2024年8月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

ネット印刷通信販売事業 その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
ネット印刷通信販売事業 9,175 98.6 594 102.0 6.5
その他 131 1.4 -12 -2.0 -8.9

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、ネット印刷通信販売のWebサイト「プリントネット」(https://odahara.jp/「プリントプロ」(https://printpro.jp/)及び「プリントネットウェア」(https://wear.printnet.jp/)を運営しております。

 当社の主力事業は、インターネット印刷通信販売事業です。印刷物の仕様や価格が掲載されたWebサイト上で、顧客からの注文を受け、また同時に印刷用データを受取り、工場にて印刷・加工を行い、工場より顧客に向けて製品を発送しております。当社の特徴は以下のとおりであります。

 

■受注の大部分は当社Webサイト(システム連携による受注を含む)を通して行われ、当社Webサイト上において、パンフレット、フリーペーパー、チラシ、新聞折込チラシ、社名入り封筒、うちわ、選挙ポスター、カレンダー、Tシャツ等の、幅広い商品ラインナップを提供し、顧客の囲い込みを図っております。

 

■実際の印刷工程につきまして、従来の印刷業者は、顧客から注文依頼があり、依頼内容に基づき企画提案を行い、顧客と打ち合わせを行い、内容を固めていきます(下図①・②)。印刷業者は打ち合わせの内容を踏まえ制作を行い(下図③)、校正・修正を数回に渡り行い(下図④)、データを完成(校了)させます(下図⑤)。その後、実質的に印刷工程に入っていきます。それに対し、当社の場合、顧客から完全データをいただいてから業務がスタートする形となります(下図⑥以降)。

顧客・大口得意先からネット上で注文を受け(下図⑥)、当社にて注文内容を確認し、発注処理を行います(下図⑦)。それと並行して入稿データが印刷に適しているかチェックを行います(下図⑧)。チェックが終了したデータは、他の案件のデータと付け合わせて版のデータを作成します(下図⑨:後述)。作成された版のデータは各拠点に送られ、印刷用のアルミ版に転写されます(下図⑩)。絵柄を転写された版はオフセット印刷機にセットされ、印刷が行われます(下図⑪)。商品は最終的なサイズに断裁され、必要があれば折り・綴じ等の後加工を施します(下図⑫)。完成した商品は梱包され、配送業者により集荷、発送されます(下図⑬)。

注文受付から梱包・発送までの工程につきましては、従来の印刷業者と大きな差はございませんが、当社の特長として「ギャンギング」処理がございます。これは、1つの印刷用版に複数の異なるデータを効率よく配置する処理を指し、これにより使用版数を減らし、コスト削減につなげております。

 

■顧客のニーズに応えるため、業界でいち早く「Japan color標準印刷認証」を取得(2012年7月)し、安定した品質で印刷物を提供しております。

 

■顧客の中では、BtoB(印刷業者、デザイン業者からの業務受託)が多く、発送代行サービス※の売上高に占める割合は高く推移しております。

※発送代行サービスとは、商品出荷を宅配便事業者に委託する場合において、宅配便事業者の送状の送り主の欄の記載を当社ではなく、発注者様とするサービス。主に最終顧客から印刷を受託している印刷業者、デザイン業者が取引上、当社が印刷していることを最終顧客に知らせないために利用するサービスです。

 

■当社は広範な顧客ニーズに対応する目的で、以下のとおり複数のWebサイトで顧客の注文を受けております。

「プリントネット」は自社コールセンターでの電話サポート等の充実したサービスを特長としております。ビジネスユースでのご利用を多くいただいております。「プリントプロ」は、2018年4月にサービスを開始し、印刷品質を維持したままサービスを簡素化することで低価格を実現し、より低価格志向のお客様をカバーしております。「プリントネットウェア」は、2024年7月にサービスを開始し、ネットを通じて簡単にオリジナルウェアやグッズ等を作成できるサービスです。

 

 

[事業系統図]

 当社サービスにかかる事業系統図は以下のとおりであります。

(ネット印刷通信販売事業)

 

 

※ 大口得意先・業務受託先…印刷業者、デザイン業者等がお客様(最終顧客)から受注した印刷物について、当社に製造を再委託します。

 

 

(その他事業)

 当社はインターネット印刷通信販売事業の他に、調剤薬局や飲食店等を経営しております。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により行動制限が解除されたことに伴い、個人消費やインバウンド需要が大幅に回復したものの、不安定な国際情勢や円安等による原材料価格の高止まりが続き、依然として、景気の先行きは不透明な状況にあります。

 当社の当事業年度における売上高は9,306,600千円となり前年同期比323,079千円の減収、営業利益は448,843千円で前年同期比242,676千円の減益、経常利益は456,167千円で前年同期比233,332千円の減益、当期純利益は210,518千円で前年同期比209,364千円の減益となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

 (ネット印刷通信販売事業)

 ネット印刷通信販売事業の業績は以下のとおりであります。

 

第38期

第39期

増減

印刷売上高合計

9,387,592千円

9,162,386千円

△225,205千円

(内訳)大口得意先

3,662,386千円

3,215,930千円

△446,456千円

    大口以外の得意先

5,725,205千円

5,946,456千円

221,250千円

 大口以外の売上単価

27,737円

27,011円

△726円

新規獲得数

15,458社

13,328社

△2,130社

新規獲得数における広告費(1社当たり)

4,021円

4,409円

388円

 印刷業界におきましては、コロナ禍における生活様式の変化に伴いWEB会議システム等を利用したオンラインでのコミュニケーションが増加したことや、デジタル化の加速による紙媒体の需要減少、原材料費やエネルギー価格の高騰が重なり、厳しい経営環境となっております。しかし、ネット印刷通販業界はコロナ禍以前の5年間において毎年10%程度市場が拡大したと言われており、新型コロナウイルス感染症の影響に関しても、印刷業界全体に比べ印刷需要の落ち込みは少なかったと考えております。

 このような状況のもと、当社は強みをさらに伸ばすため、将来に向けて、売上拡大や顧客の囲い込み、生産管理体制に対応できることを目的とした次世代基幹システムの構築を行っております。

 また、従業員の多能工化による人員の適正化及び効率化を行い、営業利益の改善につなげました。なお、当事業年度末時点で稼働している大型オフセット印刷機は、前事業年度末と変わらず合計9台となっております。

 この結果、ネット印刷通信販売事業の売上高は9,175,447千円で前年同期比293,915千円の減収、セグメント利益は594,443千円で前年同期比325,426千円の減益となっております。

 

 (その他の事業)

 その他の事業の売上高は131,153千円で前年同期比29,163千円の減収、セグメント損失は11,617千円(前事業年度は38,256千円の損失)となっております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産は2,757,469千円となり、前事業年度末に比べ2,135千円増加いたしました。その主な要因は、原材料及び貯蔵品が177,597千円増加したこと等によるものであります。

 固定資産は4,409,460千円となり、前事業年度末に比べ247,386千円減少いたしました。その主な要因は、減価償却費の計上により機械及び装置が102,555千円減少したこと及び建物が68,563千円減少したこと並びにのれんが138,453千円減少したこと等によるものであります。

 この結果、当事業年度末における資産合計は7,166,930千円となり、前事業年度末に比べ245,250千円減少いたしました

 

 

 

 

 

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は2,246,289千円となり、前事業年度末に比べ214,258千円減少いたしました。その主な要因は、未払法人税等が110,259千円減少したこと等によるものであります。

 固定負債は1,136,190千円となり、前事業年度末に比べ182,975千円減少いたしました。その主な要因は、長期借

  入金が211,289千円減少したこと等によるものであります。

 この結果、当事業年度末における負債合計は3,382,479千円となり、前事業年度末に比べ397,234千円減少いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は3,784,451千円となり、前事業年度末に比べ151,984千円増加いたしました。その主な要因は、剰余金の配当により62,815千円減少したものの、その他有価証券評価差額金2,379千円増加、当期純利益を210,518千円計上したことによる増加等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ38,145千円減少し、1,001,063千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、639,136千円の収入(前事業年度は908,993千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が318,543千円と前事業年度に比べて339,488千円減少したものの、売上債権の減少額143,659千円、仕入債権の増加額45,632千円の増加要因があったこと等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、359,213千円の支出(前事業年度は372,472千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出318,417千円等の減少要因によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、318,067千円の支出(前事業年度は499,962千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出73,580千円及び長期借入金の返済による支出186,537千円並びに、剰余金の配当による支出57,906千円があったことによります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社は主としてWebサイトを通じた短納期での印刷物の受注生産を行っております。そのため、生産実績及

び受注実績は販売実績と重要な相違がないため記載を省略しております。

 

(販売実績)

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ネット印刷通信販売事業

9,175,447

96.9

その他

131,153

81.8

全社(共通)

合計

9,306,600

96.6

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ラクスル株式会社

2,714,804

28.2

2,257,421

24.3

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績の分析

 当社の経営成績は、原材料や光熱費の高騰が続く中で、商品の価格転嫁が進まなかったことや、大口得意先との取引内容の見直しを行ったことにより、減収減益となりました。

 経営成績の詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要の主なものは、材料の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、生産設備等によるものであります。

 運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。

 また、重要な設備の新設等に要する資金については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、目標とする経営指標として前期対比売上高成長率及び売上高営業利益率を掲げております。当事業年度の前期対比売上高成長率及び売上高営業利益率は、原材料や光熱費の高騰が続く中で、商品の価格転嫁が進まなかったことや、大口得意先との取引内容の見直しを行ったことにより、売上高成長率が△3.4%、売上高営業利益率は△35.1%となりました。今後もこの2つの指標、特に売上高営業利益率の向上を目標として経営を行うことにより、企業の成長性及び効率性の確保を図る所存であります。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績は、同業他社との競合、用紙の価格変動等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、新規顧客の獲得、内部統制システムの強化等によりこれらのリスク要因に対応して参ります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営者は、当社が今後さらなる成長と発展を遂げるためには、予測できない様々な変化に対して、柔軟性のある対応基盤の構築が必要であると認識しております。

 そのために、独自のマーケティングの確立、次世代基幹システムの構築、強固な財務基盤構築、成長し続けるための人材基盤構築、独自の生産自働化構想を展開していく方針であります。