リスク
3 【事業等のリスク】
当社のリスクマネジメントは、常勤取締役等を委員とするリスク・コンプライアンス委員会を中心に運用しており、委員会は定期(年4回)及び必要に応じて臨時に開催しております。リスクの洗い出し・評価・モニタリング対象ならびに予防対策と発生時対策を委員会で決定し、毎年度取締役会で決議しております。その上で、モニタリング対象については責任部署を決めて対応をしております。また、定期開催の委員会の内容については、取締役会に年4回報告、協議されております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、以下の記載は当社グループ株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。
なお、文中における将来に関する事項、発生可能性・影響度は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1) 事業環境
当社グループの業績は、国内外の経済情勢や景気動向に影響されます。景気の減速等により顧客企業の人材開発予算が削減される場合、当社グループの組織開発・人材開発事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:大/対応策:顧客ポートフォリオの多様化、個社予算状況の確認等)
(2) 競合
組織・人材開発事業については、経営コンサルティングファーム、人材育成関連サービス企業等、多数の競合が存在する業界であります。人的資本経営に対する関心が高まることで、より一層参入企業が増え、競争が激化する可能性があります。当社グループの競争力の源泉としている、顧客企業及びプロフェッショナルタレントとのパートナーシップによるサービス提供において、当社グループの強みの源泉であるビジネスモデルの優位性が低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:高/影響度:中/対応策:顧客とのパートナーシップの強化、競合他社の動向確認等)
(3) 法的規制
当社グループの事業のなかには、「職業安定法」及び関連する各種法令により規制を受けている事業があります。当社においては、職業安定法の規定により厚生労働大臣の許可を受けており、現時点において、許可が取り消しになる事由は発生しておりませんが、将来何らかの事由により許可の取り消しや更新が認められない場合、関連法律の改廃や厚生労働省からの通達等によっては、当社グループの事業活動が制約を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低/影響度:小/対応策:法改正等情報の早期収集等)
(4) カントリーリスク
当社グループは、中国やシンガポール等アジア諸国においても事業を展開しております。この海外事業においては、政治・経済情勢、法規制、税制、文化・慣習等の日本との差異ならびに日本との関係等様々な要因により、当社グループが想定している事業展開ができずに業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:低/影響度:中/対応策:外国現地情報の収集等)
(5) 組織体制
今後の更なる企業価値の向上のため、人材の確保が重要と認識しております。しかし、人材の確保が想定通り進まない場合や、優秀人材の社外流出等が発生した場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼし、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、社員の育成が想定以上に遅れた場合には、上記同様に当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:大/対応策:処遇や働き方の改善、育成の拡充等)
(6) 事業の季節変動
当社グループの売上の大半を占める組織・人材開発事業においては、当社子会社の㈱ファーストキャリアが手がける新人向けトレーニングプログラムの実施時期が4-5月、経営幹部・ミドルマネジメント領域の中心である経営層を対象とした組織開発や人材育成プロジェクト、ミドルマネジメント向け施策の実施時期が秋季に集中する傾向があります。また、新たに加わりました㈱KYTの顧客ポートフォリオは12月末決算を主体とした外資系企業も多く、その直前期である秋季において重要な意思決定が絡む経営会議やカンファレンス等が集中し、それに関連した受託が増加する傾向があります。従いまして、グループ連結業績においては、第2・第3四半期の売上及び利益が高く、第1・第4四半期が低くなる傾向にあります。(発生可能性:高/影響度:小/対応策:偏重状況の予測とモニタリング等)
(7) 情報セキュリティ
当社グループは事業活動に際し、プログラム受講生等の個人情報ならびに顧客企業等の機密情報を保有する場合があります。個人情報の取扱いについては、日本においては「個人情報の保護に関する法律」が適用され、諸外国においては、GDPR(EU一般データ保護規則)や当該国の個人情報に関する法律が適用されます。これらの情報を適切に取り扱うために、各種規程や社内教育、コンピューターウイルスやハッカー等に備える各種セキュリティ対策を通じて、情報漏洩の防止に取り組んでおります。しかしながら、悪意や過失等による各種情報の漏洩・消去の可能性があることは否めません。このような事態が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用を失う等により、当社グループの業績のみならず事業活動に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:大/対応策:情報セキュリティ教育、業務フローの改善、情報管理の徹底と内部監査等によるチェック等)
(8) プロフェッショナルタレントの不祥事・風評等
プロフェッショナルタレントが当社との取引以外の活動で不祥事を起こしたり、巻き込まれたり、その風評が立った場合、あるいは登壇中に不適切な言動をして顧客からのクレームになる場合等には、当社グループは該当プロフェッショナルタレントへ依頼業務の中止、顧客との取引停止、取引額の減額等の措置が必要となる場合があり、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:小/影響度:低/対応策:プロフェッショナルタレントへの注意喚起等)
(9) のれんの減損リスク
当社グループは、「第1 企業の概況 (はじめに)」に記載したとおり、セルムグループHDの株式をMBOにより取得しております。また、2024年1月においてヒューマンストラテジーズジャパン株式会社の株式を100%取得いたしました。加えて、2024年12月においても株式会社KYTの株式を100%取得いたしました。結果、第9期連結会計年度末現在において、セルムグループHDの株式をMBOにより取得した際に発生したのれんを1,411,709千円、ヒューマンストラテジーズジャパン株式会社の株式を取得した際に発生したのれんを60,961千円、株式会社KYTの株式を取得した際に発生したのれんを2,239,265千円計上しております。当該のれんについて将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、のれんの対象となる事業の将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。セルムグループHDの株式をMBOにより取得した際に発生したのれんについては、仮に将来キャッシュ・フローの見積額が31.7%減少した場合、減損損失の認識が必要となる可能性があります。ヒューマンストラテジーズジャパン株式会社の株式を取得した際に発生したのれんについては、仮に将来キャッシュ・フローの見積額が77.0%減少した場合、減損損失の認識が必要となる可能性があります。また、株式会社KYTの株式を取得した際に発生したのれんについては、仮に将来キャッシュ・フローの見積額が50.94%減少した場合、減損損失の認識が必要となる可能性があります。(発生可能性:低/影響度:大/対応策:下記)
当社グループでは、のれんの減損に係るリスクを逓減するため、事業の収益力強化に努めております。前述の「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営戦略等、経営重点テーマ」にて記載したとおり、当社グループは、顧客企業とのパートナーシップの構築を軸としております。これにより、人事部門以外の他部門及びグループ会社への展開並びに新規顧客企業の開拓を進め、取引の拡大を進めております。また、同様の戦略を進めることにより株式会社KYTとのグループ顧客基盤を最大限活用した相互送客や、株式会社KYTとしての中途採用を当社グループが有する採用力を活用しながら加速するなど、当社グループ全体でのシナジー戦略を推進することで、グループ全体の事業収益基盤を強化する施策を展開してまいります。今後も、顧客企業から得た信頼を基盤に、引き続き、売上高の拡大及び利益率の向上に努める方針であります。その為、回収可能価額が帳簿価額を十分に上回ることが想定され、減損の可能性は低いと考えております。
(10) CVC事業に関する包括的リスク
当社グループにおける、オープンイノベーションの実践と収益機会の多様化に資する事業の開発を目的に、アリストテレスパートナーズ㈱を無限責任組合員とするHRテック投資事業有限責任組合を運営しております。しかしながら、投資実行後において事前に想定されなかった事象が発生した場合、又は投資先の株式価値が著しく低下した場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:中/対応策:モニタリング、定例取締役会への報告等)
(11) 自然災害、テロ等有事
大地震、台風、津波等の自然災害や、テロ、国際紛争等の有事等が発生した場合、組織・人材開発事業におけるトレーニングプログラムの中止や延期等サービス提供ができなくなり、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。(発生可能性:中/影響度:大/対応策:対策本部組成や災害対策の更新等)
配当政策
3 【配当政策】
当社は、財務レバレッジの活用を前提としたM&Aを含む投資戦略を実行し、持続的な利益成長や企業価値向上を実現することが、株主の皆様の期待に応えることになると考えています。
そのために必要な内部留保を確保した上で、配当性向として40%から50%程度を基準とした安定的かつ継続的な配当を行い、中期経営計画期間(2023 年3月期~2025 年3月期)終了時の目標ROE(自己資本利益率)として25%以上の水準の資本効率性を勘案しながら、株主還元の充実を図ってまいります。なお、M&Aや戦略的投資などの特殊要因により、一過性の損益として親会社株主に帰属する当期純利益が変動する場合は、その影響を除いた水準を総合勘案し、安定的配当の実施を優先します。
なお、長期にわたり留保された余剰資金については、市場環境や財務の状況を踏まえた上で、自己株式取得の実施の是非につき株主還元、M&Aの対価、人材獲得、従業員インセンティブ等の観点から機動的に検討し、株主の皆様に還元していきます。
また、剰余金の配当を行う場合、毎事業年度末日を基準日とした年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当は毎年9月末日を基準日として取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。