2025年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループは、日本国内および海外において、生活用品を中心に多岐に亘る商品を提供するOEM事業と、自社ブランドあるいは本質にこだわった海外の秀逸なブランドの卸売および小売を行うブランド事業を展開しています。

こうした事業活動の性質上、先行き予測が困難で不確実性の高い様々なリスクが内在しており、当該リスクが顕在化した場合には、将来の当社グループの事業活動や経営成績、財政状態などに大きく影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを完全に排除することは困難ですが、当社グループではリスクマネジメント規程に基づき設立された組織横断的な各種の特定リスク委員会を定期的に開催、リスクの適切な認識、迅速な対応を図ることで、リスクの極小化を図っています。

①地政学リスクについて

当社グループは、わが国のみならず世界各地で事業活動を営んでいるため、当社グループの事業活動は、主要国における政権交代による制度変更や、世界各国における政治経済社会情勢の変化や国家間紛争、あるいは、大規模な自然災害の発生や感染症の世界的な蔓延など、様々な環境変化に伴うリスクに晒されており、当社グループの事業や業績に重大な影響を及ぼす可能性もあります。こうしたリスクの回避や低減を図るため、当社では、リスクマネジメント委員会傘下のカントリーリスク委員会が世界情勢の変化に伴う様々なリスクの評価や対応策を検討する体制のほか、危機管理基本マニュアルに基づいて、常設の危機対策本部事務局が平時の準備活動を担うとともに、危機発生時には遅滞なく事業継続計画(BCP)を発動することで、円滑な事業の回復・継続に即応する体制を構築しています。

②サステナビリティに関するリスクについて

地球温暖化が環境に及ぼす影響への懸念が依然強まるなか、その具体的な対応策の策定は、経済発展への阻害要因ともなりうるとの考え方も、一部には強まっています。

一方で、「健康と環境」を会社の最重要テーマとして、長年取組んできた当社としては、昨今の「SDGs経営への取組」以前からの基本的な方針として、この課題に取り組んでおり、その課題認識は全く変わっていません。

いわゆる「サステナビリティに関するリスク」について、当社では新たなビジネスチャンスとも捉えています。気候変動リスクを始め、サステナビリティに関するリスクを当社の事業運営全般に関わるチャンスと表裏一体のリスクと捉え、その対応のためサステナビリティ委員会を設置して、取締役会における方針決定等の大局的な審議に資する情報収集や、事前審議を行うことで、全社横断的な監視、対応体制を整備しています。

また、仕入先協力工場における児童労働や長時間労働などの人権侵害、あるいは環境破壊や地域住民の権利侵害の発生は、人権侵害そのものだけでなく、当社および取引先に対する社会的信用の低下を招く恐れがあり、大きな課題、且つリスクでもあります。このようなリスクを回避するため、仕入先協力工場の選定にあたっては、当社判断および取引先の審査基準等に従い、人権保護を含めた法令遵守の徹底に取り組んでいます。

③人的リソースに関するリスクについて

少子高齢化社会の進行に伴う労働者人口の減少や働き方に対する労働者ニーズの多様化などにより、経営資源の根幹をなす人材の確保や育成が順調に進まない場合、当社グループの事業活動や経営成績、財政状態などに大きく影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクを回避するため、当社では社員のキャリア形成や生産性向上に資する投資を進めており、自律的な学びを支援する研修制度や挑戦を促す施策を通して社員の成長を支援し、働き甲斐のある就労環境作りにも取り組んでいます。また、定年再雇用制度の整備や育児短時間勤務制度の対象拡大など柔軟な働き方に関する諸制度を整備し、社員が長く働きやすい環境作りに取り組んでいます。

さらに、キャリア採用に関する制度を整備するなど外部人材の積極的な登用も進めており、人材の確保と育成に努めています。

④コンプライアンス(法令遵守)およびサイバーセキュリティに関するリスクについて

当社グループは、生活用品を中心に多岐に亘る商品を国内外で提供しており、わが国を含む世界各国で制定、施行されている各種法令および規制などを遵守することに努めています。しかしながら、複数の当事者を介して行う取引も多く、予防的措置を講じているにも関わらず、結果として法令や規制などに違反する事態に至るなど、場合によっては、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。また、これらの法令や規制などが大きく変更された場合には、取引の継続が困難となる可能性や必要な対策に多額の費用を要する可能性があります。

また、当社グループは、中期経営戦略における成長戦略の柱として、「EC事業の強化」を推進しており、販売活動で取得した個人情報・顧客情報などの漏えいにより多大な損害賠償責任を求められる、あるいは、漏えい等の事案対応のための費用負担が必要になる、当社の信用力低下に繋がるなどの可能性があり、さらにサイバー攻撃などの事例も年々増加するなか、情報セキュリティ全般に係わるリスクが高まっています。

こうしたリスクを回避するため、法務リスク委員会において法改正情報の入手や法令遵守の状況を監督しています。個人情報については、情報管理委員会を定期開催し、個人情報の管理体制を監督する体制を整備し、個人情報については万が一に備えてサイバーセキュリティ保険の付保により、リスク移転措置も講じています。当社グループの事業に密接に関係がある法律ごとにコンプライアンス・プログラム(CP)を策定・運用し、定期的に法令の趣旨や規制内容を社員にリマインドさせることにより、関係する法令の理解と法令遵守意識の定着化を図る仕組みを整備しています。

⑤サプライチェーンに関するリスクについて

様々な生活用品を扱う事業をグローバルに行っており、原材料の調達から販売網の構築までのサプライチェーンは当社グループのビジネスの基盤ですが、外部環境の変化による原材料や輸送コストの高騰、関税率の変動など様々な要因により当社のビジネスに影響が出る可能性があります。

こうしたリスクを回避・低減するため、平時から調達ルートの分散や代替素材の転用、販売ルートの多様化を進めるとともに、サプライチェーンへの影響の可視化を行い、万が一リスクが顕在化したときには、遅滞なく事業継続計画(BCP)を発動することで、損害の低減を講じるべくリスク事象への対応を行う体制を整備しています。

⑥市場リスクについて

(為替変動リスク)

当社グループは、輸出入取引に付随し様々な為替相場の変動リスクに晒されており、円相場の大幅な変動により輸入商品の価格競争力が大幅に失われた場合には、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

こうしたリスクを回避・低減するため、定期的に開催される市場リスク委員会が為替相場の変動状況をチェックしています。なお、必要に応じて為替予約によるリスクヘッジを行っています。

(金利変動リスク)

当社グループは、おもに運転資金に充当するため、円建ておよび米ドル建ての借入があり、いずれも金利変動リスクに晒されています。最近の短期市場金利は上昇傾向にあり、急激な金利上昇が発生した場合は、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を与える可能性があります。

このリスクを回避・低減するため、円建て借入については、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を利用したグループベースでの借入金残高の圧縮や、長期固定金利借入や実需の範囲内で金利スワップなどのリスクヘッジ手段を適宜導入することにより、金利変動リスクの抑制を図っています。

(流動性リスク)

当社グループは、仕掛品や製品在庫、設備投資などの運転資金ニーズに加え、危機管理下における事業継続のための資金繰りを支える流動性の確保も必要と考えています。事業継続等の観点から急激な増加資金需要にも耐えうる安定的なキャッシュ・フローを確保するため、取引金融機関との関係強化や資金調達手法の多様化に取り組んでいます。外貨流動性については、主取引銀行との間で中長期多通貨コミットメントラインを設定することにより、日本国内における米ドル資金調達時の流動性リスクをヘッジしています。

⑦信用リスクについて

当社グループの取引には、国内外の取引先に対する売上債権等についての信用リスクが存在しています。取引先の信用状況が悪化し、当社グループに対する債務の履行に問題が生じた場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

こうしたリスクを回避・低減するために「与信管理規定」に基づき、取引先毎に慎重に与信限度額を設定した上で定期的な限度額の見直しを行うとともに取引信用保険を付保することで、売掛債権等の保全を図っています。

 

なお、本項には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

配当政策

3【配当政策】

 

・利益配分に関する基本方針

当社グループは、縁に随って出会った人々がお互いに助け合うことを大切にする『随縁の思想』を企業理念としております。当社は、この企業理念の下、当社との縁を紡がれた株主の皆様への適切な利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けております。

利益配分に関しては、将来の事業展開や不測の事態に備える内部留保による経営基盤の維持強化だけでなく、持続的成長と中長期的な企業価値の向上の実現に資するよう、人的資本への投資を含めた適切な投資の実施などを踏まえ、当社グループの財政状態、今後の業績動向や資金需要などを総合的に判断し決定します。


・配当決定に関する基本方針

株主の皆様に対する配当については、中間配当および期末配当の年2回を基本方針としており、年間配当金は、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向30%~50%を目処に実施します。なお、定款の定めにより株主総会から授権された取締役会において審議の上、決定します。

 

2025年3月期の期末配当につきましては、2025年5月22日に発表しましたとおり、1株当たり普通配当21円となりました。なお、当社は2024年10月1日付けで普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っており、当事業年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定した場合、1株当たり年間配当金は31円(中間10円、期末21円)となります。

 

次期、2026年3月期の配当につきましては、中間配当は1株当たり15円50銭、期末配当は同15円50銭とし、年間配当は1株当たり31円00銭を予定しております。

 

 当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。なお、1株当たり配当額につきましては、中間配当金は株式分割前の、期末配当金は株式分割後の金額を記載しております。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年10月31日

94

40

取締役会

2025年5月22日

199

21

取締役会