人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数4,456名(単体) 63,037名(連結)
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平均年齢42.3歳(単体)
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平均勤続年数17.0年(単体)
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平均年収21,125,472円(単体)
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平均年収の
対前年増減率3.9%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
1. 経営戦略2027期間における 人事関連の取り組み方針
当社にとって、「人材は最大の資産であり、価値創出の源泉である」という考え方は、時代が移り変わろうとも不変の信念です。価値創造メカニズム「ERC -Enhance × Reshape × Create-の好循環モデル」の推進に向けても、当社の「多彩・多才な人材」は、多様性に裏打ちされた「総合力」発揮の「要」として位置づけられています。経営戦略の実現に向けて、三菱商事の人材が持つ強みをベースにしつつ、そのケイパビリティをさらに拡張していくとともに、人材ポートフォリオ全体としての多様性を高めていくことが重要です。これまで培ってきた「人材マネジメントの基本コンセプト」に立ち返り、変革のためのビジョンであるMC HR Vision「DEAR」を旗印に人事施策を講じていくことで、人・組織の変化をドライブし、高度な人材マネジメントを実現していきます。
※その他、当社の経営戦略は、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等をご参照下さい。
人的資本に関する中長期Vision・施策・指標等は、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 5. 人的資本に関連する戦略、指標及び目標「(2)人的資本に関する戦略 -10年後を見据えたMC HR Vision「DEAR」-」をご参照下さい。
2. 従業員給与・報酬の額や内容の決定に関する方針
① 人事制度概要
当社の人事制度は、個々人のキャリアステージに応じた多様な経験を段階的に付与することを通じ「経営マインドをもって事業価値にコミットする人材」を継続的に輩出することを主眼に据えています。具体的には社員のキャリアステージに合わせた段階的な人材育成を主軸とした「資格制度」と職務に応じて報いることを主軸とした「職務給制度」を適用するハイブリッド型の人事制度を採用しています。
② 報酬制度概要
報酬制度については、資格制度と職務給制度のハイブリッド型の人事制度を土台として、以下の「報酬に関する基本的な考え方」に基づき策定し、市場競争力ある水準・株主との価値共有を念頭においた報酬制度としています。具体的には、経営戦略2027にて策定した定量目標と業績連動賞与の連動や、一定資格以上における株式交付制度の導入を実施しています。
運用面では、社員の成果・貢献に応じた評価を行い、その評価が個人の報酬に反映される仕組みとすることで、職務と成果に応じたメリハリのある処遇を実現し、社員の成長と会社の発展に繋げていくことを後押ししています。
a. 報酬に関する基本的な考え方
♢ 報酬の意義・構成:各キャリアステージの位置づけに即して、能力・職務・成果及び業績に応じて報い、キャリアステージの上昇に伴い、報酬の軸足を職務・成果へ移す。
♢ 報酬の水準:機能・業績に応じた市場競争力ある水準を維持する。
♢ 支給原資:人件費の弾力性は維持し、業績に応じて支給原資が相応に変動する仕組みとする。
(2) 【従業員の状況】
1. 事業セグメントにおける連結従業員数
セグメント別の連結従業員数は以下のとおりです。なお、連結従業員数は就業人員数を表示しています。
(単位:名)
2. 提出会社の従業員の状況
当社の従業員に顧問・嘱託103名、他社からの出向者128名、海外店現地社員541名を含め、他社への出向者1,644名を除いた当社の就業人員数は4,456名です。なお、セグメント別の就業人員数は以下のとおりです。
(単位:名)
(注) 1. 当連結会計年度1年間に在籍した臨時従業員の平均人数は、当社が560名、連結子会社が12,362名であり、上記人数には含まれていません。
2. 当社の従業員の平均年間給与は、超過勤務手当及び賞与を含んでいます。
3. 当社及び連結子会社と各社の労働組合との関係について特に記載する事項はありません。
4. 当社の役員及び従業員を対象とした株式所有制度については、第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (8) 役員・従業員株式所有制度の内容をご参照ください。
3. 多様性に関する指標
当社の多様性確保を含むダイバーシティ・マネジメントについては、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 5. 人的資本に関連する戦略、指標及び目標「(2)人的資本に関する戦略 -10年後を見据えたMC HR Vision「DEAR」-」をご参照ください。
(提出会社の状況)
※1 2026年4月1日付。
※2 当社における女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画にて、2027年度末に向けた取り組みとして、女性管理職比率15%以上を目標としています。
※3 当社の男性育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)に基づいて算出した育児休業等及び育児目的休暇(配偶者出産前後や子の学校行事等を対象とした休暇)の取得割合です。当連結会計年度に配偶者が出産した男性従業員数を分母、当連結会計年度に育児休業を取得した男性従業員数を分子として算出しています。取得者には前連結会計年度以前に出生した子に係る育児休業取得者も含まれるため、取得率が100%を超える場合があります。
※4 育児休業等は当連結会計年度内に休業を開始した人数でカウントしています。
※5 当社では、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画にて、2027年度末の「男性の育児関連制度利用率(当連結会計年度に配偶者が出産した男性社員のうち、年度末時点の本店/国内拠点在勤者による育児休業等や育児目的休暇を含む育児関連制度の利用率)」100%を目標としており、25年度実績値は93.2%となっています。
※6 正規雇用には総合職と一般職を含みます。総合職に限ると、男女賃金差異は73.9%です。当社では、同一資格・同一職務レベルにおける報酬体系及び採用・選考において男女間で差異を設けていませんが、差異の要因として、以下2点が挙げられます。
① 一般職を希望する求職者に女性が多く、結果として採用者も女性が多いこと
② 2000年代に入る前までは総合職の採用における女性比率が一桁台と少なく、現在も特に上位の資格・職務レベルにおける男女比率に差があること
①については、今後も男女問わず適性のある人材の確保に努めます。また、②については、社内における女性の活躍しやすい環境整備を進めるべく、マイルストーンを設定の上、採用・育成・登用の観点において取組強化を図っています。詳細については、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 5. 人的資本に関連する戦略、指標及び目標をご参照ください。
(連結子会社の状況)
※1 女性活躍推進法に基づき算出した、男性の育児休業の取得割合です。
※2 育児・介護休業法に基づき算出した、男性の育児休業等取得割合です。
※3 育児・介護休業法に基づき算出した、男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合です。
※4 当連結会計年度において制度対象者がいない場合は、「-」を記載しています。
※5 各社にて算定・開示を行っている指標のみ記載し、それ以外はブランクとしています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社の企業理念である「三綱領」には、事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力し、かけがえのない地球環境の維持にも貢献することがうたわれています。近年、様々な社会課題解決に対する企業への期待・要請が一層高まっている中、当社は、事業活動を通じて解決していく重要な社会課題である「マテリアリティ」を指針とし、共創価値を創出し続けることで、社会と共に成長を続けることを目指しています。マテリアリティの詳細については当社ウェブサイト サステナビリティページの「マテリアリティ」をご参照ください。
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/sustainability/materiality/
1.ガバナンス
(1)サステナビリティ推進体制
サステナビリティ関連のリスク及び機会に係る戦略の策定及びリスク管理は、コーポレート担当役員(CSEO)が管掌し、サステナビリティ部が方針施策を企画・立案のうえ、サステナビリティ委員会で討議後、社長室会、取締役会に付議・報告される体制となっています。社長室会を経営意思決定機関とする業務執行体制は、全社のコーポレート・ガバナンス体制のもと、取締役会、監査等委員会により監督・監査されています。業務執行体制におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会の評価並びに管理については、「2.リスク管理」に記載しています。当社のコーポレート・ガバナンスの基本方針及び全社のコーポレート・ガバナンス体制の概要については、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等「(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載していますが、サステナビリティ推進に係る部分のみを抜粋すると下図のとおりとなります。
(2)ガバナンスの状況
① 取締役会
取締役会は経営上のサステナビリティ関連のリスク及び機会を含む重要事項の決定と、業務執行の監督について責任を負う機関です。取締役会の構成、構成する各個人のスキル、及び監督責任を果たすために適切な取締役を選任するプロセスについては第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等「(1) コーポレート・ガバナンスの概要」及び「(2) 役員の状況」をご参照ください。また、取締役の報酬等の決定方針におけるサステナビリティ関連のリスク及び機会に係るパフォーマンス指標の考え方については、同「(4)役員の報酬等」に記載しています。
なお、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関しては、サステナビリティ関連施策の基本方針(サステナビリティ関連施策活動方針、サステナビリティ開示方針等)が報告事項となっているほか、取締役会又は社長が必要と認める事項が付議・報告されます。また、取締役会に付議される投融資案件が重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会を含む場合は、経済的側面だけでなく、環境・社会面も含めて審議がなされています。
② 監査等委員会
監査等委員会は、会社法等諸法令や定款・諸規程等に基づき、サステナビリティに関する取組も含めて、取締役の意思決定の過程や職務執行状況の監査を実施しています。なお、当連結会計年度においては監査等委員会の監査計画の重点監査項目の一つとして中期経営戦略の実行状況を設定しており、サステナビリティ施策も含めた主要項目の実行状況を確認しました。監査等委員会の構成、当連結会計年度における監査等委員会の活動状況は第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等「(2) 役員の状況」及び「(3) 監査の状況」をご参照ください。
③ 社長室会
社長室会はサステナビリティを含む経営方針、経営目標、全社経営計画等に関する執行側の最高経営意思決定機関です。社長、並びに社長が指名する執行役員及び職員等が委員を構成しています。サステナビリティ委員会で討議されたサステナビリティ関連のリスク及び機会に係る全社方針が付議・報告されるほか、投融資案件のうち重要性が高い案件についても付議・報告がなされており、経済的側面だけでなく、環境・社会面からも審議がなされています。
④ サステナビリティ委員会
サステナビリティ委員会は、サステナビリティの基本方針や取組について討議する社長室会の下部委員会です。コーポレート担当役員(CSEO)を委員長とし、他のコーポレート担当役員、全営業グループCEO及び経営企画部長が委員を構成しています。討議においては、地球環境(気候変動・生物多様性等)、地域・社会(先住民・文化遺産等)、人権・労働(児童労働・強制労働・労働安全衛生等)といった観点を踏まえ、具体的には以下のテーマを中心に取り扱っています。
・気候変動対応
・マテリアリティ
・生物多様性
・人権/サプライチェーン・マネジメント
・環境保全
以上の各機関・会議体の開催頻度、及びサステナビリティを取り上げる頻度は以下のとおりです。
2.リスク管理
(1)サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別、評価及び管理するプロセス
当社では営業グループと各リスクに対応したコーポレート専門部局が連携し、適切なリスク対応が可能な管理体制を整備しており、サステナビリティ関連のリスク及び機会についてはコーポレート担当役員(CSEO)のもとサステナビリティ部が管掌しています。当社のリスクマネジメント体制については、「3.事業等のリスク」の「1.リスク管理体制」をご参照ください。
全社のリスク管理方針や取組方針・戦略については、サステナビリティ推進体制のもと、サステナビリティ委員会にて討議され、社長室会及び必要に応じて取締役会への付議・報告を経て、全社施策として実行・運営されます。
また、当社では、取締役会や社長室会に付議される全ての投融資案件は、社長室会の諮問に基づき投融資委員会で審議され、社長室会へ意見具申されます。この投融資委員会には各リスクの管掌部局が参加しており、サステナビリティに関連するリスクについても、サステナビリティ部長がメンバーとして参加することで、環境や社会に与える影響も踏まえた総合的な意思決定を行う審議体制を整備しています。新規案件においては事業戦略との整合性やリスクの所在と対応策等を審議し、既存案件についても年に1度、経営計画書に基づき事業投資先の経営状況や事業のライフサイクルなどをモニタリングすることで、継続的な改善・バリューアップを図っています。さらに、気候変動関連のリスク・機会が大きい一部の新規投資案件に対しては、脱炭素シナリオ下の主要前提を用いた採算指標(社内炭素価格等)に基づく採算評価を参考値として併記し、案件審議に活用しています。
(2)気候変動関連のリスク、機会の管理及びモニタリング
当社は上記のプロセスに基づき、気候変動関連のリスク及び機会を重大なサステナビリティ関連のリスク及び機会として識別しています。これは、異常気象の頻発による水資源への影響や、人口動態・自然界の生物多様性に与える影響、これに伴う食糧資源や自然資源への影響等、気候変動がもたらす影響は、地球環境や人類、企業活動にとって重大であるとともに、当社事業の継続性、並びに当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるためです。
気候変動に関連して生じるリスクは、カーボンプライシング(炭素税等)や各種規制強化による操業・設備コストの増加、既存技術に依拠する製品・サービスの陳腐化等の移行リスク(政策・法規制リスク、技術リスク、市場リスク等)と、渇水・洪水等による事業の操業への影響等の物理的リスクに大別されます。
当社は、気候変動は重大なリスクであると同時に、イノベーションや新規事業の実現を通じ新たな事業機会をもたらすものと考えており、「脱炭素社会への貢献」をマテリアリティの一つに掲げ、持続可能な成長を目指す上で対処・挑戦すべき重要な経営課題の一つとしています。
これらのリスク及び機会を管理、モニタリングし、ポートフォリオの脱炭素化・強靭化を進めるためのメカニズムの基礎として、“MC Climate Taxonomy”を導入しています。“MC Climate Taxonomy”では、当社の全ビジネスユニットを対象に、気候変動の移行機会が大きいものをグリーン事業、移行リスクが大きいものをトランスフォーム事業、どちらにも該当しないものをホワイト事業と3つに分類しています。この事業分類を踏まえて、グリーン事業・トランスフォーム事業に対して、シナリオ分析の実施、投融資案件審査時の脱炭素採算評価の実施、投資計画策定時のGHG削減計画の確認を行い、当社事業が個別案件及び全社事業戦略の両面において気候変動のリスク及び機会を管理する適切なリスク管理制度を設けています。なお、分類については最低でも年度に一度見直しを行っています。
その他のサステナビリティ関連のリスク及び機会に関しては、当社ウェブサイト サステナビリティページをご参照ください。
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/sustainability/
3. 気候変動リスクに対処する戦略
(1)ポートフォリオの脱炭素化と強靭化への取組
「2.リスク管理」で記載したとおり、当社は、気候変動関連のリスク及び機会を当社の事業戦略に重要な影響を与えるサステナビリティ関連のリスク及び機会として特定しています。その上で、“MC Climate Taxonomy”による分類に基づきモニタリング対象として特定した一部のグリーン及びトランスフォーム事業に対して、シナリオ分析を実施し、これらのリスク及び機会がビジネスモデルとバリューチェーンに与える影響を評価しています。この評価結果を事業戦略へ落とし込むべく、投融資残高やGHG排出量の大きいトランスフォーム事業については、トランスフォーム・ディスカッション(※)にて、気候変動観点で事業推進において重要と考えられる指標を経営レベルでモニタリングしています。
以上のような、気候変動に係るリスク管理及び戦略への織り込みに加え、対外開示までを一つのサイクルとして捉えて、効果的な運用を行っています。
※トランスフォームに分類された事業を対象に、移行リスクとして注視すべき需給の動向や技術革新の動向を特定し、事業への影響を経営レベルでモニタリングするもの。
(2)気候変動関連のリスク及び機会に係るシナリオ分析
① 気候シナリオの考え方
当社は、気候変動に関するリスク低減及び機会取り込みに向けた取組の一環として、外部機関が公表する気候シナリオを用いたシナリオ分析を継続的に実施しています。当該分析を通じて、気候変動に伴う中長期の移行リスク及び機会、並びに物理的リスクを適切に把握し、それらを考慮した事業戦略の策定や投資判断等を行う体制を整えています。
当社は、当連結会計年度にシナリオ分析を実施しており、移行リスク及び機会に関する分析とその結果は以下のとおりです。なお、当該分析については、今後も当社事業や参照するシナリオに重要な変更があった場合、又は経営サイクルごとに適宜更新する方針としています。
② シナリオの選定
本分析では、国際的に最も広く参照され、各国政府、企業、金融機関など多様なステークホルダーの基準として用いられている国際エネルギー機関(IEA)の「World Energy Outlook(WEO)」を主たる外部気候シナリオとして参照しています。WEOは、エネルギー需給、エネルギー価格や炭素価格、並びに国・地域別及びセクター別のエネルギー起源CO2排出量等に関する定量的データを包括的に提供しており、複数分野にわたる当社の事業ポートフォリオを横断的に評価する上で分野間の整合性及び客観性の高い分析基盤を提供するものと判断しています。
具体的なシナリオとしては、IEA WEO2025におけるSTEPS(Stated Policies Scenario)及びNZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario)の2つのシナリオを採用しています。STEPSは、各国の現行政策及び既に公表されている政策方針や目標を全て反映した脱炭素進展シナリオ(フォアキャスト型)であり、現時点の政策動向を前提とした、より現実的な将来のリスク及び機会を評価する上で適しています。一方、NZEは、1.5℃目標の達成に向けて世界全体で極めて野心的かつ迅速な脱炭素化が進展することを前提としたシナリオ(バックキャスト型)であり、実現には高いハードルがあるものの、脱炭素社会への移行が最も進展した場合におけるリスク及び機会を評価する上で適しています。
当社は、これら二つの異なる前提をもつシナリオを活用することで、政策進展の度合いや社会の脱炭素化速度に応じた多様な将来像を想定し、対象事業を定量・定性の両面から分析しています。なお、各シナリオにおける気候関連の政策やマクロ経済トレンド等については、WEO2025をご参照ください。
③ 対象事業の選定
グローバルに拠点を有し事業を展開する当社では、気候変動がもたらし得るリスク及び機会の影響が特に大きいと考えられる事業を優先的に抽出し、シナリオ分析の対象としています。
具体的には、EU Taxonomy等の考え方も踏まえた当社独自の事業分類である“MC Climate Taxonomy”に基づきトランスフォーム事業に分類された事業のうち、投融資残高、純利益、資産額等が大きく当社への財務影響が相対的に大きい「天然ガス/LNG」「原料炭」を移行リスクの分析対象として選定しました。
移行機会については、“MC Climate Taxonomy”に基づきグリーン事業に分類されたもののうち、投融資残高、純利益、資産額等が大きく当社の財務への影響が相対的に大きい「銅」「再生可能エネルギー」を分析対象として選定しました。
④ 分析の結果及び結果を踏まえた事業方針
当社が実施するシナリオ分析は、将来の事業環境の変化を多角的に検討し、気候変動が当社の事業に与え得るリスク及び機会を把握することを目的としたものであり、特定の将来予測や当社の業績見通しを示すものではありません。各シナリオには多くの不確実な要素・仮定を含んでいるため、GHG排出量削減に係る道筋を含め実際に実現する事象は各シナリオが示す内容とは大きく異なる可能性があります。本分析の結果は将来の財務的影響を正確に予測するものではなく、あくまでリスク及び機会の方向性を把握するための参考情報として位置づけています。
シナリオ分析の結果、移行リスク及び機会について当社の事業及び資産に一定程度影響が想定されることが確認されました。一方で、当該リスク及び機会は、特定のシナリオ下における参考情報であり、現時点では当社の財務状況や事業継続に重大な影響を及ぼすものではないと認識しています。
詳細な分析結果は、当社ウェブサイト サステナビリティページの「環境」内の「気候変動:体制・システム」をご参照ください。また、物理的リスクについても分析結果を掲載しています。
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/sustainability/environmental/climate-change/003.html
4. 気候変動リスクに関連する指標及び目標
(1)目標
当社は、2026年5月1日付公表「カーボンニュートラル社会へのロードマップ2.0」のとおり、変化を続ける事業環境に対して柔軟かつ能動的に対応することで、引き続き「持続可能で安定的な社会と暮らしの実現」と「低・脱炭素社会に向けた貢献」が両立された「責任あるエネルギー・トランスフォーメーション」を実践し、当社の中長期的な成長・企業価値向上に繋げていきます。世界の平均気温上昇を今世紀末までに産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑えることを目指すパリ協定の目標を踏まえた温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を設定し、同目標の達成に向けて諸施策を推進しています。ポートフォリオの脱炭素化と最適化の両立を図り、MCSV(共創価値)の創出を推進していきます。そのために、脱炭素社会の実現に向けた以下2つの目標を掲げています。
① GHG排出量の削減目標
多様な産業に携わる企業の責務として、当社の事業活動におけるGHGの排出削減を着実に実行していきます。GHG排出量は、2030年度に向けて、事業ポートフォリオの入替や再生可能エネルギー調達を主軸に、2020年度比「30%減~半減」を目指します。自社の排出削減と社会への貢献を一体とした経営戦略を推進し、2050年ネットゼロに向けた確かな進捗を促進して参ります。
同削減目標においては、GHGプロトコルの財務支配力基準に基づき、Scope1・2、Scope3カテゴリー15に加え、Scope3カテゴリー13の一部である貸手ファイナンスリースの発電資産から生じる排出を削減対象に含めています。当社は従来、当該発電資産からの排出も、削減対象であるScope1・2及びScope3カテゴリー15に含めて目標及び実績を開示しておりましたが、現在実施している翌連結会計年度からのSSBJ基準適用に向けたGHGプロトコルに基づく算定精緻化に伴い、当該排出量はScope3カテゴリー13への区分変更が必要となると見込んでいます。ただし、当社としては当該排出量について発電事業における非化石比率を目標(下記②)に掲げていることなども踏まえ、変更後区分であるScope3カテゴリー13についても変わらず目標に含め排出量削減に努めていきます。
なお、SSBJ基準適用準備は現在も継続しており、その他排出においても区分変更が必要となる可能性があることから、当連結会計年度の実績は区分変更を反映せず、SSBJ基準適用時に区分変更を反映した実績を開示する方針です。その為、下記「(2)GHG排出量(Scope1・2、Scope3カテゴリー15)の実績」では、削減目標の対象である発電資産からの排出を引き続きScope1・2及びScope3カテゴリー15に含めています。
② 発電事業における非化石比率
ポートフォリオの入れ替えや、燃料転換、新技術等の活用を通じて、2050年までに当社発電事業における非化石比率100%化を目指します。なお、石炭火力発電事業については、ベトナム/ブンアン2案件を最後として今後新規事業は手掛けず、段階的に撤退することで、2030年度までに2020年度比で持分容量を3分の1程度まで削減し、2050年までに完全撤退する方針です。
(2)GHG排出量(Scope1・2、Scope3カテゴリー15)の実績
当連結会計年度のGHG排出量(Scope1・2、Scope3カテゴリー15)実績値は以下のとおりです。
当連結会計年度におけるセグメント別の排出量(Scope1・2、Scope3カテゴリー15の合計)の実績は以下のとおりです。
上記の数値は、当社及び第5 経理の状況の連結財務諸表における連結子会社、共同支配事業をScope1・2の対象とし、関連会社、共同支配企業をScope3カテゴリー15の対象と判断して集計しており、報告日についても第5 経理の状況 連結財務諸表注記3「(1)連結の基礎⑥報告日」と同様の方針としています。なお、実務上の負荷等を勘案し、一部の会社について収集を省略するなど、連結財務諸表の報告範囲との差異が生じていますが、当該差異が上記の数値に与える影響には重要性がないと判断しています。財務支配力基準でのScope3カテゴリー15のGHG排出量算出にあたっては、連結財務諸表で用いる持分比率を適用しています。
Scope1・2とScope3カテゴリー15の区分にあたって、GHGプロトコル等の基準を参照していますが、一部当社としての判断を行使している場合もあります。例えばリース契約においては契約形態に応じた会計上の取扱いを参照し区分することが可能ですが、業界慣習や排出量の情報取得の難易度等も勘案し、事業ごとに異なる整理をしている場合があります。SSBJ基準適用に向けて、集計に係る基準を明確化する等により当該整理に変更が必要な場合、かつ当該変更に関連する排出量に重要性がある場合は、当連結会計年度以前の数値についても遡及的に修正する可能性があります。
なお、Scope3排出実績については、当社ウェブサイト サステナビリティページ掲載の「ESGデータ」の「環境」内「気候変動関連データ」をご参照ください。
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/sustainability/esg-data/files/ja_esg_index_2025.xlsx
5. 人的資本に関連する戦略、指標及び目標
(1)人的資本に関するガバナンス
人的資本に関連する戦略・リスクについては、コーポレート担当役員(人事)のもと人事部が管掌しています。人事制度、人事施策、人材開発、人員政策に関する重要事項及び経営幹部人材の育成活用に関する事項については、HRD委員会(委員長:コーポレート担当役員(人事))にて討議され、所定の基準に基づき社長室会及び取締役会への付議・報告を経て、全社施策として実行・運営されます。
(2)人的資本に関する戦略 -10年後を見据えたMC HR Vision「DEAR」-
当社はこれまでも時代のニーズに合わせて自らのビジネスモデルを変革させ、新たな価値を追求して参りました。人材はその価値創出の源泉であり、当社にとって最大の資産と認識しています。
変化の激しい事業環境下においても、そうした新たな価値を創出し続ける会社・組織であるため、最も重要な経営資源である「人材」に関する10年後を見据えたMC HR Vision DEAR(多彩・多才な人材を活かし、育て、報いる)を定めました。「多彩・多才な人材がつながりながらやりがいと誇りをもって、社会や産業の課題解決に挑む会社」を目指すことを指針とし、「人」こそ最も大切にしたいという想いを込めて、“親愛なる”を意味する英単語である「DEAR」と表現し、4つのアルファベットそれぞれにて以下のようなコンセプトを示しています。
※経営戦略2027期間における人事関連の取り組み方針は、第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等をご参照下さい。
①MC HR Vision「DEAR」・経営戦略2027に基づき推進する各種人的資本関連の取り組み
上記、MC HR Visionにて掲げた方針に基づき、DEARの4つの区分夫々において、各種施策を推進して参りました。
具体的な施策例の一部については、以下のとおりです。
a.「D:“Diversity /多彩・多才な人材”」
♢ 採用手法の多様化・高度化
多様なバックグラウンドを持つ人材を迎え入れるため、採用手法の多様化・高度化を進めています。人材を最大の資産と位置付け、国内外の学生やプロフェッショナルを広く対象とする選考を継続しています。さらに、第二新卒採用や一般職採用の拡充に加え、学業や学生生活との両立に配慮した新卒採用の複線化を進めるなど、多様な人材が参画しやすい仕組みづくりを推進しています。また、一般職についても、2023年度よりキャリア採用を実施、2027年度入社からは8年ぶりに新卒採用を再開しました。
市場環境の変化に応じて、バックオフィス業務もより非定型化・高度化が進む中で、変化への対応力を高めていきます。
♢ グローバルタレントマネジメント:
これまでも、三菱商事は各種グローバルベースのタレントマネジメントに取り組んできましたが、昨今の日本国内における労働人口減少トレンドや多様な視点の取り込みを通じた持続的な価値創造に向け、あらためて会社の形・タレントマネジメントの在り方を検討しています。現在は、グローバルベースの三菱商事在外拠点のニーズに基づいた各地域のタレントマネジメント施策を本店側から支援しつつ、海外連結先事業会社も含めた人事関連のナレッジシェアリング/ネットワーキング機会の提供を実施しています。
・「アジア大洋州におけるコアタレントの可視化」:
具体的には、地域拠点における優秀人材の可視化に向けたアセスメントの実施、及びサクセッショ
ンプランニングの策定を実施。アセスメントにおいては、Human Link Asia※による、インタビュー
ベースの手法を用い、三菱商事単体の重要職務就任者面談で得た知見なども活用しています。
(※人事機能子会社 ヒューマンリンクの海外拠点)
・「グローバルモビリティガイドライン整備」:
国をまたいだアサインメントやタレントマネジメントのニーズ増加を踏まえ、
米州・アジア大洋州・欧阿中東の3地域横断のタスクフォースを組成し、三国間の転勤
ガイドラインの整備に着手しています。
・「ネットワーキング/ナレッジ共有イベントの開催」:
ナレッジ共有及びネットワーキングの強化を目的として、各地域拠点及びグローバルベース
の連結先事業会社の人事パーソンが集う「Global HR Conference」を本店人事部主催で実施
しています。
b.「E:“Energize /活かす”」
♢ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)推進:
DE&I推進については、2023年度に社長直下のDE&Iワーキンググループを設置し、目指す姿を策定しました。2024年度・2025年度は、「DE&Iアンバサダー組織」を各部門・グループに設置し、集中的な理解促進・実践、さらにはその横展開を通じたDE&I推進のけん引を図りました。多岐にわたる取り組みが実践された結果、DE&Iアンバサダー組織のみならず全社でDE&Iの浸透度が高まっています。
♢ 女性活躍推進に向けたマイルストーン・施策 :
女性活躍はDE&I推進の重要なドライバーと位置付けています。目指す姿とマイルストーンに向けて設定した4本柱「採用強化」「育成・登用におけるジェンダーギャップの解消」「女性エンパワメント」「働きやすい環境整備」を軸に、各種施策を実行しています。
こうした取り組みにドライブをかける目的で、2024年度に採用・パイプラインにおけるマイルストーンを設定しました。この実現に向けて、「女性の母集団拡大を目指した採用活動の強化」、「ジェンダーギャップの解消を目指した成長機会の提供」、「女性エンパワメントを目的とした視野拡大・意欲向上を目指したネットワーキングの提供」、「女性が抱える課題に基づく就業サポート」などを、スピード感をもって実行し各種施策を設定していくことで、あらゆる階層でクリティカルマスとされる女性比率30%以上の早期実現を目指します。
※女性活躍推進に係る指標については第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等の「3.多様性に関する指標」もご参照ください。
c.「A:“Accelerate /育てる”」
♢ AI人材育成プログラム:
AIと事業の両面に精通する人材育成に向け、各種研修プログラムの拡充を実施しています。具体的には、カナダのトロント大学と連携したプログラムを導入し、参加者は基礎学習、国内集中講義、海外派遣を組み合わせたカリキュラムを履修し、修了後は各組織でAI・デジタル関連業務に取り組み、学習内容を事業へ還元します。
♢ 公募型異動配置施策の推進:
社員が自らの想いを持ってキャリアを考え、適材適所で自身の力を最大限発揮できるよう、公募型異動制度「Career Choice」、社内複業制度「Dual Career」などを通じ、機会の拡充を推進してきました。2024年度には、新たに米国・シアトルとカナダ・トロントの2つの全社拠点長ポストを「Career Choice」によって公募しました。2025年度は新たにボストン、ブリュッセル、ストックホルム、バンガロールでの全社拠点長公募を実施しています。
d.「R:“Reward /報いる”」
♢ 重要職務就任者面談:
当社ならではの様々な経験を経て、連結ベースで重要な役割を担う人材「重要職務就任者」約700名を対象に、面談を通じた可視化を2021年度より継続実施しており、面談実施件数は累計約780名となりました。面談データは全社ベースでの最適配置に向けた参考材料として活用するとともに、可視化したデータをマクロ的に捉え、次世代を担う人材の育成に向けた各種施策の検討に繋げています。
(3)指標及び目標
「人的資本の価値最大化」に向けた施策の進捗状況に関する主な指標及び目標は以下のとおりです。