2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

ファミリーケア事業 エデュケア事業 プロフェッショナル事業 その他
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
ファミリーケア事業 5,559 19.1 1,214 44.2 21.8
エデュケア事業 22,333 76.9 1,363 49.6 6.1
プロフェッショナル事業 654 2.3 189 6.9 28.9
その他 484 1.7 -20 -0.7 -4.1

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社、以下同じ)は、当社、連結子会社(株式会社ポピンズエデュケア、株式会社ポピンズファミリーケア、株式会社ポピンズプロフェッショナル、株式会社ポピンズシッター、株式会社ウィッシュ)、非連結子会社Poppins U.S.A., Incorporatedの計7社(2023年12月31日現在)により構成されており、「ファミリーケア事業(ナニー及びベビーシッター、介護、家事支援)」、「エデュケア事業(保育・学童施設の運営)」、「プロフェッショナル事業(教育研修・調査研究)」、「その他サービス事業(人材派遣・紹介、高齢者向けデイサービス施設等の運営、不妊予防、ペットケア等)」を行っております。

 ウォルト・ディズニー社のミュージカル映画「メリー・ポピンズ」の主役のように、楽しく不思議な体験に巻き込みながら、本当に大切なものは何かを教えられたらという思いを込めて、当社グループの社名をポピンズとしております。

 当社グループは、『働く女性の支援』という創業時の強い想いを全役員・従業員で共有しており、「働く女性を 最高水準(注1)のエデュケア(注2)と介護サービスで支援します。」というミッションの下、祖業であるナニーサービスを起点に、認可・認証・事業所内保育所や学童保育、インターナショナルスクール等の運営や、高齢者在宅ケアを行うシルバーケアサービス、共働きや高齢者、単身世帯など様々なライフスタイルを支える家事支援サービス、そして保育士や介護士等の研修サービス等を展開し、フルラインでの働く女性を支援するサービス(注3)を提供しております。

 なお、当社グループの各セグメントの事業内容は以下のとおりであり、以下に示す事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(注)1 “最高水準”とは、当社グループでは、常識を超えたサービスによって相手を感動させられる水準のことをいいます。

   2 “エデュケア”とは、当社グループが創出した“エデュケーション”(教育)と“ケア”(保育)を組み合わせた教育理念であります。当社グループは、乳幼児教育において0歳児の脳の目覚ましい発達の研究も踏まえ、教育と保育の両方が必要という考えから創業時からポピンズの基本方針の核となっております。

   3 “フルラインでの働く女性を支援するサービス”とは、祖業であるナニーサービスから始まり、ベビーシッターサービス、介護、家事支援、保育・学童施設運営、教育研修へと切れ目なく働く女性のライフステージをサポートする当社サービス群の特長であります。

 

1.ファミリーケア事業

 ファミリーケア事業では、ナニー(教育ベビーシッター)及びベビーシッターを中心とした在宅保育サービスの提供、高齢者向け在宅ケアサービス、および家事支援サービスを提供しております。

 政府は、2020年12月21日に待機児童の解消を目指し、女性の就業率の上昇を踏まえた保育の受け皿整備、幼稚園やベビーシッターを含めた地域の子育て資源の活用を進めるため、「新子育て安心プラン」を取りまとめて公表し、その中でベビーシッターの活用が、あらためて国の最重要政策のひとつとして位置づけられました。

 また、2021年4月より、公益社団法人全国保育サービス協会が発行する内閣府ベビーシッター割引券(現在のこども家庭庁ベビーシッター割引券)(注1)の利用限度額が、1日当たり2,200円から4,400円に増加したこともあり、当社グループにおける2023年12月期の年間利用枚数が前期比1.3倍に増加しており、ナニーサービス及びベビーシッターサービスともに利用拡大の後押しとなっております。

 その結果、チャイルドケアサービスを年間1回以上利用した家庭数は、2023年12月期には2万1千世帯以上となりました。

 

※ナニーサービス、ベビーシッターサービスを年間1回以上利用した家庭数の総計(サービス間の重複あり)

 

 内閣府ベビーシッター割引券(現在のこども家庭庁ベビーシッター割引券)などの国の助成に対応するナニーやベビーシッターは、保育士または看護師の資格保有、または厚生労働省による指定研修の修了が必須ですが、2021年8月には、当社グループの自社研修制度の充実が認められ、民間事業者として初めて自社のベビーシッター育成研修が当該指定研修と認定されました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められることとなりました。

 これにより、当社グループのナニーやベビーシッターは、自社研修を受講することで、認定ナニー/ベビーシッターとして働くことができ、より需要が拡大すると見込まれる認定ベビーシッターの安定的な供給が可能となっております。

 

(1)チャイルドケアサービス(ナニーサービス) (株式会社ポピンズファミリーケア)

 「ポピンズ ナニーサービス」は、ナニーを派遣する事業であり、『働く女性の支援』という想いを掲げて立ち上げた当社グループの創業以来の事業であります。ナニーとは、英国では国家資格となっており、おむつ交換や授乳などの基本的な身の回りのお世話はもちろん、送迎や教育、しつけなどを親に代わって行う子育てのプロフェッショナルです。中でも1892年に創立された乳幼児ケア(保育)と教育の専門職養成のための高等職業教育機関である世界的な名門校ノーランドカレッジ(英国サマーセット州のバース)出身のナニーはノーランダーと呼ばれ、その一部は、英国王室のロイヤルファミリーへのサービス提供にも選ばれております。当社グループでは、ノーランドカレッジと提携して、毎年海外研修を実施しております(新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった2020年度から2022年度を除く)。また、ノーランドの講師を招いて、その専門性を高めており、知識・教養・技能・人格など、すべてにおいて最高水準のナニーを育成することを目指しております。ポピンズナニーサービスはお客様のニーズに応える24時間365日、当日オーダーに100%対応できるよう取り組んでおります。また、企業の福利厚生サービスとして契約企業が認める範囲でその従業員にご利用いただけるナニーサービス法人契約も500社以上と締結しております。

 

 具体的なサービス内容としては、個人会員及び法人契約を締結している顧客企業の役職員に対し、ナニーサービスを時間単位で提供しております。また、オプションサービスとして、お子様の食事作りや家庭教師、アスリートレッスン、受験指導、カウンセリング等お客様のニーズに合わせたサービスも提供しております。さらに、ホテル・デパート・コンサート・パーティなどのイベント向けにもスポットでナニーサービスを提供しております。

 また、2023年12月現在、東京都23区のうち、8区において居宅訪問型保育事業(ナニー・ベビーシッター人材を活用した認可事業)を導入、東京都も保育所に入所できない待機児童の保護者向けに、利用料の一部を助成するベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)を2018年より開始し、その後、日常生活上の突発的な事情や社会参加などにより、一時的に保育を必要とする方向け(保育認定の有無は問わない)に支援範囲を拡大しました。当社グループのナニーサービスはこれらサービスの認定事業者となっており、自治体とも連携してサービスを提供しております。

 

(2)チャイルドケアサービス(ベビーシッターサービス)(株式会社ポピンズシッター)

 ポピンズシッターは、スマートフォンやPCからベビーシッターを検索、プロフィールや写真・動画、評価・口コミなどを参考に、利用者に合ったベビーシッターを選んで必要な時間単位での予約が可能となっております。登録ベビーシッターは、保育士・幼稚園教諭・助産師・看護師などの有資格者と保育・子育て経験者等から構成されており、厳しい選考を経て研修を受講しております。

 ポピンズシッターは、公益社団法人全国保育サービス協会に加盟する唯一のオンライン型ベビーシッターサービス(注2)であり、ナニーサービスと並び、こども家庭庁ベビーシッター割引券の利用が認められているほか、東京都ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型、一時預かり利用支援)の助成の対象としても認定事業者となっております。また、企業の福利厚生サービスとして契約企業が認める範囲でその従業員にご利用いただけるベビーシッターサービス法人契約も100社以上と締結しております。

 その結果、2023年12月期の年間売上高が、前期比1.7倍に増加しており、利用拡大が急速に進んでおります。

 

(注)1 “こども家庭庁ベビーシッター割引券”とは、内閣府が育児と仕事の両立支援のために2016年から導入した「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」に基づく、割引券(正式名称:ベビーシッター派遣事業割引券)です。なお同事業の運営は、現在は、全国保育サービス協会が、こども家庭庁より受託しております。

   2 “オンライン型ベビーシッターサービス”とは、お客様がオンライン上で自らベビーシッターを選ぶことができるサービスです。なお、ポピンズシッターは、2018年5月から、事業者がお客様とベビーシッターの双方と直接契約する形態に切り替えており、厚生労働省が作成した「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」の対象となるマッチングサイトではありません。マッチングサイトでは、ベビーシッターが個々に自治体に認可外保育施設設置届を届出しますが、ポピンズシッターではベビーシッターと事業者が契約、事業者が認可外保育施設として東京都に届出をし、定期的に運営状況を東京都に報告しております。また、全国保育サービス協会が求める安全基準、事件・事故対応への体制整備の要件を満たし、加盟を認めている企業・団体の中で、ポピンズシッターが唯一のオンライン型ベビーシッターサービス事業者です。

 

(3)シルバーケアサービス (株式会社ポピンズファミリーケア)

 1996年にスタートした高齢者在宅ケア事業(シルバーケアサービス)は、介護保険サービス及び介護保険適用外のVIPケアサービスを提供しております。主に会員制のVIPケアサービスに力を入れており、介護保険適用外の在宅ケアサービスを希望される顧客に、介護や看護の有資格者のみでなく、高齢者心理、ホスピタリティ、料理、秘書サポートなど様々なスキルセットを持つ人材を、当社にて登録・研修し、お客様のニーズに応えるサービスを提供しております。また、法人向けの介護コンサルティングサービスも行っております。

 当社グループの高齢者在宅ケア事業は、当社の長年にわたるナニーサービスでの在宅ケアのノウハウを活用して、ケアスタッフ(当社のVIPケアサービスを直接提供するスタッフのこと)の募集・採用段階から独自の判断基準を持ち、徹底した教育研修の実施、さらにお客様との相性や各ご家庭の事情にあった人物を選ぶコーディネート力の向上、万一のクレームの是正・予防措置の徹底など、ISO9001の取り組みに基づくサービス品質の向上に取り組んでおります。また、事業スタート以来、積極的な広告宣伝活動はしておりませんが、ナニーサービスをきっかけに利用を検討されるご利用者やそのご紹介者の利用が増えております。

 

①VIPケアサービス(生活支援/身体介護)

 VIPケアサービスは、高齢者が日常生活を、楽しく、快適に過ごす事ができるように、ご本人とご家族のご要望を最大限尊重した高齢者向け在宅ケアサービスとして、生活支援サービス及び身体介護サービスを提供しております。

 具体的には介護保険適用外である家事サービス、外出同行サービス、身体介護サービス、ご相談サービス、エマージェンシーサービス等様々なサービスを取り揃えており、ナニーサービスやベビーシッターサービスと同様、時間単位の利用料金で運営しております。当社グループではこれらのサービスを、大切な方を大切にお世話をするという意味で「VIPケア」と呼び、サポートの対象を高齢者ご本人様に限定せず、支えるご家族の幅広い困りごとまで対応が可能な完全オーダーメイドのサービスを提供しており、介護保険では対応できないご要望まで、自由に組み合わせてご利用になれます。

 

 

②介護コンサルティング

 当社グループが35年以上に渡り、育児・介護の分野で働く女性を支援し、2023年12月現在、法人向け在宅保育サービスなどで700社以上の企業と法人契約を結んでいる経験・ノウハウを活かし、法人向けに介護コンサルティングサービスを提供しております。特徴は以下のとおりであります。

ⅰ) 介護全般の相談に対応

ⅱ) 国家資格を持った相談員が対応

ⅲ) 豊富な相談経験に基づくアドバイス

 

③ナースケア

 主治医の指示による経管栄養、点滴交換、痰の吸引等の医療上のお世話、病状の観察、医療機器の管理、外出サポート、ターミナルケアまで医療ケアを必要とするお客様が医療保険・介護保険のルールから制限を受けることなく、住み慣れたご自宅でご自身らしく生活していただけるよう、看護師資格を有するポピンズナースが主治医やホームドクターと連携しながら、お客様にオーダーメイドの看護サービスを提供しております。

 

(4)家事支援サービス (株式会社ポピンズファミリーケア)

 女性活躍推進には、子育て支援や介護支援だけでは充分ではないとの考えから、当社グループでは、家事支援サービスも提供し、働く女性の充実した支援のラインナップに加えております。

 具体的には、ご家庭の様々な家事のご要望に対して、徹底した教育研修を経た経験・スキル豊富な人材が、家事支援サービスをお届けしております。

 

2.エデュケア事業(保育・学童施設の運営)

 当社グループのエデュケア事業は、「認可保育事業」と「認可外保育事業」の2つに分かれており、様々なニーズに応えた施設サービスを展開しております。

 当社のエデュケア事業の特徴は、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)以外の地方主要都市(札幌、仙台、福岡等)も含め、以下のように、保育施設から学童施設まであらゆる形態の施設をフルラインで運営しており、保護者の多様なニーズに応えられる点にあります。

 

 

 

(1)認可保育事業 (株式会社ポピンズエデュケア)

認可保育所

 児童福祉法に基づく児童福祉施設で、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を満たして都道府県知事に認可された施設であります。保育料は利用者から区市町村が徴収し、当社グループは国・自治体から施設型給付を補助金として受領し運営します。

 

 

(2)認可外保育事業

①認証保育所 (株式会社ポピンズエデュケア)

 認可保育所だけでは応えきれない大都市のニーズに対応するため、東京都独自の基準(認証基準)に基づいて設置された保育所で、企業の経営感覚の発揮による多様化したサービス提供が特徴であります。保育料は利用者から認証保育所(当社グループ)が徴収し、当社グループは自治体からも運営に要する経費の一部を補助金として受領し運営します。なお、料金は認証保育所で自由に設定が可能となっております。(ただし上限があります。)

 

 

 

②認定こども園 (株式会社ポピンズエデュケア)

 教育・保育を一体的に行う施設で、以下の機能を備え、認定基準を満たす施設は、都道府県等から認定を受けることが出来ます。

ⅰ) 就学前の子どもに幼児教育・保育を提供する機能

ⅱ) 地域における子育て支援を行う機能

 当社グループは、東京都において保育所型認定こども園を運営しております。

 

③事業所内保育所(企業・大学内・病院内保育所) (株式会社ポピンズエデュケア)

 企業や大学、病院等の各機関が運営する事業所内に各機関の従業員向けの保育所を設置し、運営しております。認可外保育所であり、児童福祉施設には該当しませんが、都道府県知事に対して設置届を提出する義務があり、認可外保育施設指導監督基準に則った運営を行っております。

 企業、大学、病院等の各機関が人材確保のための経営戦略として施設内に保育所を設置する役割が大きくなっております。複数企業によるコンソーシアム型の保育所設置の提案や、自治体との連携など新たなビジネスモデルを作り、費用対効果を意識した子育て支援策の提案を行っております。保育料は各機関が給与天引き等で徴収し、当社グループは各機関との契約に基づいて業務委託を受け運営しております。

 

 

 

④企業主導型保育所 (株式会社ポピンズエデュケア)

 内閣府が2016年に開始した、主に企業向けの助成制度に基づき設置された事業所内保育所の一形態であります。企業や大学、病院等の各機関の従業員の子どもを対象とした従業員枠と地域住民向けの地域枠があり、地域枠を弾力的に設定できるなど柔軟な運営が可能となっております。

 事業所内保育所と同様、当社グループは各機関との契約に基づいて委託料を受領し運営しますが、各機関は利用者からの保育料に加えて、国から整備費・運営費について、認可保育所並みの助成金を受けることができます。

 

 

 

⑤学童保育 (株式会社ポピンズエデュケア)

 主に日中保護者が家庭にいない小学生児童(=学童)に対して、授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る保育事業をいいます。

 小学校入学後、子どもを夜間まで預けることが困難になり、保護者が働き方の変更を強いられる問題を指す『小1の壁』打破のため、「新・放課後子ども総合プラン」(2018年9月14日策定)に基づき、放課後児童クラブについて、2021年度末までに約25万人分を整備し、待機児童の解消を目指し、その後、女性就業率のさらなる上昇に対応できるよう整備を行い、2019年度から2023年度までの5年間で約30万人分の整備を図ることとされました。厚生労働省が2023年12月25日に公表した、2023年度の放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)実施状況によれば、登録児童数は前年比6万5,226人増の145万7,384人、放課後児童クラブの支援の単位数(※)は前年比825支援の単位増の3万7,034支援の単位、待機児童数は前年比1,096人増の1万6,276人と前年に引き続き増加となりました。学年別で見ると、小学校低学年(小学1年生から小学3年生)では491人増加、小学校高学年(小学4年生から小学6年生)でも605人増加となっており、学童保育の不足が社会課題として引き続き重要性を増しております。

 

 当社グループの特徴的な取組みとして、名古屋大学内学童保育所「ポピンズアフタースクール」があり、名古屋大学で教鞭をとる第一線の教授の授業を提供するなど、学習要素を兼ね備えたサービスを実施しております。また、名古屋大学で学ぶ留学生が主体となり、その国の遊び・文化・食事を教えるプログラムもあり、子ども達は多国籍文化に触れることができます。これはポピンズの「エデュケア」にも合致する手法であり、今後このようなサービスを拡大していく予定であります。

 当社グループは自治体など契約先からの委託料により運営しております。

 

※ 「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」により、児童の集団の規模を示す基準として平成27年度(2015年度)から導入されたものであり、児童の放課後児童クラブで行われる活動の基本単位

 

 

 

⑥児童館 (株式会社ポピンズエデュケア)

 子どもに健全な遊びを提供して、その心身の健康を増進し情操を豊かにすることを目的とする屋内型の児童厚生施設であります。学童保育と違い、児童館は事前登録なく自由に来館することができ、学童保育の子どもだけでなく、たくさんの子どもたちが、放課後いったん帰宅してから遊び場として利用します。学童と同じ施設内に設置されているところもありますが、施設内での運営場所や内容は学童とは分けられております。当社グループは自治体からの委託料により運営しております。

 

⑦商業施設内・ホテル内保育所 (株式会社ポピンズエデュケア)

 施設の付加価値を高める目的で、大型商業施設や有名ホテル内で認可外保育所を運営しております。

 

⑧アクティブラーニングスクール(ALS) (株式会社ポピンズエデュケア)

 六本木・東京ミッドタウン及び広尾・広尾プラザに設置する「ポピンズ アクティブラーニングスクール」は、生後10か月から未就学児向けに展開している先端的な教育プログラムで子どもの主体性を支援する教育施設であります。レッジョ・エミリア・アプローチ(※)によるサイエンス・音楽・芸術や語学などを各分野の専門講師が教育するのが特徴となっております。ハーバード大学教育学大学院の研究機関であるプロジェクト・ゼロとの共同研究により、株式会社ポピンズが社内で立ち上げた乳幼児教育専門の研究所であるポピンズ国際乳幼児教育研究所(PIICS)で開発した保育メソッドを採用しております。

 

※ 「レッジョ・エミリア・アプローチ」とは、イタリアのレッジョ・エミリア市発祥の『世界で最も革新的な幼児教育施設』とニューズウィーク誌でも紹介された幼児教育法の一つであります。当社グループでは、創造性を育む環境作りのために保育施設内にアトリエや広場を設けたり、子どもたち同士や保育士との会話、活動の様子をドキュメンテーションとして記録し、活動やコミュニケーションに活かすなどその手法を取り入れております。

 

⑨ポピンズ エデュスクール (株式会社ポピンズエデュケア)

 幼稚園受験・小学校受験の指導を行うスクールで、前述のALS六本木に併設されております。保育サービス事業者ならではのサービスとして、送迎ができず受験をあきらめていた共働き家庭でも利用しやすいよう、ナニー及びベビーシッターによる送迎も可能としております。

 

⑩ポピンズ アクティブラーニング インターナショナルスクール(PALIS) (株式会社ポピンズエデュケア)

 東京・恵比寿で展開している英語での教育を行う、対象年齢0~5歳のインターナショナルスクールであります。乳幼児教育の専門職養成機関として知られる英国ノーランドカレッジと提携していることから、イギリスの5歳就学前の子供たちのための教育指針であるEarly Years Foundation Stage(EYFS)に基づいた教育を採用し、英語によるアクティブラーニング(主体的な学び)を実践しており、グローバル教育の拠点となるプログラムを提供しております。Early Years Foundation Stageの意味は(乳幼児)早期基礎段階であり、就学前の学習・発達・ケアの質の基準が定められております。イギリスでは5歳から義務教育がはじまり、生まれてから5歳就学前までの幼児期の子どもたちが対象です。本場アメリカのディズニーランドの勤務経験がある先生や、レッスンに使う道具や教室に備え付けられた衣装もアメリカで購入するなど幼児期からの本物体験を重視しており、サイエンス・アート・バレエ・ダンス・空手などの専門講師による英語での授業を行なっております。大使館関係者、外資系企業日本駐在員関係者など、外国人のご利用もいただいております。

 

⑪地域交流館・ふれあい館 (株式会社ポピンズエデュケア)

 自治体から高齢者向けの地域交流館4施設、ふれあい館1施設の指定管理を受託しております。

 

⑫海外施設 (Poppins U.S.A., Incorporated)

 日本企業として、ハワイ州公認の託児施設を運営しております。2008年に日本の保育事業者として初めてハワイ州の託児施設ライセンスを取得以来、子供連れでハワイを旅行する保護者のために安全で高品質なサービスを提供してきた功績が認められ、2014年には、ハワイ州知事より10月1日が「ポピンズ・ケイキ・ハワイの日」に認定されました。シェラトン・ワイキキ・ホテル内で、ボディボード、アート、イングリッシュレッスンなどハワイならではの様々なキッズプログラムをご用意し、ご家族でのハワイ旅行をサポートしております。

 

 当社グループが運営するエデュケア事業施設数推移は以下のとおりであります。

 

2019年12月末

2020年12月末

2021年12月末

2022年12月末

2023年12月末

認可保育所

62

67

69

74

78

認証保育所

36

36

36

35

34

認定こども園

1

1

1

1

2

事業所内保育所

86

87

86

84

79

(うち企業主導型)

(46)

(47)

(46)

(43)

(40)

学童・児童館

87

89

91

95

100

その他

44

46

47

45

46

合計

316

326

330

334

339

※施設数には、同一施設内において一時保育や病児・病後児保育など複数の事業を運営している場合、それぞれを1施設数として表示しております。

※従来、その他事業に含めていた交流館を2023年12月期よりエデュケア事業に移管しております。これに伴い、2022年12月期以前の施設数についても、交流館を上記「その他」に含めてカウントしております。

 

3.プロフェッショナル事業

 当社グループがこれまで培ってきた乳幼児教育ノウハウや海外の最先端の教育施設等との親密なネットワークを活かした国内研修、海外研修、および調査・研究事業のサービスを提供しております。

(1)教育研修事業 (株式会社ポピンズプロフェッショナル)

①国内研修

 保育環境の向上を目指して、当社グループが長年培ってきたナニーサービスや乳幼児教育のノウハウを体系化し、厚生労働省・各自治体から企業・団体、個人まで、さまざまな目的や職種に応じた人材育成を行っており、教育研修・セミナー・eラーニングを提供しております。特に、当社が先行して実施を進めたハイブリッド型研修(集合研修とeラーニングの組み合わせ)を厚生労働省・各自治体へ提供しており、オンライン研修が自治体・受講者に浸透し、受講者数も増加しております。具体的な研修サービスとしては、保育士キャリアアップ研修、子育て支援員研修、潜在保育士の復職支援研修、家庭的保育者研修、区民・市民向け講座、両親学級等のプログラムを提供しております。

 また、2022年11月からは、認定ベビーシッター研修等のeラーニングサービスの外販を開始しております。

 

②海外研修

 乳幼児教育に携わる方、指導者を目指す方に向けた海外研修サービスを提供しております。米ハーバード大学や米スタンフォード大学や英ノーランドカレッジなど、当社グループ独自のグローバルネットワークによる乳幼児教育を学ぶことを可能にしております。

 

ⅰ)スタンフォード大学乳幼児教育研修:2006年より実施しているスタンフォード大学での乳幼児教育研修では、大学内で教育学部長による講義が行われるほか、心理学部の教育研究機関として40年の歴史を持つ大学付属保育施設である「Bing Nursery School」の視察及び現地保育者とのワークショップ、さらにサンフランシスコ(シリコンバレー)周辺企業の事業所内保育施設の視察などを実施しております。

ⅱ)ハーバード大学乳幼児教育研修:2007年より実施しているハーバード大学での乳幼児教育研修では、同校における脳科学や乳幼児の発達心理からレッジョ・エミリアに関する講義に加え、ハーバード大学が直接経営や運営に関与するハーバード7園のひとつへの解説付き訪問、近郊の脳発達及び乳幼児教育の最新事例に関する研究を基礎とするなど特徴ある教育方針を持つ保育施設や、先端技術(安心安全のための虹彩認証による入退館システムなど)を取り入れた保育施設などの視察を実施しております。最先端の乳幼児教育を体感でき、専門分野の質を高める研修ツアーとして、大学や専門学校の先生方、保育園、幼稚園の園長、主任の方々にもご参加いただいております。

ⅲ)ノーランドカレッジ留学:ノーランドカレッジは、ヨーロッパの王室や上流家庭の子どもたちのナニー(教育ベビーシッター)の養成校として、1892年に設立された乳幼児ケアと教育の専門職養成のための英国の大学であります。2週間の短期留学コースでは、創設者のエミリー・ワード女史が取り入れた、子どもの自主性や自尊心を発達させるなど、子供の立ち直る力やEQ(感情指数)を高めるとされる「感情コーチング」や、幼児期の脳の発達といった知識も身に付けるまったく新しい保育手法を学び、ナニー、保育士、幼稚園教諭など、乳幼児教育のプロとしてキャリアアップを目指します。

 

(2)調査研究事業 (株式会社ポピンズプロフェッショナル)

 当社グループ独自の保育理論をより深める「ポピンズ国際乳幼児教育研究所(PIICS:Poppins International Institute for Child Sciences)」を株式会社ポピンズプロフェッショナルの社内に設置し、世界的な視野でさらに深いエデュケアの研究も実施しております。

 保育所における実践内容に、ハーバード大学、スタンフォード大学、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関・研究者との様々な共同研究内容を加え、「0歳からのエデュケア」として出版し保育者の指針とする他、「ポピンズアプローチ」(注1)や「知力8」(注2)を開発し、教育に主眼を置いた保育を実践しております。

 また、国や自治体からの委託を受け、保育士再就職支援事業(厚生労働省)や、サービス産業生産性向上調査事業(経済産業省)、子育て支援方策に関する調査研究(文部科学省)等の調査やコンサルティングも実施しております。

 加えて、2021年4月には、乳幼児教育のエキスパートを育成するとともに、保育士の社会的地位の向上を目的として、当社グループがお茶の水女子大学の大学院の中に「保育マネジメント講座」を開設し、現職保育士のキャリアアップ、リカレント教育を支援しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当社グループが長年にわたり実施を継続してきた海外研修の催行は一時的に困難となりましたが、2020年6月には、ハーバード大学教育大学院プロジェクト・ゼロとの共同研究成果を発表する場として「第12回ポピンズ国際乳幼児教育シンポジウム」を、ポピンズとして初の日米欧の4地点をリアルタイムで繋ぐウェビナー(ウェブとセミナーを合わせた造語で、インターネット回線を通じてオンラインで行うセミナー)形式で開催し、保育従事者及び乳幼児教育関係者5,000名超に、各界専門家の意見も含めた学びを広く共有いたしました。また、2020年11月には、米スタンフォード大学教育学部付属園である「Bing Nursery School」へのオンライン視察を含むウェビナー形式で「2020 ポピンズ海外乳幼児研修」を開催し、700名超が参加しました。

 これらウェビナーを活用した国際シンポジウムや海外研修は、2021年、2022年においても開催を継続しました。また、2023年7月には、ハーバード大学との共同研究に基づき、「子どものためのSDGs」をテーマとした国際シンポジウムを、2019年以来、ハーバード大学教育大学院プロジェクト・ゼロの主任研究員など海外ゲストを4年ぶりに日本に招き、日本を含む世界とオンラインで繋ぎハイブリッドで開催し、3,400人以上が参加登録、99%の満足度となりました。

 これらの大規模ウェビナーを高いクオリティで運営するためのノウハウは、国内研修を厚生労働省・各自治体などに提供する際にも活かされており、当社グループが提供する教育研修・調査事業の強みのひとつとなっていると考えております。

 

(注)1 ドキュメンテーション(お子様の様子を写真や動画で定期的に記録することによる、学びのプロセスを可視化)、発達のパスウェイ(胎児期から就学前までの発達の道筋を一覧表とし保育に活用)、マインドセット(失敗を恐れず、さらに成長を助け促す声掛けを取り入れた保育)の3つの手法を用いた当社独自の保育アプローチ

   2 子どもの知力を、言語・音楽・論理数学・空間構成・身体運動・自然科学・社会性・自己受容の8つの領域に整理し、「知力8(エイト)」と名付け、子どもの発達状況を勘案した保育の構成・実践

 

4.その他サービス事業

 当社グループのその他サービス事業は、主に以下のようなサービスで構成されます。

 

(1)人材派遣・紹介事業 (株式会社ウィッシュ)

 人材派遣事業においては、各自治体の公立保育園等に対して、保育士の有資格者を人材派遣しております。

 人材紹介事業においては、全国の保育事業者等の求人を紹介し、転職希望者のための転職サポート、保育事業者等への採用活動サポートを行っております。

 

(2)高齢者向けデイサービス施設等の運営事業

ポピンズ芦屋サロン(邸宅型デイサービス) (株式会社ポピンズファミリーケア)

 介護保険対象デイサービス施設を、兵庫県芦屋市で運営しております。

 

(3)不妊予防事業 (株式会社ポピンズファミリーケア)

 2021年6月に、不妊予防に関するポータルサイトと企業研修サービスを開始しております。

 これまで当社グループは、出産後の女性のライフステージに寄り添ってまいりました。しかし日本では、不妊治療とキャリアを両立できず悩んでいる女性が数多くいるという現実があります。この現実を踏まえ、出産前の女性が抱える「不妊」という問題に向き合い、働く女性が切れ目なく活躍できるように、支援の領域を広げ、当社グループ独自の不妊予防ポータルサイトの機能拡充や、企業研修の提供等を通じて、不妊予防におけるプラットフォームサービスを提供してまいります。また、実用化されると簡単な質問項目に答えるだけで、月経異常症や卵巣機能不全のリスクを知ることができる『不妊予防のための早期診断セルフチェックシート』の開発に向けて順天堂大学との間で臨床研究を推進中であり、福利厚生として導入していただけるよう、行政・企業への働きかけを進めてまいります。

 

(4)ペットケア事業 (株式会社ポピンズシッター)

 2022年9月に、新規事業としてペットケアサービスを開始しております。

 当社グループが展開するファミリーケア領域(ナニー及びベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指しております。ペットケアサービスの立ち上げにより、さらに切れ目のないサポートで働く女性やご家族を支援してまいります。

 

以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

[事業系統図]

 なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準及び重要基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の扱いが5類へ移行したことに伴い、わが国の国民生活は、平時の活況を取り戻しつつあります。一方、11月にかけての円安進行後、年末にかけて円高に転ずるなど日米の金融政策見通しに影響を受けた為替動向、並びに米国及び欧州を中心としたインフレの進行や、ロシア・ウクライナ情勢及びハマス・イスラエル間の武力衝突など、地政学リスクに起因するエネルギー供給に対する懸念などを背景に、物価や原油価格の高騰などがわが国の経済に多大な影響を及ぼしました。

 また、コロナ禍を機に少子化はさらに加速しており、2023年通年の出生数は75万人台となり、初めて80万人を割り込んだ2022年に引き続き、過去最低を更新しました。

 政府は強い危機感を背景に、2023年12月、こども家庭庁から、こども基本法に基づく幅広いこども施策を推進する基本方針や重要事項を一元的に定めた「こども大綱」、その実現に向けて具体的な取り組みを明記した「こども未来戦略」などを発表し、2030年代に入るまでが状況を反転させることができるかどうかの重要な分岐点であると強調しております。

 当社は、このような状況のもと、「働く女性を 最高水準のエデュケアと介護サービスで支援します。」というミッションの下、引き続きナニーサービス及びベビーシッターサービスを起点に、認可・認証・事業所内保育所や学童保育などエデュケア施設の運営や、高齢者在宅ケアを行うシルバーケアサービス等を展開し、フルラインでの働く女性を支援するサービスに基づき事業を推進いたしました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

実績

構成比(%)

実績

構成比(%)

増減

増減率(%)

売上高

26,258

100.0

28,893

100.0

2,635

+10.0

売上原価

20,656

78.7

22,957

79.5

2,301

+11.1

売上総利益

5,601

21.3

5,935

20.5

333

+6.0

販売費及び一般管理費

4,295

16.4

4,773

16.5

477

+11.1

営業利益

1,305

5.0

1,162

4.0

△143

△11.0

経常利益

1,357

5.2

1,301

4.5

△56

△4.1

親会社株主に帰属する当期純利益

824

3.1

677

2.3

△146

△17.8

 

 当連結会計年度においては、前期比で増収減益となりました。

 売上高につきましては、28,893百万円(前期比10.0%増)となりました。その主な要因は、ファミリーケア事業において、ベビーシッターサービスの業績拡大がけん引したこと、およびエデュケア事業において、当連結会計年度に認可保育所4施設、認定こども園1施設を含む新たな保育施設等14施設の開設により順調に業績が拡大したこと等によるものであります。

 当連結会計年度の売上総利益につきましては、主にエデュケア事業における以下の要因により、売上高増加率を下回る6.0%増の5,935百万円に留まりました。

・前連結会計年度と比較して9園が閉園となったこと

・保育学童職員の採用数増加に伴い、特に第2四半期連結累計期間に採用費が大きく増加したこと(前期比2.1倍、第2四半期連結累計期間においては前期比2.5倍)

・物価高騰及びコロナ後の正常化に伴う経費の増加が生じたこと

 販売費及び一般管理費につきましては、4,773百万円(前期比11.1%増)となりました。その主な要因は以下のとおりです。

・ナニー及びベビーシッターサービス並びにエデュケア事業において、取引規模が拡大したこと等による売上原価及び販売費及び一般管理費の増加に伴い、租税公課(控除対象外消費税等)が増加したこと

 

・上記取引規模拡大による租税公課増加のほか、エデュケア事業において、特に第2四半期連結累計期間の新規直営保育施設の設備投資額が前期比で増加したことにより、租税公課(控除対象外消費税等)が増加したこと

・各事業で事業拡大を図るために営業及び運営人員を増強したことにより人件費並びに採用費が増加したこと

 以上の結果、営業利益は1,162百万円(前期比11.0%減)となりました。

 経常利益につきましては、当連結会計年度においては、営業外収入として経営体制変更に伴う法人保険解約による返戻金138百万円を計上したことなどにより、1,301百万円(前期比4.1%減)となりました。

 また、間接共通費を配賦した後に営業収支が赤字となる保育所の設備について減損処理を行ったことなどにより、特別損失225百万円を計上いたしました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は677百万円(前期比17.8%減)となりました。

 

 なお、第4四半期連結会計期間(2023年10月~12月)の経営成績について50ページの(参考情報)に記載していますのでご参照ください。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりです。なお、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額です。

 当連結会計年度より従来その他に含めていた交流館の運営事業の一部について、「エデュケア事業へ報告セグメントの変更を行いました以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で行っております。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

実績

構成比(%)

実績

構成比(%)

増減

増減率(%)

売上高

ファミリーケア事業

4,434

16.8

5,559

19.2

1,125

+25.4

エデュケア事業

20,958

79.3

22,333

76.9

1,374

+6.6

プロフェッショナル事業

564

2.1

654

2.3

90

+16.0

その他

458

1.7

484

1.7

25

+5.5

調整額(注)

△158

△138

19

 合計

26,258

28,893

2,635

+10.0

 

 

 

 

 

 

 

 

セグメント利益

ファミリーケア事業

1,027

37.1

1,214

44.2

186

+18.2

エデュケア事業

1,596

57.7

1,363

49.6

△232

△14.6

プロフェッショナル事業

169

6.1

189

6.9

19

+11.8

その他

△24

△0.9

△20

△0.7

4

調整額(注)

△1,462

△1,584

△122

 合計

1,305

1,162

△143

△11.0

(注)調整額は、各報告セグメント間の内部売上高又は振替高、報告セグメントに配分していない全社費用です。全社費用は、主に経営管理に係る一般管理費用及び事業セグメントに帰属しない販売費及び一般管理費です。

 

(ファミリーケア事業 : ナニーサービス、ベビーシッターサービス、シルバーケアサービス)

 ナニーサービスにつきましては、2023年初めより、新型コロナウイルス感染症の流行が収束へ向かったことから、プレミアムサービスを中心とした底堅い需要と東京都8区で実施している居宅訪問型保育事業が拡大しており、売上高は前期比で増加しております。

 そのような中、今後のナニーサービスの需要拡大を見据えた体制整備を進めております。その一環として2023年6月にナニーの報酬を改定すると共に価格改定を行い、定着率の上昇、採用力の強化に加え収益性が向上しました。

 ベビーシッターサービスにつきましては、こども家庭庁ベビーシッター割引券が年度途中で配布上限に達し、新規配布を終了したとの報道がなされましたが、当割引券の子育て支援効果が再認識される結果となり、急遽発行枠の増額がなされました。また、東京都ベビーシッター利用支援事業を採用する自治体も増加し、当サービスの利用の追い風となっております。2023年12月期においても継続して新規会員を獲得し、売上高は前期比で約1.7倍と大きく増加し、インターネットを通したベビーシッターのマッチングサービス分野で売上高トップの地位を確たるものにできました(注1)。国や自治体からの支援の拡大、市場の拡大を見据え、引き続き戦略的に人的投資を増加させてまいります。

 シルバーケアサービス(高齢者在宅ケアサービス)につきましては、大口顧客のご逝去や入院等が影響し、2023年1月から4月にかけて一時的に売上が減少したものの、家事支援や高付加価値サービスのナースケアが貢献することで、5月以降、顧客数と売上高が拡大しました。

 以上の結果、売上高は5,559百万円(前期比25.4%増)、セグメント利益は1,214百万円(同18.2%増)となりました。

(注1)公表されているベビーシッター業界の統計数値がありませんので、当社独自の推計比較によるものです。

 

(エデュケア事業 : 保育施設、学童児童館等の運営)

 当連結会計年度には認可保育所4施設、認定こども園1施設、事業所内保育所1施設、学童クラブ・児童館7施設、交流館1施設、合計14施設を新規開設する一方で、認証保育所1施設、事業所内保育所6施設、学童クラブ・児童館2施設、合計9施設が閉園となりました。その結果、連結会計年度末時点で運営する施設は、認可保育所78施設、認定こども園2施設、認証保育所34施設、事業所内保育所79施設、学童クラブ・児童館100施設、交流館5施設、その他施設41施設の計339施設となっております。

 2023年4月時点において、東京都を中心に待機児童が減少、当社グループの認可保育所においても、低年齢児(0歳~2歳)の4月時点の定員空き状況が平均2.8人(前期比1.6人増)となりましたが、5月以降順調に入所者が増加し、10月時点で0.8人、12月時点では定員に対してほぼ満員となりました。また、認証保育所においても4月時点の園児数が前期比で1%減少いたしましたが、認可保育所と同様に、低年齢児は12月時点で定員に対してほぼ満員となりました。なお、待機児童解消に伴い今後の需要が低いと予想される認証保育所については、来期以降の運営形態の変更や閉園を検討してまいります。

 なお、昨今の待機児童の減少に伴い、保育業界における新規認可保育所開設数は減少傾向にありますが、一定規模を超える集合住宅の建設には保育所の設置が義務付けられております。大手デベロッパーの開発案件に関連する保育所については、長期的な保育ニーズ及び安定した収益性が見込まれるため、当社グループを含めた激しいコンペティションになるケースが多く、保育所の運営方針、保育内容、運営会社の信頼性・ブランド力と再開発コンセプトとの親和性等により保育事業者が選ばれます。当社グループのナニー・ベビーシッターを含む各種子育て事業の実績、長年の保育所運営及び保育内容の充実等を評価いただき、コンペティションにおいて当社が受託するケースが増えております。

 こうした状況の中、保育所設備投資に係る租税公課(控除対象外消費税等)を含む新規開設コストの発生、事業所内保育所の閉園、物価高騰の影響の他、常勤保育士の割合を高めて利益回復を図るため、特に第2四半期(4月~6月)において採用費を一時的に大きく掛け(前期比2.5倍)保育・学童職員の採用数を増加させたことにより、前期比でセグメント利益が減少しました。

 以上の結果、売上高は22,333百万円(前期比6.6%増)、セグメント利益は1,363百万円(同14.6%減)となりました。

 

(プロフェッショナル事業 : 国内・海外研修)

 当事業については、国内の自治体が実施する保育士キャリアアップ研修や子育て支援研修等の保育研修の受託事業が売上の大きな割合を占めております。自治体が実施するこれらの保育研修は、主に第2四半期から第3四半期にかけて受注し、第3四半期から翌第1四半期の前半にかけて研修を実施しており、実際の研修実施の進捗に応じて売上を計上します。したがって、当事業の売上高及び利益の大部分は、下期に計上されます。

 研修のオンライン化により1案件当たりの受注額が減少傾向にあるものの、当連結会計年度につきましては、第2四半期までに獲得した研修案件の実施が下期に進捗し、売上高、セグメント利益ともに好調に推移しました。

 以上の結果、売上高は654百万円(前期比16.0%増)、セグメント利益は189百万円(前期比11.8%増)となりました。

 

(その他 : 人材派遣・紹介、新規事業等)

 売上高につきましては、既存の保育士派遣先における派遣需要が堅調であったことに加え、新たな派遣先の獲得により派遣人数が増加した結果、484百万円(前期比5.5%増)となりました。

 また、新規事業立ち上げ費用等の影響により、セグメント損失は20百万円(前期は24百万円のセグメント損失)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は14,622百万円(前期比2,073百万円の増加)となりました。

 流動資産につきましては9,305百万円(前期比1,390百万円の増加)となりました。その主な要因は、配当金の支払いが発生したものの、短期借入金及び長期借入金の増加により現金及び預金が増加したことであります

 固定資産につきましては5,317百万円(前期比682百万円の増加)となりました。その主な要因は新規施設の増加に伴い建物及び構築物、建設仮勘定及び敷金及び保証金が増加したことであります

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は6,506百万円(前期比1,779百万円の増加)となりました。

 流動負債につきましては、4,222百万円(前期比1,222百万円の増加)となりました。その主な要因は、短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の増加であります

 固定負債につきましては、2,284百万円(前期比557百万円の増加)となりました。その主な要因は、長期借入金の増加であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、8,116百万円(前期比293百万円の増加)となりました。その主な要因は、配当の支払いが発生したものの親会社株主に帰属する当期純利益677百万円を計上したことにより利益剰余金が増加したためであります

 この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、55.5%(前期比6.8ポイントの減少)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、5,000百万円(前期比759百万円の増加)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、771百万円(前期比467百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,076百万円、減価償却費259百万円、減損損失225百万円、未払金の増減額155百万円、法人税等の還付額93百万円等の増加要因があったものの、法人税等の支払額428百万円、売上債権の増加額587百万円等の減少要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、827百万円(前期比381百万円の減少)となりました。これは主に、助成金の受取額957百万円及び保険積立金の解約による収入135百万円等の増加要因があったものの、認可保育所等の新規開設に関する有形固定資産の取得による支出1,596百万円、敷金及び保証金の差入による支出266百万円、並びに基幹システム開発等に関する無形固定資産の取得による支出44百万円等の減少要因があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、815百万円(前期は1,204百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額387百万円等の減少要因があったものの、長期借入れによる収入1,300百万円等の増加要因があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

  当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

ファミリーケア事業

5,444

126.9

エデュケア事業

22,333

106.6

プロフェッショナル事業

645

115.6

報告セグメント計

28,423

110.1

その他

469

104.6

合計

28,893

110.0

  (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上を占める相手先がないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等の分析

 経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性について

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります

 

(財政政策)

 当社グループは、運転資金、設備資金及びシステム開発資金につきましては、内部資金(新株発行による増資を含む。)又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、短期運転資金については金融機関からの短期借入金によって、長期運転資金及び保育所の新規開設に伴う設備投資、システム開発資金については、新株発行による増資及び長期借入金によって調達しております。

 

d.経営者の問題認識と今後の方針について

 2023年12月期につきましては、新型コロナウイルス感染症の扱いが5類へ移行したことに伴い、わが国の国民生活は、平時の活況を取り戻しつつあります。

 しかしながら、コロナ禍を機に少子化はさらに加速しており、2023年通年の出生数は75万人台となり、初めて80万人を割り込んだ2022年に引き続き、過去最低を更新しました。

 政府は強い危機感を背景に、2023年12月、こども家庭庁から、こども基本法に基づく幅広いこども施策を推進する基本方針や重要事項を一元的に定めた「こども大綱」、その実現に向けて具体的な取り組みを明記した「こども未来戦略」などを発表し、2030年代に入るまでが状況を反転させることができるかどうかの重要な分岐点であると強調しております。

 また、女性活躍の推進などにより、共働き世帯数や女性の就業率は引き続き高い水準で推移しておりますが、女性の正規雇用率が出産を機に低下する「L字カーブ」の是正の重要性は変わらず、産後ケアや学童保育など子育て当事者向けサービスの拡充が引き続き重要テーマのひとつとなっております。

 加えて、ファミリーケア事業のチャイルドケア領域においては、保育園とともに「車の両輪」となり、女性の活躍・就労支援策を支える社会インフラとしてのベビーシッターの存在感が高まっております。2021年4月より内閣府ベビーシッター割引券(現在のこども家庭庁ベビーシッター割引券)の1日当たりの利用限度額が倍増したことなどの政策強化も背景として、ナニーサービス及びベビーシッターサービスを中心として引き続き力強い需要の拡大が続くことが見込まれます。

 さらに、シルバーケア領域においては、年間240万人が生まれていた団塊の世代が70歳代半ばとなりターゲット層が膨らむこと、わが国の社会保障制度改革において示されている「医療から介護へ、施設から在宅へ」の方向性を踏まえ、シルバーケアサービスの需要拡大が加速するものと想定しております。

 当社グループは、これらの環境変化を好機と捉え、高付加価値を求める顧客層向けのサービスを推進してまいります。

 「最高水準」のサービス提供に向け、乳幼児教育におきましては、ハーバード大学、スタンフォード大学、ノーランドカレッジ、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関やその研究者との共同研究や研修を実施して、世界最先端の教育科学を取り入れるとともに、当社グループの保育理論を深化・体系化させております。

 また、保育士、ナニー、ベビーシッター、ケアスタッフなどのサービスの担い手に対して、各種様々な研修制度による人材育成を行っており、研修によるクオリティ維持強化の仕組みを確立しております。こども家庭庁ベビーシッター割引券(旧内閣府ベビーシッター割引券)などの国の助成に対応するベビーシッターは、保育士または看護師の資格保有、または指定研修の修了が必須ですが、2021年8月には、上記の当社グループの自社研修制度の充実が認められ、民間事業者として初めて自社のベビーシッター育成研修が当該指定研修と認定されました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められることとなりました。これにより、当社グループのナニーやベビーシッターは、自社研修を受講することで、認定ナニー/ベビーシッターとして働くことができ、より需要が拡大すると見込まれる認定ナニー/ベビーシッターの安定的な供給が可能となっております。今後も研修制度の一層の充実を図り、最高水準のサービスを継続的に提供してまいります。

 また、これまでの子育て支援・乳幼児教育・介護支援・家事支援・人材派遣・紹介・研修・調査研究・コンサルティング事業に加え、2021年6月には不妊予防に関するポータルサイトと企業研修サービスを新規事業として立ち上げました。さらに、2022年9月には、新規事業としてペットケアサービスを開始しております。当社グループが展開するファミリーケア領域(ベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指します。これによりライフステージで変化する、働く・働きたい女性の課題に切れ目なく対応する当社グループの事業形態の一層の充実を図り、他社のサービススコープには見られないユニークなビジネスモデルを追及してまいります。今後も「働く女性」という顧客基盤を活用して、顧客のライフステージに応じたサービスラインナップの展開・拡張により、既存事業の拡大とともに、新たな市場機会・成長機会を捉えてまいります。

 

e.経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、創業以来、利益成長と同時に社会課題の解決を意識した経営を行っております。

 高付加価値・高収益であるファミリーケア事業の全社事業ポートフォリオにおける構成比を高めていくこと、および現状において、エデュケア事業において中長期的な保育・学童ニーズが見込まれる東京・大阪・名古屋という三大都市圏を中心としたエリアに展開していること等の戦略を進めております。また、新型コロナウイルス感染症の影響下、オンライン化が急速に進展した、プロフェッショナル事業における国内研修(厚生労働省や各自治体から受託する研修)、eラーニング等の事業成長をさらに加速してまいります。

 これらの基本方針に基づき、当社は、2023年12月期~2027年12月期に係る中期経営計画を策定しております。利益率の高いファミリーケア事業が成長ドライバーとなって、全社の売上高及び利益成長をけん引し、オーガニック成長で2027年12月期の業績目標を売上高350億円・営業利益率10%としております。また、厳選したM&Aを含め売上高500億円以上を目指してまいります。今後も継続してこれらの戦略を進め、利益成長を実現してまいります。

 また、当社グループの事業領域は、解決が進みつつある「待機児童の解消」、及びその先に顕在化しつつある「待機学童の解消」といった短期的な社会課題、並びに「女性の職場復帰・再就職の支援」「介護離職ゼロ」といった中長期的な社会課題に対応しており、事業を通して、これらの課題解決による社会的貢献が可能であると考えております。

 当社グループは、日本初のSDGs-IPO企業として、利益成長の実現と同時に社会課題の解決に資することで、当社グループのさらなる発展と企業価値の向上を目指してまいります。

 さらに将来、保育所が淘汰される時代の到来に向けて、収益性とシナジー効果を考慮し、案件を厳選したM&Aや戦略的提携を推進するとともに、新規事業開発に取り組むことで日本のSDGsをリードする企業として一層の発展を遂げる方針であります。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載しております。
 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

 繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損)

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、当該資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。

 

(資産除去債務)

 当社グループは、本支社及び保育施設等の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に関し、有形固定資産の除去に要する将来キャッシュ・フローを見積り、使用見込期間に対応した割引率で割引いた金額を資産除去債務として計上しております。しかしながら、新たな事実の発生等に伴い、資産除去債務の計上額が変動する可能性があります。

 

 

(参考情報)

[2023年12月期第4四半期連結会計期間](2023年10月~12月)

(単位:百万円)

 

2022年第4四半期

連結会計期間

2023年第4四半期

連結会計期間

前年同期比

実績

構成比(%)

実績

構成比(%)

増減

増減率(%)

売上高

6,952

100.0

7,798

100.0

846

+12.2

売上原価

5,321

76.5

5,923

76.0

602

+11.3

売上総利益

1,630

23.5

1,875

24.0

244

+15.0

販売費及び一般管理費

1,082

15.6

1,169

15.0

86

+8.0

営業利益

548

7.9

705

9.1

157

+28.6

経常利益

553

8.0

839

10.8

286

+51.7

親会社株主に帰属する四半期純利益

290

4.2

397

5.1

108

+37.3

 

 第4四半期連結会計期間においては、前年同期比で増収増益となりました。

 売上高につきましては、7,798百万円(前年同期比12.2%増)となりました。成長ドライバーであるファミリーケア事業が順調に拡大したこと、事業基盤であるエデュケア事業において当年及び昨年に開設した保育所等が売上貢献したこと、並びに認可・認証保育所において園児の定員充足が順調に進んだこと、プロフェッショナル事業においても順調に研修実施が進捗したこと等によるものであります。

 売上原価につきましては、5,923百万円(前年同期比11.3%増)となりました。第2四半期連結会計期間までは売上原価の前年同期比増加率が売上高増加率を上回る状況が続いたものの、第4四半期連結会計期間については、第3四半期連結会計期間に引き続き、売上原価増加率が売上高増加率を下回りました。その要因としては、原価率の低いファミリーケア事業の業績が拡大していること、エデュケア事業で認可保育所を中心に職員の適正配置が進み原価率が改善したこと、紹介会社の利用を控え保育士等の採用費が減少したことによるものであります。その結果、売上総利益につきまして、1,875百万円(前年同期比15.0%増)となりました。

 販売費及び一般管理費につきましては、主に採用のための広告宣伝費、コールセンター費用、システム保守費用、本社体制強化等の費用が増加したものの、ベビーシッター採用と顧客獲得が順調に進んだ結果、1,169百万円(前年同期比8.0%増)に留まりました。

 

(単位:百万円)

 

 

セグメントの名称

2022年第4四半期

連結会計期間

2023年第4四半期

連結会計期間

前年同期比

実績

構成比(%)

実績

構成比(%)

増減

増減率(%)

売上高

ファミリーケア事業

1,252

17.9

1,563

20.0

311

+24.9

エデュケア事業

5,345

76.5

5,745

73.5

400

+7.5

プロフェッショナル事業

279

4.0

390

5.0

110

+39.5

その他

114

1.6

120

1.5

6

+5.3

調整額(注)

△39

△21

17

 合計

6,952

7,798

846

+12.2

 

 

 

 

 

 

 

 

セグメント利益

ファミリーケア事業

285

32.2

350

32.3

64

+22.6

エデュケア事業

454

51.3

523

48.3

68

+15.2

プロフェッショナル事業

153

17.3

218

20.1

64

+42.0

その他

△7

△0.8

△7

△0.7

△0

調整額(注)

△337

△378

△40

 合計

548

705

157

+28.6

(注)調整額は、各報告セグメント間の内部売上高又は振替高、報告セグメントに配分していない全社費用です。全社費用は、主に経営管理に係る一般管理費用及び事業セグメントに帰属しない販売費及び一般管理費です。

 

(ファミリーケア事業 : ナニーサービス、ベビーシッターサービス、シルバーケアサービス)

 ナニーサービスにつきましては、2023年6月からのナニー報酬改定及びナニーサービスの価格改定により、注力しているナニープレミアムにおいて、順調に売上が拡大しております。

ベビーシッターサービスにつきましては、認知度が向上したことに加え、こども家庭庁ベビーシッター割引券・東京都ベビーシッター利用支援事業の二大助成金利用促進を行ったこと等により売上高が前年同期比で2割程度増加いたしました。

 シルバーケアサービスにつきましては、第2四半期以降、特に強化してきた富裕層マーケティングが奏功し、前年同期比で売上高が1割程度増加しました。

 以上の結果、セグメント売上高は1,563百万円(前年同期比24.9%増)、セグメント利益は350百万円(前年同期比22.6%増)の増収増益となりました。

 

(エデュケア事業 : 保育施設、学童児童館等の運営)

 保育施設におきましては、体制整備により本社主導を強化し、職員の適正配置を進めたこと、入園説明会を実施し、0歳児を中心とした園児獲得に注力したことにより、12月時点の認可・認証保育所において0歳児及び1歳児の定員がほぼ充足いたしました。なお、第4四半期における採用費は前年同期比で0.8倍に減少しております。

 学童クラブ・児童館では本社主導強化によるシフトの最適化が進み、常勤職員の残業時間を第3四半期に引き続き前年同期比で抑制いたしました。

 以上の結果、セグメント売上高は5,745百万円(前年同期比7.5%増)、セグメント利益は523百万円(前年同期比15.2%増)の増収増益となりました。

 

(プロフェッショナル事業 : 国内・海外研修)

 自治体研修の受注競争力を強化したこと、研修受注の領域を拡大したことにより、前期比で好調に受注した研修案件の実施が進捗し、第4四半期において売上高と利益に貢献しました。

以上の結果、セグメント売上高は390百万円(前年同期比39.5%増)、セグメント利益は218百万円(前年同期比42.0%増)の増収増益となりました。

 

 以上の結果、主要3セグメントで増収増益となっております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

(1) 報告セグメントの決定方法

 当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社グループは持株会社制度を採用し、当社がグループ全体の経営戦略策定等の機能を担うととともに各事業会社の経営管理を行い、各事業会社は取り扱うサービスについて機動的に事業活動を展開しております。

 したがって、当社グループは、これら事業会社を基礎としたサービス別のセグメントから構成されており、「ファミリーケア事業」、「エデュケア事業」、「プロフェッショナル事業」の3つを報告セグメントとし、報告セグメントに含まれない事業セグメントを「その他」としております。

 

(2) 報告セグメントに属するサービスの種類

 「ファミリーケア事業」は、主にチャイルドケアサービス、シルバーケアサービス等の居宅訪問による保育及び高齢者向けケアサービスを行っております。「エデュケア事業」は、主に認可保育事業、認可外保育事業等の保育・学童施設の運営を行っております。「プロフェッショナル事業」は、当社グループの乳幼児教育ノウハウを活かした国内研修、海外研修、および調査・研究サービスを提供しております。

 

(3) 報告セグメントの変更等に関する事項

 当連結会計年度より、業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「その他」に含めていた交流館の運営事業の一部について、「エデュケア事業」へ報告セグメントの変更を行っております。

 なお、前連結会計年度については、変更後の名称及び区分により作成したものを記載しております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」における記載と概ね同一であります。

 報告セグメントの利益は、営業利益ベースの数値であります。

 セグメント間の内部収益及び振替高は市場実勢価格に基づいております。

 なお、資産及び負債については、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象としていないため、事業セグメントに配分しておりません。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報並びに収益の分解情報

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注1)

合計

調整額

(注2)

連結財務諸表計上額

(注3)

 

ファミリーケア事業

エデュケア

事業

プロフェッショナル事業

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 

顧客との契約から生じる収益

4,291

20,958

557

25,808

449

26,258

26,258

外部顧客への売上高

4,291

20,958

557

25,808

449

26,258

26,258

セグメント間の内部売上高又は振替高

142

6

149

9

158

△158

4,434

20,958

564

25,957

458

26,416

△158

26,258

セグメント利益又は損失(△)

1,027

1,596

169

2,792

△24

2,768

△1,462

1,305

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

37

143

3

184

1

185

54

240

のれん償却額

23

23

(注1) 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、高齢者向けデイサービス施設等の運営事業、人材派遣・紹介事業等が含まれております。

(注2) 調整額は以下のとおりであります。

1.セグメント利益又は損失(△)の調整額△1,462百万円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、主に経営管理に係る一般管理費用及び事業セグメントに帰属しない販売費及び一般管理費であります。

2.減価償却費の調整額54百万円は、主に全社資産等に係る減価償却費であります。

3.のれん償却額の調整額23百万円は、各報告セグメントに配分していないのれん償却額であります。

(注3) セグメント利益又は損失(△)は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

(注4) セグメント資産は、事業セグメントに資産を配分していないため、記載しておりません。

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注1)

合計

調整額

(注2)

連結財務諸表計上額

(注3)

 

ファミリーケア事業

エデュケア

事業

プロフェッショナル事業

売上高

 

 

 

 

 

 

 

 

顧客との契約から生じる収益

5,444

22,333

645

28,423

469

28,893

28,893

外部顧客への売上高

5,444

22,333

645

28,423

469

28,893

28,893

セグメント間の内部売上高又は振替高

115

9

124

14

138

△138

5,559

22,333

654

28,547

484

29,032

△138

28,893

セグメント利益又は損失(△)

1,214

1,363

189

2,766

△20

2,746

△1,584

1,162

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

41

154

5

200

2

202

56

259

のれん償却額

23

23

(注1) 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、高齢者向けデイサービス施設等の運営事業、人材派遣・紹介事業等が含まれております。

(注2) 調整額は以下のとおりであります。

1.セグメント利益又は損失(△)の調整額△1,584百万円は、各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、主に経営管理に係る一般管理費用及び事業セグメントに帰属しない販売費及び一般管理費であります。

2.減価償却費の調整額56百万円は、主に全社資産等に係る減価償却費であります。

3.のれん償却額の調整額23百万円は、各報告セグメントに配分していないのれん償却額であります。

(注3) セグメント利益又は損失(△)は、連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。

(注4) セグメント資産は、事業セグメントに資産を配分していないため、記載しておりません。

 

 

【関連情報】

 前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)及び当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。

(2)有形固定資産

 本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%を占める相手先がいないため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

ファミリーケア事業

エデュケア事業

プロフェッショナル事業

その他

全社・消去

合計

減損損失

159

159

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

ファミリーケア事業

エデュケア事業

プロフェッショナル事業

その他

全社・消去

合計

減損損失

218

6

225

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

ファミリーケア事業

エデュケア事業

プロフェッショナル事業

その他

全社・消去

合計

当期償却額

23

23

当期末残高

28

28

(注)全社・消去の金額は、報告セグメントに帰属しない全社に係る金額であります。

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

ファミリーケア事業

エデュケア事業

プロフェッショナル事業

その他

全社・消去

合計

当期償却額

23

23

当期末残高

5

5

(注)全社・消去の金額は、報告セグメントに帰属しない全社に係る金額であります。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

 該当事項はありません。