リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(当社グループのリスク管理)
当社グループでは、グループ統合的リスク管理委員会及びグループ経営会議において、各種のリスクシナリオが顕在化する蓋然性並びに当社グループの経営成績及び財務状況等への影響度の評価を行い、取締役会において、今後1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして認識しております。
2025年3月開催の取締役会にて選定した「トップリスク」は次のとおりです。
(注)上記は認識しているリスクの一部であり、上記以外のリスクによっても経営上、特に重大な悪影響が生ずる可能性があります。
当該トップリスクに関しては、経営計画におけるリスクアペタイト方針やリスク管理方針等において対応方針を定め、その対応方針に基づき当社及びその子会社において各種戦略・施策を展開するとともに、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のリスク管理体制に基づき、リスク管理及び危機対応の体制を整備しております。
また、以下に記載したリスクのうち、信用リスク及び市場リスクについては、統計的手法であるバリュー・アット・リスクを用いて、一定の確率(信頼区間99.9%)のもと、一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を計測し、把握しております。
これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、各リスクカテゴリー毎にリスクリミットを設定し、その合計額が自己資本の範囲内に収まるよう管理を行っております。
(特に重要なリスク)
・気候変動リスク
近年、国際機関や日本を含む世界各国政府が「脱炭素化社会への移行」に向けた取組みを加速させるなど、気候変動リスクへの対応は重要な課題となっております。
気候変動の影響による台風・豪雨等の自然災害は、その頻度及び損害が急速に増大しており、こうした「物理的リスク」が地域社会・経済にとって大きな脅威となっております。また、政府が地球温暖化対策として環境規制を導入する等、法務・税務面での規制強化に加え、当社グループが環境配意を怠ることでステークホルダーから見放されるといった「移行リスク」への対応が必要となっております。
こうした社会情勢の変化を受け、以下のリスクが顕在化する可能性があります。
・当社グループの貸出先等における本社・工場等の被災や、低炭素社会への移行の対応の遅れ等による競争力の低下等に起因する経営状況の悪化等に伴う信用リスク
・各ステークホルダーが当社グループに期待する環境問題への取組みに係る基準を下回った場合等における、当社グループの資本・資金調達等ができなくなる、不利な条件での取引を余儀なくされる又は一定の取引を行うことができなくなる流動性リスク及び当社グループに対するネガティブな報道に起因する当社株価に悪影響を及ぼす風評リスク
・大規模な自然災害が発生し、当社グループの役職員や店舗等が被災した場合における、営業活動の停滞等による営業戦略が奏功しないリスク、業務継続に必要な人財が確保できない人的リスク及び有形資産リスク
・上記リスクの顕在化に起因する自己資本比率低下のリスク
当社グループでは、こうした気候変動リスクが経営に与える定量的な影響を把握するための取組みを行うとともに、地域のカーボンニュートラル実現に向けて、温室効果ガス排出量削減とサステナブルファイナンスの中長期目標を設定し、<地域総合サービスグループ>として本業を通じた取組みを進めております。
また、「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」に係る統括機能を強化するとともに、気候変動リスクへの対応等に係る開示・取組内容の拡充・高度化を図るため、「サステナビリティ統括部」を設置しております。
詳しくは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(その他重要なリスク)
(1) 信用リスク
当社グループの不良債権は世界経済の変動、国内景気の動向、業種の盛衰、不動産価格、原材料価格高騰並びに株価・為替の変動及び貸出先の経営状況等によって増加する可能性があります。
当社グループでは不良債権に対し、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。また、大口債務者のうち、将来キャッシュ・フローを合理的に見積もることができる債権については、キャッシュ・フロー見積法により貸倒引当金を計上しております。
しかし、貸出先の経営状況の悪化、担保価値の下落等が貸倒引当金計上時の前提と大きく乖離する場合、貸倒引当金が不十分となり貸倒引当金の積み増しをせざるを得なくなる可能性があります。
また、経営状況が悪化した先に対し、債権放棄又は追加貸出等を行って支援をすることもありえます。さらに、担保権を設定した不動産又は有価証券等に対し、流動性の欠如や価格の著しい下落等を要因として担保権の執行が事実上できない可能性があります。
このような事態が生じた場合には当社グループの与信費用が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいては、こうしたリスクに対し、厳正な審査を実施するとともに、経営改善が必要となった取引先に対して、営業店と本店部の連携による資金繰り支援や各種補助金等の活用サポートに加え、広島銀行に新設した「経営サポート室」を中心とした本業支援強化などの総合的な伴走型支援を行っております。また、広島銀行においては、貸出金ポートフォリオに占める割合を勘案する中、一定の業種に係るモニタリングを強化しております。
(2) 市場リスク
当社グループでは市場取引関連業務において、有価証券投資をはじめ様々な金融商品での運用を行っています。こうした活動には金利、為替レート、株価及び債券価格の変動等のリスクがあり、例えば以下のようなリスクが顕在化した場合には当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 流動性リスク
格付機関により当社及び広島銀行の格付けが引き下げられた場合、当社グループを含む日本の銀行及びその他の金融機関の財政状態が悪化した場合又は市場環境が悪化した場合、予期せぬ資金の流出等により、当社グループの資本・資金調達等ができなくなる、不利な条件での取引を余儀なくされる又は一定の取引を行うことができなくなる可能性があります。
このような事態が生じた場合には当社グループは資金調達費用の増加等により、市場取引関連業務及び他の業務の収益性が低下し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、こうしたリスクに対し、一定の資金流出を前提とした運用・調達コントロールの実施や、市場性資金の調達状況及び市場からの評価等のモニタリングによる管理を徹底しております。
(4) オペレーショナルリスク
(5) その他当社グループの業績等に影響しうる他のリスク
①自己資本比率低下のリスク
当社の連結自己資本比率並びに広島銀行の連結自己資本比率及び単体自己資本比率について、国内基準(4%)の維持が必要となります。
当社グループの自己資本比率は現在、要求される水準を上回っておりますが、要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。
当社グループの自己資本比率は以下のような要因により影響を受ける可能性があります。
・株式を含む有価証券ポートフォリオ価値の下落
・不良債権増加に伴う与信費用の増加
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・本項記載のその他の不利益な展開
②退職給付債務等に関するリスク
当社グループの年金資産は現在、年金資産が退職給付債務に対して大幅な資産超過の状況にありますが、年金資産の時価が下落した場合、当社グループの年金資産の運用利回りが低下した場合又は予定給付債務を計算する前提となる数理上の前提・仮定に変更があった場合には損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来の財政悪化リスクに備えるため、2022年度よりリスク対応掛金の拠出を開始しております。
③規制変動リスク
当社グループは現時点の規制(法律、規則、政策、実務慣行、解釈等を含む)に従って業務を遂行しております。将来これらの規制の変更並びにそれらによって発生する事態が当社グループの業務遂行や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、どのような影響が発生しうるかについて、その種類・内容・程度等を予測することは困難であります。
④競争に関するリスク
近年金融機関の業務における大幅な規制緩和やデジタル化の進展等により業態を超えた競争が激化してきております。また、当社グループの営業基盤である広島県ではメガバンク・近隣他行等の営業攻勢から競争が激化しております。
当社グループがこうした事業環境において競争優位を得られない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤当社グループの営業戦略が奏功しないリスク
当社グループは収益基盤の強化のために様々な営業戦略を実施していますが、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合にはこれら戦略が功を奏しないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。
・優良な貸出金の量の増大が進まないこと
・デジタル化への対応の遅れ等により金融仲介機能の源泉となる預金が十分に確保できないこと
・貸出金について適切な利回りが確保できないこと
・手数料収入の増加が期待通りの結果とならないこと
・デジタル化をはじめとした経費削減等の効率化を図る戦略が期待通りに進まないこと
・取引先への経営改善支援が期待通りに進まないこと
⑥地域の経済動向に影響を受けるリスク
当社グループは、広島県を中心とした地元4県(岡山県、山口県、愛媛県)を主要な営業基盤としていることから、これら地域経済の動向が当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦自然災害・感染症の発生によるリスク
当社グループは主に国内に営業拠点を有しており、各拠点において、豪雨災害をはじめとした自然災害や感染症等に係る想定をはるかに超える状況が発生し、当社グループの役職員、店舗等の設備及び取引先が被害を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧持株会社のリスク
当社は銀行持株会社であるため、その収入の大部分を傘下の銀行子会社から受領する配当金等に依存しております。一定の状況下で、様々な規制上又は契約上の制限により、その金額が制限される場合があります。また、銀行子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当等を支払えない状況が生じた場合には、当社株主に対する配当の支払いが不可能となる可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
(1) 株主還元の基本的な方針
当社は、<地域総合サービスグループ>として地域社会やお客さまのあらゆる課題解決に徹底的に取り組み、地域の持続的成長に貢献していくため、株主還元とともに内部留保の充実にも意を用い、親会社株主に帰属する当期純利益に応じた配当を実施してまいります。
また、内部留保につきましては、収益力強化に向けた資本活用(地域課題解決・地域の持続的成長に向けた成長投資、人的資本への投資拡充等)とのバランスをとり運用することで、経営基盤の拡充や経営体質の一層の強化を図ってまいりたいと考えております。
「配当」
利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的かつ持続的な増加を基本とし、配当性向を40%程度といたします。
「自己株式取得」
連結自己資本比率11%程度を目処とし、その水準を踏まえ、業績動向や市場環境等を総合的に考慮したうえで機動的に実施いたします。
当社の配当は、取締役会で決議される中間配当及び期末配当の年2回を実施しております。
なお、当社は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議により剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に掲げる事項を決定することができる旨を定款で定めております。これは、株主への安定的な利益還元を目的とするものであります。
(2) 当事業年度の配当
当事業年度の配当につきましては、期末配当金を24円50銭(中間配当金と合計で、年間配当金48円00銭)としております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。