2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,545名(単体) 122,978名(連結)
  • 平均年齢
    39.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.0年(単体)
  • 平均年収
    11,342,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

(2025年3月31日現在)

セグメントの名称

ホールセール
事業部門

リテール
事業部門

グローバル

事業部門

市場事業部門

本社管理

合計

従業員数
[外、平均臨時従業員数]

8,745

26,979

69,590

1,371

16,293

122,978

[176]

[6,427]

[1,140]

[1]

[1,258]

[9,002]

 

(注)  従業員数は就業者数で記載しており、海外の現地採用者を含み、嘱託及び臨時従業員9,903人を含んでおりません。

 

(2) 当社の従業員数

(2025年3月31日現在)

従業員数

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与

1,545

39歳  5月

14年  9月

11,342

千円

 

(注)1 当社従業員は全員、株式会社三井住友銀行等からの出向者であり、平均勤続年数は同行等での勤続年数を通算しております。

2 当社の従業員は主に本社管理のセグメントに属しております。

3 平均年間給与は、3月末の当社従業員に対して株式会社三井住友銀行等で支給された年間の給与、賞与及び基準外賃金を合計したものであります。

4 当社には従業員組合はありません。労使間において特記すべき事項はありません。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当社及び当社の主要な国内連結子会社各社の、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」という)等に基づく管理職に占める女性労働者の割合、育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は以下のとおりであります。なお、当社は女性活躍推進法、または、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、「育児・介護休業法」という)に基づく上記指標の公表が求められていないため、記載を省略しております。また、下記以外の連結子会社につきましては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報」に記載しております。

(2025年3月31日現在)

名称

管理職に
占める
女性労働者
の割合
(%)

育児休業取得率(%)
(注)1

労働者の男女の賃金の差異(%)
(注)2

補足説明

男性労働者

女性労働者

全労働者

正規雇用
労働者

パート・
有期労働者

株式会社三井住友銀行

26.1

総合職・総合職リテールコース

総合職・総合職リテールコース

46.3

53.0

-(注)4

(注)7

104.4

101.7

嘱託・契約社員

嘱託・契約社員

-(注)3

100.0

株式会社SMBC信託銀行

24.1

120.0

115.8

70.1

70.5

49.2

 

SMBC日興証券株式会社

20.5

112.8

109.6

56.8

56.8

-(注)5

 

SMBCコンシューマーファイナンス株式会社

19.9

総合職

総合職

70.5

70.0

76.2

 

36.8

110.0

専門職

専門職

0.0

100.0

限定正社員

限定正社員

-(注)6

100.0

三井住友カード株式会社

19.1

94.5

93.1

59.0

63.6

52.3

(注)7

株式会社日本総合研究所

17.7

96.2

104.3

78.5

78.3

76.8

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

18.0

87.5

100.0

65.5

62.7

57.7

 

 

(注)1 「育児休業取得率」につきましては、育児休業を取得した者の数を、出産した者の数または配偶者が出産した者の数で除した割合を示しております。また、出産した者または配偶者が出産した者の全てが育児休業を取得した場合においても、事業年度を跨いで育児休業を取得した者の取扱いの方法により、育児休業取得率が100%を上回るまたは下回ることがあります。なお、育児休業の定義につきましては、連結子会社各社において定める定義に基づいて算出しております。

2 「労働者の男女の賃金の差異」につきましては、当事業年度の男性の平均年間賃金に対する当事業年度の女性の平均年間賃金の割合を示しております。

3 株式会社三井住友銀行における男性労働者の「嘱託・契約社員」につきましては、該当期間における対象者がいないため、育児休業取得率を算出しておりません。

4 株式会社三井住友銀行における「パート・有期労働者」につきましては、対象者が女性のみのため、男女の賃金の差異を算出しておりません。

5 SMBC日興証券株式会社における「パート・有期労働者」につきましては、対象者がいないため、男女の賃金の差異を算出しておりません。

6 SMBCコンシューマーファイナンス株式会社における男性労働者の「限定正社員」につきましては、対象者がいないため、育児休業取得率を算出しておりません。

7 株式会社三井住友銀行及び三井住友カード株式会社における「パート・有期労働者」につきましては、正規雇用労働者の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。

 

このうち、株式会社三井住友銀行における正規雇用労働者の男女の賃金差異については、管理職や職責の大きい女性の人数が男性対比少ないことを背景として、53.0%となっております。尚、同行の人事制度における職責の階層が同一の男女労働者の賃金差異は、90%程度となっております。これらの要因は3つと分析しております。1つ目は、女性の採用拡大から年数を経ておらず、在籍期間や経験年数が短い層に女性が多いこと、2つ目は、過去に職種別採用を行っていた経緯から、定型業務に従事する女性が多いこと、3つ目には、短時間勤務制度利用者のほとんどが女性となっていることなどから、勤務時間に男女差があることが挙げられます。

同行を含む当社グループでは、これらを踏まえ、女性従業員に対し管理職や職責の大きい業務への挑戦を促すことや、全従業員を対象とした育児や介護との両立支援策の拡充及び利用促進などに取り組み、男女賃金差異の解消を進めてまいります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

 2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
 
(1)サステナビリティに対する考え方及び当社グループのマテリアリティ
 当社グループは、「社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げるとともに、サステナビリティ宣言において、サステナビリティを「現在の世代の誰もが経済的繁栄と幸福を享受できる社会を作り、将来の世代にその社会を受け渡すこと」と定め、その実現に向けて、時代の変化に対応しつつ、社会課題の解決に幅広く貢献してまいりました。
 
 近年、地球温暖化、人権侵害、貧困・格差の拡大等、世界が直面する社会課題は拡大・深刻化の一途を辿っており、わが国においても、長期にわたり経済の低成長が続いてきたほか、少子高齢化・人口減少も一段と加速しております。
 
 社会とは、企業が事業を営む上での礎であり、社会の発展なくして企業の持続的成長はあり得ません。こうした認識の下、当社グループは2023年度に開始した中期経営計画「Plan for Fulfilled Growth」において、「社会的価値の創造」を基本方針の一つと定めました。「社会的価値の創造」とは、社会課題を起点に本業に取り組み、お客さまや社会の中長期的な成長に資する付加価値を提供することであり、本業を通じて社会的価値を創造し社会へ還元していくことは、お客さま・社会への価値提供に加え、事業基盤の拡大等を通じて経済的価値向上にも寄与し、それがさらなる社会的価値創造の好循環を生み出します。当社グループは社会課題の解決へ積極的に取り組み、社会的価値の創造を目指してまいります。
 
 社会的価値の創造に向け、特に解決を目指すべき喫緊の社会課題として、「環境」「DE&I・人権」「貧困・格差」「少子高齢化」「日本の再成長」の5つを「重点課題(マテリアリティ)」に定め、その解決に向けたゴールを設定し、事業戦略に落とし込んでおります。当社グループは、サステナビリティの推進やマテリアリティへの取組を通じて社会的価値を創造し、経済の成長とともに社会課題が解決に向かい、そこで生きる人々が幸福を感じられること、すなわち「幸せな成長」に貢献することを目指してまいります。
 

<重点課題の考え方と「10のゴール」>


 

 

(2)ガバナンス
   ① サステナビリティ経営の全体像

当社グループにおけるサステナビリティ経営は、グループCEO(Chief Executive Officer)を含むグループ CxOの責任で推進され、取締役会の監督を受け、強固なガバナンス体制の下で運営されております。具体的には、サステナビリティの推進・社会的価値の創造のために必要な諸施策に関しては、取締役会のほかサステナビリティ委員会を含む内部委員会において、審議が行われています。また、サステナビリティ・社会的価値創造に関する具体的な業務戦略は、経営会議や、グループCEOを委員長とするサステナビリティ推進委員会やⅮE&I推進委員会等での審議・決定を踏まえて実行されております。

 

当社グループの取締役会の役割をはじめとするコーポレート・ガバナンス全般に関する事項は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご覧ください。
 

<当社グループのサステナビリティ経営体制>

 


 

 

<サステナビリティに関する監督サイドでの議論>

 


 

 

 

② 役員報酬制度

当社グループは、2020年度より中期業績連動報酬における定性項目の一つとして「サステナビリティへの取組」を組み入れ、サステナビリティ関連の長期目標の達成度等を役員報酬に反映させたほか、2022年度には単年度業績連動報酬にもサステナビリティに関連する評価を拡大いたしました。具体的には、単年度のサステナビリティへの取組について、社内目標の単年度の達成度及び主要な外部評価機関の評価結果に応じて、社外取締役が過半数を占める報酬委員会で評価を決定し、最大±10%の範囲で単年度業績連動報酬に反映される形に変更いたしました。

 

また、2023年4月より、役員報酬制度の中期業績連動型報酬にポートフォリオGHG(温室効果ガス)排出量や従業員エンゲージメントスコアなどのサステナビリティ定量指標や、5つの重点課題(マテリアリティ)に関する取組への定性評価を組み入れております。

 

役員報酬に関するより詳細な事項は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」をご覧ください。

 

<有価証券報告書提出日現在の役員報酬制度の概要>

 


 

 

(3)戦略

① 気候変動への対応

当社グループは、自社で排出するGHGの2030年ネットゼロ、ならびに投融資ポートフォリオGHG排出量の2050年ネットゼロ実現を目指しております。秩序ある公正な移行に向けては、トランジションファイナンスを提供していくこと、また、次世代技術の確立に向けたイノベーションを支援していくことが重要と認識しております。

 

イ.気候変動に伴うリスクに対する認識
  気候変動に伴うリスク(物理的リスク及び移行リスク)は広範な波及経路が想定され、かつ様々な時間軸で顕在化する可能性があります。当社グループでは、気候変動問題の顕在化に伴う外部環境や業務環境の変化をあらかじめ想定し、様々な波及経路に基づいてリスク事象を洗い出すことで、当社グループへの財務的影響を特定しております。当社グループが想定するリスク事象の概要、及び各リスクカテゴリーへの波及事例は以下のとおりであります。

 

<当社グループが想定するリスク事象の概要>

(物理的リスク)

〇 急性的な気象現象と慢性的な気候変化

地球温暖化の進行は、台風・洪水等の急性的な自然災害の増加や、平均気温上昇に伴う降水量増加等の慢性的な気候変化をもたらす可能性があります。これらの事象に起因し、本支店被災により事業が継続できないリスク、対策・復旧によるコスト増加、自然災害によるお客さまの業績悪化や担保毀損に伴う当社グループの与信関係費用の増加・預金の減少等のリスクが想定されます。

 

(移行リスク)

〇 政策及び法規制の強化や技術・市場の変化

脱炭素社会への移行は、炭素排出目標の厳格化や炭素税の引き上げをはじめとする各国の規制強化を伴う可能性があるほか、新たな技術・エネルギー源の導入や消費者嗜好の変化により産業構造の変化を促進する可能性があります。炭素排出量抑制コストの増加や製品・サービスの需給環境の変化に伴い、一部のお客さまについては収益減少や既存資産等の減損により業績が悪化し、当社グループの与信関係費用が増加する等のリスクがあります。

 

〇 企業の取組に対するレピュテーション

企業は脱炭素社会に適合したビジネスモデル変革や炭素排出量抑制等の取組を求められております。ステークホルダーからの開示要請も高まっており、気候変動問題への取組が企業評価基準の一つになりつつあります。これらの取組不足や情報開示要請への対応の遅れは、お客さまや株主をはじめとするステークホルダーからの高い期待に応えられず、当社グループの企業価値の毀損や信頼低下に繋がる可能性があり、資金調達環境が悪化する等のリスクを引き起こすことが想定されます。

 

 

<気候変動に関するカテゴリー別リスク事象例>


 

ロ.気候変動に伴う機会に対する認識

脱炭素社会の実現に向けては、大幅なGHG排出量削減のためのビジネスモデルの転換、そのための技術革新や大規模な設備投資が必須となります。IEA(International Energy Agency)はNZE(Net Zero Emissions)シナリオにおいて、クリーンエネルギー分野に対し2035年には年3兆ドルの追加投資が必要と試算しています。また、経済産業省の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において「グリーンとデジタルは、車の両輪である」と示されたように、脱炭素社会の実現に向けてはデジタルトランスフォーメーションが欠かせないほか、社会からの脱炭素に向けた要請が強まり、カーボンクレジット市場の拡大も見込まれます。
 こうした中、事業会社においては、資金需要の拡大や事業再編、新たな金融商品・サービス、脱炭素関連設備リース、経営課題に対するコンサルティング(気候関連情報開示の高度化対応や、気候変動戦略・ビジョンの策定、事業開発、リスクマネジメントの高度化への対応)、脱炭素技術保有企業やそれらを必要とするお客さまのマッチング、デジタルソリューション、カーボンクレジット調達等のニーズが生じると認識しております。当社グループにおいても様々な金融サービスの提供機会が増大し、グループ内の事業領域におけるノウハウを有機的に結び付けた多面的なソリューションが重要になると考えております。
 当社グループは、お客さまが抱えるこのような複合的なニーズに対し、グループ内にとどまらず外部パートナーとの連携も活用することで、金融・非金融両面から支援に努めてまいります。
 

 

ハ.実体経済の脱炭素化に向けた取組

「ロ.気候変動に伴う機会に対する認識」に記載のとおり、脱炭素社会の実現に向けては、当社グループにとってさまざまなビジネス機会が想定されます。
 こうした中、当社グループは、従来強みとしてきたプロジェクトファイナンスを通じた新エネルギー・新技術への支援、事業の脱炭素化に向けたトランジション支援、ステークホルダーとの協働等、金融・非金融を含めた高度なサービス開発・提供に注力しております。これらのソリューションをグループ各社が連携しながら提供することで、お客さまの環境に対する取組を総合的に支援し、経済的価値・社会的価値の両面を伴った環境ビジネスを展開してまいります。

 


 

a)新エネルギー・新技術へのリスクテイク

脱炭素社会の実現には、新エネルギーや新技術の開発や社会実装が不可欠ですが、資金供給不足もあり、遅れが生じている状況です。

当社グループは、脱炭素化に向けて特に重要だと認識する新技術・新エネルギーを注力領域として選定し、スケールアップのフェーズにおいてリスクマネーを積極的に供給することで、新エネルギーや新技術の社会実装を加速させることを目指してまいります。

 


 

 

b)トランジションファイナンス

脱炭素社会を早期に実現するには、脱炭素化への技術的・経済的な代替手段が限られ、一足飛びに移行することが困難な高排出セクターの移行を支援することが重要です。当社グループは、他の多くの金融機関に先駆けて、グループのトランジションの定義を定めた「Transition Finance Playbook」を策定し、トランジションファイナンスを推進しております。これは国際的な原則に加えて、各国・地域の方針や規制等に基づき、地域毎に基準を設定したものであります。
 当Playbookを活用して、これまでに130社のお客さまとエンゲージメントを実施し、46件のトランジションファイナンス案件の承認に至りました。

また2024年には、トランジションファイナンスを推進する上で見えてきた実務的な課題や解決への提言を示した「Transition Finance Scorebook」を公表いたしました。
 この中では、パリ協定と整合した脱炭素計画の策定が困難な企業への支援強化の必要性や、トランジションにおいてガス火力発電が一定の役割を果たすこと等について述べております。これを活用してこれまでにお客さまや政府との対話を60件実施いたしました。今後もこうした対話を継続しつつグローバルなトランジション推進に関する議論をリードし、その発展・深化に貢献してまいります。

 


 

c)ステークホルダーとの協働と多様なソリューション

〇 他社との協働を通じた多様なソリューションの提供

株式会社三井住友銀行では、脱炭素技術を持つお客さまと脱炭素化ニーズのあるお客さまをつなぐ事業共創を推進しております。また、パートナー企業と連携し、GHG排出量やサプライチェーンにおけるサステナビリティ課題の可視化を起点に、お客さまのサステナビリティ関連課題の解決を支援するソリューション提供に努めてまいります。

 

〇 政策提言

社会全体で現実的かつ着実にトランジションを推進すべく、産業界や政府当局との対話・提言にも積極的に取り組んでおります。日本では、脱炭素化に向けたファイナンス支援に当たる課題やブレンデッドファイナンス等官民のリスクシェアの必要性について、政府との対話を継続しております。アジアの脱炭素化に向けては、地域やお客さまの課題を踏まえた支援制度・資金供給の在り方について提言を実施しております。

 

 

(参考)当社グループにおけるネットゼロ実現に向けた移行計画・取組

 


 


 

 

② 自然資本の保全・回復

自然資本とは、植物や動物、大気や水や土壌などの天然資源を意味しております。地球環境の保全に向けて、自然資本の損失を食い止め回復させる「ネイチャーポジティブ」がますます重要視される中、当社グループは自然資本分野における金融業界のパイオニアとしてお客さまの取組支援と自社の取組強化に注力しております。

「ネイチャーポジティブ」の実現に向けては、お客さまにおいてビジネスモデル変革、新たな技術の導入、環境負荷の低い設備投資等の多様なニーズが予想されます。それに対し、当社グループにおいては金融商品・サービス、コンサルティング等の提供を通じたビジネス機会の増加が見込まれます。

一方で、当社グループのお客さまの事業活動の多くは自然資本によって下支えされていることから、自然資本の喪失は金融グループとしての幅広い事業活動に潜在的なリスクをもたらす可能性があります。

このような認識のもと、当社グループではお客さまの企業活動と自然資本との関係を依存・影響の観点から分析し、それを踏まえて自社の事業における機会とリスクを認識し、各種対応策に取り組んでおります。
 
<企業における自然資本の保全・回復に向けた対応の概念図>

 


 

 

③ 人的資本経営の実践

イ.SMBCグループ人財ポリシーの浸透と実現
 経営やビジネスの変化、従業員の価値観の多様化など、当社グループを取り巻く環境が目まぐるしく変化している中でも、「人」の大切さに変わりはありません。そのため当社グループでは2023年度に「SMBCグループ人財ポリシー」を定め、その中で「従業員に求めるもの」と「従業員に提供する価値」を明文化いたしました。

 

従業員には、「プロフェッショナルとして責任を果たすこと」「お互いを認め合いチームで最高の成果を追求すること」「困難に立ち向かい挑戦し続けること」を求める一方、従業員のプロフェッショナルとしての活躍を後押しするため、「自分らしさを表現できる環境」「事業基盤を活かしたお客さま・社会へ貢献できる機会」「キャリア形成と成長のサポート」を提供してまいります。この先も成長を続け経済的価値・社会的価値を創出し続けるため、この人財ポリシーを通じて、企業と従業員の間でより一層の「選び、選ばれる関係」を築いてまいります。

 

「人財ポリシー」の実現度を定量的に評価する独自指標として、「人財ポリシースコア」を新たに導入しました。この指標は、グループの人的資本経営モデルを支える基盤である、人財ポリシーの左側(従業員に求めるもの)と右側(従業員に提供する価値)との良循環を可視化するものであります。今後も引き続きスコアのモニタリングを継続し、そこから得られるインサイトを施策に反映させることで、人的資本経営を深化させ、SMBCグループの持続的な成長を実現してまいります。

 

 


 

<2024年度の人財ポリシースコア>


 

 

ロ.各人材戦略の目指す姿・展望と現在の進捗

当社グループは、人財ポリシーに基づき、経済的価値・社会的価値の創出に向けて3つの人材戦略「戦略を支える人材ポートフォリオの構築」「従業員の成長とウェルビーイング支援」「チームのパフォーマンス最大化」を展開し、人材力の最大化を目指しております。

 

a) 戦略を支える人材ポートフォリオの構築
〇 注力分野の人材拡充
 当社グループでは、プロフェッショナル人材の確保と機動的な人材配置を目指し、人材ポートフォリオの構築を推進しております。「Olive」の推進を担うDX人材、グローバル人材、法務・コンプライアンス等の経営基盤を担う人材の3つの注力分野を定め、人材の重点投入を進めております。また当社グループ各社では、専門性向上を企図した専門人材認定制度を整備するとともに、特定領域でのプロフェッショナルを獲得・育成するためのコース別新卒採用を強化しております。

 

〇 グループ・グローバルを舞台とした活躍推進

当社グループでは、グループ・グローバルで多様な人材が活躍できる仕組・環境の整備を進めております。国内外双方向の短期派遣や業務出向も強化しており、戦略上の注力国であるインドへの若手従業員派遣プログラムを新設する等、将来のグローバル人材の育成に注力しております。

 
〇 グローバルHRプラットフォームの構築
 海外事業の重要性が高まる中、当社グループはグローバルで人事機能の一体化を推進し、「One Global HR」としてグローバル人材戦略を実行してまいります。戦略実現に向けて、人事組織・システム等のHRプラットフォームのグローバル統一化に加え、グローバルの人事体制を見直し、各地人事責任者のレポートラインを本社人事部にも接続するとともに、Global CoE(Center of Excellence)を機能別に置く等の施策を実施しており、グローバルでの運営体制強化を進めております。
 

b) 従業員の成長とウェルビーイング支援
〇 自らのキャリアと向き合い、挑戦する機会
 当社グループでは、グループ横断の公募制度や、各部署の魅力を従業員に伝える「ジョブフォーラム」の開催など、従業員一人ひとりが自分らしく活躍し挑戦できる環境を整備しております。社内ベンチャーの取組も推進しており、当社グループ内で新規事業を立ち上げた「社長」が生まれております。
 
〇 社外派遣や副業による成長促進
 当社グループ各社では、従業員の多様なスキル・経験の習得を促すため、社外派遣エントリー制度、社内・社外副業の機会を提供しております。

 
〇  従業員の成長を支える心身の健康確保 
 当社グループでは、一人ひとりが健康で活き活きと働くことができる環境の整備にグループ一体となって取り組んでおり、健康意識・リテラシー向上のためのセミナー・イベントの開催や、各種費用補助、柔軟な勤務制度の整備等を行っております。こうした取組が評価され、当社は「健康経営優良法人2025(ホワイト500)」に認定されました。
 

 

c) チームのパフォーマンス最大化
〇 DE&Iの推進
 DE&Iは当社グループにおける重要な成長戦略と位置付け、経営層の強いコミットメントのもとに取り組んでおります。意思決定層の多様性確保に向けて、様々な取組を推進するほか、性別に関係なく育児休業を取得しやすい組織づくりや、介護との両立に向けた制度の整備及びリテラシーの向上など、従業員が仕事とプライベートを両立しながら活躍できる環境の整備に注力しております。

 

〇 組織をリードするマネジメント育成

当社グループでは、管理職手前から役員に至るまでマネジメント教育に注力しております。また、マネジメントレビューにも力をいれており、部下・同僚・上司からのフィードバックをうけてマネジメント力を向上させる機会を提供しております。
 

〇 エンゲージメント向上にむけた取組

当社グループでは、組織や従業員のエンゲージメントの状態を定点観測でき、本部やマネジメントによる改善行動をサポートするツールとして、エンゲージメントサーベイを活用しております。また、エンゲージメント活動の好事例を横展開し、各拠点のエンゲージメント向上を牽引する「アンバサダー」の任命も行っております。

 

④ 人権の尊重

イ.人権尊重の考え方
 当社グループは、人権尊重責任は企業が果たすべき責務と認識しております。当社グループでは、「ビジネスと人権に関する指導原則」や「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」などに沿い、当社グループが人権の権利主体に対し与えうる負の影響と、多岐にわたるステークホルダーから当社グループ自身が被る影響の双方向の人権に関するリスクを踏まえたアプローチにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
 
<人権尊重の考え方>

 


 

 

ロ.重要な人権リスクの特定・評価
 当社グループは、事業活動を通じて関与し得る人権への負の影響について、お客さまとの取引、サプライヤー取引、従業員の3つの観点で分析し、想定されるリスクについて深刻度・発生可能性の観点から重要度の高いものを特定しております。
 2022年度に特定した重要な人権リスクについては、今後も定期的な見直しを行いながら、これらの人権への負の影響の防止・軽減に重点的に取り組んでまいります。
  

<重要な人権リスク事例>

 


 

 

 

(4)リスク管理

当社グループは、環境社会リスクを、気候関連、自然関連、人権等の環境・社会要因がリスクドライバーとなり、様々な経路を通じて各リスクカテゴリーに波及することにより、最終的に当社グループが損失を被るリスクと定義しております。当社グループは様々なリスク管理の枠組みの中で環境社会リスクを認識し、評価・管理する体制の高度化に努めております。

 

① トップリスク/リスクアペタイト・フレームワーク

 当社グループは、収益拡大のために取る、あるいは許容するリスクの種類と量(リスクアペタイト)を明確にし、グループ全体のリスクをコントロールする枠組みとして、「リスクアペタイト・フレームワーク」を導入しております。
 当社グループのリスクアペタイト・フレームワークは、業務戦略とともに経営管理の両輪と位置付けられており、経営陣がグループを取り巻く環境やリスク認識を共有した上で、適切なリスクテイクを行う経営管理の枠組みであります。グル-プ全体のリスクアペタイトを踏まえ、事業部門別等、業務戦略に応じて必要な単位でのリスクアペタイトを設定しております。具体的なプロセスとしては、業務戦略・業務運営方針の策定にあたり、経営上特に重大なリスクを「トップリスク(※)」として選定したうえで、リスクシナリオに基づくストレステストによるリスク分析を実施することで、リスクが顕在化した場合の影響も踏まえながら、リスクアペタイトを決定しております。気候関連リスクにおいては、物理的リスクや移行リスクに関して、ストレステストの手法を活用したシナリオ分析を実施し、与信関係費用を推計することで株式会社三井住友銀行への財務的影響をあらかじめ把握しております。
 当社グループは、環境社会リスクの観点において風水害等の災害増加や、環境課題や人権をめぐる政策・規制・社会規範の分断などをトップリスクとして位置付けております。特に、気候変動に係るリスクについては、業務計画を達成するためのリスクテイクやリスク管理に係る姿勢を示したリスクアペタイト・ステートメントにおいて、ネットゼロ目標の達成に向け、エンゲージメント促進やポートフォリオコントロール等を通じ気候関連リスクの増加を抑制していく旨を記載しております。

(※)「3 事業等のリスク」に記載
 


 

② セクター・事業に対する方針

当社グループは、以下に示した環境・社会に影響を与える可能性が高いセクター・事業に対する方針をそれぞれ明確化しております。この方針は、株式会社三井住友銀行、株式会社SMBC信託銀行、三井住友ファイナンス&リース株式会社、SMBC日興証券株式会社において、それぞれのビジネスに沿う形で導入し、更なるリスク管理体制の強化を図っております。


 

③ 環境社会デューデリジェンス

株式会社三井住友銀行では、コーポレートファイナンスおよびプロジェクト向けファイナンス双方において、環境社会リスク評価を行う環境社会デューデリジェンスを導入しております。評価結果は、与信判断の高度化やお客さまとのエンゲージメントに活用しております。


*従来の審査に加え、環境社会リスクが信用リスクやレピュテーショナルリスクに波及することによる影響も把握・評価した上で、総合的に判断

 

(5)指標及び目標

① 気候変動に関する指標と目標

当社グループは、気候変動に係るリスク並びに機会を測定・管理するため、またパリ協定への整合/脱炭素に向けた道筋を示すため、GHG排出量やエクスポージャーなどに関する様々な指標を用いております。
 
 イ.自社グループにおけるGHG排出量
  当社グループは2030年までに自社GHG排出量をネットゼロとする目標を掲げております。まずは2023年度に定めた中間目標である、2025年度の自社GHG排出量40%削減及び2026年度の自社GHG排出量55%削減を達成するため、日本国内の自社物件やデータセンター等における電力の再生可能エネルギーへの転換や営業車の環境配慮車化に取り組む等、GHG排出量の削減を進めております。

 


 

ロ.ポートフォリオGHG排出量
 当社グループでは、投融資ポートフォリオ全体でのGHG排出量(Scope3)について、2050年までのネットゼロ実現を目指しております。その約70%を占める電力、石油・ガス、石炭、自動車、鉄鋼、不動産の6つのセクターにおいて中期削減目標を設定しております。

 


*国内商業用不動産のノンリコースローン・REITが対象、REITの場合はScope3カテゴリー13を含む

 

 

ハ.サステナブルファイナンス取組額
 当社グループは、環境配慮事業、社会関連事業、脱炭素社会への移行に関するファイナンスに積極的に取り組んでおります。2020年度から2029年度までの10年間での「グリーンファイナンス及びサステナビリティに資するファイナンス実行50兆円」という目標を設定し、お客さまとともに気候変動問題をはじめとする社会課題解決に取り組んでまいります。

 


 

 
 ② 人的資本に関する指標と目標
 当社グループは、「(3) 戦略 ③ 人的資本経営の実践」に記載している人的資本に関する取組について、目標達成に向けた進捗を管理するため、様々な指標を用いております。
 
 イ.注力分野への人材拡充に関する指標
 「Olive」の推進を担うDX人材や、法務・コンプライアンス等の経営基盤を担う人材、グローバル人材の3つの注力分野を定め、3か年投入計画を掲げております。

 


 

ロ.エンゲージメントに関する指標
 多様な価値観を持つ従業員が、チームワークにより成果を生み出す風土の実現を目指しており、その状況を測るためにエンゲージメントサーベイを実施しております。スコア70以上を維持することをKPIとして掲げ、各種取組を推進しております。