人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数4,938名(単体) 82,488名(連結)
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平均年齢43.3歳(単体)
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平均勤続年数18.0年(単体)
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平均年収18,402,971円(単体)
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平均年収の
対前年増減率5.5%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1) 【人財戦略に関する基本方針等】
① 連結ベースの企業戦略と関連付けた人財戦略
当社グループの人財戦略は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)人的資本に関する開示 ②戦略」をご参照ください。
② ①を踏まえた従業員給与等の決定方針
(a) 当社グループの方針
経営戦略の実現に向けて、グループの理念に共感し、高い志を持ち、自律的な成長を続け、グローバルフィールドで新たな価値創造に挑戦する人財の個の力を最大限に引き出すために、「グローバル人材マネジメントポリシー」に基づいた報酬制度を構築しています。具体的には、「フェアな処遇」を根幹に据え、金銭的な報酬のみならず、非金銭的な報酬であるキャリア開発の機会や働きがい等を含めた「トータル・リワード」の考え方を重視しています。金銭的報酬においては、個人の属性にとらわれることなく、「Pay for Job, Pay for Performance」の考え方を徹底し、職務や成果に対して公正に報いるとともに、業界・マーケットや各国の情勢に柔軟に対応しています。そのうえで、「グループマネジメントポリシー」の中核三原則である「自律・対話・連携」に則ることで、共通のポリシーを堅持しつつ、事業特性や地域性に応じた、グループ各社による自律的かつ柔軟な報酬制度の構築を実現しています。
(b) 当社の方針
当社グループの中核企業である住友商事においては、当社グループの方針に則り、経営戦略の実現に必要となる職務・役割の大きさ及びその成果を金銭的な報酬に連動させています。これにより、国籍・性別・年齢等の属性によらず、透明性の高い処遇を実現しています。
■報酬体系
基本給と賞与で構成されます。基本給には職務・役割の大きさを(Pay for Job)、賞与には個人・組織・会社全体の成果を(Pay for Performance)反映させる仕組みとしています。
■報酬水準及び割合
職務・役割の大きさに応じた等級別に、標準的な評価・目標業績達成を前提とした理論年収を設定しています。人財の確保・リテインに向けて適切な報酬水準を設定するため、理論年収については、外部専門機関による客観的な報酬市場調査データ等を参考に競争力を確認しています。また、職務・役割が大きい等級ほど、会社業績との連動性を高めることで、経営層に近い視点での価値創造を促す設計としています。最上位等級では年収の約30%が会社業績と連動します。
■報酬決定プロセス
等級別の理論年収は、ガバナンスと従業員の納得感の双方を担保するため、毎年、経営会議での決議および労働組合との対話・協議を経て決定しています。個々人の各年の報酬額は、評価制度・報酬制度の基準に基づき、フェアで透明性を確保した形で決定されます。
今後も、人財戦略や外部環境の変化等を踏まえ、適切な制度・運用を継続的に目指していきます。
(2) 【従業員の状況】
① 連結会社の状況
(2026年3月31日現在)
(注)1 上記従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は〔 〕に年間の平均人員数を外数で記載しております。
2 臨時従業員には、派遣契約による従業員を含めております。
② 提出会社の状況
(2026年3月31日現在)
(注)1 上記従業員のうち、他社への出向者は1,639人、嘱託は366人であります。
また、上記従業員のほか他社からの出向者は193人、海外支店・駐在員事務所が現地で雇用している従業員は118人、相談役・顧問は17人であります。
2 平均年間給与は、賞与、時間外勤務手当及び在宅勤務手当を含んでおります。
3 嘱託を除いた従業員の平均年間給与は18,906,975円、平均年間給与の対前事業年度増減率は5.6%であります。
③ 労働組合の状況
当社及び子会社において、労働組合との間に特記すべき事項はありません。
④ 提出会社の多様性に関する指標
(a) 管理職に占める女性従業員の割合:11.2% (2026年3月31日時点)
(b) 男性の育児休業取得率 :79.6% (2026年3月31日時点)
(c) 男女間賃金差異
(注)1 管理職に占める女性従業員の割合(女性管理職比率)及び男女間賃金差異は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2 男性の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
3 男女間賃金差異の計算対象期間:2025年4月1日~2026年3月31日
4 男女間賃金差異の計算対象項目:例月給(基本給、調整給、出向手当、別居手当、在宅勤務手当、
時間外勤務手当、管理職深夜割増手当)、賞与
5 差異理由:当社は、「Pay for Job, Pay for Performance」の考え方に基づいた報酬制度を設計しており、職務・役割の大きさが同一である職務等級であれば、性別による賃金の差はありません。男女間の賃金差異が生じる主な要因としては、男性に比べて女性における管理職比率が低く女性管理職数が少ないことが挙げられます。その背景としては、当社では従来、採用時に2つの職掌区分を設けており、女性社員の多くが、原則転居を伴う転勤のない事務職掌(主に事務実務に従事し、プロフェッショナル職掌の業務を支える役割を担う職掌)に属しておりました。これに対して2022年に職掌を一本化し、個々人のスキル・能力・意欲等に応じて柔軟にキャリア形成ができる制度へ移行しました。その結果、旧事務職掌に属していた社員の中からも管理職への登用が進んでおり、女性の管理職が今後増加していく過程で、男女間の賃金差異は着実に縮小していくものと考えております。
⑤ 子会社の多様性に関する指標
常用労働者数が101~300人の事業会社
常用労働者数が301人以上の事業会社
(注)1 事業セグメントには、子会社が所属する事業セグメントを記載しております。
2 管理職に占める女性従業員の割合(女性管理職比率)及び男女間賃金差異は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出したものであります。
3 公表項目には、各子会社が男性の育児休業取得率を算出するにあたり準拠している以下いずれかの法令を記載しております。
①「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に基づき算出した、男性の育児休業の取得割合
②「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の6第1号に基づき算出した、男性の育児休業等取得割合
③「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の6第2号に基づき算出した、男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合
また、正規雇用及び非正規雇用の*印は、対象期間において配偶者が出産した男性従業員がいないことを示しております。
4 非正規雇用の*印は、非正規雇用の女性従業員がいないことを示しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は以下のとおりであります。
● サステナビリティに関する考え方
当社グループでは、「Enriching lives and the world」をコーポレートメッセージとして掲げ、持続可能な社会の実現と豊かな暮らしづくりをめざし、世界各国で事業を展開しております。このメッセージの背景には、「自利利他公私一如」という住友グループの事業精神を伝える言葉があり、「住友の事業は、住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するほどの事業でなければならない」という想いが込められているものです。この考えは、当社グループのサステナビリティ経営の源泉であり、社会課題をめぐる長期的な事業環境変化を見通して戦略的に経営資源を配分し、当社の強みを活かしながら社会が真に必要とする価値を創造し続けること、それこそが持続可能な社会と住友商事の持続的な成長を実現するとの信念で、サステナビリティ経営を進めております。
● サステナビリティに関する取組
サステナビリティ経営の全体像及び気候関連、自然資本、人的資本、ガバナンスのそれぞれの項目に分けて、当社の取組を以下に記載します。なお、各項目それぞれにおいて、①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標及び目標の4段構成で当社の取組を説明します。
(1) サステナビリティ経営の全体像
① ガバナンス
(a) サステナビリティ経営の監督
当社グループの幅広い事業活動において、サステナビリティ関連の多様なリスク及び機会を踏まえた重要な経営事項の決定と、経営会議及び執行役員が行う意思決定及び業務執行の監督については、取締役会が責任を持って行っております。
サステナビリティ関連の重要な経営事項の意思決定については、取締役会規程等において明確に定められた権限分担に基づいて、取締役会が、経営会議やその諮問機関である全社投融資委員会、サステナビリティ推進委員会、グローバルHRコミッティ、コンプライアンス委員会、IT戦略委員会、全社経営戦略推進サポート委員会等での検討を経て取締役会に付議された、サステナビリティ関連方針・目標の策定・改訂、サステナビリティ関連を含む事業ポートフォリオ全体のリスク及び機会、サステナビリティ推進に係る重要な取組、重要な個別案件の実施の是非等についての審議・決定を行っております。取締役会は、サステナビリティ関連を含む事業ポートフォリオ全体のリスク及び機会の分析・対応状況について、少なくとも半期ごとに報告を受けております。
また、取締役会は、個別事業で認識しているサステナビリティ関連のリスク及び機会の分析・対応状況、モニタリング指標等についても、年次でサステナビリティ推進部より報告を受けており、経営会議等の業務執行側の取組状況を監督しております。
なお、取締役を含む当社役員がサステナビリティ経営へのコミットメントをより強く意識できるよう、非財務指標「気候変動問題対応」、「女性活躍推進」、「従業員エンゲージメント」の評価結果を役員の報酬に反映しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記」を参照ください。
また、取締役会は、その役割を十分に果たすため、取締役会として備えるべき知識・経験・能力等(以下、「スキル」)を特定しており、そのスキルにはサステナビリティや人事・人材開発、法務・リスクマネジメントが含まれております。各取締役が有するスキルは、その経歴、知識、経験、能力、保有資格、具体的な成果等を総合的に考慮し、各取締役と協議の上で決定しており、サステナビリティに係るスキルを有する複数の取締役を含み、取締役会を構成しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」を参照ください。
(b) サステナビリティ経営の業務執行
当社グループのサステナビリティ関連の重要な経営事項の意思決定及び業務執行は、社内規程の定めに応じて経営会議及び執行役員が行っております。経営会議はサステナビリティ関連の多様なリスク及び機会を評価・管理し、効果的な意思決定を行うため、サステナビリティ推進委員会、グローバルHRコミッティ、コンプライアンス委員会、IT戦略委員会等に諮問した上で、総合的な意思決定を行っております。
なお、サステナビリティ関連の取組やリスク及び機会への対応については、トピックス別に施策の企画や社内浸透を担当する専門組織であるサステナビリティ推進部、HR企画戦略部、HRソリューションズ部、法務部、IT企画推進部、災害・安全対策推進部、また当社の経営計画全体や重要施策の企画を行う経営企画部等の関連コーポレート組織、各営業グループ、海外地域組織の各トピックス推進担当者が連携し、グループ内の調査機関や各営業組織、海外拠点等からもたらされる情報等を基に、全社的企画や施策の立案や推進を行っております。
加えて、ESGに関する社外有識者で構成される「サステナビリティ・アドバイザリーボード」を設置し、当社のサステナビリティ経営全般について助言・提言を得て取り進めております。
当社のサステナビリティ経営におけるガバナンス体制図は次のとおりです。
当社のサステナビリティ経営を含むコーポレート・ガバナンスの状況等の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」を参照ください。
② 戦略
当社グループは、これまで長年にわたって確立してきた事業基盤の上に、各SBU、各事業会社がステークホルダーと向き合いサステナビリティへの取組を継続することで、さまざまな事業機会の獲得及び当社グループの持続的な成長・発展につながると考えて、事業活動を行っております。
一方で、各SBU、各事業会社がサステナビリティの重要性を認識した事業活動を怠れば、ステークホルダーからの信頼を喪失し、長期的には顧客喪失や事業運営に必要な人材確保に影響が生じる等により、企業価値を毀損するリスクもあります。
当社グループとしては、今後も引き続き持続可能な成長・発展につながる事業活動を推進すべく、当社グループ内のみならず、バリューチェーン上の多くの関係者と協力し、バリューチェーン全体でサステナビリティ関連のリスク及び機会を特定し、対応していく必要があると認識して、以下のような取組を行っております。
(a) マテリアリティの特定と中長期目標の設定・実践
当社グループが取り組むべき重要な社会課題とその解決に向けた一歩進んだ中長期のコミットメントとして、6つのマテリアリティを特定しております。
当社グループは、住友の事業精神及び住友商事グループの経営理念を踏まえ、2017年に『マテリアリティ』を特定しており、2024年に、社会課題の一層の深刻化や当社グループの強み、ステークホルダーからの期待も踏まえ、改めて価値創造の観点から社内外のステークホルダーと約1年にわたり議論を行い、経営会議、取締役会での承認を経て更新したものです。
“安心で豊かな暮らしを実現する”、“気候変動問題を克服する”、“自然資本を保全・再生する”、“人権を尊重する”、“人材育成とDE&Iを推進する”、“ガバナンスを維持・強化する”というそれぞれのマテリアリティごとに設定した長期・中期目標に対してアクションプランを策定・実行し、進捗レビューを行うPDCAサイクルを継続することで、社会課題の解決を通じた持続的な成長を実現していきます。詳細は後述の「④ 指標及び目標」を参照ください。
(b) サステナビリティ関連の方針策定
当社グループの活動は広範な分野、地域に分散した事業から成り立ち、様々な社会課題と関わりを持っております。当社は、常にそれらの社会課題を考慮に入れるため、グループ全体の事業活動から生じる社会・環境への影響を適切にコントロールするための方針を設定し、グループ内で周知・徹底を図っております。
具体的には、当社グループは、国際行動規範を尊重し、取引先や事業パートナーとともに社会的責任を果たすべく、「環境方針」、「気候変動問題に対する方針」、「人権方針」、「サプライチェーンCSR行動指針」、並びに「森林経営方針」や「林産物調達方針」等の持続可能な調達を要する主要な天然資源に関する個別のサステナビリティ関連の方針や、「グローバル人材マネジメントポリシー」、「住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシー」、「情報セキュリティ基本方針」、「プライバシー・ポリシー」等を策定・周知し、事業活動に取り組んでおります。
③ リスク管理
(a) 事業ポートフォリオ全体におけるサステナビリティ全般のリスク管理
事業ポートフォリオ全体におけるサステナビリティ全般のリスクのモニタリング状況については、経営会議や取締役会に定期的に報告しております。経営会議や取締役会がリスクの状況を把握し、今後の管理・対応方針につき議論の上、経営の戦略的判断を可能にする体制を整えることで、事業ポートフォリオ全体において許容できないリスクがあれば、関連コーポレート部署と共同でエクスポージャーの削減を含む対応を検討する体制となっております。
事業ポートフォリオ全体におけるサステナビリティ全般のリスク管理のプロセスについては、前報告期間から変更はありません。
(b) 個別事業におけるサステナビリティ関連のリスク管理
個別事業においては、新規事業を検討・実施する際の審査過程において、サステナビリティ全般のリスクの評価や対応策の確認を行っております。事業実施に関する審査過程においては、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する評価シートを各SBUが作成し、同一のセクターや国に属する先行事例等から、潜在的なリスク及び機会の発生可能性や顕在化時に生じる社会・環境、並びに自社事業に与える影響をSBU自らが特定・評価した上で、サステナビリティ推進部が関連する外部情報を参照の上、レビューしております。全社投融資委員会は、特定・評価したサステナビリティ関連のリスク及び機会を踏まえ、対象事業の価値創造及び価値毀損に関する重要な対応策の検討・確認を行っております。
既存事業に関しても、当社グループが取り組むべき重要な社会課題とその解決に向けた一歩進んだ中長期のコミットメントとして特定した6つのマテリアリティとは別に、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る各事業におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会について、「潜在的な財務的影響の程度」及び「発生可能性」の2軸で総合評価の上、識別しております。
当社グループの各事業について、SASB基準に基づき、気候関連についてはIEAが発行する「World Energy Outlook 2025」のシナリオ等を別途参照の上、バリューチェーン全体におけるリスク及び機会を検討しております。なお、2025年度の分析は、住友商事単体、連結子会社、火力発電事業・化石エネルギー権益事業及びScope3 多排出事業を取り扱う持分法適用関連会社を対象としております。
(※)時間軸
短期 2026年:当社グループの中期経営計画の期間と整合(2026年度は、現行の同計画対象期間の最終年度)
中期 2035年:サステナビリティに関するリスク及び機会の不確実性を踏まえた将来期間として設定
長期 2050年:事業環境の長期的な変化を見据えた期間として設定
識別したリスク及び機会の詳細は、(2) 気候関連、(3) 自然資本、(4) 人的資本、(5) ガバナンスに記載しております。識別したリスク及び機会に対しては、各営業グループにおいて、定期的にモニタリングを実施し、課題がある場合はその事業の特性に応じて改善を進めます。当社グループの事業活動の影響について、地域住民やNGO等、ステークホルダーから問題の指摘を受けた場合は、実態を踏まえて、対話・協議を行い、改善に努めております。リスク及び機会のモニタリング状況と対応策・対応状況については、経営会議、取締役会に定期的に報告しております。
また、当社「グループマネジメントポリシー」では、「自律」「対話」「連携」を当社及びグループ各社が尊重すべき三原則として掲げた上で、グループ経営におけるそれぞれの役割と責任を明確化しております。このうち「対話」においては、単体及びグループ会社が積極的な対話を通じて信頼関係の構築に努めることとしております。その関係性の基盤として、単体がグループ会社の取締役会等を通じ、重要な意思決定に関与し、事業運営状況をモニタリングするとともに適切な助言を行っており、個別事業におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会の管理についても、この枠組みの運用を進めております。
なお、当社グループにおいては、サステナビリティ関連のリスクについて、他の種類のリスクと密接に関連していることを認識しており、当社の事業活動に伴うあらゆる不確実性をリスクと捉え、リターンとのバランスを前提とした当社グループの計画的かつ統合的なリスクマネジメントの枠内において管理しており、他の種類のリスクと比較して優先順位付けは行っておりません。
④ 指標及び目標
当社グループが取り組むべき重要な社会課題とその解決に向けた一歩進んだ中長期のコミットメントとして特定した6つのマテリアリティに関しては、長期・中期目標を下表のとおり設定し取り組んでおります。中期目標に対する取組の進捗状況は、サステナビリティ推進委員会でのモニタリングを経て、経営会議や取締役会に報告され、そこで議論がされております。
なお、マテリアリティに対する長期・中期目標の内容は、個別テーマ(2) 気候関連、(3) 自然資本、(4) 人的資本、(5) ガバナンスにおける④指標及び目標の内容と関連しております。具体的には、“気候変動問題を克服する”は個別テーマ(2) 気候関連、“自然資本を保全・再生する”は(3) 自然資本、“人材育成とDE&Iを推進する”は(4) 人的資本、“ガバナンスを維持・強化する”は(5) ガバナンスと関連しております。
<マテリアリティに対する長期・中期目標>
(2) 気候に関する開示
① ガバナンス
(a) 監督
当社グループの気候関連のリスク及び機会を踏まえた重要な経営事項の決定と、業務執行の監督については、取締役会が責任を持って行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (a) サステナビリティ経営の監督」を参照ください。
(b) 業務執行
事業ポートフォリオ全体及び個別事業における気候関連のリスク及び機会の評価・管理、それらを踏まえた重要な経営事項の意思決定及び業務執行は、社内規程の定めに応じて経営会議及び執行役員が行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (b) サステナビリティ経営の業務執行」を参照ください。
② 戦略
当社は、パリ協定における世界的合意を重視し、同協定に掲げられた社会のカーボンニュートラル化目標の達成により積極的に貢献するため、「気候変動問題に対する方針」を掲げ、事業活動を行っております。2019年に取締役会にて決議・制定後、随時見直しを行っており、Scope3排出量の算定・開示が完了したことやサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)の適用を見据え、説明責任を強化することを目的とし、2026年2月に当社グループのカーボンニュートラル化目標を更新しました。
また、2024年度から始まった中期経営計画では、短期的には、強み・競争優位のある当社事業をGXでさらに強化してまいります。同時に様々な産業分野において、市場形成を含めた収益化までの時間軸も考慮して取り組み、中長期的には、GXで将来の新たな強みをつくります。
■個別事業別の気候関連のリスク及び機会
当社グループの各事業におけるビジネスモデルを踏まえ、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連のリスク及び機会は以下のとおりであります。個別事業別に下表のとおり整理しております。
・物理的リスク
気候変動によって引き起こされる農作物の収量減リスク、洪水による操業停止リスク
・移行リスク
脱炭素社会への移行に伴う事業の縮小リスク、カーボンプライシング及びエネルギー価格高騰による財務インパクト
・事業機会
脱炭素社会への移行に伴う事業の拡大機会、低炭素製品への移行機会
・時間軸
短期 2026年:当社グループの中期経営計画の期間と整合(2026年度は、現行の同計画対象期間の最終年度)
中期 2035年:当社グループの中間削減目標の期間に整合させるため
長期 2050年:2050年に当社グループのカーボンニュートラル化を目指していることに整合させるため
■個別事業別の気候関連のリスク及び機会に関する分析
当社グループの見通しに影響を与え得る個別事業別の気候関連のリスク及び機会について、次のとおり分析しております。
リスク及び機会によって予想される対象事業への財務的影響は、下記の金額基準に基づき3段階で記載しております。なお、リスクによって予想される対象事業への財務的影響は、当社としての対応策を考慮せず、物理的リスクの場合には2100年までに産業革命以降4℃上昇想定のIPCC(※1)によるRCP8.5シナリオ(※2)をベースとして、移行リスクの場合にはIEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)のNZE(Net Zero Emission)シナリオ(※3)をベースとして算出しております。一方、機会によって予想される対象事業への財務的影響は、IEAのNZEシナリオを考慮して算出しております。
移行リスクのうち脱炭素社会への移行に伴う事業の縮小リスク及び脱炭素社会への移行に伴う事業の拡大機会に関しては、事業環境が大きく変化した際に、事業の耐性及び新たなビジネス機会を客観的に評価する観点から、中期及び長期の時間軸における当社個別事業に対する影響について、NZEシナリオに加えてSTEPS(The Stated Policies)シナリオ(※4)も用い、各シナリオが想定する社会や経済の状況をもとに分析しております。
なお、これらのシナリオは当社の経営方針や事業戦略の前提を示すものではありません。
・対象事業への財務的影響額 (親会社の所有者に帰属する当期利益への影響額)
大 : ±300億円以上~500億円未満
中 : ±100億円以上~300億円未満
小 : ±100億円未満
(※)1 Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル
(※)2 Representative Concentration Pathway:産業革命以降、2100年までに4℃上昇を想定したシナリオ
(※)3 1.5℃上昇:世界全体での2050年ネットゼロ達成からバックキャストしたシナリオ
(※)4 2.5℃上昇:現行政策及び実施表明済の今後の追加政策がすべて実施された場合に予想されるシナリオ
・カーボンプライシングによる財務インパクトの算出方法について
カーボンプライシングによって将来与えると予想される財務的影響については、以下の3事業を除き、当報告期間における対象事業のGHG排出量(Scope1・2)実績に、IEAが発行する「World Energy Outlook 2025」に掲載されたNZEシナリオの炭素価格の見通しを掛け合わせて算出しております。なお、権益事業については既存事業を採掘終了まで継続保有する前提としております。
・鋼管事業:
欧州域内排出量取引(EU-ETS)や炭素国境調整措置(CBAM)の導入により影響を受ける可能性がある欧州向けビジネスの当報告期間実績より算出。
・一般炭・原料炭事業:
事業所在国において炭素税が既に導入されていることから、当報告期間における対象事業のGHG排出量(Scope1・2)実績に、事業所在国が定める炭素クレジット単位を掛け合わせて算出。
・天然ガス・LNG事業(上流権益):
既に参画しているプロジェクトで生産されるLNGの使用時に排出されるGHG排出量の当社持分見通しに、IEAにおけるNZEシナリオの炭素価格の見通しを掛け合わせて算出。
・鋼管事業
・船舶事業
・自動車事業
・小売事業
・食料事業
・銅事業
・アルミ事業
・一般炭・原料炭事業
・鉄鉱石事業
・化学品事業
・農業資材ディストリビューター事業
・発電事業(石炭火力発電事業、ガス火力発電事業)
・天然ガス・LNG事業(上流権益)
・天然ガス・LNG事業(トレード)
・海洋油・ガス生産設備傭船事業
■気候関連レジリエンス
上記のとおり認識している当社グループの見通しに影響を与え得る個別事業別の気候関連の各リスクに対して、戦略・緩和策に既に取り組んでおり、引き続き戦略・緩和策の計画を立てております。戦略・緩和策の実施に伴い、不確実性を減らし、リスクが顕在化した場合にも財務的影響の低減は可能と認識しております。また、当社の事業ポートフォリオは多岐にわたる複数の産業と地域に広く分散しており、当社グループの事業継続に与える影響は限定的であることを認識しております。また、上記のとおり認識しているすべての移行リスクについて、NZEシナリオにおける財務的影響の総額を踏まえた場合にも、脱炭素社会に移行する中で、当社グループの事業継続にはレジリエンスが担保されていることを認識しております。
なお、上記のとおり認識している当社グループの見通しに影響を与え得る個別事業別の気候関連の各機会に対しても、顕在化に向けた戦略を立てて取り組んでおり、当社グループの強みを核とした新たな成長を加速させてまいります。
③ リスク管理
事業ポートフォリオ全体における気候関連のリスク及び個別事業における気候関連のリスクについても、全社的な管理プロセスに基づいて管理しております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ③ リスク管理」を参照ください。
④ 指標及び目標
■ 当社グループカーボンニュートラル化目標
当社グループは、「気候変動問題に対する方針」及び「マテリアリティ」に係る長期・中期目標を制定し、2050年に当社グループのカーボンニュートラル化を推進するとともに、社会のカーボンニュートラル化に貢献していくことを目指しております。
カーボンニュートラル化対象範囲であるScope1・2及びScope3(Category13及び15)については、2024年度を基準年として、長期目標として2050年カーボンニュートラル化、中間削減目標として2035年度に排出量の総量を基準年度比30%(内訳:Scope1・2 85%、Scope3(Category13及び15) 20%)以上削減を目指しております。2050年カーボンニュートラル化とは、当社グループのGHG排出を削減した上で、炭素除去など国際的に認められた方法により、残余排出量を実質ゼロとすることを指します。なお、カーボンニュートラル化は、CO2のみならず、メタン、一酸化二窒素、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン類、六ふっ化硫黄、三ふっ化窒素を含むGHGを対象範囲としております。
当該目標は、当社グループとして、パリ協定及び関連する世界的な合意を重視し、同協定に掲げられた社会のカーボンニュートラル化目標の達成に、より積極的な役割を果たすことを目的としております。
排出削減目標達成に向け、設備の省エネルギー化や入替え、再生可能エネルギーの調達等、各現場の事業環境に合わせた着実な削減努力を続けていきます。
当社グループの気候関連目標のレビューは、経営会議を経た上で、取締役会にて行っております。詳細は「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス」の項目を参照ください。当社グループの気候関連目標の進捗モニタリング指標としては、Scope1・2、Scope3(Category13及び15)の推移となっております。
なお、2050年カーボンニュートラル化達成に向けて、「火力発電事業及び化石エネルギー権益事業」は、当社グループが排出削減を進める重点領域であり、両事業の排出量は、当社の投融資姿勢を各ステークホルダーに伝える重要な情報と捉えております。GHGプロトコルに基づく新たなカーボンニュートラル化対象範囲においては、両事業のすべての排出量を捕捉できないこと(※)を踏まえ、年度ごとの両事業の排出量についてもモニタリング及び開示を継続しております。
※ 火力発電事業及び化石エネルギー権益事業の合計排出量(2024年度排出量合計50百万t-CO2e)の約7割は、新たに設定する「Scope1・2及びScope3(Category13及び15)」の対象範囲に含まれるが、約3割は当社グループが少数株主として投資する事業におけるサプライチェーン上の排出量であるなどの理由により、当社Scope1・2・3の対象範囲外となるもの。
<カーボンニュートラル化目標>
<Scope1・2>
基準年度:2024年度7.2百万t-CO2e
中間目標:2035年度0.8百万t-CO2e(基準年度比85%減)
長期目標:2050年カーボンニュートラル化
・2035年度の排出量目標値である0.8百万t-CO2eは、2019年度のScope1・2の合計1.5百万t-CO2eに対し50%以上の排出削減となり、2019年度を基準年としていた従前の中間目標を維持した水準となります。
・2024年度のScope1・2は2019年度比約6百万t-CO2e増加しておりますが、2019年度には建設中であったVan Phong火力発電所(当社100%保有)が、2024年度に稼働開始したことによるものです。同発電所は持分の50%譲渡が決定しており、譲渡後はScope3 Category15にて持分相当の排出量を認識する予定です。
<Scope3(Category13及び15)>
基準年度:2024年度38百万t-CO2e
中間目標:2035年度30百万t-CO2e(基準年度比20%減)
長期目標:2050年カーボンニュートラル化
・2024年度時点では、Scope3の大半は火力発電事業による排出ですが、地域社会における経済や産業の発展に不可欠なエネルギーを安定的に供給するとともに、経営資源をより環境負荷の低い発電ポートフォリオに継続的にシフトする方針です。
・2035年度の排出量見込みは、Van Phong火力発電所の持分の50%譲渡後の排出量を含みます。
■当社グループ カーボンニュートラル化対象 GHG排出量(速報値)
(単位:千t-CO2e)
(※)1 確定値については、後日、当社HPに掲載予定です。
(※)2 集計対象範囲は、以下のとおりです。
Scope1・2:GHGプロトコル(2004)の経営支配力基準に基づく、当社単体、連結子会社及び共同支配事業
Scope3:当社単体、及び連結子会社(ただし、重要性の観点より、事業収益規模が小さくかつ多排出事業に該当しない一部事業会社を除く)
(※)3 Scope1の数値には、エネルギー起源CO2とエネルギー起源CO2以外のGHG排出量を含みます。
(※)4 Scope1・2の算定にあたっては、GHGプロトコルを参考に策定した会社方針に基づき算定しており
ます。また排出原単位は、環境省が公表する温室効果ガス排出量算定・報告公表制度の排出係数を使用しているほか、IEAが発行する「Emissions Factors 2025」に掲載された2023年の国別の排出係数等を使用しております。
(※)5 Scope3の算定にあたっては、GHGプロトコル「Corporate Value Chain(Scope3) Accounting and
Reporting Standard」、及び環境省が主導するグリーンバリューチェーンプラットフォームの各種情報源を参照しております。また、算定時点で入手可能な最新の実績値、経済データ及び係数をもとに算定しております。なお、排出原単位として利用している主なデータソースは、以下のとおりです。
Category13:合理的な仮定に基づく使用シナリオにより設定した排出原単位
Category15:サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための
排出原単位データベース
<火力発電事業及び化石エネルギー権益事業に伴うCO2排出量(※)1>
(単位:千t-CO2e)
(※)1 発電事業の稼働済案件、及び化石エネルギー権益に係る実績は第三者機関のアドバイスを
受けて算定。
(※)2 建設中案件の推計値及び持分法適用関連会社の排出も含む。
(※)3 生産されたエネルギー資源の、他社の使用に伴う間接的CO2排出を算定。
■石炭関連事業の取り組み方針
●石炭火力発電事業
新規の発電事業・建設工事請負には取り組まず、2035年度までにCO2排出量を60%以上削減(2019年度比)し、2040年代後半にはすべての事業を終え石炭火力発電事業から撤退します。
ホスト国・地域社会等のステークホルダーとの真摯な対話を踏まえた合意形成、既存設備の脱炭素化・低炭素化に向けた検討・取り組みの追求、再生可能エネルギー等への電源シフトに向けたホスト国への最大限の支援等を行いながら、事業撤退の前倒しも排除せずあらゆるオプションを追求し、当社及び社会全体の脱炭素化を図ります。
●一般炭鉱山開発事業
今後新規の権益取得は行わず、持分生産量を2020年代後半にゼロにします。
■気候関連のリスク及び機会に該当する事業の総資産実績総額及び全体に占める割合
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連の物理的及び移行リスクに対する脆弱な資産、及び当社グループ全体の総資産に占める割合は以下のとおりです。物理的リスクに対する脆弱な資産は物理的リスクに該当する事業の総資産を、移行リスクに対する脆弱な資産は移行リスクに該当する事業の非流動資産を対象としております。なお、移行リスクに対する脆弱な資産について、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る移行リスクのうち、予想される財務的影響が限定的とされる事業は対象外としております。
また、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連の機会と整合した総資産、及び当社グループ全体の総資産に占める割合は以下のとおりです。
・物理的リスク・・・ 564,893 百万円 (当社グループ全体に占める割合 4.1 %)
・移行リスク ・・・ 796,029 百万円 (当社グループ全体に占める割合 5.8 %)
・事業機会 ・・・ 328,956 百万円 (当社グループ全体に占める割合 2.4 %) <2026年3月31日時点>
■気候関連のリスク及び機会に対応する資本投下
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る気候関連のリスク及び機会について、それらに対応する重要な資本投下はありません (2026年3月31日時点)。
なお、当社は、当社グループが進めるサステナビリティ経営を幅広いステークホルダーの皆さまに認識いただくとともに、資金調達面においても推進することを目的に、サステナブルファイナンス・フレームワークを策定しております。詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照ください。
■内部炭素価格
2023年4月より、当社内で内部炭素価格制度(ICP)を運用し炭素排出コストを算出しております。カーボンニュートラル社会の実現に資する新たな事業機会創出に向けた全社の施策検討や投資判断時の将来事業への影響等の確認に活用しております。
当社ICPにおいては、IEAが発行するWorld Energy Outlook 2024のNZEシナリオの炭素価格の見通しを使用し、新規及び既存案件の所在地に応じたシナリオ分析を行っております。
<当社ICPにおける炭素価格>
(単位:米ドル/t- CO2)
(3) 自然資本に関する開示
当社グループが展開するさまざまなセクターでの事業は自然に大きく依存しております。自然資本を考慮した意思決定を行うことで、ビジネスの持続可能性のみならず、地球環境の持続可能性に貢献することが不可欠と考えております。
当社グループは、気候変動の緩和と適応、生物多様性の保全、エネルギー・水・資源の持続可能な活用、汚染防止といった、自然に関するさまざまなテーマを、重要かつ長期的な課題と捉え、マテリアリティに“気候変動問題を克服する”、“自然資本を保全・再生する”を設定するとともに、以下の環境方針を定め、取り組んでおります。
環境方針
① ガバナンス
当社グループの自然資本に関するガバナンスは、サステナビリティ経営全般のガバナンスに組込まれております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス」を参照ください。
② 戦略
当社グループでは、気候変動や生物多様性の損失等、近年の社会課題の一層の深刻化や、当社グループの強み、ステークホルダーからの期待も踏まえ、社会課題の解決を通じて持続的な成長を実現すべく、2024年5月に「マテリアリティ」を更新し、“自然資本を保全・再生する”を新たに掲げました。加えて、中期目標として「2030年ネイチャーポジティブに向けた取り組みの促進」を設定しました。さらに、この中期目標に対する理解醸成・取り組み強化を目的として、当社にとってのネイチャーポジティブに向けた取り組みを「事業による自然資本への影響を最小化し、自然資本の保全・再生に向けてビジネスを変革し続けていくこと」と定義しました。事業を通じたリスク低減及び機会創出の両面で取り組みを加速させていきます。
当社は、SASB基準をベースとし、バリューチェーン全体におけるリスク及び機会の分析を行っております。また、TNFDの枠組みに沿って実施している自然関連リスク及びインパクトの把握・管理に係る検討内容も考慮した上で、自然資本に関連する重要なリスク及び機会を識別しております。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る自然資本関連のリスク及び機会は以下のとおりであります。
なお、これらに関する財務的影響については、合理的かつ信頼性のある定量的情報の算定が困難であることから、定性的な情報を記載しております。
※時間軸:短期 2026年、中期 2035年、長期 2050年
(a) 製品ライフサイクル
大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会活動は、健全な物質循環を阻害するほか、気候変動問題、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の損失等、様々な環境問題にも密接に関係しております。こうしたこれまでの経済・社会様式から、資源・製品の価値の最大化を図り、資源投入量・消費量を抑えつつ、廃棄物の発生の最小化につながる経済活動である「循環経済(サーキュラーエコノミー)」実現への取り組みは、気候変動対策、生物多様性の保全と並んで、国際社会共通の課題となっております。加えて、近年では循環経済への移行が、産業競争力の強化や経済安全保障の確保にも貢献する点が強調されるようになってきております。
このような環境を踏まえ、当社グループはリサイクル、省資源型の技術や商品への転換、森林等の天然資源の持続可能な調達に取り組むことで、限りある資源を有効に活用し、持続可能な資源循環の実現に貢献します。また、経済産業省が推進する「サーキュラーパートナーズ(CPs)」に参画し、ルール形成への参画やネットワーキング等を図り、循環型経済に貢献する事業の創出に取り組んでおります。
このような事業環境及び当社グループの事業特性を踏まえ、当社グループは、製品ライフサイクルの各段階においてリスク及び機会を識別しており、下表のとおり分析しております。
・不動産事業
・農業資材ディストリビューター事業
(b) 廃棄物及び危険物管理
グローバルに幅広い地域で事業を展開している当社グループは、環境方針で示しているとおり、環境関連法規の遵守、循環型社会構築への寄与に努めます。具体的には、排水・汚泥・排気等による汚染防止について、法令基準の遵守のみならず、廃棄物の削減・再利用・リサイクル等の環境負荷低減等に取り組み、持続可能な社会を実現していくことが重要だと考えており、各事業活動を通じて課題解決に取り組んでいきます。
このような事業環境及び当社グループの事業特性を踏まえ、当社グループは、廃棄物及び危険物管理に関連するリスクを識別しており、下表のとおり分析しております。
・鉄鉱石事業/銅事業
■レジリエンス
上記のとおり認識している当社グループの見通しに影響を与え得る自然資本関連の各リスクに対して、戦略・緩和策に既に取り組んでおり、引き続き戦略・緩和策の計画を立てております。戦略・緩和策の実施に伴い、当社グループの事業継続にはレジリエンスが担保されていることを認識しております。
③ リスク管理
事業ポートフォリオ全体における自然資本関連のリスク及び個別事業における自然資本関連のリスクについても、全社的な管理プロセスに基づいて管理しております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ③ リスク管理」を参照ください。
④ 指標及び目標
当社はマテリアリティの一つである“自然資本を保全・再生する”の中期目標として「2030年ネイチャーポジティブに向けた取り組みの促進」を設定しております。
当該中期目標を構成する主な取組は以下のとおりであります。
・各事業における自然関連リスク・機会の把握
・主要な天然資源関連商品の持続可能な調達を含めた、サプライチェーン全体でのリスク低減の推進
・ネイチャーポジティブ・循環経済への転換を促す製品・サービス・仕組みづくりによる新規事業の開発
(4) 人的資本に関する開示
① ガバナンス
(a) 人的資本経営の監督
当社グループにおける人的資本関連の重要な経営事項については、取締役会が監督・モニタリングしております。経営戦略に直結する人財戦略等の重要方針は、経営会議や、その諮問機関であるサステナビリティ推進委員会、グローバルHRコミッティ等で審議・決定する体制としております。また、取締役会にて、少なくとも年1回、執行から包括的な報告が行われることで、実効性の高い監督機能を発揮しております。取締役のスキル及びコンピテンシーについては、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (a) サステナビリティ経営の監督」を参照ください。
当社のグループ経営は、当社及びグループ各社が尊重すべき三原則である「自律」「対話」「連携」などを定めた「グループマネジメントポリシー」に基づいて運営しております。グループ各社における人事関連施策の運営は、各社が自律的に現場にて判断することを前提としつつ、取締役及び執行役員の人事等の重要な意思決定については、株主としての対話を通じて親会社が関与しております。これらのプロセスにおけるリスク管理については、各事業会社がそれぞれに設定する内部統制システムの整備・運用の状況を当社がモニタリングしております。また、「人財は各社に属するが、グループの資本でもある」という考えのもと、グループ横断での人材育成プログラムの提供や、グループ内の柔軟な人財交流を通じた連携を図っております。
グループ全体の人的資本経営に関するガバナンスは、全体に適用される「グローバル人材マネジメントポリシー」、「住友商事グループ人権方針」、「住友商事グループ コンプライアンス・ポリシー」等の共通の枠組み(1階部分)と、各社の事業特性や地域の法規制等に応じて各社が独自に決定する「個別の制度(等級・評価・報酬等)や施策」(2階部分)からなる、2階建ての構造を採用しております。詳細は「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (a) サステナビリティ経営の監督」を参照ください。
(b) 人的資本経営の業務執行
当社の人的資本に関する重要な経営事項の意思決定及び業務執行は、経営会議及びその諮問機関が担っております。
経営会議の諮問機関として、人材・総務・法務グループ長を委員長とし、経営会議が指名する複数名の委員で構成されるグローバルHRコミッティを設置しております。重要な人的資本に関する施策については同コミッティに諮問した上で、経営会議が総合的な意思決定を行っております。
当社の人材・総務・法務グループ長は、人財戦略の策定・実行に対する責任及び権限を有しております。人的資本のリスク及び機会に対しては、人事施策の企画・社内浸透を担うHR企画戦略部及びHRソリューションズ部と、当社の経営計画全体や重要施策の企画を行う経営企画部等の関連コーポレート組織が連携しております。各グループ・地域組織の意見も吸い上げた上で、施策の立案・推進を行っております。
当社の人的資本への取り組みがより実効的なものとなるよう、役員報酬の譲渡制限付業績連動型株式報酬制度の評価項目として、人的資本関連に係る非財務指標(「女性活躍推進」及び「従業員エンゲージメント」)を含めており、継続的にモニタリングしております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記」を参照ください。
② 戦略
(a) 取り巻く事業環境と当社グループの経営戦略
当社グループを取り巻く事業環境は、地政学的緊張の高まりやインフレ等による経済の不透明感に加え、気候変動問題の深刻化や労働力不足、さらにはAI等のデジタル技術による産業構造の非連続な変化等、著しく不確実性が高まっております。
こうした環境下において、当社グループは中期経営計画2026のテーマとして「No.1事業群」を掲げ、「強みを核とした成長」及び「成長の原動力の強化」に重点的に取り組み、「事業ポートフォリオ変革」を加速させることで、社会課題解決を通じた飛躍的な成長の実現を目指しております。
(b) 人財戦略
「No.1事業群」という経営戦略を遂行する最大の原動力は「人財」です。当社グループは「グローバル人材マネジメントポリシー」を制定し、経営戦略の実現に向けた人財マネジメントを推進しております。
本ポリシーでは、会社が個人を一方的に管理するのではなく、「個」と「組織」が相互に選び合い、ともに成長する関係性の構築を目指しており、以下の2つのありたい姿を掲げております。この実現に向けて、国籍・性別・年齢等の属性にとらわれず、職務と成果に報いる報酬体系と、グローバルベースでの最適な人財配置を追求しております。
● 目指す個の姿(Top Tier Professionalism): グループの理念に共感し、高い志を持ち、自律的な成長を続け、グローバルフィールドで新たな価値創造に挑戦する人財。
● 目指す組織の姿(Great Place to Work): 個々人がイキイキと新たな価値を生み出し続け、世界に人財を輩出する「挑戦の場」として選ばれる組織。
(c) 人的資本に関するリスク及び機会
当社グループが事業を展開する地域・産業及びビジネスモデルは多様化しており、外部環境は非連続かつ急速に変化しております。こうした中、当社グループでは、人的資本(人財のケイパビリティ)の価値を高めることを通じて、経営戦略の実行力を強化する人的資本経営を推進しております。人的資本への投資領域を「5つの基盤(事業精神、インクルージョン、人材育成、ウェルビーイング、トータル・リワード)」として定め、継続的な投資をしております。これらの基盤への投資を通じ、エンゲージメントを高め、「社員の成長がビジネスの成長を牽引し、その成果が新たな成長機会として社員に還元される」という好循環を実現しております。
(※)施策事例は当社の取り組みであり、後述の「(d) リスク及び機会への当社の対応」を参照ください。
そして、当社グループの経営戦略である「No.1事業群」の実現に向け、以下の3つ(a~c)のテーマをグループ共通の最重要課題(リスク及び機会)として位置づけております。これらは、対応が遅れれば事業への悪影響を招く「リスク」であると同時に、的確に対応することで競争優位性を飛躍的に高める「機会」となる、表裏一体の関係にあります。「リスク」を最小限に抑え、「機会」を最大化することにより、当社グループの事業成長と中長期的な企業価値向上につなげていきます。なお、この3つのテーマは、当社グループが取り組むべき社会課題とその中長期のコミットメントであるマテリアリティに掲げる“人材育成とDE&Iを推進する”にもつながっております。
a プロフェッショナル人財の確保・育成
<リスク>
ビジネスモデルの急激な変化(特にデジタル・AI技術の発展やGXの進展)に伴い、高度な専門性・経験や事業環境の変化に対応できる能力を持った人財への需要が急増しております。しかし、労働市場における人財獲得競争が激化する中で、当社グループの採用・育成の取り組みが想定通りに進まず、必要なプロフェッショナル人財をタイムリーに確保・育成できなかった場合、戦略の実行が停滞し、当社グループの競争力の低下や新規事業の機会逸失等のリスクがあります。
<機会>
一方で、採用力の強化やグループ間の人財交流を通じて、社内外からプロフェッショナル人財を確保するとともに、各ビジネスで必要とされる専門知識・スキルの育成プログラムの充実や、デジタル・AIリテラシー研修等のリスキリングを強力に推進できれば、大きな成長のエンジンとなり得ます。特に社員一人ひとりがデジタルスキルを獲得し向上させ、業務を効率化し、創出された時間をクリエイティブな「事業構想」に振り向けることで、新たなビジネスモデルの創出、事業変革を促す機会となります。また、研修や挑戦機会の提供等の人材育成に継続的な投資を行うことで、社員にとって当社グループが各々の能力を伸ばしスキルを獲得することのできる魅力的な場となり、人財の定着にもつながります。
b 経営人財とキーポジションのサクセッション
<リスク>
当社グループは幅広い産業においてグローバルに事業を展開しており、その戦略立案と実行を担うのは現場のリーダーたちです。特に日本において、仮に旧来の年功や属性にとらわれた配置から脱却できず、グローバルベースでの「適所適材」が進まない場合は、多様な事業を牽引する次世代・次々世代の経営人財のパイプラインが枯渇するおそれがあります。その場合、環境変化への対応の遅れや意思決定の誤りを招き、足元の業績悪化とともに、中長期的な企業価値の向上を阻害するリスクとなります。
<機会>
この課題に対し、国籍・性別・年齢等の属性にとらわれず、早い段階からポテンシャルのある人財を特定し、組織の枠組みを超えた異動や、より大きな機会に挑戦させるアサインメントを計画的に提供できれば、多様な事業を牽引する人財のパイプラインを充実させることができます。タレントレビュー等を通じて、必要なスキルと経験を備えた人財を着実に育成・輩出するサイクルを回すことで、成長事業における強み・競争優位の磨き上げや事業の再構築等、中期経営計画で掲げる事業ポートフォリオ変革を着実に遂行する組織推進力(「リーダーシップ」と「スピード」)を獲得する最大の機会となります。
c 多様な人財の活躍
<リスク>
複雑化する社会課題を解決していくためには、従来と同じ発想や均質的な価値観だけでは対応できません。属性や心理的な壁によって、多様な人財が能力を十分に発揮できない環境のままでは、組織の同質化や意思決定における質の低下を招き、新たな発想やイノベーションが生まれず、結果として市場の変化に取り残されるリスクがあります。
<機会>
当社グループはDiversity, Equity and Inclusion(DE&I)を「価値創造、イノベーション、競争力の源泉」と明確に位置づけております。人財の採用・登用においても、各国の雇用関連法規を遵守し、いかなる属性(人種、国籍、性別、年齢、性的指向、性自認、性表現等)に基づく不当な優遇・差別も行わず、適性と能力に基づく機会の提供を重視することを基本としております。こうした方針のもと、キャリア採用者が持ち込む多様な視点や、グローバル拠点で活躍する海外採用社員、女性リーダー等、多様な知識・経験を持つ人財が案件創出や意思決定に主体的に関与する「知のミックス」を実現することで、イノベーティブな議論と質の高い意思決定が可能となり、組織力の向上につながります。一人ひとりが「WILL(意欲)」を起点に自分らしく力を発揮できるインクルーシブな環境を築くことこそが、これまでにない付加価値を生み出し、「No.1事業群」の実現につながる最大の機会となります。
(d) リスク及び機会への当社の対応
当社グループの中核企業である住友商事では、上記の最重要リスク及び機会(a~c)に対し、以下の対応を行っております。今後、これらの取り組みを日本のみならず、海外地域組織に拡げていきます。
a プロフェッショナル人財の確保・育成:
当社のプロフェッショナル人財には、住友の事業精神やグループの経営理念に深く共感しこれを体現しながら、多様なステークホルダーとともに社会課題を解決し、新たな価値創造に挑戦していくことが求められます。その挑戦のフィールドは様々な国・地域及び産業にわたるため、社員一人ひとりが自律的に成長し続け、グローバルで通用する高い市場価値を備えたプロフェッショナル人財を目指していくことが不可欠です。そのため、特定の分野における高度な専門知識・スキルだけではなく、新たな事業を構想する発想力やリーダーシップ、既存事業の継続的な改善・高度化(オペレーティングエクセレンス)を推進する力など、多岐にわたる能力をそれぞれの担当業務や事業ステージに応じて獲得・発揮することが求められます。
こうしたプロフェッショナル人財の育成に向けては、まず土台として、住友の事業精神やグループの経営理念に触れる機会を、各階層別研修や別子銅山訪問研修など継続的に設けるとともに、日々の実務における実践を通じて、社員のマインドセットとして醸成しております。その土台の上に、ガバナンス・財務会計・マーケティング等の基礎知識から、個々人がそれぞれのフィールドで必要とされる「世界で通用する力(=専門性)」を身につける人材育成プログラムを提供しております。加えて、自律的な学習を促すe-learningプラットフォームを整備しております。また、デジタル・AI戦略の実行力強化のため、これまで全社員必須のものから各営業グループのビジネスに特化したものまで、多層的にデジタル研修を実施してまいりました。その上で、全社的なデジタルスキルの可視化と社員のスキル向上のさらなる加速を目的に、2026年度よりデジタルスキルに関する社内認定制度「Dグレード」を導入しております。上記の全社的な取り組みに加えて、ビジネスごとに求められる専門知識・スキルを踏まえて、営業グループごとに独自の研修や、海外へのトレイニー派遣や事業会社への出向等による現場経験も含めた人材育成を行っております。
また、当社の職務等級制度においては、組織マネジメントを担うマネジメント職群と、高度な創造性や専門性の発揮を通じてプロジェクトを牽引するエキスパート職群による複線型のキャリアパスを設けており、多様なプロフェッショナル人財がそれぞれの強みを活かしながら成長できる環境を整備しております。キャリア採用により外部から高度な専門性を有する人財を獲得するのみならず、こうした育成施策とキャリアパスを通じて、社内においてもプロフェッショナル人財を計画的に育成し、継続的に確保することに努めております。
b 経営人財とキーポジションのサクセッション:
当社では、現在のキーポジションに対する個別のサクセッションレビューに加え、中長期の戦略実現を担う次世代の経営人財の計画的な育成にも注力しております。具体的には、社長・グループCEO・地域組織長等によるタレントレビューを実施しております。次世代経営人財候補に対しては、グループを超えた異動、セグメント(業界)の異なる組織での経験、またはより大きなアサインメントに挑戦させる機会の付与といった戦略的配置を行っております。あわせて、経営人財育成プログラムやメンタリング・コーチングを通じた育成のサイクルを回しております。
また、グローバルベースで経営人財の育成を推進していくため、グローバルで職務の大きさを比較可能にする「Job Grading」の導入や人財データベースの構築を進めております。
c 多様な人財の活躍:
当社では、多様な人財一人ひとりが各々の力を最大限に発揮できるよう多面的な取り組みを推進しております。まず、日本においては、2030年度までの数値目標を掲げ、女性活躍推進に取り組んでおります。単体の人事制度において、採用時の職掌区分を廃止・一本化し、職掌による制約をなくしたことで、個々人のスキル・能力・意欲等に応じたキャリア形成が可能な制度を整備しております。また、従来整備しているライフイベントと就業の両立支援に加え、女性リーダーの登用・育成を一層加速させていくための強化策を、シニアマネジメントの議論を経て実行に移しております。具体的には、配偶者の転勤等のライフイベントに応じたアサインメントの柔軟な個別対応や女性のコミュニティ形成、メンター制度等、活躍の阻害要因を極力排除し、真に力を発揮し成長できる機会を提供しております。
また、事業戦略に基づき高度な専門性を有する人財を外部から獲得するキャリア採用を積極的に推進しております。当社におけるキャリア採用者のバックグラウンドは多岐にわたり、各々の専門性や他社での経験に基づく異なる視点が、組織全体に新たな気づきや発想をもたらしております。
加えて、社内公募制の拡大にも取り組んでおります。社内公募制は、各組織にとっては、社内においても多様なスキル・経験を持つ人財を組織の枠を超えて機動的に獲得できる仕組みであるとともに、社員一人ひとりにとっては、「WILL(意欲)」を起点に自律的なキャリアを切り拓く機会にもなっております。
インクルーシブな職場環境の構築に向けては、インクルージョン啓発イベント「Inclusion & Connection Weeks(I&C Weeks)」を毎年開催し、多様な人財が自分らしく力を発揮できる組織文化の醸成に取り組んでおります。
なお、上記最重要のリスク及び機会(a~c)に注力するための土台となる職場環境整備については、上述の人的資本への5つの投資領域(事業精神、インクルージョン、人材育成、ウェルビーイング、トータル・リワード)ともアラインする形で、以下のとおり継続的に各種施策に取り組んでおります。
● 健康経営
当社では、社員一人ひとりが最大限にパフォーマンスを発揮するためには、心身の「健康」が最重要であり、これを基盤としてこそ、新たな価値創造を続けていくことができるという考えのもと、「イキイキワクワク健康経営宣言」を策定しております。人材・総務・法務グループ長を最高責任者とする推進体制のもと、「ヘルスリテラシー向上」、「もしもに備える安心体制」、「グローバル医療サポート」の3つを主軸として、健康経営に取り組んでおります。また、高い付加価値を生み出すアウトプット志向の働き方を実現するため、テレワーク制度やコアタイムのないスーパーフレックス制度等を整備しており、社員の自律的かつ柔軟な働き方を促進しております。
● 人事制度
当社では、Pay for Job, Pay for Performanceを追求しながら、専門性やスキルを重視したベストタレントの最適配置を実現し、組織パフォーマンスの最大化を図っております。
こうした人材マネジメントを実現するため、管理職において年次管理を撤廃し、職務の大きさに応じて等級を決定する職務等級制度を導入しております。あわせて、採用時の職掌区分を廃止し一本化した上で、入社後のキャリア形成の選択肢として、管理職においては高い創造性や専門性を発揮するエキスパート職群と、組織マネジメントを担うマネジメント職群の複線型のキャリアパスを整備しております。
自律的なキャリア形成に向けては、360度評価や絶対評価を導入しており、評価の公平性を向上させるとともに、個と真摯に向き合い、そのポテンシャルを引き出しております。また、キャリアアセスメントを通じて、上司・部下間の対話により、社員一人ひとりのキャリア志向・経験・適性・課題に関する相互理解を深め、適所適材の実現とキャリア形成につなげております。
③ リスク管理
当社では、人的資本に関するリスクについて、ガバナンス体制のもとで継続的な把握・管理を行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (a) サステナビリティ経営の監督」を参照ください。人的資本に関する重要事項は、取締役会が後述の「④ 指標及び目標」を含め監督・モニタリングしており、経営戦略に直結する人財戦略等については、経営会議及びその諮問機関であるサステナビリティ推進委員会やグローバルHRコミッティにおいて審議した上で、取締役会に定期的に報告されております。詳細は、上記「① ガバナンス」を参照ください。
④ 指標及び目標
各取り組みの効果については社員エンゲージメントにより確認するとともに、最重要のリスク及び機会(a~c)への対応の進捗は、各指標によりモニタリングしております。
<社員エンゲージメント>
<モニタリング指標>
(※)1 社員エンゲージメントに関するサーベイは、当社の国内外地域組織を含むグローバルベースで年1回実施しており、①組織へのコミットメントの度合いや仕事に対する自発的な取り組み意欲を示す社員エンゲージメント、並びに②社員一人ひとりが力を発揮するための職場環境について調査しております。サーベイ結果は社員と共有し、各現場において、結果分析及び議論を行い、その結果を踏まえたアクションプランの策定・実行を通じて、継続的な改善に取り組んでおります。
(※)2 対象者のうち、グループを超えた異動、セグメント(業界)の異なる組織での経験またはより大きなアサインメントに挑戦させる機会の付与といった戦略的配置転換を実施した割合を示しております。
(※)3 2025年度から開始したプログラムのため、2024年度実績はありません。
(※)4 翌期4月1日時点の実績を記載しております。女性活躍推進に向けた取り組みについては、「(4) 人的資本に関する開示 ② 戦略 (d) リスク及び機会への当社の対応」を参照ください。
(※)5 当社は、2025年6月に行われた第157回定時株主総会決議をもって機関設計を「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」に移行しております。移行前の2024年度実績は取締役及び監査役を対象としておりますが、移行に伴い、2025年度実績は取締役(監査等委員である取締役を含む)を対象としております。
(※)6 日本経済団体連合会が2021年に公表した「2030年30%へのチャレンジ」に賛同し、設定しております。
(※)7 翌期4月1日時点の実績を記載しております。
(5) ガバナンスに関する開示
法規制対応
当社グループは、日本及び海外において、多種多様な事業活動を手掛けているため、広範な法律及び規制に服しており、「住友商事グループの経営理念・行動指針」において法と規則の遵守を掲げております。
かかる法と規則の遵守を徹底するため、当社は、コンプライアンスに関する最高責任者としてチーフ・コンプライアンス・オフィサーを置いており、チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、コンプライアンスに関する適切な施策の企画、立案及びその実施につきコンプライアンス委員会から助言を受け、実行しております。また、コンプライアンスの基本方針を住友商事グループ全体に明確に示すために、当社は、コンプライアンスの観点から特に遵守すべき重要事項を「住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシー」として以下のとおり制定し、また住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシーの詳細や留意点、関連する社内ルールや資料について網羅的に解説した「コンプライアンス・マニュアル」を作成し全役職員に配布しております。当社は、セミナー等の継続的な啓発活動を通じて、グループ全体への「コンプライアンス最優先」の意識の浸透を図るとともに、コンプライアンス上の問題が発生したときは、直ちに上司や関係部署に対して事態を報告し最善の措置をとること、すなわち「即一報」を行うことを徹底しております。
住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシー(2019年3月制定)
① ガバナンス
(a) 監督
当社グループでは、取締役会規程等において明確に定められた権限分担に基づいて、取締役会が、法規制対応に関する重要な経営事項を決定するとともに、経営会議及び執行役員が行う意思決定及び業務執行を監督しております。法規制対応に関する重要な経営事項の意思決定については、取締役会が、経営会議やその諮問機関であるコンプライアンス委員会等での検討を経て取締役会に付議された事項についての審議・決定を行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (a) サステナビリティ経営の監督」を参照ください。
(b) 業務執行
当社グループでは、社内規程の定めに応じて、経営会議及び執行役員が、法規制対応に関する重要な経営事項の意思決定及び業務執行を行っております。経営会議は法規制対応関連の多様なリスク及び機会を評価・管理し、効果的な意思決定を行うため、コンプライアンス委員会等に諮問した上で、総合的な意思決定を行っております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (b) サステナビリティ経営の業務執行」を参照ください。
当社では、当社及びグループ各社のコンプライアンス問題に対し、より機動的な対応を図ることを目的に、コンプライアンスに関する最高責任者としてチーフ・コンプライアンス・オフィサーを設置しております。また、コンプライアンス施策の企画及び立案を担うコンプライアンス委員会は、チーフ・コンプライアンス・オフィサーを委員長とした上で、コーポレートグループの部長のみではなく、営業グループのSBU長を委員に加えるなど、当社の実態に即した施策を多面的に検討するための体制を整備しております。
② 戦略
(a) サステナビリティ経営における法規制対応の重要性
当社グループが服する法律及び規制は、事業及び投資認可、輸出入活動(国家安全保障上の規制を含む)、競争法制、贈収賄・腐敗防止、為替管理、金融商品取引、個人情報・データ保護、人権保護、環境保護、消費者保護、関税及びその他の租税等の分野にわたることに加え、国によっては追加的または将来制定され得る関係の法律及び規制に新たに服する可能性があります。また、新興国をはじめとして、法令の欠如、法令の予期し得ない変更、並びに司法機関及び行政機関等による規制実務の変更が生じる可能性もあります。
当社は、サステナビリティ経営を推進する上で、このような法規制に的確かつ迅速に対応することが当社の事業展開、業績、財政状態及び社会的信用に良い影響を及ぼすことに繋がると認識しており、その対応を通じて経営戦略の円滑な実現を支援しております。他方で、法令遵守のための当社における負担が今後より増加する可能性もあります。当社または当社グループに属する役職員が、現在または将来の法律及び規制を遵守できなかった場合には、罰金等のペナルティの対象になるほか、事業活動を制約されたり、信用の低下を招いたりする可能性があり、当社の事業展開、業績、財政状態及び社会的信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは多国籍・多事業分野にわたり事業を展開し、様々な取引先等との接点が多いという事業特性を有しており、特に①贈賄防止、②競争法遵守、③インサイダー取引規制、④安全保障貿易管理等について、これらの分野における違反事案の発生は、制裁金等の直接的損失にとどまらず、事業継続への制約、取引先・投資家からの信頼低下、資本市場における評価悪化などを通じて、中長期的な企業価値に重大な影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業の根幹にも直結する事態となる可能性を有していることから、当社はこれらの違反事案の発生を事業遂行過程における特に重要なリーガル・コンプライアンスリスクであると認識し、重点的に管理しております。
(b) 法令遵守意識の徹底と理解の浸透
当社は、競争法遵守、安全保障貿易管理、贈収賄防止など、コンプライアンスの観点から特に重要な事項を解説し、関連する社内ルールや資料を一元化した「コンプライアンス・マニュアル」を策定し、当社全役職員に周知しております。
また、新人研修、新任管理職研修、新任役員研修など、国内外を問わず、各階層向けのセミナーを実施するとともに、「住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシー」や「コンプライアンス・マニュアル」のさらなる理解と浸透を図るために、当社全役職員(出向者や海外勤務者を含む)を対象にその時々の状況に応じたテーマについてのe-learningを毎年開講しております。さらに、毎年一度、当社全役職員から、コンプライアンスの遵守徹底にかかる誓約書も取得することにより、「法と規則を守り、高潔な倫理を保持する」という当社グループの行動指針を定期的に確認しております。これらの定期的な活動に加え、贈収賄防止、取適法・競争法遵守、安全保障貿易管理、インサイダー取引の防止等、当社の事業遂行過程において特に重要なリスク領域については、テーマ別の研修やセミナーを繰り返し実施し、役職員の理解向上と実務への定着を図っております。また、営業グループ、国内支社店、海外支社店では、コンプライアンス・リーダーのもと、事業内容や地域特性に応じたコンプライアンス研修も都度実施し、きめ細やかな啓発活動を行っております。さらに、当社グループ会社に向けて「住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシー」に関するe-learningコンテンツを展開するなど、グループ会社のコンプライアンス体制の強化のための各種支援も行っております。
2025年度において、当社及び海外支社店が実施したコンプライアンス関連の研修はのべ169回以上で、約22,980人以上が受講しました。このほか、各営業グループ及び各グループ会社においても数多くのコンプライアンスに関する研修が実施されております。
(c) 重点分野に関する取り組み
i) 贈収賄・腐敗防止
当社グループでは、「コンプライアンス最優先」の大原則の下、住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシーにも示すとおり、あらゆる形態の腐敗の防止に厳しく取り組んでおります。具体的には、当社において「公務員等への贈賄防止規程」を制定し、国内外の公務員等に対する接待・贈答、代理店の起用、招聘、寄付に関するルールを定めて、所要の社内審査を行っております。また、各国の法令改正や外部専門家からのアドバイス、その他社会的な情勢の変化などを踏まえながら、社内ルール、ガイドライン、マニュアルなどを継続的に見直し、改善しております。さらに、こうしたルールやマニュアルなどを海外拠点及びグループ各社へ展開して、各社の贈賄リスクの度合いに応じた体制の整備と運用を促しているほか、社内セミナーなどの継続的な実施を通じ、日本及び海外での贈収賄・腐敗防止に向けて不断に取り組んでおります。
このような当社グループの考え方や取り組み方針などは「住友商事グループ贈賄防止指針」(2017年制定・公表)にまとめております。詳細は当社HPのサステナビリティ関連ページ内、「住友商事グループ贈賄防止指針」を参照ください。
ii) 競争法遵守
当社は、住友商事グループ・コンプライアンス・ポリシーにおいて「公正な競争行為」を行うことを定め、競争法遵守に取り組んでおります。全役職員に配布している「コンプライアンス・マニュアル」において、競争法の背景、禁止される具体的な行為例、違反時のペナルティ等について解説しているほか、より実務に即した、日々の取引における留意事項をまとめたマニュアルも作成しており、役職員への理解の浸透を図っております。加えて、職掌別に実施している定期的なコンプライアンス研修でも競争法遵守及び留意点について解説・周知しているほか、水平的規制・垂直的規制・企業結合・グループ会社運営上の留意等のテーマごとに、様々な形式での定期的な社内研修(外部講師を招聘しての対面研修、e-learning、動画配信等)の実施を通じて、日本及び海外における競争法の遵守徹底を図っております。
iii) インサイダー取引の防止
当社は、当社の事業活動及び役職員の私的取引に関連してインサイダー取引規制違反を防止すべく、「内部者取引防止規程」や「プロジェクト管理ガイドライン」を制定し、社内チェック体制を敷いております。また、インサイダー取引規制及び社内ルールの遵守徹底のため、定期的に社内研修などの啓発活動を実施しております。
iv) 安全保障貿易管理等
当社は、武器や軍事転用可能な民生用の製品・技術などが、大量破壊兵器の開発を行っている国家や非国家主体(テロリスト)の手に渡らないよう、安全保障貿易管理に万全を期すため「安全保障貿易管理規程」を制定・運用するとともに、関税関連法規をはじめ、公共の秩序や安全に関わる関連諸法令遵守のための各種マニュアル・ガイドラインを整備し、研修・指導・モニタリングなどを随時実施しております。
また、当社は、国際社会が協調して進める制裁措置を遵守するために、リスクの度合い及び経営への影響を踏まえつつ、個別ビジネスにおける取引先モニタリングを含む対応方針を、制裁対応に関する「リスクマネジメント細則」としてルール化しております。加えて、関連するコーポレートグループの各部署を集めた横串組織としての制裁対応デスクを設置し、全社的に統一した対応が取れるように管理体制を整えております。
v) その他の分野
当社では、社会・環境課題に対する包括的方針を制定の上、リスクに応じて、関連する契約の契約条項にそれを反映させております。詳細は当社HPのサステナビリティ関連ページ内、「環境マネジメント」、「サプライチェーン・マネジメント」及び「人権の尊重」を参照ください。
また、当社は、上述のi)~v) に掲げる事項に加え、各グループ会社との定期的な対話を通じて、当該グループ会社の事業内容及び事業環境に照らした重要なリスクの把握に努めております。これらの対話を通じて各グループ会社が抽出・認識したリスクについては、当社の主管組織がモニタリングを行い、必要に応じて助言・支援を行うことにより、当該リスクへの適切な対応を図っております。
③ リスク管理
当社は、上述に掲げる各種取組みによりリスクへの適切な対応を図っておりますが、問題が発生する可能性が認識された場合や実際に問題が発生した場合は、当該事象を早期に把握し、迅速かつ適切に対応することを可能とする以下の体制を構築しております。
(a) 即一報
当社グループでは、競争法違反や贈収賄・腐敗行為などの各種法令違反のみならず、職場での不正行為、不正経理、ハラスメント行為など、コンプライアンスに関する問題が生じた場合またはそのおそれのある事態を知った場合には、「即一報」を行うことを社則に明記し、マネジメントレベルを含む上司あるいは関係するコーポレートグループの各部署に対して直ちに事態を報告することの徹底を図り、都度関係部署の総力を結集し、速やかに最適な対応・対策を講じております。
総合商社である当社グループは、多国籍・多法域にわたり事業を展開し、官公庁・国営企業・取引先企業との接点が多いほか、グループ会社、ジョイント・ベンチャー、代理店等を通じた間接的な事業遂行も多いという特性を有しております。このため、法令違反またはそのおそれのある事態が、現場レベルや第三者の行為として潜在化しやすく、経営層や本社部門による把握が遅れるリスクが構造的に存在します。当社は、このような事業特性を踏まえ、問題の早期把握と迅速な是正を可能とする仕組みとして、「即一報」制度を当社グループの基本と位置づけております。
(b) スピーク・アップ制度
職制ラインでの「即一報」の報告が何らかの事情で困難な場合に備えて、この通常ルートである「即一報」のほかに、問題に気付いた役職員が社内外の受付窓口を通じてチーフ・コンプライアンス・オフィサーに連絡できる、「スピーク・アップ制度」を2000年11月から設けております。
当社のスピーク・アップ制度は、チーフ・コンプライアンス・オフィサーのほかに、社外の専門業者、外部弁護士及び監査等委員会という多様な受付窓口を設けており、当社のすべての役職員(契約社員、派遣社員及び出向者などを含む)並びに情報連絡の日から遡って一年以内に当社の役職員であった者からの情報連絡を受け付けております。また、匿名による情報連絡も可能です。
情報連絡された事実や内容の秘密が厳守され、連絡したことにより連絡者本人に不利益となる処遇は行われないことも保証しております。
また、様々な周知策を通じ、スピーク・アップ制度とその運用の詳細について役職員の一層の理解を深める取り組みを継続しております。受付窓口を記載したコンプライアンスポスターのオフィス掲示、役職員一人ひとりへのスピーク・アップカードの配布、制度・運用全般や受付窓口によく寄せられる質問についてわかりやすく解説したガイドの発行及び、e-learningの作成を通じ、広く社内に展開しております。
上記の当社における制度に加え、国内外を問わずグループ各社の役職員が通報することが可能なSC Global Speak-Up制度、各海外支社店における受付窓口、各グループ会社における受付窓口がそれぞれ設けられております。
スピーク・アップ制度、SC Global Speak-Up制度、各海外支社店、各グループ会社において受け付けたそれぞれの事案について、チーフ・コンプライアンス・オフィサーの指揮、指示のもと事実調査を行い、適切に対処されております。この点、複数の外部の弁護士からも、個別案件の対応時に助言を得たり、定期的なレビューを受けることで、制度の適切な運用が確保されるように取り組んでおります。
2025年度において、当社コンプライアンス委員会にて受け付けた、当社グループのスピーク・アップ件数は、49件で、前期から横ばいの状況です(参考:2024年度の受付件数は50件)。これに加えて、各海外支社店、各グループ会社においてもスピーク・アップが活用されております。
なお、ここでいうスピーク・アップ件数に「即一報」の件数は含まれておりません。上述のとおり、当社グループでは「即一報」の徹底を図っており実際にも活発に利用されていることから、通常ルートである「即一報」の利用が基本とされつつ、スピーク・アップも状況及び必要性に応じて適切に活用されていると評価しております。
(c) 違反事案への対応と再発防止策の策定・実行
「即一報」及びスピーク・アップ制度に基づき連絡が行われた場合や、その他社内でコンプライアンス上の問題またはそのおそれのある事態が判明した場合には、必要に応じ外部専門家なども起用の上、法務部などが中心となり、国内外の関係部署とも連携し、速やかに事実関係の把握及び原因究明を行います。その結果を受けて、是正措置や必要な処分を実行するとともに再発防止策を定め、実施しております。
コンプライアンス委員会事務局では、毎年度、当社グループにおけるコンプライアンス違反の状況を取りまとめた上で分析、評価するとともに、今後のコンプライアンス関連施策などの検討を行っております。その結果や内容は、コンプライアンス委員会での議論を経て、経営会議、監査等委員会、取締役会でも報告、議論されております。このように、PDCAサイクルを活用しながら、施策の改善・充実を重ねることにより、当社グループにおけるコンプライアンスの周知徹底に取り組んでおります。
情報セキュリティ
① ガバナンス
当社は情報セキュリティに関するリスクに適切に対応するため、チーフ・インフォメーション・オフィサーを委員長とするIT戦略委員会を中心とした管理体制を構築しております。IT戦略委員会においては、情報セキュリティに関する社内規程・制度の整備及び見直し、並びに個別の情報セキュリティ施策について検討しております。同委員会において検討された重要事項については経営会議に付議され、意思決定及び監督が行われております。また、情報セキュリティ施策の実施状況や情報セキュリティインシデントの発生状況等については、IT戦略委員会から経営会議及び取締役会に対し、毎年報告を行う体制としております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス (a) サステナビリティ経営の監督」を参照ください。
加えて、主要な子会社における情報セキュリティ対策として、情報資産に関する規程の整備、従業員教育の実施、危機管理対応及び復旧計画に関する体制の整備等の状況について、当社グループの内部統制の仕組みを通じて、継続的な向上及びモニタリングに取り組んでおります。
② 戦略
サイバー攻撃は年々巧妙化・高度化しており、当社においても、予期せぬ外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、ウイルスやマルウェアの侵入、並びに情報システムの機能不全等が発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合、情報の漏洩、滅失または毀損、さらには事業活動の一時的な停止等により、当社の事業活動及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の事業活動の多くは情報システムの機能に依存していることから、情報システムの安全性及び安定的な運営を確保することは、重要な経営課題の一つであると認識しております。情報セキュリティ対策の強化は、サイバー攻撃に関するリスクの低減にとどまらず、顧客や取引先からの信頼性向上、事業継続性の確保及び競争力の維持・向上にも資するものと認識しております。
当社は、2017年10月に制定した「情報セキュリティ基本方針」をはじめとする関連規程を整備するとともに、役職員に対する啓発活動を継続的に実施し、情報セキュリティの確保及び情報資産の適切な管理に努めております。個人情報については、「プライバシー・ポリシー」を制定し、関連規程及び組織体制を整備することにより、適切な保護及び管理を行っております。
外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等に対しては技術的対策を講じるとともに、情報システム運営における安全性の確保に努めております。また、万一インシデントが発生した場合に備えた対応体制を整備しております。加えて、外部専門機関とも連携し、最新の脅威動向に関する情報を入手することで、適切かつ迅速な対応が可能となる体制の維持・強化を図っております。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得る情報セキュリティ関連のリスク及び機会は以下のとおりであります。
※時間軸:短期 2026年、中期 2035年、長期 2050年
当該リスク及び機会について、以下のとおり分析しております。なお、これらに関する財務的影響については、合理的かつ信頼性のある定量的情報の算定が困難であることから、定性的な情報を記載しております。
・ITサービス事業
・防衛・航空宇宙事業
■レジリエンス
上記のとおり認識している当社グループの見通しに影響を与え得る情報セキュリティ関連の各リスクに対して、戦略・緩和策に既に取り組んでおり、引き続き戦略・緩和策の計画を立てております。戦略・緩和策の実施に伴い、当社事業の継続にはレジリエンスが担保されていることを認識しております。
③ リスク管理
当社は、会社情報の窃取または破壊等を目的とした外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等、情報セキュリティに関する不測の事態に備え、テレワーク環境を含む情報システム利用環境の多様化等に対応したシステム上の技術的対策に加え、役職員に対する継続的な教育・啓発及び訓練を実施しております。あわせて、主要な子会社を含めた情報セキュリティ管理体制の確認及び整備を行い、外部専門機関とも連携の上、情報セキュリティリスクの最小化に取り組んでおります。 詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ③ リスク管理 (b) 個別事業におけるサステナビリティ関連のリスク管理」を参照ください。
また、当社は、各組織に情報管理者を配置し、当社が保有する情報資産について、その重要度に応じた区分を行った上で、取り扱い方法及び手順を定め、これらに基づく適切な管理を徹底することにより、情報セキュリティの確保を図っております。
事業継続計画(BCP)
当社グループでは、自然災害、感染症及びサイバー攻撃等により事業活動の継続が阻害されるリスクを、サステナビリティ上の重要なリスクの一つとして認識しております。
① ガバナンス
当社グループの事業継続計画(BCP)に関するガバナンスは、サステナビリティ経営全般のガバナンスに組み込まれており、その枠組みの下で運営しております。詳細は、「(1) サステナビリティ経営の全体像 ① ガバナンス」を参照ください。
こうした全社的なガバナンスの枠組みの下、当社グループ各組織において業種・業態・地域性等を踏まえたBCPを策定するにとどまらず、その実効性を確保し、組織に定着させるため、事業継続マネジメント(BCM)として継続的な取組みを行っております。
BCMの取組みの一環として、当社では、各組織でBCPセルフチェックを実施し、BCPの策定状況や訓練の実施状況を定期的に把握しております。セルフチェックの結果は、所管部署である災害・安全対策推進部が取りまとめ、経営会議へ報告の上、各組織にも共有し、必要に応じてフォローアップを行っております。
あわせて、当社グループ会社に対しては、当社との「対話」の中でBCPセルフチェック結果を活用し、対応状況の確認と課題の共有を行っております。
危機発生時には、災害・安全対策推進部が対応に関与し、自然災害、事故、感染症等のうち、即時の情報共有及び経営判断が必要とされる事象について、国内外を対象に全社的な情報集約及び経営層への報告を行う体制を整えております。大規模な自然災害が発生した場合には、人材・総務・法務グループ長を本部長とする緊急対策本部を設置し、社員の安全確保及び事業の早期復旧に向けた対応を行います。
② 戦略
当社グループは、地震・水害・感染症・サイバー攻撃等による事業停止、機会損失、レピュテーションの毀損等の影響を最小化し、事業の継続性と中長期的なレジリエンスを確保するため、BCPを重要な経営基盤の一つとして位置付けております。
(a) BCPの実効性向上を目指した取り組み
BCPの実効性向上に向けて、国内外の各組織・拠点において、最低年1回のBCP見直しと発災時訓練の実施を推進しております。東京本社では、首都直下地震を想定した緊急対策本部訓練や、南海トラフ地震を想定した連携訓練等を通じて、社員の安全確保、共助、事業の早期復旧を基本方針とした対応力の強化に取り組んでおります。
これらの取組みは、BCPセルフチェックと連動し、PDCAサイクルを通じた継続的な改善により、全社的なレジリエンスの向上を図っております。
(b) BCPに関する重要なリスク及び機会
当社は、今後発生の可能性が高い自然災害の状況を踏まえ、リスクの高い領域について重点的な管理及び改善施策を実施しております。
当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るBCP関連の主なリスク及び機会は、以下のとおりであります。
※時間軸:短期 2026年、中期 2035年、長期 2050年
当該リスク及び機会について、以下のとおり分析しております。なお、これらに関する財務的影響については、合理的かつ信頼性のある定量的情報の算定が困難であることから、定性的な情報を記載しております。
・海洋油・ガス生産設備傭船事業
(※) Floating Production Storage and Offloading(FPSO:洋上において原油・ガス生産を行うための設備)
・化学品事業
・石炭火力発電事業
・不動産事業
■レジリエンス
上記のとおり認識している当社グループの見通しに影響を与え得るBCP関連の各リスクに対して、戦略・緩和策に既に取り組んでおり、引き続き戦略・緩和策の計画を立てております。戦略・緩和策の実施に伴い、当社事業の継続にはレジリエンスが担保されていることを認識しております。
③ リスク管理
当社グループでは、BCPに係るリスクについて、各組織の自律的な取組みを基本としつつ、BCPセルフチェック及び「対話」を通じて対応状況を把握し、グループ全体として一定の水準を確保する観点から管理しております。
把握された課題については、各組織と共有の上、必要に応じて改善に向けたフォローアップを行い、全体の事業継続力の向上を図っております。
④ 指標及び目標
当社グループでは、BCMの取組みを通じて、緊急時においても重要業務を継続し、可能な限り早期に事業を再開することを目標としております。
この目標に基づき、各組織におけるBCPの整備・訓練状況をセルフチェック等で定期的に確認し、必要に応じて見直し・改善を行うことで、ガバナンス及び戦略と整合したPDCAサイクルを推進しております。