2026年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1.リスクマネジメントに関する考え方及びリスク管理体制

当社グループは、多様なリスクに対し、適切かつスピード感のある対応を行うことで、企業価値の最大化と経営や業務への影響の最小化を図っています。

当社のリスク管理体制は、社長を最高責任者とするリスク管理委員会を設置して管理を行っています。当社グループ全体の企業価値の維持・向上に努め、リスク発生時の影響を最小化するとともに、当社の活動や社員に対して影響を及ぼす可能性があるさまざまなリスクに対し、PDCAサイクルを通じたマネジメントを行っています。リスク管理委員会は四半期に1回開催しており、リスク管理全体の基本方針および体制等を定めるとともに、必要に応じてタスクフォースを編成する等の機能を有します。活動状況を半年に1回取締役会に報告し、経営層は存在するリスクを的確に把握したうえで、経営判断ができる体制を構築しています。既に一部顕在化しているリスクから、今は顕在化していないものまでさまざまな観点から、継続的に注視・対応すべきリスクの洗い出しを行っています。各リスク管理部会では、予測されるリスクを抽出し、マッピングによる評価を行ったうえで、重点的に対策を推進していくリスクを明確にしています。

 

<体制図>

 

 

<リスク管理のPDCA>

 

2.当社グループの主要なリスク

<戦略・外部環境リスク>

(1) 事業環境について

(リスクの内容)

 当社グループは、壁装材、床材、ファブリック(カーテン・椅子生地)等のインテリア商材の企画・販売および壁紙の製造等に加え、各種施設・オフィス空間等の設計・施工を行う国内インテリアセグメント、門扉・フェンス・カーポート等のエクステリア商品の販売および外構に関わる設計・施工を行う国内エクステリアセグメント、北米、東南アジア、中国・香港におけるインテリア商品の製造・販売および東南アジアにおける設計・施工を行う海外セグメントにて事業を展開しております。これらの事業は建設需要に左右されるため、国の経済全体の景気動向や政府の住宅に関する政策、税制の変更および人口減少などに伴う住宅・非住宅の新設着工戸数の減少等により、ビジネス機会を損失するリスクが存在します。

(リスク対策)

 主力である国内市場において、住宅・非住宅分野における新築や改築は、少子高齢化が進むなか、将来的に大きく成長していくことは期待しにくいと予想しております。こうした事業環境を背景に、当社グループは2027年3月期を初年度とする「中期経営計画 2029」を策定しました。インテリア事業においては、国内市場規模が縮小する中でも成長が期待される分野に注力するとともに、プロダクトミックスやサプライチェーンの最適化、モノづくり力の強化および企業ブランドの向上に取り組み、競争優位性と収益性を高めることで、より強固な収益基盤の構築を目指してまいります。また、空間総合およびエクステリア事業は、インテリアの強みを横展開した拡張領域として位置付け、そのシナジーを最大化しながら、中長期的な成長事業として着実に育成していきます。海外についても、インテリアを軸として、北米の成長を一段と加速させるとともに、東南アジア、中国・香港における成長軌道へのシフトを進めてまいります。これらをグループ全体の成長ドライバーと位置づけ、さらなる収益力の強化に取り組んでまいります。加えて、インテリアをはじめとする当社グループの既存領域、隣接領域において、未来の収益源となる次世代事業の探索・創出にも注力いたします。

 

(2) 国際情勢の不安定化について

(リスクの内容)

 中東情勢の緊迫化を背景とした世界的なサプライチェーンの混乱により、原油やナフサ等の石油化学原料の指標が大幅に上昇しております。これに伴い、国内での石化製品の供給不安が生じ、当社の製造委託先における原材料の調達に支障が出始めています。この状況が長期化することで、主要商材である壁装材、床材、ファブリック等において、供給量の減少や制限、納期の遅延が発生するリスクがあります。また、原材料価格の高騰に加え、製造・物流コストの上昇も深刻化しており、自助努力のみではこれらのコスト上昇分を吸収し、現在のサービスレベルを維持することが困難となるため、取引価格の改定を決定いたしました。今後、さらなる原材料価格の高騰が生じた場合や、価格改定に伴う需要の変化等により、当社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対策)

 当社は、各取引先との連携を通じて情報の収集に努め、国際情勢を注視することで影響の早期把握に注力しております。商品の安定供給を最優先課題とし、当社の調達力および在庫力をいかすことで、顧客への供給制限や納期遅延の影響を最小限に抑えるよう努めてまいります。原材料価格や物流コストの上昇に対しては、継続的なコスト削減等の自助努力を行いますが、現在のサービスレベルを維持することが困難な状況に鑑み、2026年7月1日受注分より壁装材・床材・ファブリック・エクステリア・副資材・接着剤等の主要な対象商品について、18%~30%程度の取引価格改定を実施することといたしました。これにより、コスト上昇分を適切に価格へ転嫁し、事業の継続性と安定的な供給体制を確保いたします。今後も原材料価格のさらなる高騰等の情勢変化に応じ、迅速かつ適切な対策を講じることで、経営への影響を低減させてまいります。

 

(3) 環境・気候変動について

(リスクの内容)

 環境・気候変動リスクへの関心が高まる中、2015年に国連で「パリ協定」が採択され、同年に開催された国連サミットではSDGs(持続可能な開発目標)が採択されるなど、2030年をターゲットにした目標の設定が進展しました。さらに、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)による国際基準の公表や、国内におけるサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の開示基準の法制度化など、非財務情報の開示標準化が大きく進展しており、資本市場においてはサステナビリティが投資の前提条件となっております。

 このように環境や気候変動に関連する規制・市場の変化が大きく進展する中、当社グループでは、事業活動における温室効果ガス(以下、GHG)排出量を低減できないリスクに加え、欧米を中心としたポリ塩化ビニル(PVC)に対する規制強化および顧客の環境意識の高まりに伴うニーズの転換を重要なリスクとして認識しております。

 具体的には、サプライチェーン全体でのGHG排出量の削減が進まないことによる炭素税負担や仕入コストの増加が懸念されます。また、PVC等の化学物質規制への対応遅れや、低環境負荷商品の拡充が不十分な場合には、市場ニーズへの不適合から社会的信用の低下やビジネス機会の損失を招き、当社グループの経営成績や財務状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対策)

 環境・気候変動リスクへの対応として、社長を委員長とするリスク管理委員会のもとに環境・気候変動リスク部会を設置し、組織的な管理体制を構築しております。この環境・気候変動リスク部会のもと、気候変動に関する各リスクを、法規制・市場などの移行リスクと、急性・慢性的などの物理リスクといった区分に沿って分析し、商品統括部門、ロジスティクス部門、事業部門およびコーポレート部門が緊密に連携し、具体的な管理指標を設定した上で、リスクの監視と対応を行っております。

 また、当社グループはSangetsu Group長期ビジョン[DESIGN 2030]において、地球環境を守るサステイナブルな社会の実現を掲げており、2029年度の事業活動(Scope1&2)におけるGHG排出目標を、当社単体ではカーボンニュートラル(排出実質ゼロ)、グループ全体では55%削減(2021年度比)と設定し、GHG排出量の多い生産拠点での省エネ活動や、再生可能エネルギーの導入などにより、GHG排出量の削減に努めています。商品面においては、商品統括部門との連携を強化し、低環境負荷商品の開発計画策定や、自社基準による「環境ラベル」の運用検討を通じて、低環境負荷商品の開発・販売体制の整備を進めております。

 今後は、サプライチェーン全体でのGHG排出量削減に向けた仕入先とのエンゲージメント強化や、顧客のニーズに応える低環境負荷商品の販売拡大を推進し、環境・気候変動リスクに対応してまいります。

 

(4) 海外事業活動について

(リスクの内容)

 当社グループは、北米、中国・香港、東南アジア各国を中心に事業を展開しており、以下の事象や状況が発生した場合、当社グループの経営成績や財務状況等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

・感染症の蔓延、政情不安、経済動向の不確実性、宗教・文化・商習慣の相違、戦争・内戦、テロ、投資・海外送金・輸出入規制等が発生した場合。

・固定資産の減損に係る会計基準等に従い、定期的に保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損損失の認識・測定を行った結果、固定資産の減損損失を計上する場合。

・製造部門を持つグループ会社の事業において、原油や鉱産物価格の高騰などにより原材料や商品仕入価格に極端な変動がある場合。

 

・日本からの輸送並びに海外グループ各社が海外から商品を調達する場合の輸送に関わるコストが高騰する場合。

・製品クレームや品質問題の長期化などによるレピュテーションリスクが生じる場合。

・海外グループ会社を経営していく当社の経営人材、現地の経営人材が確保できない場合。

(リスク対策)

 当社グループでは、以下の対策を講ずることで、海外事業リスクの未然防止と最小化に努めております。

・平時より政治的又は経済的な障害となりうる問題に関する情報の収集や、不測の事態に対するBCPの策定など、グループ内で有事に備えた環境整備を行っております。

・投資後の事業を管理する体制を整備しております。

・原材料等が高騰した場合には、市場や競合の状況を判断しながら適切な価格改定を実施します。仕入先だけではなく、原油価格や原材料メーカーの価格変動動向も注視し、仕入価格の交渉や販売価格の改定に関する適切な判断を行うための情報収集等の準備を常時実施しております。

・より効率の良い輸送方法の選択と、販売先への輸送運賃の適切な請求を行っております。

・各国での品質管理を徹底し、クレームを未然に防止する体制の構築を進めております。

・中長期的に海外事業を担う若手人材を育成するとともに、事業を成長させ、変革するための組織体制の整備と維持や、収益性の拡大を担う現地の経営人材の育成を行っております。

 

<オペレーショナルリスク>

(5) 品質管理について

(リスクの内容)

 当社グループは、「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する」ために、顧客ニーズを的確に把握し、生活空間を構成する重要な要素であるインテリア商材として、壁装材、床材、ファブリック等の魅力ある商品の企画、開発、販売を行っております。一部の商品を除き、製造は外部仕入先のメーカーが行い、商品の供給を受けておりますが、その品質の担保は、顧客が商品に求める「価値」そのものであり、ブランドメーカーとしての信頼性の向上や顧客満足度の向上、競争力強化、企業価値向上の基盤となります。

 また、中期的な期間にわたって使用されるインテリア商材は、経年変化を含めた長いスパンでの品質を担保することも重要な事項です。商品開発時の検証不足や製造工程における不備等により、重大な品質トラブルやクレームが発生、あるいは商品設計と異なる品質の商品が市場に流出した場合、ブランドイメージの低下や損害賠償費用の発生等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対策)

 商品設計審査のプロセスをデザインレビュー(Design Review:DR-A/B/C)として定め、開発段階ごとに複数の担当者が検証とチェックを行う体制を構築、運用しております。新商品の開発時には、品質検証の段階で確認すべき項目を網羅した「要求品質確認シート」を活用し、DR-A時点で検証項目の洗い出し、DR-B時点で品質や機能性の裏付け、法的要求事項の確認、DR-C時点で検証結果の報告を実施することとし、品質検証が完了していない場合は市場への上市を見送るルールの運用を徹底しています。商品の市場への上市後は、品質クレームの発生時に対策会議を実施し、不備事例を分析、共有することで、他商品における類似リスクの未然防止に向けた対策を講じています。

 また、品質クレームの発生状況を定期的に監視し、必要に応じて仕入先工場の監査を実施しています。さらに、商品の製造委託に関しては、品質基準を明確化し、品質管理基準書に準じた商品の製造を委託し、その品質の維持・向上のため、製造現場で発生する「Man(人)」「Machine(機械)」「Material(材料)」「Method(方法)」の4つの要素の変更を管理しており、これらの変更が商品品質に及ぼす影響を事前報告により評価し、適切な対策を講じ品質トラブルを未然に防ぐ体制を構築しております。

 

(6) 安定調達・安定供給について

(リスクの内容)

 当社グループでは、取扱商品のうち主力商品である壁装材や床材等について、商品サンプルを掲載した見本帳を配付することで、営業および販売活動を行っております。見本帳有効期間内は安定供給を維持することが強く求められる業界であるため、生産トラブル、地政学的リスクに伴う原材料調達の混乱や価格高騰、仕入先・加工先の倒産や撤退など、予期せぬ要因も含め商品の供給が中断した場合、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対策)

 メーカーから商品を安定的に調達できるよう、仕入の前段階としてメーカーの工場内の実査や適正な製造工程の確認を行い、万が一調達が困難な状況に陥った際のバックアップ体制として、主要商品については十分な在庫の確保、代替となる商品の準備等の環境整備を進めております。

 なお、当社グループ会社であるクレアネイト株式会社は、国内最大手の壁紙メーカーであります。当社が壁装事業を拡大する上で、競争力強化、量的確保のみならず、製販一貫体制の確立による事業の効率化を通じ、さらなる発展が可能になるものと位置付けており、工場の安定稼働と商品の安定供給を維持することはグループ全体で取り組むべき課題と認識しております。2025年10月に広島県の新工場が稼働したことで、東日本2拠点、西日本1拠点の生産体制を構築し、かつ生産効率の高い新鋭機を導入することで、サプライチェーンの強靭化と安定供給体制の強化を推進しております。

 一方で、仕入先や関連加工先の倒産・廃業や経営環境の変化、サプライヤーのCSR面における実態把握などを重要な継続課題として認識しております。これらに対し、CSRアンケートや実査訪問による実態把握の強化と管理の徹底に努めるとともに、代替生産体制のさらなる拡充を含む、より精緻な調達管理体制の構築に重点的に取り組んでおります。

 

(7) 設計・施工事業について

(リスクの内容)

 当社グループは、インテリア商材やエクステリア商材の販売のみならず、それら商材をいかした設計・空間デザイン提案を行い、その施工までを事業としております。設計・施工事業においては建設業法を始めとした各法規に則った事業活動が必要であり、違反と判断された際の事業継続とレピュテーションに対するリスクや、空間総合施工を担う専門人材や表装技能士等の不足が顕在化するという課題があります。

(リスク対策)

 収益性の高い事業の構築・拡大のため、空間創造における事業企画から施工、プロジェクトマネジメントまでを一気通貫で担う「空間総合事業部」を中心に、グループ全体の施工管理体制を強化しております。具体的には、特定建設業許可の取得により大規模工事および全工種への受注体制を整備するとともに、2026年度中に稼働予定の新システムの活用により、プロジェクト毎の収益管理および法的に求められる書類管理の徹底を図ってまいります。また、専門人材の採用・育成や表装技能士等の確保に加え、各種損害賠償保険への加入により、不測の事態における経済的損失を最小化する体制を整えるなど、法務・実務の両面から実効性のある管理体制を構築しております。

 

(8) 物流機能について

(リスクの内容)

 当社グループは、商材を調達先から荷受け、在庫し、出荷および配送する事業を展開しております。日本全国への配送網の維持は事業の継続における強みである一方、深刻な少子高齢化に伴うドライバー不足により荷物の約3割が運べなくなることが懸念される「物流2030年問題」は、当社の配送体制の安定維持を困難にするリスクと認識しております。その他、重大な事故の発生に伴う運送会社の事業停止により商品の供給が滞るリスクに加え、2026年4月に施行された改正「物流効率化法」に伴う特定荷主としての義務への対応不備による法令違反や罰則が科されるリスク、2026年1月より特定運送委託が中小受託取引適正化法の規制対象となったリスクなど、物流を取り巻く環境変化への適切な対応や運行安全の管理強化が不可欠となっております。

(リスク対策)

 幅広いエリアの物流機能を当社グループ内に内製化することで、環境負荷の低減を含めた持続可能な物流機能を強化するとともに、地域に応じたよりきめ細やかな配送体制や、調達物流も含めたより効果的・効率的な物流体制を構築・高度化するため、2022年9月の有限会社クロス企画(2023年4月に株式会社化)に続き、2025年4月に物流会社である株式会社SDSをグループ会社化しました。物流2030年問題への対策として、不測の事態が発生した際の代替手段の確保や、商品の供給停止を防ぐバックアップ体制の維持・運用を強化しております。

 

 また、改正「物流効率化法」への対応として、特定荷主としての義務である物流統括管理者の選任、中長期計画の策定を進めるとともに、実務面においては、荷役機器の導入による積込み・荷下ろし等の荷役作業の省人化やシステム化を進めるだけでなく、荷待ち・荷役時間の短縮や積載率向上といった判断基準への対応を強化し、中小受託取引適正化法への対応を含むコンプライアンスの徹底と効率的なオペレーションを両立させてまいります。さらに、夜間配送等の高リスク環境においても社内および協力会社全体での安全管理を徹底し、重大事故の未然防止に向けた運行安全の管理強化に継続的に取り組んでおります。

 

(9) 人材の確保について

(リスクの内容)

 当社グループが持続的に成長し、中長期的に企業価値を向上させていくためには、経営戦略を実行し得る、多様で優秀な人材の確保が不可欠であると認識しております。しかしながら、国内における労働力人口の減少や労働市場の流動化を背景に、業界や業種を超えた人材獲得競争は激化しており、当社グループが必要とする人材を計画通りに採用・育成できない場合、あるいは既存の優秀な人材が社外へ流出した場合には、事業計画の遂行に遅延が生じる等、当社グループの経営成績や財務状況等に影響を及ぼすリスクがあります。

(リスク対策)

 当社グループでは、「中期経営計画 2029」において掲げる「変革と挑戦」および「イノベーションの創出」を実現・加速すべく、経営戦略に連動した人事施策を実行し、人材基盤の強化に取り組んでおります。

 「人財」と「組織」の両面から強化を図り、持続的成長を支える人材基盤強化、事業戦略をリードする人材の強化、DE&Iの深化、ウェルビーイングの向上の4つを重点施策として位置づけております。

 「人財」面での具体的な施策としては、教育研修体系の拡充、人事制度の実効性向上のほか、重点領域として経営人材およびグローバル人材の育成、高度専門人材の採用に取り組み、着実な人材育成・確保に努めております。一方、「組織」面では、多様性を共創の力にすべく、女性活躍推進、共育て風土の醸成、障がい者活躍支援を推し進め、また、多様な働き方の拡充、自律的なキャリアデザインの促進、健康経営の推進等を進めることで、多様な人材がその能力を最大限に発揮し、安心して挑戦し続けられる職場環境を整備しています。

 あわせて、2023年度から継続している各組織への人事担当配置によるきめ細かな人材マネジメントや適正配置、エンゲージメントサーベイを活用した組織課題の改善を推進し、パフォーマンスの最大化を図るとともに、採用計画の進捗状況、エンゲージメントサーベイの結果、離職率の推移、ならびに女性ライン管理職比率をはじめとする各種人的資本KPIの進捗状況等を確認しリスク管理に取り組んでおります。

 

(10) 与信管理について

(リスクの内容)

 当社グループは、取引先に対して与信供与を行っており、社会・経済情勢の変化や不測の事態を含めた取引先の財政状態悪化により債権の回収が困難となった場合、貸倒れによる損失が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対して下記の取り組みを実施し、債権の回収不能による損失発生の予防として与信管理体制強化を図り、貸倒れによる損失回避に努めております。

(リスク対策)

・与信管理規定の適切な運用

・取引先の信用状況を勘案した与信限度額の年次更新

・重要な取引先の業況ヒアリング、財務諸表の定期的な把握

・取引先との今後の展開を見据えた取引条件の見直し

・債権回収状況のタイムリーなモニタリング

・売上債権回転期間の見直し

・与信不安先に対する会計上の貸倒引当金の設定

・与信不安先に対する管理強化や営業施策支援の実施

・取引先の信用状況に応じた担保、保証、取引信用保険付保等の債権保全策の実施

 

 

<ハザードリスク>

(11) 自然災害等のBCPについて

(リスクの内容)

 商品開発、製造、調達、ロジスティクス、販売、サービスに係る当社グループの施設は、国内全域、海外(北米、中国・香港、東南アジア各国)に点在しております。地震・洪水・暴風雨・大雪等の自然災害に伴うインフラの停止、建物・設備の損壊に加え、情報システムの機能不全やデータの毀損等が発生した場合、操業停止や物流・サービス供給の遅延を招き、当社グループの経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

(リスク対策)

 当社グループでは、自然災害等による事業活動への影響を最小限にとどめるため、災害発生時の事業継続計画(BCP)を策定しております。同計画では、有事におけるグループ全体の社員の安全確保と迅速な安否確認の徹底を最優先事項として掲げ、非常時の初期対応、報告方法、対策本部の設置と役割について明記しております。また、定期的な訓練や設備の点検を通じて実効性を高めるとともに、最新の災害リスクに基づき、毎年計画の見直しを実施しております。さらに、情報システムのバックアップ体制を整備するほか、商品の安定的な調達と供給を維持するため、仕入先や当社グループ拠点の被災時に備え、代替拠点から商品調達・配送が可能な体制を構築しております。

 

(12) 情報セキュリティについて

(リスクの内容)

 当社グループは、事業活動を通じ、個人情報を含む様々な機密情報を適切に管理するため、多くの投資を行っております。また、こうしたシステムの運用並びに導入・更新に際しては、システムトラブルや情報の外部漏洩が発生しないよう最大限の対策を講じております。しかしながら、外部からのコンピュータウイルスやハッキングの被害、コンピュータ・ネットワーク機器の障害、ソフトウェアの不備等によるシステム障害、災害によるシステムの一部損壊による業務停止、情報の外部漏洩等の事態が発生するおそれがあり、これらの予期せぬトラブルの発生に伴い、社会的信頼を損なうとともに多額の費用負担が生じ、当社グループの経営成績や財務状況等に影響を与える可能性があります。

(リスク対策)

 当社ではサイバーセキュリティ担当執行役員を選任し、サイバーセキュリティ統括室を設けております。サイバーセキュリティ担当執行役員は、サイバーセキュリティ委員会を主導し、委員会には社長執行役員をはじめ、各部門の責任者が参加し、半年ごとに情報セキュリティに関する課題を抽出し、対策を議論しています。

 また、CSIRT(セキュリティ事故対応チーム)を設置し、グループ全体のインシデント管理に取り組むとともに、セキュリティ資格所持者の拡充に努めております。

 具体的なリスク対策として、以下の取り組みを実行しております。

・サーバー、ネットワーク機器は、適性に応じクラウド環境およびデータセンターへの移行・利用を推進しております。

・外部からの不正アクセスやマルウェア等の対策として、不正侵入検知・監視サービスやセキュリティ対策ソフトを導入しております。また、認証強度の向上に継続して取り組んでおります。

・ITシステムに影響を及ぼす不正なマルウェア等の侵入に対しては即時対応の仕組みを構築するとともに、SOC(Security Operation Center)と連携して迅速に対処できる体制を整備しております。

・情報セキュリティ(個人情報を含む機密情報の保護および情報管理の重要性)に関する従業員向けの教育や訓練を定期的に実施しております。入社時教育と継続的な実践訓練プログラムを組み合わせることで、組織全体のセキュリティ対応力の向上に努めております。

・重要なシステム機器については二重化しております。

・サイバーセキュリティ損害保険に加入しております。

・改正個人情報保護法に沿った個人情報保護規定を制定しております。

 

 

<法的・コンプライアンスリスク>

(13) 法的規制および知的財産について

(リスクの内容)

 当社グループは、事業活動を展開する上で製造物責任、知的財産、環境、労務など多岐にわたる法的規制の適用を受けております。そのため、予期せぬ法令等の改正が行われた場合には、事業運営に制約が生じ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、知的財産に関しては、“Joy of Design”をブランドステートメントとしてデザイン性と機能性に優れた商品開発に注力しておりますが、他社によって類似商品が製造されるリスクを完全には排除できません。また、万一第三者から知的財産権の侵害を主張され、訴訟が提起された場合には、係争費用や損害賠償等の損失が発生し、当社グループの経営成績や財務状況等に影響を与える可能性があります。

(リスク対策)

 当社グループでは、これらのリスクを低減するため、下記のような様々な取り組みを行っております。

・コンプライアンスの遵守を企業活動における最低必要条件と位置付け、国内外の法規制を常時監視して迅速な法対応が行える体制を維持するとともに、管理体制の構築や社員教育の強化を通じて、グループ全体のコンプライアンス意識の徹底を図っております。

・自社事業に関連する特許、意匠および商標の出願・権利取得を積極的に行い、知的財産の創造、保護、活用を推進しております。加えて、競合他社の知財情報を常にモニタリングして社内で最新情報を共有し、新商品の発売に際しては事前の調査確認を徹底しております。

・弁理士や弁護士等の外部専門家と緊密な連携体制を構築しており、リスク発生時には直ちに対策を講じることができるようにしております。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、キャッシュ創出力のさらなる向上を実現し、安定増配と自己株取得による資本コントロールにより資本収益性向上を目指すことを基本方針としております。具体的には、新たに策定いたしました「中期経営計画 2029」(2027年3月期〜2030年3月期)の株主還元方針に基づき、提出日現在においては、株主還元は安定配当を基本とし、1株当たり年間配当金155円の下限設定と配当性向60%以上を目安に増配を目指すこととしております。内部留保資金につきましては、利益創出に資する成長投資や、持続的な成長を支える基盤投資に充当する方針であります。

また、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当事業年度(2026年3月期)の配当につきましては、前中期経営計画(2023-2025)[BX 2025]の資本政策に基づき、1株当たり年間配当金130円を下限とした安定的な増配を行うという従来の方針に則り、期末配当金は1株当たり77.5円とし、中間配当金77.5円と合わせ、年間配当金155円とする予定です。

当社は「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2025年11月7日

4,556

77.50

取締役会決議

2026年6月24日

4,556

77.50

定時株主総会決議(予定)(注)

(注)2026年3月31日を基準日とする期末配当であり、2026年6月24日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として付議する予定です。