人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数23,931名(単体) 169,151名(連結)
-
平均年齢44.1歳(単体)
-
平均勤続年数19.0年(単体)
-
平均年収8,324,359円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2023年12月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
プリンティングビジネスユニット |
109,695 |
メディカルビジネスユニット |
13,149 |
イメージングビジネスユニット |
26,077 |
インダストリアルビジネスユニット |
8,126 |
その他及び全社 |
12,104 |
合計 |
169,151 |
(注) 従業員数は就業人員数であり、パートタイマー、期間社員等を含んでおります。
(2)提出会社の状況
|
|
|
2023年12月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
23,931 |
44.1 |
19.0 |
8,324,359 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
プリンティングビジネスユニット |
9,556 |
メディカルビジネスユニット |
373 |
イメージングビジネスユニット |
4,252 |
インダストリアルビジネスユニット |
2,513 |
その他及び全社 |
7,237 |
合計 |
23,931 |
(注)1 従業員数は就業人員数であり、パートタイマー、期間社員等を含んでおります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
当社グループでは主に会社別に労働組合が組織されております。
当社及びその販売子会社であるキヤノンマーケティングジャパン(株)にはキヤノン労働組合があり、労協N.E.T及び
全日本光学工業労働組合協議会に加入しております。現在まで労使関係は良好であります。
また、その他の会社における労働組合に関しましても、現在まで労使関係は良好であります。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める 女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の 育児休業取得率(%) (注)2 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1・3 |
||
全労働者 |
うち正規雇用労働者 |
うちパート・ 有期雇用者 |
||
3.8 |
65.8 |
74.8 |
75.0 |
74.0 |
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基
づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省
令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3 女性に比べ男性の方が管理職比率が高いことが男女間賃金格差の要因となっております。女性管理職比率の向上
は、当社としても重要な課題と認識しており、ダイバーシティ推進に向けた全社横断組織を発足し、女性管理職
候補を育成する女性リーダー研修や仕事と育児の両立を支援する活動を行っております。その結果、正規雇用労
働者の賃金格差は、前事業年度から0.5ポイント改善しました。詳細は、第2 事業の状況 2 サステナビリテ
ィに関する考え方及び取組 (4)人的資本に記載しております。なお、正規雇用労働者のうち、同一役職レベル
における男女の賃金の差異は、部長職で96.8%、課長職で97.5%となります。
②主な国内の連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2・3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1・4 |
||
全労働者 |
うち正規雇用労働者 |
うちパート・有期雇用者 |
|||
キヤノンマーケティングジャパン(株) |
4.8 |
40.3 |
80.8 |
76.5 |
122.9 |
キヤノンITソリューションズ(株) |
4.7 |
66.0 |
82.4 |
81.1 |
101.9 |
キヤノンシステムアンドサポート(株) |
3.4 |
39.6 |
76.6 |
74.8 |
66.6 |
キヤノンプロダクションプリンティングシステムズ(株) |
1.5 |
- |
64.7 |
79.0 |
69.0 |
キヤノンカスタマーサポート(株) |
15.7 |
- |
72.6 |
72.6 |
98.2 |
クオリサイトテクノロジーズ(株) |
20.0 |
42.8 |
86.7 |
86.9 |
71.6 |
TCS(株) (注)5 |
12.0 |
40.0 |
75.8 |
74.8 |
- |
キヤノンITSメディカル(株) |
3.5 |
25.0 |
76.0 |
75.0 |
74.7 |
キヤノンビズアテンダ(株) |
20.4 |
33.3 |
76.1 |
83.3 |
75.6 |
エーアンドエー(株) |
11.8 |
0.0 |
84.6 |
84.6 |
- |
キヤノンビジネスサポート(株) |
0.0 |
- |
89.5 |
85.7 |
- |
(株)キュービーファイブ |
88.9 |
- |
72.1 |
95.4 |
72.5 |
キヤノン電子(株) |
4.5 |
44.0 |
79.1 |
77.5 |
75.7 |
キヤノン電子テクノロジー(株) |
3.1 |
20.0 |
72.7 |
72.5 |
46.5 |
キヤノンメディカルシステムズ(株) |
4.5 |
31.9 |
65.3 |
70.0 |
93.4 |
キヤノンメドテックサプライ(株) |
2.8 |
100.0 |
73.8 |
73.8 |
- |
ミナリスメディカル(株) |
9.7 |
28.6 |
67.1 |
76.3 |
67.8 |
キヤノン電子管デバイス(株) |
1.3 |
16.7 |
71.6 |
78.6 |
92.3 |
キヤノン化成(株) |
3.7 |
46.7 |
76.0 |
74.9 |
87.7 |
キヤノンプレシジョン(株) |
3.9 |
64.7 |
78.4 |
78.8 |
95.4 |
キヤノンファインテックニスカ(株) |
4.3 |
72.7 |
76.3 |
73.6 |
91.5 |
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2・3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1・4 |
||
全労働者 |
うち正規雇用労働者 |
うちパート・有期雇用者 |
|||
キヤノンオプトロン(株) |
4.5 |
0.0 |
- |
- |
- |
キヤノン・コンポーネンツ(株) |
3.6 |
60.0 |
82.1 |
80.9 |
85.3 |
キヤノンセミコンダクターエクイップメント(株) |
0.0 |
60.0 |
69.0 |
73.0 |
75.0 |
キヤノンイメージングシステムズ(株) |
6.8 |
100.0 |
87.6 |
86.9 |
- |
キヤノンアネルバ(株) |
2.0 |
40.0 |
75.5 |
72.2 |
66.2 |
キヤノンマシナリー(株) |
1.3 |
14.3 |
78.9 |
79.1 |
61.8 |
キヤノントッキ(株) |
1.3 |
66.7 |
74.9 |
73.6 |
58.4 |
大分キヤノン(株) |
5.0 |
39.7 |
71.5 |
71.6 |
54.5 |
長浜キヤノン(株) |
3.8 |
50.0 |
74.5 |
73.1 |
- |
大分キヤノンマテリアル(株) |
4.8 |
67.9 |
81.5 |
82.5 |
41.1 |
上野キヤノンマテリアル(株) |
0.0 |
40.0 |
76.0 |
76.0 |
83.0 |
福島キヤノン(株) |
3.4 |
76.4 |
73.1 |
78.3 |
79.6 |
キヤノンエコロジーインダストリー(株) |
3.1 |
33.3 |
73.4 |
73.6 |
81.7 |
キヤノンモールド(株) |
2.8 |
50.0 |
76.1 |
74.3 |
94.4 |
長崎キヤノン(株) |
4.0 |
24.0 |
66.0 |
66.0 |
- |
宮崎キヤノン(株) |
5.0 |
40.0 |
96.5 |
88.0 |
105.0 |
福井キヤノンマテリアル(株) |
20.0 |
- |
- |
- |
- |
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基
づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令
第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3 「-」は、対象となる従業員(当該事業年度中に配偶者が出生した男性従業員)がいないことを示しております。
4 「-」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づく公表を行っ
ていないため、記載を省略しております。もしくは、算出に必要な従業員が在籍していないことを示しておりま
す。
5 TCS(株)は3月期決算企業のため、2023年3月末時点の情報を記載しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)キヤノンのサステナビリティ
当社グループは、1988年より世界の繁栄と幸福のために貢献する「共生」を企業理念として掲げ、努力してまいりました。「すべての人々が、文化、習慣、言語、民族、地域などあらゆる違いを超えて共に生き、共に働き、互いに尊重し、幸せに暮らす社会。そして、自然と調和し、未来の子どもたちに、かけがえのない地球環境を引き継ぐことのできる社会。」このような社会の実現に向け、当社グループは、テクノロジーとイノベーションの力で新たな価値を創造し、世界初の技術、世界一の製品・サービスを提供するとともに、社会課題の解決にも貢献していきます。また、すべての製品ライフサイクルにおいて、より多くの価値を、より少ない資源で提供することで、豊かな生活と地球環境の両立を目指します。当社グループは、これからもすべての企業活動を通じて、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
(2)サステナビリティ課題
当社グループを取り巻くサステナビリティの課題は多岐に渡りますが、そのうち、気候変動対応、人的資本、サイバーセキュリティについては、以下(3)気候変動(TCFD提言に即した開示)(4)人的資本(5)サイバーセキュリティをご覧ください。またその他の項目を含め、詳細については当社ホームページに掲載されておりますサステナビリティレポートをご参照ください。
(3)気候変動(TCFD提言に即した開示)
当社グループは、気候変動への対応を含む「地球環境の保護・保全」をマテリアリティの一つとしています。課題解決に向けて、開発、生産、販売といった自らの事業活動だけでなく、サプライヤーにおける原材料や部品の製造、販売店などへの輸送、さらにはお客さまの使用、廃棄・リサイクルに至るまで、製品ライフサイクルの各ステージにおける環境への影響を捉え、削減に取り組んでいます。
2050年にCO₂排出量をネットゼロとすることを目指し、製品の小型・軽量化、物流の効率化、生産拠点での省エネルギー活動、製品使用時の省エネルギー、製品リサイクルなど、様々な取り組みを推進しています。「キヤノングループ環境総合目標」である「ライフサイクルCO₂製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」を確実に達成することで、CO₂排出量の着実な削減を図っていきます。
また、当社は、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、サステナビリティレポートやウェブサイトを通じて、推奨される情報を継続的に開示しています。
<ガバナンス>
気候変動対応を含む環境目標は、代表取締役会長兼社長 CEOが承認しています。中長期計画については、サステナビリティ推進本部が策定の上、取締役を含めた役員間の協議を経た上でCEOの承認を得ています。目標達成に向けサステナビリティ推進本部が中心となってグループ全体で活動を実行しています。目標の進捗について毎月経営層に報告するとともに、年間のレビューをCEOに報告しています。
また、当社では取締役会決議に基づき、リスクマネジメント委員会を設置し、環境法規制や自然災害に関する重大なリスクは、リスクマネジメント委員会において評価を実施し、結果を取締役会へ報告しています。
<戦略>
専門機関や政府機関からの情報をもとに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動シナリオなどを活用した製品ライフサイクルCO₂削減に対する数値シミュレーションを実施し、事業上のリスクや機会を特定するとともに中長期戦略を策定しています。※特定したリスク・機会の概要は、次頁を参照
また、リスクを縮小し、機会を拡大するため、製品ライフサイクル全体を視野にCO₂削減を図る「緩和」と物理リスクへの「適応」の両面からのアプローチが重要と認識し、対応計画を策定・実行しています。
さらに、資源循環への取り組みを通じたCO₂削減も実行しています。例えば、複合機のリマニュファクチュアリングにより、新規の原材料調達や部品加工に伴い発生するCO₂削減が可能であるほか、インク・カートリッジのクローズドループリサイクルにより、回収したカートリッジからプラスチックをペレット化し、再度原材料として使用することで、新規の原材料調達や輸送等にかかるCO₂を削減することが可能となります。
気候変動領域における主なリスク・機会
リスク 機会 |
種類 |
リスク・機会の概要 |
財務 |
対処 |
リスク |
移行 |
省エネルギー規制の強化と対応コストの増加(製品・拠点) |
大 |
・製品ライフサイクル全体での負荷削減を 指標とした環境総合目標の達成 ・環境規制動向に関する情報収集/分析/ 適合 |
経済的手法を用いた排出抑制(炭素税など)による事業コストの増加 |
中 |
・拠点エネルギー目標の達成 ・開発/生産/設備/環境部門が連携し、各事 業所の省エネ活動を推進 |
||
物理 |
台風や洪水被害の甚大化など異常気象の深刻化による操業影響 |
中 |
・BCPの策定、高リスク事業拠点の高台移転 |
|
評判 |
情報開示の不足による外部評価の低下 |
小 |
・気候変動対応への考え方、取り組み状況 の開示 |
|
機会 |
製品・ |
省エネルギー製品をはじめライフサイクル全体でのCO₂排出量が小さい製品に対する販売機会の拡大 |
大 |
・製品ライフサイクル全体での負荷削減を 指標とした環境総合目標の達成 ・省エネ性能と使いやすさを両立させた 製品の開発/製造/販売 |
社会全体のCO2削減へ貢献する製品・ソリューションの販売機会の拡大 |
大 |
・製品ライフサイクル全体での負荷削減を 指標とした環境総合目標の達成 |
||
資源の |
生産や輸送の高効率化によるエネルギーコストの削減 |
中 |
・拠点エネルギー目標の達成 ・高効率設備や輸送手段への切り替え/新規 導入 |
|
エネルギー源 |
再生可能エネルギーの低コスト化による活用機会の拡大 |
中 |
・再生可能エネルギーへの切り替え |
|
その他 |
気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上 |
小 |
・気候変動対応への考え方、取り組み状況 の開示 |
<リスク管理>
特定した気候変動リスク・機会は、ISO14001のPDCAサイクルに沿って管理しています。
当社グループは、環境保証活動の継続的な改善を実現する仕組みとして、全世界の事業所においてISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを構築しています。
具体的には、環境マネジメントシステムは、各部門の活動と連携した環境保証活動を推進(DO)するために、中期ならびに毎年の「環境目標」を決定(PLAN)し、その実現に向けた重点施策や実施計画を策定して事業活動に反映させています。さらに、各部門における取り組み状況や課題を確認する「環境監査」や、業績評価に環境側面を取り込んだ「環境・CSR業績評価」を実施(CHECK)することで、環境保証活動の継続的な改善・強化(ACT)へつなげています。
これらリスク・機会への対応は、全社環境目標や重点施策に反映されるとともに、当社グループでは、環境への対応を経営評価の一部として取り入れており、各部門の環境目標の達成状況や環境活動の実績は、グループ全体の経営状況の実績を評価する「連結業績評価制度」の一指標として実施される「環境・CSR業績評価」の中で年2回、評価・評点化しています。評価結果はCEOをはじめとする経営層に報告されています。
<指標と目標>
当社グループは、製品ライフサイクル*を通じたCO2排出量を2050年にネットゼロとすることをめざしており、その
達成に向けて、総量目標としては、2030年にスコープ1、2排出量を2022年比42%削減、スコープ3(カテゴリー1、11)排出量を2022年比で25%削減することをめざしており、SBTi (Science Based Targets イニシアティブ)の認定を取得しました。
また、2008年以来、環境総合目標として「ライフサイクルCO2製品1台当たりの改善指数年平均3%改善」(原単位目標)に取り組んでいます。この目標を継続的に達成することで、2030年には2008年比で50%の改善となります。2023年時点では2008年からの平均で目標を上回る3.95%、2008年比44.4%の改善となりました。また、ライフサイクルCO₂排出量は7,468千t-CO₂(スコープ1+2+3合計)でした。これらのGHG(Greenhouse Gas)排出量データは、毎年第三者保証を取得しており、2023年も取得済みです。
* スコープ1:直接排出(都市ガス、LPG、軽油、灯油、非エネルギー系温室効果ガスなど)、スコープ2:間接排出(電気、蒸気など)、 スコープ3:サプライチェーンでの排出(購入した物品・サービス、輸送・流通、販売した製品の使用)
「ライフサイクルCO₂製品1台当たりの改善指数」推移
※1 2008年を100とした場合
ライフサイクルCO₂排出量の推移
※1 温室効果ガス(エネルギー系温室効果ガスであるCO₂と非エネルギー系温室効果ガスであるPFCs、HFCs、SF6、N2O、メタン、NF3)を集計対象としています。
※2 原材料および加工に関わるCO₂換算係数は、エコリーフ環境ラベルプログラムの換算係数を使用しています。
※3 2021年以降のデータについてはキヤノングループの連結対象会社を集計の範囲とし、それ以前は主にISO14001統合認証の取得会社を集計の範囲としています。
(4)人的資本
当社は、グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥのもと、生産性向上と、新規事業創出によるポートフォリオの転換を進めています。
その完遂に向けて、創業以来引き継がれている「人間尊重」の企業DNAと、価値創造の源泉は人材であるという考えのもと、人材価値の最大化を図るため、以下の戦略に基づき、多様性の確保を含む人材育成と社内環境整備に取り組んでいます。
戦略ならびに指標及び目標
1.イノベーション人材の獲得と育成
当社は、革新的な製品を創出することによって社会に新たな価値を提供するため、優秀な技術人材の獲得と育成に取り組んでいます。
定期採用では、インターンシップを通じて当社の魅力を訴求し、学生の関心を高めるとともに、優秀な学生に直接コンタクトするダイレクトリクルーティングを強化しています。
また、技術人材育成委員会のもと、250以上の専門講座を整備し、長期的視点に立って次世代を担う技術人材を育成しています。近年では、保有技術や特許情報などを集約した技術人材データベースを構築することにより戦略的な人材配置につなげています。
2023年には、「高度技術者認定制度」を導入し、高度な技術的知見を有する技術者を「Top Scientist」「Top Engineer」として顕彰することにより、モチベーションのさらなる向上と優秀人材の確保を図っています。
特に、イノベーションに不可欠なデジタル人材の育成については、ソフトウエア技術者の育成を専門的に担う社内教育機関「CIST(Canon Institute of Software Technology)」を2018年に設立し、ソフトウエアに関するスキルを受講者のレベルに応じて基礎から応用まで体系的に身につけられる体制を整えています。全社員に対しては、生産性向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのIT・DXリテラシー研修を実施し、2023年までに延べ24,000人が受講しました。また、上級者に対しては、最先端のソフト技術を学ぶための高度な研修や国立情報学研究所や早稲田大学など社外の教育・研究機関への派遣を積極的に行っています。
〈デジタル人材育成体系図〉
このほか、さまざまな領域での変革を牽引する経営人材、グローバル人材、ものづくり人材などを育成する研修やトレーニー制度を整備するなど、イノベーション人材の育成に注力しています。2023年の社員一人当たりの平均研修時間は22.6時間、平均研修関連費用は16.5万円となり、3年連続で上昇しています。
〈社員一人当たり平均研修時間、平均研修関連費用〉
〈人材育成体系図〉
2.適材適所と少数精鋭の推進
当社は、生産性の高い少数精鋭の組織を実現するため、戦略的な人材配置とキャリア形成支援による適材適所を推進しています。
新入社員に対しては、専門知識や志向にマッチした配属を実現するため、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大しています。入社3年経過時には、キャリア研修や面談を通じて職務適合性を確認し、万一の配属ミスマッチの早期解消に取り組んでいます。
また、成長領域への人材シフトと、社員の主体的なキャリア形成を実現する仕組みとして「キャリアマッチング制度」(社内公募制度)を導入しています。さらに、新たな職種領域へチャレンジする社員を支援するため、職種転換研修と社内公募制度を組み合わせた「研修型キャリアマッチング制度」を導入し、2023年までの10年間で累計2,128人が社内公募で異動しました。そのほか、多様な職種に関する研修メニューを定期的に紹介するなど、社員のリスキリング(職業能力の再開発・再教育)を強化しています。
〈社内公募異動者〉累計
3.ジョブ型人材マネジメントの進化
当社は、2001年からジョブ型の「役割給制度」を導入し、年齢や性別にとらわれない、優秀人材の抜擢と公平・公正な処遇を実現しています。
役割給制度においては、ポジションごとに職務記述書を作成し、職務に求められる知識やスキルを明確化することにより、自律的なキャリア形成と適材適所の人材配置を可能にしています。
近年は、職務を基軸とした職種別採用やキャリア採用、社内公募などを拡大し、ジョブ型の人材マネジメントを強化しています。
また、処遇面においても、めざましい活躍をした人材に対して特別報酬が支払われるOS(Outstanding)評価制度や、少ない人的リソースで高い利益を創出した場合により高い賞与が支払われる仕組みを導入するなど、報酬制度の改善を通じて人的投資を強化しています。
〈役割等級〉
※T:Tentative/Training、 G:Job Grade Band 、M:Management Mission Band
4.創造的な組織風土の醸成
当社は、イノベーションを創出する自由闊達な職場風土を醸成するため、組織開発に取り組んでいます。
具体的には、コミュニケーションやリーダーシップなどの課題に対して、専任の社内コンサルタントの支援のもと、職場メンバーが対話を通じて課題解決に取り組む「CKI(Canon Knowledge-intensive staff Innovation)」活動を実施し、2023年までに延べ468部門、1万6,500人が組織開発に取り組みました。
また、社員の自発的な創発活動を積極的に支援しています。例えば、2018年に活動開始した「Developers Conference」では、社員が事業の枠を超えて製品開発や技術トレンドについて意見を交わすなど、相互啓発の場として定着しています。
5.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進
当社は、多様な価値観やアイデアを活かし、イノベーションを創出するためにダイバーシティを推進しています。
2012年にダイバーシティ推進のための全社横断組織「VIVID(Vital workforce and Value Innovation through Diversity)」を発足し、重点施策として、「女性の活躍推進」と「男性の育児参画支援」を掲げ、さまざまな活動を展開しています。
重点施策とKPI
・女性管理職比率:2025年末までに2011年比で3倍以上とする
・男性の育児休業取得率:2025年末までに50%以上とする
女性の活躍推進については、女性の管理職候補育成を目的とした「女性リーダー研修」を実施し計画的な育成に取り組んでいます。受講生は2012年の開始から累計で267人となりました。女性活躍のKPIである女性管理職比率は、2025年末までの目標に対して、2023年末で93%の達成度となり、前倒しでの目標達成を目指しています。さらに、部長職以上の女性幹部社員は過去5年間で約50%増加するなど、着実に活躍の場を広げています。今後は、女性の技術系採用を強化するとともに、将来的には女性管理職比率を社員総数における女性比率(2023年末16.9%)と同等にすることを目指しています。
また、仕事と育児の両立を支援するため、育児休業復職セミナーや管理職によるメンタリングなどのサポート体制を整え、女性が活躍できる環境づくりに努めています。これら取り組みが評価され、2019年から子育てサポート企業として厚生労働省より「プラチナくるみん」の認定を受けています。
男性の育児参画については、育児休業制度を利用した男性社員の座談会やインタビュー、育児関連セミナーなどを実施し、男女共同参画へ向けた意識改革や職場風土醸成に努めています。これら取り組みの結果、男性の育児休業取得率は、2023年末で65.8%へと上昇するとともに、育児休業平均取得期間は70.6日と高い水準となっています。
連結子会社含む各社女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女の賃金の差異は、第1 企業の概況 5 従業員の状況をご参照ください。
〈女性管理職比率〉 〈男性の育児休業率〉
KPI |
目標 |
実績 |
経団連平均 |
育児休業取得率 |
50% |
65.8% |
47.5% |
平均取得期間 |
- |
70.6日 |
43.7日 |
※一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)平均は2022年実績
6.従業員エンゲージメントの向上
当社は、社員一人ひとりが会社の理念や戦略に共感し、意欲的に業務に取り組むためのさまざまな施策を展開しています。
定期的に従業員意識調査を実施し、社員の業務に対する意識や職場風土などの課題を明確化するとともに、管理職へのフィードバックを通じて改善に取り組んでいます。
2023年の従業員意識調査では、前回と比較し、「担当業務における自律性」や「自己成長」をはじめとする全項目において、肯定回答率は上昇しました。特に、やりがい、自己成長、働きやすい環境などエンゲージメントに関連する項目は、着実に改善しています。
若手社員に対しては、「モチベーション診断」や「パルスサーベイ」を導入し、上司、先輩、人事が一体となって、エンゲージメント向上の取り組みを進めています。
また、ワークライフバランス充実のため、労働時間の短縮やライフステージに合わせて柔軟に働くことができる労働環境の整備に取り組んでいます。具体的には、育児や介護を理由とした短時間勤務等の制度充実や、計画的な休暇促進、ITを活用した業務効率化などを行っています。これら取り組みの結果、2023年の年間総実労働時間は、全国平均※(1,962時間)より大幅に少ない1,734時間となりました。
※厚生労働省 毎月勤労統計調査 一般労働者 調査産業計より
〈従業員エンゲージメント〉
※やりがい、自己成長、働きやすい環境などエンゲージメントに関連する項目における肯定回答率
7.健康経営の推進
当社は、創業当初から「健康第一主義」を行動指針の一つに掲げ、健康経営を推進しています。
従業員の心身の状態や生活習慣、業務の状況など、健康診断で得られたデータの詳細な分析から、健康保険組合と協働で目標値を設定し、実効性のある健康支援を行っています。例えば、生活習慣病発症について、睡眠や喫煙が影響していることを踏まえ、良質な睡眠を確保するために専用機器を用いた指導や禁煙プログラムの実施などを行っています。また、2016年からは、全ての国内事業所の敷地内を禁煙とするなど取り組みを進めた結果、2023年末の喫煙率は14.0%となり、2004年から18.4ポイント減少しました。
メンタルヘルスについては、毎年ストレスチェック実施し、高ストレス者に対する産業医面談や保健師による健康相談を行うほか、職場との懇談会を実施するなど職場全体で取り組みを進めています。このほかにも、健康に関するセミナーやイベントを行い、さまざまな健康支援を通じて社員の生産性向上を目指しています。
目標値 |
目標値 |
実績 |
健康診断受診率 |
100% |
100% |
ストレスチェック受診率 |
100% |
95.4% |
がん検診受診率 |
70% |
48.7% |
(5)サイバーセキュリティ
<ガバナンス/リスク管理>
当社は、情報セキュリティ担当執行役員である情報通信システム本部長を情報セキュリティの意思決定責任者と位置づけ、当社の情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントを担っています。情報セキュリティ担当執行役員である情報通信システム本部長は5年間にわたり情報セキュリティの意思決定責任を担っており、リスク評価・管理に関する十分な経験と知識を備えています。また、実務組織である情報通信システム本部には、サイバーセキュリティに関する実践的な知識・技能を有する専門人材の日本における国家資格である「情報処理安全確保支援士」を配置しており、リスク管理を支援しています。万一、情報セキュリティに関する事件・事故が発生した場合は、情報通信システム本部に報告され、状況に応じリスクマネジメント委員会※1に報告する体制となっています。同委員会では、当社が事業遂行に際して直面し得る重大なリスクの特定(法令・企業倫理違反、財務報告の誤り、環境問題、品質問題、情報漏洩など)を含む当社のリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案します。法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動にともなう各種リスクを所管する当社の各管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、当社各部門および各グループ会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しています。当社の各部門および各グループ会社は、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しています。リスクマネジメント委員会は、各分科会および各部門・各社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その評価結果を代表取締役CEOおよび取締役会に報告しています。
※1 詳細は3 事業等のリスク(1)リスクマネジメント体制をご参照ください。
<戦略>
1.情報システムセキュリティ対策
当社は、情報セキュリティの三要素といわれる「機密性」「完全性」「可用性」※2を保持するための施策に取り組んでいます。内部からの情報漏洩対策として、最重要情報はセキュリティを強化した専用のシステムに保管し、アクセス制限や利用状況の記録を徹底しています。また、社外から自社の情報資産に安全にアクセスできる環境を構築した上で、メールのファイル添付送信やPC・記録メディアの社外持ち出しを管理しています。また、外部からのサイバー攻撃対策として、マルウェア※3などが添付された不審メールの侵入監視、社内からインターネットへの不正通信の監視を実施し、攻撃被害の拡大防止に努めています。さらに、サイバー攻撃を想定した対応訓練(NISC※4/NCA※5連携 分野横断的演習)に2017年より毎年参加し、障害対応体制の強化を図っています。また、セキュリティツールベンダーと毎月サイバーセキュリティリスクのトレンド・対策に関する情報共有も実施しております。
※2 機密性:許可された者だけが情報にアクセスできるようにすること
完全性:情報や処理方法が正確で、改ざんされないよう保護すること
可用性:許可された者が必要とする時に情報にアクセスできるようにすること
※3 不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウエア。コンピューターウイルス、ランサム
ウェアなど
※4 National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurity(内閣サイバーセキュリティセ
ンター)の略
※5 Nippon CSIRT Association(日本シーサート協議会)の略
2.生産設備の情報セキュリティ対策
当社は、マルウェアやサイバー攻撃によって工場の生産設備に稼働障害が発生し、生産計画に問題が生じることがないよう、生産設備の情報セキュリティ対策に取り組んでいます。従来、サイバー攻撃の対象は企業の業務システムやWebシステムなどの情報システムが主体でしたが、生産設備においても汎用OSの利用やIoT化が進み、情報システムと同等の情報セキュリティリスクが生じています。生産設備の運用期間は汎用OSのサポート期間よりも長期にわたり、情報システムとは別のセキュリティ対策が必要となるため、当社および国内外のグループ生産会社では、ウイルス感染などによる操業停止に陥らないよう、生産設備系ネットワークの不正通信監視を行っています。また、生産設備についてもセキュリティ監査を実施し、安全な生産環境の維持を図っています。
3.従業員の意識の向上をめざす情報セキュリティ教育
当社は、情報セキュリティの維持・向上のため、情報システムの利用者である従業員の意識向上にも注力しています。定期入社者、中途入社者ともに集合教育を通じて当社の情報セキュリティに関する施策やルールの徹底を図っています。また、毎年、全従業員を対象として、eラーニングによる情報セキュリティ研修を実施しています。2023年は当社の従業員全員の約2万4,000人が受講しました。研修内容は、現在主な脅威となっているウイルス感染の事例を確認し、インターネット・SNS利用時における注意点など、従業員の情報セキュリティリテラシー※6を向上させるものとなっています。また、当社およびグループ会社ののべ約6万人の従業員に対し、不審メールを受け取った際に適切に対処し被害を拡大させないための実践教育として標的型攻撃メール対応訓練も実施しました。特に、メールでの業務に慣れていない新入社員については、別途訓練を実施し、教育を強化しています。
※6 セキュリティ対策を実行する時に知っておくべき知識やスキル
4.情報セキュリティマネジメント体制
情報セキュリティインシデントに対処する専門チームCSIRT※7(シーサート)を2015年に当社情報通信システム本部内に設置しました。同時に、日本シーサート協議会(NCA)に加盟し、他社CSIRT組織との連携強化を図っています。また、当社では情報セキュリティ部門を対象として、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・運用の国際規格ISO27001の外部認証を取得しています。
サードパーティのクラウドサービスを利用する際には、情報通信システム本部が当該サービスのセキュリティリスクを事前評価し、利用を許可するプロセスを運用しています。また利用開始後も、毎年1回同様のプロセスを実施することにより、継続的なリスク低減を図っています。
※7 Computer Security Incident Response Teamの略。コンピューターセキュリティにかかる事件・事故に対処
するための組織の総称