2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    169名(単体) 11,740名(連結)
  • 平均年齢
    44.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.3年(単体)
  • 平均年収
    8,335,535円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

エモーショナルバリューソリューション事業

6,734

[232]

デバイスソリューション事業

3,212

[65]

システムソリューション事業

1,597

[18]

その他

28

[11]

全社(注3)

169

[0]

合計

11,740

[325]

 

(注) 1.従業員数は、就業人員(当社グループ(当社及び連結子会社)からグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの受入出向者を含む)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.臨時従業員には、パートタイマーを含みますが、派遣社員は含んでおりません。

3.全社は、本社部門の従業員数であります。

4.システムソリューション事業における従業員数が前連結会計年度に比べ増加している主な理由は、連結子会社1社の取得によるものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

169

44.3

18.3

8,335,535

 

(注) 1.従業員数は、就業人員(当社から社外への出向者13名を除き、社外から当社への受入出向者53名を含む)であります。

2.平均勤続年数は、当社のグループ会社への転籍期間を含む通算勤続年数を基に算出しております。

3.平均年間給与は、賞与及び時間外手当が含まれております。

 

(3) 労働組合の状況

労使関係について特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の

割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)1

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

25.0

100.0

*

81.8

78.2

63.9

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したもので

あります。

 2.「*」は男性の育児休業取得の対象となる従業員が無いことを示しております。

 

②連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・有期

労働者

 

全労働者

正規雇用

労働者

パート・有期

労働者

セイコーウオッチ㈱

16.8

87.5

*

(注)1

74.7

75.3

66.3

セイコータイムラボ㈱

20.0

(注)1

㈱クロノス

16.2

0.0

*

(注)1

84.9

86.1

72.3

セイコーリテールマーケティング㈱

26.2

(注)1

盛岡セイコー工業㈱

100.0

*

(注)1

76.6

81.8

90.8

二戸時計工業㈱

(注)1

62.6

76.4

89.9

㈱和光

51.3

100.0

*

(注)1

セイコータイムクリエーション㈱

75.0

*

(注)1

73.4

74.0

72.2

セイコーインスツル㈱

10.5

81.8

*

(注)1

73.5

78.5

62.3

セイコーNPC㈱

100.0

*

(注)1

セイコーソリューションズ㈱

9.5

100.0

*

(注)1

68.7

71.1

56.7

㈱アイ・アイ・エム

31.7

(注)1

㈱CSMソリューション

4.3

(注)1

コンピューターサイエンス㈱

9.4

(注)1

71.0

68.0

87.0

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したもので

あります。

 2.「*」は男性の育児休業取得の対象となる従業員が無いことを示しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

サステナビリティに係る重要事項は、当社グループのESG・SDGsに関わる方針の策定や、それに基づく活動を円滑に行うことを目的として設置されたサステナビリティ委員会で議論のうえ決議され、取締役会に報告されます。取締役会はサステナビリティ委員会の監督機能を担っており、定期的にサステナビリティに係る重要事項について議論を行います。

また、役員業績連動報酬の業績評価指標(KPI)に「非財務(ESG)評価」としてCO2排出量削減率を組み入れています。

 

(推進体制)


 

(各役割)

■取締役会

サステナビリティ委員会からの決議内容について年1回以上報告を受け、課題への取り組みや進捗状況の監督機能を担います。また、定期的にサステナビリティに係る重要事項について議論を行います。

■代表取締役社長

代表取締役社長は、サステナビリティ委員会の委員長を担い、気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsに関わる方針の策定や、それに基づく活動全般に関する経営判断の最終責任を負っています。

■サステナビリティ委員会

代表取締役社長を委員長とし、ESG・SDGs担当役員をはじめとした常勤役員、グループ各社代表取締役がメンバーとなり構成されています。気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項につき、原則年2回の定例会、必要に応じて開催される臨時委員会で議論のうえ決議を行い、決議内容を取締役会に報告します。サステナビリティ委員会で決議された内容に基づき、担当役員が中心となって活動を進めています。

 

1) 取締役会・委員会開催実績

気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項については、原則年2回、サステナビリティ委員会において議論のうえ決議を行い、取締役会に年1回以上報告を行うこととなっています。当社グループでは2021年9月にサステナビリティ委員会を設置し、以降、活発に議論・決議を行い、取締役会に報告しております。

 

2) 役員業績連動報酬

役員業績連動報酬については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」に記載しております。

 

 

(2) リスク管理

当社グループでは、グループの事業に重大な影響を与えるリスクを一元的に管理すべく、代表取締役社長を委員長とするセイコーグループリスクマネジメント委員会(以下「当社リスクマネジメント委員会」)が中心となり、リスクへの対応に取り組んでいます。グループ横断で対処すべき重要リスクを「グループ重要リスク」と定義し、毎年、当社リスクマネジメント委員会が、その発生可能性や影響度等から重要度を評価し選定を行っています。

 

グループ重要リスクについては、当社リスクマネジメント委員会が、当社およびグループ各社のリスクオーナーより、対応策やその進捗の報告を受け、リスク対応をモニタリングし、取締役会へ報告します。加えて、当社常勤役員とグループ各社の代表取締役で構成するグループリスクマネジメント委員会と、グループ全体のリスクを確認・共有する体制としています。

 

気候関連リスクについては、より詳細な分析を行うため、サステナビリティ委員会がシナリオ分析を通じて、グループ各社の気候関連リスクの中から特にインパクトが大きいリスクを特定・評価し、決議を行い、グループ各社とリスクへの対応策を推進しています。決議内容については取締役会に報告する体制となっています。

なお、気候関連リスクはグループ重要リスクに含まれており、その気候関連リスクについては、サステナビリティ委員会で決議された対応策やその進捗を、担当役員を通じて当社リスクマネジメント委員会に報告しています。

 

(グループリスクマネジメント推進体制)

 


 

上記の各委員会の役割は以下の通りです。

■セイコーグループリスクマネジメント委員会

代表取締役社長を委員長とし、グループ横断で対処すべきリスクへの対応に取り組んでいます。また、当社およびグループ各社のリスクオーナーより報告を受け、各社のリスクマネジメントの推進を支援しています。

 

■グループリスクマネジメント委員会

常勤役員とグループ各社の代表取締役で構成され、グループ全体のリスクの確認・共有、グループ重要リスクのリスク対応のモニタリング・情報共有を行っています。

 

■グループ各社リスクマネジメント委員会

グループ各社は、各社リスクマネジメント委員会を中心に、自律的にリスクマネジメントを推進しています。

 

■サステナビリティ委員会

気候関連リスクを含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項につき、議論のうえ決議を行い、決議内容を取締役会に報告します。グループ重要リスクに選定された気候関連リスクについては、担当役員を通じて対策やその進捗をセイコーグループリスクマネジメント委員会に報告します。

 

 

(3) 戦略

<サステナビリティ方針>

セイコーグループは、グループパーパスを原点に、”WITH”(W:well being より良い人生を / I:inclusion すべての人に / T:trust 確かな信頼で / H:harmony 地球との調和)を実現する事業活動に取り組み、グループのたゆみない成長とともに持続可能な社会発展に貢献します。

 

<マテリアリティ>

■Well-being(よりよい人生を)

あらゆるステークホルダーが多様な価値観を認め合い、誇りと生きがいを感じながら働き、生活ができる社会を目指します。


 

 

■Inclusion(すべての人に)

新しい時代における人々の多様な生活に必要な基本インフラをものづくりとデジタルの力で支え、安心安全な社会を実現することを目指します。


 

■Trust(確かな信頼で)

「社会に信頼される会社であること」を基本理念におき、法令の遵守、経営の透明化、社会倫理の尊重を重要な経営課題と位置づけています。


 

 

■Harmony(地球との調和)

環境技術への対応を通じて、温室効果ガスの削減や生物多様性の保全に努め、地域社会とともに地球環境と共生する持続可能な社会の構築に貢献します。


 

当社グループでは、次の4つのステップを経て、マテリアリティ特定を行いました。

 

■STEP1 社会課題の把握・抽出

現在から将来にわたり、国内外に影響を及ぼす社会課題についてGRIスタンダード、SDGs、ISO26000等を中心に、当社に関連する社会課題及びステークホルダー及び自社や、サプライチェーン上の課題を広く抽出・リスト化しました。抽出にあたっては外部有識者からの意見も参考にしながら検討、絞り込みを実施しました。

■STEP2 マテリアリティ候補の抽出

当社グループ各社から選出されたメンバーで、社会課題解決について議論、取組み施策を検討、リスト化を行いました。グループ事業会社及び関連する部門より役職・年齢・性別等の異なる多様なメンバーをESG・SDGs担当者として選出。ワークショップ形式でありたい姿を議論の上、自社として取り組むべきであり、ステークホルダーから期待される社会課題解決について議論を行いました(ワークショップは全5回実施)。併せて各社・部門内にて、マテリアリティ候補に対して想定する取り組み施策についても検討し、リスト化しました。

■STEP3 抽出された候補の重要度評価

上記を経て抽出されたマテリアリティ候補に対して、当社に解決を期待するマテリアリティについてステークホルダーに対してアンケート調査※を実施しました。

※顧客(BtoC/BtoB)、サプライヤー、投資家/債権者/アナリスト/NPO/当社が事業活動を行っている地域住民を対象にインターネットを使ったモニター調査及び特定の関係者への聞き取り調査を実施

■STEP4 マテリアリティの特定

常勤取締役・監査役、各事業会社社長により構成されるマテリアリティ特定検討会を開催(全6回)し、外部ステークホルダーからの期待や指摘を元に、マテリアリティ候補の重要性や具体性について社内で再検討や見直しを実施しました。その上で、当社の企業理念、パーパス、長期ビジョンとの整合性をはかり、最終的に当社として取り組むべきマテリアリティを特定し、取締役会で決議致しました。

 

なお、詳細につきましては、以下の当社ウェブサイトをご参照ください。

(URL https://www.seiko.co.jp/csr/materiality/

 

 

1) 気候変動・脱炭素

セイコーグループは、「気候変動・脱炭素への取り組み」をマテリアリティの一つに位置づけ、温室効果ガス排出量削減の長期目標を設定して、脱炭素社会の実現に向けて取り組みを強化しています。

2021年10月に賛同を表明した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に基づき、気候変動が事業に与えるリスク・機会に関するシナリオ分析を行うとともに、脱炭素に向けた取り組みに関する情報開示の強化を進めています。

 

① シナリオ分析プロセス

気候関連リスク・機会が当社グループに与える財務影響および事業インパクトを異なるシナリオ下で評価し、当社グループのレジリエンスを高めることを目的として、下記のステップに沿ってシナリオ分析を実施しています。

 

(参照シナリオ)

区分

シナリオの概要

主な参照シナリオ

2℃未満シナリオ

脱炭素社会の実現へ向けた政策・規則が実施され、世界全体の産業革命前からの気温上昇幅を2℃未満に抑えられるシナリオ。移行リスクは高いが、物理リスクは4℃シナリオと比較すると低く抑えられる。

・IEA World Energy Outlook 2023.

Announced Pledges Scenario

・IPCC RCP2.6/SSP1-2.6

4℃シナリオ

新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO2排出量は継続的に増加するシナリオ。2℃未満シナリオと比べ、移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。

・IEA World Energy Outlook 2023.

Stated Policy Scenario

・IPCC RCP8.5/SSP5-8.5

 

 

(シナリオ分析ステップ)

STEP1

重要な気候関連リスク・機会の特定、パラメータの設定

●気候関連リスク・機会の抽出

●重要性の高いリスク・機会の評価

●重要性の高いリスク・機会に関連するパラメータの設定

STEP2

気候関連シナリオの設定

●STEP1の情報等をふまえ、既存シナリオのうち、関連性の深いシナリオを特定

●気候関連シナリオ(社会像)の設定

STEP3

各シナリオにおける財務インパクトの評価

●STEP2で設定した各シナリオと、STEP1で特定した重要な気候関連リスク・機会と関連パラメータをふまえ、各シナリオにおける財務インパクトを分析

STEP4

気候関連リスク・機会に対する戦略のレジリエンスの評価・更なる対応策の検討

●気候関連リスクおよび機会に対する当社戦略のレジリエンスの評価

●更なる対応策の検討

 

 

 

 

② 気候関連リスク・機会に伴う事業インパクトおよび当社グループの対応

グループ全事業を対象としてシナリオ分析を実施し、以下のとおり、重要性の高いリスク・機会の評価を行い、対応策を策定・推進しています。

 

(気候関連リスク)

リスク区分

リスク内容

事業インパクト

(2030年)※1

当社グループの対応

2℃未満

シナリオ

4℃

シナリオ

リスク

移行リスク

政策

規制

炭素税導入・強化によるコスト増加

4.5億円

※2

3.5億円

※2

・温室効果ガス(GHG)排出量削減の長期目標、脱炭素移行計画に基づき、特に国内のGHG排出量を前倒しして戦略的に削減

・省エネ推進

・自家発電、PPAを含めた再エネ導入加速

・原材料・製品輸送につき、GHG排出量が多い事業を中心に、モーダルシフト・ 輸送効率化による削減を推進

技術

エネルギー価格の上昇による製造・輸送コスト増加

市場

取引先からの気候関連対策の要請に対応できないことによる売上減少

・脱炭素移行計画に沿ったGHG排出量の削減を実施

・取引先の気候関連課題解決に貢献する製品・サービスの開発を推進

原材料価格の上昇による仕入れコスト増加

・最小発注数量の調整や納期等の購買条件でサプライヤーと連携を強化

物理リスク

急性

異常気象によるサプライチェーンの寸断・物流遅延による売上減少

・気候変動による大規模災害や損害保険料の増加等に備えて、被害を軽減するBCPを策定済み。今後見直しを行い、さらなるリスク低減を図る

・複数購買、洪水実績のないサプライヤーとの取引を実施済み。今後さらに拡充

・洪水影響が特に懸念される生産拠点では、高台に第二工場を設置する等の対応を実施済み。今後さらに操業体制見直し、中長期的な設備移設計画を検討

・適正な安全在庫の確保等で得意先への納入遅延を回避。洪水発生時は速やかに 代替部品・生産場所を確保し生産継続を図る

・損害保険料を把握し、今後大きく保険料が増加しそうな拠点については、情報収集に努め、必要に応じてBCPを見直す

異常気象による工場・店舗の運営中断・人員確保困難による売上減少

慢性

異常気象増加による損害保険料の増加

 

 

 

 

(気候関連機会)

機会区分

機会内容

事業インパクト

(2030年)※1

当社グループの対応

2℃未満

シナリオ

4℃

シナリオ

機会

エネルギー源

再エネ導入によるコスト削減

・策定した脱炭素移行計画に基づき、電力コスト削減にもつながる自家発電・オンサイト/オフサイトPPAの追加導入を加速

製品及び

サービス

CPS/IoT社会の拡大に伴う低消費電力対応製品の売上増加

・水晶振動子・発振器などの電子デバイスにおいては、低消費電力製品を拡充して拡販

・データセンターの省電力化に貢献する高精密部品では、旧製品からの置換えを積極的に促進

自動車のEV化に伴う関連部品の売上増加

・水晶振動子・発振器などの電子デバイスにおいては、「車載(EV向け)」を新規重点市場として拡販活動を推進

・高精度機械部品では、EV向けに差別化技術開発を進め、高精度高信頼な新製品を既存・新規顧客に提供

顧客企業の環境負荷低減に貢献できる低炭素対応製品/サービスの売上増加

・プリンティングデバイス(サーマル/インクジェット)では、顧客企業の低炭素対応に貢献する製品のラインアップ拡充や、成長市場向けに生産体制を拡充

・センサ関連は、効率駆動による低消費電力の新製品を開発、製品ラインアップを拡充

消費者の環境意識への高まりに対応した製品の売上増加

・小売部門では、リペアコーナーの拡充や、さらなる環境負荷低減商品の積極的な選定・販売を推進

・ソーラークロックなど長寿命・環境配慮製品のPR・拡販活動を推進

市場

省エネ推進に伴うIoTや生産・流通関連の新規製品/サービスの創出

・IoT用半導体需要の拡大を受け、ICに係る省エネルギー化を推進し、新規ビジネス市場を創出

・生産・流通デジタル化の流れを受け、顧客の課題解決のための提案を行い、新規ビジネス市場を獲得

脱炭素経営によるブランド価値向上に伴う売上拡大

・脱炭素社会に向けた取り組みを強化し、当社グループの脱炭素に対する経営姿勢を積極的に開示する

・気候変動に相互に影響を与え合う、生物多様性への取り組みについてもタイムリーに開示し、ブランド価値向上を図る

 

※1 事業インパクト大:利益影響10億円以上、あるいは、事業の撤退、または数ヶ月以上の事業中断等、事業に対し極めて重大な影響をもたらす。

事業インパクト中:利益影響1億円以上10億円未満、あるいは、事業計画への影響、事業の縮小、または1週間~1ヶ月程度の事業中断等、事業に対し重大な影響をもたらす。

事業インパクト小:利益影響1億円未満、あるいは、事業計画への影響・事業中断はほとんどなく、事業に対し影響をもたらすが軽微である。

※2 2030年GHG排出量(Scope1, 2)を成長予測及び削減計画に基づき算出し、2℃未満・4℃シナリオ毎のIEA予測炭素価格を掛けて算出。為替レート1$=140JPY

 

2) 人材の育成及び社内環境整備

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成および社内環境整備に関する方針と具体的な取り組みは、次のとおりであります。

 

人材の育成および社内環境整備に関する方針

当社グループでは、現中期経営計画における人材戦略の基本方針を以下のとおり定め、2026年のありたい姿の実現を目指しています。

 

「人材開発や多様性の向上、組織風土づくりに積極的に取り組み、

社員の働きがいを高め、イノベーションの創出を通じて、

グループ一丸でソリューションカンパニーを目指す」

 

この基本方針の下、人材戦略においては、重点テーマとして、複雑化する社会課題の中で新たな価値を創造できる「人材の育成」、変化に強い組織づくりに向けた「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」、新たなイノベーションを創出するために必要な「組織風土・文化づくり」を設定し、エンゲージメントの向上を図る取組みを推進していきます。また、これまでも積極的に取り組んできた「健康経営」「人権の尊重」についても人材戦略の基盤となる活動として位置付け、強化していきます。

 


 

人材の育成および社内環境整備に関する取り組み

上述の基本方針に基づき、以下の施策を中心とした取組みを行っています。なお、各施策の対象範囲は、当社及び国内直接子会社8社(セイコーウオッチ(株)、セイコーインスツル(株)、セイコーソリューションズ(株)、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光、セイコーNPC(株)、セイコーフューチャークリエーション(株)、ヒューマンキャピタル(株))になります。

 

① 人材の育成

人材育成においては、企業価値を高めサステナブルな成長を牽引する次世代経営リーダーの育成や、DX戦略の実現に向けた社員のDXスキル強化、チームとして成果を最大化することを目的としたマネジメント力の強化を重要な課題と捉え、以下の施策に取り組んでまいります。

 

 

1.経営幹部候補人材の育成

複雑化する経営環境に対応するために必要な経営リテラシーの習得と変革マインドを醸成するプログラムを実施するとともに、経営者として必要な経験の付与を計画的に行う仕組みを構築し、次世代の経営幹部候補人材を育成していきます。

 

2.DXスキル強化

DXを実践的にビジネスに活用できる人材を育成するため、基礎力強化に始まり、実践に繋げるための一連のプログラムを実行していきます。

 

3.マネジメント力の強化

多様化するメンバーの価値観、働き方の変化など、現場のマネージャーが直面する複雑な課題の解決をサポートし、マネジメント力を高めるための教育プログラムや支援施策を実行していきます。

 

② ダイバーシティ&インクルージョンの推進

変化に強い組織となるために、人材の多様性とそこに集うメンバーが最大限に能力を発揮し活躍していくことが不可欠となります。以下の施策を通じ、継続してダイバーシティ&インクルージョンを推進します。

 

1.女性活躍推進の取り組み

女性の活躍推進に関しては、2013年度から継続して研修・講演会の開催やグループ内専用サイトを通じた情報発信、各種制度の導入などの環境整備に取り組んできました。

当社グループの管理職数に占める女性の割合を20.0%(2027年4月)に高めることを目標に掲げ、引き続き女性の活躍推進に努めてまいります。

※当社及び国内直接子会社8社に加え、セイコーウオッチ(株)の国内子会社4社、セイコーインスツル(株)の国内子会社1社、セイコーソリューションズ(株)の国内子会社7社の管理職数の合計

 

2.両立支援の取組み

2022年10月1日付の育児介護休業法改正に伴い、男性従業員(正社員)の出生時育児休業(子どもの生後8週間のうち最大4週間)を導入し、法定を上回る100%有給とするとともに、男性の育児休業取得を後押しするため、グループ社員に向けたトップからのメッセージ発信、セミナーの開催など、制度取得者だけではなく、職場の上司や同僚の理解を促進するための施策にもグループ全体で積極的に取り組んでいます。
※男性の育児休業取得率については「5.従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者 の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。
 

3.柔軟な働き方を実現する仕組みの整備

働き方に対する価値観が多様化するなかで、社員が活き活きと働くためには、場所や時間にとらわれず、生産性高く働くことができる環境・仕組みづくりが重要だと考えています。リモートワークを実現する在宅勤務制度の導入はもちろんのこと、効率的な働き方を実現するシェアオフィスを利用した勤務を一部会社・職種で導入しており、企業の垣根を超えた人材交流の機会にもなっています。

 

4.経験者採用

社外の知見を活用した価値創造を推進するため、人物本位の公平・公正な経験者の採用・登用を行っています。新たに仲間になった人材が中核として活躍し、組織文化の変革やイノベーション創出につながるよう、早期活躍・定着のための環境整備にも努めています。

 

 

5.障がい者雇用の促進

ダイバーシティへの対応の一環として、当社および事業会社(セイコーウオッチ(株)とその国内子会社2社、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光、ヒューマンキャピタル(株)、(株)あおばウオッチサービス)計8社では、特例子会社制度によるグループ適用の認定を受け、積極的に障がい者雇用を推進しております。

 

6.シニア人材の活性化

シニア世代の処遇の見直し等により、後進の育成や業務の改善に貢献し、活き活きと働くことができる環境を整備しています。

 

組織風土・文化づくり

新たなイノベーションを創出するためには、グループの組織や立場を超えて自由闊達に議論し、自由な発想、迅速な意思決定、スピーディーな行動を後押しする組織、文化の形成が必要です。その実現に向け、以下の施策に取り組んでおります。

 

1.全社組織風土改革プロジェクト(「SWING Project」)の展開

SWINGはSeiko(セイコーグループが)、 Will(意思を持ち)、Identity(主体性があり)、Natural(ありのままで)、Glory(誇りを持てる)のそれぞれの頭文字から取っており、組織文化・風土をSWING(うねりのように揺り動かす、変化させる)という思いを込めています。

まず第一歩として、物理的な壁を取り払う活動として、「オフィスでの服装の自由化」「グループ内での役職・敬称の廃止」「コミュニケーションを活性化する新たな職場づくり」を行いました。

 

2.社員と経営幹部の対話活動

社員がグループ経営幹部との直接的な対話を通じて、経営や事業戦略への主体性を高めるための取組みとして、経営幹部との対話の場を設けています。

 

3.キャリア形成支援プログラムの実施

社員が主体的に自らのキャリアを考え、自らの意思とやりがいを持って学び・働き続けることを支援することを目的として、社員の自律的キャリア形成を支援する教育プログラムの実施、キャリア相談の機会を提供していきます。

 

健康経営の推進

2019年度に「健康経営宣言」を行い、グループ横断の「健康経営推進体制」を構築し、社員の健康維持・増進への取組みを進めています。また、2019年度より5年連続で当社は健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けています。その他当社グループの4社(セイコーウオッチ(株)、セイコーインスツル(株)、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光)が大規模法人部門、2社(セイコーNPC(株)、ヒューマンキャピタル(株))は中小規模法人部門の認定を受けています。

 

⑤ 人権の尊重

2023年度はグループ全社員を対象に、アンコンシャスバイアスに関する研修を実施しました。今後も差別や偏見を排除するための取組みとして、継続的にセミナーやeラーニング等の啓蒙活動を実施していきます。

 

各種取り組みの効果測定について

以上の取組みの効果測定としてグループ共通のエンゲージメントサーベイを定期的に実施し、組織・人材面での課題の抽出や新たな取り組みへの反映を継続的に行っていきます。

 

 

 

(4) 指標及び目標

1) 気候変動・脱炭素

当社グループは、2023年11月、温室効果ガス排出量削減を前倒してすすめるために、2030年度に向けた長期目標を改定しました。この長期目標に則り、引き続き再生可能エネルギー導入を加速し、さらなる温室効果ガスの排出量削減に努めていきます。

なお、2030年度に向けた長期目標については、パリ協定で定める1.5℃水準に整合した目標であるとして、2024年4月にSBTi (Science Based Targets initiative) からSBTの認定を取得しました。

 

① 温室効果ガス排出量削減の長期目標

温室効果ガス排出量削減目標

2030年度 Scope1、2  2022年度比で42%削減(2020年度比で48.7%削減)

 Scope3    2022年度比で25%削減 対象:カテゴリ1、11

2050年度ネットゼロを目指す。

 

② 脱炭素移行計画(Scope1,2)

当社グループは、2023年11月、温室効果ガス排出量削減の長期目標改定に伴い、脱炭素に向けたロードマップを改定しました。既存設備の省エネ設備への更新、生産性向上、革新的な製造方法や装置の調査・要素開発・導入による省エネを継続してすすめ、再エネ導入については、設備導入から優先して行い、各拠点の再エネ電力への切り替え計画を前倒ししてすすめます。国内拠点100%再エネ化は2024年度中に、海外拠点も含めた全拠点の100%再エネ化は2040年度中に達成する計画です。使用する燃料も化石燃料から脱炭素・低炭素なものに切り替えを図り、残留排出量については除去系クレジットの導入で相殺し、2050年度にネットゼロの実現を目指します。

 


 

 

③ Scope1,2 GHG排出量(t-CO2)実績 2019年度~2023年度

温室効果ガス削減の取り組みは、継続的な省エネ活動、再生可能エネルギーの導入を推進した結果、2023年度の温室効果ガス排出量(Scope1,2)は約8.0万トンとなり、2022年度比で17.2%の削減を実現しました。当社の改定後の長期目標達成に向けて必要な2022年度比の削減率である5.25%を大きく上回ることができました。また、当社グループの全使用電力における再生可能エネルギー比率は、約18%となりました。

 


 

Scope1:事業者自らによる直接排出(燃料の燃焼など)

Scope2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出

※端数処理の関係でGHG排出量と内訳の合計値はあわない場合があります。

※CO2排出係数の見直しに伴い、2019年度以前のCO2排出量も遡って再算出。

※生物由来のGHG排出量はありません。

 

注1:排出係数について

電気:日本国内は、地球温暖化対策の推進に関する法律で定める電気事業者別排出係数の調整後排出係数を使用。

海外はIEA (International Energy Agency) の各国の排出係数を使用。

燃料:日本国内、海外ともに地球温暖化対策の推進に関する法律で定める燃料種別の発熱量、燃料の使用に関する排出係数を使用。ただし、供給事業所からの発熱量等の情報提供がある場合は、それを使用。

冷温水:供給事業者提供の排出係数を使用。

 

注2:2020年度から、テナント、店舗、倉庫などを集計対象に追加。社用車も含むが、委託によるエネルギー使用は含まない。

 

注3:使用量が特定できない店舗、倉庫などは床面積から電力量を推定。

 

注4:国内拠点、海外拠点ともに6.5ガスを含む。2022年度以前の海外拠点はエネルギー起源のCO2のみを含む。

 

注5:2022年度の排出量データは、第三者検証での修正により数値を改訂。

 

 

④ Scope3 CO2排出量(t-CO2)実績 2022年度

 

カテゴリ

項目

CO2排出量

(t-CO2)

カテゴリ1

購入した製品・サービス

362,397

63.3%

カテゴリ2

資本財

25,690

4.5%

カテゴリ3

Scope1,2に含まれない

燃料及びエネルギー関連活動

16,128

2.8%

カテゴリ4

輸送、配送(上流)

39,076

6.8%

カテゴリ5

事業活動から出る廃棄物

2,888

0.5%

カテゴリ6

出張

3,679

0.6%

カテゴリ7

雇用者の通勤

5,755

1.0%

カテゴリ8

リース資産(上流)

122

0.0%

カテゴリ9

輸送、配送(下流)

2,682

0.5%

カテゴリ10

販売した製品の加工

12,226

2.1%

カテゴリ11

販売した製品の使用

95,742

16.7%

カテゴリ12

販売した製品の廃棄

5,630

1.0%

カテゴリ13

リース資産(下流)

546

0.1%

カテゴリ14

フランチャイズ

カテゴリ15

投資

合計

 

572,562

100.0%

 

 

 

 

 


 

なお、詳細につきましては、以下の当社ウェブサイトをご参照ください。

(URL https://www.seiko.co.jp/csr/environment/tcfd/#title04

 

 

 

 

2) 人材の育成及び社内環境整備

当社グループでは、人材戦略に関する指標を設定しております。当該指標に関する内容、並びに目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

目標

実績

エンゲージメントスコアの向上※

※2024年度中にKPI設定予定

女性管理職比率

2027年4月に20.0%

14.2%(2024年4月時点)