け実施しております。さらに、中長期的な成長を見込んだ人材の積極的な採用等による人材への先行投資を進めてまいりましたが、人材採用や教育等の人的資本投資の回収の遅れや、ソーシャルゲームの大型案件一部解約等により、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,145,470千円となり、前連結会計年度末に比べ126,966千円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加22,108千円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加101,153千円によります。固定資産は194,902千円となり、前連結会計年度末に比べ36,457千円増加いたしました。これは主に当社連結子会社であるアディッシュプラス株式会社の鹿島BASE開設に伴う有形固定資産の増加12,114千円、繰延税金資産の増加15,762千円、投資その他の資産に含まれる長期前払費用の増加7,266千円によります。

 この結果、総資産は1,340,372千円となり、前連結会計年度末に比べ163,423千円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は731,642千円となり、前連結会計年度末に比べ176,530千円増加いたしました。これは主に新規借入に伴う短期借入金の増加137,500千円、当社連結子会社であるアディッシュプラス株式会社の鹿島BASE開設に伴う未払金の増加30,237千円によります。固定負債は256,671千円となり、前連結会計年度末に比べ74,550千円増加いたしました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の増加100,000千円、長期借入金の減少24,696千円によります。

 この結果、負債合計は988,313千円となり、前連結会計年度末に比べ251,080千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は352,058千円となり、前連結会計年度末に比べ87,656千円減少いたしました。これは主に新株発行による資本金の増加5,013千円及び資本剰余金の増加5,013千円、株式報酬による自己株式の処分13,999千円、親会社株主に帰属する当期純損失の計上115,330千円によります。

 この結果、自己資本比率は25.8%(前連結会計年度末は37.1%)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高は3,592,309千円(前年同期比2.0%増)、営業損失132,362千円(前年同期は171,889千円の営業損失)、経常損失117,884千円(前年同期は172,276千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失115,330千円(前年同期は193,265千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 なお、当社グループはカスタマーリレーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ22,207千円増加し、当連結会計年度末には579,323千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は186,147千円(前年同期は249,565の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失の計上117,884千円、売上債権及び契約資産の増加100,793千円によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金16,499は千円(前年同期は14,572の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出10,441千円、無形固定資産の取得による支出3,996千円によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は224,739千円(前年同期は27,990千円の使用)となりました。これは主に短期借入金の純増額137,500千円、長期借入れによる収入80,000千円、長期借入金の返済による支出103,272千円、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入100,000千円によります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当社グループの事業は、カスタマーリレーション事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

金額(千円)

前年同期比

(%)

カスタマーリレーション事業

3,592,309

102.0

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

  至 2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ストライプジャパン株式会社

445,232

12.6

449,161

12.5

2.当社の販売実績は、カスタマーリレーション事業2,942,317千円であります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

a.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は3,592,309千円となりました。これは主にスタートアップ企業へのカスタマーサクセス支援戦略推進に伴う新規顧客獲得による業務拡大によるものであります。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は962,307千円となりました。また、売上総利益率は一部の大型案件の解約やカスタマーサクセス人材の待機人員増加により26.8%となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、当連結会計年度の当初計画に基づく従業員給与の昇給及び中期的な業務拡大に備えた人材採用費用、新規顧客獲得に向けた広告宣伝費の計上により1,094,670千円となりました。この結果、当連結会計年度における営業損失は132,362千円となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、国内連結子会社であるアディッシュプラス株式会社において茨城県鹿嶋市の補助金給付15,000千円を計上したことにより18,700千円となりました。

 営業外費用は、借入金の利息3,877千円を計上したことにより4,222千円となりました。この結果、当連結会計年度における経常損失は117,884千円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、税金等調整前当期純損失117,884千円、法人税、住民税及び事業税13,179千円及び法人税等調整額△15,734千円の計上により115,330千円となりました。

 

b.財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は1,340,372千円となり、前連結会計年度に比べ163,423千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失115,330千円の計上、受取手形、売掛金及び契約資産が101,153千円増加、連結子会社のアディッシュプラス株式会社において鹿嶋BASEを開設したことにより有形固定資産が12,114千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債は988,313千円となり、前連結会計年度末に比べ251,080千円増加しました。これは主に新規借入に伴う短期借入金の増加137,500千円、転換社債型新株予約権付社債の発行100,000千円によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は352,058千円となり、前連結会計年度末に比べ87,656千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失を115,330千円計上したことと、新株発行により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ5,013千円増加したこと、また株式報酬による自己株式の処分13,999千円によるものであります。この結果、自己資本比率は25.8%(前連結会計年度末は37.1%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、運転資金需要の主なものはサービス提供に伴う人件費、外注費、地代家賃などの営業費用であります。運転資金については、自己資金、金融機関からの借入により充当することとしております。

 当社グループの資金の流動性については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は579,323千円となっており、十分な流動性を確保していると考えております。

 なお、重要な資本的支出の予定については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、事業環境、事業内容、組織体制、法的規制など、様々なものが挙げられます。詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりと認識しており、これらのリスクについては解消に努めていく所存であります。

 

⑥ 当社グループの経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

 当社グループは、企業価値の増大を図っていくために「売上高」「経常利益」を重要な経営指標としております。

 

⑦ 継続企業の前提に関する重要事象等について

 当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク ⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等」に記載のとおり、当該事象を解消するための対応策を実施しているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと認識しております。

 

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

 当社グループは、カスタマーリレーション事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自2023年1月1日 至2023年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

(単位:千円)

 

グロース支援

アダプション支援

その他

合計

外部顧客への売上高

2,842,802

659,492

18,447

3,520,743

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

 本邦に所在する有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

ストライプジャパン株式会社

445,232

カスタマーリレーション事業

 

当連結会計年度(自2024年1月1日 至2024年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

(単位:千円)

 

グロース支援

アダプション支援

その他

合計

外部顧客への売上高

3,095,980

475,018

21,310

3,592,309

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

 本邦に所在する有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

(単位:千円)

顧客の名称又は氏名

売上高

関連するセグメント名

ストライプジャパン株式会社

449,161

カスタマーリレーション事業