人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数3,687名(単体) 14,481名(連結)
-
平均年齢43.6歳(単体)
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平均勤続年数18.1年(単体)
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平均年収9,014,824円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
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(2025年3月31日現在) |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
計測機器 |
8,940 |
[731] |
医用機器 |
1,975 |
[181] |
産業機器 |
1,210 |
[270] |
航空機器 |
350 |
[26] |
その他 |
911 |
[205] |
全社(共通) |
1,095 |
[265] |
合計 |
14,481 |
[1,678] |
(注) 1 従業員数は、当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む就業可能人員数です。
2 臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。
(2)提出会社の状況
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|
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(2025年3月31日現在) |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
|
3,687 |
[509] |
43.6 |
18.1 |
9,014,824 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
計測機器 |
1,788 |
[163] |
医用機器 |
443 |
[46] |
産業機器 |
143 |
[15] |
航空機器 |
218 |
[20] |
全社(共通) |
1,095 |
[265] |
合計 |
3,687 |
[509] |
(注) 1 従業員数は、当社から当社外への出向者を除き、当社外から当社への出向者を含む就業可能人員数です。
2 平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与には、当社から当社外への出向者および当社外から当社への出向者を含んでいません。
3 臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。
4 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでいます。
(3)労働組合の状況
当社の労働組合は日本労働組合総連合会(連合)に加盟し、2025年3月31日現在の組合員数は2,928人であり、当社とは正常な労使関係を維持しています。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める女性 労働者の割合(%) (注)1,3,5 |
男性労働者の育児 休業取得率(%) (注)2,6 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1,4,6 |
||
全従業員 |
正規従業員 |
非正規従業員 |
||
5.8 |
70.6 |
66.8 |
73.7 |
46.4 |
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3 当社は性別、国籍、年齢に関わらず実力によって管理職に任用しています。
4 当社の賃金は性別に関係なく、職責・能力等により同一基準を適用しています。
5 管理職に占める女性労働者の割合の集計対象は、提出会社からの出向者を除き、社外からの出向者を含みます。
6 男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異の集計対象は、原籍が提出会社の従業員です。
② 連結子会社
・従業員数301人以上の国内連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占め る女性労働者 の割合(%) (注)1,3,5 |
男性労働者の 育児休業取得 率(%) (注)2,6 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1,4,6 |
||
全従業員 |
正規 従業員 |
非正規 従業員 |
|||
(株)島津アクセス |
1.4 |
47.8 |
66.5 |
71.7 |
56.5 |
島津メディカルシステムズ(株) |
3.4 |
22.2 |
67.5 |
69.5 |
65.1 |
島根島津(株) |
0.0 |
42.9 |
63.0 |
74.9 |
71.7 |
島津エイテック(株) |
5.3 |
100.0 |
82.5 |
86.3 |
94.5 |
島津プレシジョンテクノロジー(株) |
10.5 |
41.7 |
85.0 |
90.7 |
86.8 |
島津トラステック(株) |
11.4 |
100.0 |
88.3 |
86.6 |
65.7 |
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3 当社グループは性別、国籍、年齢に関わらず実力によって管理職に任用しています。
4 当社グループの賃金は性別に関係なく、グループ各社において職責・能力等により同一基準を適用しています。
5 管理職に占める女性労働者の割合の集計対象は、自社からの出向者を除き、社外からの出向者を含みます。
6 男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異の集計対象は、原籍がグループ会社の従業員です。
・従業員数101人以上300人以下の国内連結子会社
当事業年度 |
|
名称 |
管理職に占める女性 労働者の割合(%) (注) |
島津産機システムズ(株) |
0.0 |
島津サイエンス東日本(株) |
3.6 |
島津ダイアグノスティクス(株) |
9.8 |
(株)島津テクノリサーチ |
17.5 |
(株)島津理化 |
0.0 |
島津システムソリューションズ(株) |
0.0 |
(株)島津総合サービス |
30.8 |
(株)島津ビジネスシステムズ |
3.1 |
島津ロジスティクスサービス(株) |
0.0 |
(注) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
当事業年度 |
|
名称 |
男性労働者の育児 休業取得率(%) (注) |
島津産機システムズ(株) |
50.0 |
(株)島津ビジネスシステムズ |
75.0 |
島津ロジスティクスサービス(株) |
80.0 |
(注) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
当事業年度 |
|||
名称 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注) |
||
全従業員 |
正規 従業員 |
非正規 従業員 |
|
島津産機システムズ(株) |
62.3 |
71.2 |
44.4 |
(注) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
③ 連結会社
当連結会計年度 |
||||
管理職に占める女性 労働者の割合(%) (注)2,4,6 |
男性労働者の育児 休業取得率(%) (注)3,7 |
労働者の男女の賃金の差異(%)(注)2,5,6 |
||
全従業員 |
正規従業員 |
非正規従業員 |
||
12.3 |
59.9 |
68.6 |
71.9 |
53.2 |
(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としています。
2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
4 当社グループは性別、国籍、年齢に関わらず実力によって管理職に任用しています。
5 当社グループの賃金は性別に関係なく、グループ各社において職責・能力等により同一基準を適用しています。
6 管理職に占める女性労働者の割合、労働者の男女の賃金の差異の指標については、海外子会社を含めて集計をしており、定義や計算方法は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に準拠しています。
7 男性労働者の育児休業取得率の指標は、海外連結子会社の集計は含めていません。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(サステナビリティ全般)
当社は、社是「科学技術で社会に貢献する」、経営理念「『人と地球の健康』への願いを実現する」のもと、「島津グループサステナビリティ憲章」を制定し、サステナビリティ経営を推進しています。
“事業を通じた社会課題の解決”と“社会の一員としての責任ある活動”の両輪で、グループ一体となった企業活動を行い、「地球環境とグローバル社会の持続可能性」、「島津グループの事業活動の持続と成長」、「従業員の健康とエンゲージメントの向上」を目指して、サステナビリティ経営を実践していきます。
<ガバナンス>
組織体 |
役割 |
開催 頻度 |
責任者 |
取締役会 |
取締役会は、サステナビリティ経営に関する重要な方針や計画に関する意思決定、および業務執行の監督の役割を担っている。 |
1回/月 |
会長 |
執行役員会 |
取締役会の監督のもと、サステナビリティ経営に関する審議および監督を通じて、迅速かつ的確な業務執行の役割を担っている。 |
3回/月 |
社長 |
島津グループ サステナビリティ会議 [専門部会] ・リスク・倫理会議 ・環境会議 |
・島津グループサステナビリティ会議は、サステナビリティ経営に関する最高審議機関である。重要課題、実施方針、計画ならびにKPIについて審議し、進捗状況をモニタリングしている。 ・主要テーマとKPIは、中期経営計画、事業方針、社会動向などから導き出し、島津グループサステナビリティ会議の審議を経て決定している。 ・特に重要なコンプライアンス・リスクマネジメント、ならびに環境経営については、専門部会を設置し、より専門的な課題やテーマに関する報告および審議を行っている。 |
2回/年 |
社長 |
当社グループにおけるサステナビリティ経営を推進するための組織として、島津グループサステナビリティ会議を設置しています。会議の構成メンバーは、会長、社長、役付執行役員、常勤監査役、事業部長、全社部門長、国内外の関係会社の代表者などで、事務局は経営戦略室が担っています。
また、事業活動を通じた社会課題の解決、リスクマネジメント活動、環境経営については、サステナビリティ経営の中で特に重要な位置づけであるとの考えのもと、専門部会を設けています。
会議の結果は取締役会にも報告され、取締役・監査役からサステナビリティ経営の推進やさらなる展開に向けた提言を得ています。
<戦略>
当社グループは、社是に「科学技術で社会に貢献する」、経営理念に「『人と地球の健康』への願いを実現する」を掲げています。1875年の創業以来、永年培ってきた科学技術やノウハウを活用し、お客様・株主・取引先・従業員・地域社会などのステークホルダーからの信頼の獲得と持続可能な事業および社会の実現に努めています。また、社是および経営理念をサステナビリティ経営として具現化するために「島津グループサステナビリティ憲章」を制定し、当社の事業活動が社会に与えるインパクトと事業活動における機会とリスクの両方の観点を踏まえて、「島津グループサステナビリティ経営実施方針」において、以下7つのマテリアリティを定めています。
①「人の命と健康への貢献」、②「地球の健康への貢献」、③「産業の発展、安心・安全な社会の実現への貢献」、
④「科学技術の進歩と高度化」、⑤「開発・製造能力の向上」、
⑥「ガバナンスの強化」、⑦「人財の育成」
これらの7つのマテリアリティは中期経営計画と連動しています。現在の中期経営計画においては、当社が目指す姿として「プラネタリーヘルス(人と地球の健康)の追求」を掲げており、ヘルスケア、グリーン、マテリアル、インダストリーの4つの社会価値創生領域における価値提供を通じて、それぞれのマテリアリティに対応する取り組みを進めています。
<リスク管理>
当社グループは、リスクマネジメント(事業に関わるリスク対策)と、コンプライアンス・内部統制(職務執行上のリスク対応)を有機的・一体的に機能させながら、経営戦略を実行し事業目的などを達成することで企業価値の最大化を図っていきます。
この統合リスク管理の仕組みは以下の4つの取り組みから構成されています。
(1) リスクマネジメント |
事業に関わるリスクを適正に管理するための活動として、リスク発生の未然防止に取り組むこと、また危機事象が発生した場合に早期解決へその損失影響を最小化する措置および真因究明・再発防止の水平展開を行うことを「島津グループリスクマネジメント基本規定」として定め、実践しています。 |
(2) コンプライアンス |
当社グループは、グローバルに様々な事業を展開しているため、安全保障貿易管理、贈収賄防止、競争法など、世界各国・地域の法令や行政による許認可、規制の適用を受けており、その遵守に努めています。これらの法令遵守のみならず、国際規範に則り行動するとともに、社是・経営理念・島津グループサステナビリティ憲章のもと、当社グループの役員および従業員が共有・遵守すべき倫理規範を「島津グループ企業倫理規定」として定め、「コンプライアンスはすべてに優先する」を実践しています。 |
(3) 内部統制 |
当社グループの役員および従業員の職務執行が法令および定款に適合すること、およびその業務が適正かつ効率的に行われることを確保するための内部統制体制を整備しています。違反行為などが発生した場合は、当社グループでその内容と処分などを速やかに共有し、類似行為の発生を抑止しています。加えて、個人情報の保護や秘密情報の厳正な管理のもと、広報・IR活動やWEBサイトにより、適宜適切な対外情報発信・開示を行っています。 |
(4) モニタリング |
リスクマネジメント・内部統制・コンプライアンスの全てが有効に機能していることを、事業部門・管理部門・監査部門の3ラインの各段階で、組織的かつ継続的に検討・評価します。2023年度より、業務監査方針を策定し、グローバル地域(欧州、米州、中国、アジア)毎に監査を実施しています。監査頻度を増やして、当社グループ各社の事業部門(第1ライン)と管理部門(第2ライン)へ日常的に適切なモニタリングを促します。 |
<指標及び目標>
当社グループは「島津グループサステナビリティ憲章」と関連規程に基づき、中期経営計画と連動するマテリアリティを定め、島津グループサステナビリティ会議において、マテリアリティに対応する具体的なKPIを毎年設定しています。2024年度の主なKPIは以下のとおりです。
地球の健康への貢献 |
<気候変動対策> ・事業活動と製品使用に伴うCO2排出量の削減 自社排出量:2025年度 0.85万t-CO2(*1)、2050年 実質ゼロ 削減貢献量(*2):2025年度 1.2万t-CO2(自社排出量を上回る量) <持続可能な資源利用> ・製品へのサステナブル素材(*3)の採用 2023~2025年度 累計10件以上 ・国内製造開発拠点の資源循環 2023~2025年度 リサイクル率99.6%以上維持 |
ガバナンスの強化 |
<CSR調達の推進> ・CSRセルフアセスメントを実施しているサプライヤの拡大 2025年度 100%(協力会社発注額に占める割合) <グループガバナンスの強化> ・グローバルでの網羅的な内部監査(業務監査)の実施 2025年度 100%(グループ会社内部監査のカバー率) |
人財の育成 |
<女性のさらなる活躍の推進> ・女性管理職比率(連結) 2025年度 12%、2030年度 15% |
*1 従来目標値(1.0万t-CO2)を達成したため、新たに目標を設定
*2 当社エコプロダクツPlus制度認定製品を使用したことによる顧客のCO2排出の削減量
*3 バイオ由来またはリサイクル由来の樹脂素材
このうち、気候変動対応への取り組みおよび人的資本については、以下に詳細を記載しています。
(気候変動対応への取り組み)
当社グループは、「島津グループサステナビリティ憲章」のもと、「地球の健康への貢献」に向けて、事業活動を通じた気候変動対応に取り組んでいます。
当社グループは、環境問題を最重要経営課題の一つとして位置付けており、中でも、気候変動問題に対して、バリューチェーンを含めた事業活動におけるCO2排出量の抑制や、環境いわゆるグリーン領域におけるイノベーション創出に貢献する製品およびソリューションの提供に取り組んでいます。また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言に賛同し、関連情報の開示に努めています。
<ガバナンス>
当社グループは、気候関連のリスク・機会および経営課題解決に向けた施策について、環境問題に関する専門部会である「環境会議」(議長:代表取締役社長、年2回開催)で討議しています。
討議内容は執行役員会に報告されるとともに取締役会に報告・付議がなされており、取締役会による監視・監督体制が適切に確保されています。さらに、取締役会では当社グループの環境経営に関わる重要な事項について審議決定が行われます。
<戦略>
1. 気候変動リスク・機会の特定
当社グループの事業・戦略・財務に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、①脱炭素化が進展する1.5℃の世界観、②成り行きで温暖化が進行する4℃の世界観を整理し、それぞれの世界において、当社事業への影響度が大きいと想定される気候変動起因のドライバーを抽出・整理しました。
|
当社の「社会価値創生領域」に関する気候変動起因のドライバー |
その他の気候変動 起因のドライバー |
|||
ヘルスケア |
グリーン(GX) |
マテリアル |
インダストリー |
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1.5℃の世界 |
|
・脱化石燃料化、CO2フリー燃料の普及 ・再生可能エネルギー比率の上昇 ・EVシフト ・CO2回収・利用の実用化 ・バイオマス資源活用の拡大 |
・素材の軽量化・高強度化 ・蓄電池・蓄電システム需要の拡大 |
・モーダルシフト、物流の脱炭素化 ・カーボンニュートラルに向けた社会の電化とデジタルインフラの強靭化 |
・カーボンプライシングの導入・強化 ・エネルギー集約度が高い産業の製品高騰 ・環境配慮製品の浸透・需要増大 ・技術開発競争の激化 |
4℃の世界 |
・気温上昇に伴う感染症の増加 |
|
|
・社会インフラの強靭化 |
・風水災の頻発化・激甚化 |
これを起点とし、IEA(国際エネルギー機関)の気候変動シナリオ等を参考に、様々な産業分野でカーボンニュートラルに関する研究や技術開発等の進展が予想される中、当社事業に関連する主なリスクや機会を整理し、シナリオ分析を行いました。
2. 気候変動シナリオに基づく事業・戦略・財務への影響について
脱炭素シナリオ(1.5℃)、現行シナリオ(4℃)に照らした分析の結果、当社の事業・戦略・財務への影響について、以下のように評価・整理しました。
1.5℃の世界 |
化石燃料を使用するエネルギー、発電、輸送機などの産業においては、脱炭素社会への移行に伴い当社製品の需要減少が懸念されます。一方で、様々な産業において、クリーンエネルギー、バッテリー、新素材等に関する研究開発や生産設備・インフラへの投資が進み、研究開発関連の分析計測機器など、当社製品の需要拡大が期待されます。 |
4℃の世界 |
物理的リスクの影響が大きくなるため、社会インフラの強靭化が喫緊の課題となり、その補強・更新に向けた各種試験機器の開発・供給ニーズの高まりが予想されます。また、気温上昇に伴う媒介性感染症の発症地域の拡大など、医用分野の市場環境にも変化が予想されます。他方、物理的リスクに起因するサプライチェーンの途絶により、当社の事業活動が停止に追い込まれるなどの悪影響を受ける事態も想定されます。 |
・気候変動シナリオに基づく当社の事業・戦略・財務への影響について
当社は、積極的な省エネ推進や再エネ活用により、事業活動におけるCO2排出量の削減に努めるとともに、使用電力の再生可能エネルギー100%を目指す国際的な環境イニシアティブ「RE100」にも加盟しています。また、医薬・医療・環境・エネルギー・半導体・素材など様々な産業に製品・サービスを提供しており、お客様の産業の裾野が幅広いという特徴を有しています。このため、特定の産業の規模縮小といったリスクの発現が当社の財務に甚大な影響を及ぼす可能性は小さいと考えます。
また、気候変動による機会については、「1.5℃の世界」「4℃の世界」のいずれにおいても様々な産業・分野で想定されますが、「1.5℃の世界」の実現に向けた取り組みが社会全体のリスク低減につながると認識しており、当社も1.5℃目標を実現させるべく事業活動を通じて取り組んでいます。具体的には、当社はすべての製品を省エネなど環境に配慮した設計にするとともに、特に環境性能に優れた製品である「エコプロダクツPlus」の売上比率を引き上げ、かつ気候変動への緩和・適応に貢献する製品の開発投資・供給を継続します。
総じて、当社の事業・戦略・財務は、次項の移行計画に沿った対応や取り組みの推進を通じて、気候変動の機会を適切に捉え持続的成長を実現していくことにより、気候変動に対しレジリエント(強靭)な状態を維持することが可能であると考えます。
3. 脱炭素社会に向けた移行計画
・気候変動の緩和(1.5℃目標の達成)
当社グループは、パリ協定に整合した1.5℃目標の達成に向けて、事業活動からのCO2排出量を2050年に実質ゼロとする目標を設定し、CO2排出量の削減に積極的に取り組んでいます。また、サプライチェーンでのCO2排出量の削減に向けて、「お客様先での当社製品使用時のCO2排出量」に関する削減目標を設定しています。
・機会の獲得と最大化
気候変動の緩和・適応に資する製品を戦略的に開発・供給し、お客様の事業における脱炭素の取り組みに貢献していくことで、持続的な成長につなげていきます。また、当社製品需要の変化に応えるべく、開発基盤や供給体制の強化を進めていきます。
<リスク管理>
当社グループの事業・戦略・財務に影響を与えうる気候変動リスクは、環境経営統括室が主体となって各事業のリスクの洗い出しを行い、気候変動シナリオを参考に、重要度が高いリスクを特定しています。特定・評価した結果は、「環境会議」において討議・確認しています。
<指標及び目標>
当社グループは、2050年までに事業活動で排出するCO2を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とすることを目指します。
・2050年目標
事業活動で排出するCO2を実質ゼロとする。
使用電力の再生可能エネルギー比率を100%とする。
・2040年目標
事業活動で排出するCO2を2017年度比で90%以上削減する。
・2030年目標
事業活動で排出するCO2を2017年度比で85%以上削減する。(*)
当社グループが販売した製品使用時のCO2排出量を2020年度比で30%以上削減する。
* 島津グループの2030年度CO2排出量の削減目標は、科学的根拠に基づいた削減を促す国際イニシアティブ「SBT(Science Based Targets)」から、パリ協定における「産業革命前と比較して気温上昇を1.5℃未満に抑える水準と整合した目標」として認定されています。
(人的資本)
<戦略>
1. 島津人財戦略
人は会社にとって最大の財産であり、島津グループの競争力の源泉は人財の力にあります。社員が社是である「科学技術で社会に貢献する」を実践し、技術開発力と社会実装力の両輪で世界のパートナーと共に社会課題の解決に取り組むことで、持続的な企業価値の向上を目指します。人財戦略では、「Leadership & Diversity」のスローガンのもと、多様なパートナーと連携し、社会課題の解決に向けたイノベーションをリードできる人財の創出・獲得を推進します。
2. 人財育成方針
当社グループが求める人財を、高潔な倫理観を持ち、多様な視点や専門性を活かし、果敢に挑戦し、やり遂げ、自ら成長する人財と定義し、社員が自律的に取り組み、挑戦し、常に学び成長する企業文化を醸成します。また、当社では『島津アカデミー』を開講し、事業戦略の実現、経営基盤強化のため、経営幹部候補育成やビジネスリーダー育成、高度専門人財育成を推進しています。革新的な技術を社会実装するには、いち早く製品やサービスなどトータルソリューションを提供し、成功と失敗から学び、次の手段を打てる力が求められます。『島津アカデミー』では学びと経験を実践するカリキュラムを提供します。
企業文化の醸成 |
当社では、社員が事業や文化・歴史を深く学び、企業文化を醸成する取り組みを推進しています。「Leadership & Diversity」のスローガンのもと、多様性への理解を深めるとともに、リーダーシップを発揮できる環境づくりを推進しています。全ての社員が自律的に挑戦し、学び続けることで、学びと成長を基盤にした企業文化を醸成すると同時に、社会価値の創出へとつながる取り組みを展開しています。 |
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事業戦略・経営基盤強化のための人財育成 |
・経営幹部候補育成 事業戦略、経営基盤の強化を推進する上で、経営幹部の育成は当社の重要テーマです。当社では1997年より「経営塾」を始め、島津グループの成長を牽引する経営幹部候補の育成に取り組んできました。2023年度より新たに経営幹部候補育成プログラム「経営塾アドバンス」、「経営塾」を開始しました。社外派遣による知識の習得に加え、グループ会社の経営など実践的タフアサインメントの付与との両輪による経営幹部候補の育成を推進し、経営人財プールの拡充を図っています。 ・ビジネスリーダー育成 高度な技術を社会実装していくため、ビジネス課題を解決しメンバーを統率して事業を牽引していくビジネスリーダーの育成は、当社グループの重要なテーマです。本社・海外グループ会社のマネージャー層を対象に状況対応型リーダーシップ研修を実施しており、2024年度からは社内講師も育成し国内グループ会社への展開に取り組むなど、グローバルで事業を牽引するビジネスリーダーの育成に取り組んでいます。このほか、海外現場研修、省庁への派遣など、若手社員も含め幅広くビジネスリーダーの育成に取り組んでいます。さらに本社では、次世代リーダーの育成研修として部長および課長候補者を対象とした「TORINOME」、「MUSHINOME」の2つのコースを新たにスタートしました。次のポストで必要な視野・視座、経営知識やリーダーシップを早期に習得します。経営幹部候補人財と併せて、事業や組織の中核を担う後継者人財のパイプラインを強化しています。 ・高度専門人財育成 グループの成長には、日々の技術力向上と高い専門性が不可欠であり、世界の優れた専門家と協業し新たな技術や事業機会を生み出す人財、高品質の新製品を生み出すための開発・設計力を持つ人財、高度な管理業務を遂行する人財、データを利活用してビジネス・業務を変革する人財の育成が必要です。これらの専門人財を育成するため、当社では資格取得奨励制度や教育研修による支援を行ってきました。2021年度からは大学と共同で博士課程での若手技術者・研究者の育成を行い、2024年度からは社会人博士育成支援制度を開始し、社員の博士号取得を支援しています。また、高度な国家資格や社内資格をオープンバッジで認定することで、社員の専門性獲得を促進しています。2025年度からは、国内グループ会社の社員にもオープンバッジの発行を広げる予定です。将来的には、グローバルに活動を広げて、世界各国で専門人財の育成に取り組んでいきます。 |
3. 社内環境整備方針
当社は、多様な人財が、健康で働きがいを感じ、夢と成長の実現に向けた新たな挑戦ができる職場を「Well-Beingな職場」と定義し、目標とする職場づくりのため、多様性を活かす組織風土、挑戦マインドを育む人事制度、健康で安全な職場、コンプライアンス徹底の実現に向けた施策を推進します。
多様性を活かす組織風土づくり(DE&Iの推進) |
・多様な人財の獲得と活躍 当社は、国籍・性別・経験に関わらず多様で優秀な人財の獲得と活躍の実現を目指しています。特に、高度な技術的専門性や経営管理スキルを持つ専門人財の確保のため、技術系・事務系インターンシップや、外国大学の学生が日本で就業するためのプログラムへの参加など、様々な採用活動を進めています。また、女性社員の積極採用やキャリアデザイン研修を通じて、女性管理職比率の向上に取り組んでいます。当社が事業を行う多くの国・地域から本社への受入制度を整備し、海外人財の受け入れを拡大しています。
*1 いずれも当社の状況です。 *2 2024年度の採用活動実績です。 ・柔軟な勤務制度 当社は、生産性の向上や育児・介護など社員一人ひとりの事情に応じた働き方を実現するため、フレックスタイムやテレワークといった柔軟な勤務制度を導入しています。今後はグループにおける多様な人財獲得・定着の観点から、グループ会社にも柔軟な勤務制度を展開していきます。 |
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挑戦マインドを育む人事制度づくり |
・人事制度改革/評価制度改革 当社は、社内公募制や全社業績表彰などの各種表彰制度を通じて、社員が自律的に挑戦していくことを奨励しています。また、2024年度よりマネジメント系列とプロフェッショナル系列からなる複線型人事制度を導入しました。今後、社員一人ひとりが自律的に専門性を高め、それぞれの強みを活かし、様々な挑戦を通してキャリアアップしていくことで、社員の挑戦マインドとエンゲージメントの向上を目指します。 |
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健康で安全、コンプライアンスを徹底する職場づくり |
・健康経営 当社は、健康増進イベントや、自社技術に基づく乳房専用PET検査・軽度認知障害(MCI)スクリーニング検査の社員や社員の家族への還元をはじめとした健康経営施策に取り組んでおり、2025年まで健康経営優良法人(ホワイト500)に9年連続で認定されています。今後は健康増進アプリの展開など、国内外のグループ全体を含めたグローバルな健康増進活動を推進し、社員のさらなるWell-Being向上を図ります。 ・安全衛生 当社は、法定の安全教育だけにとどまらず、各職場でのチーム学習における動画教材による安全教育や危険体感研修などを通じた安全意識の涵養と、職場巡視活動の徹底による安全リスクの低減に取り組んでいます。今後はこの活動をグループ会社に広く展開するとともにリスクアセスメントの強化を図り、休業災害ゼロの実現を目指します。 ・コンプライアンス 当社では、社員の行動指針である「島津グループ企業倫理規定」の内容を詳解する「島津グループ企業倫理行動ガイドライン」を作成し、企業倫理意識の浸透を図っています。また、本社・グループ会社において、毎年e-learningまたは学習冊子による企業倫理教育やハラスメント防止研修を実施しているほか、集合研修等によるコンプライアンス研修を実施しています。 |
<指標及び目標>
(1) 人財育成方針に関する指標及び目標 |
*1 当社の状況です。 *2 当社および国内グループ会社の状況です。 *3 博士号のほか難易度の高い国家資格等保有者(技術士、弁理士、機械設計技術者1級、第1種・第2種電気主任技術者、IT系資格レベル4相当、弁護士、公認会計士、税理士、MBA等)、社内資格保有者 |
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(2) 社内環境整備方針に関する指標及び目標 |
*1 当社の状況です。 *2 当社および国内グループ会社の状況です。 *3 その他は当社およびグループ会社の状況です。 |