人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数10,929名(単体) 54,206名(連結)
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平均年齢43.1歳(単体)
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平均勤続年数18.8年(単体)
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平均年収8,175,799円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(2024年12月31日現在)
(注) 従業員数は就業人員数(執行役員、当社及び連結子会社から連結の範囲外への出向者を除く。)です。臨時従業員数(雇用契約が1年未満の直接契約社員)は、当連結会計年度の平均雇用人員数を( )内に外数で記載しています。
(2) 提出会社の状況
(2024年12月31日現在)
(注) 1 従業員数は就業人員数(執行役員、臨時従業員及び当社からの出向者を除く。)です。
2 平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでいます。
(3) 労働組合の状況
労働組合との間に特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年(2015年)法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年(1991年)法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年(1991年)労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
② 国内連結子会社
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年(2015年)法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年(1991年)法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年(1991年)労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
3 パート・有期労働者の男女の賃金の差異は、無期雇用者以外の多様な雇用形態を含むとともにその構成も会社ごとに異なるため、数値が分散する傾向があります。
4 対象者となる従業員なし。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) ヤマハ発動機グループのサステナビリティ
ヤマハ発動機では創業以来、「社訓」に“企業活動を通じた国家社会への貢献”を謳い、この精神に基づいた従業員一人ひとりの行動を通して社会に貢献することを掲げています。そして、「感動創造企業:世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」ことを企業目的として、「モノ創り」を通じて多様な価値の創造に努めてきました。また、経営理念では「顧客の期待を超える価値の創造」、「仕事をする自分に誇りが持てる企業風土の実現」、「社会的責任のグローバルな遂行」というお客さま・従業員・社会に対する経営の基本姿勢を示しています。
こうした理念の下、ヤマハ発動機グループではステークホルダーへの主な社会的責任をサステナビリティ基本方針としてまとめ、企業理念に基づく事業活動を通じて社会の持続可能な発展に貢献することが私たちに期待されているサステナビリティと考え、取組を行っています。
ヤマハ発動機グループサステナビリティ基本方針
ヤマハ発動機グループは、「感動創造企業」を企業目的に、社会や地球環境との調和を図りながら、製品やサービスを通じて世界の人々に喜びや驚き、高揚感、そして豊かさや幸福感を提供し続けていくことを目指しています。これを実現するために私たちは、人と人とのつながりから生まれる共感を新しい価値を生む原動力とし、適正な企業統治の下、社会から信頼される企業として、革新的で多様な製品やサービスを通じ、ヤマハらしい形で社会の課題解決と持続的発展に貢献していきます。
取引先においても、この方針を支持し、それに基づいて行動することを要請します。
・私たちは、国際ルール・法令を遵守するとともに腐敗防止に取り組み、公正・誠実に業務を遂行します。
・私たちは、人権を尊重し、差別をせず、いかなる形であれ児童労働・強制労働は行いません。
・私たちは、ステークホルダーとの関係を大切にし、適時かつ適正な情報開示を行います。
① ガバナンス
社長執行役員が委員長を務め役付執行役員が委員となる「経営会議」の中で、サステナビリティを巡る課題及びリスク・コンプライアンスに係る課題への対応を協議・決定しています。
さらに経営会議での審議を前提に、専門的視点から審議・検討を行うため、その下部委員会としてCSO(チーフステラテジーオフィサー)が委員長を務め、CSOが指定する役付執行役員が委員となる「サステナビリティ委員会」、及びCRCO(チーフリスク・コンプライアンスオフィサー)が委員長を務め、CRCOが指定する役付執行役員が委員となる「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」を設置しています。またその下部に、環境担当執行役員が委員長を務め、委員長が指定する事業・部門の推進責任者を委員とする「環境委員会」と、CRCOが委員長を務め、CRCOが指定する主要地域のRCO(リスク・コンプライアンスオフィサー)が委員となる「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」を設置しています。
「サステナビリティ委員会」と「環境委員会」ではサステナビリティについての方針やビジョン、中・長期環境計画、投資やモニタリングを、「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」と「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」ではリスク・コンプライアンス経営についての方針や中・長期の計画、リスク評価・対策・モニタリングなどを専門的視点で審議・検討しています。
また、当社の取締役会・監査役会が備えるべきスキルとしてサステナビリティを設定し、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)のそれぞれの選定理由と定義を公開しています。
ESGに関するスキルの選定理由及び定義
② 戦略
企業価値の持続的な成長とともに社会・地球環境の持続的な発展を目指すという自覚の下、ヤマハ発動機グループは、SDGs(2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標)などから抽出した社会課題のうち当社が展開する幅広い分野での事業活動を通して解決することができる重要な社会課題を特定して取組を推進しています。
2022年にはそれまでの4つの課題の見直しを行い、「環境・資源」「交通・産業」「人材活躍推進」の3つの課題に再構成しています。また、取組テーマも社内外の環境変化に伴って見直しを行い、重点化して絞り込みました。さらに2023年は、目標をより具体的に表現し、人権に関わるKPIを新たに設定するなど、全体を通して見直しを行っています。
③ リスク管理
チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー(CRCO)を任命し、「リスクマネジメント規程」に基づき、CRCOが委員長となり指名する執行役員を委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」において、グループ全体のリスク状況をモニタリングすると同時に、重点的に取り組む「グループ重要リスク」の選定、対策活動のチェックなどを行い、グループ全体のリスク低減を図っています。また、その下部委員会として、CRCOが指名する主要各地域を統括するリスク・コンプライアンス・オフィサーを委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」を設置するとともに、本社各リスク主管部門長等による「リスク・コンプライアンス推進会議」を設置し、リスクマネジメントについての方針や計画、モニタリングと対策などを専門的視点で審議しています。そしてこれらの審議の結果は、CRCOより取締役会に適宜報告されており、実効性を担保した体制を整備しています。
④ 指標及び目標
環境・資源
カーボンニュートラルの実現を目指して
海洋資源の保全を目指して
交通・産業
すべての人に安全でやさしい移動を
ロボティクス技術で仕事を楽に快適に精密に
人材活躍推進
多様な人材で企業力強化を
人権尊重の企業責任を果たすために
(2) ヤマハ発動機グループの気候変動への対応
健全な地球をフィールドに豊かな自然と触れ合う多様な商品群を提供するヤマハ発動機において、気候変動が地球環境に与える影響は、企業目的である「感動創造企業:世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」の実現において大きなリスクとなっています。ヤマハ発動機では「サステナビリティ基本方針」の「地球環境」において「地球温暖化防止に向けた技術開発を進め、環境負荷の最小化に努めます。また、生物多様性の保全とその持続可能な利用に取り組みます。」を掲げています。気候変動対策の国際的な合意であるパリ協定では「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ1.5℃に抑える努力を追求すること」を目指しており、「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」では、「ヤマハ発動機グループは、2050年カーボンニュートラルを目指します。」を掲げ、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同した情報開示を積極的に実施しています。
① ガバナンス
環境分野を重要な経営課題の一つと位置づけ、環境活動を管掌する執行役員を委員長とする「環境委員会」を設置しています。環境委員会は年6回開催し、環境に係る方針(TCFD対応方針など)やビジョンの審議、ヤマハ発動機グループの環境長期計画(環境計画2050)の策定、各事業部の目標に対する進捗等を毎年レビューし、少なくとも年2回は取締役会へ報告します。
また、環境委員会直下に環境推進会議を設置し、各事業部・調達部門・生産部門・技術部門などの推進責任者による会議を隔週で開催し、原材料の調達から生産・使用段階・廃棄に至るサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現や資源循環、生物多様性といった目標に向けた活動を推進しています。
② 戦略
IPCC(気候変動に関する政府間パネル) 第6次評価報告書では、COP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)で産業革命前からの気温上昇を「1.5℃に抑える努力を追求する」と合意されたことで、世界平均地上気温の変化シナリオにおいて新たに1.5℃目標に相当するSSP(※)1-1.9が設定されました。この報告書では、2100年までの世界の平均気温の変化を評価した5つのシナリオ全てで2040年までに1.5℃に達する可能性が高いと予測しており、世界の国・企業は気候変動への取組のさらなる強化が必要となってきています。ヤマハ発動機グループでは、2050年カーボンニュートラルを目指すにあたり、不確実性(リスク)要因に対応するために、IPCC第6次評価報告書の情報を参照にしてSSP1-1.9及びSSP1-2.6とSSP3の各シナリオを選択しました。
※SSP:共通社会経済経路(Shared Socio-economic Pathways)のことで、地球温暖化と社会経済の多様な発展の可能性を「緩和と適応」の困難度で5つのシナリオに分類している
シナリオ分析の詳細 https://global.yamaha-motor.com/jp/profile/csr/environmental-field/plan-2050/#sec-03-01
③ リスク管理
ヤマハ発動機では、「事業戦略」と「事業継続」の2つの側面から気候変動リスクの特定と評価を行っています。
a.リスクの特定
各事業・機能部門は、短期・中期・長期の気候関連リスクを「低炭素経済への移行に関するリスク」と「気候変動による物理的変化に関するリスク」に分けてそれぞれの側面が事業に与える財務影響を考慮し、また気候変動緩和策・適応策を経営改革の機会として事業に与える財務影響を考慮し、事業中期計画の中でリスクと機会を特定します。
b.リスクの評価
環境活動を管掌する執行役員を委員長とする「環境委員会」は、各事業・機能部門が特定したリスクと機会に対する事業戦略としての具体的取組を評価します。
c.気候変動リスクの「管理」プロセス
「環境委員会」は、各事業・機能部門が特定したリスクと機会に対する事業戦略としての具体的取組のゴールや目標について毎年進捗を管理し、「サステナビリティ委員会」及び取締役会で結果を報告します。環境委員会は、進捗管理を実施するとともに事業に重要な影響を及ぼす案件については審議し、少なくとも年2回は取締役会で報告または決議を行います。
④ 指標及び目標
2050年目標
サプライチェーン全体でカーボンニュートラル
2035年目標
Scope 1、2:カーボンニュートラル達成
Scope 3:24%削減(2019年度比)※主に製品の使用段階
2030年目標
Scope 1、2:80%削減(2010年度比)
Scope 3:7%削減(2019年度比)※主に製品の使用段階
2023年度のCO2排出実績と削減目標推移
Scope 1、 2
Scope 1(エネルギー起源直接排出)、Scope 2(エネルギー起源間接排出)
対象範囲
:ヤマハ発動機及び連結子会社130社を含む全149社
:敷地外移動体に利用される燃料は除く
:構内サプライヤーのエネルギー使用量は除く
Scope 3 ※cat 11-製品の使用段階
※cat 11 : 当社が対象期間に国内外で販売した製品についてアジア、欧州、北米、日本、大洋州、中南米、その他の各地域における販売台数に、原則として、モデル平均燃費(あるいはモデル電気使用量)、年間走行距離(あるいは年間使用量)、生涯使用年数を乗じて対象期間に販売した製品の生涯消費燃料量(あるいは生涯電気使用量)を算出し、生涯消費燃料量(あるいは生涯電気使用量)に排出係数を乗じて排出量を算定。
(3) ヤマハ発動機グループの人的資本
グローバルな事業展開の中、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展及び個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることができると考えています。
「企業活動の原点は人」という基本認識の下、変化が激しい環境の中で、多様な人財がワクワク、自ら感動しつつ、失敗を恐れず高い目標へチャレンジし、成長を実感できると同時に、会社の成長と未来を切り開いていくことを目指します。この実現のため、2025年から始まる新中期経営計画における人事のミッションステートメントを ”Challenge & Growth ~多様な社員にチャレンジの機会を!ヤマハ発動機らしいチャレンジで個人と会社の成長を!” と設定し、社員の主体的な活動に焦点を当てて次の感動創造につなげる取り組みである ”NEXT KANDO ACTIONS” の全社活動と連携しながら、グループ全体で社員の挑戦と成長を後押ししていきます。
また、従業員の就業環境の改善や心理的安全性の確保、ハラスメント防止に関しても全社を挙げて取り組んでおり、具体的な目標数値を定めてエンゲージメントの向上を目指しています。
① ガバナンス
人的資本経営のさらなるガバナンス強化と戦略の最適化を実行するために、2024年に人的資本経営委員会を設置しました。役付執行役員、海外拠点長を参加者とし、グローバル規模での人的資本に関する主要課題である人財投資戦略、エンゲージメントの向上、ダイバーシティの促進等の議論を積極的に行っています。また、ヤマハ発動機グループの経営幹部候補の人財育成計画、配置及び育成状況についての審議を行うことを目的に、タレントマネジメント委員会を設立しました。これらを通じ、従業員のキャリアに対する自主性並びに将来のキャリアパスの透明性を向上させていきます。
② 戦略
多様性を認めた一人ひとりが働きやすい環境づくり
当社は、社員エンゲージメントを重要な指標と位置づけ、2025年からの新中期経営計画においてエンゲージメントポジティブスコア80%以上をグローバル共通の目標として設定しました。引き続き、エンゲージメントの向上を目指し、全社を挙げて取り組んでいきます。2022年からYamaha Motor Global Awardを導入し、2023年には、社員も投票に参加することができる「社員投票最優秀賞」を設置、そして2024年には、縁の下の力持ちとして事業継続やサステナビリティに欠くことのできない貢献をしている「影の貢献者賞」を新設しました。2024年度は国内・海外事業部門とグループ会社から挙がった39エントリーからヤマハ発動機らしさを体現する8つの優れたプロジェクトを表彰しています。このような、成功を祝う活動を通じて社員エンゲージメントの向上を図り、Yamaha Day(当社の創立記念日にあたる7月1日とヤマハ株式会社の設立記念日にあたる10月12日をYamaha Dayと定め、本社及び国内外グループ各社にて自律的なイベントを開催)と合わせて授賞式を行っていきます。
また、エンゲージメントを高める取組として、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンと人財育成に力を入れていきます。
ヤマハ発動機グループの企業理念である「感動創造企業」を実現するためには、さまざまなバックグラウンドで活躍する人々がお互いを認め合い、成長していくことでその価値を最大限発揮することが重要です。また、持続的な成長を実現しお客さまの期待を超える新しい価値を生み出し続けるためにも、多様な視点や価値観を持った人財の育成、活躍が不可欠であると考えています。
多様な人財が集まり、互いの異なる視点や価値観を尊重しながら、新たな気づきや発見を価値創造につなげていける組織風土を醸成するために、2023年9月に「ヤマハ発動機グループ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)方針」を制定し、職場内及び子会社への周知を行っています。当方針の中で「ダイバーシティを通じて感動を創造する」ことをステートメントの中心に置き、「RESPECT.」(リスペクト ピリオド)を行動原則としています。「RESPECT.」とは、ヤマハ発動機グループの全員が、同僚、お客さま、サプライヤー、その他のステークホルダーに対して、他者の意見や権利を価値あるものとして認識し、接する責任を持つことを意味します。その上で 「重点領域とヤマハ発動機グループの姿勢」を定め、全ての役職員が年齢、性別、性的指向、性自認、障がい、国籍、人種、宗教・信条、価値観、経験などに関わらず自分の個性(強み・経験・考え方)を最大限に発揮できる職場を目指しています。
「性別」に関わる取組として、女性活躍推進の観点から、女性の管理職比率について目標を設定し取り組んでおり、ヤマハ発動機グループ全体では、女性管理職比率を2023年の11.1%から2027年に13%とする目標を設定しました。この目標の達成に向けて継続して取組を進めていきます。
さらに、重点領域の一つである「LGBTQ+」については、性自認や性的指向に関する働く上での悩みや困りごとを相談できる社外相談窓口を本社に新設しました。今後も、性自認や性的指向に関わらず、社員一人ひとりが安心して受け入れられ、自分らしく働くことができるような職場環境の整備を進めていきます。
本社におけるキャリア採用者(中途採用者)の管理職登用比率は、新卒採用者の同比率と同程度となっています。採用形態等の属性によらない人物・能力本位での管理職登用を今後も継続していきます。
人財育成方針
ヤマハ発動機グループでは、進化・変化していく市場ニーズに機敏に対応できる組織体制づくりに加え、個人と会社が高い志を共有し、事業の発展及び個人の成長の実現に向けて協力し合うことで、感動を創造し続けることを「人事の目指す姿」として設定しています。具体的な項目として以下の3つを掲げ、多様性が尊重される職場づくりを進めています。
1. 性別・年齢・国籍・人種・価値観等にとらわれず、一人ひとりがそれぞれのチャレンジへ果敢に挑める施策を構築し、挑戦する風土を醸成すること
2. 個人が自らの手で、生涯にわたり啓発する意欲を持つ役職員に対し、適宜その機会と支援を提供すること
3. 「発、悦、信、魅、結」の共有価値を基本とし、「ヤマハらしさ」を開発・育成することで人財における他社との差別化を図ること
そして、目指す姿に向けて次のような人財とともに働きたいと考えています。
1. 自己価値向上に努力する自立・自律型の人財
2. チームワークを大切にした行動ができる人財
3. ヤマハブランドの価値を高められる人財
上記のような職場づくりを実現するためヤマハ発動機グループでは人材マネジメントグループ業務指針を定め、さまざまな取組を行っています。
グローバル人財の活用
人財のグローバル化については、性別・年齢・国籍及び原籍等を問わず優秀な人財の早期発掘、キャリアプランの検討、育成、登用を進めています。具体的には、以前から進めてきたグローバルコアポジションの後継者管理に加え、グローバルでの次世代経営人財の発掘と育成強化、人財の可視化を目的としたグローバル人財データベースの拡充に着手しました。
また、2020年からグローバル人事異動を促すGAP(Global Assignment Policy 旧:Yamaha Assignment Policy)を導入し、優秀な人財の国際間異動を推進しています。これまでに19件の実績があり、今後もさらなる拡大を図っていきます。
人財育成
階層に応じた研修をはじめ、ハイポテンシャル人財に対する選抜研修、機能面での専門スキルを磨く研修、世界で活躍できる人財を目指す海外トレーニー制度、チーム力を高めて組織としてのパフォーマンスを高めるコーチング研修やダイバーシティ研修などを整備しています。また、自ら学ぶ風土の定着に向けて、自己啓発への支援を拡充し、学びの選択肢を増やすとともにオンデマンド型教育を整備しています。
人財育成に関しては、成長を望めば誰しもが機会を与えられる仕組みの構築を目指し、Yamaha Motor Learning System(YLS)オンライン・オンデマンド型の学習プラットフォームの導入と、自己啓発講座の推進を進めてきました。YLSの利用者数は約2万人に達し、自己啓発講座は社員の多様な学びのニーズに対して豊富な選択肢を提供できるようカフェテリアプラン(注)の適用範囲を外部の自己啓発講座・セミナー・オンライン語学講座・オンライン学習サービス・自己啓発用テキスト・書籍購入にまで拡大しました。また、グローバルな経営人財を育成するための選抜研修プログラムを2015年から実施し、これまで延べ155人が参加しています。
(注) 『カフェテリアプラン』とは、それぞれのライフスタイルに合わせて、会社が設定した福利厚生メニューの中から好きなメニューを選び、補助を受けることができる『選択型福利厚生制度』です。
モノづくりの現場においては、「人が主役のモノづくり」をコンセプトとし、人財の獲得、育成、配置、維持・定着のサイクルを構築しています。特に、人財の維持・定着については、エンゲージメント向上施策やインターナルブランディング活動を積極的に展開し、当社で働く喜びや成長意欲を高め、「人が主役のモノづくり」を実現することで、「人財の価値」「社会の価値」「商品の価値」「つながる価値」の向上を目指しています。
モノづくりの現場においては社内だけではなく、グループ会社やお取引先も含めた人財の育成と協創が大変重要です。モノづくりの基本思想「ヤマハ発動機モノづくりWay」の海外・国内グループ会社やお取引先への体系的な導入に加え、人財育成、DXへの取組についても協業を進め、当社製品のさらなる価値向上を目指します。
健康かつ安心して働ける安全な環境づくり
当社グループでは、従業員の健康・安全を企業成長の基盤と考え、労働環境の向上に努めています。ヤマハ発動機グループ労働安全衛生基本方針、「安全・健康 最優先」の考えの下、従業員全員参加で安全と健康の確保に取り組むとともに、快適な職場環境の形成を促進しながら、業務遂行の円滑化を図り生産性の向上にもつなげています。
ヤマハ発動機においては、従来から推進してきた労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を再構築し、2023年に国際規格であるISO45001を導入、認証を取得しています。マネジメントシステム運用の中軸である、職場におけるリスクアセスメント(危険性や有害性を特定・評価)の実施、その結果に基づく計画的な労働安全衛生リスクの除去・低減に取り組み、労働災害の未然防止を図っています。また、全従業員の安全意識向上のため、法規制上の教育・講習はもちろん、リスクアセスメントや実践的な危険予知トレーニング等、各種教育・研修の充実にも取り組んでいます。
なお、2023年5月、当社浜北工場(浜松市浜名区)にてエンジン部品加工作業に従事していた社員1名が死亡する労働災害事故が発生しました。このような重大な労働災害を二度と発生させないため、設備機械の安全総点検と対策、リスクアセスメント徹底によるリスク除去・低減、「安全の日」設定による安全意識の高揚など、再発防止の取組を継続的に進めています。
ヤマハ発動機グループ全体の労働安全衛生水準の向上に向けては、労働災害発生リスクが相対的に高いと考えられる製造拠点を中心に、ISO45001を基軸とした労働安全衛生マネジメントシステムの整備を進めるとともに、継続的な改善に取り組んでいきます。
健康に関しては、2020年にヤマハ発動機健康宣言を制定し、社員の健康を会社の発展に欠かせない重要な経営課題ととらえ、会社・社員が一体となって健康の保持・増進に取り組んでいます。
具体的には、ヤマハ発動機では健康診断受診率100%・メタボリックシンドローム(該当者+予備群)の低減・喫煙率の低減を三大課題とし、さまざまな取組を進めています。メタボリックシンドローム低減に関しては、若年層を含めリスクを抱えた社員への看護職・管理栄養士による継続的な保健指導、専門医の治療に早期につなぐための受診勧奨となるイエローペーパー制度の運用等を行っています。また、喫煙率低減に向けては従来から行ってきた禁煙支援に加え、2024年1月よりヤマハ発動機敷地内・就業時間中の全面禁煙化を開始、国内グループ会社にも順次展開を進めています。
社員のメンタル不調を未然に防止するため、ストレスチェック実施後には高ストレス者の希望者全員に産業医や看護職等によるフォロー面談を実施、集団分析結果を職場へフィードバックすることで職場環境改善につなげている他、セルフケア・ラインケア等のさまざまな教育・研修を実施しています。
フィジカル・メンタル共に休職者の復帰時には、復職前に社内リワークプログラムを実施、復帰後も所属長・人事部門・産業医が連携し1年ほど本人をフォローすることで、再発防止に努めています。
また、社内環境整備の一環として、人事部門と健康推進部門が連携して適正な労働時間管理を推進し、過重労働対策とワークライフバランスの確保を行っている他、女性社員特有の健康問題に対応するための専用相談窓口やセミナー等の整備など、さまざまな取組をきめ細かく展開しています。
これらの活動を通じ、ヤマハ発動機は健康経営を戦略的に取り組む法人を認定する「健康経営優良法人認定制度」において健康経営優良法人2025(大規模法人部門)・ホワイト500に認定されています。
コンプライアンスの遵守
ヤマハ発動機グループでは、グループ全体のコンプライアンス遵守の体制を構築する目的で、チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー(CRCO)を2025年1月に任命し、CRCOが委員長となり指名する執行役員を委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会」において、コンプライアンス遵守のための計画を審議し、その実行状況やコンプライアンス遵守の風土についてモニタリングを行います。また、その下部委員会として、CRCOが指名する主要各地域を統括するリスク・コンプライアンス・オフィサーを委員とする「グローバルリスク・コンプライアンス推進委員会」を設置するとともに、本社各リスク主管部門長等による「リスク・コンプライアンス推進会議」を設置し、コンプライアンスについての方針や計画、モニタリングと対策などを専門的視点で審議することとしています。そしてこの結果は、グローバルリスク・コンプライアンス経営委員会での審議事項としてCRCOよりESGリスクとともに取締役会に適宜報告するものとされており、実効性を担保した体制を整備しています。具体的な活動は「コンプライアンス管理規程」に従って展開し、CRCOとコンプライアンス統括部門がグループ全体の活動を管理します。
また、コンプライアンス風土を測定する手段の一つとして、グループ会社共通のコンプライアンス意識調査を毎年実施し、「倫理行動規範」の理解度や規範の実践度合い、レポーティングラインやホットラインの利用度、教育の有効性などコンプライアンス施策の有効性を確認しています。また、調査の結果や社会の潮流も踏まえ、「倫理行動規範ガイドブック」の毎年の更新と「倫理行動規範」の定期的な見直しを行っています。
この倫理行動規範では、日々の活動の中で遵守すべき行動基準をコンプライアンスの視点から表していますが、中でも人権は重要なものと位置付けており、職場で人権を侵害し得る、職場でのセクシュアルハラスメントや、職場における地位や人間関係などの優位性を背景にした相手の人格・尊厳の侵害など、あらゆる種類のハラスメントを一切禁止しています。そのために主にマネジメント層に対して「人権・ハラスメント」研修を毎年開催しています。もしハラスメントの報告を受けた際には当事者から詳細なヒアリングを行い事実確認した上で、懲戒を含めた適正な対応を行うとともに、再発防止に向けた取組を進めています。
倫理行動規範に違反する行為に気付いた場合の通報先として「コンプライアンス・ホットライン」を設置し、国内外のグループ会社からの内部通報を受け付けるとともに、必要な調査・是正を実施しています。加えて、仕入先からの通報を対象にした「フェアビジネスホットライン」、社外ステークホルダー向けの「人権ホットライン」を設置し、課題の是正・救済に取り組んでいます。
ヤマハ発動機が受け付けたホットラインの件数
③ リスク管理
ヤマハ発動機グループでは、必要なリスクを網羅したリスク管理台帳を作成しており、リスク管理台帳を適切に管理・運用することにより、リスク低減を図っています。この中に「ダイバーシティへの対応不足」という項目を織り込み、「多様性のある人財を確保できず、斬新なアイデアの喚起、社会の多様なニーズへの対応が遅れる」ことをリスクととらえ、対応できなかった場合には「性別や人種、年齢、学歴などの多様性を欠き、企業活力が低下する」「企業価値の訴求不足によって有能な人財の確保が困難になる」ことをダメージとして想定しています。
④ 指標及び目標
エンゲージメントスコア
(注)各社エンゲージメントスコアの合計を会社数で除して算出
目的: 調査を通じて会社全体や各組織のエンゲージメントを可視化し、エンゲージメントに特に影響度が高い要素と各組織の強み・課題点を特定することで社員が働きがいのある職場環境を社員全員で作り上げることを目指す
内容: 社員のエンゲージメント並びにそれらに影響を与える「心理的安全性」「キャリア」「将来性」「成長と能力開発」「会社戦略」「リーダーシップ」「協働」「コミュニケーション」「インクルージョン」等に関する設問
指標: 5段階評価における肯定的回答の割合
目標: 今中期経営計画(2025年-2027年)においてグローバルで80%以上
産休・育休取得状況
(注)取得率については、過年度に出産した従業員または配偶者が出産した従業員が翌年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
女性従業員比率
女性管理職比率
コアポジション現地化率 (注)
(注)海外子会社のコアポジション(本社部長級)に占める現地人財の比率
選抜研修の参加者数
(注)1 Global Executive Program、Yamaha Business School Globalは隔年で実施
2 2022年はコロナ禍のため実施なし
自己啓発講座受講数(延べ人数)
従業員一人当たり研修時間 (注1)
従業員一人当たり研修費用 (注2)
(注)1 コンプライアンス教育・安全衛生等法令に関する研修や新入社員研修を除く。また、2024年から自己啓発講座の機会提供の拡大(会社が対象講座を指定する方法から、個人が自由に選択する方法へ変更)を実施したことに伴い、自己啓発講座受講時間数の把握が困難となったため、自己啓発分を除いた時間数を遡及して計算
2 社内の人件費、施設運営費等は除く
3 国内グループ会社で提出のあった拠点のみが対象
労働災害 発生件数(休業災害以上)
労働災害 休業度数率(100万延べ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数)
(注)2022年の対象範囲は生産機能を持つ連結子会社と関連会社の合計30社。2023年の対象範囲は生産機能以外も含む連結子会社と関連会社の合計117社。2024年の対象範囲は生産機能以外も含む連結子会社と関連会社の合計140社