2024年8月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 269,868 100.0 6,359 100.0 2.4

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループは、物品販売業部門として家庭用電化製品等の販売を行っており、当社及び株式会社ビックカメラ(親会社)から構成されております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しております。企業収益は、総じてみれば改善し、雇用情勢は改善の動きがみられ、個人消費は一部に足踏みが残るものの、このところ持ち直しの動きがみられます。

 当家電小売業界における売上は、パソコン、ゲーム等が低調に推移いたしましたが、スマートフォン、理美容等が好調、調理家電等が堅調であったため、総じて堅調に推移いたしました。

 このような状況の中、当社は、「家電を通じて 笑顔あふれる 明るく暖かいみらいをつくる くらし応援企業であること」のパーパスのもと、「お客様のくらしを『より快適に』『より便利に』『より楽しく』します。くらし応援コジマ」をビジョンに掲げ、「生産性の向上」及び「持続的な成長」の2大戦略を推進するとともに、短期的な視点での「収益性」、中期的な視点での「成長性」、超長期的な視点での「社会性」の3つの観点に基づいて事業に取り組み、企業価値の向上に努めております。

 「収益性」としましては、店舗における販売員の「接客力・専門性の強化」に取り組み、今期新たに開設した「関東研修センター」において、基礎的な商品知識から実際の接客までを一貫して学ぶことができる研修プログラムを導入し、販売員一人ひとりの接客レベル向上に努めております。さらには、販売員向けにエアコン設置工事研修を実施し、エアコン販売の知識向上を図ることで、より省エネ性能に優れた高付加価値商品をご提案できるよう育成に努めております。あわせて、接客対応の時間をより長く確保するため、電子棚札の導入店舗を拡大し「業務効率の改善」にも努めております。商品の機能説明だけではなく、お客様の生活シーンに寄り添った付加価値の高い商品をご提案できる接客を強化することで、他社との差別化を図り、収益の増加と生産性の向上に努めております。また、「集客力の強化」に取り組み、お客様から大変ご好評をいただいているミニ四駆大会や、地域の企業・自治体と連携したイベントを積極的に開催するなど、ご来店のお客様に楽しんでいただける機会の創出に取り組んでおります。

 「成長性」としましては、「EC事業」において、自社サイトである「コジマネット」の機能強化を図り、商品紹介コンテンツのリッチ化や「コジマ×ビックカメラカード」で無金利分割60回までのお支払方法を導入いたしました。また、2024年7月より、株式会社ベネフィット・ワンが提供する福利厚生サービスと連携し、「コジマネット」への送客を図るなど、収益の向上に取り組んでおります。「住設事業」においては、引き続き、住設部門の売場を充実させた店舗リニューアルを進めることで、スマートハウスのご提案を強化し、太陽光発電や蓄電池等の再生可能エネルギー関連商品の拡販に努めております。加えて、外壁屋根の塗装や修繕リフォームの認知度向上にも取り組み、売上の拡大を図っております。

 「社会性」としましては、当社は、企業活動を通じて社会課題を解決し、企業価値を高め成長することを目的とした「サステナビリティ経営」を推進しております。「環境に配慮した取り組み」としまして、GHG(温室効果ガス)排出量の削減へ向け、コーポレートPPA方式による店舗屋上・屋根等への太陽光発電設備の導入を引き続き進めており、現時点で10店舗への設置を完了しております。また、ご来店いただくお客様の利便性向上を図るとともに電気自動車(EV)の普及促進に貢献するため、EV用充電設備を20店舗の駐車場に計38台設置し、さらには、当社のサービスである「くらし応援便」の車両として、EVを11店舗に導入し順次拡大を進めております。その他、発泡スチロールの減容機を導入し、発泡スチロールごみをリサイクル可能な資源に変えることにより、資源循環に貢献しております。「人的資本経営の取り組み」としましては、当社の将来にわたる成長に最も大切な「従業員」のため、「従業員エンゲージメント」の向上に努め、活躍できる人財の育成や健康経営の推進等に取り組んでおります。人財の育成につきましては、従業員のスキル向上と継続的な成長をサポートするため、各種研修の実施やeラーニングを活用した学習機会の充実、資格取得の支援等に取り組んでおります。また、「タレントマネジメントシステム」の活用を拡大し、従業員一人ひとりの適性や経験に基づいた人財配置やスムーズなキャリア形成を進めております。ダイバーシティの推進につきましては、多様な人財がそれぞれの能力や個性を発揮し、いきいきと働き続けることができる職場環境の整備を進め、女性従業員のキャリアアップや男性従業員の育児休業取得支援、シニア人財の活躍支援等を推進しております。2024年8月には、従業員の仕事と不妊治療の両立支援への取り組みが評価され、厚生労働大臣より「プラチナくるみんプラス」の認定を取得しました。健康経営の推進につきましては、「ウェルネス推進室」のもと、従業員の健康を増進するために「ウォーキングイベント」を開催するなど、従業員が主体的に心身の健康づくりに取り組める環境を提供しております。2024年3月には、当社の健康経営に関する取り組みが評価され、「健康経営優良法人2024 (大規模法人部門)」認定企業の上位 500 法人に与えられる「ホワイト500」の認定を取得しております。

 また、ステークホルダーの皆様に当社への理解をより深めていただくため、「統合報告書2023」の発行や、コーポレートサイトの「企業IR情報・サステナビリティページ」(https://www.kojima.net/corporation/)のリニューアルも実施しております。 

 店舗展開におきましては、2023年11月23日に「コジマ×ビックカメラ 新さっぽろデュオ店」(北海道札幌市)をはじめ2店舗を開店した一方、2024年6月30日に「コジマ×ビックカメラ ファボーレ富山店」(富山県富山市)をはじめ4店舗を閉店したことから、2024年8月末現在の店舗数は139店舗となりました。

 なお、7月10日には、インバウンド需要をターゲットにしたポップアップストア「コジマ×ビックカメラ 沖縄アウトレットあしびなー店」(沖縄県豊見城市)を期間限定で開店しております。

 当事業年度の上半期(9月~2月)におきましては、巣ごもり需要等の反動減影響により、テレビやパソコンなどが低調に推移したことに加えて、EC事業を中心に利益重視の体制強化を実施してきた影響によって、売上高が減少しましたが、売上総利益率は大幅に改善いたしました。その結果、営業利益及び経常利益は、前年同期をわずかに下回る水準で着地いたしました。下半期(3月~8月)におきましては、携帯電話やエアコンの好調、テレビの需要回復に伴い、売上高は増収に転じました。さらにEC事業の収益改善に加えて、店舗における高付加価値商品の販売強化により、売上総利益率は、引き続き前年同期に対して大幅に改善いたしました。また、販売費及び一般管理費につきましては、将来の成長に向けた積極的な人的資本投資やシステム投資等の費用が増加した一方で、デジタル広告・スマートフォンアプリの活用による広告宣伝費の削減や、節電対策による水道光熱費の削減など、経費コントロールに継続して取り組んできたことから、各段階利益は増益となりました。

 以上の結果、当事業年度末の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

a.財政状態

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ 54億16百万円増加(前事業年度末比 5.0%増)し、1,146億60百万円となりました。

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ 27億36百万円増加(前事業年度末比 6.0%増)し、481億81百万円となりました。

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ 26億80百万円増加(前事業年度末比 4.2%増)し、664億79百万円となりました。

b.経営成績

 当事業年度の売上高は 2,698億68百万円(前年同期比 0.7%増)、営業利益は 63億59百万円(前年同期比 32.0%増)、経常利益は 66億27百万円(前年同期比 28.8%増)、税引前当期純利益は 54億25百万円(前年同期比 10.8%増)、当期純利益は 40億1百万円(前年同期比 39.5%増)と、増収増益となりました。

 品目別売上高のうち物品販売事業につきまして、音響映像商品の売上高が 401億22百万円(前年同期比 1.7%減)、家庭電化商品の売上高が 1,200億5百万円(前年同期比 1.2%減)、情報通信機器商品の売上が 761億96百万円(前年同期比 2.1%増)、その他の商品は 320億98百万円(前年同期比 8.8%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ 103億64百万円増加し、244億58百万円となりました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は 131億90百万円(前事業年度は 13億29百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益 54億25百万円、減価償却費や減損損失 26億78百万円をそれぞれ計上したのに加え、棚卸資産の減少 29億98百万円、その他の流動負債の増加を含むその他の増加 20億28百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は 11億8百万円(前事業年度は3億24百万円の獲得)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出 12億28百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は 17億17百万円(前事業年度は 49億95百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入 40億円があったものの、長期借入金の返済による支出 40億57百万円、配当金の支払額 10億80百万円によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

品目別売上高

品目別

当事業年度

(自 2023年9月1日

至 2024年8月31日)

売上高

(百万円)

構成比

(%)

前年同期比増減率

(%)

 

音響映像商品

カメラ

6,946

2.6

17.4

テレビ

18,537

6.9

△3.5

レコーダー・ビデオカメラ

3,403

1.2

△17.7

オーディオ

3,785

1.4

△5.6

その他

7,449

2.8

△1.3

小計

40,122

14.9

△1.7

家庭電化商品

冷蔵庫

20,850

7.7

△0.1

洗濯機

20,185

7.5

△2.8

調理家電

15,923

5.9

2.9

季節家電

30,843

11.4

△3.7

理美容家電

12,302

4.6

3.1

その他

19,899

7.4

△2.1

小計

120,005

44.5

△1.2

情報通信機器

商品

パソコン本体

16,024

5.9

△14.2

パソコン周辺機器

9,715

3.6

△9.6

パソコンソフト

589

0.2

△0.5

携帯電話

34,416

12.8

16.9

その他

15,451

5.7

1.8

小計

76,196

28.2

2.1

その他の商品

ゲーム

8,974

3.3

△20.5

時計

535

0.2

8.3

スポーツ用品

2,166

0.8

2.6

玩具

3,971

1.5

9.8

医薬品・日用雑貨

1,559

0.6

15.6

工事(住設含む)

10,400

3.8

37.9

その他

4,489

1.7

44.3

小計

32,098

11.9

8.8

物品販売事業

268,423

99.5

0.8

その他の事業

1,445

0.5

△4.4

合計

269,868

100.0

0.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。

 当社の財務諸表の作成にあたり用いた重要な会計方針については、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 当社の財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 また、引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成にあたり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産の部)

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ 54億16百万円増加(前事業年度末比 5.0%増)し、1,146億60百万円となりました。主な要因は、建物の減少 10億97百万円があったものの、現金及び預金の増加 103億64百万円があったことによるものであります。

(負債の部)

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ 27億36百万円増加(前事業年度末比 6.0%増)し、481億81百万円となりました。主な要因は、未払金の増加9億58百万円、未払消費税等を含むその他流動負債の増加 12億91百万円があったことによるものであります。

(純資産の部)

 当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ 26億80百万円増加(前事業年度末比 4.2%増)し、664億79百万円となりました。主な要因は、剰余金の配当(純資産の減少)10億80百万円があったものの、当期純利益(純資産の増加)40億1百万円があったことによるものであります。

 

2)経営成績

(売上高、売上原価、販売費及び一般管理費)

 当社の品目別売上高の状況につきましては、パソコン本体が低調に推移いたしましたが、携帯電話が好調に推移した結果、当事業年度における売上高は 2,698億68百万円(前年同期比 0.7%増)となりました。

 一方、売上原価は 1,956億69百万円(前年同期比 0.5%減)となりました。

 また、販売費及び一般管理費は 678億38百万円(前年同期比 2.1%増)となりました。これは主として給与手当を 114億22百万円(前年同期比 4.1%増)、運送費を 110億92百万円(前年同期比 1.9%減)、それぞれ計上したことによるものであります。

(営業外収益、営業外費用)

 営業外収益は3億90百万円(前年同期比 7.6%減)となりました。これは主として受取保険金を2億13百万円(前年同期比 12.6%増)、受取手数料を 65百万円(前年同期比 26.1%減)それぞれ計上したことによるものであります。

 一方、営業外費用は1億22百万円(前年同期比 28.2%増)となりました。これは主として支払利息を 42百万円(前年同期比 8.0%減)、支払手数料を 47百万円(前年同期比 159.0%増)それぞれ計上したことによるものであります。

(特別利益、特別損失)

 特別利益は 12百万円(前年同期比 96.2%減)となりました。これは主として収用補償金を9百万円計上したことによるものであります。

 一方、特別損失は 12億14百万円(前年同期比 106.6%増)となりました。これは主として減損損失を 11億78百万円計上したことによるものであります。

 

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因としましては、競争激化や季節要因等を事業等のリスクとしております。詳細につきましては「第2事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 主な内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、キャッシュ・フロー指標トレンドは、次のとおりであります。

 

2022年8月期

2023年8月期

2024年8月期

自己資本比率

(%)

52.8

58.3

57.9

時価ベースの自己資本比率

(%)

42.1

44.8

67.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

(年)

1.5

5.8

0.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

132.3

29.9

320.1

自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも財務数値より算出しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

※ キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

※ 有利子負債は、貸借対照表に計上されております負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

 当社の資金需要のうち主なものは設備投資及び当社で販売するための商品の購入の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。営業費用の主なものは、運送費、給与手当、地代家賃であります。

財務政策

 当社の事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標に取り組んでおります。また、株式会社ビックカメラとの資本提携により財務基盤の強化を図るとともに、資産構成に合わせた最適資金調達と安定的な流動性の確保を重視し、銀行借入により資金の調達を行いました。

 また一方では財務健全化を図るため、有利子負債の圧縮にも注力した結果、有利子負債残高は前事業年度末に比べ3億58百万円減少し、74億3百万円となりました。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、5ヵ年の中期経営計画を策定し、その計画を遂行することで経営目標として年間の営業利益 90億円を目指しております。