2024年6月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営環境の変化について

当社グループは、受注のほとんどを国や地方自治体等の官公庁に依存しております。官公庁以外では電力関連会社等のエネルギー関連の受注を主力としております。このため、政権交代や政策転換、国家的緊急事態の発生等により、公共事業予算の組替えや削減等が実施された場合には、当社グループの受注高が減少し、必要な受注量を確保できず、売上高の減少により業績に影響を与える可能性があります。また、価格競争が激化し、受注単価の下落傾向が継続した場合には、当社グループの利益減少により業績に影響を及ぼす可能性があります。エネルギー関連業務では原子力に係る政策転換が行われた場合には、同関連業務の受注高が減少し、業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、既存事業における技術力と実績を活かし、公共投資のシェア拡大を図るとともに、他のエネルギー関連業務やエネルギー以外の民間受注及び海外事業の拡大に向けた営業活動を強化するなど取引先の分散化に取組んでおります。また、今後の経営環境の変化に応じた事業戦略の見直し等を的確に行うよう対策を講じております。

(2) 自然災害、感染症等について

当社グループは、大規模な地震や台風・豪雨・河川氾濫等の自然災害や火災等の事故の発生により従業員や事業所が大規模な被害を受けた場合には、主要な設備やデータの損傷等により正常な事業活動が困難となります。また、新型コロナウイルス感染症のような感染症によるパンデミック等の異常事態の収束が長期化し日本経済の景気が大きく低迷した場合には、発注者からの要請による業務中断、関係機関協議や現地作業の制限、地方自治体での発注先送りや公共事業量の減少等のリスクが懸念され、当社グループの業績に著しい影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、事業継続計画(BCP)の策定及びそれに基づく具体的な整備と定期的な点検・訓練を推進するとともに、安否確認システムの導入や在宅勤務・サテライトオフィス等のテレワーク環境の整備を実施し、生産性向上を図るためのDXの推進に取組み、事業リスクの最小化に向けた施策を講じております。また、地方自治体での発注先送り等に備え、早期受注に向けた積極的な応札による業務量の確保に努めております。

(3) 成果品に対する契約不適合責任について

当社グループは、建設コンサルタント事業及び地質調査事業による成果品を提供しておりますが、成果品のミスが原因で重大な不具合が生じる等の契約不適合責任が発生し、多額の賠償請求を受けた場合や指名停止等の行政処分を受けた場合には、当社グループの業績に著しい影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、品質マネジメントシステムISO9001の認証を受けるとともに、全社的な品質方針を定め、品質管理体制の強化を図り、常に品質の確保と向上に努めております。また、万が一契約不適合が発生した場合に備えて、建設コンサルタント損害賠償責任保険に加入しております。

(4) コンプライアンスについて

当社グループは、事業活動にあたり、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、下請法、労働基準法などの法的規制の適用を受けております。これらの法令等に違反した場合には、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け社会からの信頼を失い、当社グループの業績に著しい影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、所管官庁から建設コンサルタント登録、測量業者登録及び地質調査業者登録等の許認可を受けて事業活動を実施しており、将来、何らかの理由により当該許認可の取り消しまたは更新が認められない場合、もしくは今後、これらの法律等の改廃または新たな法令規制が制定された場合には、当社グループの業績に著しい影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの業務において安全管理不足による重大事故が生じた場合には、指名停止処分や損害賠償等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、すべての役員及び従業員に対して、コンプライアンスに関する啓発活動や研修等による社内教育を実施し、コンプライアンス意識の向上に努めております。また、安全管理教育や安全パトロールなどの安全管理活動を徹底し、重大事故防止に努めております。当社グループでは、CSR本部が中心となり、コンプライアンス、安全管理活動を含めたCSR活動全般を推進しております。

(5) 人材の確保・育成について

当社グループは、優秀で高度な専門性を有する技術者によって支えられており、当社グループが今後も高い競争力を維持していくためには継続して優秀な人材の確保・育成が重要な課題となります。しかし、少子高齢化が進む中で、人材の獲得競争が激化しており、人材の確保及び後継者の育成が計画通りに実施されず、優秀な人材が確保できない場合には、事業活動において生産性が低下し、当社グループの業績に著しい影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、リファラル採用やインターンシップ等を活用した積極的な採用活動により、有能な新卒社員の計画的な採用に加え、即戦力となるキャリア採用を推進し、人材の確保に努めております。また、階層別研修、DX推進研修、リカレント研修、リスキリング研修等、教育訓練の充実化を図るとともに、次世代育成支援にかかる行動計画や女性活躍にかかる行動計画を定めて雇用環境の整備を進めるなど、優秀な人材の確保・育成に努めております。また、福利厚生の充実や多様な働き方を推進するなど、人材の流出に対応した各種施策に取組んでおります。

(6) 情報セキュリティについて

当社グループは、事業活動を通して、顧客から機密情報を入手することがあり、また、当社グループ自身の専門技術を用いた各種サービスを提供しており、経営上・技術上の機密情報を保有しております。万が一、標的型サイバー攻撃やランサムウェアなどによるサイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等により、これらの情報が流失した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止等が生じた場合には、事業活動の停止や当社グループの社会的信用の失墜、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用が発生するなど、当社グループの業績に著しい影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、当該リスクへの対応策として、情報セキュリティに関する規程の整備やランサムウェアに対する行動規範を策定するとともにCSIRTを設置し、インシデント発生時の被害極小化への組織的取り組みを徹底するなど、管理体制の強化に努めております。また、すべての役員及び従業員に対する情報セキュリティ研修や標的型攻撃メール訓練等を実施し、セキュリティ意識の向上に努めております。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社の利益配分に関する方針は、将来の事業展開と経営体質強化のために必要となる内部留保を確保しつつ、株主の皆様に対する安定的な配当の継続を基本としております。剰余金の配当につきましては、期末配当金の年1回を基本方針とし、その決定機関は株主総会であります。

当事業年度の期末配当金につきましては、当事業年度の業績を勘案し、1株当たり65円と決定いたしました。内部留保資金は、財務健全性のバランスを取りながら将来の成長に繋がる分野への積極的な研究開発投資、新規事業展開のための設備投資、M&Aによる事業拡大などに活用することで、企業価値の向上を目指してまいります。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2024年9月27日

定時株主総会決議

526,317

65