2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    107名(単体) 1,950名(連結)
  • 平均年齢
    46.1歳(単体)
  • 平均勤続年数
    22.0年(単体)
  • 平均年収
    9,305,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    10.1%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

 当社は、伝統的銀行業の深化と、新規・非金融事業の拡大を同時に進める「両利きの経営」の実現を目指しています。金融事業と非金融事業では求められる専門性や意思決定スピード、人材要件が本質的に異なるため、当社は事業ポートフォリオに連動する人材ポートフォリオへの転換を“2ブランド体制”を支えるための経営における最重要事項の一つと位置付けています。社員一人ひとりが自らキャリアを構想し学習と挑戦を重ねる「キャリア自律」を起点として、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの実現、オーナーシップマインドの醸成、プロフェッショナル人材の育成に注力しています。

 給与・報酬の決定方針については、年齢や勤続年数等の属性に依拠した従来の業績査定・人事考課を廃止し、職務のジョブサイズに応じた処遇を実現する「キャリア型人事制度」を基盤としています。具体的には、毎年実施する「キャリアレビュー」において、グループ共通の成長指標である「グレード」と、各事業領域における「スキル」「役割」「生産性」「貢献度」の4つの着眼点を踏まえ、所属長を含む複数のリーダーが対話を通じて処遇を決定する仕組みとし、評価の客観性・透明性と納得性を担保しています。加えて、退職一時金制度を廃止し、相当額を毎月の給与に「キャリア支援金」として上乗せ支給することで、社員の自己投資と資産形成を支援し、キャリア採用者を含めた多様な人材が公平に活躍できる土壌を整えています。

 

(2)【従業員の状況】

 ①連結会社の状況

2026年3月31日現在

 

セグメントの名称

銀行業

リース業

合計

従業員数(人)

1,909

[162]

41

[2]

1,950

[164]

(注)1 従業員数は、嘱託及び臨時従業員153人を除き、執行役員(取締役を兼務する執行役員を除く。)48人及び海外の現地採用者を含んでおります。

2 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

1,950

42.8

17.2

6,698

2.9

[164]

 

 ②当社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

107

46.1

22.0

9,305

10.1

[3]

(注)1 従業員数は、嘱託及び臨時従業員2人を除き、執行役員(取締役を兼務する執行役員を除く。)15人を含んでおります。

2 当社の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

3 従業員数は、株式会社北國銀行との兼務者を含めた人数を表示しております。なお、当事業年度末における株式会社北國銀行との兼務者は99人であります。

4 平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は株式会社北國銀行との兼務者を含めた数値を記載しております。

5 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

6 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

7 当社の従業員組合は、CCIG Unityと称し、組合員数は、1,109人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

 ③最大人員会社の状況

  株式会社北國銀行

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

1,376

45.6

19.2

6,206

5.0

[160]

(注)1 従業員数は、嘱託及び臨時従業員144人を除き、執行役員(取締役を兼務する執行役員を除く。)24人を含んでおります。

2 当社の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

3 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

4 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(4)管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

提出会社

当事業年度

補足説明

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

  (注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)(注1)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)

(注1)

正規雇用労働者

パート・有期労働者

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

22.1

105.6

56.3

60.4

54.4

(注)2,3,4

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、提出会社及びその連結子会社において同法の規定による公表を行っている会社は提出会社のみであります。

2 当社グループでは、原則全従業員が提出会社に所属し、各グループ会社に出向することとなっております。従って本項目における労働者の範囲は当社グループの全従業員であり、上記「(2)①連結会社の状況」における従業員の範囲と一致します。

3 当社では、役割別の賃金差異を縮める取り組みを行っております。男女の賃金の額の差異について、役割別差異は以下の通りです。

職位/役割

法人コンサルティング

本部企画(%)

個人コンサルティング

フロントオペレーション(%)

管理職

92.5

96.2

チーフ

91.5

96.3

一般

98.6

94.3

 

4 当社における「管理職」および「チーフ」の職位の定義は以下の通りです。

管理職:会社の経営目標に沿って、部署単位・プロジェクト単位で業務の指示を出し、組織マネジメントや部下の指導・育成の役割を担う者。

チーフ:チームの部下をマネジメントし、職務単位での能力を最大化できる者。

「管理職」、「チーフ」はそれぞれ、厚生労働省「状況把握、情報公表、認定基準等における解釈事項について」(厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課 令和4年9月15日)における「管理職」、「係長級」に相当します。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに対する考え方及び当社のマテリアリティ

①サステナビリティに対する考え方

 当社は、事業活動を通じてESG(環境・社会・ガバナンス)課題の解決に積極的に取り組むことで、地域社会をはじめとしたすべてのステークホルダーの皆さまとともに持続可能な社会の実現を目指します。

 サステナビリティ方針のもと、9つのマテリアリティ(重要課題)を設定し、様々な取組みを進めています。

 

②当社のマテリアリティ

 当社は、こうしたサステナビリティ関連の方針にもとづく具体的な取組を推し進めるために、サステナビリティをめぐる諸課題について、外部環境・社会動向の把握及び取引先や機関投資家からの期待を基に課題の抽出を行い、経営理念やブランド理念との整合性等の観点から検証・議論し、取締役会における決議を経て、マテリアリティ(重点項目)として特定しております。

<当社のマテリアリティ特定プロセス>

 具体的には、「①環境保全と資源の有効活用」、「②地域のカーボンニュートラル社会への貢献」、「③デジタルとリアルを融合した金融サービスによる豊かな未来の実現」、「④オープンなコラボレーションと知見を活かした先進的で魅力ある地域の協創」、「⑤能登半島の創造的復興」、「⑥地域のクオリティ向上に貢献できる人材の育成」、「⑦多様性を尊重し、公平な機会と包摂的な環境を育む組織」、「⑧株主・投資家との対話による経営の透明性の向上」、「⑨企業価値創造のためのガバナンス改革」の9つのマテリアリティを特定しており、これらのマテリアリティにもとづいたリスクや機会を事業活動に反映して事業を推進することを通して、地域社会をはじめとしたすべてのステークホルダーの皆さまとともに、持続可能な社会の実現を目指します。

 

(2)ガバナンス

①執行体制

 サステナビリティへの取組は、グループ戦略会議での議論を踏まえて当社の戦略に反映されております。

 当社のサステナビリティの体制について、当社ではサステナビリティに関する専門的な委員会は設置しておりませんが、経営企画部が主体となり、経営管理部や北國銀行マーケティング部、コンサルティング子会社である株式会社CCイノベーション等を含めた部署横断的なプロジェクトにより、サステナビリティに関する課題を抽出・議論する体制を構築しております。

 また、当社は、経営方針に基づく各戦略の執行を協議・報告する機関としてグループ戦略会議を設置しております。グループ全体のサステナビリティ実現に向けた施策はグループ戦略会議で協議されております。

 当連結会計年度においてグループ戦略会議において協議された主な議題は以下の通りです。

 ・ESG・SDGsに関する法人営業の振り返りと今後の取組みについて

 ・地域GXの振り返りと今年度の取組みについて

 ・サステナビリティ方針のマテリアリティおよび価値創造プロセス見直しについて

 

②監督体制

 当社の取締役会は、法令および定款に定める事項のほか、当社の業務執行に関する重要事項を決定するとともに、取締役の職務の執行を監督しております。

 取締役会は、サステナビリティに関する知見・経験を有する取締役で構成されております。取締役会ではサステナビリティ経営の最終的な監督が行われ、サステナビリティに関するリスク及び機会への対応の観点から審議が行われております。

 

(3)戦略

①環境(Environment)

 当社は、積極的な環境保全活動により、地域の環境意識醸成に取り組んでおります。また、気候変動等の環境課題に対応したコンサルティングを提供いたします。

 当社は、気候変動への対応を重点項目と捉え、地域・お客さまの持続的な成長を支援するため、2021年5月に北國銀行として、2022年5月に北國フィナンシャルホールディングスとしてTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しました。

 

ア.気候変動に伴うリスクおよび機会と影響の認識

 当社では、気候変動問題の顕在化に伴う外部環境や業務環境の変化をあらかじめ想定し、様々な波及経路に基づいてリスク事象を洗い出すことで、当社への財務的影響を特定しております。当社が想定するリスク事象の概要と主な影響は以下のとおりであります。

a.移行リスク

・脱炭素社会に向けた技術革新や、投融資先の行動変化への対応の遅れによる企業の業績悪化に起因する与信コストの増加

・投融資先へのソリューション不足による機会損失

・気候変動への対応不足によるステークホルダーからの信頼低下、企業ブランドの悪化

・炭素排出量抑制コストの増加により、投融資先の収益減少や既存資産等の減損が発生

・国内外の気候変動関連規制に対応するコストの増加

・製品・サービスの需給環境の変化により投融資先の収益減少や既存資産等の減損が発生

・情報開示の不足による外部評価の低下

・事業継続性強化のための設備費用やエネルギーコストの増加

b.物理的リスク

・営業拠点等、保有不動産被災により事業が継続できないリスクや、対策・復旧によるコスト増加のリスク

・自然災害による投融資先の業績悪化や担保毀損に伴う与信関係費用の増加

・気候災害による市場や投資環境、投資先企業の信用悪化に伴って保有有価証券等の価値が変動

c.機会

・率先した環境保全への取組みによる、地域の環境意識の醸成

・気候変動、環境保全につながるコンサルティングの提供

・気候関連情報の対応および、開示の促進による企業ブランドの向上

・ペーパーレス化等、業務効率化に伴うオペレーションコストの低減

・省エネ設備の導入によるエネルギー使用の高効率化

・保有設備の効率的な運用

・エネルギー源のシフトによる調達コスト低下

・再生エネルギー・脱炭素関連の設備投資ニーズ増加に伴うファイナンス機会・リース機会の拡大

・災害対策のためのインフラ投資等によるファイナンス機会の拡大

・災害対策のためのBCP対策ニーズ増加に伴うコンサルティング機会の拡大

 

イ.気候変動に伴うシナリオ分析

 シナリオ分析では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表しているシナリオを参照の上、パリ協定や2021年11月の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)における合意内容等をふまえ、2つのシナリオ分析を実施いたしました。

a.分析プロセス

移行リスクのシナリオ分析対象セクターを決定

移行リスク、物理的リスクともに分析対象に応じたシナリオを設定し、影響を分析

b.移行リスク

 

内容等

シナリオ

IPCCの2℃シナリオ

対象セクター

金属鉱業、陸運鉄道、食品、機械、繊維アパレル・贅沢品、建設土木、電力、電気設備、自動車、化学の10セクターについて、各セクターの与信額上位10社(合計100社)

対象期間

2050年まで

指標

与信関連費用

分析結果

2050年までの与信関連費用増加額は約18億円と分析

c.物理リスク

 

内容等

シナリオ

IPCCの2℃シナリオおよび4℃シナリオ

対象地域

北陸3県(石川県、富山県、福井県)

対象期間

2050年まで

対象先

ⅰ)事業性与信先の建物

ⅱ)当社保有物件

指標

ⅰ)与信関連費用

ⅱ)建物毀損額

分析結果

ⅰ)最大43億円程度の与信関連費用増加

ⅱ)最大8億円程度の建物毀損の発生

 

ウ.地域の脱炭素化に向けた取組

a.事業性理解を通じたお客さまへの気候変動意識の啓蒙

 当社では、事業性理解を通じて、お客さまの気候変動対応等に対する意識向上の取組を行っています。脱炭素化に向けた融資やリース等の資金需要への対応はもちろん、気候変動対応をはじめとするESG課題を共有することで、コンサルティングやアドバイス等のビジネス機会を創出してまいります。

b.コンサルティング&アドバイザリー

 当社の重点取組業務であるコンサルティング&アドバイザリー事業では、お客さまのサステナブル経営に向けたサポートを行うべく「ESG・SDGsコンサルティング」をメニュー化しています。

 気候変動への対応は、企業にとって重要かつ喫緊の課題ですが、GX(グリーントランスフォーメーション)はDX等と同様に、お客さまがビジョンを達成するための一つのパーツであると考えております。

 当社は事業性理解を通じ、お客さまの課題を共有することで、トランスフォーメーションのサポートを行ってまいります。

 

②社会(Social)

 当社は、地域社会を取り巻く環境の変化やお客さまのニーズに対応すべく、継続的に新たなイノベーションの創出に努めております。また、地域のクオリティ向上に貢献できるプロフェッショナル人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。

ア.地域経済活性化への取組みに関するリスクおよび機会の認識

a.リスク

・伝統的なボリュームを追求したビジネスモデルの継続により企業文化変革が進まず競争力低下

・地域企業の生産性が向上しないことによる競争力の低下、業績悪化による与信コストの増加

・地域のお客さまの金融リテラシーが高まらず、資産の形成や有効活用が進まない結果、地域経済が低迷

・キャッシュレス、デジタル化進展への対応不足によるサービスの競争力低下

b.機会

・ビジネスモデルと企業文化の変革による地域のクオリティ向上への貢献

・事業性理解を起点とし、課題の共有・解決を目指すコンサルティング&アドバイザリーの展開

・高齢化社会、人生100年時代を見据えた資産形成・運用や資産の有効活用、相続・資産継承に対する意識の高まり

・NISA恒久化などの制度改正

・地域での資金循環、生産性向上を目指したキャッシュレス、デジタル戦略の展開

 

イ.地域に貢献する人材育成への取組みに関するリスクおよび機会の認識

a.リスク

・不十分な人材育成による顧客サービスの低下に起因する、地域への提供価値の悪化

・職場環境や人事戦略の魅力の欠如による人材流出や、人材不足に起因する戦略遂行の停滞

b.機会

・プロフェッショナル人材の育成や、多様な人材の活躍による高付加価値な顧客サービスの提供

・エンゲージメント向上策を通じた企業ブランドの浸透、価値観の共有による組織力の強化

 

ウ.上記に対する当社の取組

・プライベートエクイティを通じた成長支援

・地方公共団体とのコラボレーションによる生産性向上への貢献

・コンサルティング&アドバイザリー機能の発揮

・ライフプラン・資産形成サポート、職域含む金融教育への取組

・デジタル・キャッシュレス社会創出への貢献

・金融機能の安定性の維持

 

③ガバナンス(Governance)

 当社は、株主・投資家のニーズ把握に基づいた積極的な情報開示による経営の透明性の向上や、適切な企業統治やシステムリスク管理、セキュリティ対応の充実による社会的信頼の確保に取り組んでいます。

ア.株主・投資家との対話による経営の透明性の向上に関するリスクおよび機会の認識

a.リスク

・株主・投資家ニーズ把握や積極的な情報開示の欠如による、経営の透明性の悪化

・デジタル対応の不足による、社内生産性の低下

・不適切な企業統治やシステムリスク管理、セキュリティ対応の不足による社会的信用失墜

b.機会

・個別面談重視のIR活動を通じた深い対話による、株主・投資家ニーズの把握、経営戦略や情報開示への反映

・DX、システム戦略を起点とした全体改革による戦略遂行力の強化

 

イ.株主・投資家との対話による経営の透明性の向上に向けた当社の取組

・DXを活用したコーポレート・トランスフォーメーションによる社内情報および社内議論プロセスの見える化

・業務効率化

 

④人的資本(マテリアリティ⑥地域のクオリティ向上に貢献できる人材の育成への対応)

ア.経営戦略と人材戦略の連動:事業ポートフォリオに沿った人材ポートフォリオの構築

 当社は、2021年にグループシナジーの最大化と持続的な成長の実現を目的として持株会社体制へ移行しました。さらに、2025年10月には社名をCCIグループへ変更し、従来の「北國銀行ブランド」に加え、地域金融の枠を超えた事業領域の拡大や北陸以外・海外への展開を担う「CCIブランド」を加えた2ブランド体制へ移行しました。

 本体制のもと、コンサルティング、海外展開、キャッシュレス、投資事業に加え、地域活性化等を担う新たなグループ会社(CCIクロスボーダー、CCIエンタベース等)を設立するなど、地域の社会課題解決を起点とした事業ポートフォリオの拡大を進めています。こうした事業ポートフォリオの転換と拡大を着実に実現していくためには、再構築された事業構造に適合した動的な人材ポートフォリオの構築と、それに基づく適切な人材配置が不可欠です。当社はこれを経営の最重要事項の一つと位置付けています。特に、成長領域および強化領域への人材の重点配置は、社員一人ひとりの創造的価値創出力を最大限に引き出し、高い付加価値の発揮につながるものと認識しています。

 このような人材ポートフォリオの構築を実現する基盤として、「キャリア自律」を、個人の成長施策にとどまらず事業戦略を実行するための経営基盤として位置付けています。変化の激しい事業環境の下で組織が持続的に成長するためには、社員一人ひとりが自らの意思でキャリアを構想し、学習と挑戦を重ねていくことが不可欠であると考えています。こうした考え方に基づき、当社では勤務年数に依存しないジョブや役割に応じた処遇を実現するとともに、社員がリカレント教育や将来設計に主体的に投資できる環境整備を進めてきました。これらの取組みにより、人事機能は管理中心の役割から、事業ポートフォリオの転換を支える戦略機能へと進化しています。その結果、個人の成長と事業成長が相互に影響し合う好循環を創出し、人的資本経営の高度化を実現しています。

 

イ.人材戦略を支える基盤:人材エコシステム

 当社は、急速に変化する事業環境と多様化するマーケットに対応し、持続的な企業価値向上と地域社会への貢献を両立するため、「人的資本への投資」を経営の重要施策と位置付けています。その中核となるのが「人材エコシステム」であり、採用・育成・配置・活躍・輩出の一連のプロセスを循環的に結び付け、人材価値の最大化を図っています。

 当社は、新卒採用に加えキャリア採用や外部パートナーとの協業を通じて多様な専門性を取り込みつつ、社内においては教育施策や配置転換、公募・ジョブチャレンジ制度等を通じて挑戦機会を提供し、社員一人ひとりの能力発揮と成長を促進しています。

 さらに、育成したプロフェッショナル人材を地域企業へ輩出し、経営課題の解決や価値創出に貢献するとともに、社外で培った知見を当社へ還流させることで、持続的な価値創出につながる双方向の人材循環を構築しています。これにより、社内外を横断した知見の循環が生まれ、事業ポートフォリオの高度化と持続的な企業価値向上につながっています。これらの取組みは、DE&I、ウェルビーイング、組織文化、挑戦を尊重するマインドセットを共通基盤として支えられており、人的資本の持続的な高度化を実現するものです。当社はこうしたエコシステムの進化を通じて、1人当たり付加価値の向上と企業価値の最大化を目指してまいります。

 

ウ.人材育成方針

人材育成方針の全体像

 当社の人材戦略は、社員一人ひとりの成長・育成を起点とし、事業戦略と連動させて推進することを基本方針としています。両利きの経営の本格化に伴い、地域金融から非金融領域へと事業ポートフォリオを転換する過程で、各事業領域で求められる経験やスキルは多様化・高度化しています。

 このような環境変化を踏まえ、当社は目指すべき人材像を「事業戦略を実現・発展できるプロフェッショナル人材」と再定義し、事業戦略ごとに必要な人材ポートフォリオを明確化したうえで、現状とのギャップを特定し、戦略実現に必要な施策を体系的に展開しています。具体的には、①経営人材の育成、②デジタル・AI活用人材の育成、③人員構成のシフトに向けた育成の3本柱により取組みを推進しています。

 

変革を主導する経営人材の育成

 当社では「経営人材」を「社内外を問わず、経営資源(ヒト・モノ・カネ)を活用し、事業を構想・創出し、機動的に推進できる人材」と定義しています。地域金融機関として信頼性の高い金融サービスを提供しつつ、新ビジネス領域では地域課題の解決に挑戦・創造することを目指しており、その実現には事業を構想し推進できる経営人材がこれまで以上に必要となります。外部企業のニーズに応えつつ、将来的に社内の経営にも関与できる人材の継続的な輩出に加え、海外フィールドで事業を推進できるグローバル人材の育成にも取り組んでいきます。

 当社では自律して学び続ける「リカレント教育」の重要性を推奨しています。社員の主体的な「学び」に対する費用補助を実施し、リスキリングおよびリカレント教育への継続的な取組みを推進しています。

 そのなかでも、経営人材育成の中核として、当社は2020年より大学院(MBA等)での学びを経営戦略上の重要な要素と位置付け、構想力・論理的思考力・問題解決力など、変革を牽引するために必要な高度なスキルの体系的な習得を支援してきました。修了生・在学生の合計は2020年3月の2名から現時点で102名へと着実に拡大し、ビジネスプランの事業化、グループ会社・地域企業での取締役就任、30代若手社員のグループ会社社長就任など、実践的な成果も生まれています。また、今後はこうした「学び」に加えて「実践機会」の提供をさらに強化していきます。

 QRインベストメントでのハンズオン業務やCCイノベーションでのコンサルティング業務など、社外で経営に実際に関与する機会を計画的に提供し、経験を重視した育成へと進化させます。学びと実践を両輪で回すことによって、構想から推進までを担える経営人材を継続的に輩出する体制を構築していきます。

 

デジタル・AIを活用できる人材の育成

 両利き経営の本格化と人員減少を見据え、グループ全体の生産性向上と付加価値創出を図るため、当社ではデジタル・AIを活用しイノベーションを創出できる人材の育成を本格化させています。生成AIの台頭により業務の不確実性が高まる中、IT技術やAIを活用して自社や顧客に価値を提供できる人材の確保は、戦略実現に不可欠と捉えています。育成にあたっては、全社員を対象に基礎から戦略的なビジネス創出までを段階的に担う3層構造を設定し、影響範囲と求められる役割に応じて、レベル1.0「自身の業務を効率化できる」、レベル2.0「所属する部署やチームを巻き込み業務変革や新サービスを生み出せる」、レベル3.0「地域や組織全体を巻き込み新たなビジネスモデルを構築できる」と定義しました。今後5年間で全社員がレベル1.0以上に到達することを目標とするとともに、新たなビジネスモデルを構築できる3.0人材についても両輪で計画的に育成していきます。それにより、生成AIの活用を含めたデジタル人材育成を推進し、全社員の生産性向上と新たな価値創出を図っていきます。

 

AI活用に向けた取組み~Copilotチャンピオン~

 業務の抜本的な変革を現場発で推進するため、当社では各部門およびグループ会社に「Copilotチャンピオン」を配置し、生成AI・AIエージェントの実務適用を牽引する取組みを開始しました。2024年11月のCopilot導入以降、利用者は着実に拡大し、現在は約900名が日常業務でCopilotを活用するまでに至っています。チャンピオンは自部門の定型業務をAIに置き換える実証を主導するとともに、得られた知見を組織横断で水平展開する役割を担います。月次の成果共有会や社内コミュニティを通じて先進事例とユースケースを蓄積し、法人営業担当者向け勉強会、個人部門の「Copilot活用Labo」、AIエージェント勉強会など、業務特性や習熟度に応じた学びの場を継続的に運営することで、現場主導の業務改革を組織能力として定着させています。これらの取組みにより、定型業務から高付加価値業務への人材シフトを着実に進め、生産性の飛躍的向上と新たな顧客価値の創出につなげていきます。中長期的には「人:AI=9:1から5:5へ」と業務体制を抜本的に変革する方針のもと、AIを前提とした業務フローへの再設計や、業務を自律的に遂行するAIエージェントの本格活用につなげ、戦略実現を支える業務体制の構築を加速していきます。

 

エ.活躍

事業ポートフォリオに合わせた人材シフト

 当社は、「両利きの経営」の実現に向け、事業ポートフォリオの転換と連動した人材ポートフォリオの変革を推進しています。コンサルティング、海外戦略、キャッシュレス、デジタル・システム、投資・運用、地域活性化といった新規ビジネス領域に従事する社員数は、2026年3月末時点で488名まで拡大しており、2030年3月期には699名へと引き上げることを目標としています。

今後は、AIやデータ活用による業務の生産性向上を図りながら、新規ビジネス領域に従事する社員割合を一層高めていく方針です。人的資本とデジタル資本の融合による相乗効果を通じて、組織全体の競争力の向上を目指しています。

 また、投資・運用事業の強化に加え、2027年1月に予定している次期勘定系システム「BankWill」の稼働や、その後の金融システムの他行展開を見据え、関係部門への計画的な人員シフトと専門人材の採用を推進しています。これにより、事業戦略の実現に向けた実行力の強化を図っていきます。

 さらに、業務の効率化と付加価値創出を両立する観点から、AI等のデジタル技術を活用しながら業務構造の見直しを進めることで、人材をより高付加価値領域へと再配置しています。このような人材ポートフォリオの構築にあたっては、事業ポートフォリオごとに求められる人材要件の明確化が不可欠です。当社では、スキルマップ等を活用し、職務に必要なスキルセットの体系的な定義・可視化を進め、採用・育成・配置の各プロセスにおける人材マッチングの精度向上に取り組んでいます。

 一方で、事業領域の拡大や求められる専門性の高度化に対し、人材要件の定義およびスキルの可視化についてはさらなる精緻化の余地があると認識しています。今後は、事業戦略との連動性を一層高めながら、人材要件の高度化とデータに基づく人材配置の最適化を推進してまいります。

 

地域へのプロフェッショナル人材輩出

 当社の出向は、社員が経営人材として実践の場で価値を発揮する機会と位置付けています。

 出向者人数は着実に増加しており、また求められる役割にも変化が見られます。近年は変化の激しい環境のなかでも、地域を牽引できるプロ経営者として期待する声が高まっています。具体的には、経営委任を受け取締役として転籍し代表取締役へ就任するケース、業務執行責任者として出向後に取締役へ転籍するケースなど、社員のキャリアと地域企業のニーズに合わせた機会を整えています。このようなプロ経営者としての活躍は、社員に多様な活躍機会を提供するとともに、地域企業の価値向上や地域社会への貢献につながっています。

 

オ.多様性(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン):誰もが活躍できる組織へ

女性活躍推進

 当社は、多様な価値観を認め合い、社員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる組織の実現を目指しています。職種の公募制や昇進の手挙げ制、ジョブチャレンジ制度などを通じて、年齢や性別に寄らない挑戦機会を提供し、特に若手や女性の主体的なキャリア形成を後押ししています。

 女性活躍の推進においては、女性管理職の登用を積極的に進めるとともに、コミュニティの場づくりのため、異業種で活躍する女性役員・社員との合同研修や、女性管理職間での意見交換会を実施しています。また、女性の活躍フィールドの拡大に向けて、パートタイマーから正社員への転換を推進しており正社員比率は2025年度に92.4%(2021年度比6.3%上昇)まで向上しています。

 さらに、出産・育児等のライフイベントとキャリアの両立を支援するため、産前・育児休業中の社員へのワークショップを継続的に実施し、円滑な職場復帰と長期的なキャリア形成を支援しています。多様なライフステージにおいてもキャリアを継続し、能力を発揮できる組織づくりを進めています。

 一方で、女性の活躍推進に関しては、管理職比率の向上や意思決定に関わるポジションに占める女性の割合については、なお改善の余地があると認識しています。特に法人分野など一部の事業領域においては、女性のキャリアが途切れることなく継続される環境整備が重要な課題となっています。

 今後は、これらの課題を踏まえ、女性管理職の計画的な育成・登用に加え、キャリア形成の早期段階からの支援や、専門性の高い分野における継続的な活躍機会の創出を通じて、意思決定に参画する女性割合の向上を図ってまいります。

 

多様なバックグラウンドを持つ人材の採用

 多様なバックグラウンドを持つ人材の採用にも注力しています。キャリア型人事制度のもとで多様な人材が活躍できる環境整備が進んだことにより、キャリア採用比率は2025年度に65.6%まで上昇しています。加えて、専門職採用(エキスパートコース)の新設や外国人留学生の採用拡大により、多様な専門性や価値観をもつ人材を取り込むことで、組織の競争力強化とイノベーション創出につなげています。

 

多様な働き方を可能にする制度

 多様な働き方を実現するために制度整備も進めています。休暇や短時間勤務制度の対象を育児・介護に限定せず拡大するとともに、2024年3月よりフレックスタイム制度の対象者を拡大し、コアタイムを廃止したスーパーフレックス制度を導入しました。これにより、短時間勤務制度との併用による週4日勤務など、柔軟な働き方が可能となっています。

 

男女の賃金の差異解消に向けて

 従来の人事制度では、勤続年数や「総合職・一般職」といったコース区分により、同じ業務内容(ジョブサイズ)でも男女間に大きな賃金の差異が生じていました。キャリア型人事制度開始以降のキャリア給の見直しでは、性別に関係なくジョブサイズに応じた公正な評価制度を導入し、役割ごとの賃金の差異は大幅に縮小されました。しかしながら、全体としての男女賃金の差異は依然として56.3%と大きく重要な課題として残っています。

 これは、「女性の管理職昇進率が低く、上位職に就く女性が少ないこと」と、「従来のコース別人事制度の影響により、女性社員が個人部門やオペレーション部門に偏っていること」の2点を主要因として生じているものです。今後は、これまで以上に意欲的に挑戦する女性を支援し、性別に寄らず職位や役割の選択が可能となる体制づくりを進めていきます。

 

カ.組織風土:エンゲージメントとウェルビーイング

社員エンゲージメントが映す組織風土の進化

 社員のエンゲージメントの状況を可視化する指標として、当社は2022年から半期ごとにeNPSSM(社員ネット・プロモーター・スコア)を測定し、社員の働きがいの変化を継続的に把握してきました。直近の第6回調査(2025/11)の平均推奨度は6.1点と、導入以降中長期的に上昇基調を辿り、過去最高スコアを更新しています。

 eNPSスコアも初回(2022年1月)の▲52.4から最新では▲46.8へと改善し、業界平均(▲62.9)を一貫して上回り続けています。背景には、職場での1on1ミーティングの徹底、対話を通じた役割ベース賃金制度への見直し、キャリアデザイン研修の継続実施、ウェルカムミーティングなど、社員の声に真摯に向き合いながら一つひとつ施策を積み上げてきた取組みなどが挙げられます。

 一方で、社名変更直後のスコアにおいて、「CCIグループのブランド理念に共感できる」にポジティブな回答をした社員の割合は77.7%から63.1%へ低下しました。スローガン「さあ、協創社会へ。」への共感は60.8%、事業戦略の目的・狙いへの共感は55.2%とどまり、いずれも改善余地があります。

 こうした背景には、社名変更および「両利きの経営」の本格化に伴い、事業ポートフォリオが大きく転換する中で、企業としての存在意義や戦略と日々の業務との接続について、社員一人ひとりが自分ごととして再構築する必要が生じていることがあると認識しています。

 これらの課題への対応として、当社ではトップマネジメントと社員の対話の量・質の両面を見直し、理念共感の再構築に取り組んでいます。CEO自らが直接社員と対話する「CEO1on1」「CEOと社員持株会との対話の機会」、「入社時のCEOを交えたウェルカムミーティング」や、各事業責任者が専門領域ごとに戦略を発信するコミュニケーション機会を通じて、経営の意図や戦略の背景を直接共有するとともに、社員の声を吸い上げる双方向の対話を促進しています。また、社内ポータルTeamsを活用した情報発信により、理念・戦略と日常業務を結び付ける取組みを進めています。

 昨年からの改善事例として、女性社員のエンゲージメントの向上が挙げられます。女性のeNPSは2022年1月の▲71.2から2025年11月には▲60.4まで改善しており、その背景には、現場部門が主体となった働きがい向上施策があります。社員同士の対話を通じて業務の意義や価値を再定義する取組みを展開した結果、現場主導の内発的な動機づけと人事施策が連動し、エンゲージメント改善につながりました。

 当社では、エンゲージメントサーベイを単なる測定にとどめることなく、グループ戦略会議において結果を共有し、各組織に課題の特定と改善施策の実行を行う運用を定着させています。部署別分析を基に、役員・部長が主体となって改善を推進するとともに、好事例を全社で共有することで、経営主導と現場主導の施策を組み合わせた改善サイクルを構築しています。今後も、サーベイ・分析・対話・改善・再測定のサイクルを継続的に回すことで、人的資本経営を測定可能な経営アジェンダとして定着させるとともに、両利きの経営を支える組織基盤の強化を図ってまいります。

 

フラットでアジャイルな組織

 当社は、フラットな組織で、働きやすく・働きがいのある会社を目指しています。

 年齢、性別、立場・役割に関係なく、社員一人ひとりが自律して考えて発言し、対話できる環境を大切にしています。全社ペーパーレス化やMicrosoft Teamsの活用による議論の見える化、役員フロアの廃止などの物理的な壁の廃止に合わせ、対話を重視したコミュニケーションなどの取り組みにより、心理的安全性が高くフラットな組織風土を実現しています。これにより、戦略の背景・目的から理解を深め、社員自らがオーナーシップマインドをもち、主体的な行動につなげるための取り組みを実施しています。

 

社員の健康とウェルビーイング

 企業価値の最大化を支える人材エコシステムの基盤となるのは、社員が心身ともに健康で活躍できる状態にあることです。当社では、社員の健康支援において、会社・健康保険組合・社員組合の三者が密に連携し、健康経営の高度化に取り組んでいます。その結果、2025年には5年連続で「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を受けるとともに、厚生労働省が定める総合評価指標において2年連続全国1位を獲得するなど、多面的な取組みが高く評価されています。

 また、産業医、メンタルヘルス嘱託医、産業カウンセラー、精神保健福祉士、保健師、管理栄養士等で構成される「ウェルネスサポートチーム」を設置し、専門職による支援体制を整備しています。2025年度には、社員との相談・面談件数が延べ3,293回にのぼり、休職期間の短縮や欠勤率の低下を通じて、社員のパフォーマンス向上に寄与しています。さらに、2025年度より生活習慣の改善を支援する行動変容ツールを導入し、社員一人ひとりの健康データに基づく個別支援を強化しています。健康診断結果と連動した具体的な改善行動の可視化や継続的なフォローを通じ、単発的な施策にとどまらない持続的な健康行動の定着を促進しています。

 これらの取組みに加え、三者連携による役割分担と情報共有のもと、健康課題の把握から施策の実行、効果検証に至るまで一体的に推進する体制を構築しています。これにより、実効性の高い健康施策の展開と継続的な改善サイクルの確立を図っています。

 今後は、ヘルスデータの可視化・分析をさらに高度化し、個人単位の支援にとどまらず、組織単位での健康課題の特定と改善につなげることで、生産性向上および人的資本価値の最大化を目指してまいります。

 また、業務効率化により時間外労働時間は月平均6.5時間程度、有給休暇取得率も約84%と、働きやすい環境が醸成されています。働きやすさに加え、働きがいも兼ね備えた「プラチナ企業」として認められています

 

育児・介護とキャリアの両立支援によるサステナブルな働き方の実現

 当社では、多様な働き方を実現し、働きやすい職場環境整備を進めてきました。男性育児休業取得率は105.6%とほとんどの社員が育児休業を取得していますが、一方で平均取得日数は約15日と短期間にとどまっており、実質的な育児参画や家庭内の役割分担の変革には十分に至っていない点を課題と捉えています。

 制度の存在は認知されているものの、具体的な取得時期や期間、業務引継ぎに対する理解不足や、職場風土への不安が長期取得を阻害する要因として顕在化しています。この課題に対し、当社では「制度の理解」「風土」「業務運営」の三層構造で打ち手を講じています。具体的には、パートナーが出産予定の社員に対し、「プレパパセミナー」を実施し、制度理解を促進しています。また、人材開発部長による上司・職場を巻き込みながら取得をすることの意識醸成に加え、業務分担や引継ぎの仕組み化を進め、取り組み事例を共有するなど長期取得を前提とした組織運営への転換を図っています。

 介護分野においては、今後の人材戦略上の重要課題として、「潜在的なビジネスケアラーの把握」と「早期の制度理解促進」に取り組んでいます。当社では全社員を対象とした介護に関するアンケートを実施した結果、「介護制度があることは知っているが内容まで把握していない」が約62%と制度理解が不十分である社員が多数存在することがわかり、約90%の社員が将来的な介護への不安を抱えていることが明らかとなりました。こうした実態を踏まえ、まずは制度を正しく理解し、早期に備えることを目的として介護セミナーを実施しました。当該セミナーでは、介護保険制度や社内の両立支援制度の解説に加え、実際の介護経験者の事例紹介や専門家による講話を行い、社員の理解促進と心理的ハードルの低減を図っています。また、セミナー後には相談窓口の活用促進や継続的な情報提供を行い、制度を「知っている」状態から「使える」状態への転換を目指しています

 

ファイナンシャルウェルネスの取組み

 当社は、人的資本経営の一環として、社員の中長期的な生活基盤の安定と主体的なキャリア形成を支援する観点から、ファイナンシャルウェルネス向上に取り組んでいます。全社員向け説明会に加え、NISA、持株会、確定拠出年金制度をテーマとした資産形成説明会を実施し、金融リテラシー向上と自律的な資産形成を支援しています。

 また、従来の退職金制度に加え、退職金の一部を「キャリア支援金」として前払いで受け取ることができる制度を導入し、キャリア採用者を含め入社時期による不利益が生じにくい公平な制度設計とすることで、自己投資や長期資産形成に活用可能としています。今後も社員が安心したライフプラン設計ができるよう、キャリアと資産経営両面でのサポートを行ってまいります。

 

キ.コンプライアンス・安全な職場環境

 当社では、コンプライアンスの強化に加え、社員一人ひとりが自らの良心と判断に基づき行動する「インテグリティ」の向上を重要なテーマと位置付けています。

 経営層からの継続的なメッセージ発信に加え、研修や教育、実践的なディスカッションを通じて、社員一人ひとりのコンプライアンス意識の醸成を行っています。また、各業務部門や営業店等では、コンプライアンス責任者が中心となり、違反行為の未然防止に向けた取組みを強化しています。これにより、ルールの自己解釈や形骸化を防ぎ、社員が自律的に行動できる環境づくりを目指しています。コンプライアンス統括部門は、これらの取組みを支える実効性のあるモニタリング体制を整備し、継続的な改善を図っています。

 毎年実施している「コンプライアンス意識調査」では、社員の意識浸透や企業風土の変化を把握し、その結果や内外環境の変化を踏まえ、コンプライアンス・プログラムの内容を継続的に見直しています。

 上記のように、当社は「人こそが経営の根幹である」という考えのもと、経営戦略、特に新しい2ブランド体制における事業ポートフォリオと強く連動した人材戦略を推進してまいります。事業領域の拡大と地域貢献という高次の目標達成のため、多様な人材の活躍を支援し、働きがいのある組織風土の醸成し、そして強固なガバナンスと安全な職場環境の構築に、全社を挙げて積極的に投資し、取り組んでまいります。

 

(4)リスク管理

①統合的リスク管理におけるサステナビリティ関連リスク

 当社では、リスク管理に関する基本事項を「統合的リスク管理規程」として制定し、各グループ会社の管理部門が適切なリスク管理を実施し、統括部署として当社経営管理部が統合的にリスク全体の管理を行っております。具体的には、サステナビリティ関連リスクを含む各種リスクについて定期的にグループ会社等の直面するものを洗い出し、洗い出したリスクの規模・特性を踏まえ、管理対象とするリスクを特定しています。

 具体的なサステナビリティ関連のリスク及び機会を認識・評価および管理するプロセスは以下の通りです。

 

②サステナビリティ関連リスク及び機会を識別・評価するプロセス

 当社では経営企画部、経営管理部を中心とし、北國銀行マーケティング部、コンサルティング子会社である株式会社CCイノベーション等を含めた部署横断的なプロジェクトによりサステナビリティ関連リスクを識別・評価したうえで、リスクに対する機会を識別・評価する体制を取っております。

③サステナビリティ関連リスクおよび機会を管理するプロセス

 ②で識別・評価されたリスク及び機会については、上記プロジェクトの枠組みにおいて管理し、随時対応について議論・協議を行っております。また、「(2)ガバナンス」記載の通り定期的にグループ戦略会議で協議されるとともに、取締役会に報告されております。

 サステナビリティ関連リスクおよび機会を管理するための主な手法は以下の通りです。

 

ア.シナリオ分析

 フォワードルッキングな業務戦略の策定・遂行のため、ストレステストにより、危機発生時のグループの影響等をあらかじめ分析・把握するように努めています。

 サステナビリティ関連リスクにおいては、物理的リスクや移行リスクに関して、ストレステストの手法を活用したシナリオ分析を実施し、当社への財務的影響をあらかじめ把握しています。シナリオ分析の詳細は「(3)戦略 ①環境(Environment)」をご参照ください。

 

イ.セクター別のリスクコントロール

 当社は、サステナビリティ方針とマテリアリティに基づき、投融資方針およびセクターポリシーを設定し、環境・社会に悪影響を及ぼす可能性の高い投融資を低減・回避するよう努めております。

<投融資方針>

積極的に支援する事業

お客さまの環境・社会・ガバナンスにかかる取組及びその事業

投融資を禁止する事業

反社会的勢力および事業

児童労働・強制労働を行っている事業

核兵器・化学兵器等の大量破壊兵器やクラスター弾等の非人道的な兵器を開発・製造する事業

特定セクター

(セクターポリシーに基づき判断)

石炭火力発電セクター・クラスター弾製造セクター・森林セクター・パーム油農園開発セクター

<セクターポリシー>

石炭火力発電事業

気候変動リスクへの対応や環境保護、持続可能なエネルギーへの取組

を踏まえ、石炭火力発電事業に対する投融資については、個別案件ごとに慎重に対応を検討します。

クラスター弾製造関連事業

クラスター弾の非人道性を踏まえ、クラスター弾を製造している企業向け投融資については禁止します。

森林伐採事業

大規模な森林伐採事業に対する投融資については、お客さまの環境・社会への配慮の状況や地域の環境・社会への影響を踏まえて、慎重に対応を検討します。

パーム油農園開発事業

森林資源や生物多様性の保全、人権保護の観点から、パーム油農園開発向け投融資について禁止します。

 

(5)指標と目標

①環境(Environment)

 当社は、気候変動に係るリスク並びに機会を測定・管理するため、また地域の気候変動に対する意識の啓蒙のため、GHG排出量や取引先のESG・SDGsの考え方についてのヒアリング状況などの指標を活用しております。

ア.当社におけるGHG排出量

 当社は、自社GHG排出量(Scope1,2)における2030年度に2013年度比100%削減を実現する目標を掲げており、当社及び当社連結子会社の国内外拠点を対象に、GHGプロトコルに沿った精緻な排出量把握と削減に向けた取組を進めております。

 

イ.Scope1,2について

 2025年度の当社によるCO排出量削減実績は5,100t-COであり、2013年度比49.9%削減となりました。

2030年度の目標である2013年度比100%削減に向けて以下の取組を進めております。

・店舗新築時のZEB対応の実施(Nearly ZEB:5拠点 ZEB Ready:5拠点)

・店舗屋上での太陽光発電設備設置

・営業車両の削減

・EV(HV)車への入替

 

ウ.Scope3について

 Scope3のうち特にカテゴリー15の投融資によるCO排出量は、金融機関において重要なCO排出量削減の対象であり、試算を行いました。試算結果は以下の通りです。

CO排出量6,233,592t-CO

 また、Scope3カテゴリー15(投融資分)上位3業種の排出量は以下の通りです。

業種

排出量(単位:t-CO

金属製品

851,924

電力

789,401

食品

697,078

 

エ.地域の気候変動に対する意識の啓蒙のための取組

 当社では、地域での気候変動に対する意識の啓蒙のため以下の指標と目標を設定しております。

 

2025年度実績

2026年度

2027年度

2028年度

事業性理解を通じた温暖化ガス排出量の計測、記録状況 記録先数のヒアリング件数

322

1,390

3,100

4,620

サステナブルファイナンス取扱件数(リース、融資)

111

160

200

240

 

②社会(Social)

 地域経済活性化への取組についての戦略を進めるにあたり、当社では次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

戦略

項目

目標(2026年度)

2025年度実績

ⅰ)地方公共団体とのコラボレーションによる生産性向上への貢献

・トチツーカユーザー数(※)

・トチツーカ決済額(※)

・150,000人

・4,720百万円

・107,100人

・549百万円

ⅱ)コンサルティング&アドバイザリー機能の発揮

・コンサルティング契約額

・2,600百万円

・2,297百万円

ⅲ)ライフプラン・資産形成サポート、職域含む金融教育への取組

・投資信託・北國おまかせNavi、401K等口座数

・投資信託・北國おまかせNavi、401K等運用残高

・71,560件

 

・156,300百万円

 

・69,608件

 

・152,200百万円

 

ⅳ)デジタル・キャッシュレス社会創出への貢献

・北國Visaデビットカード決済額

・カード加盟店数

・109,116百万円

・7,680件

・89,079百万円

・6,936先

 ※トチツーカとは自治体が発行するポイント(トチポ)、北國銀行が発行するステーブルコイン(トチカ)の総称をいいます。

 

③ガバナンス(Governance)

 ステークホルダーに関するガバナンス向上についての戦略を進めるにあたり、当社では次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

戦略

項目

目標

2025年度実績

コーポレート・ガバナンス体制

・社外取締役比率

・取締役会開催回数

・指名報酬委員会開催回数

・CEOによる1on1MT実績

目標は定めておりませんが、各項目についてPDCAを回す体制となっております。

・55%

・11回

・8回

・32回

 

 

④人的資本に関する指標と目標

 人材育成戦略を進めるにあたり、当社では次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次のとおりであります。

 なお、「新規採用に占めるキャリア採用比率」「男性育休取得率」「出向者のうち経営に携わる人材割合」については、2025年度実績にて目標値に到達しておりますが、サステナビリティの観点から継続的に目標水準を達成することが必要不可欠と認識し記載しております。

 また、「配属公募(ジョブ・チャレンジ制度手挙げ含む)、昇進公募」「新規事業開発公募」「研修、講座の受講者数」「社内コラボレーション参加人数」については、目標(達成時期)は定めておりませんが、人材育成戦略上重要な指標であることから実績のみ記載しております。

戦略

項目

目標(達成時期)

2025年度実績

全体

一人当たり付加価値額

3,530万円(2030年3月期)

2,042万円

人的ポートフォリオ(※1)

新事業人員割合35%(2031年3月期)

26.1%

採用

新規採用に占めるキャリア採用比率

50%超を維持

65.6%

キャリア採用おけるエキスパート割合(※2)

50%(2031年3月期)

34.6%

管理職・チーフのキャリア採用比率

20%(2031年3月期)

11.8%

育成

人材育成投資額(※3)

35,000万円(2031年3月期)

10,300万円

デジタル人材比(※4)

70.0%(2031年3月期)

45.5%

高度な学びに取組む社員割合

(※5)

30%(2031年3月期)

9.1%

活躍

平均賃金(※6)

900万円(2031年3月期)

706万円

手挙げの挑戦人数

①配属公募(ジョブ・チャレンジ制度手挙げ含む)、昇進公募

351人

②新規事業開発公募

21人

③研修、講座の受講者数(※7)

248人

④社内コラボレーション制度参加人数(※8)

85人

女性管理職比率

30%(2031年3月期)

22.1%

正社員比率

100%(2035年3月期)

92.4%

環境

プレゼンティーズム(※9)

85%(2031年3月期)

81.3%

男性育休取得率

100%超を維持

105.6%

男性育休期間

30日(2031年3月期)

15.2日

輩出

出向者数

165人(2031年3月期)

87人

出向者のうち経営に携わる人材割合(※10)(※11)

80%(2031年3月期)

86%

(※1)コンサルティング、海外戦略、キャッシュレス、デジタル・システム、投資・運用、地域活性化に関する業務を担う社員の割合

(※2)チーフ職以上の社員の採用割合

(※3)研修費、研修にかかる旅費、受講費用補助、難関資格取得費用補助等

(※4)AIツールを日常的に利用している社員の割合

(※5)MBA挑戦・修了者数、自己啓発奨励金対象資格挑戦者

(※6)従業員向け譲渡制限付株式制度(RS)付与分を含む

(※7)オンライン講座、ビジネススクールの受講者及び難関資格に挑戦する社員

(※8)社員のキャリア形成支援の一環として他部署の業務を体験する制度

(※9)当社社員が発揮している仕事の出来(パフォーマンスの状態)

(※10)出向者数には転籍者3名を含む

(※11)出向先において、部長級以上の職位を担う人材