2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

再生医療製品事業 再生医療受託事業 研究開発支援事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
再生医療製品事業 1,493 60.8 219 31.3 14.6
再生医療受託事業 714 29.1 412 59.0 57.7
研究開発支援事業 248 10.1 68 9.7 27.2

事業内容

3【事業の内容】

当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュエンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する」ことを会社設立の趣旨とする企業です。「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンに掲げ、再生医療等製品の開発、製造、販売を行う再生医療製品事業、再生医療に関する開発及び製造等を受託する再生医療受託事業、研究用ヒト培養組織の開発、製造、販売を行う研究開発支援事業を展開しております。

当社は、2021年3月9日付で帝人グループとなりました。親会社である帝人株式会社との協創により事業を拡大してまいります。2023年8月1日に設立された帝人リジェネット株式会社(帝人株式会社の100%子会社)とは、再生医療CDMO事業において連携しています。

 

[事業の系統図]

(1)当社事業の根幹となる技術

近年、細胞培養や生体材料工学等の技術進歩により、生物から採取した細胞を用いて、性質の改変、体外での培養、組織・臓器の再形成、新たな機能の付加あるいは機能の修復等が試みられるようになりました。このような要素技術を利用して組織の再生を実現するための技術がティッシュエンジニアリングと呼ばれるものであり、当社事業の根幹となる技術です。

ティッシュエンジニアリングを実現するためには、生きた細胞、人工的に作られた材料・素材、細胞や生体に影響をもたらす種々の生理活性物質が必要であり、医学・工学・理学・薬学等の異分野間の国際的な研究交流が必要とされます。我が国では、ティッシュエンジニアリングにより作り出された組織や臓器を製品として医療目的で製造・販売するためには、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)のもとで、厚生労働省からの許認可が必要になります。この許認可には、製造管理及び品質管理に関する基準が含まれており、当社が保有している製造施設・設備、創業以来の研究開発活動で培ってきた製造方法、品質管理に関するノウハウ、そして販売に関する組織体制やノウハウも、当社事業の根幹となる技術であるといえます。

また、細胞培養に用いる細胞は、その由来に応じて、自家細胞(本人)、同種細胞(本人以外)、異種細胞(ヒト以外の動物)に分類されますが、自家移植は、一般的に免疫拒絶反応が少なく、生体への生着能が高いといわれております。

当社は、当該技術を活用することにより、ヒトの細胞を培養して組織や臓器を作り出し、これを医療用途及び研究用途に提供することを目的として事業を展開しております。

 

(2)再生医療製品事業

再生医療とは、従来の薬物治療とは異なり、われわれの身体に備わっている組織の再生能力を引き出すことにより、失われた組織や臓器の機能を、細胞を使って回復させることに主眼をおいた医療です。当社は、ティッシュエンジニアリングを利用した再生医療等製品を開発し、当該製品を医療機関向けに医療目的で製造販売しております。

①当社の再生医療等製品

現在、日本において再生医療等製品は20製品が承認されており、当社の自家培養表皮ジェイスは国内第1号として製造販売承認を取得しました。自家培養軟骨ジャックと自家培養角膜上皮ネピックは、それぞれ整形外科領域と眼科領域における国内初の再生医療等製品として製造販売承認を取得しました。自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、眼科領域における国内2つ目の再生医療等製品として製造販売承認を取得しました。また、当社5つ目の再生医療等製品として、2023年3月にメラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンの製造販売承認を取得しました。

(a)自家培養表皮ジェイス

1975年、米国マサチューセッツ工科大学のHoward Green教授(2015年没、米国ハーバード大学医学部 名誉教授)らは、ヒトの正常な表皮細胞の培養方法を確立し、皮膚(表皮)に類似した細胞シートを開発しました。1984年には、重症熱傷を負った米国の2人の小児に対して、わずかに焼け残った自身の皮膚から培養表皮シートを作製・移植した報告が、大きな注目を集めました。

自家培養表皮ジェイスは、この技術を使用しており、当社は、開発者であるHoward Green教授から技術指導を受け、培養表皮シートの開発を進めてきました。本品は、患者自身の皮膚組織を少量取り、約3週間の培養期間を経て、患者本人に移植する自家培養表皮シートです。

本品は、2007年10月に重症熱傷治療を目的とした製品として製造販売承認を取得、2009年1月より保険適用を受け、我が国で第1号となる再生医療等製品となりました。本品は、適応拡大として2016年9月には先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした製品として一部変更承認を受け、2016年12月より保険適用を受けました。さらに2018年12月には表皮水疱症の治療を目的とした製品として一部変更承認を受け、2019年7月より保険適用を受けました。

(b)自家培養軟骨ジャック

膝や肘の関節軟骨は、血管がないために、ケガ等で一度損傷を受けると自然には治りません。また、これらを薬等で治療することは非常に困難です。広島大学大学院整形外科の越智光夫教授(現、広島大学長)は、アテロコラーゲンというゲル状の物質の中で軟骨細胞を3次元培養する軟骨損傷治療用の移植組織を開発しました。従来、軟骨細胞懸濁液の移植治療が知られていましたが、越智教授が開発された移植組織は軟骨細胞が本来有する性質を維持しており、細胞が漏出しない点において優位性を持っております。

自家培養軟骨ジャックは、この技術を使用しており、開発者である越智教授から技術指導を受け、培養軟骨組織の開発を進めてきました。本品は、軟骨損傷患者の関節(非荷重部)から少量採取した軟骨細胞をアテロコラーゲンゲルの中で約4週間培養し、患者本人の軟骨欠損部に移植する自家培養軟骨組織です。

本品は、2012年7月に膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の臨床症状の緩和を目的とした製品として製造販売承認を取得、2013年4月より保険適用を受け、整形外科領域で国内初の再生医療等製品となりました。2019年1月には自家培養軟骨ジャック移植時に患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更承認を受けました。これにより患者の身体的負担軽減と医師の手技の簡便化を図ることができます。

当社は、2019年4月から変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験を実施し、2024年2月に治験終了届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。本試験においては、統計的に有意な臨床症状の改善が示されたことに加え、変形性膝関節症による軟骨欠損部において硝子軟骨様組織による修復が確認されました。これらのデータをまとめて、2024年6月に一部変更承認申請書をPMDAに提出し、2025年5月に承認されました

(c)自家培養角膜上皮ネピック

1997年、Pellegrini教授(現、イタリアModena and Reggio Emilia大学教授)らは、角膜と結膜の境界である角膜輪部組織から分離した角膜上皮細胞をフィブリンゲル製剤を足場として培養・作製した自家培養角膜上皮を角膜上皮幹細胞疲弊症の患者本人に世界で初めて移植し、良好な結果を報告しました。角膜輪部組織には角膜上皮幹細胞が存在し、角膜上皮細胞を供給するとともに結膜上皮細胞の侵入を阻み、角膜上皮の透明性を維持する重要な役割を担っております。

自家培養角膜上皮ネピックは、この技術を使用しており、患者自身の角膜輪部組織から角膜上皮幹細胞を採取してシート状に培養したもので、本品を移植することにより角膜上皮を再建させることを目的としております。当社は株式会社ニデックから本品の製品開発を受託し、開発者であるG. Pellegriniの技術指導のもと、自家培養角膜上皮の開発を進めてきました。

本品は、2020年3月に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした製品として製造販売承認を取得、2020年6月より保険適用を受け、眼科領域で国内初の再生医療等製品となりました。

(d)自家培養口腔粘膜上皮オキュラル

本品の開発において、大阪大学大学院医学系研究科(脳神経感覚器外科学(眼科学))の西田幸二教授、大家義則講師らにより、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの支援を受けて、角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とした医師主導治験が実施されました。当社は、西田幸二教授が世界に先駆けて開発した自家培養口腔粘膜上皮細胞シート移植の技術を導入するとともに、当該医師主導治験を引き継ぎ、開発を行ってきました。

自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、患者自身の口腔粘膜組織を採取し、分離した細胞を培養して作製するヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シートです。患者の眼表面に本品を移植することにより、患者自身の口腔粘膜上皮細胞が生着・上皮化し、欠損した角膜上皮を修復することを目的としております。

本品は、2021年6月に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした再生医療等製品として製造販売承認を取得、2021年12月より保険適用を受け、眼科領域で2つ目の再生医療等製品となりました。角膜上皮幹細胞疲弊症によって両眼の角膜が広範囲に障害を受け、視力が著しく低下した患者に対する新たな治療法として期待されております。

(e)メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン

メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンは、患者自身の皮膚組織を採取し、分離した細胞をメラノサイトが保持されるように培養した、患者自身に使用する表皮細胞シートです。非外科的治療が無効又は適応とならない白斑の患部に対して、表皮層を薄く削った後に移植します。本品の移植によりメラノサイトが供給され、色素を再生することを目的としています。ジャスミンは既存の外科的治療に比べ、少ない面積の皮膚組織を用いて製造するため患者への侵襲が少なく、かつ一度に広範囲の治療を行うことが可能となります。また、本治療法で色素再生することにより、患者の整容面での心理的重圧の軽減と生活の質(QOL)の向上も期待されます。

本品は、2023年3月に白斑の治療を目的とした再生医療等製品として製造販売承認を取得、2024年10月より保険適用を受け、皮膚領域で2つ目の再生医療等製品となりました。

 

[当社の再生医療等製品一覧]

②自家細胞を用いた再生医療等製品のビジネスモデル

当社は培養技術を利用した再生医療等製品を開発し、医療機関向けに医療目的で製造販売しております。当社の再生医療等製品は、現在、患者本人の細胞を培養し、患者本人に移植する「自家移植」を対象としております。

当社は、長年にわたって自家移植を対象とした再生医療等製品を製造販売してきたことにより、自家の再生医療等製品に関する製造管理や品質管理に関するノウハウに加え、製品開発や販売に関する組織体制やノウハウを蓄積してきました。このようなノウハウは、当社の今後の事業に大きく役立たせることができます。

 

(3)再生医療受託事業

当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しております。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富な実績及びノウハウを生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しております。

さらに、2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法に則った、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しております。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しております。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しております。

 

(4)研究開発支援事業

種々の医薬品や化粧品の開発に際して、開発製品の安全性や有効性を確認する等の目的により、動物を用いた試験が実施されております。

当社は再生医療等製品の開発を通じて蓄積したティッシュエンジニアリングに係る技術、ノウハウを水平展開し、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズを開発、製造、販売しております。ラボサイトは、「エピ・モデル」「角膜モデル」「エピ・キット」の3つの製品ラインアップを揃えております。

「エピ・モデル」はヒトの正常な表皮細胞を培養して重層化したヒト3次元表皮モデルであり、ヒト表皮に類似した構造をしております。ヒトの皮膚に適用される外用医薬品や化粧品の開発、皮膚科医の基礎研究、化成品原材料の安全性研究等に有用な材料であると同時に、動物を使った皮膚試験の代替としての使用が想定されます。なお、「エピ・モデル」を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法は、2013年7月に経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439へ収載され、「エピ・モデル24」を含む皮膚腐食性試験法は、2019年6月にOECDの試験法ガイドラインTG431へ収載されました。さらに、2024年6月には新たな標準法として、花王株式会社が開発した皮膚感作性試験法(EpiSensA:エピセンサ)がOECDのテストガイドラインに収載されました。

「角膜モデル」はヒト正常角膜上皮細胞を重層培養したヒト3次元角膜モデルです。角膜モデルでは、ムチン等のタンパク質の発現や細胞間接着構造等を確認しており、化合物の眼刺激性試験に加えて、角膜上皮の分子生物学的解析に利用できます。「角膜モデル」を用いた眼刺激性試験法については、2018年6月にOECDの試験法ガイドラインTG492へ収載されました。

「エピ・キット」は顧客自身でヒト表皮モデルを作製できるヒト3次元表皮モデルの作製キットです。ヒト表皮モデルへの評価物質の添加やモデルの解析等を自由に設定できます。また、予め細胞に処理を行ったヒト表皮モデルの作製・解析等応用研究に使用できます。

 

(5)新規パイプラインの開発

当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組んでおります。

①他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)の開発

わが国で初となる他人の皮膚を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品である他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)については、2021年8月に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業として「同種培養表皮の開発・事業化」に関する案件が採択され、2021年11月に治験計画届書を提出しました。さらに、「再生医療等製品の原材料となるヒト(同種)細胞の安定供給体制の構築」に関する案件が2021年6月にAMEDの委託事業として採択されており、他家(同種)細胞を用いた再生医療の産業化を目指し、開発を進めております。

 

②CAR-T細胞製剤の開発

CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia, ALL)を対象とした自家CAR-T細胞製剤について、2019年9月より「piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家CD19CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発」(ウイルスベクターを用いない新技術による国産のCAR-T細胞製剤の開発)に関するAMEDの補助事業として開発を進めてきました。並行して、技術導入元である名古屋大学において同技術を用いた急性リンパ性白血病に対する臨床研究が実施されるとともに、自社の製造工程の効率化を図りました。また、同大学が支援しているタイ王国チュラロンコン大学のCAR-T細胞を用いた臨床研究についても、2023年3月、悪性リンパ腫を患う5名の患者の治療に効果があったことが報告されました。さらに、名古屋大学では2024年3月期より、悪性リンパ腫と急性リンパ性白血病に対するCAR-T細胞を用いた医師主導治験が開始され、医師主導治験に用いられるCAR-T細胞は、当社が製造しています。これに加え、当社は本品の開発で得た知見やノウハウを生かし、柏の葉スマートシティ内に構築する「再生医療プラットフォーム」において帝人、国立研究開発法人国立がん研究センター、三井不動産株式会社と協働し、がん領域における本格的な事業展開に繋げていきます。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2024年4月1日から2025年3月31日)におけるわが国経済は、インバウンド需要の増加等により景気は緩やかに回復しているものの、米国政権交代に伴う政策動向や、物価の上昇による国内景気低迷への懸念等、経済の先行きは不透明な状況が続いています。

再生医療・細胞治療分野では、2014年11月に施行された再生医療安全性確保法及び改正薬事法によって再生医療の産業促進が進むなか、条件・期限付き承認制度のもとで承認されていた2製品(「ハートシート」と「コラテジェン」)がそれぞれ不承認、申請取り下げになったことを受け、条件・期限付き承認制度の在り方が議論されています。一方で、2024年7月には新たに脳損傷治療薬「アクーゴ脳内移植用注」(製造販売元:サンバイオ株式会社)が承認され、2025年3月末日現在、当社5製品を含む19品目が再生医療等製品として製造販売承認を得ており、本分野の拡大成長への社会的期待は継続している状況にあります。

このような状況の下、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

 当事業年度末において、総資産は6,512,990千円(前期と比べ475,784千円減少)、負債は687,954千円(前期と比べ220,477千円減少)、純資産は5,825,035千円(前期と比べ255,307千円減少)となりました。

 当事業年度における資産、負債及び純資産の状況に関する分析は以下のとおりであります。

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は4,824,949千円となり、前事業年度末から514,329千円減少いたしました。この主な要因は、現金及び預金が減少したことによるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は1,688,040千円となり、前事業年度末から38,545千円増加いたしました。この主な要因は、投資有価証券の取得及び減価償却によるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は637,229千円となり、前事業年度末から236,302千円減少いたしました。この主な要因は、流動負債の「その他」に含まれる仮受金が減少したことによるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は50,725千円となり、前事業年度末から15,825千円増加いたしました。この主な要因は、役員退職慰労引当金及び退職給付引当金の増加によるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は5,825,035千円となり、前事業年度末から255,307千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失の計上によるものであります。

 

b. 経営成績

当事業年度における売上高は、再生医療製品事業の売上が拡大し、研究開発支援事業の売上も順調に伸長したものの、再生医療受託事業が減少した結果、全体としての売上は2,455,474千円(前期比2.3%減)となりました。営業損失は238,315千円(前期は144,506千円の営業利益)、経常損失は234,487千円(前期は147,009千円の経常利益)、当期純損失は255,304千円(前期は143,169千円の当期純利益)となりました。

セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,493,211千円(前期比6.2%増)、再生医療受託事業の売上高は、713,964千円(前期比17.5%減)、研究開発支援事業の売上高は、248,298千円(前期比2.6%増)となりました。

 

各セグメントにおける概況及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです。

 

[再生医療製品事業]

 当事業年度における再生医療製品事業の売上は、1,493,211千円(前期比6.2%増)となりました。

<皮膚領域:自家培養表皮ジェイス>

熱傷では、当該疾患の標準的な治療の一つとして広く認知、受容される営業活動を重ねた結果、第4四半期において不調を挽回し、ほぼ前事業年度並の着地となりました。今後もより多くの患者の救命に寄与出来るよう、営業活動強化を図ります。

先天性巨大色素性母斑では、ジェイス移植時に新たな併用療法を進める施設での受注が伸びた結果、大幅に売上が増加しました。今後はこの治療法の更なる治療成績の向上を見極めたうえで、普及に向けた施策を推進します。

<皮膚領域:メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン>

2024年10月の保険収載を受け、拠点となる医療機関への採用活動を進め、使用環境の整備に努めました。その結果、1月に初の受注を獲得し、当事業年度内の症例数を6例まで伸ばすことができました。その後も待機患者への治療提供が順調に進んでいます。

<皮膚領域:自由診療展開>

2024年11月より、創傷治療と瘢痕治療に特化した医療機関である、きずときずあとのクリニックと連携し、自由診療でのリストカット痕の治療に用いる培養表皮の提供を開始しました。

<軟骨領域:自家培養軟骨ジャック>

令和6年度診療報酬改定により保険償還価格が引き上げられたことに加え、日本膝関節学会と併せたセミナー開催など、ジャックの有効性を訴求する営業活動を行った結果、売上が増加しました。

また、ジャックの新たな適応症として変形性膝関節症を追加する一部変更承認を2025年5月13日付で取得しました。変形性膝関節症の新たな治療として患者に「ジャック」をいち早くご使用いただけるよう、2026年3月期中の保険収載を目指して、提供体制の構築を進めていきます。

<角膜領域:自家培養角膜上皮ネピック・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル>

待機患者への移植が一巡して売上が鈍化していますが、片眼にオキュラルを移植した両眼性疾患の患者に対する対側眼への受注が入り始めました。また、角膜専門医への治療啓発や潜在患者の発掘を加速するため、販売を担う株式会社ニデックの営業活動に加え、当社のリソースを積極投入する新たな施策を開始し、両社協力による候補施設の開拓や潜在患者の発掘が進捗しています。

 

[再生医療受託事業]

当事業年度における再生医療受託事業の売上は、713,964千円(前期比17.5%減)となりました。帝人(帝人株式会社)関連の減収が響き、売上全体では減少しました。なお、一般顧客からの受託(親会社(帝人)以外からの受託)においては順調に売上を計上しました。

<一般顧客からの受託>

顧客に対し、開発製造受託(CDMO)開発業務受託(CRO)に係るサービスを提供してきました。委託元のアクチュアライズ株式会社では、再生医療等製品としての、国内第Ⅱ相臨床試験が開始され、被験者への投与は完了しました。また、株式会社VC Cell TherapyとiPS細胞による再生医療等製品の実用化に向けた資本業務提携を行い、受託を開始しました。さらに、株式会社メトセラが開発する機能的単心室症を対象とする再生医療等製品の治験製品製造に関する受託契約を締結しました。

iPS細胞や循環器領域といった新たな領域へ拡張させるとともに、委託元との関係を通じた製品価値向上と新しいCDMO事業の仕組みづくりに注力し、わが国の再生医療の発展に貢献します。

<帝人関連>

当事業年度は、予定していたマイルストンに遅れが生じたこと及び受託の減少により、帝人リジェネット株式会社の立上げに伴うマイルストン収入*及び受託収入のあった前事業年度と比べて収入が減少しました。加えて、当事業年度に予定していたマイルストンにも遅れが生じました。今後、帝人と協創を図り、両社の価値を高める施策を推進し、マイルストンの達成と受託収入の拡大を目指します。

* 帝人からのマイルストン収入

 前事業年度(2024年3月期):170,000千円、当事業年度(2025年3月期):100,000千円

 

[研究開発支援事業]

当事業年度における研究開発支援事業の売上は、248,298千円(前期比2.6%増)となりました。国内大口顧客における研究がひと段落し減収に響いたものの、動物実験代替製品「ラボサイト」を使用して行う皮膚感作性試験法であるEpiSensAのテストガイドライン収載を受け、国内外の新規顧客からの引き合いが増え、売上は微増となりました。

国内においては、EpiSensAを用いた試験受託事業を開始しました。帝人構造解析センターを外部試験受託機関として連携し、ニーズが拡大するEpiSensAの受け皿を拡大することでラボサイトの拡販を図っています。

海外においては、インドのシベン・バイオテック社と代理店契約を締結し、販売促進活動を開始しています。また、欧州においても複数社への販売を開始しています。

また2025年3月には、ヒトiPS細胞とオルガノイドの技術を用いた研究用腸管上皮モデルの開発権を取得しました。2027年3月期第1四半期の上市を目指して開発を進め、現在の化粧品を主とする市場から創薬市場への新たな展開を進めるとともに、米国や欧州、アジアへの展開も順次進め、早期で数億円規模の売上高達成を目指します。

 

[新規パイプラインの開発]

<皮膚領域>

メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン*1は、これまでの保険収載に向けた活動の結果、2024年10月1日付で保険収載され、販売を開始しています。

他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)*2は、皮膚欠損の代表的疾患である深達性Ⅱ度熱傷の患者を対象とした臨床試験を完了*3しました。熱傷を含む皮膚欠損を適応とし、2027年3月期の上市を目指し、現在製造販売承認申請に向けて順調に進捗中です。本製品が、他家製品・乾燥品である特長を生かし、国内だけでなく海外市場への展開も加速させていきます。

<軟骨領域>

自家培養軟骨ジャックは、新たな適応症として変形性膝関節症を追加する一部変更承認を2025年5月13日付で取得しました。今後は、2026年3月期中の保険収載を目指して、提供体制の構築を進めていきます。

他にも、膝領域の治療を目的とした新製品の開発を、帝人と共同で取り組んでいます。

<がん領域>

当社製造による自家CAR-T細胞製剤*4は、名古屋大学で悪性リンパ腫の医師主導治験に加え、急性リンパ性白血病に対する医師主導治験が開始されました。

柏の葉「再生医療プラットフォーム」における開発受託拠点の稼働を開始し、帝人株式会社、国立研究開発法人国立がん研究センター、三井不動産株式会社と協働した、がん領域における本格的な事業展開に取り組んでいます。

<成長基盤構築>

シスメックス株式会社と製造機能の高度化に向けた基本合意書を締結し、2025年3月には、シスメックスが保有する品質管理検査システムと当社の再生医療等製品の開発・製造経験を融合させることで、品質管理試験の共同開発を行うための共同研究契約を締結しました。

*1 非外科的治療が無効又は適応とならない白斑の治療を目的とするメラノサイト(色素細胞)含有製品

*2 わが国で初となる他人の皮膚組織を原材料としたオフザシェルフ(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品

*3 主要評価項目である初回貼付後7日目におけるAllo-JaCE03貼付部位の上皮化率は、既存の治療法による上皮化率の推定値に比べて統計学的に有意に上回ることが示された。また、安全性については、問題となる有害事象は認められなかった。

*4 名古屋大学・信州大学と特許ライセンス契約を締結した、CD19陽性の急性リンパ性白血病の治療を目的とした、低コストで製造できる自家CAR-T細胞由来治療薬開発

 

(参考)各事業の概要

[再生医療製品事業]

当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピック、自家培養口腔粘膜上皮オキュラル及びメラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンの製造販売を行っています。

・自家培養表皮ジェイス(皮膚領域)

自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に重症熱傷を適応として保険収載された国内初の再生医療等製品であり、先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)にも適応を拡大しています。ジェイスの保険適用に関しては、患者一連の製造につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度となっています。

・自家培養軟骨ジャック(軟骨領域)

自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された国内第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応としています。2019年1月には、ジャックの移植時に用いていた患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更承認を取得して、手術侵襲の低減と簡便化を実現しました。2022年6月には、承認後の使用成績調査について再審査が終了し、承認時の有効性及び安全性が改めて確認されました。さらに、ジャックの新たな適応症として変形性膝関節症を追加する一部変更承認を2025年5月13日付で取得しました。

・自家培養角膜上皮ネピック(角膜領域)

自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域では国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を除く)を適応としています。

・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル(角膜領域)

自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、角膜上皮幹細胞疲弊症を適応としており、2021年12月に保険収載されました。口腔粘膜上皮細胞を用いて両眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を治療することが可能な、世界初の再生医療等製品です。

・メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン(皮膚領域)

メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンは、メラノサイト(色素細胞)が保持されるように培養された表皮細胞シートです。非外科的治療が無効又は適応とならない白斑を適応として、2024年10月に保険収載されました。

 

[再生医療受託事業]

当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発並びにコンサルティング及び特定細胞加工物製造受託を行っています。

・再生医療等製品の受託開発

当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富な実績及びノウハウを生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。

・コンサルティング及び特定細胞加工物製造受託

当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティング及び特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞培養加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。

再生医療等製品の受託開発、コンサルティング及び特定細胞加工物製造受託には、次の当社の強みを最大限活用し、顧客への提供価値を高めております。

<当社の強み>

①5つの承認品目(7つの適応)を開発・上市

自家培養表皮、自家培養軟骨、自家培養角膜上皮、自家培養口腔粘膜上皮、メラノサイト含有自家培養表皮の5つの再生医療等製品を開発・上市し、安定的に患者へ提供してきた実績を有しています。

②全てのバリューチェーンを保有

研究開発、臨床開発、薬事、製造、信頼性保証、営業など再生医療等製品の開発・製造・販売に必要なすべての機能・人材・経験を有しています。

③臨床現場の声を製品開発に還元(リバーストランスレーショナルリサーチ)

製品を使用する医師とともに再生医療等製品を普及させてきた経験から、臨床現場の声を製品設計や開発プロセスに還元し、最適化する仕組みを構築しています。

 

[研究開発支援事業]

当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を行っています。

・ラボサイトシリーズ

研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品及び化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに販売しています。製品ラインアップとして、ヒト3次元培養表皮エピ・モデル/EPI-KITとヒト3次元培養角膜上皮角膜モデルを保有しています。エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法、皮膚腐食性試験法並びに花王株式会社が開発した皮膚感作性試験法(EpiSensA:エピセンサ)、そして角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法は、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインに収載されており、日本国内においてはトップシェアを占めるモデルとなっています。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて380,894千円減少し、1,685,449千円となりました。

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は148,365千円(前期は274,138千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純損失(234,487千円)及び減価償却費(158,474千円)によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は232,526千円(前期は242,230千円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出(150,000千円)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は3千円(前期は134千円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

 

前期比(%)

 

再生医療製品事業(千円)

1,497,553

106.5

再生医療受託事業(千円)

713,964

82.5

研究開発支援事業(千円)

248,298

102.6

合計(千円)

2,459,817

97.8

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.当事業年度における生産実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

b. 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

再生医療製品事業

1,545,682

103.0

152,518

91.2

再生医療受託事業

571,647

55.0

78,498

35.5

研究開発支援事業

249,234

102.6

14,470

106.9

合計

2,366,563

85.1

245,487

61.1

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.当事業年度における受注実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

c. 販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

 

前期比(%)

 

再生医療製品事業(千円)

1,493,211

106.2

再生医療受託事業(千円)

713,964

82.5

研究開発支援事業(千円)

248,298

102.6

 合計(千円)

2,455,474

97.7

(注)1.当事業年度における販売実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

2.最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

帝人株式会社

325,763

13.0

帝人リジェネット株式会社

307,083

12.5

(注) 前事業年度の帝人リジェネット株式会社に対する販売実績及び当事業年度の帝人株式会社に対する販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態の分析

当事業年度の財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金を基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を検討した上での調達を基本としております。

なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,685,449千円となっております。

 

④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度のセグメントごとの経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 セグメントごとの財政状態につきましては、次のとおりであります。

 再生医療製品事業のセグメント資産は1,288,056千円となり、前事業年度末から191,122千円減少となりました。再生医療受託事業のセグメント資産は288,907千円となり、前事業年度末から41,572千円減少となりました。研究開発支援事業のセグメント資産は95,747千円となり、前事業年度末から927千円減少となりました。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

 

⑦重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。