リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社グループのリスクを全て網羅するものではありません。
(1) リスク管理体制
当社グループは、事業の継続的・安定的発展を確保し、また、製品の品質と安全性の確保を最優先に、ステークホルダー、並びに社員に損害・損失を与える要因の除去・軽減に誠実に努めるようリスクマネジメントを実践します。更に、社会全般において幅広く使用されている製品を供給する者としての責任を自覚し、製品を安定的に供給することを社会的使命として、各種法令を遵守しています。
当社グループは、リスクマネジメント委員会を設置しています。同委員会は、当社グループのリスクマネジメントを推進するため、総合的にリスク評価をしたうえで対応を主管する組織による課題・対応策を協議・承認し、取締役会へ報告しています。
2025年度からは体制を見直し、各主管組織の取組状況等を経営会議に報告提言します。経営会議はリスク管理の内容について、異議・意見がある場合は、リスクマネジメント委員会に指示を出し、同委員会にて再度対応策を検討後、主管する各組織へ展開します。
(2) 主要なリスク
当社グループのリスクは、単独又は複数の主管する組織により、自然災害、市場環境などのリスク類型から、リスクを放置した場合に発生する事象が与える当社グループへの損害・損失を想定し、(顧客への影響1~4点+社内グループへの影響1~4点)×(発生頻度1~4点)の数式から算出した影響度にて評価されています。以下に挙げるリスクは、リスク評価が32点中12点以上の重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクです。
なお、当連結会計年度では、緊急対策が必要なリスクは発生しませんでした。
人材の流出リスク |
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リスクの内容 |
・雇用形態の多様化や社員の不満に対する対応の遅れなどの人事管理・労務管理の失敗による企業価値の低下 ・人材の流動が激化し、高い専門性や知識を有する人材の不足や流出による、開発の遅延や品質の悪化及び顧客満足の低下 ・若年層の“3K”離れや技能習得者の高齢化により、新規ビジネスへの対応の難化 ・従業員一人当たりの業務の増加、それに伴う離職率の増加、外部委託コストや品質コストの増加、収益の圧迫 |
対応策及び取組 |
・人材育成・多様性・従業員エンゲージメントを柱とする人材戦略から行動計画を策定し実行しています。詳細は、「人的資本に関するサステナビリティに関する取組」をご確認ください。詳細は、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本に関する取組」に記載のとおりです。 |
IT最新技術(AI、IoT)への対応遅れによるリスク |
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リスクの内容 |
・IT最新技術への対応の遅れによる販売力や競争力の低下 ・有効なシステム開発や、最新技術のツールを活用するスキル不足 ・業務改善、対応能力の低下による高コスト体質化 |
対応策及び取組 |
・国内のセキュリティシステムについて再構築を行いました。 ・デジタル人材の育成を進め26名の人材育成を行いました。 ・データレイクの構築を行い、外部ベンダーへの委託を自社対応に切り替えました。 |
サイバー攻撃を含む情報セキュリティシステム(ソフト・ハード両方)の機能不全 |
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リスクの内容 |
・外部からのサイバー攻撃を含む、システム停止による、業務停止、供給停止などにより、ステークホルダーからの信頼損失 |
対応策及び取組 |
・国内においてはセキュリティシステムの再構築を行いました。 ・2023年度より基幹システムのバックアップシステムをクラウド上に構築しましたが、2024年12月に周辺システムのクラウド化を進めシステムの継続性を高めました。 ・構築したセキュリティシステムについては、毎年1回インシデント訓練を通じて実効性を確認しています。 ・従業員に対して情報セキュリティ教育と標的型メール攻撃訓練を毎年1回実施しています。 |
原材料などの調達に関わるリスク |
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リスクの内容 |
・世界的な気候変動や災害、様々な社会情勢、材料生産に係わる設備の故障や事故、品質上の問題などを起因とした材料調達と生産活動の遅延や不能による顧客の生産活動の停止 ・世界的な気候変動や不安定な政治情勢を起因とした、原材料高騰による利益の低下 ・原材料や購入部品への環境負荷物質含有などを要因とした法令違反 |
対応策及び取組 |
・原材料や購入部品については、購入先を分散しています。また、複数の代替材候補の選定後に使用実績を作り、製品評価分析を行って、非常時の生産プロセスを構築しました。 ・顧客へ見積提出時の原料価格境界値の設定や価格交渉を継続的に行っています。 ・ITシステムによる環境負荷物質管理を日本で構築しており、海外主要拠点へ水平展開を実施しています。 |
新領域製品の受注拡大に伴うリスク |
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リスクの内容 |
・製品領域拡大に伴い、新技術・新工法・新材料を採用し、品質コストが増加することによる利益の低下 ・新領域製品の量産準備の不足、また、新領域の危険予知不足により、品質不具合製品を流出させることによる、顧客満足度の低下及び信用失墜 |
対応策及び取組 |
・量産開始時点からの継続的な品質コストの監視と改善活動を実践しています。 ・国際標準であるIATF16949に準拠した製品実現活動を実践する中で、節目管理活動により、準備不足の解消、製品品質の向上を行っています。 |
競合先の増加によるリスク |
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リスクの内容 |
・異業種の自動車市場の参入による競合先の増加に伴う、受注価格の低下や失注案件の増加 ・顧客・業界動向の変化が加速する市場環境下の、従来のビジネススタイルへの固執を要因とした、他社との差別化の失敗による受注価格の低下や失注案件の増加 |
対応策及び取組 |
・技術戦略の方向性を明確にし、専門性を有した人材を確保するとともに、方向性に合致した組織体制作りを行いました。 ・価格競争力の強化推進として、集約生産を実施し、より効率の良い生産体制にしました。 |
為替変動リスク |
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リスクの内容 |
・取引のグローバル化や顧客からの現地製品供給要請による当社グループの海外売上比率の年々上昇、そのため海外子会社の現地通貨建てによる財務諸表の値を本邦通貨に換算する際の為替レート変動が与える連結財務状況への影響 ・原材料価格、電力費用や燃料費などが為替レートの影響を受けた際の、製造原価の上昇 |
対応策及び取組 |
・海外子会社の輸出は僅かですが、特定の地域や国に偏在しないような拠点の展開により、影響を最小限としています。 ・原材料に関しては、製造原価の上昇を抑えるために代替材料への置き換え、顧客との価格転嫁の交渉を行っています。 |
カントリーリスク |
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リスクの内容 |
・当社グループの海外拠点の所在国、地域において、政策・法律・税制の急激な変更、予測できない政治、経済の不安定化、テロ・戦争・紛争の勃発、伝染病の蔓延などの社会的混乱を要因とした、事業遂行の難化 ・事業遂行の難化による、当社グループの業績及び財務状況の悪化とサプライヤーチェーン分断の発生 |
対応策及び取組 |
・業績や財務への影響を最小限とするために、特定の地域や国に偏在しないような拠点の展開をしています。 ・グローバルで生産品の情報を管理し、代替品の生産・納入を行えるよう管理体制の推進を行っています。 |
これらのリスクの他に、地震などの自然災害の発生が予想されるため、事業継続計画(BCP)として、発生時の被害を最小化する設備の耐震化を進めており、全社員の安否を確認するシステムを導入するとともに、訓練を実施しています。また、サプライチェーンを分断しないよう、代替原材料の選定や代替品生産などを含めた活動に取り組んでいます。
配当政策
3【配当政策】
当社は、連結当期純利益の概ね3割を目処に配当を行う方針を採用しておりましたが、株主還元をさらに充実させるべく、総還元性向(連結)45%以上を目標とした株主還元を基本方針として採用することといたしました。配当と自己株式の取得を組み合わせた総還元の考え方に基づき、業績、投資計画、経営環境などを総合的に勘案し、安定的・継続的な配当と機動的な自己株式の取得を実施してまいります。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、2021年6月24日開催の定時株主総会にて、「定款一部変更の件」が承認可決されたことに伴い、「当会社は、剰余金の配当等、会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる。」旨を新たに定款に定めておりますが、引き続き、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会とする予定です。
2025年3月期の期末配当につきましては、2025年5月12日に発表したとおり、上記の基本方針に基づき、当社を取り巻く経営環境や業績等を総合的に勘案し、1株当たりの配当金40円を予定しております。これにより、既に実施しました中間配当35円を含め、1株当たりの年間配当金は75円となります。
内部留保資金の使途については、中期経営計画で設定した各目標達成のための投資等に充当することとしております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年10月31日 |
3,410 |
35 |
取締役会決議 |
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2025年6月24日 |
3,822 |
40 |
定時株主総会決議 (予定) |
(注)1.2024年10月31日開催の取締役会で決議された配当金の総額には、役員報酬BIP信託口に対する配当金4百万円、2025年6月24日開催の株主総会で決議予定の配当金の総額には役員報酬BIP信託口に対する配当金12百万円を含めて表示しております。
2.2024年10月31日開催の取締役会で決議された配当金の総額には、株式付与ESOP信託口に対する配当金1百万円、2025年6月24日開催の株主総会で決議予定の配当金の総額には株式付与ESOP信託口に対する配当金1百万円を含めて表示しております。