人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数728名(単体) 4,831名(連結)
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平均年齢44.4歳(単体)
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平均勤続年数20.4年(単体)
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平均年収8,904,812円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2025年3月31日現在
(2) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(3) 労働組合の状況
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
② 連結子会社
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する基本的な考え方
当社ではサステナビリティをめぐる社会的要請への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる当社グループの重要な経営課題であると認識しております。当社グループはサステナビリティを「経済価値と社会価値をともに実現する持続可能な事業活動」と定義し、「環境」「社会」「人材」「ガバナンス」の4つのテーマ、12項目のマテリアリティ(※)を特定することで、社会課題に対する当社グループの考え方を明確化しており、2024年度には各マテリアリティにおける「目指す姿」の実現に向けたアクションプランを策定しました。今後は各アクションプランに基づいた取り組みによりサステナブル経営をより積極的に進め、社会課題の解決、グループの持続的成長及び中長期的な企業価値の向上を図るとともに、グループ企業理念に掲げるグループの使命(「社会と地球環境のよりよい未来を拓きます」)を果たしてまいります。
なお、本有価証券報告書では、当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組に関して、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標及び目標」の枠組みに基づき記載するとともに、「戦略」と「指標及び目標」においては、サステナビリティに関する重要情報として「気候変動」と「人的資本・多様性」及び「人権」に関する情報を記載しております。
※12項目のマテリアリティの詳細については「日本紙パルプ商事グループ 統合報告書 2024」をご参照ください。
(2) ガバナンス
サステナビリティ推進体制
当社では、常勤取締役と全統括・在京の副統括、及びオブザーバーとして常勤監査役にて構成される「サステナビリティ戦略会議」を設置し、同会議がグループ全体のサステナビリティへの取り組みの司令塔として、持続可能性に関する方針策定や戦略立案、ESG課題(※)の解決、目標達成に向けた全体マネジメントを所管しております。実務遂行にあたっては、「サステナビリティ推進本部」がグループ全体の環境・労働安全の強化及び脱炭素化の推進、取引先などからのESG・CSR対応の窓口、社会貢献への取り組みなどサステナビリティ推進に向けた全般的な対応に加え、IR・広報業務を担っております。さらにグループ内横断組織として「OVOLサステナビリティ推進委員会」及び「OVOL環境・安全委員会」を設置し、グループ全体にて環境・安全コンプライアンスの向上及びサステナビリティ推進に取り組んでおります。
※ESG課題とは、環境・社会・ガバナンスに関する幅広い課題を意味し、以下のような課題が含まれております。
環境(E) : 気候変動、資源枯渇、廃棄、汚染、森林破壊、等
社会(S) : 人権、強制労働・児童労働、労働条件、雇用関係、等
ガバナンス(G) :贈収賄・汚職、役員報酬、役員構成・多様性、ロビー活動・政治献金、税務戦略、等
<推進体制図>
<サステナビリティ戦略会議及び各委員会の詳細>
(3) リスク管理
「サステナビリティ戦略会議」は、グループ全体でのサステナビリティに関するリスクと機会の特定、対応組織への指示、対応計画の策定、進捗の管理を行い、取締役会に報告します。取締役会は報告内容について承認もしくは改善指示を出し、適切なリスク管理が行われていることを監督します。また、サステナビリティ戦略会議にて審議されたサステナビリティ関連のリスク事項については、その下部組織である「リスク管理委員会」「OVOLサステナビリティ推進委員会」「OVOL環境・安全委員会」に指示され、グループ全体におけるリスク管理に反映されます。
(4) 戦略
① 気候変動への取り組み
当社グループは、気候変動が紙の主要な原料である森林資源の減少や、地球温暖化による物理的リスク等の様々なリスクを引き起こす可能性があると認識しております。当社グループを含めたサプライチェーン全体で排出する温室効果ガス(GHG)排出量の削減により、気候変動への影響を最小化していくことが企業としての責務であると捉え、グループ全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減に関する中長期目標を策定し、目標達成に向けた取り組みを推進しております。
当社グループは、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの専門機関が作成した2つのシナリオ(気温上昇が1.5℃(2.0℃)未満に抑制されるケースと4℃以上になるケース)を用いて、紙・板紙卸売、製紙加工、環境原材料、不動産賃貸の4つの事業分野について、気候変動に伴うリスクと機会の抽出を行いました。気候変動がもたらすリスクと機会は、低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響(物理的リスク)に分類され、これらのリスクと機会を事業戦略に織り込むため、財務影響を短期・中期・長期の観点で定性的に評価いたしました。各事業分野に影響が及ぶ事象を集約したのち、短期・中期・長期にわたり中程度以上の影響を受ける項目を一覧として下記に示します。また、当社グループが晒されるリスクに関して財務インパクトとして定量的な分析を行いました。
・移行リスクと機会は、IEA(国際エネルギー機関)が発行するWorld Energy Outlookに記載のSTEPS,APS,SDS,NZE等、物理的リスクはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)にて採用されているRCP2.6,RCP8.5等をベースに分析しております。
・影響度は、事業の存続に大きな影響があるレベルを“大”、事業の戦略を大きく変更する必要があるレベルを“中”と表示しております。
・影響度(大・中)の定義は、Applying Enterprise Risk Management to Environmental, Social and
Governance-related Risks,COSO & WBCSD をもとに作成しております。
(※1)グリーン証書:再生可能エネルギーにより発電された電気の環境価値を取引可能な証書にしたもの
(※2)コーポレートPPA:企業が発電事業者や、電力小売業者と直接契約し、再生可能エネルギーの電力を調達する仕組み
(※3)インターナルカーボンプライシング:低炭素への取り組みを進めるために企業内部で設定する炭素価格
(※4)急性:異常気象による気象災害などの事象(突発的な急性リスク)
(※5)慢性:長期的な気候パターンや降雨パターンの変化による事象(緩行的な慢性リスク)
■財務インパクトの分析結果
財務インパクトに関するシナリオ分析の結果、移行リスクにおける炭素税の導入が当社グループの製紙事業を中心に大きな影響を与えると想定しております。一方、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を推進することにより、その影響を軽減できると考えております。物理的リスクでは、洪水・台風といった異常気象による国内グループ主要拠点の被害想定額は、1.5℃(2.0℃)及び4℃シナリオで1.7~5.1億円程度と試算しております。また、当社グループの取引先が甚大な被害を受けた場合、サプライチェーンにおける工場の操業停止や製品及び原燃料などの輸送が寸断される可能性があり、試算額以上の被害が想定されます。
・対象範囲は、当社及び国内連結子会社です。
・財務インパクトの試算額については、炭素税は「IEA WEO2022」、電力価格は「IEA WEO2019」、洪水被害は国土交通省「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」、高潮被害は環境省「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ」及び「気候変動影響評価報告書」等で公表されているパラメーターを使用し算出しております。
(※)2050年のパラメーターが無いため、2040年の数値で分析しております。
② 人的資本・多様性に対する取組み
イ 当社グループにおける人材戦略
当社グループは、人材こそがグループの経済価値の創造を左右すると認識しております。今後さらなる持続的成長を遂げるため、「労働環境」と「ダイバーシティ&インクルージョン」を人材面のマテリアリティとして特定し、取り組みを進めております。
ロ 当社における人材育成方針
当社は人材育成を「持続的な成長のための投資」と考え、積極的に投資するとともに、人事データを元に戦略的な採用、教育などを実行する透明度の高いプロセスの確立を重要視して取り組みを進めております。
人材の採用については、質的にも量的にも高水準の人材を確保することを目指し、新卒採用に加え、キャリア採用にも力を入れております。人材育成については、「役割と責任を果たす人材の育成」「変革期に対応する自立型人材の育成」をコンセプトにプログラムを推進しており、各世代に応じた様々な研修を実施するとともに、社員の成長を促し、能力開発を目的とした育成型異動や、経営人材育成に向けたグループ会社への出向などを推進しております。これらの取組みを反映した人事データを、タレントマネジメントシステムを通じて人材ポートフォリオとして活用し、人材の戦略的配置を実施しております。
ハ 当社における社内環境整備方針
当社は魅力ある人材の採用・維持に注力するとともに、能力開発機会の提供、公正な評価・処遇や働きやすい労働環境の整備など、すべての従業員の活躍を促す仕組みを拡充していくことで、個々の従業員の能力向上と組織力の強化に取り組んでおります。その中で、役職員一人ひとりが自らの健康に責任を持ち、心身の健康維持・増進に主体的に取り組み、意欲をもって働くことが、個々の生活の質や仕事の質を高め、当社の生産性や企業価値向上につながると考え、健康経営への取り組みを強化しております。また今後、人的資本を強化していくために従業員エンゲージメントの向上が必要不可欠と考えており、2023年度からエンゲージメントサーベイを実施し、エンゲージメント向上に向けた取り組みを進めております。この他、多様な人材が活躍する基盤を整備するため、子育てサポートの環境整備や定年延長の実施など性別・年齢などに関係なく多様性が受け入れられる職場風土の醸成と制度の構築にも注力しております。
③ 人権への取り組み
当社グループは国内外に多数の事業拠点、パートナー、仕入先、協力会社、販売先、エンドユーザーを有していることから、サプライチェーン上に人種・国籍・文化的背景等が多様なステークホルダーが存在しています。また、当社グループは木材を原材料とする紙を中心に取り扱っておりますが、木材は生産や加工の過程において人権や環境への影響が特に考慮されるべき原材料の一つとされています。そのため当社グループでは、サプライチェーンを含めた人権尊重への取り組みが重要であると認識し、「日本紙パルプ商事グループ人権方針」、及び「日本紙パルプ商事グループ 持続可能な調達に対する考え方」を策定し、当社グループとしての人権に対する考え方を明確化しています。
当社グループは人権尊重への取り組みにあたり、OVOL中期経営計画2026においては、「ビジネスと人権への対応」として、「①人権尊重の風土醸成・浸透」「②人権デュー・デリジェンスの実装とリスクの把握・改善」「③苦情処理メカニズムの実装」の3つの取り組みテーマを掲げています。
OVOL中期経営計画2026の初年度である2024年度においては人権デュー・デリジェンスに着手し、当社グループとして重要な人権課題を特定しました(下表参照)。人権課題の特定に際しては、世界人権宣言をはじめとした各種規範やガイドラインに基づくとともに、社内調査や外部専門家の意見を踏まえて「深刻度」「発生可能性」等の観点から評価を行いました。
人権課題への取り組みとして、すでに役職員向け「ビジネスと人権」研修の実施や、当社単体の主要仕入先に対する人権侵害リスクのアセスメントなどを行っております。今後は特定した課題に対する施策を検討・推進し、その進捗状況をサステナビリティ戦略会議においてモニタリングするとともに、各施策のプロセスや結果について適切な情報開示を行います。これらの取り組みを通じて、当社グループの事業活動における人権尊重の責任を果たしてまいります。
(5) 指標及び目標
① 気候変動への取り組み
当社グループでは、製紙事業子会社を中心に以前から温室効果ガス(GHG)排出量削減に取り組んでおりますが、パリ協定で掲げられた「気温上昇を1.5℃未満に抑える」という世界共通の目標達成に向け、グループとしての削減目標を明確にするために、「日本紙パルプ商事グループ温室効果ガス排出量に関する中長期削減目標」を2024年5月に公表いたしました。現在、この目標の達成に向けて、製紙事業子会社を中心に生産効率向上などによる省エネルギー化の推進や購入電力を再生可能エネルギーへ切り替える等、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に取り組んでおり、2023年度のScope1・2は、2019年比で約34%の削減を実現しました。今後、Scope3においても算定の精緻化とともに削減の取り組みを推進していく予定です。
また、2024年2月にGXリーグへ参画し、持続可能なビジネスモデルの構築や環境に配慮した取り組みを推進しております。
「日本紙パルプ商事グループ 温室効果ガス排出量削減に関する削減目標」
中期目標:2030年度までに2019年比で50%削減
長期目標:2050年カーボンニュートラルの実現を目指す
※対象範囲:日本紙パルプ商事および連結子会社におけるScope1・2
■温室効果ガス(GHG)排出量推移
単位:万t-CO2
※2019年度から2021年度の海外連結子会社については、2022年度の算定値を基準に推計しております。
※Scope1・2のGHG排出量の精緻化を進め、2019年まで遡及し再算定しています。
※Scope2は、マーケット基準で算定しております。
※Scope3の算定値については、2021年度は当社単体、2022年度以降は当社及び国内外連結子会社を対象範囲としております。
※単体における2021年度、2022年度、2023年度のScope1・2、及び、2023年度のScope3について一般社団法人日本能率協会地球温暖化対策センターによる第三者検証を受審しています。
※2023年度のScope3について、第三者検証の結果を踏まえて係数を見直しました。
※数値は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計が一致しない場合があります。
② 人的資本・多様性に対する取り組み
イ 人材育成・社内環境整備に関する指標
当社では、上記「(4)戦略」において記載した人材の多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備方針について次の指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は次のとおりです。これらの指標項目については、今後も人的資本・多様性に対する取り組みを深化させる中で必要に応じて見直しを行ってまいります。
なお、連結グループにおいて主要な事業を営む当社においては指標のデータ管理とともに具体的な取組みを進めている一方、現在のところ全ての連結子会社で同様に行われていないため、連結グループとしての記載が困難であることから、提出会社である当社単体の目標及び実績を記載しております。
人材育成 テーマ①人材の採用
人材育成 テーマ②人材の戦略的配置
人材育成 テーマ③多様な人材を活かす企業風土の醸成
社内環境整備 テーマ①健康経営
社内環境整備 テーマ②エンゲージメント
社内環境整備 テーマ③多様な人材の活躍基盤構築
③ 人権への取り組み
OVOL中期経営計画2026に掲げた3つの取り組みテーマに対する、2024年度実績は以下のとおりです。