2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    127名(単体) 1,967名(連結)
  • 平均年齢
    43.2歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.8年(単体)
  • 平均年収
    8,215,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社における従業員数

2025年3月31日現在

 

セグメントの名称

銀行業

リース業

合計

従業員数(人)

1,924

[188]

43

[3]

1,967

[191]

(注)1 従業員数は、嘱託及び臨時従業員174人を除き、執行役員(取締役を兼務する執行役員を除く。)15人及び海外の現地採用者を含んでおります。

2 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

(2)当社の従業員数

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

127

43.2

17.8

8,215

[4]

(注)1 従業員数は、嘱託及び臨時従業員2人を除き、執行役員(取締役を兼務する執行役員を除く。)15人を含んでおります。

2 当社の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

3 従業員数は、株式会社北國銀行との兼務者を含めた人数を表示しております。なお、当事業年度末における株式会社北國銀行との兼務者は89人であります。

4 平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は株式会社北國銀行との兼務者を含めた数値を記載しております。

5 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

6 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

7 当社の従業員組合は、北國FHD社員組合と称し、組合員数は、1,138人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

  (注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)(注1)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1)

正規雇用労働者

パート・有期労働者

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

21.4

152.3

-

56.7

63.0

51.1

(注)2,3,4

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、提出会社及びその連結子会社において同法の規定による公表を行っている会社は提出会社のみであります。

2 当社グループでは、原則全従業員が提出会社に所属し、各グループ会社に出向することとなっております。従って本項目における労働者の範囲は当社グループの全従業員であり、上記「(1)連結会社における従業員数」における従業員の範囲と一致します。

3 当社では、役割別の賃金差異を縮める取り組みを行っております。男女の賃金の差異について、役割別差異は以下の通りです。

職位/役割

法人コンサルティング

本部企画(%)

個人コンサルティング

フロントオペレーション(%)

管理職

91.4

88.7

チーフ

93.8

89.0

一般

95.0

87.9

 

4 当社における「管理職」および「チーフ」の職位の定義は以下の通りです。

管理職:会社の経営目標に沿って、部署単位・プロジェクト単位で業務の指示を出し、組織マネジメントや部下の指導・育成の役割を担う者。

チーフ:チームの部下をマネジメントし、職務単位での能力を最大化できる者。

「管理職」、「チーフ」はそれぞれ、厚生労働省「状況把握、情報公表、認定基準等における解釈事項について」(厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課 令和4年9月15日)における「管理職」、「係長級」に相当します。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 北國フィナンシャルホールディングスグループ(以下「当社」といいます。)のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに対する考え方及び当社のマテリアリティ

①サステナビリティに対する考え方

 当社は、サステナビリティ方針において「事業活動を通じてESG(環境・社会・ガバナンス)課題の解決に積極的に取組むことで、地域社会をはじめとした全てのステークホルダーの皆さまと共に、持続可能な社会を実現することを目指す。」ことを定めております。

 事業活動を通したESG課題解決と、持続的な収益向上の好循環により、企業理念「豊かな明日へ、信頼の架け橋を~ふれあいの輪を拡げ、地域と共に豊かな未来を築きます~」およびブランド理念「北國フィナンシャルホールディングスは、世のため人のために存在し活動する、人々の生活をより良いものにする、より良い社会にするために活動する(ブランドスローガン「Quality Company,Good Company.ともに、未来へ。」)」の実現につながると考えています。

 

②当社のマテリアリティ

 当社は、こうしたサステナビリティ関連の方針にもとづく具体的な取組を推し進めるために、サステナビリティをめぐる諸課題について、外部環境・社会動向の把握及び取引先や機関投資家からの期待を基に課題の抽出を行い、経営理念やブランド理念との整合性等の観点から検証・議論し、取締役会における決議を経て、マテリアリティ(重点項目)として特定しております。

<当社のマテリアリティ特定プロセス>

 具体的には、「①気候変動対応、環境保全」、「②地域経済活性化への貢献」、「③地域のクオリティ向上に貢献できる人材の育成」、「④株主・投資家との対話による経営の透明性の向上」の4つのマテリアリティを特定しており、これらのマテリアリティにもとづいたリスクや機会を事業活動に反映して事業を推進することを通して、地域社会をはじめとしたすべてのステークホルダーの皆さまとともに、持続可能な社会の実現を目指します。

<当社のマテリアリティについて、リスク及び機会の認識、具体的な取組>

 なお、有価証券報告書提出日現在、マテリアリティのアップデートに向けた社内議論を進めております。アップデート後のマテリアリティにつきましては、2025年8月発刊予定の統合報告書において開示する予定です。

(URL)https://www.hfhd.co.jp/ir/annualreport/

 

(2)ガバナンス

①執行体制

 サステナビリティへの取組は、グループ戦略会議での議論を踏まえて当社の戦略に反映されております。

 当社のサステナビリティの体制について、当社ではサステナビリティに関する専門的な委員会は設置しておりませんが、経営企画部が主体となり、経営管理部や北國銀行マーケティング部、コンサルティング子会社である株式会社CCイノベーション等を含めた部署横断的なプロジェクトにより、サステナビリティに関する課題を抽出・議論する体制を構築しております。

 また、当社は、経営方針に基づく各戦略の執行を協議・報告する機関としてグループ戦略会議を設置しております。グループ全体のサステナビリティ実現に向けた施策はグループ戦略会議で協議されております。

 当連結会計年度においてグループ戦略会議において協議された主な議題は以下の通りです。

 ・TCFD提言への対応について

 ・ESG・SDGsに関する法人営業の振り返りと今後の取組みについて

 ・地域GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた取組みについて

 ・人材育成方針の策定と「ジョブ・チャレンジ」制度の開始について

 

②監督体制

 当社の取締役会は、法令および定款に定める事項のほか、当社の業務執行に関する重要事項を決定するとともに、取締役の職務の執行を監督しております。

 取締役会は、サステナビリティに関する知見・経験を有する取締役で構成されております。取締役会ではサステナビリティ経営の最終的な監督が行われ、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応の観点から審議が行われております。

 

(3)戦略

①気候変動(マテリアリティ「①気候変動対応、環境保全」への対応)

 当社では、気候変動への対応を重点項目と捉え、地域・お客さまの持続的な成長を支援するため、2021年5月に北國銀行として、2022年5月に北國フィナンシャルホールディングスとしてTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。

 

ア.気候変動に伴うリスクおよび機会と影響の認識

 当社では、気候変動問題の顕在化に伴う外部環境や業務環境の変化をあらかじめ想定し、様々な波及経路に基づいてリスク事象を洗い出すことで、当社への財務的影響を特定しております。当社が想定するリスク事象の概要と主な影響は以下のとおりであります。

a.移行リスク

炭素排出量抑制コストの増加により、投融資先の収益減少や既存資産等の減損が発生

国内外の気候変動関連規制に対応するコストの増加

脱炭素化に向けた技術開発の失敗や遅れによる、投融資先の収益減少や既存資産等の減損が発生

製品・サービスの需給環境の変化により投融資先の収益減少や既存資産等の減損が発生

情報開示の不足による外部評価の低下

気候変動対策が不十分な取引先との取引継続による評判悪化

事業継続性強化のための設備費用やエネルギーコストの増加

b.物理的リスク

営業拠点等、保有不動産被災により事業が継続できないリスクや、対策・復旧によるコスト増加のリスク

自然災害による投融資先の業績悪化や担保毀損に伴う与信関係費用の増加

気候災害による市場や投資環境、投資先企業の信用悪化に伴って保有有価証券等の価値が変動

c.機会

ペーパーレス化等、業務効率化に伴うオペレーションコストの低減

省エネ設備の導入によるエネルギー使用の高効率化

保有設備の効率的な運用

エネルギー源のシフトによる調達コスト低下

再生エネルギー・脱炭素関連の設備投資ニーズ増加に伴うファイナンス機会・リース機会の拡大

脱炭素化に関連するコンサルティング機会の拡大

ペーパーレス化や業務効率化ニーズ増加に伴うコンサルティング機会の拡大

事業変革に向けた経営戦略策定ニーズ増加に伴うコンサルティング機会の拡大

気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上

災害対策のためのインフラ投資等によるファイナンス機会の拡大

災害対策のためのBCP対策ニーズ増加に伴うコンサルティング機会の拡大

 

イ.気候変動に伴うシナリオ分析

 シナリオ分析では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表しているシナリオを参照の上、パリ協定や2021年11月の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)における合意内容等をふまえ、2つのシナリオ分析を実施いたしました。

a.分析プロセス

移行リスクのシナリオ分析対象セクターを決定

移行リスク、物理的リスクともに分析対象に応じたシナリオを設定し、影響を分析

b.移行リスク

 

内容等

シナリオ

IPCCの2℃シナリオ

対象セクター

金属鉱業、陸運鉄道/航空物流サービス、食品、機械、繊維アパレル・贅沢品、建設土木、電力、電気設備、自動車、化学の10セクターについて、各セクターの与信額上位10社(合計100社)

対象期間

2050年まで

指標

与信関連費用

分析結果

2050年までの与信関連費用増加額は約26億円と分析

c.物理リスク

 

内容等

シナリオ

IPCCの2℃シナリオおよび4℃シナリオ

対象地域

北陸3県(石川県、富山県、福井県)

対象期間

2050年まで

対象先

ⅰ)事業性与信先の建物

ⅱ)当社保有物件

指標

ⅰ)与信関連費用

ⅱ)建物毀損額

分析結果

ⅰ)最大48億円程度の与信関連費用増加

ⅱ)最大6億円程度の建物毀損の発生

 

ウ.地域の脱炭素化に向けた取組

a.事業性理解を通じたお客さまへの気候変動意識の啓蒙

 当社では、事業性理解を通じて、お客さまの気候変動対応等に対する意識向上の取組を行っています。脱炭素化に向けた融資やリース等の資金需要への対応はもちろん、気候変動対応をはじめとするESG課題を共有することで、コンサルティングやアドバイス等のビジネス機会を創出してまいります。

b.コンサルティング&アドバイザリー

 当社の重点取組業務であるコンサルティング&アドバイザリー事業では、お客さまのサステナブル経営に向けたサポートを行うべく「ESG・SDGsコンサルティング」をメニュー化しています。

 気候変動への対応は、企業にとって重要かつ喫緊の課題ですが、GX(グリーントランスフォーメーション)はDX等と同様に、お客さまがビジョンを達成するための一つのパーツであると考えております。

 当社は事業性理解を通じ、お客さまの課題を共有することで、トランスフォーメーションのサポートを行ってまいります。

 

②地域経済(マテリアリティ「②地域経済活性化への貢献」への対応)

 当社は地域経済活性化への取組を通じて企業理念およびブランド理念の実現を目指しております。

ア.地域経済に関するリスクおよび機会の認識

a.リスク

・地域企業の生産性が向上しないことによる競争力の低下、業績悪化による与信コストの増加

・地域のお客さまの金融リテラシーが高まらず、資産の形成や有効活用が進まない結果、地域経済が低迷

・キャッシュレス、デジタル化進展への対応不足によるサービスの競争力低下

b.機会

・ビジネスモデルと企業文化の変革による地域のクオリティ向上への貢献

・事業性理解を起点とし、課題の共有・解決を目指すコンサルティング&アドバイザリーの展開

・高齢化社会、人生100年時代を見据えた資産形成・運用や資産の有効活用、相続・資産承継に対する意識の高まり

・NISA恒久化などの制度改正

・地域での資金循環、生産性向上を目指したキャッシュレス、デジタル戦略の展開

 

イ.地域経済活性化に対する当社の取組

・プライベートエクイティを通じた成長支援

・地方公共団体とのコラボレーションによる生産性向上への貢献

・コンサルティング&アドバイザリー機能の発揮

・ライフプラン・資産形成サポート、職域含む金融教育への取組

・デジタル・キャッシュレス社会創出への貢献

・金融機能の安定性の維持

 

③ステークホルダー(マテリアリティ「④株主・投資家との対話による経営の透明性の向上」への対応)

 当社は、株主・投資家のニーズ把握に基づいた積極的な情報開示による経営の透明性の向上や、適切な企業統治やシステムリスク管理、セキュリティ対応の充実による社会的信頼の確保に取り組んでいます。

 

ア.株主・投資家との対話による経営の透明性の向上に関するリスクおよび機会の認識

a.リスク

・株主・投資家ニーズ把握や積極的な情報開示の欠如による、経営の透明性の悪化

・デジタル対応の不足による、社内生産性の低下

・不適切な企業統治やシステムリスク管理、セキュリティ対応の不足による社会的信用失墜

b.機会

・個別面談重視のIR活動を通じた深い対話による、株主・投資家ニーズの把握、経営戦略や情報開示への反映

・DX、システム戦略を起点とした全体改革による戦略遂行力の強化

 

イ.株主・投資家との対話による経営の透明性の向上に向けた当社の取組

・DXを活用したコーポレート・トランスフォーメーションによる社内情報および社内議論プロセスの見える化

・業務効率化

 

④人的資本(マテリアリティ「③地域のクオリティ向上に貢献できる人材の育成」への対応)

 

ア.経営戦略と人材戦略の連動:事業ポートフォリオに沿った人材ポートフォリオの構築

 当社は、2021年にグループシナジーを最大化し、持続的な成長を実現するため、持株会社体制へ移行しました。

 そして2025年10月からは、従来の「北國銀行ブランド」に加え、地域金融の枠を超えて事業領域を広げ、地域外や海外への展開を強化する新たな「CCIブランド」を導入し、2つのブランドによる体制へと移行します。

 この新たなビジネスモデルを成功させ、事業領域をさらに広げていくためには、再構築された事業ポートフォリオに合わせた最適な人材配置が急務であり、経営の最重要事項の一つと位置付けています。事業の成長領域や強化領域に適所適材となる人材配置を進めることが、人的創造性を高め、付加価値拡大につながると考えています。

 そのため、多様な価値観と誰もが活躍できる「ダイバーシティ&インクルージョンの実現」、全社的な経営視点をもって案件・施策に取組む「オーナーシップマインドの醸成」、そして社会や顧客起点で考え新たな価値を生み出す「人材の育成」に注力してまいります。

イ.人材戦略を支える基盤:人材エコシステム

 当社では、社内外(地域)で活躍できる人材プラットフォームを構築するため、「人材エコシステム」の考え方を掲げています。この人材エコシステムの土台は、心理的安全性のあるフラットな組織風土、全社員が「ベーススキル」と「インテグリティ」を兼ね備えていること、そして社員一人ひとりが身体的、精神的、社会的に満たされている状態であることです。この強固な土台の上に、当社の企業理念・ブランド理念に共感し、志をともにする新な人材を「採用」し、学びと挑戦を通して新たな価値を生み出すことができるプロフェッショナル人材を「育成」し、働きがいのある環境で「活躍」を支援し、地域に価値提供ができる経営人材・専門人材を「輩出」する一連のサイクルを回すことで、人材を通じて地域の価値向上への貢献を行っています。

 さらに、社内外の多様なステークホルダーと「協創・協業」できる新たな‘場‘をつくり、個人の成長を後押ししながら、コラボレーションにより新たな価値を創出します。これにより、組織と地域社会の持続的な成長を支える基盤を築いていきます。

 

ウ.人材育成・能力開発:プロフェッショナル人材の輩出に向けて

 当社は、変化する事業環境に対応し、事業戦略を実現するために必要な能力獲得と、地域社会への貢献を担うプロフェッショナル人材の育成に注力しています。

・キャリア型人事制度

 2022年に導入した「キャリア型人事制度」は、社員の働き方やマインドセットを大きく変える原動力となりました。この制度は「キャリア自律」「対話を通じた脱・年功序列型の給与見直し」「人材の流動化に対応した退職一時金制度の変革」の3つを柱としています。

 社員は自らキャリアを描き、主体的に高度な学びに取り組むことで組織や地域への価値の提供を目指しています。社員が働きがいとモチベーションをもって成長し、組織の付加価値を上げるため、賃金はスキル・役割・生産性・貢献度の4つの着眼点に応じて決定される仕組みを導入しています。また、退職一時金制度を廃止し、毎月の給与に「キャリア支援金」として上乗せ支給することで、社員の自己投資や資産運用を支援し、キャリア採用者が不利なく活躍できる土壌を整えています。

・リスキリング・リカレント教育

 人材育成として、自律して学び続ける「リカレント教育」の重要性を推奨しています。自己啓発講座の費用補助を行い、リスキリング・リカレント教育を継続しています。働きながら大学・大学院に通う社員は80名を超えており、卒業研究にて構想したビジネスプランが当社の新ビジネスとしてスタートするなどイノベーション創出の機会となっています。

(今後の重点項目)

 AIの活用推進が必要であり、AI活用を含めデジタル人材の育成に向けた方針と打ち手の開示を行い促進する。

・事業ポートフォリオに合わせた人材シフト

 DX推進や戦略的な拠点統廃合に伴い、フロントオペレーション領域から今後10年で約150名の社員にキャリアチェンジを促進する方針であり、これを実現するため「ジョブ・チャレンジ制度」を導入しました。この制度により、「法人コンサルティング領域」や「システム・デジタル領域」といった重点ビジネス領域への人材シフトを進め、事業ポートフォリオと人材ポートフォリオの整合を進めています。

(今後の重点項目)

 事業ポートフォリオに応じた最適な人材ポートフォリオの構築のため、適切な人材要件の可視化とキャリアとスキルによるマッチングを実現する。

・地域へのプロフェッショナル人材輩出

 当社で育成・活躍している経営人材やエキスパート人材は、社内だけでなく、地域企業や自治体の経営幹部や専門人材として地域で活躍することで、地域全体の価値向上に直接的に貢献しています。

(今後の重点項目)

 企業の成長と存続のため、会社の根幹となる経営や主要ポジションを担う人材が求められており、経営に係る人材を育成する。

 

エ.多様性(ダイバーシティ&インクルージョン):誰もが活躍できる組織へ

 当社では多様な価値観を認め合い、誰もがその能力を最大限に発揮できる環境の実現を目指しています。希望の職種の公募制・昇進の手挙げ制などにより、若手や女性の挑戦を後押ししています。

・女性活躍推進

 女性管理職の登用を積極的に進めており、今後の経営幹部への女性登用を支援するため、異業種で活躍する女性役員・社員との合同研修会や、次世代の経営幹部候補である女性社員と女性社外取締役との意見交換会を実施しています。

 

 また、女性の活躍フィールド拡大のため、パートタイマーからの正社員化を推進しています。年収の壁と言われる短期的な収入の多寡に焦点をあてるのではなく、将来的なマネープランと資産形成に焦点をあて積極的な登用を行っており、一人ひとりがキャリアに応じて最大限の能力を発揮できる環境を構築しています。

 加えて、出産後のスムーズな復職をサポートするため、産休前、育児休業中の社員に対し、継続的にワークショップを開催しています。様々なライフイベントがある中でもキャリアを止めず、活躍できる組織を目指しています。

(今後の重点項目)

 女性が、自身のキャリアプランに応じて活躍の場を選択でき、将来的に、多様な職種やより高度なポジションに挑戦する意欲を醸成する。

・多様なバックグラウンドを持つ人材の採用

 キャリア型人事制度の導入により、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境が整備されたことでキャリア採用者数が増加しており、2024年度は61%となりました。

 多様な人材の獲得を目指し、2023年から専門職採用(エキスパートコース)を新設しました。新たなイノベーション創出のため、異なる文化的背景を持つ外国人留学生の採用も2023年度より本格的に開始しています。

・多様な働き方を可能にする制度

 社員一人ひとりの働きやすさを追求し、休暇や短時間勤務制度を育児や介護以外の理由でも利用できるように対象者を拡大しています。2024年3月よりフレックスタイム制度の対象者を拡大し、5月末現在で、約6割の社員が制度を利用しています。コアタイムを撤廃したスーパーフレックス制度を導入し、短時間勤務制度との併用で週4日勤務など柔軟な働き方も実現可能としました。

 男性の育児休業取得率は152.3%となり、さらなる長期取得を推進しています。

 

オ.組織風土とエンゲージメント:フラット&アジャイルな働きがいのある会社

 当社は、フラットな組織で、働きやすく働きがいのある会社を目指しています。

・心理的安全性とフラットな組織風土

 年齢、性別、立場・役割に関係なく、社員一人ひとりが自律して考え発言し、対話できる環境を大切にしています。全社ペーパーレス化やMicrosoft Teamsの活用による議論の見える化、対話を重視したコミュニケーションなどの取り組みにより、心理的安全性が高くフラットな組織風土を実現しています。

 また、CEO自らが全社員に戦略や方針等を毎週発信している「トップメッセージ」や、「CEOと社員持株会との対話の機会」、「入社時のCEOを交えたウェルカムミーティング」など、CEOの考えを直接的に聞く機会を設けることで、戦略の背景・目的から理解を深め、社員自らがオーナーシップマインドをもち、主体的な行動につなげるための取り組みを実施しています。

・社員の健康とウェルビーイング

 地域のクオリティ向上に貢献していく人材の土台には、社員が心身ともに満たされている状態であることが不可欠と考えています。心身両面の健康をサポートするため「ウェルネスサポートチーム」を設立し、メンタルヘルスケア、健康相談、復職支援など年間2,800回の面談を実施しています。これらの取り組みの結果、「健康経営優良法人」ホワイト500に4年連続で認定されています。また、業務効率化により時間外労働時間は月平均4時間程度、有給休暇取得率も約90%と、働きやすい環境が醸成されています。働きやすさに加え、働きがいも兼ね備えた「プラチナ企業」として認められています。

・対話とコミュニケーション

 コミュニケーションとコラボレーションを通して、お客さま・地域・社会のイノベーションに貢献し、新しい価値の創造を行っていきます。特に、お客さまとの「対話」を最も重要と考えており、真の課題解決のためにお客さまを理解し、コミュニケーションを行うことが当社の強みです。今後は、より対話の機会を増やし、年齢や 立場に関係なく活発な議論ができるよう促していきます。

 

カ.コンプライアンス・安全な職場環境

 当社では、コンプライアンスの強化に加え、社員一人ひとりが自らの良心と判断に基づき行動する「インテグリティ」の向上を重要なテーマと位置付けています。

経営層からの継続的なメッセージ発信に加え、研修や教育、実践的なディスカッションを通じて、社員一人ひとりのコンプライアンス意識の醸成を図っています。また、各業務部門や営業店等では、コンプライアンス責任者が中心となり、違反行為の未然防止に向けた取組を強化しています。これにより、ルールの自己解釈や形骸化を防ぎ、社員が自律的に行動できる環境づくりを目指しています。コンプライアンス統括部門は、これらの取組を支える実効性のあるモニタリング体制を整備し、継続的な改善を図っています。

 毎年実施している「コンプライアンス意識調査」では、社員の意識浸透や企業風土の変化を把握し、その結果や内外環境の変化を踏まえ、コンプライアンス・プログラムの内容を継続的に見直しています。

 上記のように、当社は「人こそが経営の根幹である」という考えのもと、経営戦略、特に新しい2ブランド体制における事業ポートフォリオと強く連動した人材戦略を推進してまいります。事業領域の拡大と地域貢献という高次の目標達成のため、多様な人材の採用、育成、活躍支援、働きがいのある組織風土の醸成、そして強固なガバナンスと安全な職場環境の構築に、全社を挙げて積極的に投資し、取り組んでまいります。

 

(4)リスク管理

①統合的リスク管理におけるサステナビリティ関連リスク

 当社では、リスク管理に関する基本事項を「統合的リスク管理規程」として制定し、各グループ会社の管理部門が適切なリスク管理を実施し、統括部署として当社経営管理部が統合的にリスク全体の管理を行っております。具体的には、サステナビリティ関連リスクを含む各種リスクについて定期的にグループ会社等の直面するものを洗い出し、洗い出したリスクの規模・特性を踏まえ、管理対象とするリスクを特定しています。

 具体的なサステナビリティ関連のリスク及び機会を認識・評価および管理するプロセスは以下の通りです。

 

②サステナビリティ関連リスク及び機会を識別・評価するプロセス

 当社では経営企画部、経営管理部を中心とし、北國銀行マーケティング部、コンサルティング子会社である株式会社CCイノベーション等を含めた部署横断的なプロジェクトによりサステナビリティ関連リスクを識別・評価したうえで、リスクに対する機会を識別・評価する体制を取っております。

 

③サステナビリティ関連リスクおよび機会を管理するプロセス

 ②で識別・評価されたリスク及び機会については、上記プロジェクトの枠組みにおいて管理し、随時対応について議論・協議を行っております。また、「(2)ガバナンス」記載の通り定期的にグループ戦略会議で協議されるとともに、取締役会に報告されております。

 サステナビリティ関連リスクおよび機会を管理するための主な手法は以下の通りです。

 

ア.シナリオ分析

 フォワードルッキングな業務戦略の策定・遂行のため、ストレステストにより、危機発生時のグループの影響等をあらかじめ分析・把握するように努めています。

 サステナビリティ関連リスクにおいては、物理的リスクや移行リスクに関して、ストレステストの手法を活用したシナリオ分析を実施し、当社への財務的影響をあらかじめ把握しています。シナリオ分析の詳細は「(3)戦略 ①気候変動への対応」をご参照ください。

 

イ.セクター別のリスクコントロール

 当社は、サステナビリティ方針とマテリアリティに基づき、投融資方針およびセクターポリシーを設定し、環境・社会に悪影響を及ぼす可能性の高い投融資を低減・回避するよう努めております。

<投融資方針>

積極的に支援する事業

お客さまの環境・社会・ガバナンスにかかる取組及びその事業

投融資を禁止する事業

反社会的勢力および事業

児童労働・強制労働を行っている事業

核兵器・化学兵器等の大量破壊兵器やクラスター弾等の非人道的な兵器を開発・製造する事業

特定セクター

(セクターポリシーに基づき判断)

石炭火力発電セクター・クラスター弾製造セクター・森林セクター・パーム油農園開発セクター

<セクターポリシー>

石炭火力発電事業

気候変動リスクへの対応や環境保護、持続可能なエネルギーへの取組

を踏まえ、石炭火力発電事業に対する投融資については、個別案件ごとに慎重に対応を検討します。

クラスター弾製造関連事業

クラスター弾の非人道性を踏まえ、クラスター弾を製造している企業向け投融資については禁止します。

森林伐採事業

大規模な森林伐採事業に対する投融資については、お客さまの環境・社会への配慮の状況や地域の環境・社会への影響を踏まえて、慎重に対応を検討します。

パーム油農園開発事業

森林資源や生物多様性の保全、人権保護の観点から、パーム油農園開発向け投融資について禁止します。

 

(5)指標と目標

①気候変動に関する指標と目標(マテリアリティ「①気候変動対応、環境保全」に関する指標と目標)

 当社は、気候変動に係るリスク並びに機会を測定・管理するため、また地域の気候変動に対する意識の啓蒙のため、GHG排出量や取引先のESG・SDGsの考え方についてのヒアリング状況などの指標を活用しております。

ア.当社におけるGHG排出量

 当社は、自社GHG排出量(Scope1,2)における2030年度に2013年度比100%削減を実現する目標を掲げており、当社及び当社連結子会社の国内外拠点を対象に、GHGプロトコルに沿った精緻な排出量把握と削減に向けた取組を進めております。

 

イ.Scope1,2について

 2024年度の当社によるCO排出量削減実績は5,041t-COであり、2013年度比50.5%削減となりました。

2030年度の目標である2013年度比100%削減に向けて以下の取組を進めております。

・店舗新築時のZEB対応の実施(2022年度から累計で6店舗)

・店舗屋上での太陽光発電設備設置(2022年度から累計で5店舗)

・営業車両の削減(2013年度比75台削減(501台⇒426台))

・EV(HV)車への入替(2013年度比86台増加(2台⇒88台)

 

ウ.Scope3について

 Scope3のうち特にカテゴリー15の投融資によるCO排出量は、金融機関において重要なCO排出量削減の対象であり、今年度より北國銀行事業性貸出先を対象に試算を行いました。試算結果は以下の通りです。

CO排出量2,580,435t-CO

 また、Scope3カテゴリー15(投融資分)上位3業種の排出量は以下の通りです。

業種

排出量(単位:t-CO

一般機械

337,775

金属製品

316,684

建築工事業

247,984

 

エ.地域の気候変動に対する意識の啓蒙のための取組

 当社では、地域での気候変動に対する意識の啓蒙のため以下の指標と目標を設定しております。

 

2024年度実績

2025年度

2026年度

2027年度

事業性理解を通じたESG・SDGsへの考え方についての肯定先数

2,691

3,000

4,000

5,000

事業性理解を通じた温暖化ガス排出量の計測、記録状況 記録先数のヒアリング件数

117

1,450

3,150

4,800

サステナブルファイナンス取扱件数(リース、融資)

119

150

220

300

 

 

②地域経済(マテリアリティ「②地域経済活性化への貢献」に関する指標と目標)

 地域経済活性化への取組についての戦略を進めるにあたり、当社では次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

戦略

項目

目標(2025年度)

2024年度実績

ⅰ)地方公共団体とのコラボレーションによる生産性向上への貢献

・トチカユーザー数(※)

・トチツーカ加盟店数(※)

・トチポ取扱自治体数(※)

・100,000人

・5,000先

・3件

・9,707人

・2,342先

・3件

ⅱ)コンサルティング&アドバイザリー機能の発揮

・コンサルティング契約件数

・570件

・642件

ⅲ)ライフプラン・資産形成サポート、職域含む金融教育への取組

・投資信託・北國おまかせNavi、401K口座数

・遺言信託・遺産整理・投資助言契約件数

・45,000件

 

・115件

 

・41,458件

 

・108件

 

ⅳ)デジタル・キャッシュレス社会創出への貢献

・北國Visaデビットカード会員数

・北國Visaデビットカード利用率

・カード加盟店数

・342,500人

・40%

・7,200件

・342,000人

・35.6%

・7,035先

 ※トチツーカとは自治体が発行するポイント(トチポ)、北國銀行が発行するステーブルコイン(トチカ)の総称をいいます。

 

③ステークホルダー(マテリアリティ「④株主・投資家との対話による経営の透明性の向上」に関する指標と目標)

 ステークホルダーに関するガバナンス向上についての戦略を進めるにあたり、当社では次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

戦略

項目

目標

2024年度実績

コーポレート・ガバナンス体制

・社外取締役比率

・取締役会開催回数

・指名報酬委員会開催回数

・グループ戦略会議開催回数

・CEOによる1on1MT実績

目標は定めておりませんが、各項目についてPDCAを回す体制となっております。

・55%

・12回

・6回

・50回

・53回

 

 

④人的資本に関する指標と目標

 人材育成戦略を進めるにあたり、当社では次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

 なお、「新規採用に占めるキャリア採用比率」「男性育休取得率」については、2024年度実績にて目標値に到達しておりますが、サステナビリティの観点から継続的に目標水準を達成することが必要不可欠と認識し記載しております。

 また、「配属公募(ジョブ・チャレンジ制度手挙げ含む)、昇進公募」「新規事業開発公募」「研修、講座の受講者数」「社内コラボレーション参加人数」については、目標(達成時期)は定めておりませんが、人材育成戦略上重要な指標であることから実績のみ記載しております。

戦略

項目

目標(達成時期)

2024年度実績

全体

一人当たり付加価値額

2,850万円(2031年3月期)

1,990万円

人的ポートフォリオ(※1)

新事業人員割合35%(2035年3月期)

22%

採用

新規採用に占めるキャリア採用比率

50%超を維持

61.1%

キャリア採用おけるエキスパート割合(※2)

50%(2031年3月期)

27.2%

管理職・チーフのキャリア採用比率

20%(2031年3月期)

9.7%

育成

人材育成投資額(※3)

35,000万円(2031年3月期)

10,000万円

デジタル人材比(※4)

70.0%(2031年3月期)

20.6%

高度な学びに取組む社員割合

(※5)

30%(2031年3月期)

18%

活躍

平均賃金(※6)

900万円(2031年3月期)

695万円

手挙げの挑戦人数

①配属公募(ジョブ・チャレンジ制度手挙げ含む)、昇進公募

353人

②新規事業開発公募

21人

③研修、講座の受講者数

1,242人

④社内コラボレーション制度参加人数(※7)

134人

女性管理職比率

30%(2031年3月期)

21.4%

正社員比率

100%(2035年3月期)

91.7%

環境

プレゼンティーズム(※8)

85%(2031年3月期)

80.6%

男性育休取得率

100%超を維持

152.3%

男性育休期間

30日(2031年3月期)

11日

輩出

出向者数

165人(2031年3月期)

78人

出向者のうち経営に携わる人材割合(※9)

80%(2031年3月期)

73%

(※1)コンサルティング、海外戦略、キャッシュレス、デジタル・システム、投資・運用、地域活性化に関する業務を担う社員の割合

(※2)チーフ職以上の社員の採用割合

(※3)研修費、研修にかかる旅費、受講費用補助、難関資格取得費用補助等

(※4)AIツールアクティブユーザー比率

(※5)オンライン講座、ビジネススクールの受講者及び難関資格に挑戦する社員

(※6)従業員向け譲渡制限付株式制度(RS)付与分を含む

(※7)社員のキャリア形成支援の一環として他部署の業務を体験する制度

(※8)当社社員が発揮している仕事の出来(パフォーマンスの状態)

(※9)出向先において、部長級以上の職位を担う人材