2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)市場環境について

(外食市場環境について)

外食産業を取り巻く環境は、近年の景気状況等を背景とした個人消費支出における選別化、食の安全性に対する消費者意識の高まり及び価格競争の激化、弁当・惣菜等の中食市場の成長、物流費や原材料価格の上昇や人手不足による人件費上昇等により、厳しい市場環境となっております。当社グループでは、既存顧客の満足度向上や新たな顧客創造のために、各業態における品質・サービスレベルの向上、新メニュー開発及び積極的な会員獲得活動によりリピーターの育成などの施策や、業態変更や店舗改装等により既存店舗の増収を図ると同時に、直営店舗の関東圏への新規出店を継続的に行ってまいりますが、市場環境の悪化が進む場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ブライダル市場環境・婚礼スタイルに対する意識・嗜好の変化について)

総務省の「国勢調査」及び国立社会保障・人口問題研究所などの調査により、国内では少子化が進み、結婚適齢期に当たる男女が減少傾向にあることが示唆されております。また、同世代の未婚率は増加傾向にあり、中長期的にはブライダルマーケットが縮小する可能性があります。そして、婚礼様式が時代とともに変化し、少数人数婚や海外挙式などのニーズも増加しており、近年多様化している傾向があります。

当社グループは、時代のニーズやトレンドを把握し、潜在的な顧客嗜好を喚起し得る婚礼スタイルの企画・提案に努めておりますが、今後、市場の縮小が想定以上に急激であった場合や婚礼スタイルに対する意識・嗜好の変化に対応できない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)競合他社の影響について

当社グループは、飲食事業において新規出店をする際には、商圏誘引人口、交通量及び競合店調査、賃借条件等の立地調査を綿密に行った上で新規出店の意思決定をしております。しかしながら、当社グループの出店後に交通アクセスが変化した場合や、同業他社等から新規参入があった場合には、そこに新たな競合関係が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ブライダル事業において、ホテルや専門式場が既存施設のリニューアルを通してゲストハウスウェディングへ進出するほか、異業種からの新規参入など、業界における他社との競合状況が激化した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)原材料の調達リスクについて

当社グループが使用する食材や仕入れ商品は多岐にわたるため、新たな原料産地の開拓や分散調達等のリスクヘッジに継続的に努めていますが、疾病の発生や、天候不順、自然災害の発生等により、必要量の原材料確保(仕入れ商品量確保)に困難な状況が生じた場合や、市場相場価格や為替相場の変動により、仕入価格が高騰し売上原価が上昇した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)事業にかかる各種法的規制について

当社グループは、会社法、金融商品取引法及び法人税法等の一般的な法令に加え、当社グループが建設・運営する店舗・施設については、建築基準法、消防法及びその他法令・各種条例による規制及び飲食の提供に関する食品衛生法や食品リサイクル法等による規制、顧客との契約に関する消費者契約法等による規制、酒類提供に関する未成年者飲酒禁止法及び道路交通法による規制、深夜0時以降に酒類を提供する店舗を規制する風俗営業法、望まない受動喫煙の防止を図るため店舗施設が講ずべき措置等について定めている健康増進法、その他環境・リサイクル関連法規などの各種規制や労働関連の法令及び施設設備に関わる各種法規制や制度の制限を受けております。

当社グループは、法令遵守の精神に基づき、これらの法的規制に関して細心の注意を払い事業を進めておりますが、万が一法的規制に抵触し、建築計画や事業計画に関して何らかの是正措置を命じられた場合や、各種法的規制が強化された場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)食品衛生法と食品の安全管理について

当社グループは、各店舗・施設において料飲商品を提供しているため、食品衛生法の規制対象となり、飲食店を新規出店するにあたっては、食品衛生管理者を置き、厚生労働省令の定めるところにより、所轄保健所より営業許可を受けなければなりません。そのため、所轄保健所から営業許可書を取得し、全店舗に食品衛生責任者を配置し運営しております。

当社グループは、食品の安全性を重視し、各店舗・施設においては責任者による日常的な衛生チェック、本部人員による定期検査や改善指導等を実施しております。さらに、社内ルールに則した衛生管理を徹底するほか、外部専門機関による衛生検査、検便検査を定期的に実施しており、普段から食品衛生管理体制の遵守を心がけております。しかしながら、万が一当社や当社グループの関連施設において食中毒などの衛生事故が発生した場合には、食品等の廃棄処分、営業許可の取り消し及び営業の禁止等を命じられることがあります。この結果、金銭的な損失に加えて、社会的信用の低下を招くことで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)商品表示について

外食産業においては、一部企業の産地偽装や賞味期限の改ざんなど、商品表示の適正性、信頼性等において消費者の信用を失墜する事件が発生しております。そのため、食材の安全性に対する社会的な要請が強くなっております。当社グループは、適正な商品掲示のための社内体制の整備、強化に取り組んでおりますが、食材等の仕入れ業者も含めて、表示内容に重大な誤りが発生した場合には、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)商標管理について

当社グループは、店舗で使用する商標「屋台屋 博多劇場」や「大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん」「こだわりもん一家」等につきましては、原則として商標登録を行っており、当社グループが保有する商標について、第三者の商標権等を侵害している事実はありませんが、第三者の商標権を侵害していると認定され、その結果、使用差し止めや使用料・損害賠償等の支払いを請求された場合、また、そのことにより当社グループの信用が低下した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8)地震その他の天災、伝染病などの疫病、テロ行為等について

当社グループの経営する店舗及びブライダル施設は首都圏に集中しております。そのため首都圏において、大規模な地震や台風等の自然災害、伝染病などの疫病、戦争やテロ行為等が発生し、展開地域や拠点における避難勧告や外出制限、店舗や施設における人的・物的被害、想定以上の来客減少、長期間にわたる業務停止などの事態が発生した場合、売上の低下等により当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、自然災害等による店舗・施設の損壊の程度によっては、大規模な修繕の必要性から、多額の費用が発生する可能性があり、保険などにより填補できない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況によって、政府や自治体による緊急事態宣言の発令や外食自粛等の要請、国内外の経済活動の行動制限が発生した場合は、来客数の減少、サプライチェーンの混乱、店舗の営業時間短縮や休業につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)人材の確保・育成及び人件費の高騰について

当社グループは、今後の事業運営と展開において、社員人材の確保・育成が重要な課題の一つであると考えております。そのために当社グループは、人材採用活動を積極的に行う一方で、目標管理とその成果が適切に評価に反映される人事制度や、毎月の評価見直し、手厚い教育研修制度を確立する等、当社グループの事業運営と展開に見合った人材育成と確保のための体制作りに注力していく方針です。しかし、今後の事業展開において、必要な人材が計画どおりに確保・育成できない場合、また、人件費が高騰し続ける場合には、各事業の人員計画が計画どおりに進まず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)パートタイマー・アルバイトの雇用について

当社グループの店舗運営においては、パートタイマー・アルバイトと呼ばれる短時間労働者が多数在籍しております。毎年、多数のパート・アルバイト社員を雇用しておりますが、今後の労働人口の減少等により、適正な労働力を確保できない可能性があります。また、社会保険の加入対象者には法令に従い加入を進めておりますが、今後、短時間労働者の処遇に関連した法改正が行われた場合、パート・アルバイトの人件費増加やパート・アルバイトの就業形態の変化、パート・アルバイト就業希望者の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)情報システムについて

当社グループは、管理部をはじめ飲食事業部・ブライダル事業部等の運営において売上管理、損益管理及び食材の受発注業務、顧客情報管理、勤怠管理及び給与計算、会計処理及び支払業務などの情報システムを使用しております。その情報システムにおいて、機密情報を保持しセキュリティを確保するために、当社グループでは、外部からの不正アクセス又はコンピューターウイルス等の侵入を防止し、内部からの情報流出を防止するべくシステムを整備するとともに、データの消失に備えデータのバックアップを行い、アクセス権限の設定、パスワード管理により、機密漏洩の防止に努めております。しかしながら、これらの措置にも関わらず、万一、システムダウンによるネットワークの障害等不測の事態、不正アクセス等による機密情報や個人情報など漏洩した場合には、事業の効率性の低下や、社会的信用の失墜により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)インターネット等による風評被害について

ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の書き込みや、それを要因とするマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)直営店舗・施設の貸借について

当社グループは、事務所や店舗・施設の建物を賃借しております。賃借期間は賃貸人との合意により更新可能でありますが、賃貸人側の事情により賃借契約を解約される可能性があります。ブライダル施設においては、建物を定期賃貸借契約しており、契約期間満了後も施設営業を継続すべく賃貸人とのコミュニケーションを図り友好関係を構築しておりますが、建物の賃貸借契約が賃貸人側の事情により更新できない可能性があります。その場合には、当社グループの業績に占めるブライダル事業の割合は高く、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、新規出店等の際において、当社は賃貸人に対し保証金を差し入れております。当社グループは、新規出店時に賃貸人の与信管理を徹底しておりますが、賃貸人の財政状態が悪化した場合、このうちの全部又は一部が倒産その他の賃貸人に生じた事由により回収できなくなるリスクや、貸借物件の継続使用が困難になることも考えられます。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(14)業績の季節変動について

当社グループにおいて、飲食事業では忘年会等の需要による客数の増加により、第3四半期に売上高が増加する傾向にあります。また、ブライダル事業では、気候が安定する10月~11月に婚礼の需要の高まりにより第3四半期に売上高が増加する傾向があります。当社グループ全体では、これら上記の傾向により、第3四半期に売上高及び経常利益が増加する傾向があり、売上高はある程度季節的な変動があることを前提とした計画を立てております。なお、ブライダル事業にて繁忙期となる10月~11月、飲食事業部にて繁忙期となる12月等において天候不順、あるいは台風などの天災、その他不測の事態の発生等によっては、本来売上を見込んでいる時期の業績が伸び悩み、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(15)有利子負債について

当社グループは、事業の拡大などを目的とした出店等の設備資金及び財務基盤の安定化のための運転資金確保を目的に、主に金融機関から資金調達を行っております。金融機関とは良好な関係を維持しており、金利についても現在のところ特に金利引き上げの要請は受けておりませんが、今後の金融情勢の変動により金利が大幅に上昇した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(16)減損会計について

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し減損の測定等を実施しております。今後、保有資産から得られるキャッシュ・フローが悪化し、将来キャッシュ・フローが見込めない等の事象が生じた場合には減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(17)繰延税金資産について

当社グループは、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性が見込まれると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産は、将来の課税所得等に関する予測に基づき回収可能性を検討し計上していますが、実際の課税所得が予測を大幅に下回った場合などには回収可能性の見直しを行い、回収可能額まで繰延税金資産を取崩すことにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 

(18)配当政策について

当社グループは、現在成長過程にあり、事業規模の拡大及び財務基盤の強化を目的として内部留保の充実を優先してきたため、設立以来配当を実施しておりません。しかしながら、当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、事業拡大に対する資金需要、経営成績及び財務状況等を総合的に勘案しながら、配当の実施を検討してまいります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、将来における安定的な事業拡大及び経営環境の変化に対応するための内部留保資金を確保することを基本方針としており、現状では配当を行っておりません。

企業価値を継続的に拡大し、株主への利益還元を行うことを重要な経営課題と認識しており、今後におきましては、毎期の財政状態及び経営成績を勘案しつつ、将来の事業基盤の安定のための内部留保を確保しながら、継続的に安定配当ができると判断した際には、配当を実施する予定であります。内部留保資金については、一層の事業拡大を目指すため、中長期的な投資原資として利用していく予定であります。なお、現時点においての配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。

また、当社は剰余金を配当する場合、期末配当の年1回を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。また、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をする旨を、定款に定めております。