2024年8月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 38,808 100.0 -5,000 - -12.9

事業内容

3【事業の内容】

当社は、ジーンズを中核アイテムとしたカジュアルウェア及び雑貨の販売を主たる業務としております。

ショッピングセンター型を主としたジーンズカジュアルの専門店であり、当事業年度末店舗数は340店舗となっております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

また、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

①財政状態及び経営成績等の状況

当事業年度(2023年9月1日~2024年8月31日)における我が国経済は、コロナ禍の収束により社会経済活動の正常化が進み、個人消費やインバウンド需要の回復が見られたものの、エネルギー価格や原材料価格の高騰、円安の常態化による物価上昇や不安定な海外情勢の長期化等、依然として先行きの不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社は、利益重視への抜本的な転換を図り、経営上の重要課題の克服に向け策定した2024年8月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画(2023年10月11日付公表)のもと、価値訴求への本格的シフトによる売上総利益率の改善と成長チャネルへの戦略的投資による売上総利益の伸長を営業戦略に掲げ、プロパー消化率の向上、戦略店舗の収益力強化、自社ECの強化を重点施策とし、持続的成長のための事業基盤の構築を図ってまいりました。

取組み内容といたしましては、当事業年度は「戦略見直しステージ」と位置づけ、有力NB(ナショナルブランド)との戦略的パートナーシップの強化や新たなブランドホルダーとの取引開始、PB(プライベートブランド)を主要ターゲット層のニーズに沿ったブランド・テイストに絞り込むなど、ジーニングカジュアルの再強化に向け、提供価値を最大化できる商品構成に見直しを進めてまいりました。また、期初発注数量を抑制し、期中の売れ行きや市場変化に対応した柔軟な期中仕入体制の実現や、在庫分析クラウドシステムを導入し、売れ筋商品の在庫管理の精緻化に努めるなど、プロパー消化率や売上総利益率の向上と在庫適正化への取組みを最優先事項とし、利益重視への抜本的な転換を図り、価値訴求への本格的シフトを推進してまいりました。

また、成長ポテンシャルが高い店舗を中心に、NBのショップインショップ導入やブランドコーナー化の推進など、魅力的な店内環境の構築に向けた投資や、インフルエンサーによる店内イベント実施など集客力向上に向けた個別販促活動の他、商圏属性や顧客属性にもとづいた店舗限定商品の展開を行うなど、店舗ごとの品揃えの最適化に向けた取組みを実施してまいりました。ECビジネスにおきましては、顧客への情報発信の充実やオンライン接客の質的向上への取組み、ジーンズソムリエ(注釈参照)によるジーンズ選びに関する悩みをオンライン上で解決する相談サービスの提供など、店舗スタッフの強みを活かしたOMO(Online Merges with Offline:ECサイトと実店舗の融合)を推進し、オンライン・リアル店舗の両方で充実した顧客体験を提供できる環境を整え、EC関与売上の成長に向けた取組みを進めてまいりました。

(注釈)ジーンズソムリエ

ジーンズに関するプロフェッショナルを育成するために誕生した「ジーンズソムリエ資格認定制度」

の合格者。当社には179名(2024年8月末日現在)と多数のジーンズソムリエが在籍。

 

店舗展開におきましては、2店舗の出店と35店舗の退店により、当事業年度末の店舗数は340店舗となりました。

サステナビリティへの取組みといたしましては、不要になったジーンズを回収し、新しいデニム製品の原料とするリサイクル活動である「つなごう藍い糸プロジェクト」の第4弾を2024年3月に実施し、多数のジーンズを回収いたしました。また、各地域で開催したジーンズの端切れを再利用するワークショップには多くのお客様にご参加いただき、ジーンズを中核アイテムとして販売する企業として、循環型社会の形成に貢献する取組みを継続して行い、多くのお客様から共感と好評をいただきました。

 

この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態の状況

資産

当事業年度末における総資産は、15,300百万円となりました。

流動資産は、前事業年度末に比べて7,492百万円減少し、8,281百万円となりました。これは主に現金及び預金が2,326百万円、商品が5,368百万円、売掛金が35百万円それぞれ減少し、未収入金が250百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、前事業年度末に比べて4,209百万円減少し、7,018百万円となりました。これは主に有形固定資産が2,305百万円、無形固定資産が539百万円、投資その他の資産が1,365百万円それぞれ減少したことによるものであります。

負債

当事業年度末における負債合計は、14,984百万円となりました。

流動負債は、前事業年度末に比べて460百万円増加し、11,336百万円となりました。これは主に電子記録債務が1,051百万円、短期借入金が915百万円それぞれ減少し、店舗閉鎖損失引当金が1,050百万円、資産除去債務(流動)が1,213百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定負債は、前事業年度末に比べて89百万円増加し、3,647百万円となりました。これは主に資産除去債務(固定)が1,006百万円増加し、長期借入金が1,341百万円減少したことによるものであります。

純資産

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて12,251百万円減少し、315百万円となりました。これは主に当期純損失を12,142百万円計上したことによるものであり、総資産に占める自己資本比率は1.6%となりました。

 

b.経営成績の状況

経営成績につきましては、新規仕入れの抑制や、持ち越し在庫の消化を加速度的に実施したことにより、在庫適正化は計画通り進捗することができましたが、上半期におきましては、前年踏襲型のPB商品の販売不振等により、売上が低調に推移したことで在庫消化に向けた値引き幅が拡大し、売上総利益率も大きく低下しました。中期経営計画の取組みが本格的に進行した下半期におきましても、ジーニングカジュアル再強化に向けた商品構成の見直しの中、消費者ニーズに合致した品揃えができず、当社の発信力も不足したことにより既存顧客離れの速度と新規顧客獲得の速度が釣り合わず、想定以上の客数減少を招き、期初計画を下回る減収減益となりました。加えて、成長チャネルとして強化に取り組んだECビジネスにおきましても、自社EC・外部モールともに売れ筋商品の在庫不足等が影響し売上高は伸び悩み、店舗受け取りを含むEC関与売上高は前年同期を下回る結果となり、取組みの効果が十分に得られない結果となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は前期比17.3%減の38,808百万円となりました。

部門別売上高といたしましては、ボトムス部門14,510百万円(前期比10.7%減)、カットソー・ニット部門12,366百万円(前期比21.9%減)、シャツ・アウター部門5,683百万円(前期比22.9%減)となりました。

利益面におきましては、引き続き販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、在庫適正化への取組みとして大幅な在庫圧縮を実施する中で、売上苦戦によりシーズン商品の在庫消化に向けた値引き幅が拡大したことに加え、翌事業年度からの構造改革にともなう不採算店舗の大規模な退店を見越した商品評価損を1,564百万円計上したことで利益率が大幅に低下し、営業損失5,000百万円(前期は営業損失922百万円)、経常損失5,166百万円(前期は経常損失1,048百万円)となりました。

最終損益につきましては、投資有価証券売却益や店舗の水災被害に関連する受取保険金等、特別利益を247百万円計上し、退店及び固定資産の譲渡の決定並びに店舗の収益性の低下に伴う減損損失、共用資産を含む全社の固定資産の減損損失、構造改革における不採算店舗の大規模退店に係る店舗閉鎖損失、POSや会員データ基盤の投資解約に係る契約解除損失等、特別損失を7,070百万円計上したことにより、当期純損失は12,142百万円(前期は2,545百万円の当期純損失)となりました

今後の見通しにつきましてはエネルギー価格や原材料価格の高騰、円安の常態化による物価上昇や不安定な海外情勢の長期化等、依然として先行きの不透明な状況が続いており、その影響は翌事業年度を通して続くものと見込んでおります。

このような環境の中、当社は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境及び、対処すべき課題と経営戦略」に記載のとおり、W&DiDが当社の支配権を獲得することを前提とし、抜本的な構造改革を軸に、持続的成長に向けた事業基盤の確立に向けて、新たに2025年8月期を初年度とする5ヵ年の新中期経営計画を策定し、聖域なきコスト構造改革の貫徹を掲げ、利益を出しやすい体質への転換とコスト意識の徹底を進めてまいります。翌事業年度以降は、不断のコスト合理化と共に競争力を強化し、再成長への挑戦と事業安定化を目指し、最終年度までに着実な利益成長を実現し、永続的な収益基盤の構築を図ります。

中期経営計画の初年度である次期の見通しにつきましては、売上高28,100百万円、営業損失1,500百万円、経常損失2,000百万円、当期純損失1,800百万円としております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、955百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は577百万円となりました。これは主に、税引前当期純損失11,989百万円の計上に対し、減価償却費481百万円、減損損失5,043百万円の計上及び棚卸資産が5,367百万円減少した一方、仕入債務が985百万円減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は823百万円となりました。これは主に、新規出店、リニューアル等に伴う有形固定資産の取得による支出140百万円、定期預金の預入による支出200百万円、無形固定資産の取得による支出197百万円があった一方で、退店に伴う敷金及び保証金の回収による収入668百万円、有形固定資産の売却による収入446百万円、投資有価証券の売却による収入383百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2,772百万円となりました。これは主に、短期借入金の純減額915百万円及び長期借入金の返済による支出1,788百万円があったことによるものであります。

 

③商品仕入及び販売の実績

a.商品仕入実績

当事業年度の仕入実績を商品部門別に示すと次のとおりであります。

商品部門別

仕入高(百万円)

前期比(%)

ボトムス

6,669

87.6

カットソー・ニット

5,756

69.4

シャツ・アウター

2,564

65.2

その他

2,703

76.2

17,693

75.6

 

b.販売実績

当事業年度の販売実績を商品部門別に示すと次のとおりであります。

商品部門別

売上高(百万円)

前期比(%)

ボトムス

14,510

89.3

カットソー・ニット

12,366

78.1

シャツ・アウター

5,683

77.1

その他

6,247

83.5

38,808

82.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社における経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

(商品の評価)

当社は、商品の評価方法は売価還元法によっております。

当社の商品は、複数シーズン・年度にわたって仕入を継続する「継続在庫」と仕入を継続せず処分価格での販売を行う「非継続在庫」とに区分しております。

「継続在庫」は計画保有数量への調整のため値引き販売される場合があります。当該在庫は、当期の販売実績平均単価を正味売却価額とみなしております。「非継続在庫」は当事業年度の処分実績に基づく処分見込価格を正味売却価額としております。

売価還元法による在庫原価計上金額が当該正味売却価額を上回る場合には、当該正味売却価額までの簿価の切下げを実施しております。なお、当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、将来の販売実績単価と異なった場合、翌事業年度の財務諸表において、商品の簿価の切下げ額に重要な影響を与える可能性があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の経営成績等の状況は、以下のとおりです。なお、経営上の目標達成状況を認識及び分析・検討するに際しては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は、売上高25,400百万円、営業利益1,500百万円、営業利益率5.9%を、中期的(2029年8月期)な経営指標としております。

 

a.売上高及び売上総利益

 

(単位:%)

 

 

9月

10月

11月

12月

1月

2月

上期計

3月

4月

5月

6月

7月

8月

下期計

通期計

第45期

80.6

88.2

95.6

83.7

97.6

101.0

90.3

78.9

82.8

75.1

96.4

81.8

89.0

83.3

87.0

第44期

105.7

103.3

89.5

97.8

102.9

113.2

100.1

98.5

96.0

96.6

97.7

108.0

100.6

99.4

99.8

第43期

77.5

89.9

99.2

105.8

101.6

79.5

94.5

92.5

107.7

127.4

97.2

105.2

124.5

107.4

100.2

 

経営成績につきましては、新規仕入れの抑制や、持ち越し在庫の消化を加速度的に実施したことにより、在庫適正化は計画通り進捗することができましたが、上半期におきましては、前年踏襲型のPB商品の販売不振等により、売上が低調に推移したことで在庫消化に向けた値引き幅が拡大し、売上総利益率も大きく低下しました。中期経営計画の取組みが本格的に進行した下半期におきましても、ジーニングカジュアル再強化に向けた商品構成の見直しの中、消費者ニーズに合致した品揃えができず、当社の発信力も不足したことにより既存顧客離れの速度と新規顧客獲得の速度が釣り合わず、想定以上の客数減少を招き、期初計画を下回る減収減益となりました。加えて、成長チャネルとして強化に取り組んだECビジネスにおきましても、自社EC・外部モールともに売れ筋商品の在庫不足等が影響し売上高は伸び悩み、店舗受け取りを含むEC関与売上高は前年同期を下回る結果となり、取組みの効果が十分に得られない結果となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は前期比17.3%減の38,808百万円となりました。

上記のとおり、売上高が減少となったことや在庫消化のための値引き幅が拡大したことに加え、翌事業年度からの構造改革にともなう不採算店舗の大規模な退店を見越した商品評価損1,287百万円及び買付契約評価引当金繰入額286百万円計上したことで売上総利益15,465百万円(前期比68.5%)となりました。

なお、在庫回転率につきましては、持ち越し在庫の消化を加速度的に進めたこと等により、当事業年度末の商品は5,111百万円(前期比5,368百万円減少)、3.0回転(前期2.2回転)と前年から改善となりました。

 

b.営業損失及び経常損失

利益面につきましては、引き続き販売費及び一般管理費の抑制に努めたものの、在庫適正化への取組みとして大幅な在庫圧縮を実施する中で、売上苦戦によりシーズン商品の在庫消化に向けた値引き幅が拡大したことに加え、翌事業年度からの構造改革にともなう不採算店舗の大規模な退店を見越した商品評価損を1,564百万円計上したことで利益率が大幅に低下し、当事業年度の営業損失は5,000百万円、経常損失は5,166百万円となりました。

 

c.当期純損失

投資有価証券売却益や店舗の水災被害に関連する受取保険金等、特別利益を247百万円計上し、退店及び固定資産の譲渡の決定並びに店舗の収益性の低下に伴う減損損失、共用資産を含む全社の固定資産の減損損失、構造改革における不採算店舗の大規模退店に係る店舗閉鎖損失、POSや会員データ基盤の投資解約に係る契約解除損失等、特別損失を7,070百万円計上したことにより、当期純損失は12,142百万円(前期は2,545百万円の当期純損失)となりました。

 

当社の営業方針といたしましては、「お客様起点の発想に立った事業活動」を第一に考え、CS活動によるサービス品質の向上と新商品開発に注力し、顧客志向に基づいた経営基盤の構築を早期に目指してまいります。

お客様の多様なニーズの変化にいち早く対応し、当社ならではのブランドミックスの品揃えの最適化を図り、新生活様式を考慮した商品、お客様との接点の強化による集客力向上、見やすい売り場環境を整えていくことで、不安定な経営環境下においても確実に営業利益を計上できる収益体質を構築してまいります。

 

③資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、新規出店や改装に係る設備投資等によるものであります。

運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。

なお、当事業年度末における有利子負債の残高は2,443百万円、現金及び現金同等物の残高は955百万円となっております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。