2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,477名(単体) 62,062名(連結)
  • 平均年齢
    42.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.0年(単体)
  • 平均年収
    20,333,662円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

1. 事業セグメントにおける連結従業員数

セグメント別の連結従業員数は以下のとおりです。なお、連結従業員数は就業人員数を表示しています。

(単位:名)

地球環境
エネルギー

マテリアル
ソリューション

金属資源

社会インフラ

モビリティ

食品産業

1,225

11,439

936

9,523

6,353

17,250

 

 

S.L.C.

電力
ソリューション

その他

合計

7,749

4,815

2,772

62,062

 

 

2. 提出会社の従業員の状況

 

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数

平均年間給与(円)

5,361

42.4

17年10ヶ月

20,333,662

 

 

当社の従業員に顧問・嘱託110名、他社からの出向者139名、海外店現地社員611名を含め、他社への出向者1,744名を除いた当社の就業人員数は4,477名です。なお、セグメント別の就業人員数は以下のとおりです。

(単位:名)

地球環境
エネルギー

マテリアル
ソリューション

金属資源

社会インフラ

モビリティ

食品産業

513

572

211

518

363

343

 

 

S.L.C.

電力
ソリューション

その他

合計

468

197

1,292

4,477

 

 

(注) 1.  当連結会計年度1年間に在籍した臨時従業員の平均人数は、当社が572名、連結子会社が12,465名であり、上記人数には含まれていません。

2. 当社の従業員の平均年間給与は、超過勤務手当及び賞与を含んでいます。

3. 当社及び連結子会社と各社の労働組合との関係について特に記載する事項はありません。

4. 当連結会計年度において、連結従業員数は、前連結会計年度末に比べて17,975名減少していますが、これは主に株式会社ローソン(S.L.C.グループ)及びPRINCES LIMITED(食品産業グループ)の支配喪失によるものです。

 

3. 多様性に関する指標

当社の多様性確保を含むダイバーシティ・マネジメントについては、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 5. 人的資本に関連する戦略、指標及び目標「(2)人的資本に関する戦略 -10年後を見据えたMC HR Vision「DEAR」-」をご参照ください。

 

(提出会社の状況)

女性管理職比率(%)

(※1,2)

男性育児休業取得率(%)
(※3,4,5)

男女賃金差異(%)

正規雇用(※6)

非正規雇用

全労働者

12.3

163.9

64.3

60.1

62.9

 

 

※1 2025年4月1日付。

※2 当社における女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画にて、2027年度末に向けた取り組みとして、女性管理職比率15%以上を目標としています。

※3 当社の男性育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)に基づいて算出した育児休業等及び育児目的休暇(配偶者出産前後や子の学校行事等を対象とした休暇)の取得割合です。

※4 育児休業等は当連結会計年度内に休業を開始した人数でカウントしています。

※5 当社では、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画にて、2027年度末の「男性の育児関連制度利用率(当該年度に配偶者が出産した男性社員のうち、年度末時点の本店/国内拠点在勤者による育児休業等や育児目的休暇を含む育児関連制度の利用率)」100%を目標としており、24年度実績値は88.8%となっています。

※6 正規雇用には総合職と一般職を含みます。総合職に限ると、男女賃金差異は73.6%です。当社では、同一資格・同一職務レベルにおける報酬体系及び採用・選考において男女間で差異を設けていませんが、差異の要因として、以下2点が挙げられます。

①  一般職を希望する求職者に女性が多く、結果として採用者も女性が多いこと

②  2000年代に入る前までは総合職の採用における女性比率が一桁台と少なく、現在も特に上位の資格・職務レベルにおける男女比率に差があること

①については、今後も男女問わず適性のある人材の確保に努めます。また、②については、社内における女性の活躍しやすい環境整備を進めるべく、マイルストーンを設定の上、採用・育成・登用の観点において取組強化を図っています。詳細については、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 5. 人的資本に関連する戦略、指標及び目標をご参照ください。

 

(連結子会社の状況)

会社名

女性管理職

比率(%)

男性育児休業取得率

男女賃金差異

正規

雇用

非正規雇用

全労働者

 

正規

雇用

非正規雇用

全労働者

メタルワン

4.2

50.0

-

 

※1

57.0

56.8

56.1

朝日機材

 

 

 

11.1

※2

53.6

49.8

53.0

サステック

1.4

37.5

-

 

※1

72.7

72.7

73.1

スズヤス

6.4

 

 

 

 

 

 

 

玉造

0.0

20.0

-

20.0

※1

67.7

18.1

62.8

エムオーテック

0.0

20.0

-

20.0

※1

63.6

58.3

65.4

メタルワン鉄鋼製品販売

 

 

 

16.6

※2

 

 

 

エムシー・ファーティコム

5.2

 

 

 

 

 

 

 

三菱商事ケミカル

8.3

 

 

37.0

※2

 

 

 

三菱商事プラスチック

3.2

 

 

100.0

※2

 

 

 

三菱商事RtMジャパン

14.6

-

 

 

※1

 

 

 

レンタルのニッケン

5.4

43.8

-

43.8

※1

73.1

67.6

73.4

ニッケン産業

16.7

 

 

 

 

 

 

 

千代田化工建設

4.1

 

 

73.8

※2

66.7

47.0

66.5

千代田エクスワンエンジニアリング

5.3

 

 

59.1

※2

71.7

54.0

71.7

千代田ユーテック

22.9

 

 

50.0

※2

74.5

73.3

81.3

エム・エス・ケー農業機械

1.0

14.3

-

14.3

※2

70.8

76.6

71.2

三菱商事マシナリ

15.2

67.0

-

67.0

※1

68.1

73.0

69.7

三菱商事テクノス

 

 

 

 

 

67.3

89.1

69.9

さわやか

5.0

 

 

0.0

※2

82.0

109.0

78.0

日東富士製粉

10.6

 

 

67.0

※2

76.6

67.4

71.6

日本食品化工

6.3

 

 

 

 

72.1

54.1

65.4

日本農産工業

6.8

33.0

0.0

33.0

※1

69.5

87.7

58.2

 

 

会社名

女性管理職

比率(%)

男性育児休業取得率

男女賃金差異

正規

雇用

非正規雇用

全労働者

 

正規

雇用

非正規雇用

全労働者

ペットライン

0.0

50.0

0.0

50.0

※1

66.0

82.8

62.3

三菱商事ライフサイエンス

6.8

 

 

94.4

※3

74.5

40.8

71.4

ジャパンファーム

7.9

20.0

0.0

19.0

※1

63.9

92.0

67.1

ジェーエフフーズ

 

0.0

0.0

0.0

※1

 

 

 

フードリンク

12.5

 

 

 

 

 

 

 

フレッシュキッチン

10.0

 

 

100.0

※1

 

 

 

東洋冷蔵

6.7

83.3

100.0

90.0

※1

63.6

64.2

57.2

エム・シー・ヘルスケアホールディングス

21.4

100.0

-

100.0

※1

71.0

70.8

70.2

エム・シー・ヘルスケア

5.3

82.6

0.0

82.6

※1

71.4

67.6

34.1

エム・シー・メディカル

5.2

66.7

-

66.7

※1

60.3

40.2

47.7

三菱食品

3.8

 

 

71.0

※3

63.1

57.6

60.1

ケー・シー・エス

0.0

 

 

 

 

74.5

83.9

62.6

キャリテック

0.0

 

 

0.0

※2

77.5

69.5

52.4

三菱商事パッケージング

 

50.0

 

50.0

※1

 

 

 

三菱商事エネルギー

3.9

 

 

 

 

 

 

 

エム・シー・ファシリティーズ

30.0

 

 

 

 

 

 

 

三菱商事インシュアランス

14.3

 

 

0.0

※2

 

 

 

三菱商事フィナンシャルサービス

70.7

 

 

100.0

※2

80.7

0.0

79.4

 

※1 女性活躍推進法に基づき算出した、男性の育児休業の取得割合です。

※2 育児・介護休業法に基づき算出した、男性の育児休業等取得割合です。

※3 育児・介護休業法に基づき算出した、男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合です。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社の企業理念である「三綱領」には、事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力し、かけがえのない地球環境の維持にも貢献することがうたわれています。近年、様々な社会課題解決に対する企業への期待・要請が一層高まっている中、当社は、事業活動を通じて解決していく重要な社会課題である「マテリアリティ」を指針とし、共創価値を創出し続けることで、社会と共に成長を続けることを目指しています。マテリアリティの詳細については当社ウェブサイト サステナビリティページの「マテリアリティ」をご参照ください。

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/sustainability/materiality/

 

1.ガバナンス

(1)サステナビリティ推進体制                                                                  

サステナビリティ関連のリスク及び機会に係る戦略の策定及びリスク管理は、コーポレート担当役員(CSEO)が管掌し、サステナビリティ部が方針施策を企画・立案のうえ、サステナビリティ委員会で討議後、社長室会、取締役会に付議・報告される体制となっています。社長室会を経営意思決定機関とする業務執行体制は、全社のコーポレート・ガバナンス体制のもと、取締役会、監査等委員会により監督・監査されています。業務執行体制におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会の評価並びに管理については、「2. リスク管理」に記載しています。当社のコーポレート・ガバナンスの基本方針及び全社のコーポレート・ガバナンス体制の概要については、第4 提出会社の状況4 コーポレート・ガバナンスの状況等「(1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載していますが、サステナビリティ推進に係る部分のみを抜粋すると下図のとおりとなります。

 


 

(2)ガバナンスの状況

① 取締役会

取締役会は経営上のサステナビリティ関連のリスク及び機会を含む重要事項の決定と、業務執行の監督について責任を負う機関です。取締役会の構成、構成する各個人のスキル、及び監督責任を果たすために適切な取締役を選任するプロセスについては第4 提出会社の状況4 コーポレート・ガバナンスの状況等「(1) コーポレート・ガバナンスの概要」及び「(2) 役員の状況」をご参照ください。また、取締役の報酬等の決定方針におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会に係るパフォーマンス指標の考え方については、同「(4) 役員の報酬等」に記載しています。

なお、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関しては、サステナビリティ関連施策の基本方針(サステナビリティ関連施策活動方針、サステナビリティ開示方針等)が報告事項となっているほか、取締役会又は社長が必要と認める事項が付議・報告されます。また、取締役会に付議される投融資案件が重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会を含む場合は、経済的側面だけでなく、環境・社会面も含めて審議がなされています。

 

② 監査等委員会

監査等委員会は、会社法等諸法令や定款・諸規程等に基づき、サステナビリティに関する取組も含めて、取締役の意思決定の過程や職務執行状況の監査を実施しています。なお、当連結会計年度においては監査等委員会の監査計画の重点監査項目の1つとして中期経営戦略の実行状況を設定しており、サステナビリティ施策も含めた主要項目の実行状況を確認しました。監査等委員会の構成、当連結会計年度における監査等委員会の活動状況は第4 提出会社の状況4 コーポレート・ガバナンスの状況等「(2) 役員の状況」及び「(3) 監査の状況」をご参照ください。

 

③ 社長室会

社長室会はサステナビリティを含む経営方針、経営目標、全社経営計画等に関する執行側の最高経営意思決定機関です。社長、並びに社長が指名する執行役員及び職員等が委員を構成しています。サステナビリティ委員会で討議されたサステナビリティ関連のリスク及び機会に係る全社方針が付議・報告されるほか、投融資案件のうち重要性が高い案件についても付議・報告がなされており、経済的側面だけでなく、環境・社会面からも審議がなされています。

 

④ サステナビリティ委員会

サステナビリティ委員会は、サステナビリティの基本方針や取り組みについて討議する社長室会の下部委員会です。コーポレート担当役員(CSEO)を委員長とし、副社長、他のコーポレート担当役員、全営業グループCEO及び経営企画部長が委員を構成しています。討議においては、地球環境(気候変動・生物多様性等)、地域・社会(先住民・文化遺産等)、人権・労働(児童労働・強制労働・労働安全衛生等)といった観点を踏まえ、具体的には以下のテーマを中心に取り扱っています。

・気候変動対応

・マテリアリティ

・生物多様性

・人権/サプライチェーン・マネジメント

・環境保全

 

以上の各機関・会議体の開催頻度、及びサステナビリティを取り上げる頻度は以下のとおりです。

取締役会

年3回程度、投融資案件は付議の都度

監査等委員会

年1回程度

社長室会

年2回程度、投融資案件は付議の都度

サステナビリティ委員会

年1回程度

 

 

2.リスク管理

(1)サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価及び管理するプロセス

当社では営業グループと各リスクに対応したコーポレート専門部局が連携し、適切なリスク対応が可能な管理体制を整備しており、サステナビリティ関連のリスク及び機会についてはコーポレート担当役員(CSEO)のもとサステナビリティ部が管掌しています。当社のリスクマネジメント体制については、「3. 事業等のリスク」の「1. リスク管理体制」をご参照ください。

全社のリスク管理方針や取組方針・戦略については、サステナビリティ推進体制のもと、サステナビリティ委員会にて討議され、社長室会及び必要に応じて取締役会への付議・報告を経て、全社施策として実行・運営されます。

また、当社では、取締役会や社長室会に付議される全ての投融資案件は、社長室会の諮問に基づき投融資委員会で審議され、社長室会へ意見具申されます。この投融資委員会には各リスクの管掌部局が参加しており、サステナビリティに関連するリスクについても、サステナビリティ部長がメンバーとして参加することで、環境や社会に与える影響も踏まえた総合的な意思決定を行う審議体制を整備しています。新規案件においては事業戦略との整合性やリスクの所在と対応策等を審議し、既存案件についても年に1度、経営計画書に基づき事業投資先の経営状況をモニタリングすることで、事業のライフサイクルなどをモニタリングし、継続的な改善・バリューアップを図っています。さらに、気候変動関連のリスク・機会が大きい一部の新規投資案件に対しては、脱炭素シナリオ下の主要前提を用いた採算指標(社内炭素価格等)に基づく採算評価を参考値として併記し、案件審議に活用しています。

 

(2)気候変動関連のリスク、機会の管理及びモニタリング

当社は上記のプロセスに基づき、気候変動関連のリスク及び機会を重大なサステナビリティ関連のリスク及び機会として識別しています。これは、異常気象の頻発による水資源への影響や、人口動態・自然界の生物多様性に与える影響、これに伴う食糧資源や自然資源への影響等、気候変動がもたらす影響は、地球環境や人類、企業活動にとり重大であるとともに、当社事業の継続性、並びに当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるためです。

気候変動に関連して生じるリスクは、カーボンプライシング(炭素税等)や各種規制強化による操業・設備コストの増加、既存技術に依拠する製品・サービスの陳腐化等の移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)と、渇水・洪水等による事業の操業への影響等の物理的リスクに大別されます。

当社は、気候変動は重大なリスクであると同時に、イノベーションや新規事業の実現を通じ新たな事業機会をもたらすものと考えており、「脱炭素社会への貢献」をマテリアリティの一つに掲げ、持続可能な成長を目指す上で対処・挑戦すべき重要な経営課題の一つとしています。

これらのリスク及び機会を管理、モニタリングし、ポートフォリオの脱炭素化・強靭化を進めるためのメカニズムの基礎として、“MC Climate Taxonomy”を導入しています。“MC Climate Taxonomy”では、当社の全ビジネスユニットを対象に、気候変動の移行機会が大きいものをグリーン事業、移行リスクが大きいものをトランスフォーム事業、どちらにも該当しないものをホワイト事業と3つに分類しています。この事業分類を踏まえて、グリーン事業・トランスフォーム事業に対して、投融資案件審査時の脱炭素採算評価の実施、投融資計画策定時のGHG削減計画確認を行い、当社事業が個別案件及び全社事業戦略の両面において2050年ネットゼロに向けたシナリオと整合することを確認する適切なリスク管理制度としました。トランスフォーム事業の選定にあたってはGHG排出量の多寡とGHG排出量の削減ハードルの両方を考慮しています。なお、分類については最低でも年度に一度見直しを行っています。

 

その他のサステナビリティ関連のリスク及び機会に関しては、当社ウェブサイト サステナビリティページをご参照ください。

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/sustainability/

 

3. 気候変動リスクに対処する戦略

(1)ポートフォリオの脱炭素化と強靭化への取組

「2.リスク管理」で記載したとおり、当社は、気候変動関連のリスク及び機会を当社の事業戦略に重要な影響を与えるサステナビリティ関連のリスク及び機会として特定しています。その上で、“MC Climate Taxonomy”による分類に基づきモニタリング対象として特定した一部のグリーン及びトランスフォーム事業に対して、1.5℃シナリオ分析を実施し、これらのリスク及び機会がビジネスモデルとバリューチェーンに与える影響を評価しています。この評価結果を事業戦略へ落とし込むべく、シナリオ分析を実施したトランスフォーム事業については、トランスフォーム・ディスカッション(※)にて事業の方向性を左右する要素につき議論しています。同議論内容も踏まえて、事業戦略会議にて社長及び各営業グループCEOがGHG削減目標を踏まえた投資計画を討議します。

以上のような、気候変動に係るリスク管理及び戦略への織り込みに加え、対外開示までを一つのサイクルとしてとらえて、効果的な運用を行っています。

※トランスフォームに分類された事業を対象に、移行リスクとして注視すべき需給の動向や技術革新の動向を特定し、事業への影響

  を経営レベルでモニタリングするもの。

 

(2)気候変動関連のリスク及び機会に係るシナリオ分析

① 気候シナリオの考え方

気候シナリオとは、脱炭素化の速度や程度に影響を及ぼす社会経済・政策・市場・技術等に関する一連の仮定を置き、その結果として将来どの様な社会が実現されうるかを描くものです。1.5℃シナリオを用いてシナリオ分析を行う場合は、産業革命以前に比べた気温上昇が1.5℃に抑えられた世の中が実現しているという仮定のもと、地球温暖化や気候変動そのものの影響や、気候変動に関する長期的な政策動向による事業環境の変化等を予想し、事業戦略への影響を検討することとなります。したがって、財務諸表における会計上の見積りの基礎となる、最新の入手可能な信頼のおける情報に基づく合理的な見積りと、シナリオ分析における一連の仮定は異なるものです。また、シナリオ分析は需給等に関する市場全体の傾向を仮定しますが、当社の保有資産の優位性あるいは劣後性や、売買契約等の特殊性により、市場全体の傾向と当社の事業への影響が一致しない場合もあります。加えて、シナリオ分析が数十年単位の超長期的な影響を分析するのに対し、財務諸表における資産及び負債の測定においては、数年から十年といった中長期的な時間軸の影響が大きく、足元の事業環境がより強く反映されることとなります。以上より、仮にシナリオ分析において、当社の事業に関連する資産の価値毀損等あるいは負債の増加等の影響が示された場合にも、それらが直ちに財務諸表における資産及び負債の測定に影響を及ぼすとは限らないと考えられます。会計上の見積りにおける気候変動の影響の考え方については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記2 「(5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。

 

② シナリオ分析に用いた1.5℃シナリオについて

気候シナリオについては、国際エネルギー機関(International Energy Agency (IEA))、気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC))、気候変動リスクに係る金融当局ネットワーク(Network for Greening Financial Services (NGFS))等を始めとする機関・団体のほか、気候変動の移行リスク・機会が大きい事業を保有し、同事業の検証・評価に特に関心が高い一部の民間企業も独自に策定、公表しています。

当社は、ポートフォリオの脱炭素化と強靭化の両立に向けては、これら気候シナリオを参照した「シナリオ分析」を行い、各事業について気候変動の移行リスク・機会を適切に把握し、それらも踏まえた事業戦略を策定することが重要と考えています。その観点から、当社は、2019年度より気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿う形で、主にIEAの気候シナリオを用いたシナリオ分析を実施しており、2021年度からは2050年ネットゼロ実現を前提とした1.5℃シナリオを使用した分析を開始しました。当社が2021年度に実施した1.5℃シナリオ分析では、IEAの“Net Zero Emission by 2050 Scenario(IEA NZE)”を参照しましたが、IEA NZEでは分析に必要となる十分な粒度のデータが提供されておらず、当社事業の特性や、地域戦略等を踏まえた定量面も含む詳細な分析を行うことは困難でした。これを踏まえ、2022年度に外部の第三者機関と協働し、可能な限り主要な前提をIEA NZEと整合させた上で、地域別・商材別の需要といった、より細かい粒度のデータを含む独自の1.5℃シナリオ(2022年度1.5℃シナリオ)を策定し、これを参照して分析を行いました。

 

③ 分析対象事業の抽出

気候変動がもたらしうるリスク・機会の影響が特に大きいと想定される事業をシナリオ分析対象とするべく、下記の方針に沿って選定を行いました。

リスクサイドの事業選定に当たっては、GHG排出量と資産規模の二つの指標を勘案しました。具体的には、“MC Climate Taxonomy”に基づき、GHG排出量が多く、かつ排出量削減の難易度が相対的に高いことから気候変動リスクが大きいトランスフォーム事業に分類された事業のうち、資産規模が特に大きい「天然ガス・LNG」、「原料炭」、「発電(化石燃料)」事業(これら3事業はトランスフォーム事業における当社の投融資残高の約7割を占める)を分析対象候補とした上で、既に「新規の石炭火力発電事業には取り組まずに段階的に撤退、2050年までに非化石比率100%」という明確な事業方針を掲げている「発電(化石燃料)」事業は例外的に対象外とし、最終的に「天然ガス・LNG」、「原料炭」事業を2022年度1.5℃シナリオ分析の対象として選定しました。

機会サイドについては、“MC Climate Taxonomy”に基づいて気候変動機会が大きいグリーン事業に分類されたもののうち、当社の主力事業であり既に具体的な案件が複数存在する「再生可能エネルギー」事業を2022年度1.5℃シナリオ分析の対象として選定しました。

 

④ 分析の結果及び結果を踏まえた事業方針

(天然ガス・LNG事業)

天然ガス・LNGは移行期において重要な役割を担うエネルギー源であり、分析に用いた2022年度1.5℃シナリオ下においては、長期的には天然ガス・LNGの需要減が見込まれるものの、当社LNG事業の戦略地域であるアジア地域では長期に亘り一定程度の需要が想定されています。掛かる事業環境認識に基づき、当社はエネルギー・資源の安定供給と社会・経済活動の低・脱炭素化の両立を目指し、以下のとおり「LNG事業の強靭化」と同時に「LNGバリューチェーンの低・脱炭素化」にも注力いたします。より中長期的には、技術イノベーションや各国政府による政策動向等を含めた事業環境を見極めた上で、LNG事業の更なる低・脱炭素化の取り組みを進めるとともに、LNGポートフォリオの最適化及び次世代エネルギー分野への投資を実施していきます。

「LNG事業の強靭化」と「LNGバリューチェーンの低・脱炭素化」に関するより詳細な取組みは以下のとおりです。

 

<LNG事業の強靭化>

既存のLNG事業については、生産量の大部分が長期契約に基づいて販売されていますが、生産効率の向上やコスト削減等による競争力強化を図ると同時に、継続的にポートフォリオの最適化を検討していきます。

新規のLNG案件については、脱炭素化が急速に進展した場合の座礁資産化のリスクも念頭に置き、1.5℃シナリオを含む複数の脱炭素シナリオ下における投資採算も考慮して新規投資判断を行います。

 

<LNGバリューチェーンの低・脱炭素化>

「LNG事業の強靭化」と並行して、本邦最大級のLNG事業者の立場・強みを活かし、LNGバリューチェーン自体の低・脱炭素化に資するCCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)等の推進、ブルー水素やe-methane(合成メタン)等の次世代エネルギーの製造・供給等に関する取り組みを進めることで事業機会を取り込みつつ、脱炭素社会への移行の一翼を担っていきます。

これらは、過去50年超に亘る当社の天然ガス・LNG事業への取り組みから得られた経験・知見・ネットワークが活用可能な領域であり、既に具体的な検討を進めています。

 

(原料炭)

鉄鋼業は今後長期にわたる移行期間に入ると想定されますが、BHP Mitsubishi Alliance(BMA)事業の主要商品である高品位原料炭は高炉製鉄プロセスの低炭素化に貢献することから、低品位の原料炭との比較において必要性が相対的に高まる見通しです。一方、許認可の取得難化等、開発難易度が高まることから、新規炭鉱投資が一段と減速し供給の減少が想定されます。BMA事業は、高品位の原料炭の安定供給を継続します。

また、当社はGHG排出量削減を積極的に推進しており、BMA事業においても、再生可能エネルギー調達、メタンガス処理やディーゼル代替等に関する取り組みを検討・推進しています。一例として、BMAは2027年までに炭鉱で使用する電力の100%を再生可能エネルギー由来に切り替える計画です。

また、パートナーであるBHP社、製鉄大手及び大手エンジニアリング会社と共同で、製鉄所でのCO2回収技術の実証試験等を共同で実施する旨の協業契約を締結する等、製鉄バリューチェーン全体でのGHG排出削減に取り組んでいます。

当社は金属資源事業においても、「脱炭素」・「電化」・「循環型社会」の三つの切り口でEX戦略を推進していきます。製鉄バリューチェーンでの脱炭素化に加え、電化に不可欠な銅・電池原料等や、リサイクル事業への取り組みを強化していきます。

 

(再生可能エネルギー)

再生可能エネルギーの導入や蓄電池の普及、及びこれに伴う電力供給システムの分散化傾向は、政策・規制、技術革新等の状況により国・地域による差異があり、発現するタイミングが大きく異なる可能性があります。当社は、再生可能エネルギーを「つくる(発電)」、天候により変動する電気を「整える(需給調整)」、整えた電気と付加価値の高いサービスを「届ける」、といったこれら電力バリューチェーン上の各機能の強化を通じて、洋上風力の成長が見込まれる日本や、N.V. Enecoをプラットフォームに持つ欧州を中心に、米州・アジア等でも再生可能エネルギーを起点とする事業拡大を目指します。

 

2022年度1.5℃シナリオにおける主要な前提、及びIEA NZEとの比較、事業環境分析、並びに事業環境を踏まえた方針・取組等の詳細は当社ウェブサイト サステナビリティページの「環境」内の「気候変動:体制・システム」、「1.5℃シナリオ分析の結果、及び分析から得られる示唆」に掲載しています。また、同セクションの「物理的リスク」に物理的リスク分析についても掲載しています。

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/sustainability/environmental/climate-change/003.html#anc-83052-11

 

4. 気候変動リスクに関連する指標及び目標

(1)目標

当社は、パリ協定と整合する2050年ネットゼロ/1.5℃目標に基づき、ポートフォリオの脱炭素化と強靭化の両立を図り、共創価値の創出を推進していきます。そのために、脱炭素社会の実現に向けた以下3つの目標を掲げています。

 

① GHG排出量(Scope1・2、Scope3カテゴリー15)の削減目標

2050年GHG排出量ネットゼロを前提とし、2030年度時点での中間目標として2020年度比GHG排出量半減を掲げています。この目標達成に向けて、火力発電資産のダイベストメントを中心としたポートフォリオ入替を含む具体的な削減計画を策定しています。また、削減努力を進めた上で、なお残存する排出量については、炭素除去を含めた国際的に認められる方法でオフセットを行う前提です。

 

なお、当社はこれまでGHG排出量の算定に出資比率基準を用いていましたが、当社の排出の責任範囲を明確にすることを目的に、2025年度より財務支配力基準に変更しました。これにより子会社・共同支配事業分のGHG排出量を当社のScope1・2、関連会社・共同支配企業分の排出量をScope3カテゴリー15と判断して開示し、その全てを削減目標対象としています。

 

② 発電事業における非化石比率

既存火力発電容量の削減、及びゼロエミッション火力への切り替えで、2050年までに当社発電事業における非化石比率100%化を目指します。なお、石炭火力発電事業については、受注済みのベトナム/ブンアン2案件を最後として今後新規事業は手掛けず、段階的に撤退することで、2030年度までに2020年度比で持分容量を3分の1程度まで削減し、2050年までに完全撤退する方針です。

 

③ 再生可能エネルギー発電容量

2030年度までに再生可能エネルギー発電容量を2019年度比倍増を目指します。

 

(2)目標に対する進捗

2030年度までに基準年度(2020年度、2,790万トン-CO2e)比でGHG排出量(Scope1・2、Scope3カテゴリー15)を半減させるという目標に対して、当連結会計年度の実績値は以下のとおり進捗しています。なお、「(1)目標 ① GHG排出量(Scope1・2、Scope3カテゴリー15)の削減目標」に記載のとおり、GHG排出量の算定基準を出資比率基準から財務支配力基準に変更したことに伴い、前連結会計年度及び基準年度の数値を再算定しています。

 

前連結会計年度

(万トン-CO2e)

当連結会計年度

(万トン-CO2e)

Scope1(6.5ガス含む)

580

479

Scope2

86

73

Scope3 カテゴリー15

1,621

1,605

合計

2,287

2,157

 

 

当連結会計年度におけるセグメント別の排出量(Scope1・2、Scope3カテゴリー15の合計)の実績は以下のとおりです。

 

前連結会計年度

(万トン-CO2e)

当連結会計年度

(万トン-CO2e)

地球環境エネルギー

495

375

マテリアルソリューション

162

148

金属資源

319

266

社会インフラ

23

21

モビリティ

18

19

食品産業

143

131

S.L.C.

26

25

電力ソリューション

1,101

1,172

その他・調整

0

0

合計

2,287

2,157

 

 

上記の数値は、当社及び第5 経理の状況の連結財務諸表における連結子会社、共同支配事業をScope1・2の対象とし、関連会社、共同支配企業をScope3カテゴリー15の対象と判断して集計しており、報告日についても第5 経理の状況 連結財務諸表注記3「(1)連結の基礎⑥報告日」と同様の方針としています。なお、実務上の負荷等を勘案し、一部の会社について収集を省略するなど、連結財務諸表の報告範囲との差異が生じていますが、当該差異が上記の数値に与える影響には重要性がないと判断しています。財務支配力基準でのScope3カテゴリー15のGHG排出量算出にあたっては、連結財務諸表で用いる持分比率を適用しています。

Scope1・2とScope3カテゴリー15の区分にあたって、GHG Protocol等の基準を参照していますが、一部当社としての判断を行使している場合もあります。例えばリース契約においては契約形態に応じた会計上の取扱いを参照し区分することが可能ですが、業界慣習や排出量の情報取得の難易度等も勘案し、事業ごとに異なる整理をしている場合があります。将来的に集計に係る基準の明確化等により当該整理に変更が必要な場合、かつ当該変更に関連する排出量に重要性がある場合は、当年度以前の数値についても遡及的に修正する可能性があります。

なお、削減目標の対象としているカテゴリー15以外のScope3排出実績については、当社ウェブサイト サステナビリティページ掲載の「ESGデータ」の「環境」内「気候変動関連データ」をご参照ください。

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/sustainability/esg-data/files/ja_esg_index_001.xlsx

 

5. 人的資本に関連する戦略、指標及び目標

(1)人的資本に関するガバナンス

人的資本に関連する戦略・リスクについては、コーポレート担当役員(人事)のもと人事部が管掌しています。人事制度、人事施策、人材開発、人員政策に関する重要事項及び経営幹部人材の育成活用に関する事項については、HRD委員会(委員長:コーポレート担当役員(人事))にて討議され、所定の基準に基づき社長室会及び取締役会への付議・報告を経て、全社施策として実行・運営されます。

 

(2)人的資本に関する戦略 -10年後を見据えたMC HR Vision「DEAR」-

当社はこれまでも時代のニーズに合わせて自らのビジネスモデルを変革させ、新たな価値を追求して参りました。人材はその価値創出の源泉であり、当社にとって最大の資産と認識しています。

変化の激しい事業環境下においても、そうした新たな価値を創出し続ける会社・組織であるため、最も重要な経営資源である「人材」に関する10年後を見据えたMC HR Vision DEAR(多彩・多才な人材を活かし、育て、報いる)を定めました。「多彩・多才な人材がつながりながらやりがいと誇りをもって、社会や産業の課題解決に挑む会社」を目指すことを指針とし、「人」こそ最も大切にしたいという想いを込めて、“親愛なる”を意味する英単語である「DEAR」と表現し、4つのアルファベットそれぞれにて以下のようなコンセプトを示しています。
2024年度はこのMC HR Vision「DEAR」に基づき、各種人事施策を推進して参りました。

 


 

中期経営戦略2024期間における取り組み施策例

上記、MC HR Visionにて掲げた方針に基づき、DEARの4つの区分夫々において、各種施策を推進して参りました。
具体的な施策例の一部については、以下のとおりです。

a.「D:“Diversity /多彩・多才な人材”」

♢ 採用手法の多様化・高度化

社内外環境の変化に伴い、人材流動化の進展も見据えながら、継続的な事業価値創出に向け様々な採用手法を通じて、多様なバックグラウンドを持つ人材の獲得を目指しています。学生が各々の事情に応じて就職活動のタイミングを選択できるよう「新卒採用の選考時期複線化」、継続的に共創価値を創出し続ける会社であるために、多様なバックグラウンドを有する人材獲得の一環として「キャリア採用選考の拡充」及び「第二新卒採用」を実施、また実務の高度化等の背景を踏まえ当社の様々な事業・業務におけるオペレーションを担当する「バックオフィス職のキャリア採用」にも継続して取り組みました。

♢ 当社グループ従業員への価値観共有:

当社グループ約6.2万人の総合力強化を図ることを目的とし、価値観の共有、強固なネットワークの構築に向け、具体的には以下の様な取り組みを行っています。

・「海外拠点在勤者との対話」:

当社経営層と、現地社員を含む当社海外拠点在勤者との対話を通じて、経営戦略やMC HR Vision等の

浸透を促進しています。

・「グローバルHR会議」:

海外拠点の人事担当者が一堂に会し、本店/拠点双方向のコミュニケーションを深めながら、人事戦

略・人事関連テーマについての意見交換・共有やネットワーキング強化を推進しています。

・「MC Group Gateway Program」:

当社の理念・価値観の共有や当社グループへの理解を深めることを目的として、当社海外拠点・国内

外のグループ企業の社員を対象に導入研修を開催しています。

 

b.「E:“Energize /活かす”」

♢ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進:

「多彩・多才」な人材の多様な価値観を受容し、一人ひとりが最大限に能力を発揮できる環境整備に向け、2023年に社長直掌に全社横断で構成された「DE&Iワーキンググループ」による提言を踏まえ、「一人ひとりの能力発揮」・「多彩・多才な知による価値創出」・「理解・実践の基盤」の観点から、DE&I推進施策を展開し、DE&Iの理解浸透・実践促進に取り組みました。

・「一人ひとりの能力発揮」:

相互理解に向けたマイノリティ体験として、VR研修、生理痛体験、障がいの疑似体験を実行しまし

た。

・「多彩・多才な知による価値創出」:

多様性の確保として、女性活躍の取組を強化(詳細は以下、「女性活躍推進」をご参照ください)。

・「理解・実践の基盤」:

経営層のコミットメントを示し続けるとともに、全社横断でDE&Iの実践をミッションに取り組む

「DE&Iアンバサダー組織」を各部門・グループに設置し、集中的な理解促進・実践、さらにはその横

展開を通じたDE&I推進の牽引。

♢ 女性活躍推進:

DE&I推進の各種取り組みの中でも、女性活躍推進には特に注力しています。

具体的には、「女性経営幹部を継続的に輩出するためのパイプライン強化」を重要テーマとして掲げ、ライフイベント等を経た後も、海外駐在や出向含め多様な業務経験を通じて能力・スキルを開発できる環境整備、責任ある職務への積極的な登用、また、採用における女性比率の向上を優先課題と認識し、様々な取り組みを推進しています。

こうした取り組みにドライブをかける目的で、2024年度より採用・パイプラインにおけるマイルストーンを設定しました。この実現に向けて、「女性の母集団拡大を目指した採用活動の強化」、「ジェンダーギャップの解消を目指した成長機会の提供」、「女性エンパワメントを目的とした視野拡大・意欲向上を目指したネットワーキングの提供」、「女性が抱える課題に基づく就業サポート」などを、スピード感をもって実行し各種施策を設定していくことで、あらゆる階層でクリティカルマスとされる女性比率30%以上の早期実現を目指します。


※女性活躍推進に係る指標については第1 企業の概況 5 従業員の状況の「3 多様性に関する指標」も
ご参照ください。

 

c.「A:“Accelerate /育てる”」

♢ DX・AIスキル領域での研修を新設・拡充:

AIを前提とした世の中への対応力強化に向け、改めて当社社員に求められる人材像を再定義。社員のAI活用含めたスキル強化・底上げに向け、「AI人材育成プログラム(トロント大学・スタンフォード大学のエンジニアリングスクールへ派遣)」の新設や、デジタル関連研修の体系の総見直しを実施しました。

♢ 公募型異動配置施策の推進/タレントマネジメント機能の強化:

自律的キャリア形成促進に向け、公募型配置施策を継続実施し、応募者138名、内41名が異動/兼務となりました。またタレントマネジメントの高度化・業務効率化を見据え、人材情報管理機能を新システムに移行、部門・グループのタレントマネジメント担当を人事部兼務として人事部との連携を強化しました。

 

d.「R:“Reward /報いる”」

♢ 重要職務就任者面談:

当社ならではの様々な経験を経て、連結ベースで重要な役割を担う人材「重要職務就任者」約700名を対象に、面談を通じた可視化を21年度より継続実施しており、面談実施件数は累計約650名となりました。面談データは全社ベースでの最適配置に向けた参考材料として活用するとともに、可視化したデータをマクロ的に捉え、次世代を担う人材の育成に向けた各種施策の検討に繋げています。


 

 

経営戦略2027期間における人事施策方針

■人材マネジメントの更なる高度化
経営戦略2027にて掲げる「Enhance(磨く)×Reshape(変革する)×Create(創る)による価値創造メカニズム」の推進に向け、人事領域においては、当社がこれまで築き上げてきた、強み・基盤たる三綱領に根差した、人材マネジメントの更なる高度化を掲げています。
具体的に下図記載のとおりの「高い志を有する人材が集い、一人ひとりが挑戦と成果を積み重ねることで成長を実感し、社員の成長が会社の発展につながる」という当社の人材マネジメントの基本コンセプトをMC HR Vision 「DEAR」にて掲げた方針に則り高度化を図ることで、経営戦略2027の推進に繋げていきます。


■人材マネジメントの更なる高度化に向けた重点人事施策
MC HR Vision 「DEAR」に基づき取り組んできた各種施策は引き続き推進しつつも、以下領域においては、当社の「総合力」の要である「多彩・多才な人材」の挑戦を促す施策を投下し特に重点的に取り組みを加速していきます。


 

各領域における取り組み施策概要は以下のとおりです。

a.「D:“Diversity /多彩・多才な人材”」

♢ 多彩・多才な人材の志を一つに、挑戦と共創を促す共通の「マインドセット」の明確化と発信:
当社の総合力の源泉である「多彩・多才な人材」の多様な専門性や志向性を組織としての強みに変えていくべく、全員の挑戦と共創を導き出すための軸となるような「マインドセット」の検討・策定を実施していきます。

♢ 連結・グローバルベースのタレントマネジメントの取り組み強化:
更なるグローバルな成長の取り込みに向け、海外拠点社員の採用・登用・育成の為の人材の可視化等、グローバルベースのタレントマネジメントに向けた取り組みを推進していきます。

 

b.「E:“Energize /活かす”」

♢ 新たな事業創出に向けた社内公募等による成長・挑戦機会の提供:
既存の枠を超え、新たな事業創出にチャレンジする意思を持った人材を後押しすべく、最前線でミッションに取り組むポストを対象とした社内公募制度を実施し、一人ひとりが挑戦する機会を経て成長し、その社員の成長が会社の発展につながることを企図し、引き続き拡充を検討していきます。

♢ 挑戦機会の提供・挑戦と共創を後押しする風土醸成施策の拡充:
挑戦と共創に必要な「マインド」の醸成と「時間」の創出に向け、「マインド」については各界のトップランナーを招いたイベントや、日常とは異なる場で内省を促す様な新しいタイプの研修の実施、「時間」については、IT/AI技術も駆使して更なる業務プロセス改革に取り組みます。

 

c.「A:“Accelerate /育てる”」

 変化対応力を備えた次世代リーダーシップ開発:
将来予測が困難な事業環境において、多様な価値観を持つ社員で構成される組織と共に価値創造に取り組むためには、従来以上に高度なスキルや能力の発揮が必要です。そのような課題意識から、研修体系の刷新及びプログラムの見直しを実施いたします。新しい研修体系では、資格に関わらず職務内容に応じて適時適切な研修受講機会を提供し、「マネジメントスキル」や「リーダーシップ」に関するスキル・能力を段階的に開発していきます。

♢ AI/デジタル領域知見と事業経験の双方を有する独自のAI人材育成:
デジタルトランスフォーメーションが進み、AI技術の急速な進展によって世の中が急速に移り変わりゆく中で、当社社員もAI・デジタル関連技術を正しく理解・活用しながら、既存事業の在り方の再定義や新たな事業創出を行っていく必要があると考え、役員を含めたAI・DX関連研修の拡充や、既に開始している海外大学との提携による「AI人材育成プログラム」の拡充等、幅広い施策を展開していきます。

 

d.「R:“Reward /報いる”」

 株主との価値共有、経営戦略とのアラインメントを意識した役員報酬・従業員報酬のアップデート:
経営戦略2027の推進、及び目指す姿の実現に向け、経営戦略2027にて掲げる経営指標と連動した形での、役員・従業員報酬のアップデート、並びに株主の皆様と価値を共有しながら、今まで以上に会社と社員の成長の一体感を持たせることを企図した株式交付制度を実現していきます。

♢「Enhance(磨く)×Reshape(変革する)×Create(創る)」 の推進を加速させる挑戦重視の登用とメリハ

  リある評価の更なる強化:

更なる成長・挑戦を支える制度・仕組みとして、「評価制度」については、組織・個人目標間の連動を徹底し、自身の目標達成に対するコミットメントを促すとともに、挑戦意欲をもって、組織の更なる成長につながるアクションや成果・貢献に対し、よりメリハリをつけて評価・処遇していきます。「経営職務グレード(経営上の重要性・難易度をベースに判定される、各職務の等級)」については、事業規模・管掌組織規模などの定量情報と、定性的な難易度・重要度を総合的に勘案して判定することを基本としつつも、今後は、事業開発・変革を中心とする職務については、取り組む課題の新規性や構想する領域の重要性などの要素を重視し評価することで、より柔軟な判定に繋げていきます。

 

(3)指標及び目標

「人的資本の価値最大化」に向けた施策の進捗状況に関する主な指標及び目標は以下のとおりです。

 

D・“Diversity /多彩・多才な人材”

性別・年齢・国籍・バックグラウンドに関わらず、多様な人材が集まり、全員で価値を創出していけるように、まさに彩りある人材ポートフォリオを目指す。

指標名

指標内容

実績
(2025年4月1日付)

単体/連結

キャリア採用数

当該年度内に入社したキャリア採用者数

94
 (※総合職・一般職の総計)

単体

キャリア採用女性率

当該年度内に入社したキャリア採用女性率

23.4%

(マイルストーン値:2025-2027年度を通じて25-35%

単体

新卒採用女性率

当該年度内に入社した新卒採用女性率

36.0%

(マイルストーン値:2025-2027年度を通じて30-40%

単体

外国人管理職比率

当社(※)における外国人管理職比率

(※ 当社海外拠点も含む)

18%

単体

障がい者雇用率

単体、特例子会社、及びグループ適用3社における障がい者雇用率

2.68%

※2024年6月1日付数値

単体/連結

 

 

 

 

E・“Energize /活かす”

当社に集まった多彩・多才な人材の誰もが受容され、互いにつながり、健康でいながら、その能力を最大限活かすことで、イキイキ・ワクワク/チャレンジできる組織風土を醸成する。

指標名

指標内容

実績
(2025年4月1日付)

単体/連結

社員エンゲージメント度数(KPI)

組織風土調査の「社員エンゲージメント」の設問に対して、肯定的な回答をしている職員の割合

(同調査において、肯定的回答率65%以上は、「強み」として認識されます。)

77%

(目標値:65%以上)

単体

社員を活かす環境度数(KPI)

組織風土調査の「社員を活かす環境」の設問に対して、肯定的な回答をしている職員の割合

(同調査において、肯定的回答率65%以上は、「強み」として認識されます。)

71%

(目標値:65%以上)

単体

女性部長職層比率

部長職層における女性比率

3.0%

(マイルストーン値:2027年度末までに5%、2030年度末までに10%

単体

女性部長候補者層比率

部長候補者層(※)における女性比率
(※部長候補者層とは、人や組織・プロジェクトをけん引するポジションに就く層を指す。)

8.7%

(マイルストーン値:2027年度末までに10%、2030年度末までに15%

単体

女性管理職比率

(第1 企業の概況 5 従業員の状況の「3 多様性に関する指標」をご参照ください。)

同左

 

単体/連結

男性育児休業等取得率

男女賃金差異

有給休暇取得率

当社従業員における年次有給休暇取得率

68.4%

(目標値:70%

単体

定期健康診断受診・実施率

当社における、国内在勤者の法定定期健康診断受診率

(当社の従業員のうち、会社が実施している労働安全衛生法に基づく定期健診を受診している者の割合を指す。)

100%

※23年度数値

(目標値:100%

単体

当社グループ企業(国内)における法定定期健診実施率

(2023年度実績サステナビリティ調査対象の当社グループ企業(国内)のうち、労働安全衛生法に基づく定期健診受診の機会を提供している企業の割合を指す。)

100%

(目標値:100%)

連結

 

 

 

指標名

指標内容

実績
(2025年4月1日付)

単体/連結

労働災害度数率

当社(※1)における労働災害度数率(※2)

(※1 本社及び国内支社)

(※2 自社従業員及び、それ以外の労働者(派遣社員)を含む)

0

※23年度数値

(目標値:前年度比で低減、前年度0のため23年度は達成)

単体

連結(※3)労働災害度数率(※4)

(※3 生産現場を有する主要な事業会社(子会社、共同支配事業、関連会社等)が対象)

(※4 自社従業員、自社従業員以外の労働者(コントラクター従業員)の総計数値)

1.75

※23年度数値

(目標値:前年度比で低減、前年度1.98のため23年度は達成)

連結

社長と社員の対話実施状況

社長によるタウンホールミーティング参加者数

6回実施・計220参加

単体

 

 

 

A・“Accelerate /育てる”

多様な経験を積める場を創出し、一人ひとりの自律的なキャリア形成と成長を支援していくとともに、変化対応力を高めるリスキルやリーダーシップ強化にも取り組む。

指標名

指標内容

実績
(2025年4月1日付)

単体/連結

人的資本投資額

本店における人的資本投資額(※1)

(※1 人事部主管研修に係る教育研修費、外部研修機関への研修業務委託料、海外長期滞在型研修で発生する付随費用等を含む)

37.8億円

単体

リーダーシップ開発関連研修受講者数

2024年度において、資格・職務グレードに応じた、リーダーシップスタイルのアップデート・ダイバーシティマネジメント・成長支援スキル強化に向けた各種研修への参加者数

MC Leading Change Program(本店、国内・海外拠点、
 連結向け):42

単体/連結

・MC経営塾(部長・事業会社経営幹部向け):27

・組織リーダー研修(チームリーダー・事業会社部長向け):111

・新任管理職研修(マネージャー・事業会社課長向け):202

・インストラクター研修(新人教育担当向け):140

単体

DX人材育成研修受講者数

「MC Innovation Lab(MIL)」の累計受講者数(DX・新規事業立ち上げを行う担当者向け、プログラミング・プロダクトマネジメント研修) 

175

連結

「MIL for Manager」の受講者数

(MCのマネージャー層が事業開発・業務改善プロジェクトの企画・構想~開発までの全体像を理解し、プロジェクトマネージャーとして外部事業者と連携しながら推進する際に肝となる知識を習得する研修)

40

単体

成長対話(※)満足度

 

(※社員の自律的成長の実効性を高めるための、年に1度の、能力開発・キャリア開発にフォーカスした上司との対話機会)

成長対話後に実施するアンケートにおける、「上司との成長対話を通じた意欲向上度合」への肯定的回答率

72.6%

単体

キャリア自律施策における、公募案件数・応募者数

公募型異動制度「Career Choice制度」、社内複業制度「Dual Career制度」における、公募案件数、応募者数、異動・複業者数

・公募案件:151

・応募者数:138

・異動・複業者数:41
 (異動予定者数含む)

単体

 

 

 

R・“Reward /報いる”

多様な人材を惹きつける報酬水準・体系を実現し、広い母集団の中から適材適所の配置を行い、職務と成果に応じた一層メリハリある処遇を徹底することで、成果主義を備えた、活力ある組織を実現する。

指標名

指標内容

実績
(2025年4月1日付)

単体/連結

重要職務数

当社役職員の就任している職務のうち、重要度・難易度が高いと判定された職務の数

700ポスト

単体

重要職務就任者面談者数

重要職務への就任者の経験や特性を可視化するために実施した、累計面談者数

650件/累計

単体

年間平均給与

(第1 企業の概況 5 従業員の状況の「2. 提出会社の従業員の状況」をご参照ください。)

同左

 

単体