2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,430名(単体) 54,371名(連結)
  • 平均年齢
    42.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.9年(単体)
  • 平均年収
    8,682,435円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    6.3%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人材戦略に関する基本方針等】

① 人材戦略(連結ベースの企業戦略と関連付けた人材戦略)

当社グループの人材戦略の考え方は、当社グループで働く全ての人財が自分でしかできない強みを磨き・追求し、自分でしかできないかたちで社会に貢献する事業を担うことによりエンゲージメントの向上を図るとともに、事業に必要な人財を確保(ストックとフロー)することで、グループ全体の競争力向上及び企業のありたい姿を実現することです。ありたい姿と現状とのギャップを埋める人材戦略を推進することで、社員一人ひとりが自身のキャリアアップを考え、そのためのスキルアップを会社が支援し自律的なキャリアを描ける仕組みを整備してまいります。

中期経営計画の重点テーマである、「事業ポートフォリオ変革」「経営基盤の強化」「ESGの取り組み深化」に呼応する人財戦略の重点テーマとして「①事業と人財の連動・キャリア自立(自律)の向上」「②人的側面における経営基盤の強化」「③多様な人財の活躍・生産性の向上」として設定し、人事施策に取り組んでまいりました。

当3テーマは、それぞれ望ましい姿(To-be)を設定し、現状とのギャップを埋める施策を講じてまいりました。

1.採用・育成・配置転換を通じたDX、SX、グローバル、新事業を中心とする成長事業のスケール化に必要な人財ポートフォリオの実現

2.当社及び事業会社3社における各種制度の統一、人事関連システムの統合によるグループ横断の人財最適配置・活用

3.Well-being・エンゲージメント向上を通じた従業員の能力発揮最大化

 

取り組み内容の詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本・多様性」 にて記述しております。

 

② 人材戦略を踏まえた従業員給与等の決定方針

当社は、「マルチステークホルダー方針」に掲げるとおり、創業以来掲げてきた「人間尊重」の理念のもと、持続的な成長と生産性の向上に取り組み、付加価値の最大化に注力いたします。その上で、企業の成長により産み出す収益や成果は、社会情勢や自社の状況を踏まえた適切な時期と方法で、従業員一人ひとりの働きがい向上を醸成する処遇改善(賃金の引上げ)をはじめ、賃金の引上げに限らず、働きやすさ・働きがい向上も含めた総合的な労働条件の向上、人財育成(教育訓練等)の拡充など、積極的に人材投資を行うことで、従業員への持続的な還元を目指します。企業成長の対価として従業員への適切な還元を行っていくことで、従業員のさらなる成長意欲が生まれ、また、次の企業成長につながる好循環を生み出すためにも、事業戦略と連動した人事諸施策を講じております。

具体的には、賃金の引上げについて、2014年から毎年実施してきたベースアップ、さらに2022年4月より改定した定年延長、TOPPAN版ジョブ型雇用制度の導入に伴う処遇改善などの労働条件向上策に取り組むとともに、人財育成(教育訓練等)について、AI・DXをはじめとした資格取得の推進や、専門的スキル学習の機会提供等を通じ、社会のデジタル化やグローバル化に対応する人財の育成・活用を図り、従業員の働きがい向上と企業の成長の実現を目指しております。

 

 

(2) 【従業員の状況】

① 連結会社の状況

(2026年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

情報コミュニケーション事業分野

30,124

[3,920]

生活・産業事業分野

19,336

[1,157]

エレクトロニクス事業分野

3,342

[12]

全社(共通)

1,569

[4]

合    計

54,371

[5,094]

 

(注) 1  従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であり、臨時従業員数は[  ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2  臨時従業員には、パートタイマーを含み、派遣社員を除いております。

3  全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない当社及び連結子会社の本社部門及び基礎研究部門等に所属している就業人員数であります。

 

② 提出会社の状況

(2026年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の対前
事業年度増減率(%)

1,430

[3]

42.8

15.9

8,682,435

6.3

 

(注) 1  従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であり、臨時従業員数は[  ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3  提出会社の従業員数は全てセグメントの「全社(共通)」に含まれるため、合計人数のみを記載しております。

4  前連結会計年度末に比べ従業員数が293名減少しておりますが、主な理由は組織運営を見直したことにより、出向者が減少したことによるものです。

 

③ 最大人員会社の状況

1) 当事業年度における従業員数が最も多い会社

TOPPAN㈱

(2026年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の対前
事業年度増減率(%)

7,896 [137]

42.9

14.7

7,797,990

6.4

 

(注) 1  従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であり、臨時従業員数は[  ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

2) 上記1)の会社の次に従業員数が多い会社

TOPPANコミュニケーションプロダクツ㈱

(2026年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

平均年間給与の対前
事業年度増減率(%)

4,521 [1,073]

47.4

22.8

5,983,081

1.4

 

(注) 1  従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であり、臨時従業員数は[  ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

 

 

④ 労働組合の状況

主要な労働組合として、TOPPAN労働組合があり、2026年3月31日現在における組合員数は13,508名であります。TOPPAN労働組合はTOPPAN株式会社(組合員数7,382名)、TOPPANコミュニケーションプロダクツ株式会社(同1,834名)、TOPPANパッケージプロダクツ株式会社(同1,840名)、TOPPANエレクトロニクスプロダクツ株式会社(同794名)、TOPPANグラフィックコミュニケーションズ株式会社(同1,147名)、TOPPANプラスチック株式会社(同199名)、TOPPAN建装プロダクツ株式会社(同256名)、TOPPANコスモ株式会社(同56名)のそれぞれの組合員をその構成員としております。なお、当社の従業員は出向者のみのため、出向元の組合員数に含んでおります。

現在の労働協約は、2024年10月1日に締結したものであり、その主旨に従って労働条件その他に関する労使の交渉は全て経営協議会を通じて行われ、労使一体となって業績向上に邁進しております。

その他の労働組合として、TOPPANエッジ株式会社にトッパン・フォームズフレンドシップユニオン本社(2026年3月31日現在における同社組合員数1,164名)、TOPPANクロレ株式会社にTOPPANクロレ労働組合(同645名)などがあり、いずれも安定した労使関係を築いております。

TOPPAN労働組合、トッパン・フォームズフレンドシップユニオン及びTOPPANクロレ労働組合は、印刷情報メディア産業労働組合連合会(印刷労連)に、印刷労連は、日本労働組合総連合会に加盟しております。なお、TOPPANエッジ株式会社は2026年4月1日をもってTOPPAN株式会社を存続会社とした吸収合併により消滅しておりますが、吸収合併以降も当面は、TOPPAN株式会社と、TOPPAN労働組合及びトッパン・フォームズフレンドシップユニオンとの労使関係が継続する予定です。その他、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

⑤ 役員・従業員株式所有制度の内容

当社は使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度を導入しております。当該役員・従業員株式所有制度の内容について、「1 株式等の状況 (8)役員・従業員株式所有制度の内容」に記載しております。

 

⑥ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

1) 提出会社

管理的地位にある労働者

に占める

女性労働者の割合※1

男性労働者
の育児休業
取得率※2

労働者の男女の賃金の額の差異

(女性平均賃金/男性平均賃金)※1

補足説明

全労働者

うち
正規雇用
労働者

うち
パート・
有期労働者

全正規雇用
労働者

うち
管理的地位にある労働者

17.7

%

100.0

%

77.8

%

77.2

%

91.4

%

59.1

%

給与体系は同一の体系を適用しております。全労働者の男女の賃金の額の差異は年齢構成、等級構成、女性従業員に短時間勤務者が多いこと、管理的地位にある労働者比率の差異等によります。

 

(注) 1 ※1:「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。

2 ※2:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

 

2) 主要な連結子会社

名称

管理的地位にある労働者

に占める

女性労働者

の割合※1

男性労働者
の育児休業
取得率※2

労働者の男女の賃金の額の差異

(女性平均賃金/男性平均賃金)※1※3

全労働者

うち
正規雇用
労働者

うち
パート・
有期労働者

全正規雇用
労働者

うち

管理的地位にある労働者

TOPPAN㈱

8.3

%

94.3

%

67.3

%

67.1

%

90.6

%

54.1

%

TOPPANエッジ㈱

10.5

%

71.4

%

32.9

%

70.4

%

94.5

%

45.6

%

TOPPANデジタル㈱

5.0

%

120.0

%

71.3

%

71.8

%

94.8

%

57.8

%

TOPPANクロレ㈱

4.8

%

100.0

%

66.5

%

72.7

%

94.6

%

75.2

%

東京書籍㈱

16.8

%

71.4

%

73.6

%

80.5

%

91.4

%

52.3

%

TOPPANコスモ㈱

16.7

%

-

 

72.7

%

70.9

%

84.1

%

50.9

%

TOPPANインフォメディア㈱

4.8

%

83.3

%

68.7

%

70.0

%

89.1

%

58.6

%

タマポリ㈱

2.3

%

33.3

%

65.5

%

69.6

%

90.5

%

83.1

%

㈱フレーベル館

18.6

%

60.0

%

40.0

%

48.1

%

81.6

%

17.6

%

㈱トータルメディア開発
研究所

8.6

%

100.0

%

67.6

%

78.0

%

90.9

%

92.1

%

㈱BookLive

17.6

%

100.0

%

69.8

%

69.6

%

78.4

%

112.9

%

TOPPAN Next Pte. Ltd.

35.7

%

-

 

57.3

%

57.3

%

68.0

%

-

 

TOPPAN America Inc.

28.6

%

-

 

71.1

%

71.1

%

87.4

%

-

 

INTERPRINT GmbH

22.7

%

100.0

%

93.2

%

101.9

%

100.5

%

108.5

%

Toppan Speciality Films Private Limited

5.6

%

0.0

%

126.8

%

133.5

%

84.3

%

72.4

%

TOPPANロジスティクス㈱

0.0

%

100.0

%

75.7

%

70.8

%

-

 

99.2

%

TOPPANコミュニケーション
プロダクツ㈱

5.1

%

66.7

%

47.1

%

58.9

%

89.9

%

65.1

%

TOPPANグラフィック
コミュニケーションズ㈱

3.8

%

80.0

%

67.3

%

72.9

%

90.3

%

78.5

%

東京都チャレンジドプラス
TOPPAN㈱

33.3

%

0.0

%

74.6

%

88.5

%

40.7

%

97.6

%

TOPPANパッケージ
プロダクツ㈱

1.0

%

68.8

%

57.5

%

59.3

%

87.7

%

69.9

%

TOPPANプラスチック㈱

0.0

%

66.7

%

50.8

%

49.9

%

-

 

100.6

%

TOPPAN建装プロダクツ㈱

0.0

%

100.0

%

63.7

%

67.5

%

-

 

66.8

%

Toppan Interamerica, Inc.

20.0

%

0.0

%

89.4

%

89.4

%

70.3

%

-

 

Toppan Packaging Czech s.r.o.

28.6

%

-

 

113.9

%

114.0

%

121.5

%

-

 

TOPPANエレクトロニクス
プロダクツ㈱

0.0

%

87.1

%

64.4

%

64.1

%

-

 

75.5

%

 

 

(注) 1 ※1:「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。海外現地法人に関しては、上記基準に準じた方法にて算出しております。

2 ※2:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。海外現地法人に関しては、上記基準に準じた方法にて算出しております。対象となる男性従業員がいない場合は「-」を記載しております。

3 ※3:海外現地法人に関しては、海外現地法人にて算出された平均賃金を2026年3月31日時点の為替レートにて日本円に換算した上で算出しております。

4 「労働者の男女の賃金の額の差異」は、各社の事業年度において集計したものであり、当社の事業年度と異なる場合があります。「管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合」及び「男性労働者の育児休業取得率」については、当社の事業年度と合わせて集計をしております。

5 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報 (2)管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異」に記載しております。

 

3) 連結会社

名称

管理的地位にある労働者に

占める

女性労働者
の割合※1

男性労働者
の育児休業
取得率※2

労働者の男女の賃金の額の差異

(女性平均賃金/男性平均賃金)※1※3

全労働者

うち
正規雇用
労働者

うち
パート・
有期労働者

全正規雇用
労働者

うち

管理的地位にある労働者

当社及び国内連結子会社※4

9.0%

84.3%

57.9%

73.6%

92.2%

51.4%

アジア地域連結子会社※5

29.3%

74.7%

91.0%

92.3%

89.1%

117.7%

北米地域連結子会社※5

27.6%

42.9%

87.2%

88.1%

88.1%

63.2%

欧州地域連結子会社※5

34.4%

96.4%

94.5%

95.0%

88.8%

107.3%

当社及び連結子会社※5

15.3%

81.6%

66.4%

76.7%

99.2%

62.7%

 

(注) 1 ※1:「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しております。海外現地法人に関しては、上記基準に照らし、基準に準じた方法にて算出しております。

2 ※2:「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。海外現地法人に関しては、上記基準に照らし、基準に準じた方法にて算出しております。

3 ※3:海外現地法人に関しては、海外現地法人にて算出された平均賃金を2026年3月31日時点の為替レートにて日本円に換算した上で算出しております。

4 「労働者の男女の賃金の額の差異」は、各社の事業年度において集計したものであり、当社の事業年度と異なる場合があります。「管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合」及び「男性労働者の育児休業取得率」については、当社の事業年度と合わせて集計をしております。

5 ※4:当社及び国内連結子会社の集計は、加重平均にて集計を行い、算出しております。

6 ※5:アジア地域、北米地域、欧州地域連結子会社、当社及び連結子会社の集計は、加重平均にて集計を行い、算出しております。「労働者の男女の賃金の額の差異」について、海外現地法人にて算出された平均賃金を2026年3月31日時点の為替レートにて、日本円に換算した上で加重平均を行い、算出しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。実際の結果は、社会動向の変化等の影響により異なる可能性があります。

 

当社グループは1900年の創業以来、「印刷」を原点とするあらゆる技術・ノウハウを活用した製品・サービスの提供を通じてステークホルダーであるお客さま、従業員、取引先、地域社会、株主・投資家、行政・自治体等、広く社会に関わり、社会課題の解決に寄与する事業活動を行ってまいりました。近年、気候変動や人権・地政学リスクの高まりなど将来予測が困難な環境において、当社グループは社会に与えるインパクトを認識し、事業を通じた社会課題解決と企業価値向上を両立するサステナビリティ経営を推進しております。

2019年にはグローバルな社会課題に積極的に対応するため、SDGsへの貢献を見据えた事業活動と全社活動でのマテリアリティ(重要課題)を定義して以降、「TOPPAN Business Action for SDGs」における事業活動マテリアリティ注力分野の設定や、目標値の設定など、段階的に取り組みを深めてまいりました。

さらに、2025年度までの中期経営計画では「Digital & Sustainable Transformation」のキーコンセプトのもと、事業ポートフォリオを変革し、成長分野・重点分野にリソースを集中させ、グループシナジーを発揮して価値創造と社会課題解決に向けてより一体感をもって取り組んでまいりました。

「中期経営計画2028」では、持続可能な成長及び中長期的な価値創造を実現するため、企業として優先的に取り組むべき経営課題としてマテリアリティを再策定しました。具体的には、社会環境・外部環境の変化とTOPPANグループの目指す姿を見据え、「事業を通じた価値提供による社会課題の解決」と「経営基盤の強化」の2つの観点で整理した9つのマテリアリティを設定しております。

今後は、新たなマテリアリティに基づく取り組みを着実に推進し、新たな価値創造により、社会課題の解決と企業価値の向上を両立させるべく、グループ一体となって取り組んでまいります。

 

(1) サステナビリティ共通

①ガバナンス

当社グループはサステナビリティの課題に関する取り組みの推進を加速させるため、TOPPANホールディングス株式会社の代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会(以下「サステナ推進委員会」という。)を設置しております。サステナ推進委員会は、コーポレートガバナンス体制の中に位置づけられ、グループ全体のサステナビリティ推進の役割を担っております。

 

1) 取締役会及びサステナビリティ推進委員会
 当社グループの取締役会は、サステナ推進委員会に当社グループのサステナビリティ課題についての検討・審議を担当させております。サステナ推進委員会で検討・審議された具体的な取り組み施策は、経営会議を通じて取締役会に報告され、取締役会においてサステナビリティ経営についての総合的な意思決定を行っております。また、取締役会では、サステナビリティの取り組み施策、目標設定及び進捗について、継続的に議論・モニタリング・監督を行っております。

 
2) TOPPANグループESG経営推進会議
 サステナ推進委員会内に、当社グループ企業の代表取締役社長及び取締役をメンバーとするTOPPANグループESG経営推進会議を設置しており、当社グループ内のESG、SDGsテーマに関する議論を拡充させ、課題を共有し、解決に向け連携して取り組んでおります。

 
3) SDGs推進プロジェクト及びコーポレートESGプロジェクト
 サステナ推進委員会の下部には、部門横断で編成されたSDGs推進プロジェクトとコーポレートESGプロジェクトを設定し、各プロジェクトが連携しながら、個別テーマの対応・推進を担っております。SDGs推進プロジェクトでは主に事業活動におけるサステナビリティの取り組みを推進し、事業活動マテリアリティの「環境」「まち」「ひと」各テーマの注力分野「TOPPAN Business Action for SDGs」の活動推進と進捗確認を担っております。コーポレートESGプロジェクトでは、主に自社活動におけるサステナビリティ課題を担当し、地球環境ワーキンググループ(以下、ワーキンググループ:「WG」という。)、人的資本WG、SCM(サプライチェーンマネジメント)WGが編成され、各テーマのプロジェクトを推進しております。

 

4) エグゼクティブ・サステナビリティ推進委員会
 中長期的なサステナビリティ課題について外部有識者と当社取締役が意見交換を行う場として、エグゼクティブ・サステナビリティ推進委員会を設置しております。重要な課題についてはサステナ推進委員会と連携し検討しております。

 

5) コーポレートレポート編集委員会
 当社グループのサステナビリティ推進を含めた価値創造の考え方・取り組みをステークホルダーに分かりやすく伝えるため、各種情報開示レポート(有価証券報告書、統合レポート、サステナビリティレポート等)の開示内容を企画・編集するコーポレートレポート編集委員会を設置しております。本委員会は情報開示をもとにしたステークホルダーとの対話と、その内容を社内に共有する役割も担います。

 

◇TOPPANグループ サステナビリティ推進体制


※2026年3月末時点

 

②戦略

当社グループは、グループ理念「TOPPAN's Purpose & Values」のもと、当期までの中期経営計画では「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、当社グループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX」と、事業を通じた社会課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX」により、ワールドワイドで社会課題を解決するリーディングカンパニーとして企業価値向上とサステナブルな社会の実現を目指してまいりました。その一環として、「事業ポートフォリオ変革」をし、「経営基盤強化」と「ESGの取り組み深化」を推進いたしました。ESGの取り組み深化の観点では、2030年までの長期視点で、事業活動マテリアリティ「環境」「まち」「ひと」の3つのテーマ及びその注力分野「TOPPAN Business Action for SDGs」と、全社活動マテリアリティ「環境配慮・持続可能な生産」「従業員の健康・働きがい」を定め、それぞれ中期経営計画の事業ポートフォリオ変革と連動して取り組みを進めてまいりました。

これらの一連の取り組みを、「気候変動・自然資本」「人的資本・多様性」「知的財産」「情報セキュリティ」「人権」「サプライチェーン」というサステナビリティの重要テーマと連携させ、グループ全体で推進しております。

 

2026年4月には「中期経営計画2028」及びキーコンセプト「True Value Transformation」を新たに定め、キーコンセプト実現に向けマテリアリティについても再策定いたしました。本プロセスにおいては、当社の事業活動が社会及び環境に与える影響(インパクト)と、これらの要素が当社の財務に与えるリスク及び機会の双方を評価する「ダブルマテリアリティ」の視点を取り入れ、重要課題(マテリアリティ)の特定を行っております。

今後は、新たに策定したマテリアリティに基づき、ガバナンス・戦略・KPIとの一体的な運用を図りながら、事業活動を推進し、持続的な企業価値の向上と社会課題の解決の両立を実現するとともに、ステークホルダーに対する透明性の高い情報開示と説明責任の強化に努めてまいります。

 

◇新たに策定したマテリアリティ


 

③リスク管理

当社グループのサステナビリティ関連のリスク管理は、サステナ推進委員会とリスクマネジメント推進委員会(2026年4月にリスク管理推進委員会より改称)が密接に連携して推進する総合的なリスク管理に組み込まれております。

当社グループは、グループが関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」について、外部環境の変化や新たに高まったリスクについて中長期視点での顕在化の可能性、発生頻度やインパクトの強弱等を踏まえて、毎年見直し、選定しております。選定においては、気候変動に伴う環境問題、デジタル化の進展によるサイバー攻撃の巧妙化、強制労働をはじめとする人権課題等様々なグローバルリスクへの対応も含め、サステナビリティ経営推進の観点からも検討されております。選定プロセスについては、リスクマネジメント統括部門となるGRC本部が各リスクマネジメント責任部門と協議の上見直しを行い、取締役会に報告され、承認を得ております。

当社グループのリスクマネジメント(評価、対応計画の策定及び進捗管理)については、第一線と第二線が連携する体制のもと行われておりますが、サステナビリティ関連リスクについてはサステナ推進委員会及び下部のWG・担当本部がその役割を担い、その対応状況はリスクマネジメント推進委員会にも報告いたします。

リスクマネジメント推進委員会は、サステナビリティリスクを含むグループ全体で取り組むべきリスクに関する課題を明確にした上で、内在するリスクや対策を討議・モニタリングいたします。取締役会メンバー全員で構成されるリスクマネジメント委員会は、リスクマネジメント推進委員会に対するけん制機能を有するほか、独立した位置づけとして取締役会と連携を取り、取締役会は総合的な意思決定を行っております。(リスクマネジメント詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」参照)

 

 

④指標と目標

「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトとした事業ポートフォリオ変革による持続可能な社会の実現と企業価値の向上を評価するため、成長事業「DX(Erhoeht-X®)」「国内SX・海外生活系」「新事業」の営業利益構成及びSDGsに対する事業貢献を定めた「TOPPAN Business Action for SDGs」にて「環境」「まち」「ひと」の3つのテーマに区分した各成長事業と連携する目標値を設定し、これらを指標としております。

「環境」における「サステナブルパッケージの売上比率」は生活系事業のエコプロダクツ・ソリューションの拡大の指標として、「まち」における「生活を豊かにするサービス数(メタバースやweb3時代を見据えたプラットフォーム活用)」はDX事業における安全なパーソナルデータ関連ビジネスの指標として、「ひと」における「健康に貢献するサービス数」は新事業における健康寿命延伸関連ビジネスの指標としてそれぞれ位置づけております。

 

◇成長事業と連携する「TOPPAN Business Action for SDGs」


 

今後は、「中期経営計画2028」に沿った新たなマテリアリティのKPI項目に取り組んでまいります。

 

(2) 気候変動・自然資本

当社グループはPurposeを「人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」としております。地球とあらゆる生物とが織りなす彩りに満ちた世界、ふれあい豊かな暮らしのために使命を果たすべく、お客さまをはじめ、社会やパートナー企業、従業員、地域コミュニティなど、幅広いステークホルダーと連携し、お客さまのニーズに応える製品やサービスの提供だけでなく、社会課題への取り組みや環境保全活動を通じ、持続可能な未来に貢献しております。

 

(環境方針の制定・環境課題の特定)

1992年策定の「TOPPANグループ地球環境宣言」に掲げた「持続可能な社会の実現」を具体的に進めるため、2024年に「TOPPANグループ環境方針」を制定いたしました。取り組むべき環境課題として「脱炭素社会への貢献」「生物多様性の保全」「資源循環型社会への貢献」「水の最適利用」の4要素を示しており、本方針に基づき、環境課題の解決を通じて企業価値の向上と持続可能な社会の実現に努めております。

 

(TCFD/TNFD提言に沿った開示)

当社グループは、気候変動が社会全体及びグループ全体に与える影響の大きさを認識し、サステナビリティ経営における重要課題の1つとしております。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に対し2019年に賛同を表明し、継続して財務インパクト等の開示を行っております。一方、気候変動と並び自然関連課題についても経営への影響の重大性を認識し、2023年には「TOPPANグループ環境ビジョン2050」に「生物多様性の保全」を追加いたしました。2024年からはTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が推奨する統合的なアプローチ「LEAPアプローチ」による分析結果を段階的に開示しております。気候変動対策と生物多様性の保全は相互に関連する目標であり、双方の視点を踏まえ、相乗効果とトレードオフに配慮した対応策を検討しております。

 

 

(全社活動・事業活動両面のアプローチ)

事業基盤を支える「全社活動マテリアリティ」と、事業を通じて取り組むべき「事業活動マテリアリティ」それぞれで気候関連課題と環境課題を選定しております。事業基盤とビジネスの両面から、気候関連課題と生物多様性を含む自然関連課題への取り組みを進めております。

 

①ガバナンス

1) 依存・インパクト、リスク及び機会に関する取締役会の監督について

a 組織的な取り組みと取締役会の責任

 当社グループは、当期までの中期経営計画において「ESGの取り組み深化」を設定し、ガバナンスを強化してまいりました。取締役会は、気候関連課題及び自然関連課題を経営戦略における重要課題の1つと認識し、気候変動等のリスク・機会は事業成長のための成長投資を柱として考慮しております。気候変動等を含むESG課題についての具体的な取り組み施策については、サステナ推進委員会において検討・審議された活動内容について経営会議を通じて取締役会が報告を受けており、取り組みの目標設定及び進捗を議論・モニタリング・監督しております。

 

b 取締役会が報告を受けるプロセスと頻度

 取締役会は毎年4月に「TOPPANグループ環境ビジョン2050」達成に向けて設定された「TOPPANグループ2030年中長期環境目標」における「温室効果ガス排出量」「生物多様性の保全」「資源循環型社会への貢献」「水の最適利用」の前年度実績及び当該年度の単年度目標について報告を受け、承認を行っております。また、気候関連課題についての重要なリスク・機会と取り組みの進捗についての評価や状況についての報告を受けるとともに、気候関連の課題を考慮し、経営戦略の策定などについて総合的な意思決定を行っております。さらに、気候関連課題に関する新しい規制や制度などが公表された場合は、半期ごとにサステナ推進委員会を通じて報告を受け、対応について議論・決議を行っております。今後は、自然関連課題においても気候関連課題と同様の対応を行ってまいります。

 

2) 依存・インパクト、リスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割

 取締役会は、サステナ推進委員会より経営会議を通じて、気候関連課題の評価や状況、目標管理についての報告を受けるとともに、気候関連の課題を考慮し、経営戦略の策定などについて総合的な意思決定を行っております。

 自然関連課題についても、取締役会は、サステナ推進委員会に担当させ、その活動を監督しております。委員会下部の地球環境WGにおいて、2023年10月よりTNFDの取り組みを主導しております。また、将来的なサステナビリティ課題について意見交換を行う場として、エグゼクティブ・サステナビリティ推進委員会を設置しております。気候関連課題、自然関連課題を含むESG課題について、外部有識者と取締役が定期的に議論を行い、重要な課題についてはサステナ推進委員会と連携して検討しております。

 

 



 

※SBT認定を受けた温室効果ガス削減目標

 当社は、当社グループのバリューチェーン全体での温室効果ガス排出削減目標について、国際的なイニシアチブ「SBTi(Science Based Targets initiatives)」から「ネットゼロ目標」としての認定を取得しております。

 

②戦略

◇当社グループの環境価値相関図

当社グループの事業活動における自然資本との依存・インパクトについて、以下のとおり整理しております。

主力事業の1つであるコミュニケーションメディアやパッケージの製造において、紙への依存度が高く、原材料となる森林資源(木材)への依存が高いと想定しております。また、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスの各事業における地下水の使用が多く、依存・インパクトともに高いと想定しております。さらに、製造過程のみならず、使用後のプラスチック包装資材、販促物等の河川・海洋等自然への流出による生物多様性へのインパクトも想定しております。事業全般において、気候変動対策と企業の持続可能性との両立は重要な課題であり、温室効果ガス(GHG)排出についても重要なインパクトと考えております。

 


 

 

◇リスク・機会一覧

気候変動については、シナリオ分析において重要な気候変動の物理的リスクと移行リスクを認識し、財務インパクトの評価及び対応策の検討を行っております。自然関連課題については、今後シナリオ分析と、外部環境変化の把握や有識者との対話を踏まえたリスク・機会特定の実施を想定しております。

 


 

※詳細は、当社ウェブサイト(https://www.holdings.toppan.com/ja/sustainability/environment/tcfdtnfd.html)を参照。

 

 

1) 気候変動に関するシナリオ分析、ビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

a 組織が識別した、短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会

ⅰ) 組織に重要な財務的影響を与えるリスク及び機会を特定するプロセス

 シナリオ分析実施はサステナ推進委員会下部の地球環境WGが担当しております。本WGに関連部門及びグループ会社が参画し、気候変動に関する重要なリスクと機会の洗い出し、財務面のインパクト評価、その評価に基づいた対応策の検討を行っております。

 シナリオ分析の検討は、各グループ会社の中期計画と連動させ、より具体的なビジネスを想定した財務インパクトの評価と対応策の検討を行っております。シナリオ分析は、日本国内拠点及び海外拠点を対象に、研究開発から調達、生産、製品供給までのバリューチェーンに対して、1.5℃シナリオ、4℃シナリオで、2050年までの長期想定で考察しております。

 

ⅱ) 財務影響の大きい気候関連課題

 1.5℃シナリオでは、炭素税導入や購入エネルギー価格上昇に伴うコスト増のリスクがある一方、消費者選好の変化による低炭素排出製品・サービスの売上増や企業価値向上の機会があることを再確認しております。

 4℃シナリオでは、気温上昇による激甚化する風水害による国内主要工場の浸水や操業停止及びグローバルサプライチェーンの断絶をリスクとして確認しておりますが、長期想定の代替生産計画の継続検討、浸水防止技術の定期的な情報収集・施策化などの対応策を進めております。

 

b 気候関連のリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

ⅰ) 組織のビジネスと戦略に対する影響の検討

 「TOPPANグループ環境ビジョン2050」が目指すネットゼロ社会実現へのさらなる貢献に向け、当期までの中期経営計画において「DX」と「SX」を柱とした事業ポートフォリオ変革を進めております。「DX」「SX」関連の成長領域でのM&Aなどの事業投資や導入期・成長事業設備投資を積極的に実施いたしました。

 

ⅱ) 複数の気候関連シナリオに基づく検討を踏まえた組織の戦略のレジリエンス

 2024年度から実施しているシナリオ分析の実施にあたっては、「国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)World Energy Outlook 2024(以下「IEA WEO2024」という。)のNZE(Net Zero Emissions by 2050)シナリオ」「IEA WEO2024のSTEPS(Stated Policies)」「気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)第6次評価報告書における共有社会経済経路(SSP)シナリオと放射強制力を組み合わせたシナリオのSSP1-1.9、SSP1-2.6及びSSP5-8.5」等の複数シナリオを利用し、定性的・定量的の両方で分析を行っております。対象期間は2030年から2050年としております。

 

◇シナリオタイプ


 

c 移行リスク及び物理リスクへの適応計画

 シナリオ分析の結果、グループの移行リスクとして、世界全体におけるカーボンニュートラル実現に向けたカーボンプライシング制度の規制拡大を背景に、運用コスト負担の増加などが認識されました。また、グループが認識する物理的リスクでは、生産事業所の洪水などの浸水被害による生産停止や復旧費用の増加等が挙げられます。その対応として、再生可能エネルギーの段階的な導入等によるScope1+2及びScope3での温室効果ガス排出量削減、防災対策の強化などに取り組んでまいります。Scope1+2及びScope3の温室効果ガス排出量削減については、2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画を策定しております。将来を見据えた長期的視野での低炭素投資や対策の意思決定にICP(インターナルカーボンプライシング)制度を活用し、さらなる省エネ・再エネ設備の導入を推進してまいります。

 

 当社グループの機会として、このような変化に対し、サーキュラーエコノミーの市場ニーズを先取りし、モノマテ・透明バリア・リサイクル材利用の「ライフサイクル設計」によるSXパッケージのグローバルスタンダードモデルを提供することを進めております 。

 また、既存のFC-BGAに加え、次世代FC-BGA(ガラスコア)、インターポーザ―などの最先端技術を磨き続けることで、ハイエンド省力化につながるAI市場における独自の事業立地で半導体パッケージソリューションを提供することで充実化を図っております。

 当社グループは今後も、継続的にシナリオ分析を実施することでその精度を高め、経営戦略への統合をさらに推し進め、不確実な将来に向けたレジリエンスを高めてまいります。

 

◇2050年カーボンニュートラルに向けた移行計画

 ・Scope1+2


 

 

・Scope3


 

 

◇ICP制度概要


※ICP(Internal Carbon Pricing):低炭素投資・対策推進に向け企業内部で独自に設定、使用する炭素価格のこと。CO2排出量1トン当たり費用を自社の基準で仮想的に費用換算し、気候変動リスクを定量化。投資判断の基準の1つとすることで、脱炭素社会に向け、低炭素設備・省エネ投資を加速させることが可能。

 

③リスク管理

1) 組織が気候・自然関連リスクを識別・評価するプロセス

 気候関連リスクの識別・評価は、地球環境WGが担当しております。当社グループの事業活動及び提供する製品、サービスに対する現行規制、新規規制、技術、法制、市場、評判、急激または緩慢な物理変化といったリスクタイプから識別しております。それらの識別されたリスクタイプから想定されるリスクと機会を、研究開発から調達・生産・製品供給までの上流・下流を含むバリューチェーン全体において抽出し、短期(1年以内)・中期(2~3年)・長期(4~30年以上)の時間軸で評価しております。

 また、自然関連の依存・インパクト、リスク・機会の識別・評価についても地球環境WGが担当し、今後、気候関連リスクと同様に識別・評価、さらに財務インパクトや対策の精査を進めてまいります。

 

2) 自然関連課題への取り組み(TNFD・LEAPアプローチによる評価)

 当社グループは、TNFDが推奨する「LEAPアプローチ」に基づき、自然資本への依存とインパクトの評価を深化させております。

・Locate(接点の発見):グローバルな生産拠点及び主要なサプライヤーの所在地域を特定し、ENCORE等の評価ツールを用いて、水ストレスが高い地域や生物多様性の重要度が高い地域との接点を分析いたしました。その結果、特に日本国内、中国、東南アジアの拠点が、水資源や森林生態系と密接な接点を持つことを特定しております。

・Evaluate(依存とインパクトの診断):事業活動において「水(取水・排水)」及び「木材資源(紙・パルプ)」への依存度が極めて高いことを特定いたしました。インパクトの側面では、製造工程における化学物質の排出や、原材料調達を通じた土地利用の変化が、地域の生態系に負の影響を及ぼすリスクを認識しております。

・Assess(リスクと機会の測定):森林資源の持続可能性に関するリスクに対し、用紙原料の合法性確認(2025年度実績:100%)及びFSC/PEFC等の森林認証材の調達を強化しております。また、水ストレス地域においては、排水のクローズドシステムの導入による取水量削減目標を設定しております。

・Prepare(対応と報告):特定されたリスクを「SX」の事業機会に転換するため、バイオマス素材の活用やリサイクル設計の徹底を進めております。また、地域の生物多様性保全活動への参画を通じて、自然再興(ネイチャーポジティブ)への貢献を目指しております。

 

3) 総合的リスク管理における気候・自然関連リスクを識別・評価・管理するプロセスの位置づけ

 当社グループの気候変動を含むサステナビリティ課題についてのリスク管理は、取締役会の管理のもと、サステナ推進委員会、リスクマネジメント委員会、リスクマネジメント推進委員会が密接に連携して推進する総合的なリスク管理に組み込まれております。

 当社グループは、グループが関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」について、外部環境の変化や新たに高まったリスクについて中長期視点での顕在化の可能性、発生頻度やインパクトの強弱等を踏まえて、毎年見直し、選定しております。選定においては、気候変動、自然資本に係る環境課題への対応を含むサステナビリティ経営推進の観点からも十分に検討されております。選定プロセスについては、リスクマネジメント統括部門となるGRC本部が各リスクマネジメント責任部門と協議の上見直しを行い、取締役に報告され、承認を得ております。

 当社グループのリスク管理(評価、対応計画の策定及び進捗管理)については、第一線と第二線が連携する体制のもと行われておりますが、環境関連リスク、自然関連リスクの管理についてサステナ推進委員会及び下部の地球環境WGがその役割を担い、その対応状況はリスクマネジメント推進委員会にも報告いたします。

 リスクマネジメント推進委員会は、サステナビリティリスクを含むグループ全体で取り組むべきリスクに関する課題を明確にした上で、内在するリスクや対策を討議・モニタリングいたします。取締役会メンバー全員で構成されるリスクマネジメント委員会は、リスクマネジメント推進委員会に対するけん制機能を有するほか、独立した位置づけとして取締役会と連携を取り、取締役会は総合的な意思決定を行っております。

 

④指標と目標

1) 戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標

 気候関連リスクにおいては、「Scope1+2及びScope3排出量」「使用電力における再生可能エネルギーの比率」を指標に設定しております。気候関連機会においては、気候変動を含む社会課題への事業貢献の指標として、中期経営計画における「成長事業(DX/SX領域を含む)の営業利益構成比率」「TOPPAN Business Action for SDGs」における「温室効果ガス削減に貢献するサービス数」を設定しております。

 取締役の業績連動型の賞与については、財務指標に加えて温室効果ガス排出量削減目標も評価指標に組み入れられており、気候関連の考慮事項への経営者の役割を明確にしております。

 

2) 組織が気候関連リスク及び機会を管理する目標、目標に対する実績

 「TOPPANグループ環境ビジョン2050」を2023年に拡充し、新たなテーマとして「Scope3での温室効果ガス排出実質ゼロ」を掲げ、環境課題への取り組みをサプライチェーン全体や地域社会との協働で進めていくことを宣言いたしました。また、本ビジョンの更新とともに、SDGs目標年に合わせ設定している「TOPPANグループ2030年度中長期環境目標」について、Scope1+2、Scope3それぞれの温室効果ガス排出削減目標を世界共通目標となる「1.5℃水準」に見直し、2050年に向けたネットゼロ目標、2030年に向けた「1.5℃水準」目標でSBT認定を取得いたしました。

 今後は、「中期経営計画2028」に沿った新たなマテリアリティに基づき、気候変動・自然資本への取り組みとして、KPI項目を設定してまいります。

 

 

◇TOPPANグループの気候関連課題における指標・目標及び2025年度実績


※1 Scope1+2の再エネ比率2025年度実績値は、集計中のため未開示。

※2 Scope3排出量の2025年度実績値は、集計中のため未開示。

※3 ※1及び※2の2025年度実績値については、2026年9月末発行予定の「サステナビリティデータブック2026」等で公表予定。

サステナビリティデータブック:https://www.holdings.toppan.com/ja/sustainability/sustainability-report.html

 (サステナビリティレポートは2026年9月以降、サステナビリティデータブックへ名称変更し、webサイト上での開示中心に変更いたします。)

また、自然関連の指標・目標についても、「サステナビリティデータブック2026」で公表予定。

 

(3) 人的資本・多様性

当社グループは、「技術ベンチャー企業」として創業して以来、世の中の様々な課題解決を通じ、社会的価値創造に挑戦してまいりました。すなわち、「イノベーション創出」が当社グループの創業以来のDNAであると捉えております。

そうした背景のもと、当社グループでは、「人財」を、会社の価値を生み出す貴重な財産、すなわち「人的資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで生まれる「人によるイノベーション」が事業成長の源泉と考え、人財を大切にし、活かす経営=「人間尊重の経営」を貫いてまいりました。

この「人間尊重」の理念のもと、従業員と企業が共に成長できる職場環境、組織風土を醸成し、社会的価値創造を実現する「組織・人財」づくりを目指しております。そして、多様な人財が挑戦するカルチャーのもと、心理的安全性を持ちながら社会をWell-beingにする製品・サービスを提供することが、当社グループの社会的価値創造実現のかたちだと考えております。

その社会的価値創造が社会からの評価につながり、その対価として従業員への適切な還元を行っていくことで、従業員の社会への貢献実感とさらなる成長意欲が生まれ、また次の社会的価値創造につながる好循環が、当社グループが考えるWell-being経営であり、この実現に向けて事業戦略と連動した人的資本諸施策を講じております。

また、そのための人的基盤となる「挑戦できる風土・環境」「多様性のある人財/多様な働き方」「安心・安全な職場環境」を構築し、変化に迅速・柔軟に対応し、チャレンジし続けられるカルチャーの醸成を目指しております。

 

①ガバナンス

人事処遇制度の改革・人財の採用計画の策定・人財開発プログラムの開発等の人的資本・多様性に関わる施策立案は当社人事労政本部が担当、社内外への取り組みの理解浸透については代表取締役社長を委員長とするサステナ推進委員会の下部組織であるコーポレートESGプロジェクトにおける人的資本WG(人事労政本部が主管、担当役員が監督)と連携し取り組みを推進しております。取締役会は、採用計画の審議・承認をはじめ「人的資本・多様性」施策について報告を受け、継続的に、議論・モニタリング・監督を行っております。また、人財開発プログラムについては、テーマごとに担当役員が報告を受け、承認しております。

 

 

②戦略

当社グループの人財戦略の考え方は、当社グループで働く全ての人財が自分でしかできない強みを磨き・追求し、自分でしかできないかたちで社会に貢献する事業を担うことによりエンゲージメントの向上を図るとともに、事業に必要な人財を確保(ストックとフロー)することで、グループ全体の競争力向上及び企業のありたい姿を実現することです。

ありたい姿と現状とのギャップを埋める人財戦略を推進することで、社員一人ひとりが自身のキャリアアップを考え、そのためのスキルアップを会社が支援し自律的なキャリアを描ける仕組みを整備してまいります。

 

◇当期までの中期経営計画における人財戦略


 

◇当期までの中期経営計画に紐づけたありたい姿・課題と対応


 

1) 採用・育成・配置転換を通じたDX、SX、グローバル、新事業を中心とする成長事業のスケール化に必要な人財ポートフォリオの実現

a サクセッションプランに基づく経営者人財の計画的育成

 事業の中核的人財となる次世代経営者人財を育成するプログラムとして、39歳以下の若手層に対し、直接トップ経営層からの講話や討議セッションを通して、リーダーとしてのマインド・行動力を学ぶ「Maro's Innovation Program」、コーポレートガバナンス知識の習得と意思決定やリーダーシップなどの事業遂行能力育成を目指すコースや、10年後の未来をシナリオプランニングの技術を使って想定し、事業計画を具体的に経営に提言するコースの2つの「次世代経営者育成プログラム」など、各種育成プログラムを実施しております。

 その他、上級管理職を中心に外部のビジネススクールや経営者育成プログラムへの派遣を積極的に推進しております。加えて、全社視点・経営視点を有した経営者人財育成に向け、子会社役員への登用や、グループ内や職種を跨いだローテーションなど、次世代経営者候補へのタフアサインメントを計画的に実施しております。

 

 

b 採用チャネルのマルチ化による専門人財の確保

 ダイレクトリクルーティング、ジョブマッチ採用の拡大、新卒・経験者の採用比率の見直し、カムバックキャリア制度(従業員再雇用制度)、リファラル採用制度、高度プロフェッショナル社員制度活用など、採用チャネルをマルチ化し、外部労働市場から必要な専門性を有した人財を確保し、事業と連動した人財ポートフォリオの実現に取り組んでおります。

 

c DX人財、SX人財、グローバル人財、新事業開発人財など重点・成長事業の担い手となる人財の計画的育成

ⅰ) 人財開発プログラム体系

 人財開発・育成にあたり、当社グループでは体系的な人財開発プログラム「TOPPAN UNIVERSITY」を構築しております。基礎・専門プログラム、リーダープログラム、自己啓発プログラムの3つの枠組みでスキルアップ・キャリアアップを支援するとともに、リーダーの育成を推進しております。また、次世代型人財開発のあるべき姿を調査、研究、検証するR&D拠点である人財開発ラボ®の活動を通して、「自己革新」や一人ひとりが持つ潜在能力の発揮と拡張を目指して、新たな価値創造を実現しております。

 人財育成のアプローチは、3階建ての建物に例え、プログラムのPDCAを回し改善を積み重ねる「1階」部分と、HRテックなどの様々なテクノロジーを活用し、1階部分の効果・効率を最大化していく「2階」部分、そして、次世代型人財開発のあるべき姿を調査・研究・検証していく「3階」部分に分けて教育施策を展開しております。

 

ⅱ) DX人財の育成

 DX人財の育成にあたっては下記3つのレベルで育成方針を立て取り組みを進めております。

・全ての従業員のリスキリングを目指す「リテラシーレベル」人財の拡充

・リテラシーレベルまで到達した社員にさらに学習の機会を提供し将来のDX中核人財となる「ベーシックレベル」層の増強

・DXビジネス実践の中での育成と外部リソース確保の組み合わせによるデータサイエンティスト/エンジニア/ビジネスデザイナーなど各領域における「プロフェッショナルレベル」人財の増強

 

◇DX人財のレベル定義と強化施策


 

 「リテラシーレベル」に関しては、2025年度より生成AI実践教育やプロジェクトマネジメント研修を新設し、生成AI実践教育は合計27,430名が受講し、実務におけるAIリテラシーレベルの向上につなげております。加えて、DX人財予備軍の育成に向け、クラウド/AI/データサイエンス教育を継続して実施し、各種資格の取得人数は累計で4,052名に到達しております。こうした取り組みのもと、当社グループにおけるErhoeht-X®従事人財は6,241名に達し、KPI目標値を達成し、事業に必要な人財確保に寄与しております。

 

 

ⅲ) SX人財の育成

 当社グループが社会的価値創造企業として、ESGへの取り組みを積極的に推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくために、SXに対応できる人財育成プログラムを2013年より実施しております。

 具体的には、社会課題の解決と経済的価値を両立させる次世代イノベーション事業の実現をテーマに、ソーシャルイノベーションプログラム、管理職向けのフィールドワークなどを実施しております。その中で、東日本大震災被災地である福島県でのフィールドワークは、10年超で福島への訪問社員数は累計2,059名に上っております。これらのSX人財育成プログラムを継続的に実施し、持続可能な社会の実現につなげております。

 また、GX(Green Transformation)全般の包括的な理解と実践を目的とした教育体系を整備し、基礎フェーズとして、SXを取り巻く国際情勢を網羅する全社員講義を開催し、リテラシーの底上げを図りました。さらに、カーボンニュートラル(脱炭素)への対応を強化すべく、経済産業省がリードするGXリーグで策定された「GXスキル標準」のGXリテラシー標準(GXスキルレベル1)に準拠し、環境省認定脱炭素アドバイザー資格である「GX検定ベーシック」の資格取得支援プログラムでは、累計897名がベーシック資格を取得し、お客さまへのソリューション提案も含め、脱炭素社会の実現への貢献を目指しております。

 

ⅳ) グローバル人財の育成

 グローバル人財を、語学力・異文化対応力も含めた「ビジネスコミュニケーションスキル」「ビジネスリテラシー」「海外経験」の全てを兼ね備えた人財と定義し、人員の可視化と育成計画の策定・実施をしております。

 具体的には、年に一度の語学力測定アセスメント一斉受検による全社的なグローバル人財の人員数とレベルの顕在化、グローバル要員数及び育成ニーズの見極めなどを行いながら、各種グローバル関連プログラムへの参加、アカウンティングやファイナンスなど海外ビジネスで求められる基礎的なビジネスリテラシーの習得、海外派遣などを掛け合わせた人事システムの中で人財を育成しております。

 実践教育として、グローバルな社会課題に対して、国際協力機構(JICA)「海外協力隊連携派遣制度」を活用した社員の海外派遣に加え、海外現地法人へ社員を派遣するトレーニー制度を再開し、グローバルビジネスの現場を体験させるなど、人財育成に努め、2025年度は10名を派遣いたしました(再開した2024年度から累計21名)。自ら行動を起こして社会課題解決に貢献した経験を得ることで、帰国後のビジネスに活かしております。

 

◇グローバル人財育成体系



 

 

 

ⅴ) 新事業開発人財の育成

 新事業開発を創出する知識・スキル・マインドを醸成する各種プログラムを実施しております。

 具体的には、当社グループ各社の社員が自事業のコンピタンスを結集して新たなビジネスモデルの創出や新しい提供価値の創発を目指す「TOPPANグループ未来創発プログラム」、新事業の創出に向けたフレームワークを体系的に学び、企業内起業家マインドを強化する「新事業開発人財育成プログラム」、シナリオプランニングによる将来環境の洞察から10年後の当社グループのありたい姿を提言する「次世代リーダープログラム」を実施し、事業ポートフォリオの変革を目指し、新事業の創出を実行、実現できる人財の育成を推進しております。

 

2) 当社及び事業会社3社における各種制度の統一、人事関連システムの統合による、グループ横断の人財最適配置・活用

a ジョブチャレンジ制度(常設型社内公募制度)の活用

 重点・成長事業を中心に社内ポジションをオープンにし、社員が主体的に様々な職務や組織に挑戦できる仕組みを整備いたしました。本人の能力・スキルを活かし、新たな職種にチャレンジする機会とすると同時に、事業ポートフォリオ変革に合致した最適な人財配置の実現を目的として実施しております。2025年度は合計47名が成長事業に異動し、あるべき事業ポートフォリオに沿った人財シフトを推進しております。

 

b キャリアデザイン制度(自己申告制度)の実施

 社員が自主・自律意識を高め、チャレンジ精神の醸成を図る取り組みとして、正社員全員を対象に「キャリアデザイン制度」を毎年1回実施し、自己の将来へのキャリア形成とスキルアップについて考える機会を提供しております。当制度では、社員が自身のキャリアを一から振り返り、自らの職務経歴書を作成することで、 キャリアを棚卸し、自分でしかできない強みを再発見・再認識するとともに、今後の進むべきキャリアを見つめ直す機会としております。この制度を通して、意欲・能力のある社員の挑戦意思を配置に反映し、適所適材の人財配置の実現を図ることで組織の活性化や体質の強化につなげております。加えて、本制度のフローに上司部下での面談も組み込み、社員のキャリア・スキルアップについての定期的な意見交換を行い、必要な能力・スキルの習得に向けた行動を促しております。

 

c タレントマネジメントシステムの導入

 グループ共通基盤となる人事システムを構築し、人事情報管理の整備、経営に資するタレントマネジメントシステムを2025年度より導入しております。人事システムへは、上記のキャリアデザイン制度による社員の職務経歴情報に加え、社内各部門における事業内容・求める人財像・コンピテンシー・スキルなどをまとめた「お仕事図鑑」を掲載することで社内キャリアマップや事業に必要な人財要件を可視化し、個人のキャリアとの連動性を高めることで、グループ内での人財最適配置の実現に向けた基盤を整備しております。2026年度には社員スキル登録をすることで、よりタレントマネジメントの検索性、有機性を向上させ、事業に必要な人財の最適配置につなげてまいります。

 

 

3) Well-being・エンゲージメント向上を通じた従業員の能力発揮最大化

 当社グループにおいて、事業成長の源泉は人財であり、当社グループが社会的価値のあるソリューションを提供し続けてきたものは「人によるイノベーション」であります。当社グループが社会的価値創造企業として、社会課題を解決していくことの結果として、「人財」の社会への貢献実感とさらなる成長意欲が生まれ、また次の社会的価値創造に繋がる好循環サイクルが当社グループの考えるWell-being経営であり、このサイクルを循環させるためには人財と企業とのエンゲージメント向上が欠かせません。従業員エンゲージメント向上が新たな「人によるイノベーション」に向けた原動力となり、企業の持続的成長に欠かせないと捉えております。

 具体的には、TOPPAN's Purpose & Values浸透に向けた研修の実施や、社内におけるキャリア自律感の向上に向け各種制度を導入しております。社会・会社に資する、貢献できているという実感を高めるため、マネジメントの質の向上を目的とした1on1の展開など総合的な施策を展開し、エンゲージメント向上を図っております。加えて、エンゲージメント調査にて自社特有の課題点を抽出し、その改善に向けた取り組みを強化しております。主に当社グループでは「目標設定」「キャリア」「職の魅力」に課題点が抽出されており、その改善に向け、MBO運用強化、ジョブチャレンジ制度、お仕事図鑑の導入などの施策を講じております。

 2026年度より「中期経営計画2028」に基づく新たなマテリアリティを起点に、人的資本の強化と多様性の推進に取り組み、組織の持続的成長基盤の構築を進めてまいります。

 

③リスク管理

人的資本に係るリスクは、当社グループに関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」に特定しており、総合的なリスク管理に組み込まれております。

(詳細は「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」及び、「3 事業等のリスク」を参照)

 

④指標と目標

事業ポートフォリオ変革を支える人財確保の進捗状況を評価する指標として「Erhoeht-X®従事人財数」、ダイバーシティ&インクルージョンを評価する指標として「管理職に占める女性管理職比率」、従業員のWell-beingを評価する指標として「エンゲージメントスコア」「健康リスク値」「コンディション危険判定」を設定しております。

なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標のうち「管理職に占める女性管理職比率」を除く合計4項目の実績及び目標は、連結グループにおける主要な事業を営む当社及び一部の連結子会社のものを記載しております。

 

◇人的資本・多様性における指標・目標及び実績


 

今後は、「中期経営計画2028」に沿った新たなマテリアリティに基づき、人的資本・多様性への取り組みとして、KPI項目を設定してまいります。

 

 

(4) 知的財産

当社グループでは、「知的財産」を事業競争力の源泉であると考え、知的財産活動を推進して事業における競争優位性の確保に努めております。

当社グループは、知的財産を事業構想及び研究開発活動に連動させるため、市場ニーズや競合状況を見据えた技術戦略活動に知財情報から導き出した知財戦略活動を密着させ、その成果を知財化する活動を推進してまいります。この一連の活動を推進することで事業ポートフォリオの変革を知財力で支え、積極的に経営に貢献できるものと考えております。

(知的財産活動と連動する研究開発については「第2 事業の状況 6 研究開発活動」参照)

 

◇TOPPANグループ知的財産基本方針

1.TOPPANグループは、知的財産・無形資産を事業競争力の源泉となる重要な経営資産と位置づけ、マーケット志向と研究開発活動を一層密着させた知財戦略をもとにグローバルな視点での積極的な知財活動を展開します。

2.TOPPANグループは、創出した知的財産の戦略的な活用によりグループ経営の実行や社会課題の解決、事業利益の増大を通じて企業価値向上に貢献するとともに、持続的な成長を目指します。

3.TOPPANグループは、他者の知的財産権を尊重し、事業を行う際には侵害回避や予防策など適切な措置を講じます。

4.TOPPANグループは、各国における知的財産権に関する法律や規制を遵守するとともに、第三者による知的財産権への侵害行為には、適切でかつ正当な権利行使を行います。

5.TOPPANグループは、保有する商標を適切かつ正確に使用することによりブランド価値向上に貢献します。

 

①ガバナンス

当社グループは、2023年10月のホールディングス体制化を機に、主要事業会社の知的財産権を一元管理する基盤を構築し、2025年度にかけてグループ内における知財制度や管理体制の一体化を通じたシナジーの深化を推し進めてまいりました。また、海外現地法人との連携強化による国際的な知財ガバナンス体制の強化についても着実に着手してまいりました。これらの取り組みを土台として、2026年度より導入するビジネスユニット(BU)制に合わせ、意思決定の迅速化とグループシナジー最大化を両立する知財ガバナンス体制を運用しております。具体的には、ホールディングスによる全社的なガバナンス統括と事業現場における機動的な執行を有機的に連携させることで、事業変革を加速させるための最適な機能配置を推進しております。

また、各BUの技術統括者と知財部門が参画する会議体において、技術開発と知的財産を高度に連携させてまいります。これにより、BU間の壁を越えたシナジー創出や共通課題の解決を横断的に図ります。さらに、海外R&D戦略に連動したグローバルな知財体制の構築を進めるなど、事業のグローバル展開を支える知財ガバナンスの強化に取り組んでおります。

あわせて、知財情報を経営の標準インフラと位置づけ、グループ全体の活動状況の可視化や適切な監督を行うことで、健全な知財ガバナンスと資産効率の向上に取り組んでおります。

 

②戦略

当社グループは、持続的な成長に向けた経営方針に沿って、知的財産を単なる法的保護の対象から「経営を動かし、収益を生む戦略的資源」へと転換し、高収益構造への変革に直接貢献する活動を推進しております。

2025年度までは、各事業部門が事業構想に沿って主体的に知財戦略を策定・実行できる「活動基盤の整備」に注力し、当社独自の「知財戦略シート」等の活用を通じて、技術開発の成果を戦略的に権利化するサイクルを確立してまいりました。2026年度からは、この基盤をさらに深化させ、BU制への移行に合わせた「自律的な知財活動」を確立してまいります。当社は、各BUが事業ライフサイクル(導入・成長・キャッシュ創出・要見直し)に即して自律的に知財活動を管理・改善できる体制をガバナンスの側面から整備・支援することで、事業目標と連動した競争優位性の確保を推進しております。

 

さらに、経営の意思決定を支える「知財インテリジェンス」を戦略的に活用しております。具体的には、M&Aや新事業創出、アライアンス等の重要局面において、知財情報を活用した多角的な分析(IPランドスケープ)を実行しております。技術開発部門等と密に連携し、対象案件の検討段階から技術の親和性や将来の相乗効果を精緻に把握することで、確度の高い経営判断の支援と事業価値の最大化に寄与しております。

これらの戦略を完遂する基盤として、生成AI・DXの活用による知財実務の変革と、重層的な知財人財の育成体制の整備を推進しております。実務面では、先端技術の導入により抜本的な効率化を断行し、創出したリソースを付加価値の高い提案活動へとシフトさせてまいります。人財の育成に関しては、技術系社員を対象とした知財研修体系を構築し、新入社員から管理職まで職層別の知財研修を実施しております。2025年度までに延べ約5,700人が研修を受講し、知財制度の基礎知識から知財戦略の策定方法まで技術系社員に必要な知識を習得させることで全社的な知財マインドの向上を図っております。また、知財戦略を策定・実行する高度な専門人財の育成のため、各事業部門の選抜メンバーに対する知財戦略研修や社内認定制度の整備も継続して実施しております。

2026年度以降は、「中期経営計画2028」において新たに策定したマテリアリティを軸に、知的財産戦略の高度化を図り、ポートフォリオマネジメントの強化を通じて、持続的な競争優位の確立を加速してまいります。

 

◇知財人財育成体系(イメージ)


 

③リスク管理

知的財産に係るリスクは、当社グループに関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」に特定しており、総合的なリスク管理に組み込まれております。

(詳細は「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」及び、「3 事業等のリスク」を参照)

 

④指標・目標

今後は、「中期経営計画2028」に沿った新たなマテリアリティに基づき、KPI項目を設定してまいります。

 

 

(5) 情報セキュリティ

当社グループは、グローバルな社会課題を解決するリーディングカンパニーを目指し、事業に必要な情報やシステムを適切かつ安全に管理することが経営上の重要課題であることを認識し、当社グループ全体で情報セキュリティ管理及びサイバーセキュリティ対策を進めることで、安心・安全な製品・サービスの提供に取り組んでおります。

IoTの高度化やデジタル化の急速な進展を背景に、サイバー攻撃の脅威が高まっており、機密情報や個人情報を含む情報資産の漏洩だけでなく、事業そのものの継続までが脅かされるようになっております。

こうした中で、DXやAIの利活用を通じて企業価値を創造し、お客さまや社会の信頼に応えるため、当社グループは「TOPPANグループ情報セキュリティ基本方針」や「TOPPANグループ プライバシー方針」「個人情報保護方針」を掲げ、技術面・運用面での対応を徹底しております。

 

①ガバナンス

1) 推進体制

 当社グループでは、情報セキュリティ本部を設置し、監理・統制、技術並びに人財面で対応しております。社内外のセキュリティリスクや被害状況・件数のモニタリングを行うとともに、サイバー攻撃や情報漏洩などのインシデントや脆弱性が発見された際のプロセスを整備し、これらの分析・対応を行う組織横断的なサイバー対応の専門チームを設けて、グループ会社を統括し、外部機関とも連携を図りながら情報セキュリティ管理を推進しております。また、情報セキュリティ本部担当役員を最高情報セキュリティ責任者(CISO)として任命しております。

 グループ会社には情報セキュリティ管理責任者を置き、情報セキュリティ本部による統制のもとで定期的な情報共有の場などを通じて各組織のセキュリティ管理を推進しております。

 セキュリティインシデントが発生した際の事業継続計画(BCP)を踏まえた演習においては、毎回CISOや事業部門幹部も参加し対応力の強化を図っております。ガバナンス推進の一環として、情報セキュリティマネジメントシステムに基づいた内部監査の実施と第三者認証の取得も進めております。

 

2) マネジメント体制

 CISOのもと、情報セキュリティ本部が情報セキュリティに関する全体計画の策定、規程の整備・見直しなどを行い、グループ会社との定期的な会議体を設けて、情報セキュリティに関する方針や施策の共有を図っております。また、グループ会社に対しては、定期的な監査を実施し、マネジメントの状況確認と是正改善を行っております。

 さらに、これらの活動については、CISOに定期的な報告を行うとともに、万一、インシデントが発生した場合にも、CISOに適宜報告を行い、迅速にインシデントに対応する体制となっております。

 

②戦略

当社グループは、DX事業の加速やグローバル事業を拡大するため、自社や顧客の安心・安全を守るだけでなく、サプライチェーン全体でビジネスを加速するための情報セキュリティを目指しております。特に事業停止に直結するサイバー攻撃が深刻な問題になっていることから、予期せぬ事態に陥る脅威に対して、ディフェンスとレジリエンスを意識し「統制」「テクノロジー」「ビジネス」の3つの面から、セキュリティ経営基盤の強化を進めております。

 

1) 統制の徹底

a セキュリティベースライン評価を用いたグローバル統制

 グループ全体として統制のとれた情報セキュリティ強化のため、全グループ会社を対象に当社グループ情報セキュリティ基本規程をもとにしたベースライン評価を実施しております。評価では、組織的・人的・物理的・技術的対策、インシデント対応、個人情報保護の成熟度を採点し、改善計画を策定、その進捗をモニタリングし、グループ全体のセキュリティ水準向上を目指しております。評価結果は、事業会社・部門、グループ全体の施策へ反映させております。

 また、特に海外企業買収などの際は、当社規程との整合を確認し、必要に応じ整備・改善を行い、グループ全体での情報セキュリティの統制を図っております。

 

b サイバーセキュリティインシデント対応体制

 当社グループでは、サイバーセキュリティインシデント対応専門チーム「TOPPAN-CERT」を中心とした、インシデントに迅速に対応するグローバル体制を整えております。TOPPAN-CERTは、日本シーサート協議会(NCA)が国家サイバー統括室(NCO)と連携して開催する分野横断的演習に毎年参加し、実際にサイバー攻撃を受けた場面を想定した演習を行っております。CERTメンバーが中心となって対応を行い、演習後には振り返りを実施することで、対応手順や課題を検証し、サイバー攻撃を受けた際の対応手順の改善に役立てております。

 これに加えて、経営層、上位管理職層に対してもサイバー攻撃による重大インシデント発生を想定したサイバーセキュリティ演習を毎年実施し、サイバーインシデントに対する危機対応、リスク管理の能力向上を図っております。

 

c 個人情報・機密情報の厳重な取り扱い

 個人情報取り扱い業務及び機密情報取り扱い業務は、入退室管理や監視カメラが設置されたセキュリティエリア内で行うこととし、セキュリティエリアの運用管理ルールを定期的に更新し新たなリスクに対応しております。あわせて、現場での日常的なチェックと、定期的な内部監査によって、セキュリティレベルの維持向上を図っております。

 

d サプライチェーンセキュリティへの対応

 当社グループでは、個人情報や機密情報の取り扱いを含む一部業務の外部委託や、他社クラウドサービスの活用の際に、委託先を当社グループのセキュリティ基準に適合させるため、委託する業務内容や情報の種類に応じた外部委託先を認定する制度の導入やクラウドサービスの安全性確認を行い、サプライチェーンリスクの低減を図っております。

 また、当社グループも2026年度末から運用が開始される予定の「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」に対応するための準備を始め、お客さまからのセキュリティへの要求に対応していくとともに、委託先のセキュリティ評価においても制度を積極的に活用し、当社グループとしてもサプライチェーン全体のサイバーセキュリティ対策強化に貢献してまいります。

 

e 外部からのモニタリングによるサイバーセキュリティの強化

 当社グループに対するサイバー攻撃の兆候や外部から見つけられる可能性のある脆弱性を早期に発見するため、セキュリティレーティングサービスや脅威インテリジェンスを活用した攻撃者視点での外部からのモニタリングと、OSINT(Open Source Intelligence)の活動を継続しております。当社グループだけでなく、個人情報・機密情報を取り扱う委託先にも対象を広げ、サプライチェーン全体でのセキュリティ強化にも努めております。

 

f 工場のセキュリティ強化

 スマートファクトリー化に伴い様々なモノがネットワークとつながることになり、これまで以上にサイバー攻撃の可能性が上がります。そのため当社グループでは、2023年6月に工場セキュリティガイドラインを発行し、工場内のネットワークやサーバの設定、ログやバックアップの取得のような工場で実施すべき具体的なセキュリティ対策を示してアセスメントを実施するとともに、この内容を従業員に周知・教育することでセキュリティ強化を図っております。

 

 

g 人財育成

 当社グループでは、従業員の情報セキュリティリテラシーの向上を図るため、国内外の当社グループ会社全体に対してセキュリティ意識向上基盤を展開してEラーニングや不審メール対応訓練を実施し、その結果を評価して教育に反映させるというプロセスを繰り返し実施しております。

 これに加え、情報セキュリティ戦略の達成に求められる人財像を以下のように設定し、育成・確保に努めております。

・「専門セキュリティ人財」:当社グループのセキュリティを支える人財として、セキュリティを専門とする業務従事者及び情報処理安全確保支援士やCISSPなどの有資格者

・「プラスセキュリティ人財」:各職域・業務のセキュリティを支える人財として、情報セキュリティに係る業務従事者及び情報セキュリティマネジメント試験合格者やベンダーによる研修修了者・有資格者

 

 また、当社グループでは、企業・公共機関を対象にサイバーセキュリティ人財育成プログラム及び組織のセキュリティ向上サービスを提供する株式会社Armorisにより、実戦的な人財育成プログラムを継続して展開しております。個人向けプログラムは、長期間継続的にトレーニングを行える「DOJO」、最新のテーマに沿った事例やケーススタディが学べる「DOJO Lite」、実際に手を動かして学ぶ「DOJO Shot」、プラスセキュリティ人財育成の第一歩として取り組みやすい「ショートハンズオン」に加え、2025年度は経理部門や知的財産部門において、部門特有のセキュリティリスクを学ぶ教育も開始いたしました。団体向けプログラムでは、インシデント対応を実際に体験する実戦的な「DOJO CORE」や啓発を目的とするワークショップを提供しております。当社グループ自らはもちろん、日本における個人と組織のセキュリティ能力向上を目指しております。

 

2) テクノロジー面の強化

a ゼロトラストセキュリティの推進

 当社グループではこれまで社外から社内システムへのアクセスにVPNを使ってセキュリティを担保してきましたが、VPNが破られて不正侵入やランサムウェア感染につながった事例が世界中で報道されていることや、当社グループでもモバイル端末やクラウドサービスの利用が増加していることから、ゼロトラストへの移行によるセキュリティ強化を開始しております。

 

b AIに対するセキュリティ対策

 生成AI技術の普及・進化を受け、生成AIやAIエージェントが組み込まれたシステム・機器の活用を当社グループにおいても積極的に推進しておりますが、これらに対するサイバー攻撃により、情報漏洩やAIモデルの改ざんによる不正な振る舞い、不正な指示を受けることでの遠隔操作やシステム停止などにつながるという脅威も増大していくことを想定しております。またサイバー攻撃自体もAIを活用し、以前よりも洗練されてきております。

 これらの脅威に対しても、国内外の関連組織と連携しながら対策の強化を進めてまいります。

 

3) ビジネスとのバランス

・当社グループのセキュリティ対策

 サイバー攻撃による脅威が高まるにつれ、セキュリティ対応力が乏しい企業はサプライチェーンから除外され市場からの撤退を迫られることになります。一方で、ビジネスの機敏性や競争力を維持・強化することも重要となるため、当社グループにおいては、事業会社のセキュリティ担当者との連携を強化し、ビジネス要件や世界各国の地域特性を踏まえ、ビジネスとセキュリティのバランスを取りながらセキュリティ対策の実装を推進してまいります。

 2026年度より、「中期経営計画2028」に基づく新たなマテリアリティを起点に、情報セキュリティの強化を推進し、リスク低減と事業継続性の確保に取り組んでまいります。

 

 

③リスク管理

情報セキュリティに係るリスクは、当社グループに関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」に特定しており、総合的なリスク管理に組み込まれております。

(詳細は「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」及び、「3 事業等のリスク」を参照)

 

④指標・目標

今後は、「中期経営計画2028」に沿った新たなマテリアリティに基づき、情報セキュリティへの取り組みとして、KPI項目を設定してまいります。

 

(6) 人権

当社グループは、「人間尊重」の精神を基本に事業活動を行っており、人権の尊重を事業活動やサステナビリティの取り組みを推進するにあたって最も重要なテーマと捉えております。

この基本精神をもとに、2021年10月に「TOPPANグループ人権方針」を策定いたしました。この「人間尊重」の取り組みを確実に実行していくため、行動の規範である「TOPPANグループ行動指針」で、人格と個性の尊重、差別行為やハラスメント行為の禁止、児童労働・強制労働の禁止、ダイバーシティ&インクルージョンの推進など、基本的人権を尊重することを定めております。

また、「TOPPANグループ地球環境宣言」や「生物多様性に関する基本方針」に基づき環境保全活動を行うなど、事業活動が地域の人々の生活に悪影響を与えることによって人権侵害が発生しないように配慮した取り組みを推進しております。

 

◇TOPPANグループ人権方針の構成

1.人権に対する基本的な考え方

2.適用範囲

3.適用法令

4.人権尊重の責任

5.人権デューデリジェンス

6.対話・協議

7.救済

8.教育・研修

9.責任者

10.情報開示

 

(個別課題への取り組み)

●児童労働、強制労働、人身取引 ●差別及びハラスメント ●ダイバーシティ&インクルージョン

●団体交渉権及び結社の自由 ●労働安全衛生 ●プライバシーに対する権利

 

①ガバナンス

「TOPPANグループ人権方針」において、当社グループの人権尊重の取り組みについては、取締役会が監督し、人事労政本部の担当責任者が実施の責任を担うことを表明しております。

取締役会は、代表取締役社長を委員長とするサステナ推進委員会に人権尊重の取り組みを担当させ、その下部組織であるコーポレートESGプロジェクトにおける人的資本WG(人権テーマも担当、人事労政本部が主管、担当役員が監督)が取り組みを主導し、人事労政本部、法務本部、製造統括本部等の部門が連携して、当社グループ全体で人権尊重の取り組みを推進しております。

取締役会は、年に一度、人権尊重に係る重要案件・課題について、サステナ推進委員会で検討・審議された活動内容について経営会議を通じて報告を受けており、取り組みの目標設定及び進捗を議論・モニタリング・監督しております。人権課題に関する事象(労働災害・火災、ハラスメントの発生等)が発生した場合は、社内関係部門による対応策を含め、取締役会が報告を受け、対応について議論を行っております。

 

 

②戦略

「TOPPANグループ人権方針」に基づき、「人権デューデリジェンス」による人権への負の影響の特定、負の影響の是正・軽減活動及び「個別課題への取り組み」を推進するとともに、従業員への教育による意識の醸成・浸透を図っております。

 

1) 人権デューデリジェンス

当社グループは、「ビジネスと人権に関わる指導原則」を支持するとともに、人権デューデリジェンスの重要性を認識しております。リスク評価に当たっては、「国際人権章典」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、賃金や労働時間等労働者の人権に関する条約等の人権に関わる国際規範を支持し、その観点での人権デューデリジェンス体制を構築しております。

2021年度「TOPPANグループ人権方針」の策定では、業界における人権リスクを抽出・評価し、「強制労働・人身取引」「差別」「非人道的な扱い」「プライバシーに対する権利」「グループ全体の人権ガバナンス」の5つの人権リスクを特定いたしました。

当社グループは、人権リスクの発生が、レピュテーションリスクや法務リスク、財務リスク等の経営に関するリスクにもつながる可能性があることを認識し、上記5つの人権リスクを中心に、国内外のグループ会社やサプライチェーンの人権リスク評価を実施し、軽減・是正に向けた取り組みを行い、人権デューデリジェンスプロセスのPDCAサイクルを回しております。調査・分析結果については、取締役会及びサステナ推進委員会に報告し、今後の取り組みについて議論を行っております。

2025年度には、第3回となる国内外のグループ会社への人権リスク調査を実施いたしました。2021年度から人権方針を策定し、人権尊重への取り組みを推進してきた結果、当社グループにおける人権リスクはより一層軽減傾向にあり、喫緊に対応しなければならない重大な人権リスクは発見されませんでした。

その中でも、人権への負の影響の発生が相対的に懸念される人権リスクは「労働安全衛生」「プライバシー保護」「ハラスメント」「サプライチェーンマネジメント」と捉え、それぞれ以下のような対応を進めております。

 

・労働安全衛生

「TOPPANグループ安全衛生防火方針」に基づき、全国の事業所に、安全師範や安全担当者などを配置する安全推進体制を構築するとともに、正社員及び契約社員をはじめとする職場で働く全ての人々を対象にリスクアセスメントによる設備の本質安全化や職長教育を中心とした各種教育の徹底などを進めております。また、事業所ごとに労働時間の情報及び対応策について、慢性的・恒常的な長時間労働の点検・改善を実施しております。就業管理システムを通じた本人・上長に対する労働時間アラートの発信や、オフィスの自動消灯、自動PCシャットダウンなどの施策も実施し、時間外労働の低減を図っております。

 

・プライバシー保護

情報を取り扱う産業として、個人情報保護方針に則り、当社グループで取り扱う個人情報の適切な取り扱い・保護に努めております。

 

・ハラスメント

ハラスメント防止協定に基づき、グループ内における体制・取り組みの強化を図り、全従業員に対してハラスメント防止教育を実施するとともに、各事業所にハラスメント相談員を設置するなど相談・防止体制を整えております。

 

・サプライチェーンマネジメント

コーポレートESGプロジェクトにSCM(サプライチェーンマネジメント)WGにて取り組みの強化を図る体制を整え、サステナブル調達ガイドラインのグループ内展開・徹底に向け活動を進めております。

 

 

2) 労働者の人権(適切な賃金の支払いの取り組み)

当社グループでは、各国の最低賃金を定めた法令に従い、現地の生活物価を踏まえ、従業員に適正な給与を支払うことを遵守しております。金銭的報酬に加えて、法令で定める福利厚生を提供するほか、働きがいの向上や自己実現・キャリア開発に対する会社の支援・サポート等の非金銭的報酬についても配慮しております。

従業員の賃金は、従業員の能力・役割等に応じた報酬体系となっており、従業員の性別による違いを設けておりません。国内グループでも同様のレギュレーションにて報酬の決定を行っております。一方、労働者の男女賃金の差異については、実在者平均で一定の差異が生じておりますが、これは男女間の年齢構成、等級構成、女性労働者に育児短縮勤務を中心とした短時間勤務者が相対的に多いこと、管理職比率の差異等によるものです。この改善に向け、中期経営計画の取り組みの1つに「D&Iの推進」を挙げ、KPIとして女性管理職比率向上を設定し、経営課題の1つとして重点的に取り組みを推進しております。2023年度は、社内調査結果分析から可視化された課題に対し、役員同士で議論の上、「D&I行動宣言」を行い、各部門の中期計画にてD&I推進施策を策定いたしました。2024年度からは、女性の上位管理職層や女性経営層のさらなる輩出に向けた取り組みを強化するため、女性活躍推進プログラム「Torch Light」を開始するなど、女性の活躍推進に取り組んだ結果、2025年度では女性管理職比率が目標値である14.7%を上回りました。こうした取り組みを通じ、男女の賃金の差異是正につなげてまいります。

 

3) 人権・ハラスメント防止に関する教育

当社グループは「人間尊重」の基本精神をうたい、従業員に対し、様々な人権教育を行っております。グループにおける人権リスク調査の全体周知やベストプラクティスの共有により、人権尊重の取り組みに対する意識の醸成・浸透を図っております。人権尊重の基本的な考え方の理解に加え、上記調査で特定された個別課題(ハラスメント、ダイバーシティ&インクルージョン、労働安全衛生等)に対する理解を深める全従業員を対象とした研修を毎年実施し、人権尊重の取り組みの具体的対応についても周知徹底をしてまいります。

特に、ハラスメントについては、従来から新任の管理・監督職層に対してハラスメント防止に向けた人権教育を継続的に実施してまいりましたが、2020年4月に凸版印刷労働組合(現 TOPPAN労働組合)と「ハラスメント防止に関する労使協定」を締結したことから、全従業員に対し「職場におけるハラスメントの防止に向けて」の教育を実施しております。また、当社グループの人事労政部門において職場のハラスメント相談窓口を設置し、相談員を育成するなど、ハラスメントの予防にあたるとともに、厳正に対処しております。万一、ハラスメントが発生した場合は、関係者から事情聴取を行うなど適切に調査を実施し、加害者に対して懲戒処分を行うなど迅速に問題の解決を図っております。

また、職場ごとに選任された行動指針推進リーダーにおける行動指針の啓発活動の中でも、人権に関連する事例を取り扱い、人権意識の向上を図っております。

今後も「中期経営計画2028」に基づく新たなマテリアリティを起点に、事業活動全体における人権尊重の取り組みを強化し、その実効性の向上を戦略的に推進してまいります。

 

③リスク管理

人権に係るリスクは、当社グループに関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」に特定しており、総合的なリスク管理に組み込まれております。

(詳細は「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」及び、「3 事業等のリスク」を参照)

 

④指標・目標

今後は、「中期経営計画2028」に沿った新たなマテリアリティに基づき、人権の取り組みとして、KPI項目を設定してまいります。

 

 

(7) サプライチェーン

当社グループは、グループ理念「TOPPAN's Purpose & Values」を共通の指針とし、サプライチェーンにおける人権尊重を含めた企業の社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現に貢献するために、「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」を策定し、これに基づきサプライチェーン全体での持続可能な調達(以下「サステナブル調達」という。)活動を推進しております。また、この活動を通じて、当社グループとサプライヤーや協力会社(以下「ビジネスパートナー」という。)の皆さま双方の企業価値を向上させることも目指しております。

 

このサステナブル調達活動は、単なる法令遵守にとどまらず、サプライチェーンに関わる全てのステークホルダーに対する企業の社会的責任を果たすことを目的としております。具体的には、国際的に重要性が高まっている人権の尊重を重要課題の1つと位置づけ、強制労働や児童労働の排除、安全で健康的な労働環境の提供などを確認しております。また、環境保全への貢献、公正な取引慣行の確立、情報セキュリティの確保といった多岐にわたる側面から、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。

 

◇TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン

「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」は、調達を主管とする部署のみならず事業活動として物品・サービスを取りそろえる全ての部署が守るべき「調達基本方針」と、ビジネスパートナーの皆さまに遵守を要求する「サステナブル調達基準」で構成されております。

「サステナブル調達基準」は、「法令遵守と国際規範の尊重」「人権・労働」「安全衛生」「環境」「公正取引・倫理」「品質・安全性」「情報セキュリティ」「事業継続計画」「管理体制の構築」の9項目から構成されております。

2025年度においては、法規制の動向や社会的要請の高まり、並びにステークホルダーからの期待の高度化・多様化を総合的に勘案して、「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の所要を見直し、2026年4月1日付で改訂いたしました。

 

「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」とあわせて、「TOPPANグループ人権方針」「TOPPANグループ環境方針」「パートナーシップ構築宣言」に基づき、サプライチェーンにおける人権尊重・生物多様性の保全・ビジネスパートナーの皆さまとの望ましい取引慣行の遵守・ビジネスパートナーの皆さまへのBCP策定への助言等の支援などにも取り組みます。これらの取り組みを通じてビジネスパートナーの皆さまとの共存共栄を目指してまいります。

 

①ガバナンス

取締役会は、サステナ推進委員会に「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」遵守の取り組みを担当させ、その下部組織であるコーポレートESGプロジェクトにおけるSCM(サプライチェーンマネジメント)WG(経営企画本部が主管、担当役員が監督)がグループ全体で進める体制を構築しております。

取締役会は、サステナブル調達に係る重要案件・課題について、サステナ推進委員会で検討・審議された活動内容について、経営会議を通じて報告を受けており、取り組みの目標設定及び進捗を議論・モニタリング・監督しております。サステナブル調達課題に関する事象が発生した場合は、社内関係部門による対応策を含め、取締役会が報告を受け、対応について議論・決議を行います。

サステナブル調達やサプライチェーンに関する取り組みは当社の生産管理・購買・企画・人事労政他の各管理部門と、事業会社の調達主管部署を含む事業活動として物品・サービスを取りそろえる全ての部門が、各業種のビジネスパートナーと緊密に連携して行っております。

 

 

②戦略

当社グループは2025年度は「ESGの取り組み深化」を方針として掲げ活動を推進してまいりました。ワールドワイドで事業規模拡大を進める中、成長とリスク管理の両面から社会、環境などに関するサプライチェーンマネジメントの整備、構築が重要であると認識しております。

サプライチェーン全体のレジリエンス向上と双方の企業価値向上には、ビジネスパートナーとの強固な連携と共通の価値観の共有が不可欠です。そのため、一方的な要請にとどまらず、「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の周知・教育や、SAQ(自己評価アンケート)結果に応じた現地アセスメント・是正のサイクルを実施しております。これらを通じて相互理解と改善活動を促進し、実効性のある持続可能な調達活動をさらに加速させてまいります。

 

1) 「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」遵守の協力同意書・取引基本契約書・売買基本契約書の締結

2022年度より主要なビジネスパートナーに対し、当社のサステナビリティ方針を示した「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」の浸透と遵守を要請しております。

ガイドラインの実効性を高めるため、説明を通じて趣旨への理解を促すとともに、賛同いただいたビジネスパートナー各社より「協力同意書」を取得しております。

さらに、新規に取引を開始する際には、取引基本契約または売買基本契約に「サステナブル調達ガイドラインの遵守」に関する条項を組み込み、ご理解とご協力をいただきながら、持続可能な調達体制のさらなる強化に努めております。

 

2) ビジネスパートナーへの「サステナブル調達基準」に関するSAQ(自己評価アンケート)と評価の実施

持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、2022年より主要なビジネスパートナーを対象に「サステナブル調達基準」に基づくSAQ(自己評価アンケート)を実施しております。

本アンケートは「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」に準拠し、人権・労働、環境、情報セキュリティ、事業継続計画(BCP)など9つの分野で構成され、ビジネスパートナー自ら遵守状況を自己点検していただくことを目的としております。回収したアンケートは当社グループにて評価・分析を行い、その結果を個別にフィードバックしております。これにより各社の取り組み状況や改善点を共有し、サステナビリティ向上に向けた継続的な対話と協働を促進することで、サプライチェーン全体でのリスク低減と持続可能性の向上を図ってまいります。

 

3) SAQ(自己評価アンケート)評価の低いビジネスパートナーの是正に向けた現地アセスメントの実施

SAQの結果において評価が一定の基準に達しないビジネスパートナーに対し、従業員による現地ヒアリングを実施しております。これにより、数値だけでは把握できない実態や背景を確認し、各社と課題を共有しながら実効性のある改善策の検討を進めております。さらに、一定期間経過後に再度SAQを実施することで、改善効果を定量的に検証するPDCAサイクルを運用しております。

2026年度からは、「中期経営計画2028」に沿った新たなマテリアリティに基づき、サプライチェーン全体の高度化に取り組み、レジリエンスの強化を戦略的に推進し、企業価値の持続的向上を実現してまいります。

 

③リスク管理

サプライチェーンに係るリスクは、当社グループに関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」に特定しており、総合的なリスク管理に組み込まれております。

(詳細は「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」及び、「3 事業等のリスク」を参照)

 

④指標・目標

今後は、「中期経営計画2028」に沿った新たなマテリアリティに基づき、サプライチェーンへの取り組みとして、KPI項目を設定してまいります。