事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
-
セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 4,354 | 100.0 | -2,018 | 100.0 | -46.3 |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループは、社会が直面する様々な課題を解決するため、「人」+「サイバー・フィジカル空間」(HCPS:Human-Cyber-Physical Space)を融合する「サイバニクス(人・AIロボット・情報系の融合複合)技術」を駆使して、「テクノピアサポート社会」の実現、ロボット産業・IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による未来開拓を推進しています。
当社が目指す「テクノピアサポート社会」とは、人とテクノロジーが共生・協調し相互に支援し合うことにより、世代を超えた人々の自立度・自由度を高め、生活・心身等の諸問題を解決できる安心安全な社会です。当社グループは、人間の機能改善・再生・拡張・支援が可能なサイバニクス技術の社会実装を事業として推進することにより、「テクノピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出を進めています。
(1) サイバニクス技術による事業分野
当社グループは「テクノピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出に向けて、現在、下記のような事業を展開しています。
① 高齢者・障害者の自立度向上に関わる製品・サービスの研究開発、製造、販売に関する事業
② 予防・早期発見・医療健康ケアに関わる製品・サービスの研究開発、製造、販売に関する事業
③ 見守り・生活支援による自由度向上に関わる製品・サービスの研究開発、製造、販売に関する事業
④ 作業支援・AI自動化による超効率化に関わる製品・サービスの研究開発、製造、販売に関する事業
(2) 中核技術としてのHAL®の動作原理と制御方法
HAL®は、人が装着して利用します。HAL®の技術は様々な分野で利用でき、当社グループの事業の中核となるものです。HAL®は、装着者の脳神経系からの動作意思を反映した微弱な生体電位信号(Bio-Electrical Signal:BES)で機能する「サイバニック随意制御系」、姿勢や重心バランス等の装着者の動作情報を人工知能処理し機能する「サイバニック自律制御系」、装着者の人間特性に適応調整される「サイバニックインピーダンス制御系」、及びこれらを組み合わせた「サイバニックハイブリッド制御系」などで構成される革新的サイバニックシステムです。
人が体を動かそうとする際、その運動意思は微弱なイオン電流の神経系指令信号として、脳、脊髄、運動神経、筋肉へと伝達され、最終的に筋骨格系が動くことになります。その際、微弱な生体電位信号が皮膚表面にも到達してくるので、これを検出できれば運動意思を捉えたことになります。HAL®はこの微弱な生体電位信号を装着者の皮膚表面に貼付けられたセンサーで検出し、これを活用して機能します。これにより、装着者が身体を動かそうとすると、その運動意思に従ってHAL®が駆動します。HAL®は身体に密着しているため、装着者の意思によって駆動すると同時に、脚などの装着部位を動かすことになり、筋紡錘(※1)からの求心性ニューロン(※2)の信号が感覚神経、脊髄を経て脳に戻る(フィードバックされる)ことになります。更に、このような体内の感覚神経系情報に加え視聴覚情報も脳にフィードバックされることになります。このようにして、「脳→脊髄→運動神経→筋肉→HAL®」、そして、「HAL®→筋紡錘→感覚神経→脊髄→脳」という脳と身体とHAL®との間でインタラクティブなバイオフィードバックが構成されることになります。
これが基本的な「サイバニック随意制御」であり、機能的に人間とロボットとを一体化させることに成功した新しい制御手法の動作原理の一つです。また、重度の運動機能障害を有する場合、特に、生体電位信号がまだ検出できないような状態では、「サイバニック随意制御」が機能しないため、人間の基本運動パターンや動作メカニズムの解析結果を元に予め準備されたプログラムによってロボットのように動作する「サイバニック自律制御」が機能します。また、HAL®の質量・慣性モーメント・粘性摩擦等の機械インピーダンスを補償し、装着感に関する物理パラメータを任意に調整することができるサイバニックインピーダンス制御も組み込まれています。目的に応じて、これらの制御を自在に組み合わせたサイバニックハイブリッド制御を構成できることがHAL®の大きな特徴です。
図1 HAL®の動作原理
図2 HAL®の制御方法
※1.筋紡錘
筋肉の内部の紡錘型の筋繊維にらせん状に巻き付いている感覚受容器です。筋肉の長さや張力に応じて神経伝達物質が生じるため関節の角度や身体の姿勢や筋肉が発揮している力などの身体の内部の感覚を起こします。
※2.求心性ニューロン
末梢の感覚受容器からの刺激を脊髄や脳など中枢に伝達する知覚神経のニューロンです。
HAL®に関する主な学術論文は、下記のとおりです。
(脊髄損傷)
・“Feasibility, safety, and functional outcomes using the neurological controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton (HAL®) following acute incomplete and complete spinal cord injury – Results of 50 patients”The Journal of Spinal Cord Medicine (2023)
・“Feasibility, safety, and functional outcomes using the neurological controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton (HAL®) following acute incomplete and complete spinal cord injury – Results of 50 patients”The Journal of Spinal Cord Medicine (2023)
・“Gait ability required to achieve therapeutic effect in gait and balance function with the voluntary driven exoskeleton in patients with chronic spinal cord injury: a clinical study The International Spinal Cord Society (2019)
・“Functional Outcome of Neurologic―Controlled HAL―Exoskeletal Neurorehabilitation in Chronic Spinal Cord Injury: A Pilot With One Year Treatment and Variable Treatment Frequency” Global Spine Journal (2017)
・“Against the odds: what to expect in rehabilitation of chronic spinal cord injury with a neurologically controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton. A subgroup analysis of 55 patients according to age and lesion level”Neurosurgical Focus (2017)
・“The Effectiveness and Safety of Exoskeletons as Assistive and Rehabilitation Devices in the Treatment of Neurologic Gait Disorders in Patients with Spinal Cord Injury: A Systematic Review” Global Spine Journal (2016)
・“Voluntary driven exoskeleton as a new tool for rehabilitation in chronic spinal cord injury : A pilot study” The Spine Journal (2014)
・“Locomotion training using voluntary driven exoskeleton (HAL) in acute incomplete SCI” Neurology (2014)
(脳卒中)
・“Combined therapy using botulinum toxin A and single-joint hybrid assistive limb for upper-limb disability due to spastic hemiplegia”, Journal of the Neurological Sciences (2017)
・“Gait training with Hybrid Assistive Limb enhances the gait functions in subacute stroke patients: A pilot study”, NeuroRehabilitation (2017)
・“Gait training of subacute stroke patients using a hybrid assistive limb: a pilot study” NeuroRehabilitation (2017)
・“Tailor-made rehabilitation approach using multiple types of hybrid assistive limb robots for acute stroke patients: A pilot study”, Assistive Technology (2016)
・“Feasibility and efficacy of high-speed gait training with a voluntary driven exoskeleton robot for gait and balance dysfunction in patients with chronic stroke: nonrandomized pilot study with concurrent control”, International Jounal of Rehabilitation Research (2015)
・“Gait training early after stroke with a new exoskeleton ― the hybrid assistive limb: a study of safety and feasibility” Journal of Neuro Engineering and Rehabilitation (2014)
・“Pilot study of locomotion improvement using hybrid assistive limb in chronic stroke patients” BMC Neurology (2013)
(神経・筋難病)
・“Effects of Long-term Hybrid Assistive Limb Use on Gait in Patients with Amyotrophic Lateral Sclerosis”Internal Medicine (2022)
・“Robot-assisted training using hybrid assistive limb ameliorates gait ability in patients with amyotrophic lateral sclerosis”, Journal of Clinical Neuroscience (2022)
・“Cybernic treatment with wearable cyborg Hybrid Assistive Limb (HAL) improves ambulatory function in patients with slowly progressive rare neuromuscular diseases: a multicentre, randomised, controlled crossover trial for efficacy and safety (NCY-3001)”, Orphanet Journal of Rare Diseases (2021)
(その他)
・“Therapeutic effect of knee extension exercise with single-joint hybrid assistive limb following total knee arthroplasty: a prospective, randomized controlled trial”, Scientific Reports (2024)
・“Benefits of a Wearable Cyborg HAL (Hybrid Assistive Limb) in Patients with Childhood-Onset Motor Disabilities: A 1-Year Follow-Up Study”, Pediatric Reports (2023)
・“Biofeedback Core Exercise Using Hybrid Assistive Limb for Physical Frailty Patients With or Without Parkinson's Disease”, Frontiers in Neurology (2020)
・“Feasibility of rehabilitation using the single-joint hybrid assistive limb to facilitate early recovery following total knee arthroplasty: A pilot study”, Assistive Technology (2017)
・“Feasibility of rehabilitation training with a newly developed wearable robot for patients with limited mobility” Archives of Physical Medicine and Rehabilitation (2013)
(3) 当社グループ製品及びサービスの内容
《医療:サイバニクス治療》
世界初の装着型サイボーグHAL®を医療機器として展開しています。また、HAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療サービスをドイツ及び米国で展開しています。
《介護・自立支援》
主に高齢者の自立度の改善や重度化防止及び加齢により身体機能が低下するフレイル予防や自立維持に向けて、歩行運動に対応した「下肢タイプ」、肘・膝・足首の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹運動に対応した「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。
また、HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促すプログラム「Neuro HALFIT®」を提供する施設型サービス(ロボケア事業)、個人のお客様にHAL®をレンタルし、自宅で「Neuro HALFIT®」に取り組んでいただく在宅型プログラム「自宅でNeuro HALFIT®」を展開しています。
《作業支援》
腰部にかかる負荷低減による腰痛リスク防止を目的としたHAL®作業支援用(腰タイプ)や、AIを搭載した搬送ロボット及び高速自律走行を実現した除菌・清掃ロボット「CL02」を展開しています。
《予防・早期発見》
造影剤不要・非侵襲で末梢の血管や血液の高解像度3Dイメージングをリアルタイムに実現するLED光源方式の光音響イメージング装置「Acoustic X」を研究機器として展開しています(並行して医療機器化を推進中)。
(4) 当社グループの事業系統図
以上に述べた事項を、以下の事業系統図に示します。なお、当社グループのセグメントはロボット関連事業のみの単一セグメントです。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
(1)重要性がある会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」)に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(2)経営成績の分析
(%表示は対前期増減率)
|
売上収益 |
営業利益 |
税引前利益 |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
||||
|
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
百万円 |
% |
2024年3月期 |
4,354 |
32.4 |
△2,018 |
- |
△1,141 |
- |
△1,476 |
- |
2023年3月期 |
3,289 |
52.9 |
△1,145 |
- |
53 |
- |
△298 |
- |
当社グループは、社会が直面する様々な課題を解決するため、「人」+「サイバー・フィジカル空間」(HCPS:Human-Cyber-Physical Space)を融合する「サイバニクス(人・AIロボット・情報系の融合複合)技術」を駆使して、「テクノピアサポート社会」の実現、ロボット産業・IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出による未来開拓を推進しています。
当社が目指す「テクノピアサポート社会」とは、人とテクノロジーが共生・協調し相互に支援し合うことにより、世代を超えた人々の自立度・自由度を高め、生活・心身等の諸問題を解決できる安心安全な社会です。当社グループは、人間の機能改善・再生・拡張・支援が可能なサイバニクス技術の社会実装を事業として推進することにより、「テクノピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出を進めています。
事業推進の状況
《医療:サイバニクス治療》
当社グループは、世界初の装着型サイボーグHAL®を利用した脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療を、グローバルな標準治療として普及させる取り組みを進めています。
(日本)
医療用HAL®「下肢タイプ」(両脚モデル)については、有効な治療法が確立されていない緩徐進行性の神経筋難病疾患を対象として、サイバニクス治療の普及に取り組んでいます。使用成績調査で極めて高い有効性と安全性を示す結果が得られたことを踏まえ、「他に有効な治療方法が確立していない緩徐進行性の神経・筋難病疾患の患者に対して、既承認薬も含め前例のない顕著な機能改善効果が確認された」(日本神経治療学会提案の医療技術評価提案書より抜粋) として令和4年度診療報酬改定において診療報酬点数が増点されています。
脊髄疾患に関しては、ウィルス性のHTLV-1関連脊髄症(HAM)および遺伝性の痙性対麻痺の2疾患について、2022年10月に適応追加の承認を取得し、2023年10月に厚生労働省より保険適用の通知が発出されました。また、外傷性の脊髄疾患である脊髄損傷については、当局と適応追加の承認申請について協議しています。
脳卒中に関しては、医療用HAL®「下肢タイプ」(単脚モデル)の医師主導治験(HIT2016試験)の結果を踏まえて、最新の患者像や臨床ニーズを捉えた追加試験(治験)の実施について、当局と相談しながら準備を進めています。
更に小児脳性麻痺等に伴う運動姿勢障害を呈する患児の粗大運動能力の向上を目的とする医師主導治験が、2022年1月より筑波大学附属病院を中心に現在進行中です。また、小柄な患者様向けに治験機器と同等品を医療用HAL®の小型モデルとして開発し、2023年6月に既承認の適応疾患に対する医療機器としてPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に製造販売承認申請を提出しています。
(米国)
個人向けの医療サービス事業のプラットフォームとして、子会社のRISEヘルスケアグループ(RHG)社はカリフォルニア州南部を中心に事業を展開しています。当社のHAL®によるサイバニクス治療は現在4拠点で展開しており、2023年1月より有償サービスへ段階的に移行し、治療実績は堅調に増加しています。
2024年5月には、米国食品医薬品局(FDA)より、世界に先駆けて医療用HAL®の小型モデルの市販承認と脳性麻痺(対象年齢は12歳以上)への適応拡大の承認を取得しました。小型モデルが医療機器承認されたことにより、従来モデル(身長150cm以上を対象)の使用が困難であった身長100cm~150cmの患者に対しても医療用HAL®による治療が可能となります。また、日本で承認済みのHTLV−1関連脊髄症(HAM)、遺伝性痙性対麻痺への適応疾患の拡大についても併せて承認を取得しました。
米国でのサイバニクス治療の実績蓄積と、医療用HAL®の小型モデルの承認及び適応疾患の拡大を踏まえ、今後更なる事業拡大を推進してまいります。
(EMEA:欧州や中東)
主要各国でのサイバニクス治療の普及が進んでおり、トルコでのHAL®シリーズの大型導入に続き、2023年5月にはイタリアの医療介護サービスを専門とする大手社会協同組合Coopselios社にHAL®シリーズ25台を導入し、現在、追加導入の準備が進行しています。
ドイツにおいては、公的医療保険の当局であるG-BA(ドイツ連邦共同委員会)が、脊髄損傷に対する公的医療保険適用を前提とした臨床試験の実施を決定しており、準備が進行しています。
(APAC:アジア太平洋)
当社グループのマレーシア法人CYBERDYNE MALAYSIA社を拠点として、東南アジア及びインド・オーストラリア・台湾においてサイバニクス治療の普及を進めています。
マレーシアにおいては、政府系の従業員社会保障機構(SOCSO)との事業連携が更に強化され、SOCSOの被保険者に対してHAL®によるサイバニクス治療が普及すると共に(2024年3月末時点で12施設にHAL®114台を有償レンタル)、東南アジア最大級の医療複合施設である「国立神経ロボット・サイバニクス・リバビリテーションセンター」の建設が進んでおり(2024年末頃の竣工予定)、併せて相当台数のHAL®の導入も予定されています。
《介護・自立支援》
当社グループは、主に高齢者の自立度の改善や重度化防止及び加齢により身体機能が低下するフレイル予防や自立維持に向けて、歩行運動に対応した「下肢タイプ」、肘・膝・足首の関節運動に対応した「単関節タイプ」、体幹運動に対応した「腰タイプ」など様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。
(施設型サービスの展開)
HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促すプログラム「Neuro HALFIT®」を提供するロボケア事業は、個人向けの医療ヘルスケアサービス事業のハブ拠点として、当社グループ並びに各地域の事業パートナーとの協働により全国18箇所で展開しており、今後、更なる拠点拡大を計画しています。
(個人向け在宅サービス)
「自宅でNeuro HALFIT®」は、個人のお客様にHAL®をレンタルし、自宅で「Neuro HALFIT®」に取り組んでいただく在宅型プログラムです。サイバーダインのクラウドとデータ連動し、身体動作を指令する生体電位信号や姿勢情報等を可視化するHALモニターによって、装着者自身が視覚的にもフィードバックが得ることができます。セラピストやトレーナーなどの専門スタッフによるオンラインサポートを提供する他、訪問型のサービス事業者とも連携して、自宅での機器のセットアップからプログラム実施までの対面サポートも推進しています。
《予防・早期発見》
心活動、脳活動、体温、SpO2、活動量など様々なヘルスケアデータを日常的に集積・解析・AI処理することで、不整脈や心房細動などのリスクを管理し、心筋梗塞や脳梗塞などを予防することを目的とした超小型バイタルセンサー「Cyvis(サイビス)」シリーズの製品化を進めています。また、「Cyvis」は、睡眠時の呼吸状態の計測というオプション機能も備えており、SAS(睡眠時無呼吸症候群)のリスクを簡便に高精度スクリーニングすることが可能となります。また、当社グループのC2社が開発・運営する睡眠を見える化するヘルスケア・アプリ「熟睡アラーム」とともに、当社グループとしてヘルスケア事業の強化を進めています。なお、Cyvisシリーズの次モデル「Cyvis-2」は2023年4月に医療機器認証の申請を行っています。
《生活・職場分野》
(介護支援用途)
2021年以降、英国ハンプシャー州で進む介護施設等での「HAL®腰タイプ介護・自立支援用」の運用をモデルケースとして、同州と協力して英国の他のエリアや欧州各国への展開を進めてまいります。
(作業支援、除菌・清掃用途)
世界最高水準のSLAM技術による高速自律走行を実現した次世代型清掃ロボット「CL02」は、エレベーター自動昇降やクラウド連携等によるビルのスマート化と管理コスト削減を実現すべく、ゼネコン等と協力してオフィスビルを中心に導入を進めています。また、モビリティ用途を拡張して、工場内での搬送ロボットとしても稼働しています。
研究・製品開発の状況
造影剤不要・非侵襲で末梢の血管や血液の高解像度3Dイメージングをリアルタイムに実現するLED光源方式(当社保有国際特許)の光音響イメージング装置「Acoustic X」は、次世代の医療用画像診断装置としての医療機器化を進めています。また、海外の著名な医療機関や研究施設においても、様々な適用に向けて研究が進められています。
また、当社は、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」において、テーマ6「超高齢社会における世代を超えた人々が直面する社会課題の解決に向けたHCPS融合人協調ロボティクスの社会実装技術開発」に採択されており、1)住宅、施設、職場等様々な生活空間への適用、2)人情報(生理・身体・行動認知・ 心理等)と統合されたHCPS融合マスター・リモート制御技術(サイバニック化マスター・リモート技術)の活用、3) HCPS融合人協調ロボティクスを通じた人情報の非侵襲での取得・活用、4)高齢者や交通弱者の自立度・自由度を向上させる当課題の他の関連技術との連動等、社会実装へ向けた取り組みを進めています。
川崎市の殿町国際戦略拠点(キングスカイフロント)においては、HAL®と再生医療や薬剤との複合によるサイバニクス治療の体系化や、医療・バイオ系技術とAI・ロボット・情報系の融合技術などの展開を推進するサイバニクス・メディカル・イノベーションベースA棟が竣工し、今後の事業シナジーを想定したライフサイエンス企業の入居や、再生医療・創薬のC-Startupパートナー等との連携を進めています。
製品稼働状況について
医療用HAL®下肢タイプは、主にAPAC向けレンタルの増加により、2024年3月末時点で臨床試験用も含め国内外あわせて474台(内、国内レンタル契約90台)が稼働中です。HAL®単関節タイプは、医療用の増加により、 2024年3月末時点で620台が稼働中です。HAL®福祉用等の下肢タイプは、2024年3月末時点の稼働台数は364台となっています。また、HAL®腰タイプ介護・自立支援用は、2024年3月末時点で1,016台が稼働中です。HAL®腰タイプ作業支援用は、2024年3月末時点の稼働台数は394台となっています。また、清掃ロボット及び搬送ロボットは、2024年3月末時点において172台が稼働中です。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は、海外向けHAL等のレンタル売上及び欧米の当社グループ会社によるサービス売上等の増加により、4,354百万円(前年同期比32.4%増加)を計上しました。売上総利益は2,393百万円(同33.6%増加)となりました。
研究開発費は前年度に引き続き新製品の自社開発及び受託研究事業の実施により877百万円(同19.4%増加)を計上、その他の販売費及び一般管理費はM&Aの影響により3,251百万円(同35.2%増加)を計上しました。
その他の収益は、受託研究事業収入などにより424百万円(同100.0%増加)を計上、その他の費用は国内子会社であるC2社に係るのれんの減損損失等の計上などにより707百万円(前年同期は8百万円)を計上した結果、営業損失は2,018百万円(前年同期は1,145百万円)を計上しました。
また、金融収益は投資有価証券評価益などにより543百万円、CEJファンドに係る損益796百万円、法人所得税費用は繰延税金費用などにより507百万円等を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期損失は1,476百万円(前年同期は298百万円)を計上しています。
なお、当社は独自技術を持ったスタートアップ企業との業務提携や資本提携を行なっており、当該非上場株式についてIFRS第9号「金融商品」に基づき公正価値を算定しています。当連結会計年度において、公正価値を算定した結果、投資有価証券評価益1,549百万円を「金融収益」及び「CEJファンドに係る損益」に、投資有価証券評価損393百万円を「金融費用」及び「CEJファンドに係る損益」に含めて計上しました。また、当該評価に関する繰延税金費用531百万円を「法人所得税費用」として計上、CEJファンドの外部投資家持分への振替額587百万円を計上した結果、「当期利益」に与える影響額は38百万円となります。
(3)財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比188百万円減少し、49,999百万円となりました。これは主として、その他の金融資産(流動)が1,997百万円、その他の金融資産(非流動)が1,173百万円、営業債権及びその他の債権が134百万円増加したものの、現金及び現金同等物が2,646百万円、のれんが396百万円、有形固定資産が170百万円減少したことによるものです。
② 負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比1,319百万円増加し、9,523百万円となりました。これは主として、CEJファンドにおける外部投資家持分が941百万円、繰延税金負債が463百万円増加したことによるものです。
③ 資本
当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末比1,506百万円減少し、40,477百万円となりました。これは主として、利益剰余金が1,476百万円減少したことによるものです。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,646百万円減少し5,155百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、850百万円の資金流出(前連結会計年度は143百万円の資金流出)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費677百万円、減損損失660百万円を計上したものの、CEJファンドに係る損益796百万円、金融収益543百万円、営業債権及びその他の債権の増加額による資金流出134百万円を計上したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,075百万円の資金流出(前連結会計年度は2,173百万円の資金流入)となりました。これは主に、投資の償還による収入18,000百万円、投資有価証券の売却による収入572百万円を計上したものの、投資の取得による支出20,000百万円、投資有価証券の取得による支出455百万円を計上したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、160百万円の資金流入(前連結会計年度は14百万円の資金流入)となりました。これは主に、CEJファンドにおける外部投資家に対する分配額・償還額320百万円、リース負債の返済による支出174百万円を計上したものの、CEJファンドにおける外部投資家からの払込による収入680百万円を計上したことによるものです。
(5)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ロボット関連事業 |
249 |
99.7 |
合計 |
249 |
99.7 |
(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績は記載していません。
2.金額は、製造原価及び自社製作資産により表示しています。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|||
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
ロボット関連事業 |
4,029 |
102.2 |
300 |
327.5 |
合計 |
4,029 |
102.2 |
300 |
327.5 |
(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の受注実績は記載していません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ロボット関連事業 |
4,354 |
132.4 |
合計 |
4,354 |
132.4 |
(注)1.単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績は記載していません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
Petroliam Nasional Berhad |
- |
- |
440 |
10.1 |
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績に重要な影響を与える要因について
本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりです。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、現在、運転資金及び開発投資等の資金需要に対しましては、自己資金を充当することを基本としています。当連結会計年度末時点において、事業活動の維持に必要な手元資金を保有しており、充分な流動性を確保していると考えています。
③ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めています。具体的には本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
④ 経営上の重要な非財務指標
当社グループでは、経営上の重要な非財務指標として、HAL®等の稼働台数を活用しています。
当社グループの主たる収益源は、HAL®等のレンタル・保守に係る売上であり、レンタル・保守契約に係る売上は、レンタル期間にわたり収益が計上され、翌会計年度以降にわたる継続的な収益計上が見込まれるため、当社グループは、現在の業績や将来の見通しを把握することを目的として、HAL®等の稼働台数を取締役会へ報告しています。
(単位:台)
稼働台数 |
2020年3月末 |
|
2021年3月末 |
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2022年3月末 |
|
2023年3月末 |
|
2024年3月末 |
HAL®医療用 (下肢タイプ) |
310 |
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351 |
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368 |
|
442 |
|
474 |
HAL®福祉用等 (下肢タイプ) |
357 |
|
342 |
|
341 |
|
351 |
|
364 |
HAL®単関節タイプ |
300 |
|
391 |
|
492 |
|
584 |
|
620 |
HAL®腰タイプ 自立支援用及び 介護支援用 |
951 |
|
1,074 |
|
1,143 |
|
1,138 |
|
1,016 |
HAL®腰タイプ 作業支援用 |
624 |
|
459 |
|
417 |
|
419 |
|
394 |
清掃ロボット及び 搬送ロボット |
75 |
|
141 |
|
147 |
|
164 |
|
172 |
合計 |
2,617 |
|
2,758 |
|
2,908 |
|
3,098 |
|
3,040 |
セグメント情報
6.セグメント情報
(1)報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。
当社グループは、ロボット関連事業による単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(2)セグメント収益及び業績
当社グループは単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(3)製品及びサービスに関する情報
製品及びサービスに関する情報は、注記「25.売上収益」を参照ください。
(4)地域別に関する情報
売上収益及び非流動資産の地域別内訳は以下の通りです。
外部顧客への売上収益
|
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
百万円 |
|
百万円 |
日本 |
1,547 |
|
1,457 |
米州 |
1,102 |
|
1,521 |
EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ地域) |
271 |
|
908 |
APAC |
370 |
|
468 |
合計 |
3,289 |
|
4,354 |
(注) 売上収益は、販売仕向先の所在地によっております。
非流動資産
本邦に所在している非流動資産の金額が連結財政状態計算書の非流動資産の金額の大部分を占めるため、記載を省略しております。
(5)主要な顧客に関する情報
(単位:百万円)
顧客の名称又は氏名 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
関連するセグメント名 |
Petroliam Nasional Berhad |
- |
440 |
ロボット関連事業 |