2023年10月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)特定取引先への依存度が高いことについて

当社の顧客構成において、取引先10社の売上が売上高の約30%を占めております。当社では、特定取引先へ依存しない経営方針をとり、売上高の取引先による偏りを低減させるよう努めております。今後も取引先との良好な関係を継続してまいりますが、当該顧客企業の経営方針に変更が生じた場合、販売状況に影響が生じ、当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合について

当社の主軸であるインクジェットプリントは、特殊な技術や特許が不要であり、比較的参入障壁が低い事業です。こうしたことから、多数の競合会社が存在し今後一層の競争激化が生じる可能性があります。当社においては、1985年10月から事業運営している経験とノウハウの蓄積を活かしながら競争力の維持向上に努めております。しかしながら、競合他社に対する優位性が確立できる保証はなく、競合の結果、当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)情報漏洩について

インクジェットプリントはデジタル化の進展等により情報システムの重要性が高まっており、当社ではセキュリティの充実及び守秘義務の徹底を図ってきました。個人情報保護に関しては、2010年にプライバシーマーク認証を取得し、適切な管理の徹底、内部監査によるチェック等を行い、厳格な管理体制の構築が行われております。しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部に流出した場合には、当社に対する損害賠償の請求や信用力の失墜により、当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)人材の確保について

国内において少子高齢化による労働力人口の減少が進む中、あらゆる業界で就業者不足となっており、今後も人材不足が継続すると予測されております。当社の人事部門は、人材の確保に努めておりますが、しかしながら、人材の確保が充分に行えない場合、生産力の低下による納期遅延や品質低下が生じ、顧客からの信用低下などで当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)新型コロナウイルス感染症による影響その他の経済動向による影響について

当社の経営成績は、日本国内市場における広告宣伝活動の需要に大きく影響を受けます。国内経済の低迷が長期化した場合は、企業収益の減少に伴い、企業は広告宣伝活動を縮小する傾向にありますので、当社ではこれらの経済動向を注視し適時対策を講じております。新型コロナウイルス感染症の影響は特段ないものと仮定して業績予想の作成や会計上の見積りを行っておりますが、感染拡大による大規模な行動制限等が行われる場合、国内企業の販売促進活動が停滞し、それにより当社の経営成績は変動する可能性があります。

 

(6)法令規制について

法令の遵守を基本として事業を進めておりますが、廃棄物処理責任、環境・個人情報保護関連、税制関連等において、さまざまな法的規制を受けております。当社といたしましては各主管部門と管理部門が連携し、関連諸法規の順守に万全の体制で臨んでおりますが、今後さらにその規制が強化されることも考えられます。そのような場合、事業活動に対する制約の拡大やコストの増加も予想され、当社の事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)M&Aにおけるリスク

当社は、さらなる成長及び企業価値の向上を実現させるため、当社の事業内容と一致し、かつ成長が見込まれる会社とのM&Aを推進してまいります。M&Aの実施に当たっては、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の経営成績、財務状況、市場競争力等を十分に考慮しておりますが、事前の調査・検討に不足や見落としがあったり、買収した事業が計画通りに展開することができず、投下した資金の回収ができない場合や追加的費用が発生した場合等において、当社の経営成績や成長見通し及び事業展開等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は長期的な企業価値向上のため、役員及び従業員に対しインセンティブとして新株予約権を付与しております。当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式総数は67,400株であり、発行済株式総数2,300,000株の2.9%に相当します。これらの新株予約権の行使可能期間は2021年10月21日から2028年9月20日までであり、この期間内に行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(9)材料費の上昇に係るリスク

当社が製造で使用するインクやインクジェット用紙は、気候変動や原油価格の高騰により価格が上昇することがあります。当社では、取引先材料メーカーを1社に限定せずに、複数社との取引を継続しており、材料価格の見直しや代替品の検討を適宜行っております。しかしながら、これら原材料の価格上昇分を製品価格に十分に転嫁できない場合、あるいは代替品の調達による採算の改善が困難な場合、当社の経営成績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害等のリスク

当社は災害による生産体制への影響を最小化するため、大阪・横浜・名古屋・福岡に生産拠点を構え、その分散化によりリスクの低減を図っておりますが、災害による影響を完全に防止できる保証はありません。自然災害等により、設備や従業員に大きな被害を受け、その一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、被害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社の事業活動、経営成績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社の配当政策は、株主の皆様に対する利益の還元を経営上の重要な施策の一つとして位置づけており、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、配当性向30%を目安として安定した配当を継続して実施していくことを基本方針とし、2026年10月期の配当性向40%を目標としております。

当社の剰余金の配当は、年1回の期末配当を基本方針としておりますが、将来的な中間配当の実施に備え、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。なお、これら剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

第38期の期末配当につきましては1株当たり43円の配当を実施しております。今後につきましても安定した配当を旨とし、内部留保の確保に留意してまいりたいと考えております。内部留保資金の使途につきましては、今後の事業展開への備えと設備投資等の資金として充当することとしております。

なお、第38期の剰余金の配当は以下の通りであります。

決議年月日

配当金の総額

1株当たり配当額

2024年1月26日

98,242千円

43円

定時株主総会決議