2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 ただし、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載いたしましたリスク以外のリスクも存在し、その要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)需給動向及び市況に関するリスク

 当社グループは、水産物等の卸売事業を主たる事業とし、当該事業に関連する事業としてハマチ・ブリ、マグロ等の養殖事業、水産物の加工事業等を行っております。

 水産物は、その性質上、天然資源であり、漁獲量や養殖生産量等の供給量と需要量のバランスにより市況が形成される傾向にあることから、需給バランスの変動による取引価格等の変動を可能な限り見極めるため、漁獲量、養殖生産量の動向等の生産者情報や選好指向、購買行動等の消費者情報、及び市況情報等を精緻に収集・分析し営業活動を行っております。

 しかしながら、将来において、海洋環境の変化等による漁獲量、養殖生産量等の急激な変化により需給バランスが崩れ、市況が大幅に変化する場合は、消費動向の急激な変化により販売計画に齟齬が生じる可能性があり、特に多大な売上高の減少、利益率の低下等があった時は、経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(2)食品の安全性に関するリスク

 当社グループでは、「お客様に安全・安心、満足をお届けする」旨を経営ビジョンの一つとして位置付けております。この考えのもと、取扱商品・製品の安全性や品質等を確保するため、品質管理部門を設置するなどして品質管理体制を構築するとともに加工部門、委託加工先においては一層の衛生管理水準の向上や異物混入の排除等に努めております。

 しかしながら、将来において、当社グループの経験値に基づく想定を超える事象が発生した場合は、販売・製造活動の停止、商品・製品の回収・廃棄、信用力の低下等により、グループ全体の業務遂行に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少、商品・製品の回収・廃棄費用、損害賠償費用等の計上により、経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(3)自然災害に関するリスク

 当社グループは、全国に営業拠点を配置し営業活動を行っております。

 このため、台風、地震、大雨等の自然災害の発生に備え、事業を継続的に行えるよう、営業拠点候補地の選定にあたっては災害等の顕在化する可能性等を勘案して行うとともに、建物の建設にあたっても災害等に対する構造・強度、耐震性、耐火性等も勘案して行うよう努めております。また、災害発生時には速やかな復旧に努めることはもとより、その後の災害も見通した対策を講じてきております。

 しかしながら、将来において、当社グループの経験値に基づく想定を超える大規模な自然災害が発生した場合あるいは複合的な事象が重なった場合は、人的・物理的な被害や停電等により業務遂行に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少、施設等改修費用、商品・製品在庫の廃棄損等の計上により経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(4)感染症の流行に関するリスク

 当社グループは、水産物を国内外から調達して、必要に応じて国内で加工等を施し、国内外の顧客に販売することなどを主たる営業活動の形態としております。

 主たる販売先は、卸売市場仲卸業者、加工業者、量販店、外食業者、宿泊業者等であります。

 感染症の流行に備え、役職員への感染防止の徹底、調達・販売ルートの分散化等に注力しております。

 しかしながら、将来において、重篤な症状に至る感染症のパンデミックが起きた場合は、感染による役職員の就業禁止、外出自粛や入国規制に伴う販売先の休業、輸送停止に伴う海外取引の停止等により業務遂行に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少等により、経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(5)養殖事業に関するリスク

 当社グループは、九州・四国において、ハマチ・ブリ、マグロ等の養殖事業を行っております。

 このため、台風、津波、赤潮、魚病等の発生による養殖魚の海洋流出、斃死等に備え、養殖漁場を6カ所に分散するとともに、自然災害の影響縮小化に対応した養殖施設の設置、海洋環境の保全に対応した投餌方法の採用、養殖密度の低減、養殖魚生育管理の充実等に注力した事業運営を行っております。加えて、養殖魚に係る一定補償限度額の損害賠償保険にも加入しております。

 しかしながら、将来において、大規模な自然災害、予防困難な魚病等が発生した場合は、大量の養殖魚の海洋流出、斃死等により業務遂行に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少、在庫の評価損・廃棄損等の計上により経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(6)情報システムに関するリスク

 当社グループは、主要連結子会社においては全国に営業拠点を配置し、コンピュータセンターで集中処理を行う全国的なネットワークシステムを構築しております。

 このため、自然災害によるデータの紛失・損壊、コンピュータウイルスの侵入によるシステム障害、不正アクセスによる情報流出等に備え、インフラの冗長化、データのバックアップ、データセンターの利用、セキュリティーの強化等の対策を講じております。

 しかしながら、将来において、大規模な自然災害、未知のコンピュータウイルスの侵入・不正アクセス等が発生した場合は、情報システムの停止、信用力の低下等により、グループの業務遂行の継続に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少、復旧費用の計上等により経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(7)金利情勢に関するリスク

 当社グループは、仕入・販売活動及び設備投資等に要する資金の一部を金融機関から借入により調達しております。2024年3月末日における借入金残高は連結ベース26,053百万円であります。

 このため、金利の上昇に備え、借入金の絶対量の縮減に努めるとともに、資金使途に対応した適切な資金調達方法を都度、選択しております。

 しかしながら、将来において、経済情勢の急激な変化等により金利が大幅に上昇した場合は、仕入・販売活動及び設備投資等の縮小・延期等により業務遂行に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少、支払利息の計上等により経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(8)為替レートの変動に関するリスク

 当社グループが行う事業の取引形態においては、海外から直接調達する輸入水産物や海外へ直接販売する輸出水産物の取扱いが一定量含まれております。

 このため、為替レートの変動による一定の為替差損の要素をヘッジするため、基本的に、取引ごとに為替予約を行っております。

 しかしながら、将来において、急激な為替レートの変動が発生した場合は、調達価額や販売価額が大幅に高騰すること等により業務遂行に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少等により経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(9)退職給付制度に関するリスク

 当社グループの一部の連結子会社においては、退職給付制度として確定給付企業年金制度を採用しております。

 このため、確定給付企業年金制度における国内外の株式・債券市場等の低迷による年金資産の時価下方変動に備え、当該制度と年金資産の時価下方変動を考慮する必要のない退職一時金制度とを併用して運用しております。また、確定給付企業年金制度の運用にあたっては、専門性と運用得意分野が異なる複数の運用機関に委託し、運用効率の向上及び運用リスクの分散に努めております。

 しかしながら、将来において、大幅な年金資産の時価下方変動や退職給付債務の算定に用いる割引率及び年金資産の期待運用収益率等の前提条件と実際の運用結果に大幅な乖離が生じる可能性があり、実際の退職給付費用が見積額に比して大幅に増加することにより、経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(10)不正に関するリスク

 当社グループは、全国に営業拠点を配置し営業活動を行っており、業務遂行に係る直接的な管理業務は拠点ごとに分散化せざるを得ない状況にあります。

 このような状況下において、当社は、内部統制を整備するとともに、役職員の不正・不法行為を未然に防止するため、「グループ行動規範」を制定し、コンプライアンス研修・意識調査を実施するとともに、連結子会社からはコンプライアンスに関する計画及び実施状況について報告を求め、内部通報窓口を設置するなどコンプライアンスの遵守の徹底に努めております。

 しかしながら、将来において、役職員が重大な不正・不法行為を行い、当社グループの複数の内部統制がことごとく看過した場合は、信用力の低下に加えて当該事案に係る調査による事業の制約等によりグループ全体の業務遂行に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少、不正・不法行為に係る損失等の計上により、経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

(11)法規制等に関するリスク

 当社グループは、国内外で事業を遂行していくうえで、卸売市場法、漁業法、食品衛生法等の様々の法規制の適用を受けております。

 このため、当社グループは、品質管理部門を設置し、食品関係法令に対応するとともに、企画、総務、人事、経理部門等が各々関係する法令の改正動向に対応しております。

 また、「グループ行動規範」を制定し、コンプライアンス研修・意識調査を実施するとともに、連結子会社からはコンプライアンスに関する計画及び実施状況について報告を求め、内部通報窓口を設置するなど、コンプライアンスの遵守の徹底に努めております。

 しかしながら、将来において、これらの法令への対応、職場での徹底が不充分なこと等により法令に違反する事案が発生した場合、事業活動の停止等の制約によりグループ全体の業務遂行に支障が生じる可能性があり、多大な売上高の減少、不法行為等に係る損失等の計上等により経営成績等が悪影響を受けるリスクがあります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要政策のひとつとしております。

 中長期的な経営基盤の安定強化に留意し、業績や経済情勢を総合的に勘案しながら、安定的な配当水準を維持することを基本に考えております。

 当社は、期末配当の年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。この期末の剰余金の配当の決定機関は株主総会であります。

 当事業年度の期末配当については、2024年3月期連結業績を踏まえ、1株につき普通配当60円に特別配当15円を加算し75円といたしました。この結果、当事業年度の配当性向は21.5%となりました。

 当社は、「取締役会の決議をもって、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対し、中間配当として剰余金の配当を行なうことができる。」旨を定款に定めておりますが、中間配当は実施しておりません。

 なお、2025年3月31日を基準日とする配当より配当方針を変更し、中長期的な経営基盤の安定強化及び成長投資に必要な内部留保の確保に十分留意しつつ、連結株主資本配当率(DOE)1.6%を目途に安定的な配当水準を維持することを基本方針といたします。

 

当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月27日

403

75.0

定時株主総会決議

(注)1株当たり配当額には、特別配当15円を含んでおります。