人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数1,678名(単体) 122,970名(連結)
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平均年齢39.0歳(単体)
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平均勤続年数14.0年(単体)
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平均年収11,803,000円(単体)
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平均年収の
対前年増減率4.1%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
当社グループの人材戦略は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。
また、当社グループにおける従業員の給与その他の給付の額及び内容については、各社の処遇・評価等に関する諸規程および運用ルールに基づき決定しており、基本給・諸手当は「職務・役割、勤務形態等に応じた体系」により運用し、賞与は「会社業績および個人の評価結果等」を踏まえて決定しております。
当事業年度における従業員数が最も多い会社である株式会社三井住友銀行の場合、従業員の給与は「職務・役割」等に基づき決定し、賞与は年度ごとの会社業績と、従業員の個人評価等によって変動します。また各職務・役割と評価基準、それに対する処遇反映の基本ルールを行内開示しており、従業員の処遇に関する公正性と納得感を担保しています。
他に、上記株式会社三井住友銀行の次に従業員数が多い会社であるSMBC日興証券株式会社の場合、従業員の給与は「等級・タイトル」と職業倫理及びコンプライアンス遵守を前提とした「行動・業績」に基づいた評価を踏まえて決定し、賞与は中長期的な取組の達成度と毎年度ごとの業績、従業員の個人評価等によって変動します。また各等級・タイトルと評価基準、それに対する処遇反映の基本ルールを社内開示しており、従業員の処遇に関する公正性と納得感を担保しています。
(2) 【従業員の状況】
① 連結会社における従業員数
(2026年3月31日現在)
(注) 従業員数は就業者数で記載しており、海外の現地採用者を含み、嘱託及び臨時従業員9,453人を含んでおりません。
② 当社の従業員数
(2026年3月31日現在)
(注)1 当社従業員は全員、株式会社三井住友銀行等からの出向者であり、平均勤続年数は同行等での勤続年数を通算しております。
2 当社の従業員は主に本社管理のセグメントに属しております。
3 平均年間給与は、3月末の当社従業員に対して株式会社三井住友銀行等で支給された年間の給与、賞与及び基準外賃金を合計したものであります。
4 当社には従業員組合はありません。労使間において特記すべき事項はありません。
③ 最大人員会社の状況
イ. 当事業年度における従業員数が最も多い会社
株式会社三井住友銀行
(2026年3月31日現在)
(注)1 従業員数は就業者数で記載しており、海外の現地採用者を含み、嘱託及び臨時従業員4,509人を含んでおりません。
なお、取締役を兼務しない執行役員110人は従業員数に含めておりません。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与には、海外の現地採用者を含んでおりません。
4 株式会社三井住友銀行の従業員組合は、三井住友銀行従業員組合と称し、組合員数は、19,070人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。
ロ. 上記イの次に従業員数が多い会社
SMBC日興証券株式会社
(2026年3月31日現在)
(注)1 従業員数は就業者数で記載しており、海外の現地採用者を含み、嘱託及び臨時従業員115人を含んでおりません。
なお、取締役を兼務しない執行役員67人は従業員数に含めておりません。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与には、海外の現地採用者を含んでおりません。
4 SMBC日興証券株式会社の従業員組合は、SMBC日興証券グループ社員組合と称し、組合員数は、5,369人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。
④ 使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度の内容
当社グループにおいては、使用人その他の従業員のみを対象とした役員・従業員株式所有制度を導入しております。当該役員・従業員株式所有制度の内容について、「1 株式等の状況 (8)役員・従業員株式所有制度の内容」に記載しております。
⑤ 管理職に占める女性労働者の割合、育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当社及び当社の主要な国内連結子会社各社の、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」という)等に基づく管理職に占める女性労働者の割合、育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は以下のとおりであります。なお、当社は女性活躍推進法、または、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、「育児・介護休業法」という)に基づく上記指標の公表が求められていないため、記載を省略しております。また、下記以外の連結子会社につきましては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報」に記載しております。
(2026年3月31日現在)
(注)1 「育児休業取得率」につきましては、育児休業を取得した者の数を、出産した者の数または配偶者が出産した者の数で除した割合を示しております。また、出産した者または配偶者が出産した者の全てが育児休業を取得した場合においても、事業年度を跨いで育児休業を取得した者の取扱いの方法により、育児休業取得率が100%を上回るまたは下回ることがあります。
2 株式会社三井住友銀行、株式会社SMBC信託銀行、SMBC日興証券株式会社及び三井住友カード株式会社における「育児休業取得率」につきましては、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出しております。
3 「労働者の男女の賃金の差異」につきましては、当事業年度の男性の平均年間賃金に対する当事業年度の女性の平均年間賃金の割合を示しております。
4 株式会社三井住友銀行における男性労働者の「嘱託・契約社員」につきましては、該当期間における対象者がいないため、育児休業取得率を算出しておりません。
5 株式会社三井住友銀行における「パート・有期労働者」につきましては、対象者が女性のみのため、男女の賃金の差異を算出しておりません。
6 SMBC日興証券株式会社における「パート・有期労働者」につきましては、対象者がいないため、男女の賃金の差異を算出しておりません。
7 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社における「専門職」、男性労働者の「限定正社員」につきましては、対象者がいないため、育児休業取得率を算出しておりません。
8 株式会社三井住友銀行及び三井住友カード株式会社における「パート・有期労働者」につきましては、正規雇用労働者の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。
このうち、株式会社三井住友銀行における正規雇用労働者の男女の賃金差異については、管理職や職責の大きい女性の人数が男性対比少ないことを背景として、53.5%となっております。尚、同行の人事制度における職責の階層が同一の男女労働者の賃金差異は、90%程度となっております。これらの要因は三つと分析しております。一つ目は、女性の採用拡大から年数を経ておらず、在籍期間や経験年数が短い層に女性が多いこと、二つ目は、過去に職種別採用を行っていた経緯から、定型業務に従事する女性が多いこと、三つ目には、短時間勤務制度利用者のほとんどが女性となっていることなどから、勤務時間に男女差があることが挙げられます。
同行を含む当社グループでは、これらを踏まえ、女性従業員に対し管理職や職責の大きい業務への挑戦を促すことや、全従業員を対象とした育児や介護との両立支援策の拡充及び利用促進などに取り組み、男女賃金差異の解消を進めてまいります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティ関連財務開示については、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項について記載しております。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 全般的情報
当社グループのサステナビリティ関連財務開示は、当連結会計年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)を報告期間としております。本サステナビリティ関連財務開示は、情報開示委員会で協議し、2026年6月19日に、グループCFOによって承認されております。サステナビリティ関連財務開示に関する主な前提は以下の通りです。
① 判断に関する開示
本サステナビリティ関連財務開示を作成する過程で行った判断のうち、サステナビリティ関連財務開示に含まれる情報に最も重大な影響を与える判断は、合理的に見込み得る重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、並びにそれらに関する重要な情報の識別と認識しております。当社グループにおけるこれらの識別のプロセスは次のとおりです。
イ) ビジネスコンテクストを把握(当社グループにおける主要な事業セグメントとステークホルダーの特定)
ロ) 各種開示基準や開示ガイダンス、金融業界における開示例、社内情報等を踏まえ、サステナビリティ関連のリスク及び機会の類型(サステナビリティトピック)を識別
ハ) 金融業界における開示例、社内情報、投資者からの意見等を踏まえて評価を行い、企業の見通しに影響を与えると合理的に見込み得る重要なサステナビリティトピックを決定
ニ) 各サステナビリティトピックに関し、発生確率や影響度の観点を踏まえて評価を行い、重要なリスク及び機会を識別
ホ) 重要なリスク及び機会について、各種開示基準や開示ガイダンスを踏まえ、重要性がある情報を識別し、開示項目を決定
② リスク及び機会の識別におけるガイダンスの情報源に関する情報
当社グループは幅広い事業を展開する複合金融グループであり、銀行業務を中心に、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等の金融サービスに係る事業を行っております。
当社グループは、重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会並びに情報を識別するにあたり、商業銀行、投資銀行、不動産金融、コンシューマーファイナンスに関するSASBスタンダード(2025年12月最終改訂)を参照しました。その結果、当社グループの見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスク及び機会として、「①判断に関する開示」に記載しているプロセスに従い、気候、人的資本、コンプライアンス、サイバーセキュリティに関連するリスク及び機会、並びに重要性がある情報を識別しております。各リスク及び機会の内容については、「(3) 戦略」を参照ください。
③ 後発事象
本サステナビリティ関連財務開示に関して、重要な後発事象について記載すべきものはありません。
(2) ガバナンス
「SMFGコーポレートガバナンス・ガイドライン」に沿って運用されている当社グループのガバナンス体制の詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりです。重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する監督・執行についても、この体制の下で運営しております。
① 監督体制
当社グループでは、取締役会が重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会(気候・人的資本・コンプライアンス・サイバーセキュリティ)の監督に責任を負っております。取締役会は、重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会への適時適切な対応(当該リスク及び機会に関連するトレードオフについての考慮を含む)の観点を踏まえて、経営の基本方針等を審議・決定し、執行役及び取締役の職務執行を監督しております。取締役会は原則月1回開催されるほか、必要に応じて随時開催されており、各内部委員会の職務執行の状況やグループCxOをはじめとする執行役等の業務執行の状況等について、適時に報告を受けて審議しております。
また、指名委員会、報酬委員会及び監査委員会は、重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会に対する適切な監督の観点を踏まえ、法令及び規程の定める所掌事項に関して審議・決定等を行っております。具体的には、指名委員会は、重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会に対する適切な監督の観点も踏まえ、株主総会に提出する当社取締役の選任および解任に関する議案の内容の決定や、グループCxOの選任及び取締役会内部委員会の委員の選定等について審議しております。なお、取締役候補者に対して当社が特に期待する知見・経験に記載の項目には、「サステナビリティ」「法務・リスク管理」「IT/DX」を含めております。
報酬委員会は、重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会に対する適切な監督の観点も踏まえ、取締役・執行役および執行役員の報酬等の決定方針や、同方針に基づく取締役及び執行役の個人別の報酬等を決定しております。当連結会計年度においては、取締役、執行役及び執行役員を対象とする業績連動報酬等の算定にあたり、気候関連及び人的資本関連の指標を用いており、気候関連については、環境(FE削減・サステナビリティファイナンス実行額)に関するKPI、人的資本関連については従業員エンゲージメント等に関するKPIの達成状況をそれぞれ考慮しました。これらの指標は、他の評価項目と一体として評価に組み込んでおり、独立した区分としては識別しておりません。
当連結会計年度に係る役員等の報酬における評価指標の実績については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
監査委員会は、重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会に対する適切な監督の観点も踏まえ、取締役・執行役によるリスク管理を含めた職務執行等の監査を行っております。
さらに、任意で設置しているリスク委員会及びサステナビリティ委員会は、規程の定める事項に関して審議の上、取締役会に報告・助言しております。具体的には、リスク委員会は、重要なサステナビリティ関連のリスクの観点も踏まえ、環境・リスク認識とリスクアペタイトの運営、リスク管理に係る運営体制等について審議し、取締役会に報告・助言しております。
サステナビリティ委員会は、気候変動対策をはじめとした社会的価値の創造の進捗に関する事項、サステナビリティを取り巻く国内外の情勢に関する事項、その他社会的価値創造に関する重要な事項等について審議し、取締役会へ定期的に報告・助言しております。
なお、取締役会及び各内部委員会の開催状況及び活動状況等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。
② 執行体制
(イ)経営者の役割を委任している機関等、監督方法
〇 各トピック共通
グループ経営会議は取締役会の下、重要なサステナビリティ関連のリスク及び機会の観点も踏まえ、グループ全体の業務執行・経営管理に関する最高意思決定機関として機能しております。
〇 気候関連
グループCSOは経営戦略に関する事項を所管、グループCROはリスク管理に関する事項を所管、グループCSuOは気候関連の取組を含む社会的価値創造に関する事項を所管しております。
また、リスク管理委員会において、気候関連のリスクに関する観点も踏まえ、当社の環境・リスク認識およびリスクアペタイト・フレームワークについて協議しております。
〇 人的資本関連
グループCHROは人事に関する事項を所管しており、取締役会の監督のもと全社的な人材戦略の企画・実行を推進しております。
また、グループCEOを委員長、グループCHROを副委員長とするダイバーシティ経営推進委員会において、当社グループ全体のダイバーシティ経営関連の施策等について議論し、ダイバーシティ経営の実現を推進しております。
〇 コンプライアンス関連
グループCCOはコンプライアンスに関する事項を所管しております。
当社グループでは、グループCCOを委員長とするコンプライアンス委員会において、当社グループ内の各種業務に関し広く検討・審議、コンプライアンス強化のための具体的な実践計画を策定し、各社ごとの体制整備を推進しております。
〇 サイバーセキュリティ関連
グループCIOはシステム戦略、システムリスク管理(サイバーセキュリティ含む)に関する事項を所管、グループCROはリスク管理に関する事項を所管しております。また、グループCIO・CROの下に、グループCISOを設置しております。グループCISOは、サイバーセキュリティ統括責任者として専門的な見地から、グループおよびグローバルでの体制整備や各所の施策推進における監督・指導を担っております。
加えて、リスク管理委員会において、サイバーセキュリティのリスクに関する観点も踏まえ、当社の環境・リスク認識およびリスクアペタイト・フレームワークについて協議しております。
(3) 戦略
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸について、「短期」を1年未満、「中期」を1年以上3年以下、「長期」を3年超と定義しており、これらの時間軸は、当社グループの戦略的意思決定において重要な役割を果たしております。短期の1年未満の期間は、当社グループの業務計画の期間と整合しており、1年間の日々の業務運営や目標達成に向けた具体的な施策を策定するために使用されます。中期の1年以上3年以下の期間は、当社グループの中期経営計画の期間と整合しており、持続的な成長と競争力の強化を目指すための戦略的な施策を策定するために用いられます。この期間は、変化する市場環境に対応し、柔軟な戦略の見直しを可能にします。長期の3年超の期間は、次期中期経営計画以降の期間であり、当社グループのビジョンの実現に向け、長期的な目標を達成するための指針として機能します。
当社グループが重要と認識するサステナビリティ関連のリスク・機会の概要は以下の通りです。各リスク・機会の詳細については、以降に記載するトピック別の戦略パートを参照ください。
<当社グループにおけるサステナビリティ関連リスク・機会の概要>
① 気候関連
(イ)重要なリスク及び機会
〇 与信先の業績悪化(急性・慢性物理的リスク、移行リスクに伴う信用リスク)
地球温暖化が進むことで、台風や洪水といった急性の自然災害や、平均気温上昇に伴う降水量増加等の慢性的な気候変化が増える可能性があります。また、脱炭素社会への移行は、炭素排出目標の厳格化や炭素税の引き上げをはじめとする各国の規制強化を伴う可能性があるほか、新たな技術・エネルギー源の導入や消費者嗜好の変化により産業構造や市場に大きな影響を与える可能性があります。これにより、当社グループは長期において、お客さまの業績悪化や、担保棄損により、当社グループの与信関係費用が増加するリスクを認識しております。当該リスクは、与信業務を対象としているため、銀行業において認識しております。
当社グループは、セクター別に気候変動に伴うリスクの影響度合いを示すヒートマップを整理しております。物理的リスク(急性・慢性)については資源依存度の高い飲料、農業、包装食品・肉、紙・林産物等のセクター、移行リスクについては特に電力、石油ガス、石炭等の高排出とされるセクターについて、一定のリスクがあると認識しております。これらの分析手法は発展段階にあり、気候変動に関連する政策や技術、市場等の環境変化や、最新の気候科学の発展に合わせて継続的に見直し、戦略の高度化にも繋げて参ります。
また、ヒートマップにおける評価対象セクターごとに株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社等における与信残高の状況を把握しております。気候関連リスクの低減に向けた取組を行うにあたり、他のセクター別分析結果と組み合わせ、注力分野を見極めたうえで戦略に反映するために活用しております。
ヒートマップに関する評価方法については「(4)リスク管理」、セクター別与信残高の集計方法については「(5)指標及び目標」を参照ください。
<ヒートマップとセクター別与信残高>
〇 気候変動に関するレピュテーショナルリスク
脱炭素社会への移行に伴い、各企業は脱炭素社会に適合したビジネスモデルへの変革や温室効果ガス排出抑制等の取組が各ステークホルダーから求められております。中でも金融業界においては、金融機関自身だけでなく特に高排出とされるセクターへの与信を通じた間接的な環境・社会への影響についても考慮することが求められております。
また、これらの取組状況に対するステークホルダーからの開示要請も高まっており、気候変動問題への取組が企業評価基準の一つになりつつあります。これらの取組不足や情報開示要請への対応の遅れは短期から長期において、お客さまや株主をはじめとするステークホルダーからの高い期待に応えられず、当社グループのレピュテーション低下に繋がるリスクが想定されます。その結果、当社グループの株価、業務、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクは特定の地域やセクターに限ったものではなく、当社グループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
当社グループの温室効果ガス排出量については、スコープ3温室効果ガス排出のカテゴリー15(FE:ファイナンスド・エミッション)が大宗を占めており、温暖化抑制に向けては当社グループ自身だけでなく、お客さまの脱炭素化を支援していくことが重要となります。ファイナンスド・エミッションの削減に向けては、前述のセクター別リスク分析結果や残高に加え、排出量やセクター別算定基準の状況等を考慮しながら、中長期的な目標を設定するセクターを選別しております。中長期的な目標の設定に際しては、各特性を踏まえたセクター別の指標並びに算定手法を定めた上で、別途セクター別排出量の算定を行っております。ファイナンスド・エミッションを含む当社グループの温室効果ガス排出量、並びにセクター別排出削減目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。
〇 気候関連のビジネス機会
ネット・ゼロの実現に向けては、大幅な温室効果ガス排出量削減のためのビジネスモデルの転換、そのための技術革新や大規模な設備投資が必須となります。IEA(International Energy Agency)はNZE(Net Zero Emissions)シナリオにおいて、エネルギー分野への年間投資総額は今後増加し、今後10年間の平均で年間4.8兆ドルに達するとともに、2035年には年間5.6兆ドルまで拡大すると試算しております。
当社グループは、気候変動問題への対応は世界的に喫緊の課題であり、多くの企業が経営課題に据え注力していると認識し、脱炭素社会の実現に向けてビジネスモデルの転換を目指す中で、事業再編や企業の合併・買収等が活発化し、ビジネス機会が増加すると認識しております。
従って、当社グループは短期~長期において、資金需要の拡大に伴う融資や債券引受等の増加、アドバイザリー業務に対するニーズ拡大といった機会を認識しております。当該機会は銀行業を営む株式会社三井住友銀行及びその主要子会社、証券業を営むSMBC日興証券株式会社において認識しております。
(ロ)当社グループの戦略
当社グループでは、気候関連のリスク・機会にかかる戦略並びに今後の目標・アクションプランを体系化した移行計画(ロードマップ)をサステナビリティ委員会等での協議を踏まえ、グループ経営会議ならびに取締役会を通じて定めております。当該移行計画は、気候変動に関する各種シナリオ(IPCC、NGFS、IEA等)、並びにそれらに基づくリスク分析の結果等を総合的に考慮の上、作成しております。移行計画の進捗は定期的にグループ経営会議ならびに取締役会に報告しており、監督されております。
なお、移行計画の実現(セクター別排出削減目標の達成やトランジションファイナンス推進等)に際しては、主要国における脱炭素技術開発の進展や当該技術に関する法令・市場の整備等が進み、各企業がトランジションに取り組める状況になっていること、それらに対するファイナンスが可能になっていることが不可欠となります。これら状況を注視の上、必要な場合には移行計画について適宜見直しを行って参ります。
また、当社グループでは、気候関連の戦略並びに移行計画を検討するにあたり、気候関連のリスク及び機会の間のトレードオフも考慮して対応策を決定しております。具体的には、高排出セクターのお客さまに関する事業機会が多いと想定される一方で、当該セクターは移行リスクも高いというトレードオフがあります。但し、移行に資するお客さまの取組を支援することが当社グループの気候関連リスクの軽減にも資すると考えております。高排出セクターのお客さまについては、移行に向けたエンゲージメント並びに支援を行うことで、長期的に移行リスクの低減を実現して参ります。
当該移行計画の詳細は以下の通りです。
<当社グループの移行計画(ロードマップ)>
〇 リスク分析の高度化
当社グループは、気候変動に伴う取引先の業績悪化リスクに対応するために、これまでシナリオ分析を実施し、分析対象とするリスク事象の拡大を図ってきました。シナリオ分析には、シナリオや計測手法に一定の不確実性が伴うことから、今後、分析手法の高度化に取り組み、リスクの顕在化が見込まれる場合は、お客さまに対応を促しつつ自らのリスク低減に努めて参ります。現時点におけるシナリオ分析の詳細については、「(ニ)気候レジリエンス」を参照ください。
またシナリオ分析に加え、ヒートマップをはじめとするセクター別の物理的リスク並びに移行リスクの分析を実施しております。セクター別リスクは、各国法令や業界動向、実体経済への温暖化影響の顕在化などの状況により変化するため、引き続き定期的な分析並びに高度化に取り組み、後述のセクター・事業に対する方針や環境社会デューデリジェンスなどの各種施策へ反映して参ります。
〇 セクター・事業に対する方針
当社グループは信用リスク並びにレピュテーショナルリスク管理の観点から、取引を通じて環境・社会に対する負の影響を与える可能性が高いセクター・事業に対する取組方針を定めております。一般炭採掘並びに石炭火力発電については、特に大きな影響が懸念されることから、厳格な方針を定めて運用しております。
今後も各セクター・事業に対するリスク認識の変化を踏まえ、方針の高度化を検討して参ります。
〇 ポートフォリオ管理
信用リスク(移行)並びにレピュテーショナルリスク管理の観点から、当社グループは石油ガス・石炭・電力・鉄鋼・自動車・不動産セクターを対象としたセクター別排出量の中期目標を設定しております。当該目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。こうした中期目標の設定に加え、気候関連リスクのリスクアペタイトを定めた上で、セクター別排出量をリスクアペタイト指標として設定し、当該排出量を管理しております。
加えて、一般炭採掘並びに石炭火力発電については特に大きな影響が懸念されることから、フェーズアウト目標を定めて運用しております。当該目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。
今後はセクター別排出削減目標に限らず、ポートフォリオ管理に向けた適切な指標や施策についても検討を進め、気候関連リスクの適切な管理を強化して参ります。
〇 環境社会デューデリジェンス
株式会社三井住友銀行では、コーポレート、プロジェクトの双方において、信用リスク並びにレピュテーショナルリスク管理の観点から与信先のリスクを評価し、与信における判断要素として活用するとともに、評価結果を踏まえたお客さまエンゲージメントを実施しております。今後も各セクター・事業に対するリスク認識の変化を踏まえ、審査内容・体制の高度化や対象拡大などを検討して参ります。
<環境社会デューデリジェンスの概要>
なお、セクター・事業に対する方針、ポートフォリオ管理、環境社会デューデリジェンスを踏まえたセクター別のリスク管理状況は以下の通りです。
<セクター別のリスク管理状況>
〇 自社GHG削減(スコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出削減)
当社グループは2030年度ネット・ゼロを目標として掲げ、グループ・グローバルでの自社における排出量の管理・削減を進めております。当該目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。
スコープ1温室効果ガス排出に関しては、社用車において順次HV・EVをはじめとした環境配慮車の導入および充電器の設置を進めております。国内の営業車については2030年度までに全台を環境配慮車へ切り替えていく予定です。
スコープ2温室効果ガス排出に関しては、国内の自己所有物件を中心に再生可能エネルギー導入を推進しております。2023年度には、当社グループの国内自己所有物件・主要な連結子会社における本社ビルの再生可能エネルギー由来電力への切り替えが完了しました。今後は、データセンター、賃借物件、海外拠点を中心に再生可能エネルギー由来電力への切り替えを進めて参ります。
なお、2030年度ネット・ゼロ目標の達成に向けては可能な限り排出量を削減しつつ、削減し切れない分の排出量についてはカーボン・クレジットを利用することを予定しておりますが、具体的にどのようなカーボン・クレジットを用いるかについては検討中です。
今後はSBTi(Science Based Targets initiative)/ VCMI(The Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative)/ICVCM(The Integrity Council for the Voluntary Carbon Market)といった国際的なイニシアティブの動向を踏まえながら、カーボン・クレジットの活用方針を2026年度から2028年度までの中期経営計画の期間において整備する予定です。
〇 新エネルギー・新技術へのリスクテイク
脱炭素化に向けて不可欠な新エネルギー・新技術の社会実装に向けてはさまざまな課題があり、スケール化のフェーズで資金の需給ギャップに陥ることが多くあります。当社グループは、資金が不足しやすいフェーズにおいてリスクマネーを積極的に供給することで、新エネルギー・新技術の社会実装加速に貢献してまいります。
案件の拡大に向け、今後は営業担当者の新エネルギー・新技術に関する知見のケイパビリティビルディングを進めるとともに、Jefferies Financial Group Inc.との協働等を進めて参ります。
〇 トランジション支援
カーボンニュートラル実現に至る道筋は一通りではなく、各国固有の事情にも十分配慮しつつ、2050年までの現実的なルートとスピードを、お客さまとともに丁寧に見定めていく必要があります。当社グループは、トランジションファイナンスを「顧客が自社の事業や運営を、パリ協定の目標に沿った道筋に合わせることを支援するために提供される金融サービス」と定義しております。本定義に沿って、当社グループの期待事項、判断方法の詳細を示したTransition Finance Playbookを策定し、同Playbookを活用してお客さまとの対話を重ね、国内外の脱炭素化に資する案件を積極的に支援しております。
現在、トランジションファイナンスを含むサステナブルファイナンス実行額を2020年度から2029年度までの累計で50兆円とする目標を設定しております。近年では年10兆円弱のペースで実績が積み上がっており、当該目標に対して当連結会計年度で既に90%程度の達成率となっております。
当該目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。
<サステナブルファイナンス取組額>
また、トランジションの実現に向けては、各国におけるロードマップ整備やそれに伴う政策支援(コスト負担)など、民間企業だけでは解決できない課題も多く存在しております。当社グループでは、エンゲージメントを通じて得た知見を基にかかる課題や提言をまとめたTransition Finance Scorebookを策定し、政府並びに業界団体との対話を行っております。高排出セクターの事業者が移行を実現しやすい/トランジションファイナンスを実施しやすい環境の実現に向け、引き続き対話を続けて参ります。
(ハ)リスク及び機会の財務的影響
〇 与信先の業績悪化(急性・慢性物理的リスク、移行リスクに伴う信用リスク)
物理的リスクや移行リスクに伴うお客さまの業績悪化により、当社グループの与信関係費用が増加する可能性があります。与信関係費用の算定にあたっては、予め定めている貸倒金償却・貸倒引当金の計上基準に則り必要と認められる金額を計上しており、急性・慢性物理的リスクや移行リスクによるお客さまの業績悪化があった場合、その影響も勘案されることとなりますが、当連結会計年度において急性・慢性物理的リスクや移行リスクは当社グループの財務諸表に重要な影響を与えていないと認識しております。
また、将来の財務的影響について、株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社では一般事業法人を対象とした定量的なシナリオ分析結果を利用しており、長期では与信関係費用に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。シナリオ分析結果は「(ニ)気候レジリエンス」に記載しております。
なお、当社グループでは、急性・慢性物理的リスクや移行リスクについて、測定の不確実性が高いと考えられるため、将来の財務的影響の見積りに関する定量的情報は開示しておりません。また、急性・慢性物理的リスクや移行リスクと、他のリスクやその他の要因との将来の複合的な財務的影響に関しても、合理的に見積もることが困難であり、定量的情報が有用でないと判断しているため開示しておりません。
〇 気候変動に関するレピュテーショナルリスク(移行リスク)
気候変動問題への取組不足や情報開示要請への対応の遅れによって、当社グループのレピュテーションが低下し、当社グループの株価、業務、経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。当社グループでは、当連結会計年度においては、そのような事象は見受けられませんでした。したがって、当連結会計年度において、気候変動に関するレピュテーショナルリスクは当社グループの財務諸表に重要な影響を与えていないと認識しております。
当社グループは、前述の移行計画の実行に加え、法令その他諸規則等を遵守し適切なサステナビリティ情報開示を行う体制の高度化を進めております。しかしながら、移行計画を遵守できなかった場合や情報開示が不十分である場合、短期から長期において重要な損失を計上する可能性があります。ただし、発生の蓋然性・時点・損失額等は将来の規制をはじめとした社会変化やステークホルダーからの期待の変化に依存する可能性が高く、当該リスクの発生有無、および発生した場合の財務的影響には不確実性が伴うと考えております。したがって、当期末時点では定量的な将来の影響額を開示しておりません。
〇 気候関連のビジネス機会
お客さまの脱炭素化に向けた設備投資、技術革新、事業再編等に伴う資金需要の拡大を背景に、当社グループではお客さまの社会課題解決に向けた取組を支援すべく、サステナブルファイナンスを積極的に推進しており、2029年度末までのサステナブルファイナンス実行額50兆円という目標に向けて実績を積み上げております。
その結果、当連結会計年度において、サステナブルファイナンスの実行額は10.8兆円(20年度からの累積額は45.4兆円)となっております。関連する収益は主に資金運用収益並びに役務取引等収益に含まれております。
短期から長期において、脱炭素化に向けた事業環境の変化に伴うビジネス機会の増加に伴い、これら収益の増加が見込まれます。なお、サステナブルファイナンスに関する収益については、通常のファイナンスと区分して集計することが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。また、将来の財務的影響に関しては、市場環境の影響を受けるため定量的情報が有用でないと判断しているため、開示しておりません。
(ニ)気候レジリエンス
当社グループでは識別した気候関連リスク(与信先の業績悪化)に関して、当連結会計年度の末日における当社グループの戦略及びビジネスモデルの気候レジリエンスを評価するにあたり、シナリオ分析を実施しております。具体的には、物理的リスク・移行リスクに伴う2050年までの株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社等への財務的影響を試算しております。
〇 シナリオ分析の仮定並びに結果
当社グループでは、現時点で想定されるリスク経路とリスク量を可視化することにより、気候関連リスク管理に向けた戦略を策定するための基盤を構築することを目的とし、シナリオ分析を実施しております。なお、本節に記載している分析結果は今後の更新を予定しております。
急性物理的リスクの分析にあたっては、一般事業法人を対象に、水災の業績への波及について担保価値の毀損、財務状況の悪化に伴う債務者区分の劣化という2つの経路を検討しました。国内においては担保物件、事業法人ごとに国土交通省が開示しているハザードマップを用い想定浸水深を把握し、海外においては事業法人ごとにJupiter Intelligence社による衛星画像を用いたAI分析により想定浸水深を算出したうえで、これらを基に担保毀損影響、財務悪化影響を分析しました。あわせて、MS&ADインターリスク総研が、東京大学、芝浦工業大学と協働で実施している気候変動による洪水リスクの評価プロジェクトの提供データを活用し、IPCCが研究の基盤としているRCP2.6シナリオ・SSP1-2.6シナリオ(2℃シナリオ)、およびRCP8.5シナリオ・SSP5-8.5シナリオ(4℃シナリオ)それぞれにおいて、2050年までの洪水発生確率を算出しました。想定浸水深に基づく影響と気候変動シナリオ毎の洪水発生確率を勘案することで、与信関係費用を試算したところ、2050年までに累積670~850億円となりました。
慢性物理的リスクの分析にあたっては、気候関連リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)のCurrent Policiesシナリオ(3℃シナリオ)における、気温上昇による生産性低下をはじめとした慢性的に生じるマクロ経済への影響を確認のうえ信用リスク影響を推定するストレステストモデルに反映させ、2050年までに想定される与信関係費用を試算したところ、2050年までに単年度で最大300億円となりました。
移行リスクについては、政策の変更や需給バランスの変化といったリスクファクターによる影響について、エネルギー、電力、鉄鋼、自動車、自動車部品セクターを対象に、各セクターで想定されるリスクファクターが業績に与える影響をNGFSのCurrent Policiesシナリオ、Net Zero 2050シナリオ(1.5℃シナリオ)、IEAのNZEシナリオ(1.5℃シナリオ)それぞれについて分析し、信用リスク影響を推定するストレステストモデルに反映させ2050年までに想定される与信関係費用を試算したところ、単年度で30~290億円となりました。
なお、シナリオ分析においては、リスクが顕在化するタイミングや規模について不確実性が高いことから、現時点では想定する災害や分析対象等に一定の前提を置いており、今後も分析手法の精緻化に努めて参ります。
<シナリオ分析の概要※>
(※)中期経営計画策定の頻度に合わせ、定期的な更新を予定しております
〇 レジリエンス評価
気候変動への対応に関して、当連結会計年度の末日における当社グループの戦略及びビジネスモデルは高いレジリエンスを維持し、事業の継続性を確保していると評価しております。
信用リスク(急性・慢性物理的リスク並びに移行リスク)に関して前述の通りシナリオ分析を実施しており、長期的には一定の影響が生じ得ると想定しております。ただし、短~中期においては重要な財務的影響が生じる可能性は高くないと想定しており、長期的な影響緩和に向け既に移行計画を策定し、実行する体制を整えております。
具体的には、セクター・事業に対する方針やポートフォリオ管理、環境社会デューデリジェンス等を通じてこれらのリスク管理を進めております。これら施策は気候変動に対する戦略的な取組の強化となるため、レピュテーショナルリスクの低減にもつながります。また、プラス面での財務的影響としてビジネス機会の増加が見込まれており、機会獲得の側面からも移行計画を推進しております。
リスクが顕在化するタイミングや規模については不確実性が存在しますが、当社グループでは移行計画の中で継続的にリスク分析を高度化する方針を掲げております。また移行計画の進捗や当該リスク分析の結果を踏まえた修正については、グループ経営会議・取締役会へ定期的に報告・審議されており、状況に応じて当社グループの戦略やビジネスモデル等を修正するケイパビリティを有しております。
② 人的資本関連
(イ)重要なリスク
昨今、事業環境の変化、人材獲得競争の激化、従業員の価値観・働き方の多様化に加え、AIをはじめとするデジタル技術の普及等により、従業員および求職者を取り巻く環境は大きく変化しております。
こうした状況を踏まえ、当社グループは、人的資本に関するリスクとして、「人材需給の逼迫や環境変化に対するスキルの陳腐化等により、経営戦略の遂行が遅延または制約されるリスク」、「企業と従業員との信頼関係の低下により、従業員エンゲージメントが低下するリスク」、「環境変化に十分適応していない人事制度が存続することにより、従業員のパフォーマンスが低下するリスク」を認識しております。
これらのリスクについては、当社グループの人事部が各施策に紐づくKPI等の指標に基づき、目標値に対する進捗状況や短期間での急激な変化を継続的にモニタリングしております。その結果を踏まえ、必要に応じて制度改定や各種施策の見直し等を実施しております。
なお、これらのリスクは短期から中長期にわたり当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があり、特定の事業分野や地域に限定されるものではないため、当社グループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
〇 人材需給の逼迫やスキルギャップ拡大による影響
当社グループでは、人材需給の逼迫や事業環境の変化に十分に対応できないことに伴うスキルギャップ拡大により、事業運営および戦略遂行に影響が生じるリスクを認識しております。当該リスクが顕在化した場合、必要な人材の確保や専門性の充足が困難となり、経営戦略の実行が遅延または制約されるとともに、当社グループ全体の生産性および競争力の低下につながる可能性があります。
〇 企業と従業員との信頼関係の低下による影響
当社グループでは、企業と従業員との信頼関係の低下により、組織運営に悪影響が生じるリスクを認識しております。評価・処遇や成長機会に対する従業員の納得感が低下し、企業と従業員との信頼関係が毀損された場合には、優秀な人材の離職の増加や従業員エンゲージメントの低下が生じる可能性があります。
〇 人事制度の不適合による影響
当社グループでは、事業環境の変化や従業員の価値観・働き方の多様化に十分対応していない人事制度が継続した場合、従業員のパフォーマンスおよび組織全体の競争力が低下するリスクを認識しております。人事制度が事業環境や働き方・価値観の変化に適合していない場合、生産性の低下や意思決定の遅延等が生じる可能性があります。
(ロ)当社グループの戦略
当社グループは、上記の人的資本に関するリスクに対応するため、人材戦略を経営戦略の重要な要素と位置付け、各種施策を推進しております。
〇 中期経営計画における人材戦略
人材戦略は中長期的視点を必要とする取組であり、当社グループは、足元の環境変化および想定されるリスクを踏まえ、主な課題を「人材」「カルチャー」「仕組み」の3つに整理しております。
当社グループは、2026年度から2028年度までの中期経営計画において、人材戦略の高度化に向け、事業戦略と「人材」「カルチャー」「仕組み」の観点を加味し、「プロフェッショナルの確保と、自律的に成長する強い個の創出」「人財ポリシーを体現するチームと挑戦し続けるカルチャーの確立」「組織のパフォーマンスを最大化する基盤の構築」の3つを重点人事戦略と位置付けております。
また従業員が創出する価値の持続的向上および人事戦略の有効性を確認するため、2026年度から2028年度までの中期経営計画におけるKGIとして、人的資本ROIおよび人財ポリシースコアを設定しております。
a) 人材:プロフェッショナルの確保と、自律的に成長する強い個の創出
当社グループでは、事業戦略の推進に必要なすべての領域において、質・量の両面から十分なプロフェッショナル人材を確保し、適切に配置することを目指しております。この実現に向け、「人材の質および量の把握を通じた戦略的な人材の獲得と最適配置」ならびに、「自律的な成長支援と将来のリーダー育成」に取り組んでおります。
主な取組として、事業戦略に基づく人材充足状況の継続的なモニタリングに加え、戦略と連動した採用方針の策定および採用基盤の整備、ならびに経営人材候補から役員層に至るまでの体系的な育成プログラムの構築・実施等を行って参ります。
また、従業員一人ひとりが主体的に学びを選択し、必要なスキルを継続的に向上させることができる環境を整備するため、各人の役割や成長段階に応じた育成支援を実施するとともに、役割期待の変化を踏まえた自律的なキャリア形成を支援しております。
b) カルチャー:人財ポリシーを体現するチームと挑戦し続けるカルチャーの確立
経営やビジネスの変化、従業員の価値観の多様化など、当社グループを取り巻く環境が目まぐるしく変化している中でも、「人」の大切さに変わりはありません。当社グループでは2023年度に「SMBCグループ人財ポリシー」を定め、従業員に「プロフェッショナル」「チームワーク」「挑戦」を求める一方、従業員の活躍を後押しするため「自分らしさの表現」「お客さま・社会への貢献」「キャリア形成と自身の成長」を提供することを明文化しました。
経営戦略の実現に向けては人財ポリシーの好循環の創出が不可欠であると考えているため、従業員一人ひとりに人財ポリシーが浸透し、常時体現できるカルチャーが醸成されている状態を目指します。「人財ポリシーを体現できるカルチャーの浸透」に向けては、インナーコミュニケーションの強化や外部登壇・取材対応等の社外への発信を強化して参ります。
また、多様性を組織の力に変え、新たな価値創造・企業価値の向上につなげることを目指し、ダイバーシティ経営を成長戦略そのものと位置付け、「変化に強い、挑戦し続けるチーム作り」に取り組んでおります。
主な取組として、意思決定層の多様化や、多様な人材が活躍できる組織の実現に向けた風土醸成やキャリア形成支援等が挙げられます。加えて、一人ひとりが健康で活き活きと働くことができる環境の整備に取り組んでおります。
c) 仕組み:組織のパフォーマンスを最大化する基盤の構築
高い再現性と生産性を兼ね備えた組織および経営基盤が構築された状態を目指し、「生産性を向上する仕組みと競争力ある制度構築」ならびに「機動的で信頼される安定した人事運営体制の整備」に取り組んでおります。
主な取組として、グループ全体で整合性の取れた人事制度の構築やグループ人事体制の強化に加え、本社・地域間のアラインメント強化を通じたグローバル人事体制の高度化、人事業務におけるAI・テクノロジーの活用による業務変革などが挙げられます。
なお、人的資本に関する財務的影響およびレジリエンスに関する開示については現在検討を進めており、2027年3月期以降の有価証券報告書において開示する予定です。
③ コンプライアンス関連
(イ)重要なリスク
〇 金融関連法令をはじめとする各種法規制への不十分な対応に起因する法令違反、レピュテーション低下
当社グループは業務を行うにあたり、会社法、銀行法、独占禁止法、金融商品取引法、貸金業法及び金融商品取引所が定める関係規則等の各種法規制の適用を受けております。また、海外においては、それぞれの国や地域の規制・法制度の適用、及び金融当局の監督を受けております。
したがって、当社グループは短期から長期において、金融関連法令をはじめとする各種法規制への不十分な対応に起因する法令違反及びレピュテーション低下のリスクを認識しております。これら各種法規制への対応が不十分な場合、お客さまや投資者の信頼を損ない、取引の減少によって収益が減少するほか、規制当局から制裁金や罰金の支払が科される可能性があります。当該リスクは当社グループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
〇 マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止(以下、AML/CFT(Anti-Money Laundering / Countering the Financing of Terrorism))、経済制裁等への不十分な対応に起因する法令違反、レピュテーション低下
当社グループは、国際連合やFinancial Action Task Force(金融活動作業部会;以下、FATF)等の国際機関の要請、本邦の法令による要請、Office of Foreign Assets Control(米国財務省外国資産管理室;以下、OFAC)規制を含む関係各国の要請等に基づき、AML/CFT・各国の経済制裁に関する諸規制を遵守することが経営における重要な課題のひとつであることを認識しております。
したがって、当社グループは短期から長期において、AML/CFT・経済制裁等への不十分な対応に伴う法令違反及びレピュテーション低下のリスクを認識しております。これらの対応が不十分な場合、当社グループのお客さまや投資者の信頼を損ない、取引の減少によって収益が減少するほか、規制当局から制裁金や罰金の支払が科される可能性があります。当該リスクは当社グループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
(ロ)当社グループの戦略
当社グループでは、企業活動の基盤となる経営理念に、ステークホルダーに対して果たすべき使命を掲げ、中長期的に目指す姿を示す「ビジョン」や、全役職員が共有すべき価値観としての「Five Values」を理念体系として制定しております。この「Five Values」のなかでも、全役職員が体現するべき価値観として「Integrity-プロフェッショナルとして高い倫理観を持ち誠実に行動する-」を掲げており、その重要性について、経営陣から従業員に対して繰り返しメッセージを発信し、その浸透を図っております。
Integrityをはじめとするこれらの理念に基づき、金融関連法令をはじめとする各種法規制、AML/CFT・経済制裁への不十分な対応に伴う法令違反及びレピュテーション低下のリスクに対応し、企業としての社会的責任を果たし、持続的な成長を支える業務体制を確立すべく、以下の観点を含む堅牢な運営態勢を構築しております。
〇 コンプライアンス体制の強化
企業が社会と共生し、持続的に発展していくためには、健全なリスクテイク(業務推進)と同時に、コンプライアンスの確保を含めた適切なリスク管理が不可欠です。当社グループでは、リスクテイクとリスク管理の両輪を意識した具体的な行動に移すため、「コンプライアンス及びリスクに関する行動原則」を定めており、社員一人ひとりによる本行動原則の実践を通じて、持続的な事業成長および企業価値・社会価値の向上につなげております。
〇 お客さまの情報の管理
当社グループでは、お客さまの情報の適切な保護と利用に関して、グループ全体の基本的な方針であるグループポリシーを策定しており、グループ各社は当該ポリシーに従い、個人情報及び個人番号等の適切な保護と利用に関する取組方針であるプライバシーポリシーを制定・公表する等、お客さまの情報管理体制を整備しております。
〇 贈収賄の防止に向けた取組
当社グループは、贈収賄防止に向けた基本方針として、「贈収賄の防止及び接待贈答等に関するSMFGグループ規程」を制定し、受領者に影響を与える目的をもって、財物等(金銭はもちろん、物品、サービス、接待、親類等の採用、その他名目の如何を問わず、経済的価値のある有形、無形のもの一切を含む)を提供し、または提供を申し込む行為、及び、提供者に便宜を図る目的をもって、財物等を受領し、または請求する行為を禁止しております。当該規程においては、グループ各社に対し、贈収賄の防止のための管理体制を整備することを定めております。
〇 AML/CFT・経済制裁への取組
当社グループおよびその役職員等が、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に関与することや巻き込まれることを防止するとともに、各国の経済制裁に関する諸規制に適切に対応するよう努めます。このため、国際連合やFATF等の国際機関の要請、本邦の法令による要請、OFAC規制を含む関係各国の要請等に基づき、AML/CFT・経済制裁に関する法令違反を防止するとともに、業務の健全性および適切性を確保するためのグループポリシーを制定し、グループ各社で体制整備を行っております。
〇 反社会的勢力との関係遮断
「反社会的勢力に対する基本方針」を定め、グループ一丸となって、反社会的勢力との関係を遮断する体制を整備しております。具体的には、反社会的勢力との取引の未然防止に努めるとともに、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入し、取引開始後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合には、外部専門機関と連携の上、適切に対応しております。
<反社会的勢力に対する基本方針>
a) 反社会的勢力とは一切の関係を遮断します。
b) 不当要求はこれを拒絶し、裏取引や資金提供を行いません。また、必要に応じ法的対応を行います。
c) 反社会的勢力への対応は、外部専門機関と連携しつつ、組織全体として行います。
〇 内部通報制度
法令及び社内規程・規則に違反する行為を早期に発見・是正することにより、自浄機能を高めることを目的として、当社グループ会社の従業員が利用可能な内部通報窓口「SMBCグループアラームライン」を社内外に設け、全従業員に周知しております。具体的には、各種法令や社内規程・規則等に違反する行為、人権や労働に関する権利を侵害する行為等が通報受付対象となり、調査の結果、違反行為等が認められた場合は、法令等に基づき適切な是正措置を講じます。通報対応にあたっては守秘義務の徹底、通報者のプライバシーを保護するとともに、通報者に対する報復行為や、不利益な取扱いを禁止しており、違反した従業員には、必要な措置を講ずることを規定しております。なお、海外支社においても、現地に内部通報窓口を設置し、現地の社員からの通報を現地の言語で受け付けることを可能にしております。
当社グループは、上記の制度について、今後も継続して適切に運用するとともに、各国・各地域の関係法令・ガイドライン等の改正動向を踏まえ、制度の実効性向上に向けた必要な見直し・改善を行い、グループ全体の自浄機能を高めてまいります。
(ハ)リスクの財務的影響
当連結会計年度中には、金融関連法令、AML/CFT・経済制裁に関する重大な法令違反は発生しませんでした。したがって、当連結会計年度において、前述の各種リスクは当社グループの財務諸表に重要な影響を与えていないと認識しております。
当社グループでは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部管理体制の強化を経営上の最重要課題のひとつとして位置付け、グループ各社の役職員等に対して適切な指示、指導及びモニタリングを行う体制を整備するとともに、不正行為の防止・発見のために予防策を講じております。
しかしながら、当社グループにおいて、法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、法的な検討が不十分であった場合または予防策が効果を発揮せず役職員等による不正行為が行われた場合には不測の損失が発生したり、行政処分や罰則を受けたり、業務に制限を付される恐れがあります。また、お客さまからの損害賠償請求やお客さま及び市場等からの信頼失墜等により、短期から長期にわたり重要な損失を計上する可能性があります。ただし、当該リスク発現の蓋然性・時点・損失額等は将来の規制環境や当社グループの状況に依存することから、当該リスクの発生有無、及び発生した場合の財務的影響には不確実性が伴うと考えております。従って、当連結会計年度末において将来の定量的な影響額及び他のリスクやその他の要因との複合的な財務的影響は開示しておりません。
(ニ)レジリエンス
当社グループが識別したコンプライアンス関連のリスクに対し、当連結会計年度の末日における当社グループの戦略及びビジネスモデルは、短期から長期の時間軸において、高いレジリエンスを維持し、事業の継続性を確保していると評価しております。
当社グループでは、コンプライアンスの分野においてもレジリエンスの強化に取り組んでおります。当社グループに存在するコンプライアンス上のリスクについて適切に特定・評価を行い、必要な対応策を講じることで、法令違反等のリスクの顕在化を未然に防止するとともに、それらのリスクが顕在化した場合や外部環境の変化にも柔軟に対応できる態勢を構築しております。具体的には、法規制の変化を適時・適切に捉えたうえで、年次のリスク評価を通じて高リスク領域を特定し、翌年度のコンプライアンス・プログラムに反映するほか、法務リスク及びコンダクトリスクに関する重要事項については指標と閾値を設定し、月次・四半期でモニタリングを実施し、潜在的なリスクの兆候を早期に把握し、迅速な対応を図っております。これらの取組は、コンプライアンス委員会や経営陣、取締役会への定期報告を通じて、組織全体で共有・改善を進めております。
④ サイバーセキュリティ関連
(イ)重要なリスク
〇 当社グループ・提携先へのサイバー攻撃に伴うサービスや業務の停止、情報漏洩、レピュテーションの低下
近年、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化等により、金融機関をとりまくサイバー脅威はより一層深刻化しております。
当社グループは短期~長期において、当社グループ並びに取引先や業務委託先等の第三者へのサイバー攻撃に伴うサービスや業務の停止、情報漏洩、レピュテーションが低下するリスクを認識しております。具体的には、セキュリティ強化のための対策費用が生じる可能性や、情報漏洩への対応費用に加え万が一被害が発生した場合に情報漏洩およびプライバシーの侵害に対する賠償金や制裁金の支払が生じる可能性があります。さらに、お客さまからの信頼が損なわれることで、顧客離れが進み、財務的な影響が発生する可能性があります。当該リスクは、当社グループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
(ロ)当社グループの戦略
当社グループは、当社グループ及び提携先へのサイバー攻撃に伴うサービスや業務の停止、情報漏洩、レピュテーションの低下のリスクに対応するために、以下の対応策を実施しております。
〇 サイバー攻撃の防御及び検知
不正アクセスや大量アクセス等、さまざまなサイバー攻撃に備えるため、各種セキュリティ対策サービス・システムの運用により、外部からの不審な通信を検知・遮断し、多層的な防御体制を敷いております。また、ネットワークの監視および分析を行う専門組織であるSecurity Operation Center(SOC)を設置しており、24時間365日の監視体制を確立しております。引き続き、欧米やアジア地域に設置されたSOCとも密に連携することで、グループ・グローバルベースでセキュリティ監視をより一層強化します。
〇 サイバーインシデントの対応及び復旧
当社グループでは、万が一のサイバーインシデント発生に備え、Computer Security Incident Response Team(CSIRT)を設置しております。また、国内のセキュリティ機能および人材を集約したサイバーフュージョンセンター(CFC)を設置することで、管理体制の効率化を図り、迅速なインシデント対応が可能な環境を整備しております。サイバーインシデント発生に備え、CSIRTは、攻撃者の手口や脆弱性に関する情報等をグループ内外から積極的に収集し、各国当局や米国のFinancial Service Information Sharing and Analysis Center(FS-ISAC)、日本の金融ISAC等の外部機関とも必要に応じて共有しております。
また、万が一の攻撃に備えた対応として、外部の専門家による擬似攻撃演習や、金融庁・金融ISAC等が主催するサイバー攻撃対応演習への定期的な参加等を通じ、サイバーレジリエンスのより一層の強化にも取り組んでおります。
今後もCSIRTやCFCの体制強化、各国当局や外部機関との連携、演習への参加等を通じて、サイバーインシデントの対応力を継続的に強化します。
〇 サイバーセキュリティに関する啓発活動及び専門人材
当社グループでは、セキュリティ対策に対して意識的に取り組むことができるカルチャーを醸成するため、役割と責任に応じた啓発活動を実施しております。
経営陣に対しては、サイバーセキュリティにおける経営上の留意事項等に関する勉強会を定期的に実施しております。また役職員に対しては、標的型攻撃メール訓練等を通じてセキュリティ意識を高めるとともに、システム企画者向けの研修等を通じてセキュリティ・バイ・デザインの理念を浸透させております。中長期的なサイバーセキュリティ管理体制の維持に向けて、専門人材の育成を重要課題と認識しており、内外のコンテンツの活用や資格取得支援の制度導入、国内外の大学院への派遣、外部業界団体への参画等を通じて、中核を担う人材の育成に注力しております。
また、キャリア採用等の専門人材の確保に努めるとともに、新卒採用ではサイバーセキュリティコースを設置し、継続的な体制の強化を図っております。
今後もサイバーセキュリティに関する啓発活動及び専門人材育成を継続して実施して参ります。
(ハ)リスクの財務的影響
当連結会計年度において、前述のリスクは当社グループの財務諸表に重要な影響を与えていないと認識しております。
当社グループでは経営主導でサイバー攻撃に対するセキュリティ対策の強化をより一層推進することを定めた「サイバーセキュリティ経営宣言」を策定しており、グループ経営会議・取締役会での議論・検証の下、適切なリソースを配分するほか、サイバーセキュリティ専担組織を設置し、外部機関と連携した脅威情報の収集、24時間365日監視体制の構築、サイバー攻撃に対する多層防御やウイルス侵入も想定したセキュリティ対策の導入等、継続的なレベルアップ施策を実施しております。
しかしながら、不正アクセスや大量アクセス等のサイバー攻撃によって、情報システムにサービスや業務の停止、情報漏洩等が発生し、短期から長期にわたり重要な損失を計上する可能性があります。ただし現時点では、サイバーインシデントは不確実な要素を含むことから、当連結会計年度末における定量的な将来の影響額及び他のリスクやその他の要因との複合的な財務的影響を開示しておりません。
(ニ)レジリエンス
当社グループが識別したサイバーセキュリティ関連のリスクに対し、当社グループの戦略及びビジネスモデルは高いレジリエンスを維持し、事業の継続性を確保していると評価しております。
当該評価を実施するにあたり、短期から長期の時間軸において、外部の専門家による擬似攻撃演習やサイバー攻撃を想定した演習を通じて、サイバーインシデント発生時のレジリエンスの実効性について評価しております。
これらの取組を通じて今後も更なるレジリエンスの強化に努めて参ります。
(4) リスク管理
① 全社的なリスク管理との統合
サステナビリティ関連リスクについて、当社グループでは全社的なリスク管理フレームワークの下で管理しており、経営上特に重要なリスク事象を選定している「トップリスク」にはサステナビリティの観点についても含まれております。当社グループの全社的なリスク管理の全体像については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
② 気候関連
〇 気候関連リスクの識別
気候関連リスクの観点については、「環境課題や人権を巡る政策・規制・社会規範の分断」並びに「大規模地震、風水害等の災害増加」をトップリスクの一つとして位置付けております。
また当社グループでは「環境・社会要因がリスクドライバーとなり、様々な経路を通じて各リスクカテゴリーに波及することにより、最終的に当社グループが損失を被るリスク」を「環境社会リスク」と定義の上、管理すべきリスクとして定めております。
こうした認識の下、気候関連リスクに関しては、金融当局のガイダンスやSASBスタンダード等を参照しつつ、物理的リスクと移行リスクという気候リスクドライバーから、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスク、レピュテーショナルリスクなど、当社グループの各リスクへの波及経路を体系的に整理しております。
これらのリスクについては、その発生可能性や影響の大きさといった観点を踏まえた上で、「与信先の業績悪化(急性・慢性物理的リスクに伴う信用リスク、移行リスクに伴う信用リスク)」並びに「気候変動対応にかかるレピュテーショナルリスク(移行リスク)」を重要なリスクとして識別しております。
<気候関連リスクの波及経路>
〇 気候関連リスクの評価
当社グループでは、識別した気候関連リスクについて体系的な評価を行っております。具体的には、セクター別のリスク分析と、複数の気候シナリオを用いたシナリオ分析によって、物理的リスクおよび移行リスクが当社グループに与える影響を把握しております。これらセクター別分析やシナリオ分析等の分析結果を踏まえ、セクター別のリスク管理や戦略の高度化等に反映しております。
<セクター別分析>
当社グループでは、信用リスクに関する分析の一環として、気候変動に伴うリスクの影響度合いを基にセクター別ヒートマップを整理しております(図表については「(3)戦略」を参照ください)。
ヒートマップ作成に際しては、気候変動影響についてリスク水準を、セクター別の想定リスク量などの定量面、地球温暖化に伴う「急性」の自然災害、「慢性」的な気温変化から想定される影響や、低炭素経済への移行に向けた「政策と法規制」、「技術」、「市場」、「評判」の変化がセクターに与えると想定される影響の規模といった定性面の双方から評価しております。また、株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社におけるセクター別与信残高並びに排出量を把握しており、これらの分析結果を踏まえて、セクター別のリスク管理や戦略の高度化等に反映しております。
<シナリオ分析>
当社グループでは、信用リスクに関する分析の一環として、物理的リスク並びに移行リスクに伴う与信関係費用についてシナリオ分析を実施しております。シナリオ分析の方法を含む詳細については「(3)戦略」を参照ください。
なお、シナリオ分析は現時点で想定されるリスク経路とリスク量を可視化することにより、気候関連リスク管理に向けた戦略を策定するための基盤を構築することを目的としております。物理的リスクは自然災害の発生件数や経済的損失の観点、移行リスクについては特に影響を受けやすいセクターの観点から、対象を定めてシナリオ分析を実施しており、リスクや機会の識別には用いていません。
〇 気候関連リスクのモニタリング
当社グループではセクター別排出量をリスクアペタイト指標として設定し、定期的なモニタリングを行っております。指標の管理状況に課題がある場合は、投融資企画部、社会的価値創造企画部並びに事業部門で対応方針を協議の上、グループCFO、グループCSO、グループCRO、グループCSuOに報告を行っております。セクター別排出量の詳細については、「(3)戦略」並びに「(5)指標及び目標」を参照ください。
〇 気候関連機会の識別・評価・優先順位付け・モニタリング
当社グループでは、気候関連の機会を含む社会的価値創造に関する戦略(基本方針)について、グループ経営会議やサステナビリティ委員会等の議論を踏まえて策定しております。当該戦略は、全社及び事業部門の業務計画に反映しており、指標・目標として設定しているサステナブルファイナンス取組額と併せて継続的にモニタリングを実施しております。
③ 人的資本関連
〇 人的資本に関するリスクの識別・評価・モニタリング
人的資本に関するリスクの観点については「人材確保困難化」をトップリスクとして位置付けております。人的資本に関するリスクは当社グループの人事部が、リスクに関連する各施策に紐づいた指標・目標に基づいて、その進捗と短期間における急激な変化を随時継続してモニタリングしており、必要に応じて対策を行っております。なお、リスク識別に際してシナリオ分析は用いていません。
④ コンプライアンス関連
〇 コンプライアンスに関するリスクの識別・評価・モニタリング
コンプライアンスに関するリスクの観点については「顧客保護や市場の健全性を損ねるミスコンダクト」「AML/CFT態勢整備不備」をトップリスクとして位置付けております。なお、リスクの識別に際してシナリオ分析は用いていません。
当社グループに内在するコンプライアンスに関するリスクおよび態勢整備状況については、当社のグループ会社を対象に、年次で評価を実施しております。評価の結果、高リスクと判定された分野に対しては、翌年度のコンプライアンス・プログラムにおいて、態勢の高度化に向けた取組を推進しております。
加えて、重要なコンプライアンス事項に関しては、指標及び閾値を設定し、月次及び四半期単位でモニタリングを行うことで、潜在的なリスクの兆候を早期に把握し、リスクの低減に努めております。これらの取組については、コンプライアンス委員会に加え、経営陣及び取締役会に対して定期的に報告を行い、ガバナンスの強化を図っております。
⑤ サイバーセキュリティ関連
〇 サイバーセキュリティに関するリスクの識別・評価・モニタリング
サイバーセキュリティに関するリスクの観点については「サイバー空間における脅威の増大」をトップリスクの一つとして位置付けております。
また、「サイバーセキュリティ経営宣言」の下、経営主導でサイバーセキュリティに対する取組を継続的に推進しております。サイバーセキュリティリスクは、全社的なリスク管理の枠組の中で管理しており、サイバーセキュリティ専任部署であるサイバーセキュリティ統括部が中心となって、外部環境や経営戦略等を踏まえながら、サイバーセキュリティ管理に関する基本方針を策定しております。なお、リスクの識別に際してシナリオ分析は用いていません。
当社グループでは、サイバーセキュリティに関する体制評価等を通じて、サイバー脅威の特定・モニタリングを行っております。具体的には、国際的な基準に基づき、定期的に第三者によるセキュリティ対策の成熟度評価を実施しております。また、脅威インテリジェンスを積極的に活用して最新のサイバー脅威に対処しており、攻撃者の動向、脆弱性に関する情報、地政学情報等を収集・評価し、当社グループのサイバーセキュリティに関する環境に当てはめ、防御や検知等に役立てております。
加えて、脆弱性を悪用した攻撃による被害を抑止するために定期的に脆弱性診断を実施し、さらに、第三者が実際にシステムに侵入してセキュリティ対策状況を評価する、脅威ベースのペネトレーションテストを実施しております。内外環境を踏まえて、当社グループにかかわるサイバー脅威を特定し、セキュリティ対策のさらなる強化に努めております。
(5) 指標及び目標
① 気候関連:温室効果ガス排出
当社グループではスコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出及びスコープ3温室効果ガス排出について、「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)」(以下「GHGプロトコル(2004年)」という。)を参考に測定しております。
(イ)温室効果ガス排出の測定アプローチ並びに対象温室効果ガス
当社グループは、「GHGプロトコル(2004年)」を参考として温室効果ガス排出を測定するにあたり、当社グループの経営方針を導入する権限を有するグループ企業及びその子会社を対象とするため、測定アプローチとして経営支配力アプローチを用いております。
当該アプローチによるスコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出の組織バウンダリーは、当社およびグループ連結子会社の国内外拠点(持分法適用会社は除く)です。測定対象とする温室効果ガスはCO2に限定しております。
なお、スコープ3温室効果ガス排出の組織バウンダリーは、融資業務を中心に移行リスクに伴う与信関係費用の増加やレピュテーションの低下といった重要なリスクを認識している、銀行業を営む株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社を集計範囲として、温室効果ガス(CO2、CH4、N2O、HFCs、NF3、PFCs及びSF6)について測定を行っております。
(ロ)温室効果ガスの測定方法
〇 スコープ1温室効果ガス排出
当社グループにおけるスコープ1温室効果ガス排出の発生要因は、主にオフィス・店舗における都市ガス等や営業車の利用に伴うガソリンの使用です。
対象期間のうち、2026年3月1日から2026年3月31日に係るCO2排出量の測定には一部の対象拠点において2025年3月1日から2025年3月31日に係るCO2排出量を用いて合理的な方法で推計しております。したがって当社グループにおけるスコープ1温室効果ガス排出は昨年度実績に基づく見積りを含むため、測定の不確実性を含む情報です。
当社グループ国内拠点は、「GHGプロトコル(2004年)」を参考として、当連結会計年度における都市ガス、液化石油ガス、重油、軽油、ガソリン(自動車)の使用量に、当連結会計年度末において入手可能な環境省の「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」における排出係数を乗じる見積りの方法に基づきスコープ1温室効果ガス排出を測定しております。
さらに、当社グループ海外拠点は、「GHGプロトコル(2004年)」を参考として、当連結会計年度における都市ガス、液化石油ガス、重油、軽油、ガソリン(自動車)の使用量に、当連結会計年度末において入手可能な環境省が公表する算定・報告・公表制度における排出係数を乗じる見積りの方法に基づきスコープ1温室効果ガス排出を測定しております。なお、一部の海外拠点については、現地の状況に合わせた排出係数を使用し、測定しております。
〇 スコープ2温室効果ガス排出
当社グループにおけるスコープ2温室効果ガス排出の発生要因は、オフィス等における電力、蒸気、温水、冷水の使用です。
対象期間のうち2026年3月1日から2026年3月31日に係るCO2排出量の測定には一部の対象において2025年3月1日から2025年3月31日に係るCO2排出量を用いて合理的な方法で推計しております。したがって当社グループにおけるスコープ2温室効果ガス排出は昨年度実績に基づく見積りを含むため、測定の不確実性を含む情報です。
<ロケーション基準>
(電力)
当社グループの国内拠点は、「GHGプロトコル(2004年)」を参考として、当連結会計年度における各拠点の電力使用量に、当連結会計年度末において入手可能な環境省の「電気事業者別排出係数」における全国平均係数を乗じる見積りの方法によりスコープ2温室効果ガス排出を測定しております。
当社グループの海外拠点は、「GHGプロトコル(2004年)」を参考として、当連結会計年度における各拠点の電力使用量に、原則として当連結会計年度末時点で公表されている各国法規等の固有の排出係数を乗じ、固有の排出係数を把握できない場合は、当連結会計年度末において入手可能な国際エネルギー機関(IEA)が公表するEmission Factorsの国別排出係数を乗じる見積りの方法によりスコープ2温室効果ガス排出を測定しております。
(蒸気、温水、冷水)
当社グループの国内拠点及び海外拠点は、「GHGプロトコル(2004年)」を参考として、当連結会計年度における各拠点の蒸気、温水、冷水使用量(活動量)に、連結会計年度末において入手可能な環境省の「熱供給事業者別排出係数」における代替値を乗じる見積りの方法によりスコープ2温室効果ガス排出を測定しております。
<マーケット基準>
(電力)
当社グループの国内拠点は、「GHGプロトコル(2004年)」を参考として、当連結会計年度における各拠点の電力使用量に、当連結会計年度末において入手可能な環境省の「電気事業者別排出係数」における基礎排出係数(非化石電源調整済み)を乗じる見積りの方法によりスコープ2温室効果ガス排出を測定しております。
当社グループの海外拠点は、「GHGプロトコル(2004年)」を参考として、当連結会計年度における電力使用量に、原則として当連結会計年度末時点で連携されている各電力会社との契約における排出係数を乗じ、各電力会社との契約における排出係数が把握できない場合は、IEAが公表するEmission Factorsの国別排出係数等を乗じる見積りの方法によりスコープ2温室効果ガス排出を測定しております。
なお、当社グループでは国内の非化石証書、ブラジルやチリなど南米各国のI-REC、アメリカやカナダにおけるNAR Green-e Renewable Energy StandardによるRECs等を購入しております。
(蒸気、温水、冷水)
ロケーション基準と同様の方法で測定しております。
〇 スコープ3温室効果ガス排出
当社グループは、スコープ3温室効果ガス排出について、「温室効果ガスプロトコルのコーポレート・バリュー・チェーン(スコープ3)基準(2011年)」に定めるスコープ3温室効果ガス排出カテゴリーのうち、カテゴリー15(ファイナンスド・エミッション)について、投融資先排出量の測定基準である「PCAFスタンダード」が定める見積りの方法を参考として測定しております。
<対象アセット/セクター>
当社グループは、融資業務を中心に移行リスクに伴う与信関係費用の増加やレピュテーションの低下といった重要なリスクを認識しているため、集計対象アセットを「融資」、「プロジェクト・ファイナンス」、「未実行のローン・コミットメント」としております。なお、「融資」並びに「未実行のローン・コミットメント」は法人向けローンを対象にファイナンスド・エミッションを計測しており、個人向けローン等については含まれておりません。
また、TCFD提言において気候関連の財務への影響の可能性が高いとされているセクター(金融以外)を計測対象としております。
<ファイナンスド・エミッションの測定方法(見積り方法)と使用データ>
当社グループでは、セクター間の比較を行うため、セクター横断の統一的な手法でファイナンスド・エミッションの測定(見積り)を実施しております。なお、融資先企業が開示する排出量データを用いた測定については、各社の温室効果ガス排出量開示における算定範囲やスコープ3温室効果ガス排出カテゴリーにバラつきがあること、後述するPCAFデータベースの排出係数にはスコープ3温室効果ガス排出下流が含まれておらず比較が困難になることから、当該測定方法は用いていません。
当社グループにおける具体的な測定方法としては、以下に示す(a)の方法による見積りを優先しており、データ等の不足がある場合は(b)の方法により、ファイナンスド・エミッションの見積りを行っております。なお、以下の計算式における「融資(貸出金額)」、「未実行のローン・コミットメントの金額」、「各顧客の売上高」、「各顧客・プロジェクトのTotal Equity + Debt」については1次データを使用しております。
(a) PCAFデータベースから引用した収益額あたりの排出係数を用いた推計
ファイナンスド・エミッション = Σ 帰属係数 × 融資先企業の排出量
帰属係数 = 各顧客に対する「融資(貸出金額)」または「未実行のローン・コミットメントの金額」 ÷ 各顧客・プロジェクトのTotal Equity + Debt
融資先企業の排出量 = 融資先企業の売上高 × PCAFから引用した収益額あたりの排出係数
(b) PCAFデータベースから引用した資産額あたりの排出係数を用いた推計
ファイナンスド・エミッション = Σ各顧客に対する「融資(貸出金額)」または「未実行のローン・コミットメントの金額」 × PCAFから引用した資産額あたりの排出係数
<為替レート>
ファイナンスド・エミッションの測定にあたり、内部管理ベースの為替レートを使用して帰属係数を算出しておりますが、帰属係数はその性質上、分子となる残高が分母となる負債+純資産に占める割合を計算するものであり、為替レートの影響は一定相殺されるため、差異は重要ではないと考えられます。
<測定の不確実性>
ファイナンスド・エミッションの測定は以下の観点から、測定の不確実性の程度が高い情報と判断しております。
PCAFスタンダードの改定、計測上の実務面を踏まえた定義変更(各種定義・計測範囲・時点等)や高度化等に伴い、将来的に算定手法が変更される可能性があり、算定結果が大きく変化する可能性があります。また、PCAFデータベースにはスコープ3温室効果ガス排出下流の温室効果ガス排出量を推計するためのデータが含まれていないことを課題として認識しております。
なお、推計値を算出する際に使用する係数は、PCAFデータベースの収益額・資産額あたりの排出係数を使用しております。これらの係数は今後精緻化等の過程で変更になる可能性があり、算定結果が大きく変化する可能性があります。
〇 温室効果ガス排出の算定期間
当社グループは、当連結会計年度を算定期間として温室効果ガス排出を測定しております。スコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出に関し、決算日が12月末日の拠点については、会計年度に合わせ2025年1月1日から2025年12月31日までを算定期間としているものの、一部の拠点については、同一建物や同一フロア内に活動拠点があり、かつ活動規模が小さいことから当連結会計年度を算定期間として温室効果ガス排出を測定しております。なお、スコープ3温室効果ガス排出カテゴリー15の測定に用いる当社グループの「融資」、「プロジェクト・ファイナンス」、「未実行のローン・コミットメント」については、2026年3月末時点の残高を用いております。
また、当社グループはファイナンスド・エミッションの測定に際して、バリュー・チェーン上の企業(融資先企業)から、財務情報(売上高、Total Equity + Debt)を取得しております。各融資先企業について取得できている最新の財務指標に基づき推計を行っておりますが、一部の情報については、当社グループの連結会計年度とは異なる期間となっております。各国における経済状況の変化に伴い、融資先企業における活動量の変化があるため、データが更新され報告期間が揃った場合には、排出量が増加(又は減少)する可能性がございます。また帰属係数についても、その性質上、分子となる残高と分母となるTotal Equity + Debtは異なる時点を用いております。
(ハ)温室効果ガス排出量の実績並びに目標
当社グループは、脱炭素に向けた取組を加速するため、自身が排出する温室効果ガス排出量および投融資ポートフォリオ全体での温室効果ガス排出量をそれぞれ2030年・2050年までにネット・ゼロとすることを目指しております。
当社グループ自身が排出する温室効果ガス排出量については、パリ協定を踏まえた我が国の気候変動への取組を踏まえ、当社グループ全体のCO2に関するスコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出(マーケット基準)を対象とし、2030年度までに純量(ネット)ベースでゼロとする絶対量目標を設定しております。排出量の測定対象や方法については、(イ)温室効果ガス排出の測定アプローチ並びに対象温室効果ガス、並びに(ロ)温室効果ガスの測定方法を参照ください。
当社グループは、目標に対する進捗を把握するため、当社グループの経営会議並びに取締役会において、定期的に当該実績値のモニタリングを行っております。目標の変更要否についての検討もモニタリングと同時に行っております。当該目標についてはセクター別脱炭素アプローチの使用や第三者認証の取得は行っておりません。
なお、当社グループは、この純量ベースの温室効果ガス排出目標を達成するため、今後カーボン・クレジットを使用することを計画しております。具体的には、2030年度のスコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出目標達成に向けたカーボン・クレジットの活用方針(種類や品質などの定義)を2026年度から2028年度までの中期経営計画期間において定めることを計画しており、活用方針を作成した後に実際のカーボン・クレジット調達を進める予定です。従って、現時点ではカーボン・クレジットの調達を行っていないため、純量ベースの排出量については総量ベースの排出量と同様の実績値となっております。また、グロス目標の設定についても同様に2026年度から2028年度までの中期経営計画期間において検討を行う予定です。
投融資ポートフォリオの排出量削減に向けては、投融資先であるお客さまの脱炭素化を支援していくことが重要であり、また金融機関のポートフォリオは多岐にわたるため、多くの業種(セクター)のお客さまと状況に合わせたエンゲージメントを行う必要があります。各セクターには脱炭素化に向けたセクター固有の課題があり、脱炭素化の道筋やその削減のスピードが異なるため、セクター横断の一律的な目標を設定するのではなく、セクター別に異なる対応が必要となります。
従って、当社グループでは投融資ポートフォリオの排出量削減に向け、統一的な手法によりスコープ3温室効果ガス排出カテゴリー15(ファイナンスド・エミッション)排出量の概観を把握した上で、セクター別リスク分析結果や算定基準の状況等も考慮しながら、重点的に取り組むセクターを選別して中期目標を設定しております。中期目標の詳細については、「②気候関連:その他の指標及び目標」を参照ください。なお、当該中期目標についても、スコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出にかかるカーボン・クレジットの活用方針を定めた後に、同様の活用方針を定めていくことを予定しております。
<温室効果ガス排出量の実績並びに目標>
(*)融資並びにプロジェクト・ファイナンスの排出量合計値が対象、未実行のローン・コミットメントに関する排出量は後述の「(ニ)ファイナンスド・エミッションに関する追加的な情報」を参照ください
(ニ)ファイナンスド・エミッションに関する追加的な情報
当社グループは、ファイナンスド・エミッションについて、概観の把握に向けPCAFスタンダードに基づく算定を実施しております。PCAFデータベースの排出係数に基づく推計値であり、実際の温室効果ガス排出量と乖離が生じる可能性を認識しております。算定手法の詳細については、前述の「(ロ)温室効果ガスの測定方法」を参照ください。
当社グループにおける当連結会計年度のファイナンスド・エミッション並びにグロス・エクスポージャーは以下の通りです。アセットクラス別、産業別のファイナンスド・エミッション並びにグロス・エクスポージャーは後述の各表を参照ください。
<ファイナンスド・エミッション並びにグロス・エクスポージャーの実績>
(*)ここでのグロス・エクスポージャーは貸借対照表の「貸出金」並びに注記事項にある「融資未実行残高」の合計を指します。なお、当社グループのグロス・エクスポージャーの内、主に以下3点についてはファイナンスド・エミッションの算定から除外しております。
(1)アセットクラス:算定対象は移行リスクと関連のある法人向け融資に限定しており、個人向けの融資(住宅ローン等)は除外しております。
(2)対象セクター:移行リスクと関連のあるセクターを算定対象としており、その他セクター(ITなど)の法人向け融資は除外しております。
(3)対象エンティティ:株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社のグロス・エクスポージャーを対象としており、その他連結子会社のグロス・エクスポージャーは除外しております。
<融資に関する実績>
<プロジェクト・ファイナンスに関する実績>
<未実行のローン・コミットメントに関する実績>
② 気候関連:その他の指標及び目標
当社グループは、脱炭素に向けた取組の加速並びに、投融資ポートフォリオ全体での温室効果ガス排出量ネット・ゼロ達成に向け、セクター別排出削減目標を策定しております。また、電力並びに石炭セクターにかかる排出削減の取組の一環として、石炭火力発電ならびに一般炭採掘に対する残高ゼロ目標を設定しております。
また、当社グループでは気候関連の機会に関する指標・目標として、サステナブルファイナンス実行額並びにグリーンファイナンス実行額を用いております。これら指標はグリーン・ソーシャルプロジェクトやトランジションに資する案件を対象としたローンや債券等の組成額(2020年度からの累積額)を指しており、この金額が増加することは気候関連の機会に関する収益の増加が期待されることを意味しており、また脱炭素化やトランジションに向けたお客さまの社会課題解決に向けた取組を支援することにも繋がります。
各指標・目標の詳細は以下の通りです。なお、各目標の管理状況については、「(3)戦略 ①気候関連」をご参照ください。
上記の他、物理・移行リスクに関する指標として「セクター別与信残高(ホ)」を計測しており、集計方法についても後述しております。なお、当該指標の集計結果については、「(3) 戦略 ①気候関連」を参照ください。また、内部炭素価格についても後述しております
(イ)セクター別排出量
当該指標は当社グループが独自に作成した融資ポートフォリオに関するセクター別の温室効果ガス排出量を表す指標であり、第三者による認証を受けていません。パリ協定を踏まえたIEA並びに各業界団体の削減シナリオを参照して目標を設定しております。当該指標の算定方法並びに算定に用いたインプット、目標設定の考え方は以下の通りです。なお、セクター別排出量は以下の様な仮定や見積りを含むため、測定の不確実性が高い情報と認識しております。
〇 収集データ(債務者に関する排出量や活動量データ)の品質
与信業務やモニタリング等を通じて株式会社三井住友銀行が把握している各種情報に加え、データプロバイダーから提供される情報や、各債務者における開示情報(統合報告書等)、公的情報(電力調査統計等)の調査等を踏まえ、排出量データや推計に用いる活動量データ(発電量)等を収集しております。
収集データの正確性に問題があると想定される場合(前年比で大幅な変化がある、業界平均との大幅な乖離が認められる等)は、データの修正や下位のデータ品質スコアを使用するケースが存在します。またデータ不足により適切な算定や推定ができない債務者については、当該債務者の親会社にかかるデータを用いて推計を行っております。これらの対応を行った上でも、算定に必要なデータが不足している債務者については算定不可として除外し、実績に計上しておりません。
また、各セクターにおいて一部のバリュー・チェーン/カテゴリーの排出量を算定対象としておりますが、算定対象に限定した排出量データの収集ができない場合は、限定されていない排出量データ(例:スコープ3温室効果ガス排出カテゴリー11では無くスコープ3温室効果ガス排出全体のデータ)を用いることがあります。さらに、すべての温室効果ガスを算定対象としておりますが、すべての温室効果ガスを含む排出量データの収集ができない場合は、CO2など主要な温室効果ガスに絞ったデータや推計値を用いることがあります。
これらに伴い、セクター別排出量が過小・過大となる不確実性が存在しますが、各債務者における情報開示並びに品質の改善が進むことで、不確実性が縮小していくことが期待されます。
〇 収集データの最新性
各債務者の排出量・活動量データについては取得できる最新のデータに基づき算定・推計を行っております。従って、当社グループの排出量報告期間と投融資先企業におけるデータ報告期間については、差分が生じております。各国における経済状況の変化に伴い、融資先企業における排出量や活動量の変化があるため、データが更新され報告期間が揃った場合には、排出量が増加(又は減少)する可能性がございます。また、帰属係数についても、当社グループが取得することができた、投融資先企業の最新のEVIC・負債+純資産を用いておりますが、その性質上、分子となる残高と分母となるEVICまたはTotal Equity+debtは異なる時点を用いております。
(ロ)石炭火力発電向けプロジェクト・ファイナンス、及び設備紐付きコーポレート・ファイナンス貸出金残高
当該指標は当社グループが作成した、石炭火力向けプロジェクト・ファイナンス、及び石炭火力向け設備紐付きコーポレート・ファイナンスに関する貸出金と未実行のローン・コミットメントの合計を表すための指標であり、第三者による認証は取得しておりません。主な算定方法は以下の通りです。
〇 対象バウンダリー
当社グループは、融資業務を中心に移行リスクに伴う与信関係費用の増加やレピュテーションの低下といった重要なリスクを認識している、銀行業を営む株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社を集計範囲としております。
〇 対象アセット
貸出金および未実行のローン・コミットメントを対象としております。なお、脱炭素社会への移行に向けた取組に資する案件を除きます。
〇 集計期間
算定にあたり、当社グループは、2026年3月末の残高を使用しております。
(ハ)一般炭採掘向け貸出金残高(OECD諸国、及び非OECD諸国)
当該指標は当社グループが作成した、所在地がOECD諸国又は非OECDである一般炭向け採掘を主たる事業とする事業者向け貸出金と未実行のローン・コミットメントの合計を表すための指標であり、第三者による認証は取得しておりません。主な算定方法は以下の通りです。
〇 対象バウンダリー
当社グループは、融資業務を中心に移行リスクに伴う与信関係費用の増加やレピュテーションの低下といった重要なリスクを認識している、銀行業を営む株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社を集計範囲としております。
〇 対象アセット
貸出金および未実行のローン・コミットメントを対象としております。なお、化石燃料事業からの転換に資する案件を除きます。
〇 集計期間
算定にあたり、当社グループは、2026年3月末の残高を使用しております。
(ニ)サステナブルファイナンス実行額
当該指標は当社グループが独自に作成したサステナブルファイナンスの定義に該当するファイナンス金額を表すための指標であり、グリーンファイナンスを含むサステナブルファイナンスの2020年度からの累積取組額を示しております。なお、指標・目標に関する第三者認証は取得しておりません。
〇 対象バウンダリー(エンティティ)
株式会社三井住友銀行及びその主要子会社、SMBC日興証券株式会社及びその主要子会社を集計範囲としております。
〇 対象ファイナンス
株式会社三井住友銀行におけるローン並びにSMBC日興証券株式会社における株式・債券の組成額の内、以下の図表に記載されている定義を満たした案件を対象としております。
<サステナブルファイナンスの定義並びに対象ファイナンス>
〇 為替レート
サステナブルファイナンス実行額は経営管理(事業部門の目標管理や役員等の報酬の評価等)で用いる指標であり、目標との対比を行う観点から為替変動の影響を除くため、期初に定めた為替レートを用いて円換算額を算定しております(連結決算日の為替相場による円換算額ではありません)。
〇 集計期間
サステナブルファイナンス実行額は経営管理(事業部門の目標管理や役員等の報酬の評価等)で用いる指標であり、月次で進捗モニタリングを行っているため、すべての子会社について同一の算定期間で集計しております。そのため、決算日が12月末日である株式会社三井住友銀行並びにSMBC日興証券株式会社の一部子会社につきましても、2025年4月1日から2026年3月31日の期間で集計を行っております。
(ホ)セクター別与信残高
当社グループにおける特定のセクターに対する与信は、脱炭素社会への移行に伴いお客さまの業績が低下し、資産が座礁する可能性や、地球温暖化による災害や気温上昇に伴いお客さまの業績が低下し、資産が座礁する可能性を認識しており、関連する指標として「セクター別与信残高」を集計しております。当該指標の集計結果については、「(3) 戦略 ①気候関連」を参照ください。
当該指標は、地球温暖化による災害や気温上昇に伴い、取引先の業績が悪化するリスクや、脱炭素化に向けた事業環境の変化に伴い取引先の業績が悪化するリスクに対する当社グループの与信残高を測定するものであり、地球温暖化、又は脱炭素化に伴い失われる/座礁するリスクのある資産の残高を示す当社グループが作成した絶対指標です。当該指標は第三者による認証は取得しておりません。主な集計方法は以下の通りです。
〇 対象バウンダリー(エンティティ)
当社グループは、融資業務を中心に移行リスクに伴う与信関係費用の増加やレピュテーションの低下といった重要なリスクを認識している、銀行業を営む株式会社三井住友銀行及びその主要銀行子会社を集計範囲としております。
〇 対象アセット
当社グループは、集計対象アセットを「貸出金」「支払承諾」「外国為替」「私募債」「未実行のローン・コミットメント」「デリバティブ」等としております。
〇 集計期間
算定にあたり、2026年3月末の与信残高を使用しております。一部の海外拠点につきましては、決算日は12月末日であるものの、計測開始時からの継続性を保持するため、同様に2026年3月末の残高を使用しております。
(ヘ)内部炭素価格
当社グループでは炭素価格をシナリオ分析には用いておりますが、意思決定に用いておりません。
③ 人的資本関連
当社グループでは、人的資本に関する取組について、目標達成に向けた進捗を管理するため様々な指標・目標を用いています。
中期経営計画における人材戦略のKGIとして「人的資本ROI」と「人財ポリシースコア」、3つの重点人事戦略についてはそれぞれ「人材:重点領域人材充足率」、「カルチャー:エンゲージメントスコア」、「仕組み:労働生産性・労働分配率」をモニタリング指標として設定しております。2026年度から2028年度までの中期経営計画におけるKGIおよびモニタリング指標の進捗については、2027年3月期以降適宜開示する予定です。
なお、以下でお示ししている人的資本に関する指標については、2023年度から2025年度までの人材戦略における重要指標として計画・目標を開示していた指標の3か年の結果をご報告しております。
(イ)注力分野への人材拡充に関する指標
2023年度からの3か年においては、「Olive」の推進を担うDX人材や、法務・コンプライアンス等の経営基盤を担う人材、グローバル人材の3つの注力分野を定め、3か年投入計画を掲げていました。3か年計画は3つの注力分野すべてで達成しております。
(ロ)エンゲージメントに関する指標
多様な価値観を持つ従業員が、チームワークにより成果を生み出す風土の実現を目指しており、その状況を測るためにエンゲージメントサーベイを実施しております。スコア70以上を維持することを目安とし、各種取組を通じた結果をモニタリングしております。
④ コンプライアンス・サイバーセキュリティ関連
当社グループでは、コンプライアンス・サイバーセキュリティに関するリスク管理を重要な経営課題と認識しており、現在、定量的な指標の特定およびデータ収集体制の整備を進めております。
このため、当連結会計年度における指標の開示は見送っておりますが、現在、データ収集等の準備を進めており、2027年3月期以降の有価証券報告書での開示に向けて対応を進めてまいります。