リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。
(1)少子化によるリスク
当社の売上高のおよそ80%を占める学校アルバムは、少子化が続く中で、学生生徒数の減少、学校数の減少にみられるように市場規模が年々縮小、販売数量も減少し同業他社との競争は毎年激化しており、厳しい経営環境はしばらく続くと見込まれます。
この少子化によるリスクへの対応策といたしましては、市場規模が縮小していく状況におきましても、競合他社との競争優位性を確立することであります。そのため、短納期・高品質の学校アルバムや顧客ニーズに合わせた様々なタイプの学校アルバムを市場に提供できるよう、最新型高性能インクジェットプリンターなどの生産設備を備えております。また、アルバム原稿編集においてもAIを導入したソフトウェアの開発を進めており、この工程においても省力化をはかり生産効率化による競争力の強化を推進しています。
(2)情報メディアのデジタル化によるリスク
一般商業印刷部門におきましては、デジタル化の進展に伴い、ペーパーレス化が加速しますと、紙媒体需要が減少し、紙媒体印刷物の市場が縮小すると見込まれます。
この情報メディアのデジタル化によるリスクへの対応策といたしましては、当社のみならず印刷業界全体の構造転換が求められておりますが、当社は「印刷とITの融合」をメインテーマにインターネット関連事業に積極的に取り組んでおります。インターネットを介したデジタル写真アルバム、写真プリント販売、自費出版サービス、印刷通販等インターネット関連事業のラインナップを充実させ、売上増大をはかっていく所存です。
(3)固定資産の減損リスク
当社は、生産設備や土地をはじめとする固定資産を保有しています。事業環境等の変化により当該資産から得られる将来キャッシュ・フローが著しく減少した場合、減損損失が発生し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
この固定資産の減損リスクへの対応策といたしましては、学校アルバム部門におきましては、短納期・高品質の学校アルバムや顧客ニーズに合わせた様々なタイプの学校アルバムを市場に提供できるよう、競争力の強化を推進し、一般商業印刷部門におきましては、インターネットを介したデジタル写真アルバム、写真プリント販売、自費出版サービス、印刷通販等インターネット関連事業のラインナップを充実させ、さらに光沢があり屈折で浮き出て見えるホログラム印刷を学校アルバム、一般商業印刷部門に投入し、売上増大をはかり、業績の安定、収益力の向上に取り組んでおります。
(4)売上高の季節変動のリスク
当社の年間売上高の大半を占める学校アルバム部門は卒業時期の2月、3月に年間売上の6~7割が集中します。一方、固定費の発生が先行することにより、毎期第3四半期累計期間までは売上総損失となる傾向があります。当社はこの季節変動を前提として事業運営を行っておりますが、新型ウイルス等感染症の流行などによって繁忙期の製造や納品に大幅な遅延等が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)新型ウイルス等感染症拡大に伴うリスク
新型ウイルス等による感染症が再拡大し、経済活動に制限が加えられますと、印刷物の需要が大きく減少していくこととなり、一般商業印刷部門の業績に影響が出てまいります。
また、学校アルバム部門の売上時期のずれや一般商業印刷部門の売上減少により、売上代金の回収の遅れならびに減少から一過性として当社の資金が減少するリスクがあります。
一過性の資金減少のリスクへの対応策といたしましては、主要な金融機関と緊急な連携を取り不測の事態が生じても円滑に資金調達ができるよう、万全の対策を講じております。
(6)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は当事業年度において営業損失265百万円、経常損失261百万円、当期純損失653百万円を計上し、2期連続で営業損失、経常損失及び当期純損失となりました。さらに3期連続で営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなり、現金及び預金の残高から借入金残高を控除した手元資金は173百万円で、前期末と比較して241百万円減少しました。
当社売上高のおよそ80%を占める学校アルバム部門は、卒業シーズン前の2月、3月に売上が集中します。この売上債権の回収は3月~4月に集中するため、12月~1月に先行して発生する仕入債務の支払や諸費用の支払を手元資金及び銀行借入によって賄っておりますが、継続的な手元資金の減少により当事業年度末日後1年内の資金繰りに懸念があり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社では、当該状況を解消すべく次の施策を行うこととしております。
① 学校アルバム販売価格の適正化による収益の改善
② 営業費用の削減
③ 自律的な資金調達の実施
当該状況を解消するための対応策の詳細は、「第5 経理の状況 注記事項 の(継続企業の前提に関する事項)」をご参照ください。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要政策として位置付けており、印刷業界における急速な技術革新に対応した積極的な設備投資を行い新製品・新技術の開発、生産性の向上に努め会社の競争力を維持・強化するとともに、業績に裏付けられた成果の配分を行う方針であります。
当社は、年1回の期末配当を行うことを基本方針とし、この剰余金の配当の決定機関を株主総会としております。
ただし、当社は、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年10月31日を基準日として、中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
当事業年度の配当につきましては、業績や経営環境等を総合的に勘案し、無配といたしましたが、配当原資となる利益剰余金の増加に傾注し、復配を目指してまいります。
なお、当事業年度の内部留保資金につきましては、印刷設備等に有効投資していく所存であります。