2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)鋼材価格変動による業績への影響について

 当社グループは、鋼板、鋼管、ステンレス及びその他の一般鋼材を素材のまま、あるいは子会社、関連会社及び一般外注先で剪断加工もしくは切断加工して各得意先へ販売しております。当社グループの業績は、鋼材価格の変動に影響を受ける側面を有しており、鋼材価格の市況動向把握に日々努めておりますが、急激かつ大幅に鋼材価格が変動し、価格転嫁が困難な場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。併せて、これらの流通過程で発生し得る在庫過多、品切れ、資金調達等のリスクについても、販売先の使用量及び仕入メーカーの生産量等の情報を迅速に分析し、合理的に対応するよう努めております。

 

(2)商品(寄託在庫)の実在性及び網羅性について

 当社グループの扱う鉄鋼製品は、自社倉庫及び寄託倉庫に保管されております。商品残高は、当社グループの総資産の約2~3割を占めるため、帳簿残高と現物に大きな差異が発生し、それが調整されず商品の帳簿残高に誤りが含まれている場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクの最小化のため、自社倉庫については半期ごとに実地棚卸を実施し、寄託倉庫では在庫保管証明書と帳簿残高との照合を行うことに加え、当社が作成をしている「棚卸実施基準」に応じて実地棚卸を行い、商品の実在性の確認に努めております。

 

(3)取引先について

 当社グループの売上高は、約6割が自動車業界向けのものであり、その中でもトヨタ自動車様系列との取引が最も大きく、当社グループの売上高の約4割を占めております。また、ほとんどの取引が国内取引となっております。顧客のニーズを的確に捉え、事業戦略を展開しておりますが、自動車業界のEVシフトによる既存鋼材需要の減少及び海外生産シフトによる国内生産の減少並びに顧客の生産動向等、当社グループを取り巻く国内の環境が悪化した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社としてはEVシフトで新たに需要家が求める鉄以外の新素材にも対応すべく、アルミ、チタン、樹脂といったマルチマテリアルの供給体制の基盤構築を重点に取り組んでおります。この将来基盤を固めつつ、部品メーカーとの関係強化を一層図り新規受注を図ってまいります。

 

(4)与信リスクについて

 当社グループの国内及び海外の取引先に対する売掛債権等については信用リスクが存在します。売掛債権等は「取引限度枠管理規程」に基づき慎重に与信管理を行っておりますので、現時点で売掛債権等の回収に関して巨額な回収不能額が発生する兆候はありませんが、取引先の信用状態が悪化し、多額の債務履行に問題が生じた場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。要注意先については、相手先の経営トップを含むヒアリングを通じたモニタリング強化を図る等、メリハリを効かせた与信管理を行っております。

 

(5)株価変動リスクについて

 当社グループは、取引先を中心として株式を保有しており株価変動リスクが存在します。

 政策保有株については保有意義を定期的に確認し縮減の方針で臨んでいると共に、保有株式の株価のモニタリングを継続して行っております。現時点では保有株式の巨額な減損処理等は発生しておりませんが、市場の変動や保有株式の企業グループの経営成績の悪化等の要因により、急激な株価の下落が生じることでROAやROEの経営指標への影響のほか、保有株式の減損等が発生した場合には財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)金利変動リスクについて

 当社グループの有利子負債の支払利息は、変動金利及び固定金利を組み合わせることによって、金利変動によるリスクの低減に努めております。当社グループの変動金利は全てTibor連動であります。今後、日銀の金融政策の影響により大幅な金利変動が生じた場合には、金利上昇は支払利息の増加を招き当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。有利子負債の総額および長期・短期のバランスを検討すると共に、フリーキャッシュ・フローの改善に努めております。

 

(7)オペレーショナルリスクについて

 当社グループは、コンプライアンス、安全衛生、内部統制、リスク管理を経営上の重要課題と位置付けており、それぞれの委員会活動の実効性を高め、牽制機能の強化を図っております。業務運営において役員・社員の不正及び不法行為、事故発生の防止に万全を期すべく取り組んでおりますが、有効なリスク管理体制を構築している状況においても、従業員等の悪意、重大な過失に基づく行動、事故に繋がる想定外の事象等、様々な要因により、万一、重大な不正行為、事故が発生した場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)自然災害その他リスクについて

 自然災害等のリスクは発生可能性を見積もることが困難なリスクとなりますが、当社はそのようなリスクに備え、損害保険の加入、耐震工事の実施、リモートワークの推進等、出来うる対応をとっております。ただし、実際に地震・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、感染症の流行、テロや戦争、その他要因により社会的混乱等が発生して、事業活動の停止や機会損失、復旧のための多額の費用負担等により、現在想定している以上の損害が発生する場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)不動産に対する減損のリスク

 当社グループは、事業用不動産を所有しており、固定資産の減損会計の適用により、損失を計上する可能性を有しています。現時点では事業用不動産に関し、減損の兆候はありませんが、不動産時価の下落、事業収益性の低下等に伴い資産価値が低減した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報セキュリティについて

 当社は高まる情報セキュリティのリスクに対して、「情報セキュリティ管理・運営規程」に基づき、外部からのサイバー攻撃への対策、標的型攻撃に対する社員への啓発、教育などを実施しておりますことに加え、サイバー保険にも加入しており、不測の事態が発生した場合には即時システムプロフェッショナルの派遣により復旧作業に臨む体制を取っております。現時点で不測の事態は発生していませんが、万一、外部からのサイバーテロやコンピューターウイルスの侵入などによるインフラ障害等により、機密情報の漏洩または喪失があった場合、被害の規模によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)メタルワングループとの関係について

 ㈱メタルワンは当連結会計年度末において、当社発行済株式総数(自己株式を除く)の34.57%を保有しており、同社は当社の大株主に該当します。

 

①メタルワングループにおける当社の位置づけ

 メタルワンは鉄鋼商社であり、当社と同一の事業を営んでおりますが、鉄鋼流通業界の特徴として商社の立場からその取引商流を主体的に変更することは困難であり、同社グループと当社グループの間では商圏及び商流による棲み分けがなされております。

 当社は経営方針や事業計画の策定・実行、日常の事業運営や取引等を独自に行っており、経営の独立性は確保されておりますが、同社は株主総会における議決権行使等により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあり、同社の経営方針の動向によっては当社グループの経営体制に影響を及ぼす可能性があります。

 

②人的関係

 当連結会計年度末現在、同社グループからの役員や出向者の受け入れや派遣はありません。

 

③取引関係

 当連結会計年度におけるメタルワングループとの取引関係は、販売取引1,218百万円(2025年3月期売上高の0.7%)、仕入及び加工取引3,462百万円(2025年3月期売上原価の2.1%)であり、その主な内訳は以下の通りであります。

 なお、鋼材の販売・仕入価格は市場の実勢価格を基準として取引を行っており、その他の取引については独立第三者取引と同様の一般的な取引条件で行っております。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

属性

会社等の名称

所在地

資本金又は

出資金

事業の内容

取引の内容

取引金額

その他の

関係会社

メタルワン

東京都

千代田区

100,000

鉄鋼商社

鋼材の販売

鋼材の仕入

53

1,890

その他の関係

会社の子会社

メタルワングループ会社

(17社)

鋼材の販売

鋼材の仕入及び委託加工

1,164

1,572

合計

 

 

 

 

 

4,680

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、良質な投資に積極的に資源を投じて成長戦略を推進していくとともに、配当性向50%水準をベンチマークとし、株主への安定的かつ継続的な配当を行うことで株主還元を実現することを経営の基本方針としております。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は取締役会であります。

 当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり102円の配当(うち中間配当48円)を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は46.74%となりました。

 内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今後の事業展開のための投資及び企業体質の強化に充当していきます。

 当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2024年11月1日

436,849

48

取締役会決議

2025年5月23日

505,104

54

取締役会決議