2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 4,377 100.0 344 100.0 7.9

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、「個性と創造性溢れる豊かな社会作りに貢献します。」を経営理念として、システムを活用したモノづくりのDX会社として事業を展開しております。

 当社はインターネットを利用して行うアパレルや雑貨を主とした商品へのオンデマンドプリントサービス、及びオンデマンドプリントの仕組み(ソフトウエアやハードウエア)をアパレルメーカー、印刷会社などの事業者へ提供するソリューション(オンデマンドプリントソリューションズ、以下「ODPS」という。)サービスを行っております。これらの実現のために、小ロット受注に対応したソフトウエアと、システムで制御できるハードウエアの開発を進め、ワークフローのDX化を推進しております。

 なお、当社は「オンデマンドプリントソリューション事業」の単一セグメントであります。

 

1.オンデマンドプリントサービス

 オンデマンドプリントサービスは、顧客がインターネットサイトを通じて入稿したデータを、受注から短納期で印刷加工し納品するサービスです。チームのグッズや個人のギフト、法人のノベルティオーダーなど、オリジナル製品をプリント作成するニーズに加え、インターネットでグッズ販売のビジネスを始めるクリエイターなどのニーズや、無駄な在庫を作らず受注が入ってから生産し即出荷したいとするアパレルメーカーなどのニーズに対応しています。

 

 当社はオンデマンドプリントサービスを、自社販売とパートナー企業からの受注の2つのチャネルで推進しております。

① 自社販売(自社フラッグシップサイト「オリジナルプリント.jp」等の運営)

 「オリジナルプリント.jp」(https://originalprint.jp/)は、当社の自社サービスとして運営しております。Tシャツなどの衣料品やマグカップなどの雑貨を中心としたアイテムを仕入れ、エンドユーザーからの注文を直接受注し、印刷加工して納品しております。受注処理を自動化するために見積もりや納期計算の自動化と、リアルな仕上がりイメージを確認できるデザインシミュレーターを搭載し、約1,900種類のアイテムに対応できる国内最大級のサービスサイトです。

 

② パートナー企業からの受注

 パートナー企業から受注した製品に対し、プリント加工を行った上でパートナー企業に納品しております。また、パートナー企業のサイトを利用するユーザーからの発注は、パートナー企業から当社へ転送され、当社にてプリント加工を行った製品を直接ユーザーへ納品する形で、パートナー企業のバックヤードを支えております。ワークフローに人手を介することがないため、短納期とコストダウンを実現しています。

 

 自社販売、パートナー企業からの受注のいずれも、受注データからクラウド生産管理システムのサーバーにより印刷に必要なデータを自動生成し、当社の工場又はシステム連携された当社のパートナー工場へ自動で生産指示が振り分けられ、受注から最短5分で梱包出荷処理まで進めることが可能です。

 当社の重要マーケットのアパレル業界では余剰生産、廃棄ロスを解決することが注力課題になっています。従来までの量産型では、結果的に供給過多となり、売れ残った衣料品は大量廃棄されております。当社のサービスを活用することで、完成在庫が極小化され、余剰生産、廃棄ロスがなくなります。当社のサービスは、無駄な在庫をなくしたい企業へのソリューションとして、アパレルメーカーや大手コンテンツホルダーなど様々な企業との連携が広がっております。

 

2.ソリューション(ODPS)

 ODPSは、当社のDX化のノウハウで改良を重ねた生産管理システムをクラウドサービスとして提供することを柱としております。また、当社がオンデマンドプリントサービスで培った生産・出荷プロセスにかかるハードウエア(プリンター、たたみ機、梱包出荷機等)の販売も行っております。

 ODPSを導入した顧客は、オンデマンドプリントの生産ラインを短期間で構築することができ、工数削減による効率的なオペレーションが可能となります。受注システムでは、デザインシミュレーター付クラウド型オンデマンドEC「maker town」を提供しており、ECサイトを立ち上げたいという需要に応えております。ソリューションにおいては、SaaS型のソフトウエア及びハードウエアの売上に加えて、システム開発受託及び保守による売上が計上されます。また、当社がソリューションベンダーとなり、ODPSの販売先を含めた協力ネットワークを構築することで、拡大するオンデマンドプリント需要を幅広く取り込み共創を実現しております。

 

 

[事業系統図]

 当社のオンデマンドプリントソリューション事業の事業系統図は、次のとおりであります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社は、2023年7月28日に開催された第28期定時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受けて、当事業年度より決算期を4月30日から12月31日に変更しております。これに伴い、その経過期間となる当事業年度の期間は、2023年5月1日から2023年12月31日までの8か月間となっております。このため、比較情報については記載しておりません。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束による経済活動の正常化やインバウンド需要の回復など、景気は回復傾向にあるものの、出口の見えないロシア・ウクライナ情勢、欧米の金融引き締めによる影響、中国景気の減速などにより、経済情勢は依然として先行き不透明な状態が続いております。

当社の属するオンデマンドプリント業界におきましては、コロナ禍を契機として人々の生活様式の変化が加速し、オンラインの消費活動が定着したことにより衣料・服飾雑貨及び生活雑貨等のEC市場は急成長を遂げ、その市場規模の拡大が続いております。

このような環境の中、オンデマンドプリントサービスでは、様々な顧客ニーズに対応し、オンデマンド生産できるアイテムを拡充すべく新商品の取扱いを強化し、アイテムラインナップを拡げてまいりました。

当事業年度において、オンデマンドプリントサービスの売上高は3,962,177千円となりました。

また、ソリューションサービスでは、ハードウエアとしてオンデマンド転写プリンター「TransJet」及びデザインシミュレーター付クラウド型オンデマンドEC「makertown」の拡販に努めてまいりました。

当事業年度において、利益率の高い取引や1件当たりの取引額が大きい取引が含まれるハードウエアに係る売上高が379,955千円となり、ソリューションサービスの売上高は414,753千円となりました。

コスト面では運送費およびシステム運用費が増加したものの、材料費の減少及び外注を効果的に使うことにより人材派遣費、人件費を抑えられたことなどにより利益率が向上する結果となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は4,376,930千円、営業利益は344,145千円、経常利益は342,131千円、当期純利益は220,367千円となりました。

なお、当社はオンデマンドプリントソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

② 財政状態の状況

当事業年度末における総資産は2,685,553千円となり、前事業年度末と比較して350,538千円の増加となりました。

(流動資産)

当事業年度末における流動資産は1,762,400千円となり、前事業年度末と比較して330,027千円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加182,946千円、売掛金及び契約資産の増加67,254千円、商品及び製品の増加56,689千円があったことによるものであります。

(固定資産)

当事業年度末における固定資産は923,153千円となり、前事業年度末と比較して20,510千円の増加となりました。これは主に投資その他の資産の工場の新設等に係る敷金及び保証金の増加17,484千円によるものであります。

(流動負債)

当事業年度末における流動負債は819,884千円となり、前事業年度末と比較して37,306千円の増加となりました。これは主に未払金が135,886千円減少したものの、未払法人税等の増加53,452千円、未払消費税等の増加24,957千円、未払費用の増加63,766千円、1年内返済予定の長期借入金の増加16,747千円によるものであります。

(固定負債)

当事業年度末における固定負債は331,068千円となり、前事業年度末と比較して91,998千円の増加となりました。これは主に長期借入金の増加103,988千円によるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産は1,534,600千円となり、前事業年度末と比較して221,232千円の増加となりました。これは主に当期純利益の計上220,367千円による利益剰余金の増加によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は862,485千円となり、前事業年度末と比較して182,946千円の増加となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、425,317千円(前事業年度は131,426千円の獲得)となりました。これは主に資金減少要因である棚卸資産の増加70,588千円、売上債権及び契約資産の増加67,254千円があった一方で、資金増加要因である税引前当期純利益の計上301,237千円、減価償却費133,638千円、その他の流動負債の増加101,721千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、347,266千円(前事業年度は240,192千円の使用)となりました。これは主に、工場の設備投資として機械及び装置である有形固定資産の取得による支出305,213千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は、104,895千円(前事業年度は167,640千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金による収入200,000千円があった一方で、約定による長期借入金の返済による支出79,265千円、リース債務の返済16,705千円があったことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。なお、当社は、オンデマンドプリントソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の生産実績の記載は省略しております。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年5月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

オンデマンドプリントソリューション事業(千円)

2,503,380

合計

2,503,380

(注)金額は、製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、受注から販売・役務提供までの期間が短いものが大半を占めており、常に受注残高は少額であります。そのため、受注実績に重要性がないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社は、オンデマンドプリントソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年5月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

オンデマンドプリントソリューション事業(千円)

4,376,930

合計

4,376,930

(注)1.サービス別の販売実績は次のとおりです。

サービスの名称

当事業年度

(自 2023年5月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

オンデマンドプリントサービス

3,962,177

ソリューションサービス

414,753

合計

4,376,930

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年5月1日

至 2023年4月30日)

当事業年度

(自 2023年5月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

GMOペパボ株式会社

1,072,528

20.3

678,387

15.5

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 なお、財務諸表の作成にあたって、用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 当事業年度の売上高は4,376,930千円となりました。当事業年度におきまして、当社の売上の大きな割合を占めるオンデマンドプリントサービスにおいて、自社サービス「オリジナルプリント.jp」の受注が堅実に推移しております。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は2,746,331千円となり、売上総利益は1,630,599千円となりました。当事業年度におきまして、オンデマンドプリントサービスにおいて材料費を抑えることができたこと、また、ソリューションサービスにおいて利益率の高いハードウェアに係る取引があったことなどにより、売上総利益率は37.3%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は1,286,453千円となり、営業利益は344,145千円となりました。研究開発費が増加しているものの売上高に対し人件費を抑えることができたことなどにより、営業利益率は7.9%となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 営業外収益は1,745千円、営業外費用は3,759千円となりました。この結果、経常利益は342,131千円となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

 特別損失は、40,893千円で、固定資産除却損22,434千円、減損損失18,458千円の計上によるものであります。また、法人税、住民税及び事業税を86,024千円、法人税等調整額を△5,154千円計上しております。

 この結果、当期純利益は、220,367千円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社の事業活動における資金需要のうち主なものは、当社のオンデマンドプリントソリューション事業を推進するための運転資金(人件費、労務費、製造経費等)であります。これらの事業活動に必要な資金については、営業活動によるキャッシュ・フローでまかなうことを基本としております。

 また、当社の事業活動においては、生産機能の維持及び向上のため設備投資が不可欠であり、必要に応じて金融機関からの調達を実施する予定であります。

 

 なお、当社は取引銀行2行の金融機関との間で合計230,000千円の当座貸越契約を締結(当事業年度末現在で借入実行残高はありません)しており、手元資金が必要額に満たなくなると想定される場合には、当座貸越契約を活用し金融機関からの短期借入金を通じて、必要な資金残高を確保することを考えております。当社の事業は主に個別受注生産であり、棚卸資産回転期間や売上債権回転期間が短期間であるため、資金の流動性に問題はないものと考えておりますが、今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を注視しつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保に努めてまいります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。

 それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、継続的なサービスの向上による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。

 

⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高成長率と売上高経常利益率を重視することで、企業の成長性及び企業価値を高め、持続的な経営を目指しております。各指標の推移は以下のとおりであります。

 

前事業年度

(自 2022年5月1日

至 2023年4月30日)

当事業年度

(自 2023年5月1日

至 2023年12月31日)

売上高成長率

8.1%

売上高経常利益率

1.5%

7.8%

(注)当事業年度は8か月のため当事業年度の売上高成長率は記載しておりません。