人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数4,963名(単体) 83,327名(連結)
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平均年齢43.2歳(単体)
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平均勤続年数18.0年(単体)
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平均年収17,443,137円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(2025年3月31日現在)
(注)1 上記従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は〔 〕に年間の平均人員数を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、派遣契約による従業員を含めております。
(2) 提出会社の状況
(2025年3月31日現在)
(注)1 上記従業員のうち、他社への出向者は1,660人、嘱託は357人であります。
また、上記従業員のほか他社からの出向者は194人、海外支店・駐在員事務所が現地で雇用している従業員は123人、相談役・顧問は17人であります。
2 平均年間給与は、賞与、時間外勤務手当及び在宅勤務手当を含んでおります。
3 嘱託を除いた従業員の平均年間給与は17,902,172円であります。
(3) 労働組合の状況
当社及び子会社において、労働組合との間に特記すべき事項はありません。
(4) 提出会社の多様性に関する指標
① 管理職に占める女性従業員の割合:10.3% (2025年3月31日時点)
② 男性の育児休業取得率 :78.6% (2025年3月31日時点)
③ 男女間賃金差異
(注)1 管理職に占める女性従業員の割合(女性管理職比率)及び男女間賃金差異は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 男性の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 男女間賃金差異の計算対象期間:2024年4月1日~2025年3月31日
4 男女間賃金差異の計算対象項目:例月給(基本給、出向手当、別居手当、在宅勤務手当、時間外勤務手当、
管理職深夜割増手当、賞与)
5 差異理由:当社における男女間の賃金差は、女性管理職比率の構造的な違いが主な要因です。特に、部長・課長・係長など各等級で比較した場合、同一等級での性別による処遇の差はありません。当社では2022年にコース別人事管理を廃止し、職掌を一本化したうえで、個々人のスキル・能力・意欲等に応じて柔軟にキャリア形成ができる制度へ移行しました。また、職務・成果に基づく任用・登用の徹底を進めています。こうした取り組みを通じて、2030年までに女性管理職比率20%以上の実現を目指すとともに中長期的には賃金差の更なる縮小が見込まれます。
(5) 子会社の多様性に関する指標
常用労働者数が101~300人の事業会社
常用労働者数が301人以上の事業会社
(注)1 事業セグメントには、子会社が所属する事業セグメントを記載しております。
2 管理職に占める女性従業員の割合(女性管理職比率)及び男女間賃金差異は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出したものであります。
3 公表項目には、各子会社が男性の育児休業取得率を算出するにあたり準拠している以下いずれかの法令を記載しております。
①「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき算出した、男性の育児休業の取得割合
②「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の6第1号に基づき算出した、男性の育児休業等取得割合
③「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の6第2号に基づき算出した、男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合
また、正規雇用及び非正規雇用の*印は、対象期間において配偶者が出産した男性従業員が居ないことを示しております。
4 非正規雇用の*印は、非正規雇用の女性従業員が居ないことを示しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。
● サステナビリティに関する考え方
当社グループでは、「Enriching lives and the world」をコーポレートメッセージとして掲げ、持続可能な社会の実現と豊かな暮らしづくりをめざし、世界各国で事業を展開しております。このメッセージの背景には、「自利利他公私一如」という住友グループの事業精神を伝える言葉があり、「住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するほどの事業でなければならない」という想いが込められているものです。この考えは、当社グループのサステナビリティ経営の源泉であり、社会課題をめぐる長期的な事業環境変化を見通して戦略的に経営資源を配分し、当社の強みを活かしながら社会が真に必要とする価値を創造し続けること、それこそが持続可能な社会と住友商事の持続的な成長を実現するとの信念で、サステナビリティ経営を進めております。
● サステナビリティに関する取組
サステナビリティ経営の全体像、及び、気候変動、人権尊重、人的資本のそれぞれの項目に分けて、当社の取組を以下に記載します。なお、各項目それぞれにおいて、①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標及び目標の4段構成で当社の取組を説明します。
(1) サステナビリティ経営の全体像
① ガバナンス
(a) サステナビリティ経営の監督
取締役会は、当社グループの幅広い事業活動において、サステナビリティ関連の多様な機会とリスクを踏まえて、重要な経営事項を決定するとともに、経営会議及び執行役員が行う意思決定及び業務執行を監督しております。
重要な経営事項の意思決定については、取締役会が、経営会議やその諮問機関である全社投融資委員会、サステナビリティ推進委員会、全社経営戦略推進サポート委員会等での検討を経て取締役会に付議された、サステナビリティ関連方針・目標の策定・改訂、サステナビリティ関連を含む事業ポートフォリオ全体のリスクと機会、サステナビリティ推進に係る重要な取組、重要な個別案件の実施の是非等についての審議・決定を行っております。
また、取締役会は、各事業分野の戦略とその進捗状況、並びにサステナビリティ関連を含む事業ポートフォリオ全体のリスクと機会の状況について定期的に報告を受けております。具体的には、マテリアリティに基づく中長期目標の進捗状況のレビューやサステナビリティ関連方針の遵守状況に関するレビュー、サステナビリティ関連のリスクと機会などの全社的な施策・テーマに関する報告を年に複数回受けており、取締役会として業務執行側の取組状況を監督しております。
なお、取締役会は、その役割を十分に果たすため、取締役会として備えるべき知識・経験・能力等(以下、「スキル」)を特定しており、そのスキルの一つにサステナビリティを設定しております。各取締役が有するスキルは、その経歴、知識、経験、能力、保有資格、具体的な成果等を総合的に考慮し、各取締役と協議の上で決定しており、サステナビリティに係るスキルを有する複数の取締役を含み、取締役会を構成しております。詳細は当社HPのサステナビリティ関連ページを参照ください。
加えて、取締役を含む当社役員がサステナビリティ経営へのコミットメントをより強く意識できるよう、非財務指標「気候変動問題対応」、「女性活躍推進」、「従業員エンゲージメント」の評価結果を役員の報酬に反映しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」を参照ください。
(b) サステナビリティ経営の業務執行
当社グループのサステナビリティ関連の重要な経営事項の意思決定及び業務執行は、社内規程の定めに応じて経営会議及び執行役員が行っております。経営会議はサステナビリティ関連の多様なリスク及び機会を評価・管理し、効果的な意思決定を行うため、サステナビリティ推進委員会等に諮問した上で、総合的な意思決定を行っております。
また、サステナビリティ関連の取組やリスクと機会への対応については、サステナビリティを推進する施策の企画や社内浸透を担当する専門組織であるサステナビリティ推進部と、当社の経営計画全体や重要施策の企画を行う経営企画部等の関連コーポレート組織、各営業グループ、海外地域組織のサステナビリティ推進担当者が連携し、グループ内の調査機関や各営業組織、海外拠点等からもたらされる情報等を基に、全社的企画や施策の立案や推進を行っております。
加えて、ESGに関する社外有識者で構成される「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を設置し、当社のサステナビリティ経営全般について助言・提言を得て取り進めております。
当社のサステナビリティ経営におけるガバナンス体制図は次の通りです。
当社のサステナビリティ経営を含むコーポレート・ガバナンスの状況等の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」を参照ください。
② 戦略
当社グループは、これまで長年にわたって確立してきた事業基盤の上に、各SBU、各事業会社がステークホルダーと向き合いサステナビリティへの取組を継続することで、さまざまな事業機会の獲得及び当社グループの持続的な成長・発展につながると考えて、事業活動を行っております。
一方で、各SBU、各事業会社がサステナビリティの重要性を認識した事業活動を怠れば、ステークホルダーからの信頼を喪失し、長期的には顧客喪失や事業運営に必要な人材確保に影響が生じる等により、企業価値を棄損するリスクもあります。
当社グループとしては、今後も引き続き持続可能な成長・発展につながる事業活動を推進すべく、当社グループ内のみならず、バリューチェーン上の多くの関係者と協力し、バリューチェーン全体でサステナビリティ関連のリスクと機会を特定し、対応していく必要があると認識して、以下のような取組を行っております。
(a) マテリアリティの特定と中長期目標の設定・実践
当社グループが取り組むべき重要な社会課題とその解決に向けた一歩進んだ中長期のコミットメントとして、6つのマテリアリティを特定しております。“安心で豊かな暮らしを実現する”、“気候変動問題を克服する”、“自然資本を保全・再生する”、“人権を尊重する”、“人材育成とDE&Iを推進する”、“ガバナンスを維持・強化する”というそれぞれのマテリアリティ毎に設定した長期・中期目標に対してアクションプランを策定・実行し、進捗レビューを行うPDCAサイクルを継続することで、社会課題の解決を通じた持続的な成長を実現していきます。詳細は後述の「④ 指標及び目標」を参照ください。
(b) サステナビリティ関連の方針策定
当社グループの活動は広範な分野、地域に分散した事業から成り立ち、様々な社会課題と関わりを持っております。常にそれらの社会課題を考慮に入れ、当社グループは、国際行動規範を尊重し、持続可能な社会の実現に向けて取引先や事業パートナーとともに社会的責任を果たすべく、「環境方針」、「気候変動問題に対する方針」、「人権方針」、「サプライチェーンCSR行動指針」、並びに「森林経営方針」や「林産物調達方針」等、持続可能な調達を要する主要な天然資源に関する個別のサステナビリティ関連の方針を策定・周知し、事業活動に取組んでおります。
③ リスク管理
(a) 全社のサステナビリティ関連リスクの管理
当社グループでは、全社ポートフォリオ戦略の検討における様々なリスクへ対応するため、営業活動に含まれる複数のリスクファクターを選別し管理を行っております。この全社リスク管理プロセスの中で、サステナビリティを重要なファクターの一つと捉え、その他のリスクと同様に経営会議および取締役会に付議・報告を行っております。
具体的には、中期経営計画に基づく当社グループ全体の経営状況の定期レビューにおいて、サステナビリティ関連及び他の種類のリスクに関して、今後の管理・対応方針につき経営会議や取締役会にて議論し、中期経営計画における具体的な施策の検討等に反映しております。
当社グループ全体でのサステナビリティ関連のリスク及び機会の分析の中でも、気候変動についてはセクター毎にシナリオ分析を実施し、事業におけるリスク及び機会の確認を行っております。詳細は、「(2) 気候変動問題に関する取組 ② 戦略」を参照ください。
(b) 個別事業におけるサステナビリティ関連のリスク管理
新規事業に関しては、デューデリジェンスの際に、事業の性格やリスクを踏まえ、環境コンサルタントによる環境評価や法律事務所等による人権・労働問題の評価によって、事業が健全に経営されているか、環境や地域社会、従業員等のステークホルダーに深刻な影響を与えていないかを確認しております。事業実施に関する審査過程においては、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する評価シートを各SBUが作成し、同一のセクターや国に属する先行事例等から、潜在的なリスク及び機会の発生可能性や顕在化時に生じる社会・環境、並びに自社事業に与える影響をSBU自らが特定・評価した上で、サステナビリティ推進部が関連する外部情報を参照の上レビューしております。全社投融資委員会は、特定・評価したサステナビリティ関連のリスク及び機会を踏まえ、対象事業の価値創造及び価値棄損に関する重要な対応策の検討・確認を行っております。
既存事業に関しては、各事業における社会・環境関連を含むリスク及び機会の全般的な管理状況を定期的に確認しております。具体的には、事業会社との対話を通じた定期的なモニタリングや、内部監査等のプロセスを通じ、社会・環境関連リスク及び機会の管理状況を確認し、課題がある場合はその事業の特性に応じて改善を進めます。当社グループの事業活動の影響について、地域住民やNGO等、ステークホルダーから問題の指摘を受けた場合は、実態を踏まえて、対話・協議を行い、改善に努めております。
なお、サステナビリティ関連のリスク管理のプロセスについては、前報告期間から変更はありません。
④ 指標及び目標
特定した6つのマテリアリティに関して、長期及び中期目標を下表のとおり設定し取組んでおります。中期目標に対する取組の進捗状況は、サステナビリティ推進委員会でのモニタリングを経て、経営会議や取締役会に報告され、そこで議論がされております。それら含む長期目標・中期目標に対する取組の2024年度末時点の進捗は、2025年9月に当社HPのサステナビリティ関連ページに掲載予定です。
マテリアリティに対する長期目標・中期目標
(*1) 住友商事グループの社員参加型の社会貢献活動プログラム
(*2) 他者のエネルギー資源使用に伴う間接排出量
(*3) 個別事業で目標を設定し削減に注力
(*4) サプライチェーンを含む事業活動全体に関し、人権侵害等に関する従業員・地域住民等ステークホルダーからの訴えを受け付け、問題解決につなげる仕組み
(2) 気候変動問題に対する取組
当社は、パリ協定における世界的合意を重視し、同協定に掲げられた社会のカーボンニュートラル化目標の達成により積極的な役割を果たすため、「気候変動問題に対する方針」を掲げ、事業活動を行っております。
「気候変動問題に対する方針」は、2019年に取締役会にて決議・制定後、随時見直しを行っております。2024年5月には、気候変動対策やエネルギー安全保障といった各種外部環境の変化を受けて、当社グループの気候関連目標のうち、持分発電容量ベースの比率目標の更新を行いました。また、一般炭鉱山から生じる間接的CO2排出量を2020年代後半までにゼロとすること、及び、天然ガス開発事業については社会のエネルギー・トランジションに資する案件に限り取組むことを明確に示しました。
気候変動問題に対する方針 (2024年5月改訂)
■ TCFD提言に基づく情報開示
当社は、気候変動がもたらすリスク及び機会を把握し、事業活動に活かすべく、2019年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、以降TCFDのフレームワークに基づいた開示を行ってきました。2024年度の開示については、当社HPのサステナビリティ関連ページに掲載予定です。
① ガバナンス
(a) 監督
当社グループの気候変動関連のリスク及び機会を踏まえた重要な経営事項の決定と、業務執行の監督については、取締役会が責任を持って行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (a) サステナビリティ経営の監督」を参照ください。
気候変動関連の重要な経営事項の意思決定については、取締役会規程等において明確に定められた権限分担に基づいて、取締役会が、経営会議等での検討を経て取締役会に付議された、気候変動関連の方針・目標の策定・改訂、気候変動関連を含む事業ポートフォリオ全体のリスクと機会、重要な個別案件の実施の是非等について、審議・決定を行っております。
取締役会は、気候変動問題に対する取組として、マクロ環境の分析及びその対応状況等の報告を年に複数回受けており、業務執行側の取組状況を監督しております。
なお、当社取締役報酬に関する気候関連のパフォーマンス指標については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」を参照ください。
(b) 業務執行
気候関連のリスク及び機会の評価、管理、それらを踏まえた重要な経営事項の意思決定及び業務執行は、経営会議及び執行役員が行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (b) サステナビリティ経営の業務執行」を参照ください。
② 戦略
当社は、以下のとおり、TCFD提言に沿った形でシナリオ分析を実施しております。2023年度においては、「エネルギー」「資源」「輸送」「素材」「不動産」「その他(森林)」等の当社ビジネス・モデルへの影響を分析しました。
事業環境が大きく変化した際に、新たなビジネス機会及び事業の耐性を客観的に評価する観点から、主にIEA及びPRI等のシナリオを用いて、主に2050年までのビジネス・モデルに対する移行リスク及び機会の影響を分析しております。リスク及び機会の影響が及び得る時間軸として、中期:2030年、長期:2050年を設定の上、分析を行っております。2024年度の分析内容詳細は、当社HPのサステナビリティ関連ページを参照ください。
なお、これらのシナリオは、世界的な気候変動緩和の長期的な動向について、複数のシナリオを想定した場合に、各セクターにおいて起こりうる事業環境変化の一例として参照したものであり、当社の経営方針や事業戦略の前提を示すものではありません。
<特定した当社グループのビジネス・モデル>
<特定した気候関連のリスク及び機会>
③ リスク管理
当社グループの活動は広範な分野、地域に分散した事業から成り立ち、様々な社会課題と関わりを持っております。当社は、常にそれらの社会課題を考慮に入れるため、グループ全体の事業活動から生じる社会・環境への影響を適切にコントロールするための方針を設定し、グループ内で周知・徹底を図っております。具体的には、当社では新規事業を検討・実施する際の審査過程において、社会・環境に関するリスクの評価や対応策の確認を行っております。特に気候変動問題については、多様な気候変動影響や社会の気候変動対応に起因する事業環境の変化によって発生し得る、事業の持続可能性が妨げられるリスク及び機会について、主に以下の点を確認し、社内規程の定めに応じて経営会議や取締役会で議論しております。
・気候の変動あるいは自然災害・異常気象の頻発による影響
・規制の導入による影響
・技術の変化等による影響
・気候変動緩和や気候変動への適応の進展による事業の拡大や業績の改善余地
既存事業に関しても、当社は各事業における社会・環境関連を含むリスクの全般的な管理状況を定期的にモニタリングしており、個別事業に関するリスク管理に加え、当社全体が抱える社会・環境関連リスクの状況を把握し、経営の戦略的判断への活用を可能にする体制を整えております。また、気候変動問題に係るリスクへの対応については、各営業グループにおいて、関連する事業分野における規制の導入や市場変化を把握した上で事業展開を行うことに加えて、全社ポートフォリオ管理の一環として、サステナビリティ推進部が気候変動問題に対する世界的取組や各種規制の動向を踏まえた、当社グループの主要なリスクの状況を収集・分析し、定期的に経営会議、取締役会に報告しております。その上で、ポートフォリオ全体の確認を行い、許容できないリスクがあれば、関連コーポレート部署と共同でエクスポージャーの削減を含む対応を検討する体制となっております。
④ 指標及び目標
(a) 温室効果ガス排出量及びその他気候関連の指標
■ カーボンニュートラル化対象 CO2排出量
当社グループは、2019年に「気候変動問題に対する方針」を制定しており、2050年にカーボンニュートラル化することを目指しております。同方針の下、カーボンニュートラル化の対象範囲には、提出会社及び子会社のScope1・2に加え、発電事業及び化石エネルギー権益事業も含めております。うち発電事業については、基準年も含めて、建設中の案件であっても完工・稼働後に見込まれる推計値も含めております。
住友商事グループカーボンニュートラル化対象CO2排出量についての速報値は以下のとおりです。なお、確定値については2025年9月に当社HPに掲載予定です。
<住友商事グループ カーボンニュートラル化対象 CO2排出量> (集計対象範囲※)
(単位:千t-CO2e)
(※) 具体的な集計対象範囲は、以下のとおりです。
・提出会社及び子会社の直接的CO2排出と、各社の使用するエネルギーの生成に伴う間接的CO2排出。
(ただし、発電事業については持分法適用関連会社の排出も対象に含む)
・提出会社及び子会社、持分法適用関連会社の化石エネルギー権益事業で生産されたエネルギー資源の、他者の使用に伴う間接的CO2排出。
尚、カーボンニュートラル化とは、当社グループの事業によるCO2排出と、CO2排出削減への貢献を合わせたネットCO2排出量をゼロとすることを指す。
■ 温室効果ガス排出量(GHGプロトコルに基づいた算出実績)
温室効果ガス(GHG)排出量の実績(速報値)は以下の通りです。なお、確定値については2025年9月に当社HPのサステナビリティ関連ページに掲載予定です。
GHG排出量は、GHGプロトコルを参考に策定した会社方針に基づき算定しております。
排出原単位は、環境省が公表する温室効果ガス排出量算定・報告公表制度の排出係数を使用しているほか、IEAが発行する「Emissions Factors 2024」に掲載された2022年の国別の排出係数等を使用しております。
<GHG排出量(Scope1/2)> (集計対象範囲※)
(単位:千t-CO2e)
(※) 提出会社及び子会社
集計対象範囲の決定においては、2023年度よりGHGプロトコルの経営支配力基準を適用しております。
■ 内部炭素価格
2023年4月より、当社内で内部炭素価格制度(ICP)を運用し炭素排出コストを算出しております。カーボンニュートラル社会の実現に資する新たな事業機会創出に向けた全社の施策検討や投資判断時の将来事業への影響等の確認に活用しております。
当社ICPにおいては、IEAが発行するWorld Energy Outlook 2024のNet Zero Emission Scenario(NZEシナリオ)の炭素価格の見通しを使用し、新規及び既存案件の所在地に応じたシナリオ分析を行っております。
<当社ICPにおける炭素価格>
(単位:$/t-CO2)
(b) 気候関連の目標
当社グループとして、2050年度にカーボンニュートラル化を目指す目標を設定しており、中間目標としてグループのCO2排出量の総量を、基準年の2019年度比で2035年度までに、原則として50%以上削減する目標を設定しております。当該目標は、当社グループとして、パリ協定及び関連する世界的な合意を重視し、同協定に掲げられた社会のカーボンニュートラル化目標の達成に、より積極的な役割を果たすことを目的としております。
2050年カーボンニュートラル化目標の対象範囲は、当社単体及び子会社の直接的CO2排出と各社の使用するエネルギーの生成に伴う間接的CO2排出(ただし、発電事業については持分法適用関連会社の排出も対象に含める。)及び当社単体及び子会社、持分法適用関連会社の化石エネルギー権益事業で生産されたエネルギー資源の、他者の使用に伴う間接的CO2排出となっております。
■ 気候変動関連の目標のレビュー及びモニタリング
当社グループの気候変動関連目標のレビューは、経営会議を経た上で、取締役会にて行っております。詳細は「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス」の項目を参照ください。
当社グループの気候変動関連目標の進捗モニタリング指標としては、Scope1、Scope2排出量の推移のほか、2035年度目標のモニタリング指標として、火力発電事業のCO2排出量、再生可能エネルギー発電事業の発電容量、化石エネルギー権益事業のうち、一般炭鉱山から生じる間接的CO2排出量を設定しております。
(3) 人権尊重に関する開示
当社は、従来、人間尊重を経営姿勢の基本とすることを経営理念の中で掲げておりますが、改めて住友商事グループ人権方針を制定し、人権を尊重する責任を果たすことを明確に示しております。取組に当たっては、「国際人権章典」及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」が定める人権を尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則って活動しております。
① ガバナンス
当社グループの人権に関するガバナンスは、サステナビリティ経営全般のガバナンスに組込まれております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス」を参照ください。
② 戦略
(a) 人権尊重意識の徹底と理解の浸透
当社グループは、幅広い国・地域、産業分野で事業活動を展開しており、その事業活動において人権の尊重を実現するためには、当社グループの役職員がビジネスと人権の考えを理解し、サプライヤーをはじめとする取引先や事業パートナーに働きかけることで、サプライチェーン全体で人権の尊重に努める必要があります。それらサプライチェーンにおける関係者がビジネスと人権に関する理解が進まない場合には、関連する従業員や地域コミュニティ等ライツホルダーへの負の影響が見落とされ、事業活動によってその負の影響のさらなる悪化につながり、結果的に製品やサービス供給の停滞による企業業績の悪化や、レピュテーションの悪化により企業価値が棄損するリスクがあります。逆に当社グループ内、さらにはサプライチェーンに働きかけることで、サプライチェーンのレジリエンス強化やレピュテーション向上による人材の獲得及びリテンションなどの効果が期待されます。
当社グループでは、上述の「住友商事グループ人権方針」や「住友商事グループのサプライチェーンCSR行動指針」を策定し、当社従業員への周知・徹底を図るとともに、当社グループ会社や取引先へ理解・賛同を求めるよう努めております。
また、特に持続可能な調達を要する主要な天然資源については個別の方針を制定して取組んでおり、2022年3月に持続可能な森林経営、及び林産物の調達に関して、「森林経営方針」、「林産物調達方針」を策定しました。これら方針に基づき、森林事業を行う事業会社、林産物調達を行うサプライヤーに対して、人権を含めた調達方針に定めるコミットメントにつき確認しております。
(b) 人権デューデリジェンス
当社は、当社グループの事業活動が与える人権へのリスクを特定・防止・是正するために、2020年より人権デューデリジェンスを開始しております。2020年度は、その最初のステップとして、グループ全体の人権への影響・リスクを評価するために、優先的に対応すべき顕著な人権課題の特定に取組みました。2021年度から2024年度にかけては、全事業を対象に人権デューデリジェンスを実施し、人権リスクの特定と評価を行いました。本取組により人権リスクの特定・評価に加えて、従業員へのビジネスと人権に関する理解の浸透にもつながっております。これまでの人権デューデリジェンスの結果については、当社HPを参照ください。
全事業を対象とする人権デューデリジェンスが一巡したことから、2024年度は、これまでの人権デューデリジェンスの結果及び各事業の特性・リスク等も踏まえた全社的なリスクマッピングをおこない、当社グループにおいて人権リスクが高い事業の特定に取り組みました。
今後は、ライツホルダーとのエンゲージメント等も含め強化した人権デューデリジェンスの実践などを通じて、リスクベースアプローチで取り組んでいきます。
また、サプライチェーン全体での人権尊重への取組の必要性や事業活動を行う上で注意を要する人権問題に関するe-learningを当社単体の全従業員に展開しており、2024年度は、海外地域組織及び連結子会社まで対象を拡大し、展開を完了しております。
(c) グリーバンスメカニズム(社外ステークホルダー向け通報窓口)の設置
人権尊重に関する意識の徹底や人権デューデリジェンス等の取組を通じて、事業活動に伴う人権リスクの特定や負の影響の防止・軽減を図っておりますが、すべての人権リスクを回避することは難しく、発生した負の影響につき速やかに是正することが重要と認識しております。
当社は、従業員を対象にした内部通報窓口のほか、一般の方やお客様を含む社外ステークホルダーの方々からのご意見やお問合せを受付け対応しております。
2024年度からは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して苦情処理プラットフォームを提供する一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員企業として加盟し、JaCERが提供する苦情処理プラットフォームでステークホルダーの方々から人権に関する様々な意見を受付けております。専門性を有する第三者を介して意見を受付け、公平性・透明性を向上し、受付けた事案については、サステナビリティ・DE&I推進グループ長を含む経営陣やサステナビリティ推進委員会に報告のうえ、適時・適切に是正、再発防止を徹底しております。
③ リスク管理
(a) 新規投資に係るリスク評価
新規投資に係るデューデリジェンスの際には、事業の性格を踏まえ、環境評価や、人権・労働問題の評価をおこないます。リスク管理の実効性をさらに高めるため、投資申請時に、SASB等のリスク情報をもとに作成した社会・環境関連リスクの評価シートを作成し、各事業の内容・地域特性等から想定されるリスク及び機会を洗い出すとともに、全社投融資委員会などでの会議体においても社会・環境への影響を踏まえた意思決定が行われる体制を整えております。
(b) 既存事業に係るリスク評価
上述のとおり、2020年より人権デューデリジェンスを開始しております。
<人権デューデリジェンスのプロセス>
2021年度から2024年度にかけては、外部専門家を起用し、全てのSBUに対してインタビューを実施し、それぞれの事業におけるサプライチェーンや事業活動に関連する地域住民等、ステークホルダーへの影響を含めたビジネスの実態や顕在化事例を確認するとともに、想定される潜在的リスクについても特定し、それらに対する対応状況もヒアリングしました。ヒアリング結果を踏まえて、人権リスクの発生可能性と発生した場合に生じる深刻度の観点から、優先してリスク低減に取り組むべきSBU、あるいはSBU内の個別事業を特定しました。サステナビリティ推進部と対象SBU・対象事業会社が協力し、特定された人権リスクに対する具体的な防止・軽減策の検討・実行を進めております。
今後、リスクベースアプローチで人権デューデリジェンスに取り組むためには人権リスクが高い事業の特定が必要なことから、2024年度は、上述の通りこれまでの人権デューデリジェンスの結果及び各事業の特性・リスク等も踏まえた全社的なリスクマッピングをおこないました。具体的には、OECDが定めるデューデリジェンスのガイダンスに基づき、4つのリスク要因(セクター、製品、地理的、企業固有)を踏まえつつ、社外有識者の意見を得ながら、当社グループにおける人権リスクが高い事業の特定に取り組みました。
人権リスクへの対応については、そのリスクの深刻度や事業への関与度合い等、さまざまな要因によって対応方法や時間軸が異なることから、各SBUや事業会社が主体となり実施する必要があります。特定・評価した人権リスクについては、その重要性に基づき、各SBU・事業会社が優先順位付けをした上で、具体的なアクションプランに落とし込みPDCAサイクルを回しております。その進捗については、住友商事グループのマテリアリティの長期目標・中期目標達成に向けた具体的な取組として継続的にフォローし、定期的にサステナビリティ推進委員会から経営会議や取締役会へ報告し、議論しております。
(c) 受付けた事案への対応
当社のグリーバンスメカニズムやグループ会社を通じて、社内外のステークホルダーの方々から受け付けた人権事案については、サステナビリティ推進部や関連する営業部署よりサステナビリティ・DE&I推進グループ長を含む経営陣やサステナビリティ推進委員会に直ちに事態が報告され、事実把握と最善の対応を速やかに実施しております。その進捗状況や対応策については、重要性に応じて、サステナビリティ推進委員会から経営会議や取締役会等へ報告、議論しております。
④ 指標及び目標
2024年度に新たに定めたマテリアリティの一つに「人権を尊重する」を設定し、以下のとおり長期目標・中期目標を設定しております。詳細は「(1) サステナビリティ経営の全体像 ④ 指標及び目標」を参照ください。
なお、人権に関する取組進捗の詳細は、当社HPのサステナビリティ関連ページを参照ください。また、2024年度の取組進捗については、2025年9月に当社HPのサステナビリティ関連ページに掲載予定です。
(4) 人的資本に関する開示
① ガバナンス
当社では、重要な人材マネジメントに関する方針・戦略・施策は、経営会議で議論し、取締役会で重要な方向性の決定と監督・モニタリングを実施しております。
② 戦略
(a) 人的資本の方針・考え方
当社グループには400年以上にわたる歴史の中で受け継がれてきた住友の事業精神があり、その一つである「事業は人なり」は、当社グループの競争力の源泉、成長の原動力は「人」であるとする揺るぎない価値観です。こうした社員を大切にする文化は、当社グループのDNAとして受け継がれてきており、当社グループの経営理念や行動指針にも反映されています。また、グローバル人材マネジメントポリシーにて示しているグローバルベースでのタレントマネジメントに関するビジョンや考え方を実践しております。
グローバルに多種多様なビジネスを展開する当社グループは、経営資本を最大限活用し、社会課題の解決を通じて、新たな価値を創造し、中長期的かつ持続可能な企業価値の向上を目指しています。この価値創造モデルを牽引するのは、さまざまな知識・経験を持って事業を構想・推進する一人ひとりの社員、すなわち人的資本です。従い、当社グループは、多様な人財一人ひとりが働きがいを感じ、未来を拓く挑戦に邁進できるよう、この人的資本に継続的な投資を行い、その進化を図っていきます。
(b) 人的資本に対する取り組み
まず、当社グループのDNAと企業文化の共有・浸透を図ることで、社員のモチベーションや帰属意識を高めています。これにより、組織を超えて共通の目標に向かって一丸となる組織風土が醸成されております。
また、多様な人財を確保し、一人ひとりの違いを認め、尊重し、誰もが自分らしく活躍できる環境づくりを推進しています。これにより、多様な発想やイノベーションを生み出す土壌を醸成しております。
さらに、ビジネス戦略実行に必要なスキル・経験・能力を有する人財を育成し、グローバルに活躍できる経営人財のパイプラインを構築しています。こうした社員への成長機会への投資は、個々人の市場価値を高めるとともに、組織力の強化にも繋がっております。
加えて、社員の生産性向上とパフォーマンスの最大化に向けては、働きやすい環境と心身の健康をサポートする体制を整備しています。また、金銭的な報酬のみならず、非金銭的なキャリア開発の機会等を含めた、フェアで透明性の高いトータル・リワードを提供しております。
こうした取り組みにより、社員の成長がビジネスの成長を牽引し、その成果により創出された新たな成長機会が社員に還元される好循環の実現を目指しています。この人財を原動力とした持続的な好循環こそが、当社グループの成長の礎であると考えております。
<多様性の確保>
グローバルに事業を展開する当社グループでは、多様な視点や考え方を持つ一人ひとりが自分らしく力を発揮できる組織文化の醸成に取り組んでいます。こうした環境づくりは、個々の力を最大限に引き出し、新たな価値や革新を生み出す源泉となり、企業価値の向上にもつながると考えています。具体的には、以下のような様々な施策に取り組んでおります。
・年齢、ジェンダー、国籍等の属性に捉われない登用やキャリア支援:Pay for Job, Pay for Performance に基づいた職務等級制度、自律的なキャリア形成を支援するキャリア開発プログラム等。
・多様性への理解浸透のための社内啓発:Diversity Weeksを継続的に開催。社長対談や経営陣によるメッセージ発信、各種研修、介護・育児に関する社員座談会、アラムナイによるセミナー、労働組合との共催のファミリーデー等を実施。
・女性の活躍支援:社内メンター制度、社内外マネジメント研修への積極派遣、社内で相談し合える女性のコミュニティ形成、配偶者の転勤時等のライフイベントに応じたアサイメントの柔軟対応等。
・障がい者の活躍支援:障がい者の働く環境の整備とさらなる雇用促進を目的に2014年に特例子会社住商ウェルサポート株式会社を設立。同社では一人ひとりの障がい、能力特性に合わせた活躍の場を創出し、基本動作やスキルが身につけられる指導環境を整備する等、職場への定着支援を積極的に実施。
・LGBTQ+への取り組み:同性パートナーに福利厚生・人事制度を適用可、通称名の利用可、ユニバーサルトイレや相談窓口の設置等。
(補足)当社グループでは、Diversity, Equity and Inclusion(DE&I)を「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」と位置づけております。人財の採用・登用においても、各国の雇用関連法規を遵守し、いかなる属性(人種、国籍、性別、年齢、性的指向、性自認、性表現等)に基づく不当な優遇・差別を行わず、適性と能力に基づく機会の提供を重視することを基本としております。
<健康経営と働き方改革>
社員一人ひとりが最大限に力を発揮するためには、心身の「健康」が最重要であり、これを基盤としてこそ、新たな価値創造を続けていくことができるという考えのもと、「イキイキワクワク健康経営宣言」を策定しております。また、高い付加価値を生み出すアウトプット志向の働き方を実現するため、社員の自立的且つ柔軟な働き方を促進しています。具体的には、以下のような様々な施策に取り組んでおります。
・心身の健康を支えるインフラ整備:社内診療所(内科・歯科・心療内科)、カウンセリングセンター、マッサージルームの設置等。
・女性特有の健康課題に対する理解促進:フェムテック展示会の開催。
・ヘルスリテラシー向上・健康維持に向けた施策:未病・予防の観点から、各種健康セミナーを実施するとともに、健康保険組合との協働による健康施策を展開。ストレスチェックは海外組織も含めて実施し、その分析結果を職場環境の改善に活用。また、海外赴任者向けにはグローバル医療サポートを提供。さらに、長時間労働者に対する面談による原因解明と改善策の速やかな実行を通じた長時間労働防止の徹底。
・各種補助:健康診断・人間ドックの費用補助、高度医療見舞金制度の導入、福利厚生のカフェテリアプランにおける健康・育児・介護に関する支援の強化等。
・柔軟な働き方の促進:テレワーク制度、コアタイムの無いスーパーフレックス制度、ドレスコードフリー等。
・多様なライフとキャリアを支援する制度:子のみを帯同する海外駐在への支援、男性の育児休業取得の促進、配偶者の転勤同行後の復職制度(配偶者転勤時退職制度)、保育施設との提携、介護セミナーや専門家による個別相談等。
(c) 人財戦略ロードマップ
長期的な観点のみならず、中期経営計画の実現に向け、戦略実行力を高めるため、戦略ステージ毎に注力すべき施策も特定したうえで、人財戦略を推進しております。
前中計においては、経営基盤のシフトとして、人事諸制度の基盤整備に取り組みました。具体的には、年次管理を撤廃し職務の大きさに基づき等級を決定する「職務等級制度の導入」、他者との比較による相対評価から個々人の育成に主眼を置いた絶対評価に転換した「評価制度の改革」、コース別人事管理を撤廃し、プロフェッショナル職に統一した「職掌一本化」です。この3つの打ち手を講じ、旧来あった壁を撤廃し、適所適材の実現と一人ひとりが持っている力を発揮できる状態を目指しておりました。
2024年からスタートした中期経営計画2026では、「人と組織のエンパワーメント」をNo.1事業群を目指すための重要な要素の一つとして掲げております。成長のステージに大きく舵をきった現中計において、人と組織の力をこれまで以上に引き出すことで、戦略実行力を高めていきます。変化が激しく複雑で予測がつかないビジネス環境において、“Unlock Your Power”を標榜し、多様な知識・経験を持つ社員一人ひとりが、これまで以上にエンパワーされ、Enriching lives and the worldの実現に向けて夢中になれる職場で、新たなビジネス創出や課題解決に当たることを追求します。特に、当社グループにおける、人と組織が具備すべきケイパビリティとして、「事業構想力」「リーダーシップ」「スピード」を優先事項とし、飛躍的成長を確実なものにしていくため、さまざまな施策を講じております。具体的な取り組み事例は以下のとおりです。
・経営人財の育成:将来の重要ポジションの後継候補を計画的に育成するため、必要なスキル・経験を確実に身につけた候補者を多く輩出することを目指しております。ノミネーションを通じてポテンシャルのある人財を早期に特定し、タレントプールを構築、育成のためのタフアサイメントポジションを設定・マッチングし、育成のサイクルを回すことで、経営人財を確実に輩出していきます。
・多様な“個”の意志・ポテンシャルを最大限引き出す施策:社員一人ひとりの意志を尊重し、自律的なキャリア形成を支援するため、社内公募制をより柔軟に利用できる制度に改定し、拡大させております。また、平等なキャリア開発機会の提供の一環として、「いつでもどこでも誰でも」自ら学べるe-learningプラットフォームを2024年4月に導入しております。将来の社員に向けては、新卒採用において、一人ひとりの「WILL(意欲)」を大切にすることを意図した、初期配属を入社前に確定できる「WILL選考」を行っております。
・ラインマネージャーエンパワーメント:任用・異動・評価等の人事関係事項をラインマネージャーに権限委譲し、より一層、一人ひとりの社員に向き合い、戦略に合致した効率的かつ効果的な組織運営を推進しております。ラインマネージャーに求められるスキル向上に注力しており、ラインマネージャー向けサイトの開設や、e-learningを提供しております。
③ リスク管理
詳細については、「3 事業等のリスク ⑮人的資本に関するリスク」をご参照願います。
④ 指標及び目標
(※)1 当社グループに属する全ての会社において指標及び目標を設定しているものではありません。
働きがいある職場と社員エンゲージメントにつきましては、当社単体及び当社の国内外拠点における
指標及び目標を記載しております。
(※)2 同様に、女性活躍推進につきましては、当社単体における指標及び目標(該当年度の翌年度4月1日時点)
を記載しております。
(※)3 日本経済団体連合会が2021年3月に公表した「2030年30%へのチャレンジ」に賛同し、設定したもの。
(a) 働きがいある職場と社員エンゲージメント
2023年度から当社の国内海外拠点を含めたグローバルベースで、年1回のエンゲージメントサーベイを実施しております。上記の人的資本の方針・考え方に基づき、人的資本に対する取り組みを実行する過程で、エンゲージメントサーベイで計測する「社員エンゲージメント」「社員を活かす環境」が向上していくと考えており、当社における目標を上表のとおり設定しております。
本サーベイでは、①組織へのコミットメントの度合いや仕事に対する自発的な取り組み意欲を示す社員エンゲージメント、及び、②社員一人ひとりの持つ能力を発揮するための働く環境について調査しております。結果は、社員と共有し、各現場でさまざまな取り組みを行っております。また、執行役員の毎年の目標においても、エンゲージメント及びDE&Iにかかる目標数値を設定し、その結果は、譲渡制限付業績連動型株式報酬の株式交付割合に反映しております。
(b) 女性活躍推進
グローバルベースで様々な領域で活躍する女性を育成していくため、足下での状況を踏まえた上で、2030年度達成に向けた当社における目標を上表のとおり設定し、継続的に取り組みを進めております。
2022年には、コース別人事管理を廃止し、職掌を一本化することで、職掌にとらわれず、個々人のスキル・能力・意欲等に応じてキャリア形成が可能な制度へと移行しました。また、従来整備しているライフイベントと就業の両立支援策に加え、女性リーダーの登用・育成を一層加速させていくための強化策を、シニアマネジメント層の議論を経て実行に移しております。具体的には、配偶者の転勤時等のライフイベントに応じたアサインメントの柔軟な個別対応や、社内で相談し合える女性のコミュニティ形成等、活躍の阻害要因を極力排除し、真に力を発揮し成長できる機会を提供しております。さらに、各組織においても、個別の課題に応じて、メンター・コーチング制度やネットワーキング施策等に取り組んでおります。