人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数175名(単体) 2,374名(連結)
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平均年齢45.0歳(単体)
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平均勤続年数22.0年(単体)
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平均年収9,311,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社における従業員数
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、海外の現地採用者4人を含み、臨時従業員(嘱託を含む)549人及び出向者49人を含んでおりません。
2 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。
(2) 当社の従業員数
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は、当社と株式会社十六銀行を兼務する者及び受入出向者を含んでおります。
2 平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与には執行役員及び受入出向者を含んでおりません。
3 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。
4 平均勤続年数は、転籍前の株式会社十六銀行での勤続年数を通算しております。
5 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社及び連結子会社には十六フィナンシャルグループ社員組合(組合員数1,812人)が組織されております。労使間においては特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)の規定に基づき算出したものであります。
2 男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は当事業年度を対象期間として、それぞれ算出しております。
3 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
4 賃金体系は性別を問わず同水準となっております。男女間において、現状職位の人員分布に差があることから、賃金差異が生じております。
② 連結子会社
女性活躍推進法及び育児・介護休業法の規定による公表をしないことから記載を省略しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1) サステナビリティ
当社グループでは、サステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針として「サステナビリティ方針」を策定しています。
また、「サステナビリティ方針」のもと、環境、社会、ガバナンスの分野における行動指針として、各種方針を定めています。
サステナビリティに関する主な方針
① ガバナンス
当社グループでは、「サステナビリティ方針」で公表しているとおり、サステナビリティへの取組みを重要な経営課題と認識しています。また、「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では、「地域経済の活性化」「地域社会の持続的発展」「環境保全と気候変動対策」「多様な人材の活躍推進」「ガバナンスの高度化」を重点課題(マテリアリティ)としています。
② 戦略
多様化・複雑化する環境・社会課題を解決し、「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」に貢献することが、金融機関としての大きな役割であり、当社グループにとっての重要な戦略となります。
「十六フィナンシャルグループSDGs宣言」では、当社グループの経営理念、事業内容、地域特性等を考慮し、5つの重点課題(マテリアリティ)を設定しています。また、これらの重点課題に取り組むため、ビジネス、マネジメントの両面から特に注力すべき取組施策を定め、当社グループ全体で取り組んでいます。
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティ関連の機会とリスクを、ビジネス、環境、D&Iなどの観点から認識し、サステナビリティ会議にて審議しています。サステナビリティ関連のリスクを低減しつつ、ビジネス機会を創出することで、当社グループの企業価値向上に努めています。
また、当社グループでは、経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスクをトップリスクと位置付けています。トップリスクについては、蓋然性及び影響度の観点から、今後約1年以内に事業戦略に支障をきたし収益力を低下させるなど、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるリスクを、取締役会にて選定します。2025年3月の取締役会においては、「気候変動に関するリスク」「自然災害リスク」を含む10のトップリスクを選定しています。気候変動に関するリスク管理については、「(2)気候変動 ③リスク管理」において後述します。
④ 指標と目標
当社グループは、サステナビリティへの取組みを一層強化していくために、5つの重点課題(マテリアリティ)に対して、10項目の「サステナビリティKPI」を設定しています。「サステナビリティKPI」の進捗状況については、サステナビリティ会議にてモニタリングし、その結果を取組みに反映しています。
(2) 気候変動
気候変動に伴う自然災害や異常気象は経済活動に様々な影響を及ぼし、取引先が実施する気候変動対策は取引先の企業価値を左右する重要な要素となるとともに、その対応次第では当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
こうしたなか、当社グループはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明し、同提言が開示を推奨する枠組みに基づく情報開示に取り組んでいます。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ ①ガバナンス」をご参照ください。
② 戦略
(気候変動に伴う機会とリスク)
当社グループでは「短期」「中期」「長期」の時間軸を設定し、気候変動に伴うリスクと機会を分析しています。シナリオ分析結果等を活用し、脱炭素社会に向かうお客さまをサポートする能動的な対話(エンゲージメント)の実施や、グリーンファイナンス、サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス等の金融支援により、事業機会の創出やリスク低減につなげていきます。
※ 「短期」:5年程度、「中期」:10年程度、「長期」:30年程度
(気候変動に伴うビジネス機会への対応)
脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービスの需要増加が見込まれ、当社グループにとってはビジネス機会が増えています。当社グループは、金融・非金融機能を活用した様々なファイナンスやソリューションの提供に積極的に取り組み、お客さまの課題解決に努めます。
◇環境課題解決へのファイナンス
お客さまの脱炭素経営や環境配慮への取組みに向けた資金調達に対応するため、ファイナンス商品のラインナップを充実させて、提供しています。
◇地域企業の脱炭素化支援
お客さまの脱炭素経営を支援するため、各種コンサルティングサービスを順次開発し、ラインナップを充実させています。
GHG排出量の可視化、削減目標の設定を実施する脱炭素コンサルティングは、2021年8月の取扱開始以降、352社に提供しています。また、そのうち6割以上の企業が当社グループのサポートにより、中小企業版SBTの認定を取得しています。
(気候変動に伴うリスクの事例)
当社グループは、気候変動リスクを4つのカテゴリーに整理しています。気候変動から生じる物理的リスク及び移行リスクについては、以下のような事例が想定されます。
(シナリオ分析)
気候変動に関するリスクが当社グループに及ぼす影響を把握するため、「物理的リスク」「移行リスク」についてシナリオ分析を実施しています。
◇物理的リスク
雨が多い日本では、毎年大雨による河川の氾濫などにより、水害が発生しています。また、近年は、局地的に短時間で激しい雨が降るゲリラ豪雨が増加傾向にあり、当社グループの営業エリアにおいても大きな被害が発生しています。
物理的リスクでは、気候変動による大規模洪水の発生頻度の上昇を想定し、「RCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)」を前提に、岐阜県・愛知県内において、気候変動に起因する大規模水害が発生した場合の与信関係費用への影響を試算したところ、約66億円の増加が見込まれるという結果となりました。
◇移行リスク
与信エクスポージャーが大きいセクターやTCFD提言が定義する炭素関連セクター等を対象に定性的な分析を行った結果、当社グループにおいて移行リスクの影響が大きいセクターとして「電力セクター」「自動車セクター」を選定しました。
移行リスクでは、「RCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)」「NZEシナリオ(1.5℃シナリオ)」を前提に、炭素税の導入など脱炭素社会への移行に伴う費用増加や売上高減少、市場の将来動向などを勘案のうえ、与信関係費用への影響を試算したところ、約22億円の増加が見込まれるという結果となりました。
※ IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) : 気候変動に関する政府間パネル
※ IEA (International Energy Agency) : 国際エネルギー機関
分析結果は、一定の前提条件のもとに試算しています。今回の分析範囲においては、当社グループの財務への影響は限定的なものとなりましたが、引き続きシナリオ分析の高度化に努めていきます。
(炭素関連資産)
2025年3月末の株式会社十六銀行の貸出残高に占める炭素関連資産の割合は以下のとおりです。
※ 貸出残高=貸出金、外国為替、支払承諾等の合計
※ エネルギーセクターは、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く
③ リスク管理
(リスクの特定・評価プロセス)
当社グループでは、経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスクをトップリスクと位置付けています。トップリスクについては、蓋然性及び影響度の観点から、今後約1年以内に事業戦略に支障をきたし収益力を低下させるなど、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるリスクを、取締役会にて選定します。2025年3月の取締役会においては、「気候変動に関するリスク」「自然災害リスク」を含む10のトップリスクを選定しています。異常気象・自然災害の増加や、気候変動対策における国際的機運の高まりを踏まえてふまえて選定したものであり、これらのリスクへの対応の遅れ等による貸出先の業績悪化やビジネスモデルの陳腐化をリスクシナリオとした予兆管理やリスクコントロール策を講じています。
(リスクの管理プロセス)
当社グループでは、統合的リスク管理の枠組みを整備しており、グループ全体の金融リスクを「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」に分類のうえ、管理しています。気候変動リスクや自然災害リスクについては、金融リスクのリスクドライバーであるとの考えのもと、信用リスクやオペレーショナル・リスクなどのリスク管理の枠組みで管理しています。
また、収益、リスク、資本を有機的に結合し、一体管理を通じて企業価値の向上を目指す観点から、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しています。気候変動リスク、自然災害リスクについては、モニタリング指標を「サステナブルファイナンス年間実行額」と定め、持続可能な社会の実現に向けた取組みについて、適切な管理に努めています。
(投融資方針の策定)
当社グループでは、「持続可能な社会の形成に向けた投融資方針」を定めています。気候変動リスクの低減や生物多様性の保全など環境・社会的課題に向けポジティブな影響を及ぼす取組みへの投融資に積極的に取り組む一方で、重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性のある投融資は禁止または慎重に対応することを定めています。また、気候変動、生物多様性・自然資本の損失、人権課題には相互関係があり、これらの課題に対して統合的に取組みを進めるべきであると認識しています。
◇基本方針
1 環境・社会的課題解決に向けポジティブな影響を及ぼす投融資
環境・社会的課題解決に向けポジティブな影響を及ぼす、以下の投融資については積極的に取り組みます。
(1) 再生可能エネルギーや省エネルギーなど気候変動リスクの低減に資する取組み
(2) 水資源や森林資源の保護など生物多様性の保全に資する取組み
(3) 創業、イノベーション創出、事業承継など地域経済の持続的発展に資する取組み
(4) 高齢化、少子化等の課題に対応する医療、福祉、教育の充実に資する取組み
2 環境・社会に対する重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性のある投融資
環境・社会に対する重大なリスクまたはネガティブな影響を与える可能性がある投融資については以下の方針とします。
(1) セクター横断的に禁止する投融資
(2) 特定セクターに対する取組方針
④ 指標と目標
(GHG排出量実績)
当社グループでは、自社のGHG排出量(Scope1,2)に加え、サプライチェーンにおける排出量(Scope3)についても算定しています。
2024年度 GHG排出量実績(速報値)
※ Scope3カテゴリ15投融資の内訳は、後述の「(投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリ15)の削減目標と実績)」に記載
(当社グループのGHG排出量(Scope1,2)の削減目標と実績)
当社グループのエネルギー使用に伴って発生するGHG排出量(Scope1,2)について、2030年度までにカーボンニュートラルを達成することを目標とし、脱炭素社会の実現に向けて取り組みます。
当社グループのGHG排出量(Scope1,2)
2024年度のGHG排出量は、2013年度比77.2%の削減となりました。店舗照明のLED化や高性能な空調設備への更新などの省エネ施策を実施したほか、CO2フリー電気の導入を拡大し、再エネ比率の向上にも努めました。CO2フリー電気は、2021年11月より株式会社十六銀行本店ビル、2023年10月より同行電算センター・事務センタービル、2024年6月より同行岐阜県87店舗等に導入しています。また、環境価値の地産地消を目的に、岐阜県内の水力発電により創出されたFIT非化石証書3,000MWhを購入し、1,263t-CO2をオフセットしました。引き続き、CO2フリー電気の導入拡大や環境配慮型店舗の導入、営業車両のHV・EV化等を検討のうえ、GHG排出量削減に向けて取り組みます。
なお、2021年度から2023年度までの実績については、数値の信頼性を確保するため、独立した第三者の保証を取得しています。
(投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリ15)の削減目標と実績)
金融機関のGHG排出量においては、投融資を通じた間接的な排出(Scope3カテゴリ15)が大きな割合を占めるため、これらの算定、モニタリング、削減への取組みを進めることが重要となります。当社グループでは、PCAFスタンダードの算定手法を活用し、保有有価証券(国内上場株式・社債)及び事業性融資(国内法人向け融資)を対象として投融資先のGHG排出量を算定しています。引き続き算定対象範囲の拡大や算定精度の向上に努めるとともに、算定結果を活用して投融資先の脱炭素に向けた取組みを支援し、投融資先のGHG排出量について2050年度までにカーボンニュートラルを達成することを目指します。
なお、PCAF算定基準の変更や投融資先のGHG排出量の開示拡大等により、今後の算定結果が大きく変化する可能性があります。
投融資先のGHG排出量(Scope3カテゴリ15)(速報値)
(t-CO2)
(サステナブルファイナンス実行額目標)
当社グループでは、お客さまの環境課題の解決に向けた取組みを本業を通じて支援し、脱炭素社会の実現に貢献するため、サステナブルファイナンスの実行額について以下の目標を設定しています。
※サステナブルファイナンス:持続可能な社会の実現に資するSDGs・ESGへの取組みに向けた投融資等
※環境分野:環境への負荷を軽減する取組みに向けた投融資等
(3) 人的資本
① ガバナンス
人材の採用や育成及び人員配置など、人的資本経営にかかる各種施策については、取締役社長を議長とし、取締役副社長、取締役専務執行役員及び取締役常務執行役員を構成員とするグループ経営会議での審議を経て決定しております。
② 戦略
当社グループは、グループ経営理念において、私たちの価値観(value)のひとつとして「多様性と受容(Diversity & Inclusion)」を掲げております。これを受け、2023年度から2027年度を計画期間とする第2次中期経営計画では「ヒューマンイノベーション戦略」を掲げ、長期ビジョンである「一歩先を行き、いつも地域の力になる」の実現を目指し、以下の方針のもと、人材の価値を最大限に引き出すとともに、役職員一人ひとりが自立的に活躍できる組織環境を整備しております。
●人材育成方針
当社グループでは、お客さまや地域の成長と豊かさ、サステナビリティ、長期ビジョン「一歩先を行き、いつも地域の力になる」の実現のため、能力を最大限に発揮し、お客さまとの信頼関係を構築でき、グループの各種戦略を積極的にチャレンジできる人材の育成に努めてまいります。
●社内環境整備方針
当社グループでは、グループ経営で最も重要な人材の育成を中心に、役職員のモチベーションアップやスキル向上に資する取組みを実行し、役職員一人ひとりが自立的に活躍できる組織環境を整備してまいります。
●経営戦略と人事戦略の融合
<長期ビジョンの実現に向けた人材戦略>
グループ経営理念の追求及び長期ビジョンへの到達には、職員一人ひとりがサステナビリティ方針や第2次中期経営計画において展開される戦略及び施策に対応できるスキルの定着を目指すとともに、その職員一人ひとりの成長に向けて適切に環境を整備し提供していくことで、人材の価値の最大化をはかっていく必要があります。
IT・DXについては、情報処理安全確保支援士や応用情報技術者試験、基本情報技術者試験などの上位デジタル資格・試験の合格者及びITデジタル関連業務の6か月以上経験者を「IT・DX人材」と定義し、戦略を支える人材ポートフォリオとして、2030年度末に300名の目標を掲げて育成しております。(2024年度末現在238名)
また、地域企業の脱炭素経営を支援するため、炭素会計アドバイザー資格3級の合格者数を2025年度末に600名とする目標を掲げ、2024年度末において417名が合格し、カーボンニュートラルナビゲーター(脱炭素経営コンサルティング)の契約件数352件(2024年度末までの累計)に繋げております。
このほか、地域企業の経営承継の課題解決に貢献するための知識習得として、2024年度末において金融業務2級 事業承継・M&Aコースに1,198名が合格しております。経営承継・M&A分野にて、より高度な専門性を有する職員の育成に取り組むことで、2023年7月に株式会社日本M&Aセンターホールディングスとの合弁会社として設立したNOBUNAGAサクセション株式会社とともに、経営承継コンサルティング件数の増加に繋げております。
<重要ポジション人材の育成と登用>
2023年度より導入した「エキスパート制度」には、2024年度中に23名の応募があり、新たに10名をエキスパートに任命しております。エキスパートに任命した職員は22名となり、本人の同意なく他部署への異動を行わず、専門性を重視した評価を行うことで、経営戦略の実現を担う重要ポスト人材の育成をはかっております。
●チャレンジングな組織風土の醸成
<グループ全体における人的リソースの最適化>
2023年4月に株式会社十六銀行に籍を置く全職員が、持株会社である当社に転籍し、当社を起点として連結子会社への人的リソースの最適配分や、職員の個性を活かした配置を進めております。また、グループ会社間での昇進・昇格を伴うクロス人事も実施しており、人材交流を通じた新たな経験による成長とグループ連携の一層の強化を進めております。
<新人事制度の浸透>
2023年4月からは、新たな人事制度をスタートしております。職員が「マイビジョン(私のめざす姿)」を表明し、グループ経営理念と重ね合わせるなかで、実現したいこと、チャレンジしたいことをコミットする「マイビジョン・コミット」や、職員の趣味、特技、資格、地域貢献活動、仕事から離れた特性などを評価する「ダイバーシティレビュー」など、新たな評価制度を通じて、職員の自立性、独自性、独立性に基づくサステナブルな成長を促すとともに、多様性を引き出し、職員一人ひとりが地域の生活者として豊かな人生を実現することを目指しております。
<キャリア選択機会の提供>
各種業務への社内公募を行うキャリアチャレンジ制度には、2024年度は延べ86名から応募が寄せられました。職員が自身の「マイビジョン(私のめざす姿)」をイメージし、自分らしく成長できる機会を提供することで、今後も意欲的でチャレンジングな職員の成長を後押ししてまいります。
●適切な人的資本投資
<自立的な成長支援>
長年に亘って続いてきた金融緩和政策が歴史的転換点を迎えるなど、急速に変化する環境に柔軟に対応し、持続的な成長を目指していくためには、過去に得た知見や経験だけでは物事に対処することは困難であり、知識のアップデートや学び直し(リスキリング)など、職員一人ひとりの主体的かつ継続的な学びが重要となります。
こうしたなか、当社グループでは職員に対し、階層別・業務別に多様な研修カリキュラムを提供しております。階層別研修では、新入社員に対する入社後3か月間の研修のほか、入社後2年間を育成期間と位置づけた「新入社員基礎力養成研修」「新任役席者研修」や「新任管理職研修」、新任支店長や新任マネージャーを対象とした「マネジメント研修」を実施しております。また、業務別研修では、「融資業務研修」や「預り資産営業研修」に加え、「対話力やソリューション営業力の強化に向けた研修」を実施しております。さらに、サクセッションプランの一環として、次代を担うミドルマネージャーを育成するために当社のエグゼクティブ・アドバイザーである一條和生IMD教授を講師に招き、全29名の受講のもと「リトリート・ワークショップ2024」を開催いたしました。
これらの研修を実施した結果、2024年度の研修費用は76,966千円、研修時間(延べ)は89,066時間となりました。
また、職員の積極的な自己啓発を支援するために「自己啓発資格取得奨励金制度」を設け、指定する資格・検定試験に合格した場合に奨励金を支給しており、2024年度の「自己啓発資格取得奨励金制度」の利用件数は418件、合計奨励金額は6,098千円となりました。なお、2025年4月には、新たに4つの資格を制度の対象に加えるなど、多様なチャレンジを後押ししております。
<能力と職務に応じた給与体系と賃上げ>
2023年4月にスタートした新人事制度では、年齢ではなく、能力と職務に応じた処遇を実現する給与体系を構築いたしました。また、2025年7月には、3年連続のベースアップを実施し、定期昇給と合わせ、平均4.4%の賃上げを実施いたします。シニア層について重点的な配分を行うとともに、2026年4月には初任給を月額28万円に引き上げるなど、優秀かつ多様な人材の確保に努めております。
●人材・働き方の多様性確保
<新卒採用の強化>
優秀かつ多様な人材の確保を目的に、新卒採用活動においては、多様なバックグラウンドを持つ学生との接点を強化しております。これにより、2025年度入社につきましては、計画どおり、地域、学部、専攻分野など、多様な属性を持つ人材を2009年度以来となる150名採用いたしました。
<女性の活躍支援>
当社グループでは、職員一人ひとりが性別にかかわらず多様な活躍ができるよう、リスキリングの機会充実に努めております。また、女性管理職の育成を目指す「次世代リーダー研修」や「女性管理職向け融資業務研修」など、女性の活躍推進に向けた研修を継続的に実施しております。こうした取組みの結果、2024年度末時点の女性管理職比率は11.2%となりました。
<仕事と生活の両立支援>
当社グループでは、職員が仕事と生活の調和をはかりながら能力を十分に発揮できるよう、両立支援制度の拡充に取り組んでおります。
2023年4月より、育児短時間勤務と育児時間外勤務免除の期間を子が小学校3年生を修了するまでに拡充しました。加えて、育児短時間勤務の勤務時間を6時間または7時間とし、始業時刻から終業時刻の範囲内で柔軟な勤務を可能とした結果、2024年度の利用者数は117名となりました。このほか、職員の0歳から小学校就学前までの子供を保育する企業内保育施設「じゅうろくスマイルルーム」を2016年より運営しており、2024年度は15名の職員が利用しております。また、2017年4月に導入した配偶者出産休暇(3日間の特別休暇)の取得は社内で定着しており、2024年度の男性の育児休業取得率(7日以上)は95.4%となりました。現在は、男性職員による長期の育児関連休暇・休業の取得促進にも注力しております。
さらに、仕事と生活の両立・有給休暇取得促進のため導入されている半日年次有給休暇の活用や、休暇が取得しやすい職場づくりを通して有給休暇取得率の向上に努めており、2024年度の取得率は59.6%となりました。
<外部連携・人材交流による多様性の確保>
当社グループは、人的資本経営における多様性の確保が持続的な成長に不可欠であるとの認識のもと、多様なバックグラウンドや知見を持つ人材の活躍を推進するため、外部との連携を通じた積極的な人材交流を行っております。
具体的には、協業先であるソフトバンク株式会社からの人材受入れ(2024年度末6名)及び当社からの人材派遣(2024年度末2名)をはじめ、業務提携先である株式会社りそなホールディングス(2024年度末1名)、STATION Ai株式会社(2024年度末1名)、東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社(2024年度末2名)への人材派遣を実施しております。加えて、東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社、株式会社電算システムホールディングス、株式会社日本M&Aセンターホールディングスとの合弁によるグループ会社運営を通じた連携など、多様な形態での人材交流により、組織内に幅広い視点や専門性を取り込み、当社グループ全体の多様性の確保に繋げております。
<設備環境>
設備面では、職員全員に業務用スマートフォンを貸与し、場所を問わず円滑なコミュニケーションが可能となる環境を整備しております。また、2023年9月からの「Google Workspace」導入により、ファイルの共同編集、グループチャット、オンライン会議、カレンダー共有などをスムーズに行うことができる環境を整え、効率的なデジタルコミュニケーションを実現しております。さらに、2025年4月より、Google版生成AIモデルである「Gemini」の利用を開始し、より一層の業務効率化と生産性向上を推進しております。
<エンゲージメントサーベイの実施>
当社グループは、人的資本を経営の重要な基盤と位置づけ、職員のエンゲージメント向上を推進しております。その施策の一つとして、エンゲージメントサーベイを2024年7月(第1回)と2025年2月(第2回)に実施いたしました。これらのサーベイ結果に基づき、引き続き当社グループ全体の持続的な成長を支える職場環境の構築に注力していくことで、職員がより高い働きがいを実感できるよう努めてまいります。(2025年度以降は毎年1回実施予定)
(注) 株式会社リクルートのサーベイ「Geppo」を利用し、職員エンゲージメントを調査しております。調査結果から、組織や環境、エンゲージメントに関する現状分析を行い、組織改善のための施策に繋げております。
③ リスク管理
当社グループでは、財政状態、経営成績に重大な影響をもたらす可能性があるトップリスクの一つとして「人的・コンプライアンスリスク」を選定しております。
具体的には、地域総合金融サービス業として相応しい知識とコンプライアンス意識を持った人材が確保できないこと、人材の過度な流出、不適切な行為による当社グループの企業価値低下といった事象が、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響をもたらす可能性があると認識しております。
当社グループでは、人材確保のために新卒採用を中心とした採用活動に注力するとともに、人材育成や処遇の向上、多様で柔軟な働き方や社内DXの推進を通じて定着を支援しております。また、健全な企業文化を醸成するため、コンプライアンス研修の継続・徹底、倫理方針の遵守徹底、内部通報制度の周知などに努めております。
さらに、当社グループでは、グループ経営理念に掲げる「お客さま・地域の成長と豊かさの実現」に向けて人権の尊重が重要な経営課題であると認識し、「人権方針」を制定しております。ハラスメント行為の禁止や時間外労働の低減、役職員一人ひとりに対する人権啓発研修等の実施などを行動指針として、事業活動における人権尊重の取組みを推進しております。
〔人材育成の5つの柱〕
④ 指標と目標
<指標の内容並びに指標を用いた目標及び実績>
(注) 1 IT・DX人材とは、情報処理安全確保支援士や応用情報技術者試験、基本情報技術者試験などの上位デジタル資格・試験の合格者及びIT・デジタル関連業務の6か月以上経験者としております。
2 社内の育児目的休暇を含む育児休業等を7日以上取得した者の人数により算出しております。「第1 企業の概況」中、「5 従業員の状況」に記載の育児・介護休業法の規定に基づく「男性労働者の育児休業取得率」とは算出方法が異なるものであります。