人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,414名(単体) 120,373名(連結)
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平均年齢39.0歳(単体)
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平均勤続年数14.0年(単体)
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平均年収10,951,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社における従業員数
(2024年3月31日現在)
(注)1 従業員数は就業者数で記載しており、海外の現地採用者を含み、嘱託及び臨時従業員11,148人を含んでおりません。
2 当連結会計年度から当社の連結子会社となったPT Oto Multiartha及びPT Summit Oto Financeの従業員数は、グローバル事業部門に含めております。
(2) 当社の従業員数
(2024年3月31日現在)
(注)1 当社従業員は全員、株式会社三井住友銀行等からの出向者であり、平均勤続年数は同行等での勤続年数を通算しております。
2 当社の従業員は主に本社管理のセグメントに属しております。
3 平均年間給与は、3月末の当社従業員に対して株式会社三井住友銀行等で支給された年間の給与、賞与及び基準外賃金を合計したものであります。
4 当社には従業員組合はありません。労使間において特記すべき事項はありません。
(3) 管理職に占める女性労働者の割合、育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当社及び当社の主要な国内連結子会社各社の、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」という)等に基づく管理職に占める女性労働者の割合、育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は以下のとおりであります。なお、当社は女性活躍推進法、または、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、「育児・介護休業法」という)に基づく上記指標の公表が求められていないため、記載を省略しております。また、下記以外の連結子会社につきましては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報」に記載しております。
(2024年3月31日現在)
(注)1 「育児休業取得率」につきましては、育児休業を取得した者の数を、出産した者の数または配偶者が出産した者の数で除した割合を示しております。また、出産した者または配偶者が出産した者の全てが育児休業を取得した場合においても、事業年度を跨いで育児休業を取得した者の取扱いの方法により、育児休業取得率が100%を上回るまたは下回ることがあります。なお、育児休業の定義につきましては、連結子会社各社において定める定義に基づいて算出しております。
2 「労働者の男女の賃金の差異」につきましては、当事業年度の男性の平均年間賃金に対する当事業年度の女性の平均年間賃金の割合を示しております。なお、男女の賃金の差異については、職責・賃金が高い管理職への女性登用が男性に比べ進んでいないこと等から生じております。賃金の差異の縮小にむけ、管理職への女性登用の促進・育成等に取り組んでおります。
3 株式会社三井住友銀行における男性労働者の「嘱託・契約社員」につきましては、該当期間における対象者がいないため、育児休業取得率を算出しておりません。
4 株式会社三井住友銀行における「パート・有期労働者」につきましては、対象者が女性のみのため、男女の賃金の差異を算出しておりません。
5 株式会社SMBC日興証券における「パート・有期労働者」につきましては、対象者がいないため、男女の賃金の差異を算出しておりません。
6 三井住友カード株式会社は、2024年4月1日に、同社を存続会社として、SMBCファイナンスサービス株式会社と合併いたしました。そのため、三井住友カード株式会社における「管理職に占める女性労働者の割合」「育児休業取得率」は、SMBCファイナンスサービス株式会社の当該指標を合算して算出しており、「労働者の男女の賃金の差異」は、三井住友カード株式会社単体の指標を算出しております。
7 株式会社三井住友銀行における「パート・有期労働者」につきましては、正規雇用労働者の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)サステナビリティに対する考え方及び当社グループのマテリアリティ
当社グループは、「社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げるとともに、サステナビリティ宣言において、サステナビリティを「現在の世代の誰もが経済的繁栄と幸福を享受できる社会を作り、将来の世代にその社会を受け渡すこと」と定め、その実現に向けて、時代の変化に対応しつつ、社会課題の解決に幅広く貢献してまいりました。
近年、地球温暖化、人権侵害、貧困・格差の拡大等、世界が直面する社会課題は拡大・深刻化の一途を辿っており、わが国においても、長期にわたり経済の低成長が続いてきた他、少子高齢化・人口減少も一段と加速しております。
社会とは、企業が事業を営む上での礎であり、社会の発展なくして企業の持続的成長はあり得ません。こうした認識の下、当社グループは2023年度に開始した中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」において、「社会的価値の創造」を基本方針の一つと定めました。「社会的価値の創造」とは、社会課題を起点に本業に取り組み、お客さまや社会の中長期的な成長に資する付加価値を提供することであり、本業を通じて社会的価値を創造し社会へ還元していくことは、お客さま・社会への価値提供に加え、事業基盤の拡大等を通じて経済的価値向上にも寄与し、それがさらなる社会的価値創造の好循環を生み出します。当社グループは、例え短期的には経済的価値に直結しない領域であっても、企業市民として社会課題の解決へ積極的に取り組み、社会的価値の創造を目指していきます。
社会的価値の創造に向け、特に解決を目指すべき喫緊の社会課題として、「環境」「DE&I・人権」「貧困・格差」「少子高齢化」「日本の再成長」の5つを「重点課題(マテリアリティ)」に定め、その解決に向けたゴールを設定し、事業戦略に落とし込んでいます。当社グループは、サステナビリティの推進やマテリアリティへの取組みを通じて社会的価値を創造し、経済の成長とともに社会課題が解決に向かい、そこで生きる人々が幸福を感じられること、すなわち「幸せな成長」に貢献することを目指してまいります。
<重点課題の考え方と「10のゴール」>
(2)ガバナンス
① サステナビリティ経営の全体像
当社グループにおけるサステナビリティ経営は、グループCEO(Chief Executive Officer)を含むグループCxOの責任で推進され、取締役会の監督を受け、強固なガバナンス体制の下で運営されております。サステナビリティの推進・社会的価値の創造のために必要な諸施策に関しては、取締役会のほかサステナビリティ委員会を含む内部委員会の監督の下、各委員会で審議が行われております。また、サステナビリティ・社会的価値創造に関する具体的な業務戦略は、経営会議や、グループCEOを委員長とするサステナビリティ推進委員会等での審議・決定を踏まえて実行されております。
当社グループの取締役会の役割をはじめとするコーポレート・ガバナンス全般に関する事項は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご覧ください。
<当社グループのサステナビリティ経営体制>
(参考)Diversity, Equity&Inclusion(DE&I)推進体制
当社グループは、DE&Iを「グループの成長戦略そのもの」と位置付け、社内外に発信しております。具体的には、グループ一体での推進に向け、DE&I推進室を設置し、グループCEOを委員長とする「DE&I推進委員会」や経営会議において、KPI設定、施策立案等を議論するほか、経営層向けに勉強会を開催し、最新の外部知見を導入しています。また、管理職に対してマネジメントの重要性や役割期待、アンコンシャス・バイアスやDE&Iの推進意義等を伝える研修を実施しております。
<DE&I推進体制>
② 役員報酬制度
当社グループは、2020年度より中期業績連動報酬における定性項目の一つとして「ESGへの取組」を組み入れ、サステナビリティ関連の長期目標の達成度等を役員報酬に反映させたほか、2022年度には単年度業績連動報酬にもESG評価を拡大いたしました。具体的には、単年度のESGへの取組について、社内目標の単年度の達成度及び主要な外部評価機関の評価結果に応じて、社外取締役が過半数を占める報酬委員会で評価を決定し、最大±10%の範囲で単年度業績連動報酬に反映される形に変更いたしました。
また、2023年4月より、役員報酬制度の中期業績連動型報酬にポートフォリオGHG(温室効果ガス)排出量や従業員エンゲージメントスコアなどのESG定量指標や、環境、従業員、人権などに関する取組みへの定性評価を組み入れております。
<役員報酬制度の概要>
(3)戦略
① 気候変動への対応
当社グループは、自社で排出するGHGの2030年ネットゼロ、ならびに投融資ポートフォリオGHG排出量の2050年ネットゼロ実現をコミットしています。秩序ある公正な移行に向けては、トランジションファイナンスを提供していくこと、また、次世代技術の確立に向けたイノベーションを支援していくことが重要と認識しています。
イ.気候変動に伴うリスクに対する認識
気候変動に伴うリスク(物理的リスク及び移行リスク)は広範な波及経路が想定され、かつ様々な時間軸で顕在化する可能性があります。当社グループでは、気候変動問題の顕在化に伴う外部環境や業務環境の変化をあらかじめ想定し、様々な波及経路に基づいてリスク事象を洗い出すことで、当社グループへの財務的影響を特定しております。当社グループが想定するリスク事象の概要、及び各リスクカテゴリーへの波及事例は以下のとおりであります。
<当社グループが想定するリスク事象の概要>
(物理的リスク)
〇 急性的な気象現象と慢性的な気候変化
地球温暖化の進行は、台風・洪水等の急性的な自然災害の増加や、平均気温上昇に伴う降水量増加等の慢性的な気候変化をもたらす可能性があります。これらの事象に起因し、本支店被災により事業が継続できないリスク、対策・復旧によるコスト増加、自然災害によるお客さまの業績悪化や担保毀損に伴う当社グループの与信関係費用の増加・預金の減少等のリスクが想定されます。
(移行リスク)
〇 政策及び法規制の強化や技術・市場の変化
脱炭素社会への移行は、炭素排出目標の厳格化や炭素税の引き上げを始めとする各国の規制強化を伴う可能性があるほか、新たな技術・エネルギー源の導入や消費者嗜好の変化により産業構造の変化を促進する可能性があります。炭素排出量抑制コストの増加や製品・サービスの需給環境の変化に伴い、一部のお客さまについては収益減少や既存資産等の減損により業績が悪化し、当社グループの与信関係費用が増加する等のリスクがあります。また、セクター別方針等、業務戦略の見直しが必要となる可能性があります。
〇 企業の取組に対するレピュテーション
企業は脱炭素社会に適合したビジネスモデル変革や炭素排出量抑制等の取組みを求められております。ステークホルダーからの開示要請も高まっており、気候変動問題への取組みが企業評価基準の一つになりつつあります。これらの取組不足や情報開示要請への対応の遅れは、お客さまや株主をはじめとするステークホルダーからの高い期待に応えられず、当社グループの企業価値の毀損や信頼低下に繋がる可能性があり、資金調達環境が悪化する等のリスクを引き起こすことが想定されます。
<気候変動に関するカテゴリー別リスク事象例>
ロ.気候変動に伴う機会に対する認識
ネットゼロの実現に向けては、大幅なGHG排出量削減のためのビジネスモデルの転換、そのための技術革新や大規模な設備投資が必須となります。IEA(International Energy Agency)はNZE(Net Zero Emissions)シナリオにおいて、クリーンエネルギー分野に対し2030年には年4兆ドルの追加投資が必要と試算しています。また、経済産業省の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において「グリーンとデジタルは、車の両輪である」と示されたように、ネットゼロ実現に向けてはデジタルトランスフォーメーションが欠かせないほか、社会からの脱炭素に向けた要請が強まり、カーボンクレジット市場の拡大も見込まれます。
こうした中、事業会社においては、資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービス、脱炭素関連設備リース、経営課題に対するコンサルティング(気候関連情報開示の高度化対応や、気候変動戦略・ビジョンの策定、事業開発、リスクマネジメントの高度化への対応)、脱炭素技術保有企業やそれらを必要とするお客さまのマッチング、デジタルソリューション、カーボンクレジット調達等のニーズが生じると認識しています。当社グループにおいても様々な金融サービスの提供機会が増大し、グループ内の事業領域におけるノウハウを有機的に結び付けた多面的なソリューションが重要になると考えています。
当社グループは、お客さまが抱えるこのような複合的なニーズに対し、グループ内にとどまらず外部パートナーとの連携も活用することで、金融・非金融両面から支援に努めていきます。
<当社グループの事業領域とネットゼロへの移行に伴う成長機会>
ハ.実体経済の脱炭素化に向けた取組
「ロ.気候変動に伴う機会に対する認識」に記載のとおり、脱炭素社会の実現に向けては、当社グループにとってさまざまなビジネス機会が想定されます。
こうした中、当社グループは、従来強みとしてきたプロジェクトファイナンスを通じた新エネルギー・新技術への支援、事業の脱炭素化に向けたトランジション支援、GHG排出量の可視化をはじめとするデジタルソリューションの提供等、金融・非金融を含めた高度なサービス開発・提供に注力しています。これらのソリューションをグループ各社が連携しながら提供することで、お客さまの環境に対する取組みを総合的に支援し、経済的価値・社会的価値の両面を伴った環境ビジネスを展開してまいります。
a)新エネルギー・新技術へのリスクテイク
当社グループは、大規模なインフラ事業等のプロジェクトに対するファイナンスの提供を通じて、長年にわたり、社会経済の発展の礎を築くことに貢献してまいりました。実体経済の脱炭素化に向けては、既存技術の規模拡大やコスト削減が重要となることに加え、水素等に代表される新たなエネルギー資源・技術の開発も必要不可欠です。当社グループは、これまで蓄積してきたプロジェクトファイナンスのノウハウを生かし、新エネルギー・新技術への支援に取り組み、脱炭素技術のスケールアップを通じた社会的価値の創造並びに経済的価値との両立・極大化を目指してまいります。
b)日本・アジアをはじめとするトランジション支援
世界全体で早期にカーボンニュートラルを実現するためには、脱炭素化に向けて技術的・経済的に代替手段が限られ、一足飛びに移行することが困難なセクターの移行、すなわちトランジションを支援することが重要です。特に、アジア地域は化石燃料への依存度が依然として高く、経済成長と脱炭素化の両立が重視されています。
当社グループは、トランジションファイナンスを「顧客が自社の事業や運営を、パリ協定の目標に沿った道筋に合わせることを支援するために提供される金融サービス」と定義し、トランジションファイナンスを実行する上での当社グループのお客さまへの期待事項、判断方法の詳細を示したTransition Finance Playbook(以下、「Playbook」という)を策定しました。「Playbook」は様々な国際的なガイドラインを参照し、また世界各地・各国のタクソノミー及び電源構成・エネルギー需給の状況を考慮しながら、現実的かつ着実にトランジションを遂行することを目的として策定しています。「Playbook」を用い、脱炭素社会への移行に向けたお客さまの取組みを支援するとともに、トランジションファイナンスの提供における様々な社会課題の解決に向けた対話のツールとしても活用することで、社会全体の脱炭素化に貢献してまいります。
c)サプライチェーン全体のESG課題の「見える化」
当社グループは、デジタル技術を活用した非金融ソリューションをお客さまに提供することで、金融面以外の切り口からも脱炭素社会への移行を支援しております。
例えば、株式会社三井住友銀行は、サプライチェーン全体のCO2排出量の算定から削減施策の立案・実行まで一連の業務をクラウド上で管理できるサービスである“Sustana”を提供しております。お客さまの活動に関するデータから排出量を推計し、削減施策の実行に向けた支援を行っております。
d)脱炭素に向けたお客さまとの「事業共創」
当社グループが持つグローバルベースの広範な顧客基盤や、脱炭素分野への深い知見を活用し、脱炭素技術を持つ企業と脱炭素化ニーズのある企業をつなぐ「事業共創」にも取り組んでいます。マッチングの結果、金融面での様々な機会補足につながっており、お客さまのニーズに応えるイベントの創出とソリューションの提供に注力してまいります。
e)グループベースの多用なソリューション提供
当社グループは、お客さまの脱炭素に向けた様々な取組みを一気通貫でサポートすべく、グループ一体となり各社のエッジを活かした様々なソリューションを提供しています。例えば、リース分野における系統用蓄電池事業への参画や、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー発電事業の拡大、また、カーボンクレジット事業等、旧来の金融機関の範疇に留まらない独自性のある取組みを展開しています。
(参考)当社グループにおけるネットゼロ実現に向けた移行計画・取組
② 自然資本の保全・回復
自然資本とは、植物や動物、大気や水や土壌などの天然資源を意味しております。当社グループのお客さまの事業活動の多くは自然資本によって下支えされており、自然資本の喪失は、金融グループとしての幅広い事業活動に潜在的なリスクとなる可能性があります。一方で、ネイチャーポジティブの実現に向けては、企業のビジネスモデル変革、新たな技術の導入、環境負荷の低い設備投資等が見込まれ、お客さまの様々なニーズに対する金融サービスの提供機会が生じると認識しています。
このような認識のもと、当社グループではお客さまの企業活動と自然資本との関係を依存・影響の観点から分析し、それを踏まえて自社の事業におけるリスクと機会を認識しております。
また、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)における優先セクターの自然資本への依存度・影響度のヒートマップを作成し、とくに重視すべき自然資本・生態系サービスの特定に努めております。
<企業における自然資本の保全・回復に向けた対応の概念図>
イ.自然関連のリスクに対する認識
当社グループは、企業活動と自然資本の接点を依存・影響の両面で整理したうえで、一般的にお客さまに想定されるリスクと機会を整理しております。
a) 依存の観点からのリスク
気候変動や、企業活動・社会活動における自然資本の利用方法の変化・過度な利用を通して、特定の自然資本が毀損する可能性があります。
(物理的リスク)
水や植物といった自然資本が枯渇し価値が劣化すると、それらが生み出す生態系サービスに依存して事業展開を行っているお客さまは、原材料調達コストの増加や自然災害の激甚化・頻発化などを通して、業績が悪化する可能性があります。
(移行リスク)
自然資本の劣化は、お客さまの生産プロセスの変化を促します。こうした環境変化は、お客さまに対し、新たな技術導入に伴う追加的なコストのほか、事業の中断をもたらす可能性があります。
b) 影響の観点からのリスク
自然資本に負の影響を与える企業にとって、法規制や政策面が不利になるような形で変更される可能性があります。また、サステナビリティ開示に係る国際的なガイドラインの策定が進む中、ステークホルダーからの自然関連情報の開示要請が今後より高まる可能性があります。
(物理的リスク)
お客さまの事業が自然資本に負の影響を与える結果として自然資本が毀損する場合、当社グループの企業価値の毀損や信頼低下に繋がる可能性があり資金調達環境が悪化する等のリスクを引き起こすことが想定されます。
(移行リスク)
自然資本保全を目的とする各国の規制強化や政策変更などに伴い、環境負荷軽減のための費用負担が企業に求められる場合、一部のお客さまにおいては対応コストが増加する可能性があります。また、自然資本保全に向けた取組みや配慮が不十分である場合や対応が不十分とステークホルダーから見做される場合、資金調達環境が悪化する等のリスクを引き起こすことが想定されます。
<自然資本に関する主なカテゴリー別リスク事象例>
ロ.自然関連の機会に対する認識
2022年に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第二回会合では、「2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せること(ネイチャーポジティブの達成)、2050年に自然と共生する世界を実現する」という世界目標が定められました。自然資本・生物多様性の保全・回復に向けては、自然と共生する社会経済システムの構築に向けた一定の投資が必要となります。世界経済フォーラムが2020年に発表した報告書は、自然の危機に対処するためには「食料・土地・海の利用」「インフラ・建築環境」「エネルギー・採掘活動」の3つの社会経済システムを変革し、自然にポジティブなビジネスモデルへと移行する必要がある、と指摘しています。そのうえで、本報告書に基づけば、世界全体で2030年までに創出されるネイチャーポジティブ機会額は、年間10.1兆米ドル(約1,300兆円)と推計されており、この結果をもとにした環境省の試算でも、国内の機会額は年間47兆円に上ると試算されています。こうした中、土地・水の利用や森林管理を含む食料・農業分野や、自然に配慮した都市インフラ、再生可能エネルギー、サーキュラーエコノミーなど、自然資本との親和性が高い領域において投資の活性化が見込まれております。
金融機関は、このような投資需要に対する資金供給を行うことが求められます。また、資金供給のほか、アライアンスやリスク高度化対応へのサポートなど、お客さまの様々なニーズに対するサービス提供の機会が発生します。当社グループは、社内の事業領域におけるノウハウを有機的に結び付けた多面的なソリューションを通して、お客さまのネイチャーポジティブに向けた取組みを支援してまいります。
③ 人的資本経営の実践
イ.「SMBCグループ人財ポリシー」の制定と浸透
経営やビジネスの環境変化に加え、ビジネスの担い手の世代交代や女性活躍推進、キャリア採用の拡大等により従業員の価値観は多様化してきました。これに伴い企業と従業員の関係も「互いに依存する関係」から「選び、選ばれる関係」へと変化しております。
長きにわたり「人の三井」「事業は人なり」と形容され「人」を重視してきた三井と住友の事業精神と文化を受け継ぎ、多様な従業員が集い、育ち、活躍する場であり続けるため、当社グループが「従業員に求めるもの」と「従業員に提供する価値」を「SMBCグループ人財ポリシー」として2023年度より明文化しました。
従業員には、社会に大きな責任を持つグローバル金融グループの一員としての自覚と、自分と異なる価値観を積極的に受け容れるDE&Iの精神を前提に、「プロフェッショナルとして責任を果たすこと」「お互いを認め合いチームで最高の成果を追求すること」「困難に立ち向かい挑戦し続けること」を求めております。
一方、その実現に向けて取り組む従業員に対しては、「自分らしさを表現できる環境」「事業基盤を活かしたお客さま・社会へ貢献できる機会」「キャリア形成と成長のサポート」を提供し、自らの夢の実現を後押してまいります。
このポリシーを浸透させ実行に移すためにも、人事評価の基準・項目を「SMBCグループ人財ポリシー」に沿った内容にアップデートするとともに、昇進・昇格については、年次・年齢よりも実力を一層重視してまいります。
ロ.当社グループ版人的資本経営モデル
当社グループでは、約12万人の多様な人材が活躍しています。「SMBCグループ人財ポリシー」に基づき、グループ・グローバルでの人的資本経営による人材力の最大化に向けて、「戦略に応じた人材ポートフォリオの構築」と、全従業員を対象とした「従業員の成長とウェルビーイング支援」「チームのパフォーマンス最大化」に資する施策を推進し、価値創造につなげてまいります。
a) 戦略を支える人材ポートフォリオの構築
〇 注力分野への重点投入
当社グループは、中期経営計画の実現を支える人材ポートフォリオを構築するため、社内の人員シフトと積極的な採用を実施しています。2024年度は、経済的価値の追求を目的に、円金利環境の変化を受けて、企業活動が活発なホールセール領域や、「Olive」の推進を担うデジタル領域などを中心に追加配置します。
また、注力分野を中心に、専門性を評価し、処遇することで、各領域のプロフェッショナルを確保・育成しているほか、将来的なビジネスの担い手を採用し育成する「新卒採用」と即戦力を獲得する「キャリア採用」に一層注力してまいります。
〇 海外現地従業員のインクルージョン
海外ビジネスが当社グループ全体の成長を大きく牽引していることを踏まえ、当社グループでは、海外現地従業員(Locally Hired,「LH」という)への東京本店各部勤務経験や日本の従業員(Japan Hired,「JH」という)と合同での研修機会(グローバルレベルでのビジネススキルやトップマネジメントスキルの向上を目的とするもの)の提供を通じ、LH・JH双方が組織の多様性を実感し、競争力に変える風土を育んでいます。
〇 グループ経営人材の管理・育成
当社グループは、経営上重要な各事業部門・CxOの各主要ポジションにはサクセッションプランを設け、戦略的に登用・育成を行っています。
経営人材候補者には、成長や課題を改善する機会に資する経験を培うべく、グループベースで異動・人材交流を実施し、「グループ経営の視野・視座を体得」・「グループ横断の人脈形成」の機会を提供します。
b) 従業員の成長とウェルビーイング支援
〇 自律的なキャリア形成を支える取組
当社グループでは、従業員の自律的なキャリア形成を支援するため、グループ各社およびグループ横断で、職務やポストに応募できる公募制度を提供しています。
またキャリア教育にも注力しており、各社で年代に応じたキャリア研修を提供するほか、グループ横断でキャリアコンサルティングを利用できる体制を整備しています。
加えて、従業員が他部署の業務や魅力、求められるスキル・資格等について理解を深められるよう、「ジョブマップ」の整備や、自部署の業務の魅力を伝える説明会「ジョブフォーラム」を定期的に開催しています。
〇 挑戦を応援する制度
当社グループでは、グループの成長を支えるユニークなビジネスアイデアに対して、予算と人員を割り当て、その能力を思う存分発揮できる環境を提供します。
ビジネスアイデア次第では会社の枠組みを超え、新たに社内ベンチャーを立ち上げて「社長」に抜擢しています。
〇 従業員の成長を支える心身の健康確保
当社グループ各社では「健康経営宣言」を制定し、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化を目指して健康経営に取り組んでいます。最高健康責任者(Chief Health Officer)の下、企業・健康保険組合・産業保健スタッフ等の三位一体で一次予防、二次予防、三次予防それぞれの段階に合わせて各種支援制度や勤務制度、オフィスの整備等を進めています。
c) チームのパフォーマンス最大化
〇 DE&Iの推進
当社グループでは「Diversity, Equity&Inclusion(以下、DE&Iという)」を成長戦略と位置づけ、多様な人材がその能力を最大限発揮することで、組織のパフォーマンスを高め、価値創造を最大化することを目指しています。2023年度にはマテリアリティの1つに「DE&I」を追加したことにあわせて「DE&Iステートメント」を改定し、経営トップによるコミットメントを一層明確化しました。
また、従業員がライフスタイルに応じて仕事と家庭を両立し、働きがいを持てる環境づくりとして両立支援の促進・男性の育児参画支援に注力しているほか、経営幹部に求められる高い視座・素養の涵養や主体的なキャリア形成等を目的に、次世代を担う女性幹部育成を実施し、女性従業員の登用後の活躍やより高いポジションへの挑戦を後押ししています。
〇 エンゲージメント
当社グループでは、組織や従業員のエンゲージメントの状態を定点観測でき、本部やマネジメントによる改善行動をサポートするツールとして、エンゲージメントサーベイを活用しています。
その他、定期的な対話・1on1機会の設定等により、従業員のエンゲージメント、パフォーマンス向上を図っています。
〇 従業員による経営参画意識への向上
当社グループでは、セミナーやランチ会、各主要研修等で、トップマネジメントと交流し、対話する機会を設けています。2023年度はグループ各社社長のインタビュー動画の配信や、社内SNS「ミドりば」にて社長の日常の様子を伝える発信チャネルを立ち上げました。今後も様々な切り口で、アウターも含めたコミュニケーション機会を提供し、社内活性化を通じた組織風土改革を継続します。
④ 人権の尊重
イ.人権尊重の考え方
当社グループは、人権尊重責任は企業が果たすべき責務と認識しております。当社グループでは、「『ビジネスと人権』に関する行動計画」や「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」などの指導原則に沿い、当社グループが人権の権利主体に対し与えうる負の影響と、多岐にわたるステークホルダーから当社グループ自身が被る影響の双方向の人権に関するリスクを踏まえたアプローチにより、当社グループは社会に対する「正の影響(ポジティブインパクト)」を極大化し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
<人権尊重の考え方>
ロ.重要な人権リスクの特定・評価
当社グループは、事業活動を通じて関与し得る人権への負の影響について、お客さまとの取引、サプライヤー取引、従業員の3つの観点で分析し、想定されるリスクについて深刻度・発生可能性の観点から重要度の高いものを特定しております。
2022年度に特定した重要な人権リスクについては、今後も定期的な見直しを行いながら、これらの人権への負の影響の防止・軽減に重点的に取り組んでまいります。
<重要な人権リスク事例>
(4)リスク管理
当社グループは、環境社会リスクを、気候関連、自然関連、人権等の、環境・社会要因がリスクドライバーとなり、様々な経路を通じて各リスクカテゴリーに波及することにより、最終的に当社グループが損失を被るリスクと定義しています。当社グループは様々なリスク管理の枠組みの中で環境社会リスクを認識し、評価・管理する体制の高度化に努めております。
① トップリスク/リスクアペタイト・フレームワーク
当社グループは、収益拡大のために取る、あるいは許容するリスクの種類と量(リスクアペタイト)を明確にし、グループ全体のリスクをコントロールする枠組みとして、「リスクアペタイト・フレームワーク」を導入しております。
当社グループのリスクアペタイト・フレームワークは、業務戦略とともに経営管理の両輪と位置付けられており、経営陣がグループを取り巻く環境やリスク認識を共有した上で、適切なリスクテイクを行う経営管理の枠組みです。グル-プ全体のリスクアペタイトを踏まえ、事業部門別等、業務戦略に応じて必要な単位でのリスクアペタイトを設定しています。具体的なプロセスとしては、業務戦略・業務運営方針の策定にあたり、経営上特に重大なリスクを「トップリスク(※)」として選定したうえで、リスクシナリオに基づくストレステストによるリスク分析を実施することで、リスクが顕在化した場合の影響も踏まえながら、リスクアペタイトを決定しております。気候関連リスクにおいては、物理的リスクや移行リスクに関して、ストレステストの手法を活用したシナリオ分析を実施し、与信関係費用を推計することで株式会社三井住友銀行への財務的影響をあらかじめ把握しています。
当社グループでは、気候変動や自然資本、人権に関するリスクをトップリスクとして位置付けております。特に、気候変動に係るリスクについては、業務計画を達成するためのリスクテイクやリスク管理に係る姿勢を示したリスクアペタイト・ステートメントにおいて、ネットゼロ目標の達成に向け、エンゲージメント促進やポートフォリオコントロール等を通じ気候関連リスクの増加を抑制していく旨を記載しております。
(※)「3 事業等のリスク」に記載
② セクター・事業に対する方針
当社グループは、以下に示した環境・社会に影響を与える可能性が高いセクター・事業に対する方針をそれぞれ明確化しております。この方針は、株式会社三井住友銀行、株式会社SMBC信託銀行、三井住友ファイナンス&リース株式会社、SMBC日興証券株式会社において、それぞれのビジネスに沿う形で導入し、更なるリスク管理体制の強化を図っております。
③ 与信判断の高度化/デューデリジェンス
2024年4月より、当社グループの与信業務の中核を担う株式会社三井住友銀行では、環境・社会に関するお客さまの取組みやリスク緩和策を確認し、与信判断やお客さまとの対話に活用する仕組みとして「環境社会審査」を導入しております。
また、環境・社会に多大な影響を与える可能性がある大規模プロジェクトへの融資において、その影響を十分に検討し配慮するためのデューデリジェンスプロセスである「環境社会リスク評価」を実施しております。プロジェクト事業者に対して、TCFD提言への対応や、地域住民等へのFPIC(Free, Prior and Informed Consent/自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意)の尊重など、気候変動や人権をはじめとする環境社会配慮への取組みも求めております。
(5)指標及び目標
① 気候変動に関する指標と目標
当社グループは、気候変動に係るリスク並びに機会を測定・管理するため、またパリ協定への整合/ネットゼロ実現に向けた道筋を示すため、GHG排出量やエクスポージャーなどに関する様々な指標を用いております。なお、本項目における指標の実績値については、2024年5月時点の速報値を掲載しております。
イ.自社グループにおけるGHG排出量
当社グループは、自社GHG排出量(Scope1,2)における2030年ネットゼロの目標を掲げており、当社及び当社連結子会社の国内外拠点を対象に、GHGプロトコルに沿った精緻な排出量把握と削減に向けた取組みを進めております。
ロ.ポートフォリオGHG排出量
当社グループでは、パリ協定への整合と移行リスクの削減に向け、高排出セクターを対象に、ポートフォリオGHG排出量の中期削減目標を策定しております。
ハ.サステナブルファイナンス取組額
当社グループは、環境配慮事業、社会関連事業、脱炭素社会への移行に関するファイナンスに積極的に取り組んでおります。2020年度から2029年度までの10年間での「グリーンファイナンス及びサステナビリティに資するファイナンス実行50兆円」という目標を設定し、お客さまとともに気候変動問題を始めとする社会課題解決に取り組んでまいります。
② 人的資本に関する指標と目標
当社グループは、「(3) 戦略 ③ 人的資本経営の実践」に記載している人的資本に関する取組みについて、目標達成に向けた進捗を管理するため、様々な指標を用いております。
イ.注力分野への人材投入に関する指標
当社グループは、経営基盤の強化を目的として、「法務・コンプライアンス」「リスク管理」「IT」「DX」「アナリティクス」「グローバル」人材の3か年投入計画をKPIとして掲げております。
ロ.エンゲージメントに関する指標
当社グループは、従業員一人ひとりが、心身ともに健康で、その能力を最大限発揮できる環境づくりを目指し、エンゲージメントサーベイスコア70以上を維持することをKPIとして掲げております。