事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
| セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 再生医療製品事業 | 1,354 | 62.1 | 78 | 17.1 | 5.8 |
| 再生医療受託事業 | 546 | 25.0 | 327 | 71.4 | 59.9 |
| ラボサイト事業 | 282 | 12.9 | 53 | 11.5 | 18.7 |
3【事業の内容】
当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュエンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する」ことを会社設立の趣旨とする企業です。「再生医療をあたりまえの医療に」をビジョンに掲げ、再生医療等製品の開発、製造、販売を行う再生医療製品事業、再生医療に関する開発及び製造等を受託する再生医療受託事業、研究用ヒト培養組織の開発、製造、販売を行うラボサイト事業を展開しております。
当社は、2021年3月9日付で帝人グループとなりました。親会社である帝人株式会社との協創により事業を拡大してまいります。2023年8月1日に設立された帝人リジェネット株式会社(帝人株式会社の100%子会社)とは、再生医療CDMO事業において連携しています。
[事業の系統図]
なお、当事業年度より、ラボサイト・ブランドを訴求した事業展開をさらに強化・発展させ、事業内容をより明確に表現するため、従来「研究開発支援事業」としていた報告セグメントの名称を「ラボサイト事業」に変更しております。
(1)当社事業の根幹となる技術
近年、細胞培養や生体材料工学等の技術進歩により、生物から採取した細胞を用いて、性質の改変、体外での培養、組織・臓器の再形成、新たな機能の付加あるいは機能の修復等が試みられるようになりました。このような要素技術を利用して組織の再生を実現するための技術がティッシュエンジニアリングと呼ばれるものであり、当社事業の根幹となる技術です。
ティッシュエンジニアリングを実現するためには、生きた細胞、人工的に作られた材料・素材、細胞や生体に影響をもたらす種々の生理活性物質が必要であり、医学・工学・理学・薬学等の異分野間の国際的な研究交流が必要とされます。我が国では、ティッシュエンジニアリングにより作り出された組織や臓器を製品として医療目的で製造・販売するためには、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(医薬品医療機器等法)のもとで、厚生労働省からの許認可が必要になります。この許認可には、製造管理及び品質管理に関する基準が含まれており、当社が保有している製造施設・設備、創業以来の研究開発活動で培ってきた製造方法、品質管理に関するノウハウ、そして販売に関する組織体制やノウハウも、当社事業の根幹となる技術であるといえます。
また、細胞培養に用いる細胞は、その由来に応じて、自家細胞(本人)、同種細胞(本人以外)、異種細胞(ヒト以外の動物)に分類されますが、自家移植は、一般的に免疫拒絶反応が少なく、生体への生着能が高いといわれております。
当社は、当該技術を活用することにより、ヒトの細胞を培養して組織や臓器を作り出し、これを医療用途及び研究用途に提供することを目的として事業を展開しております。
(2)再生医療製品事業
再生医療とは、従来の薬物治療とは異なり、われわれの身体に備わっている組織の再生能力を引き出すことにより、失われた組織や臓器の機能を、細胞を使って回復させることに主眼をおいた医療です。当社は、ティッシュエンジニアリングを利用した再生医療等製品を開発し、当該製品を医療機関向けに医療目的で製造販売しております。
①当社の再生医療等製品
現在、日本において再生医療等製品は25製品が承認されており、うち5製品の承認を当社は取得しています。当社の自家培養表皮ジェイスは国内第1号として製造販売承認を取得しました。自家培養軟骨ジャックと自家培養角膜上皮ネピックは、それぞれ整形外科領域と眼科領域における国内初の再生医療等製品として製造販売承認を取得しました。自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、眼科領域における国内2つ目の再生医療等製品として製造販売承認を取得しました。また、当社では5つ目、皮膚領域では2つ目となる再生医療等製品としてメラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンの製造販売承認を取得しました。
(a)自家培養表皮ジェイス
1975年、米国マサチューセッツ工科大学のHoward Green教授(2015年没、米国ハーバード大学医学部 名誉教授)らは、ヒトの正常な表皮細胞の培養方法を確立し、皮膚(表皮)に類似した細胞シートを開発しました。1984年には、重症熱傷を負った米国の2人の小児に対して、わずかに焼け残った自身の皮膚から培養表皮シートを作製・移植した報告が、大きな注目を集めました。
自家培養表皮ジェイスは、この技術を使用しており、当社は、開発者であるHoward Green教授から技術指導を受け、培養表皮シートの開発を進めてきました。本品は、患者自身の皮膚組織を少量取り、約3週間の培養期間を経て、患者本人に移植する自家培養表皮シートです。
本品は、2007年10月に重症熱傷治療を目的とした製品として製造販売承認を取得、2009年1月より保険適用を受け、我が国で第1号となる再生医療等製品となりました。本品は、適応拡大として2016年9月には先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした製品として一部変更承認を受け、2016年12月より保険適用を受けました。さらに2018年12月には表皮水疱症の治療を目的とした製品として一部変更承認を受け、2019年7月より保険適用を受けました。
(b)自家培養軟骨ジャック
膝や肘の関節軟骨は、血管がないために、ケガ等で一度損傷を受けると自然には治りません。また、これらを薬等で治療することは非常に困難です。広島大学大学院整形外科の越智光夫教授(現、広島大学長)は、アテロコラーゲンというゲル状の物質の中で軟骨細胞を3次元培養する軟骨損傷治療用の移植組織を開発しました。従来、軟骨細胞懸濁液の移植治療が知られていましたが、越智教授が開発された移植組織は軟骨細胞が本来有する性質を維持しており、細胞が漏出しない点において優位性を持っております。
自家培養軟骨ジャックは、この技術を使用しており、開発者である越智教授から技術指導を受け、培養軟骨組織の開発を進めてきました。本品は、軟骨損傷患者の関節(非荷重部)から少量採取した軟骨細胞をアテロコラーゲンゲルの中で約4週間培養し、患者本人の軟骨欠損部に移植する自家培養軟骨組織です。
本品は、2012年7月に膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の臨床症状の緩和を目的とした製品として製造販売承認を取得、2013年4月より保険適用を受け、整形外科領域で国内初の再生医療等製品となりました。2019年1月には自家培養軟骨ジャック移植時に患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更承認を受けました。これにより患者の身体的負担軽減と医師の手技の簡便化を図ることができます。
当社は、2019年4月から変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験を実施し、2024年2月に治験終了届を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。本試験においては、統計的に有意な臨床症状の改善が示されたことに加え、変形性膝関節症による軟骨欠損部において硝子軟骨様組織による修復が確認されました。これらのデータをまとめて、2024年6月に一部変更承認申請書をPMDAに提出し、2025年5月に製造販売承認を取得、2026年1月より保険適用を受けました。
(c)自家培養角膜上皮ネピック
1997年、Pellegrini教授(現、イタリアModena and Reggio Emilia大学教授)らは、角膜と結膜の境界である角膜輪部組織から分離した角膜上皮細胞をフィブリンゲル製剤を足場として培養・作製した自家培養角膜上皮を角膜上皮幹細胞疲弊症の患者本人に世界で初めて移植し、良好な結果を報告しました。角膜輪部組織には角膜上皮幹細胞が存在し、角膜上皮細胞を供給するとともに結膜上皮細胞の侵入を阻み、角膜上皮の透明性を維持する重要な役割を担っております。
自家培養角膜上皮ネピックは、この技術を使用しており、患者自身の角膜輪部組織から角膜上皮幹細胞を採取してシート状に培養したもので、本品を移植することにより角膜上皮を再建させることを目的としております。当社は株式会社ニデックから本品の製品開発を受託し、開発者であるG. Pellegriniの技術指導のもと、自家培養角膜上皮の開発を進めてきました。
本品は、2020年3月に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした製品として製造販売承認を取得、2020年6月より保険適用を受け、眼科領域で国内初の再生医療等製品となりました。
(d)自家培養口腔粘膜上皮オキュラル
本品の開発において、大阪大学大学院医学系研究科(脳神経感覚器外科学(眼科学))の西田幸二教授、大家義則講師らにより、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの支援を受けて、角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とした医師主導治験が実施されました。当社は、西田幸二教授が世界に先駆けて開発した自家培養口腔粘膜上皮細胞シート移植の技術を導入するとともに、当該医師主導治験を引き継ぎ、開発を行ってきました。
自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、患者自身の口腔粘膜組織を採取し、分離した細胞を培養して作製するヒト(自己)口腔粘膜由来上皮細胞シートです。患者の眼表面に本品を移植することにより、患者自身の口腔粘膜上皮細胞が生着・上皮化し、欠損した角膜上皮を修復することを目的としております。
本品は、2021年6月に角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした再生医療等製品として製造販売承認を取得、2021年12月より保険適用を受け、眼科領域で2つ目の再生医療等製品となりました。角膜上皮幹細胞疲弊症によって両眼の角膜が広範囲に障害を受け、視力が著しく低下した患者に対する新たな治療法として期待されております。
(e)メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン
メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンは、患者自身の皮膚組織を採取し、分離した細胞をメラノサイトが保持されるように培養した、患者自身に使用する表皮細胞シートです。非外科的治療が無効又は適応とならない白斑の患部に対して、表皮層を薄く削った後に移植します。本品の移植によりメラノサイトが供給され、色素を再生することを目的としています。ジャスミンは既存の外科的治療に比べ、少ない面積の皮膚組織を用いて製造するため患者への侵襲が少なく、かつ一度に広範囲の治療を行うことが可能となります。また、本治療法で色素再生することにより、患者の整容面での心理的重圧の軽減と生活の質(QOL)の向上も期待されます。
本品は、2023年3月に白斑の治療を目的とした再生医療等製品として製造販売承認を取得、2024年10月より保険適用を受け、皮膚領域で2つ目の再生医療等製品となりました。
[当社の再生医療等製品一覧]
②自家細胞を用いた再生医療等製品のビジネスモデル
当社は培養技術を利用した再生医療等製品を開発し、医療機関向けに医療目的で製造販売しております。当社の再生医療等製品は、現在、主に患者本人の細胞を培養し、患者本人に移植する「自家移植」を対象としております。
当社は、長年にわたって自家移植を対象とした再生医療等製品を製造販売してきたことにより、自家の再生医療等製品に関する製造管理や品質管理に関するノウハウに加え、製品開発や販売に関する組織体制やノウハウを蓄積してきました。このようなノウハウは、当社の今後の事業に大きく役立たせることができます。
(3)再生医療受託事業
当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しております。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富な実績及びノウハウを生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しております。
さらに、2014年11月に施行された再生医療等安全性確保法に則った、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しております。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しております。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しております。
(4)ラボサイト事業
種々の医薬品や化粧品の開発に際して、開発製品の安全性や有効性を確認する等の目的により、動物を用いた試験が実施されております。
当社は再生医療等製品の開発を通じて蓄積したティッシュエンジニアリングに係る技術、ノウハウを水平展開し、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズを開発、製造、販売しております。ラボサイトは、「エピ・モデル」「角膜モデル」「エピ・キット」の3つの製品ラインアップを揃えております。
「エピ・モデル」はヒトの正常な表皮細胞を培養して重層化したヒト3次元表皮モデルであり、ヒト表皮に類似した構造をしております。ヒトの皮膚に適用される外用医薬品や化粧品の開発、皮膚科医の基礎研究、化成品原材料の安全性研究等に有用な材料であると同時に、動物を使った皮膚試験の代替としての使用が想定されます。なお、「エピ・モデル」を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法は、2013年7月に経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439へ収載され、「エピ・モデル24」を含む皮膚腐食性試験法は、2019年6月にOECDの試験法ガイドラインTG431へ収載されました。2024年6月には新たな標準法として、花王株式会社が開発した皮膚感作性試験法(EpiSensA:エピセンサ)がOECDのテストガイドラインに収載されました。さらに、2025年7月には、エピ・モデル24を用いた医療機器の皮膚刺激性試験法が国際規格ISO10993-23に収載されました。
「角膜モデル」はヒト正常角膜上皮細胞を重層培養したヒト3次元角膜モデルです。角膜モデルでは、ムチン等のタンパク質の発現や細胞間接着構造等を確認しており、化合物の眼刺激性試験に加えて、角膜上皮の分子生物学的解析に利用できます。「角膜モデル」を用いた眼刺激性試験法については、2018年6月にOECDの試験法ガイドラインTG492へ収載されました。
「エピ・キット」は顧客自身でヒト表皮モデルを作製できるヒト3次元表皮モデルの作製キットです。ヒト表皮モデルへの評価物質の添加やモデルの解析等を自由に設定できます。また、予め細胞に処理を行ったヒト表皮モデルの作製・解析等応用研究に使用できます。
(5)新規パイプラインの開発
当社は、今後の成長を加速させるため、乾燥他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)及び自家CAR-T細胞(開発名:JPCAR019)の開発に積極的に取り組んでおります。乾燥他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)については、2026年3月に製造販売承認を申請しました。
各製品の特長及び進捗状況は、下図のとおりです。
業績状況
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2025年4月1日から2026年3月31日)におけるわが国経済は、インバウンド需要の継続的な増加や賃上げによる消費支援などを背景に、緩やかな回復基調を維持しました。一方で、イラン情勢の緊迫化を含む地政学的リスクの長期化などから、景気の先行きには依然として不透明感が残る状況が続いています。
このような状況の下、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末において、総資産は5,682,993千円(前期と比べ829,996千円減少)、負債は592,709千円(前期と比べ95,245千円減少)、純資産は5,090,284千円(前期と比べ734,751千円減少)となりました。
当事業年度における資産、負債及び純資産の状況に関する分析は以下のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は4,182,077千円となり、前事業年度末から642,872千円減少いたしました。この主な要因は、現金及び預金ならびに売上債権の減少によるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,500,916千円となり、前事業年度末から187,124千円減少いたしました。この主な要因は、投資有価証券の減少によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は560,509千円となり、前事業年度末から76,720千円減少いたしました。この主な要因は、流動負債の「その他」に含まれる未払消費税等の減少によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は32,200千円となり、前事業年度末から18,525千円減少いたしました。この主な要因は、役員退職慰労引当金及び退職給付引当金の減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は5,090,284千円となり、前事業年度末から734,751千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失の計上によるものであります。
b. 経営成績
当事業年度における売上高は2,182,745千円(前期比11.1%減)となりました。営業損失は549,445千円(前期は238,315千円の営業損失)、経常損失は537,443千円(前期は234,487千円の経常損失)、当期純損失は734,751千円(前期は255,304千円の当期純損失)となりました。これは主に、特別損失として投資有価証券評価損149,999千円および設備の除却等に伴う固定資産除却損43,332千円を計上したことに加え、国庫補助金の受け入れに伴い固定資産圧縮損31,816千円を計上したことによるものであります。
セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,354,493千円(前期比9.3%減)、再生医療受託事業の売上高は、546,371千円(前期比23.5%減)、ラボサイト事業の売上高は、281,879千円(前期比13.5%増)となりました。
各セグメントにおける概況及び新規パイプライン開発に関する特記事項は、以下のとおりです。
[再生医療製品事業]
当事業年度における再生医療製品事業の売上は、1,354,493千円(前期比9.3%減)となりました。
<皮膚領域:自家培養表皮ジェイス>
熱傷では、通期を通して対象となる患者数が減少したものの、当該疾患の標準的な治療の一つとしては広く認知されており、第4四半期においての受注は回復傾向となりました。重症熱傷における高評価を受け、更なる救命への貢献を進めてまいります。
先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症では、対象患者が一巡し受注が減少しましたが、治療成績を評価し、普及に向けた施策を推進します。
<皮膚領域:メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン>
一部医療機関での導入準備に時間を要したものの、白斑治療に注力する施設との連携による患者アクセス向上の取り組みが進展しました。その結果、拠点施設が42施設まで拡大し、期末にかけて新規施設から受注を獲得するなど、増収に向けた基盤構築が進みました。
<軟骨領域:自家培養軟骨ジャック>
変形性膝関節症への適応拡大に関し、2026年1月に保険収載されたことを機に、中長期的な成長を支える主力製品へと位置づけが変化しました。有効性・安全性を訴求する説明会や、新しい手術手技の提案等により既存施設での継続使用が大きく進展しました。契約施設数は全国125施設まで拡大し、3月には過去最高となる月間30例の受注を達成するなど、期末にかけて受注件数が大幅に増加しました。
<角膜領域:自家培養角膜上皮ネピック・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル>
既存施設での新規患者の伸び悩みにより受注が減少しました。一方で、販売を担う株式会社ニデックとの連携により、新規施設の開拓や潜在患者への治療啓発を推進しており、角膜移植実績のある全国有数の新規施設で採用されるなど成果が現れています。引き続き、新規施設での治療の定着や潜在患者への治療啓発を進めます。
[再生医療受託事業]
当事業年度における再生医療受託事業の売上は、546,371千円(前期比23.5%減)となりました。
帝人(帝人株式会社)関連ではマイルストン達成の翌期への期ずれが生じたこと、また一般顧客からの受託においても、前年度に計上された特定顧客からのスポット収入が剥落した影響等により、減収となりました。
一方で、商用生産までを一気通貫で支援する独自の価値提供により、複数案件が高付加価値フェーズへと移行しました。具体的には、アクチュアライズ株式会社、株式会社VC Cell Therapy、株式会社メトセラ、AlliedCel株式会社との案件が着実に進展しており、特定顧客に依存しない強固な事業ポートフォリオへの転換が進んでいます。引き続き、顧客のシーズの製品化を伴走支援する「イノベーションパートナー」としての仕組みづくりに注力します。
[ラボサイト事業]
当事業年度におけるラボサイト事業の売上は、281,879千円(前期比13.5%増)となりました。
欧州では、EpiSensA(エピセンサ)への関心が高く、定期顧客数が8社に達するなど増収を牽引しました。本格展開に向けてドイツでの子会社設立準備を進めております。インドでは、表皮モデルに加え角膜モデルへの関心も高まりつつあり、現地ニーズに応じた営業活動を積極的に展開しています。国内では、EpiSensAの技術講習会による手技指導に加え、帝人構造解析センターとの連携による体制強化を行い受注が拡大しました。新規製品である研究用腸管上皮モデルについては、大阪大学からの技術移管を進め、製品ラインアップの充実を図るとともに、創薬や食品などの新規業界への展開を見据えた開発を推進しています。
[新規パイプラインの開発等]
<皮膚領域>
他家(同種)培養表皮(開発名:Allo-JaCE03)は、熱傷を含む皮膚欠損を適応とし、2026年3月に製造販売承認申請を行いました。独自の乾燥技術により「常温での長期保管」と「即時使用(迅速な提供)」を両立させた特長を有しており、救急現場への迅速な提供を目指すとともに、海外市場への展開も視野に入れてまいります。
<軟骨領域>
自家培養軟骨ジャックは、適応症に変形性膝関節症を追加する一部変更承認を2025年5月に取得し、2026年1月に保険収載されました。他にも、膝領域の治療を目的とした新製品の開発を、帝人と共同で取り組んでいます。
<がん領域>
当社製造による自家CAR-T細胞製剤*は、名古屋大学で急性リンパ性白血病(ALL)に対する医師主導治験が開始され、第I/II相医師主導治験実施中です。低コストで製造できる自家CAR-T細胞由来治療技術を活かし、がん以外の他疾患への事業拡大を検討中です。
柏の葉「再生医療プラットフォーム」で、帝人、国立研究開発法人国立がん研究センター東病院、三井不動産株式会社と協働し事業展開を加速しています。
* 名古屋大学・信州大学と特許ライセンス契約を締結した、CD19陽性の急性リンパ性白血病の治療を目的とした、低コストで製造できる自家CAR-T細胞由来治療薬開発
(参考)各事業の概要
[再生医療製品事業]
当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピック、自家培養口腔粘膜上皮オキュラル及びメラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンの製造販売を行っています。
・自家培養表皮ジェイス(皮膚領域)
自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に重症熱傷を適応として保険収載された国内初の再生医療等製品であり、先天性巨大色素性母斑及び表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)にも適応を拡大しています。ジェイスの保険適用に関しては、患者一連の製造につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度となっています。
・自家培養軟骨ジャック(軟骨領域)
自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された国内第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応としています。2019年1月には、ジャックの移植時に用いていた患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更承認を取得して、手術侵襲の低減と簡便化を実現しました。2022年6月には、承認後の使用成績調査について再審査が終了し、承認時の有効性及び安全性が改めて確認されました。2025年5月に、適応症に変形性膝関節症を追加する一部変更承認申請を取得し、2026年1月に保険収載されました。
・自家培養角膜上皮ネピック(角膜領域)
自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月に保険収載された眼科領域では国内初となる再生医療等製品であり、角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群・眼類天疱瘡・移植片対宿主病・無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患・再発翼状片・特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を除く)を適応としています。
・自家培養口腔粘膜上皮オキュラル(角膜領域)
自家培養口腔粘膜上皮オキュラルは、角膜上皮幹細胞疲弊症を適応としており、2021年12月に保険収載されました。口腔粘膜上皮細胞を用いて両眼性の角膜上皮幹細胞疲弊症を治療することが可能な、世界初の再生医療等製品です。
・メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミン(皮膚領域)
メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンは、メラノサイト(色素細胞)が保持されるように培養された表皮細胞シートです。非外科的治療が無効又は適応とならない白斑を適応として、2024年10月に保険収載されました。
[再生医療受託事業]
当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発ならびにコンサルティング及び特定細胞加工物製造受託を行っています。
・再生医療等製品の受託開発
再生医療等製品の承認を目指すアカデミアや企業に対し、研究開発段階の設計から商用生産までを一気通貫で支援する開発製造受託(CDMO)・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品開発・製造で培ったノウハウやGCTP適合設備を活かし、細胞種や製品形態を問わずシームレスに支援します。特に近年はiPS細胞由来製品など、自社開拓による高付加価値案件が拡大し、事業ポートフォリオの多角化が進んでいます。
・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託
再生医療の提供機関に対し、提供計画の作成や細胞加工施設運営の支援を行うほか、厚生労働省許可施設にて特定細胞加工物の製造を受託しています。
[ラボサイト事業]
当社はラボサイト事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を行っています。
・ラボサイトシリーズ
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品及び化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに販売しています。製品ラインアップとして、ヒト3次元培養表皮エピ・モデル/EPI-KITとヒト3次元培養角膜上皮角膜モデルを保有しています。エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法、皮膚腐食性試験法ならびに花王株式会社が開発した皮膚感作性試験法(EpiSensA:エピセンサ)、そして角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法は、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインに収載されており、日本国内においてはトップシェアを占めるモデルとなっています。さらに、エピ・モデル24を用いた医療機器の皮膚刺激性試験法は国際規格ISO10993-23に収載されています。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて234,983千円減少し、1,450,465千円となりました。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は488,020千円(前期は148,365千円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純損失(730,775千円)及び減価償却費(157,382千円)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は253,035千円(前期は232,526千円の使用)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出(1,800,000千円)及び定期預金の払戻による収入(2,200,000千円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増減はありません。(前期は3千円の使用)
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前期比(%)
|
|
再生医療製品事業(千円) |
1,350,558 |
90.2 |
|
再生医療受託事業(千円) |
546,371 |
76.5 |
|
ラボサイト事業(千円) |
281,879 |
113.5 |
|
合計(千円) |
2,178,810 |
88.6 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当事業年度における生産実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b. 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前期比 (%) |
|
再生医療製品事業 |
1,501,542 |
97.1 |
232,481 |
152.4 |
|
再生医療受託事業 |
601,271 |
105.2 |
126,567 |
161.2 |
|
ラボサイト事業 |
282,715 |
113.4 |
15,305 |
105.8 |
|
合計 |
2,385,529 |
100.8 |
374,355 |
152.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当事業年度における受注実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
c. 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) |
前期比(%)
|
|
再生医療製品事業(千円) |
1,354,493 |
90.7 |
|
再生医療受託事業(千円) |
546,371 |
76.5 |
|
ラボサイト事業(千円) |
281,879 |
113.5 |
|
合計(千円) |
2,182,745 |
88.9 |
(注)1.当事業年度における販売実績の著しい変動の要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
当事業年度の財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を検討した上での調達を基本としております。
なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,450,465千円となっております。
④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度のセグメントごとの経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態につきましては、次のとおりであります。
再生医療製品事業のセグメント資産は1,236,276千円となり、前事業年度末から51,780千円減少となりました。再生医療受託事業のセグメント資産は201,559千円となり、前事業年度末から87,348千円減少となりました。ラボサイト事業のセグメント資産は105,409千円となり、前事業年度末から9,662千円増加となりました。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
⑦重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。