2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、以下のようなものがあります。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 経済環境、特にEC市場の成長鈍化リスク

当社グループの提供する決済サービスは、BtoC及びBtoBそれぞれにおける経済活動に付随するものです。従って、国内を中心とした経済活動が停滞する場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社サービスのうち特に「NP後払い」はECを対象としたサービスです。今後、EC関連法規の改正等によりEC市場の成長が鈍化した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② BNPL決済市場の成長鈍化リスク

当社グループの提供する決済サービスは「後払い」を強みとしたものであり、販売元には販売代金の早期回収を、購入者には購入代金支払いタイミングの長期化を提供することで、商流の活性化を促していると認識しています。一方で決済手段には、従来の現金決済、プリペイド方式及びデビットカード等の消費者がすぐに取引プロセスを完了できる方法や、クレジットカード及びQRコード決済等の消費者が支払いを先延ばしにできる方法が存在し、BNPL決済は両方の方法での競争に直面し続けることになります。当社グループの提供するサービスは上述の通り、購入者は商品到着後、内容を確認してから代金を支払えるため、商品に係るトラブルを避けることができ、販売元はその購入者ニーズを満たすことで新規注文及び追加注文等を期待できるため、売上拡大に寄与します。この観点から、当社グループの提供するサービスは、購入者及び販売元双方の利用者に付加価値のあるものであり、商品到着前に支払いを完了する必要があるほかの決済サービス対比で十分競争力のあるものであると判断していますが、今後決済手段としてほかの方式が拡大することで当社対象市場が奪われるような事態になれば、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ BNPL決済市場における競争の激化

足許、世界的なBNPL決済サービスの拡大もあり、当社グループの提供するBNPL決済方式と類似のサービスを提供する事業者が増加しているものと認識しています。当社グループは当該市場にいち早く進出し、与信判断システムや決済オペレーションフロー等の独自の仕組みを構築することで、業界最高水準の与信通過率と最低水準の未払い率を実現しており、利便性と収益性を兼ね備えている点において、高い競争力を有していると認識しています。しかしながら今後、新規参入する他社との競争が激化し、手数料の減額や顧客離れが生ずる場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 法規制強化の可能性

BNPL決済サービスの関係する法令には、「貸金業法」「資金決済法」「割賦販売法」「債権回収業に関する特別措置法」「弁護士法」「犯罪による収益の移転防止に関する法律」等がありますが、2025年3月末時点の当社グループのBNPL決済サービスの現在のビジネスフローでは、いずれの法令における規制にも該当する事項はないことを、顧問弁護士及び(顧問弁護士を通じて)監督官庁に確認しています。

また、当社グループは、BNPL決済サービスの自主規制団体である日本後払い決済サービス協会会員です。同協会では、後払い決済サービス取引の公正を確保し、購入者の利益を保護することを主な目的として「加盟店審査に関する自主ルール」を定めており、当社グループもこれに準じて後払い決済サービスを提供しています。また、同協会では、協会に参画する各社で加盟店の審査情報を共有する制度も開始しています。当社グループは、これらのルール等の策定等における同協会の活動として、経済産業省を中心とする関係機関との協議を行っています。

しかしながら、当社グループの提供するサービスにおいて、今後法令の改正や法解釈の変更、または新しい法令の制定により何らかの規制が加わる場合には、現行のままでのサービス提供が困難となる可能性があります。その場合は、オペレーションの変更やサービス内容の変更等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

「atone」ではこれまで一括払いの後払いを提供してきましたが、2025年3月期より、株式会社ネットプロテクションズにおいて割賦販売法に基づく業登録を行い、分割払いのサービスのテスト提供を開始しています。2026年3月期にはポイント還元率がより高く、分割払いである「atone分割」も利用可能な「atoneプラス」の正式リリースを予定しています。更に、2024年4月に株式会社ネットプロテクションズの子会社として株式会社NPファイナンスを設立し、2024年10月よりオンライン・レンディングサービス「NPハンディレンディング」を提供開始しています。新規事業の開始にあたり、株式会社NPファイナンスにおいて貸金業法に基づく業登録を行いました。

 

⑤ 関税リスク等

当社グループでは、内需取引に関する決済サービスを提供しており、現時点では米国関税による直接的な影響はございません。

しかしながら、米国関税政策等により、世界経済の先行き不透明な状態が続いていることから、引き続きグローバルな市場動向を注視し、今後業績に重大な影響を与えることが明らかになった場合は、速やかに開示します。

 

⑥ 自然災害等

当社グループでは、自然災害及び事故等に備え、サービスの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めていますが、大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、開発・運用業務の停止、設備の損壊や電力供給の制限、混乱等の不測の事態が発生した場合には、当社グループによるサービス提供の継続が困難となる可能性があり、ひいては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)提供サービスに係るリスク

① 貸倒れ及び詐欺的取引発生リスク

当社グループの提供するBNPL決済サービスは、商行為における売り手(加盟店)に対して購入代金支払いを行い、購入者に対する債権を当社グループが買い取ることで成立しています。こうしたビジネスモデルから当社グループの提供するサービスを利用した商行為にかかる債権の貸倒れリスクを全て当社グループが負うと共に、詐欺的な取引が発生する可能性があるため、事業継続上高い個別与信判断能力が求められます。当社グループでは2002年より本ビジネスを展開し蓄積した情報を最大限活用し、全ての取引について商材の特性や購入者の情報等をベースに詐欺的取引目的でないか等を判断した上で与信判断を行い詐欺的取引の未然防止を図ると共に、未払い率をモニタリングすることにより事後的に速やかに検知の上対応できるように努めていますが、予想以上の貸倒れが発生する場合や、詐欺的取引の未然防止が想定通りの結果とならない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、デジタル商品の購入に利用可能な「atone」は、購入者が実際の住所を入力しない可能性が高くなるため、詐欺的な取引が発生する可能性が高まります。また、「atone」を利用する購入者はNP後払いに比べて若年層となる傾向があり、一般的に未払いのリスクが高まる傾向があります。これらの要因により「atone」事業において予想以上の貸倒れが発生する場合や、詐欺的取引の未然防止が想定通りの結果とならない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 加盟店獲得に係るリスク

当社の各サービスの成長においては、当社の決済サービスを提供する売り手である販売元たる加盟店の数の増加及び当社の決済サービスを利用した販売量の増加が直接的かつ重要な要因となっています。従って、加盟店獲得が想定通りの結果とならない場合や主要な加盟店との関係が悪化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 海外展開におけるリスク

当社グループでは現在、台湾に恩沛科技股份有限公司(NP Taiwan, Inc.)を、ベトナムにCông ty TNHH Net Protections Vietnam(Net Protections Vietnam Co., Ltd.)を設立し、現地でのBNPL決済サービス「AFTEE」を開始しています。現在のところオペレーションにおいて大きな問題は発生しておらず、今後の業容拡大に備えて外注先の活用も含めて対応する人員の拡充を計画していますが、用意が間に合わない場合や、用意できたとしてもオペレーション量に対して十分な育成が間に合わないような場合は、オペレーションが滞ったり、人為的なミスが発生したりすることで当社グループのレピュテーションが悪化し、ひいては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

これらの海外展開先において、経済情勢及び政治情勢の悪化、法律・規則、税制、外資規制等の差異及び変更、商慣習や文化の相違、自然災害や感染症の発生、為替変動等の可能性があり、これらの要因により事業の遂行及び推進が困難になる場合には、当社グループの経営戦略が変更となることに加え、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、現状において台湾、ベトナム以外の具体的な展開予定国は決まっていません。

 

④ 郵送費、収納費等の原価上昇リスク

当社グループの提供するBNPL決済サービスでは、購入者に対する請求にあたり、請求書の郵送や、入金時の収納代行の利用等、債権の回収にあたって必要なサービスを利用しています。これらのサービス提供料が上昇する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、2024年10月に実施された郵便料金の値上げに対応し、当社グループが提供する各サービスでの請求書発行手数料を改定しました。今後も、外部の要因によって当社グループの事業において生じる原価が上昇する場合、サービスの価格改定等の対応を検討していきます。こうした対応による当社の収益性への影響は限定的と見込んでいますが、当該価格改定によって新規加盟店獲得もしくは当社取扱高への影響が生じる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新規事業に係るリスク

当社グループにおける事業は主にBNPL決済サービスに焦点を当ててきましたが、これまでの各決済サービスにおける取引データの蓄積は、必ずしもBNPL決済サービスや一般的な決済サービスとは関係のない、新しいサービスを開発する機会につながり得ると考えています。新規のサービスは、当社グループの従来の専門分野とは異なる可能性があり、また、BNPL決済サービス市場における当社の知識や経験が、これらの新規サービスとは特に関連しない可能性があります。従って、当社グループはこれらの新規サービスが直面する可能性のある課題を予測することができない可能性があり、また、そのような課題に効率的に対処するための十分な能力を有していない可能性があります。

2025年3月期には「atone」において、当社グループが提供する国内向けBtoCサービスとしては初めて、分割払いのサービスのテスト提供を開始しました。2026年3月期には、ポイント還元率がより高く、分割払いも利用可能な「atoneプラス」の正式リリースを予定しています。海外向けBNPL決済サービス「AFTEE」では、先行して分割払いのサービスを提供しており、高精度の与信システムと未払いコントロール技術によって利用が拡大しています。こうした「AFTEE」の知見及びノウハウも活用し、サービス提供をしてまいります。更に、2024年4月に株式会社ネットプロテクションズの子会社として設立した株式会社NPファイナンスでは、2024年10月より「NP掛け払い」の買い手である購入企業を対象としたオンライン・レンディングサービス「NPハンディレンディング」を開始しています。「NP掛け払い」の与信情報を活用することで、未払いをコントロールすることができると実証実験で検証できたため、事業化を判断しました。

 

(3)情報システム及び情報管理に係るリスク

① システムトラブル

当社グループのBNPL決済サービスは、SaaS(Software as a Service)形式で提供しています。また、当社グループ内の与信判断システムは過去の蓄積データ等との照合において大部分がシステム化されています。当社グループでは、外部のデータセンター及びクラウドインフラにサーバーを配置し複数のサーバーを使用することによる分散化を図り、定期的にサーバーデータのバックアップを取得すると共に、現状のシステムの稼働状況について適時確認し、システムの冗長化により、不備等が発生しないよう万全の注意を払っています。障害が発生した場合に備え、社内マニュアルを整備の上、リアルタイムのシステムの稼働状況及びサーバーのログチェックを確認する体制を構築しています。しかしながら、自然災害又は事故・外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入・コンピュータウイルス・サイバー攻撃等により、通信ネットワークの切断やアプリケーションの動作不良、クラウドサーバーの利用停止など、今後何らかのシステムトラブルが発生する場合には、当社グループのレピュテーションが悪化することに加え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報漏洩リスク

当社グループでは、過去の取引情報や請求先情報等、様々な個人情報並びに企業情報を保有しています。当該情報については、外部からのアクセスを隔離すると共に社内アクセスについても重要情報には対象者を限定した上でアクセス制限を付す等適切なウォールを敷く等の対応により漏洩を防止しています。当社グループでは、プライバシーマークやPCI DSSといったセキュリティ基準に準拠しながらサービス提供・組織運営を行うと共に、システム部署において情報セキュリティにおける国際標準規格であるISO27001(ISMS認証)の認定も受けています。更に、情報セキュリティに係る社内規程を整備し、役職員等に対して定期的に研修を実施することで情報漏洩と不正使用を未然に防止するよう努めています。しかしながら、当社グループ及びその委託先における人為的なミスや内外からの何らかの不正な方法でこれらの顧客情報が外部に流出する場合、当社グループのレピュテーションが悪化することに加え、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ システム開発と陳腐化リスク

前述の通り、当社グループの決済サービスはSaaS形式での提供となっており、特にECにおいては、ユーザーインターフェースとなるカート事業者とのシステム連携が円滑になされることが重要な要素となります。当社グループではカート事業者各社のシステム改修や新サービス等によってこの連携が損なわれることのないよう、継続的に必要なシステム開発・改修を行っています。しかしながら、今後全く新しいカート事業者が導入され、当該システムに対応できない場合等技術革新に対応できない場合においては、当社グループのこれまでのシステム開発が陳腐化すると共に、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに係るリスク

① 貸倒引当金の計上方法

当社グループでは、支払期日までに支払がなされない未収入金に対して、所定の期間にわたり所定の督促業務を実施した後に、回収不能であった未収入金について貸倒損失又は債権売却損を計上しています。貸倒損失又は債権売却損の計上前の未収入金の残高に対して過去の回収実績を勘案した貸倒引当率を乗じることで貸倒引当金を計上しています。具体的には、貸倒引当率は過去における月別での経過年月別未収入金に対する平均貸倒実績率を計算することで算出し、これを期末の経過月別の未収入金残高に乗ずることで貸倒引当金を算定しています。

当社グループでは、これまでの利用実績データを用いた詐欺等の貸倒懸念先の排除や、貸倒実績のある顧客の利用禁止、支払遅延先への外部業者も活用した回収促進によって、貸倒の発生の低減に努めています。しかしながら会計処理としては、期末時点での直近の貸倒実績を踏まえた引当金を計上するため、新規サービス・顧客の増加により一時的に貸倒実績が増加する場合等において、結果的に過年度の実績や当社の想定以上に貸倒引当金額を計上する可能性があります。そのような場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② のれんの減損リスク

当社グループは、のれんや無形資産を含む資産を連結財政状態計算書に計上していますが、急激な景況の悪化や事業環境、競合状況の変化、法規制の変更、当社の事業戦略の変更等により、当社グループの経営計画が悪化した場合に、減損を認識することにより経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループののれんは、2016年7月に株式会社AP53(現株式会社ネットプロテクションズ)が実施した株式会社ネットプロテクションズの株式取得により発生しています。

当社グループにおいては、のれんの減損に係るリスクを低減するため、事業の収益力強化に努めており、与信システムの深化等継続的なサービスの品質の向上、営業体制及びアライアンスの強化を通じ、取扱高及び営業収益の拡大に取り組んでまいります。

 

③ 借入金、金利の変動及び財務制限条項

当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し借入を行っています。当該借入金の支払利息の大部分は変動金利となっているため、市場金利が上昇する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが締結している借入契約の中には、財務制限条項が付されているものがあります。かかる財務制限条項については、純資産維持等の具体的な数値基準が設けられており、これに抵触する場合、貸付人の請求があれば当該契約上の期限の利益を失うため、直ちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となる可能性があります。

 

④ 配当について

当社グループは、株主に対する適切な利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営上の重要課題の一つとして位置づけています。

足元は、内部留保とのバランスを考慮した上で、事業拡大と事業の効率化のために必要な投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えています。事業拡大によりキャッシュフローの創出が可能な体制になりつつありますので、将来的には、投資と資本効率の向上の最適なバランスを勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針です。現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。

 

(5)その他

① 株主の状況

当社グループは、アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドから、純投資を目的とした出資を受けており、当連結会計年度末現在、投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズⅤ号、AP Cayman Partners Ⅲ-Ⅰ, L.P.、AP Cayman Partners Ⅲ, L.P.、Japan Fund Ⅴ,L.P.、アドバンテッジパートナーズ投資組合67号が合計で当社株式を22,157,000株(発行済株式総数対比22.31%)を保有しています。また、当社社外取締役かつ監査等委員である市川雄介は、アドバンテッジパートナーズより派遣されています。アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドは当社株式の上場時において、所有する当社株式の大半を売却しましたが、上場後においても一定の当社株式を保有しています。当社ではアドバンテッジパートナーズより、当該株式の将来的な処分時期や方法については未定であるものの、市場価格への影響を極力抑えた形で対応する旨聴取していますが、今後の保有・処分方針によっては、当社株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの経営その他の事項に関するアドバンテッジパートナーズの利益は、ほかの株主の利益とは異なる可能性があります。

 

② 当社グループ組織特性に合致した従業員の採用・成長が果たせないリスク

当社グループのBNPL決済サービスの開発や推進のためには、特定の専門知識を有する熟練した従業員を雇用し、雇用を維持する必要があり、また、当社グループの経営は経験豊富な経営陣に支えられています。これらの人材が確保できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、従業員一人一人が個人の特性や希望に合わせた自己実現を、仕事を通じて果たしていくことこそが、各人の業務へのモチベーション、ひいては当社グループとしての経営成績の最大化を図る上で最適であると判断しており、「ティール組織」を採用しています。本組織では、従業員それぞれが将来の経営幹部候補として、リーダーシップと責任を持って自発的に業務を遂行している一方で、必要に応じて組織の枠を超えた協力体制を取ることも可能となっており、「自立・分散・協調を実現」する組織運営が可能と考えています。

しかしながら、当該組織運営の継続的な遂行のためには、現在の社風に合致した人材を厳選して採用し、教育していくことが不可欠です。こうした背景から、業容の拡大に伴い必要な人材を十分確保できないリスクがあり、その場合は当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 企業買収及び事業提携リスク

当社グループは、事業の拡大・成長に向けた手段の1つとして、企業買収や事業提携を実施することがあります。その場合、対象先の経営状況、事業内容、財務内容、法令遵守や契約関係等について詳細な事前調査を行い、リスクを吟味した上で決定してまいりますが、事前調査にて検出されなかった問題が生じた場合や買収後の統合作業において当初見積もっていた以上の経営資源の集中や期間を要する必要性が生じた場合、買収時点では予期していなかった事業環境の変化や買収時ののれん等の減損処理を行う必要が生じた場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 内部統制に係るリスク

当社グループは、財務報告の適正性と信頼性を確保するための内部統制システムを構築していますが、様々な要因により内部統制システムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 中期経営計画

当社グループは2025年5月に「中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)」(以下、「中期経営計画」という。)を策定しています。

将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

そのため、中期経営計画を策定するための各種の前提(BtoC及びBtoBの市場環境、既存加盟店の平均成長率、郵送費・収納費等の原価等)が変化した際に、当社グループがかかる変化に対応した成長戦略又は事業運営を立案又は実行することができない場合には、中期経営計画を達成できない可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社グループは、株主に対する適切な利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営上の重要課題の一つとして位置づけています。

足元は、内部留保とのバランスを考慮した上で、事業拡大と事業の効率化のために必要な投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えています。事業拡大によりキャッシュフローの創出が可能な体制になりつつありますので、将来的には、投資と資本効率の向上の最適なバランスを勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針です。

現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。

なお、当社グループは剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本とし、これ以外に会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めています。また、当社グループの配当決定機関は株主総会又は取締役会であり、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によることができる旨を定款により定めています。