2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,650名(単体) 2,899名(連結)
  • 平均年齢
    41.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.9年(単体)
  • 平均年収
    8,198,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    5.6%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人材戦略に関する基本方針等】

① 経営戦略と連動した人財戦略

当行は、中期経営計画「『Growth with“Purpose”』~地域と群馬銀行グループの持続的な成長に向けて~」において、パーパス「私たちは『つなぐ』力で地域の未来をつむぎます」の実現に向けた重点課題(マテリアリティ)のひとつとして、「人的資本の充実」を掲げています。

地域社会と当行グループを持続的に成長させ、上記パーパスを実現する原動力になるのは、役職員一人ひとりであり、価値を生み出す源泉(資本)であると捉えています。そのための経営戦略と連動した人財戦略として、当行では2024年6月に人事制度を改定し、従来の年功序列色の強い「人」を基準とした「職能資格制度」から、それぞれの「仕事(職務)」に着目した「ジョブ型人事制度」へ移行しました。新人事制度では、経営戦略の実現のためには総合的・専門的視野を持つ人材を複線的に育成していくことが重要であるととらえ、職責に応じて4つの職群(マネージャー職群、イノベーター職群、アソシエイト職群、スペシャリスト職群)に集約しました。コンサルティング分野やデジタル分野等で行内人材を「スペシャリスト職群」に任命するとともに、ジョブ型人事制度の導入により、ポストへの要件が明確になったことでキャリア採用も増やしています。また、ジョブポスティングにより年齢にとらわれず実力に応じて高いポジションへの登用を実現するなど、経営戦略における重点分野に対する適所適材での人材配置を行っています。

 

② ジョブ型人事制度に基づく報酬体系

ジョブ型人事制度の導入に伴い、従来の「職能資格制度」に基づく年功序列的かつ一律的な報酬体系から、担当する「職務」の価値を重視したより弾力的な報酬体系に転換しました。管理監督者の給与は「職務給」のみであり、担当業務ごとに「職務記述書」を作成したうえで職務の価値(難易度や深度)を算定し、算定された職務の価値に応じて報酬額が設定される仕組みとなっています。非管理監督者の給与の一部についても、担当業務に応じて変動する「職務給」を導入しています。このように、経営戦略における重要度や仕事の難易度・深度に応じた処遇が実現できるような報酬体系を構築しています。

 

 

(2) 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2026年3月31日現在

セグメントの名称

銀行業

リース業

その他

合計

従業員数(人)

2,650

76

173

2,899

〔1,092〕

〔19〕

〔53〕

〔1,164〕

 

(注) 1  従業員数は、海外の現地採用者を含み、嘱託及び臨時従業員1,150人を含んでおりません。

2  従業員数には、執行役員が14人含まれております。

3  嘱託及び臨時従業員数は、〔  〕内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

(2) 当行の従業員数

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の対前
事業年度増減率(%)

2,650

41.5

17.9

8,198

5.6

〔1,092〕

 

(注) 1  従業員数は、海外の現地採用者を含み、嘱託及び臨時従業員1,077人を含んでおりません。

2  従業員数には、執行役員が14人含まれております。

3  当行の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

4  嘱託及び臨時従業員数は、〔  〕内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

5  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

6  当行の従業員組合は、群馬銀行従業員組合と称し、組合員数は2,162人であります。

 労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

    当行

 

当事業年度

補足説明

管理職に占める
女性労働者の割合(%)

 

(注) 1

男性労働者の
育児休業取得率(%)

 

(注) 2

労働者の男女の賃金の差異(%)

 

(注) 1、3

全労働者

正規雇用
労働者

 パート・
有期労働者

23.4

100.0

52.6

61.8

59.2

管理職に占める女性労働者の割合は、2026年3月31日現在にて算出しております。

男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は、対象期間を自2025年4月1日至2026年3月31日として算出しております。

 

(注) 1  「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。また、管理職とは支店長代理・副役以上をいいます。なお、労働基準法における管理監督者に占める女性労働者の割合は9.3%となっています。

2  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 同一役割であれば性別による賃金差はないものの、女性のうち、パート・有期労働者が占める割合41.2%と高いことが、全労働者における賃金差異の要因となっております。また、正規雇用労働者においては、管理職層の多くが男性であることが、賃金差異の大きな要因となっております。

  当行としても管理職に占める女性割合の向上に対する重要性は認識しており、女性の積極的な上位職位への登用に向け、賃金の差異の縮小及び解消に取り組んでまいります。

 

  [当行における男女の賃金の格差及び女性管理職比率の推移]

 

2021年度末

2022年度末

2023年度末

2024年度末

2025年度末

男女の賃金の格差

(正規雇用労働者)(%)

54.5

56.6

56.5

59.5

61.8

女性管理職比率(%)

14.6

16.0

19.0

21.2

23.4

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する取組み

当行グループでは、サステナビリティに関する取組みを経営の重要事項として捉え、2019年2月に「群馬銀行グループSDGs宣言」を制定し、SDGs達成への貢献や持続可能な社会の実現に向けて、グループ全体で宣言に基づいた事業活動を展開してきました。

2025年2月、SDGs達成への貢献のみならず、より広範なサステナビリティへの取組みを推し進めていくため、当宣言を「群馬銀行グループサステナビリティ方針」に名称を変更するとともに、当行グループにおけるマテリアリティを「パーパス実現に向けた重点課題」と定義し、6つのマテリアリティとそれに対する取組方針を設定しました。

当行では、当方針に基づき、地域の持続的発展や環境・社会課題の解決に向けた取組みを進めています。

 

              <群馬銀行グループサステナビリティ方針>

 


 

当行は、2009年5月に制定・公表した「群馬銀行環境方針・環境行動基準」に基づき、自ら環境負荷の低減に取り組むとともに、公益財団法人ぐんぎん財団を通じて環境保全活動の支援や環境保全教育にも取り組み、事業活動を通じて環境保護に貢献できる金融商品の販売を行うなど、環境保全に関する積極的な取組みを続けております。

 


 

 ① ガバナンス

 <ガバナンス体制>

当行グループでは、気候変動や自然資本・生物多様性への対応などを含むSDGsやESG、人的資本・多様性への取組み等のサステナビリティに関する取組みを経営の重要事項として捉え、ガバナンス体制を構築しています。

サステナビリティへの取組みをさらに強化し、中長期的な視点による経営戦略の構築と各施策の実効性を図るため、頭取を委員長としたサステナビリティ委員会を設置しています。

サステナビリティ委員会は、原則として年4回開催し、サステナビリティに関する取組方針の策定や計画の進捗状況報告等を主な協議・検討事項としています。

サステナビリティ委員会での協議・検討事項は、委員会開催の都度、頭取の諮問機関であり業務上の重要な事項に関し協議を行う常務会に付議/報告することとしています。また、取締役会には原則として年4回報告を行うことで、取締役会が監督を行う態勢としています。なお、サステナビリティに関する重要事項については、取締役会に付議し、取締役会が意思決定を行っています。

 


 

  当事業年度においてサステナビリティ委員会を4回開催しており、主な議題は以下のとおりです。

 

  [サステナビリティ委員会における主な議題]

  ・TCFD※1・TNFD※2提言に対する対応について

  ・取引先および地域のサステナビリティ向上に向けた取組みについて

  ・温室効果ガス排出量削減に向けた取組みについて

  ・人的資本にかかる非財務KPIの実績および取組みについて

  ・新たなサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)への対応について

※1  Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)

※2  Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(自然関連財務情報開示タスクフォース)

 

 

 <業績連動型株式報酬>

2019年6月に導入した社内取締役に対する業績連動型株式報酬の評価指標のうち、非財務指標について、「当行の温室効果ガス排出量の削減率」や「サステナブルファイナンス累計実行額」等、気候変動への対応を含むサステナビリティへの貢献を測る指標を採用しています。

 

 ② 戦略

当行グループは、パーパスにもとづく「めざす姿」である「地域社会と当行グループの持続的な成長」に向けた、マテリアリティ(パーパス実現に向けた重点課題)として、以下を掲げています。

〇 地域経済の持続的発展

〇 人口減少・少子高齢化への対応

〇 DXへの対応

〇 地球環境の保全と創造

〇 人的資本の充実

〇 確固たるガバナンスの構築

また、中期経営計画である「『Growth with“Purpose”』~地域と群馬銀行グループの持続的な成長に向けて~」では、地域社会と当行グループの持続的な成長に向けた基本方針や戦略テーマを掲げています。詳細については、「第2 事業の状況」1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の (3)中期経営計画をご参照ください。

 

③ リスク管理

当行グループは、多様化・複雑化するさまざまな経営上のリスクを特定することで、ビジネス機会の創出や管理の強化につなげております。

事業全体に関する主要なリスクについては、「第2 事業の状況」3 事業等のリスクをご参照ください。また、気候変動への対応、自然資本・生物多様性への対応及び人的資本・多様性に関するリスクについては、以下の「(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組み)」、「(3)自然資本・生物多様性への対応(TNFD提言への取組み)」、「(4)人的資本、多様性への取組み」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

当行グループは、中期経営計画「『Growth with“Purpose”』~地域と群馬銀行グループの持続的な成長に向けて~」において、パーパス実現に向けた「つなぐKPI」を設定しております。つなぐKPIは“パーパス営業”(社会的価値と経済的価値の両立)の深化に向けて、3年間で重点的に取組む定量的な目標としております。つなぐKPIについては、「第2 事業の状況」1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等をご参照ください。

また、当行は、サステナビリティに関する指標及び目標も設定しております。気候変動への対応、自然資本・生物多様性への対応及び人的資本・多様性に関する指標・目標については、以下の「(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組み)」、「(3)自然資本・生物多様性への対応(TNFD提言への取組み)」、「(4)人的資本、多様性への取組み」をご参照ください。

 

 

(2) 気候変動への対応(TCFD提言への取組み)

当行は、「群馬銀行グループサステナビリティ方針」のマテリアリティ(パーパス実現に向けた重点課題)の1つである「地球環境の保全と創造」の実現に向け、2020年7月にTCFD提言への賛同を表明しました。気候変動が当行の経営にもたらす影響を分析し、TCFD提言が推奨する項目に沿った開示の充実を継続的に図っています。

地域の脱炭素化実現に向けては、当行自身の脱炭素化推進はもちろん、お客さまへのソリューション提供を通じた支援にも注力しています。

 

 ① ガバナンス

当行の気候変動への対応に関するガバナンスは、上記の「(1) サステナビリティに関する取組み ① ガバナンス」をご参照ください。

 

 

 ② 戦略

 A 気候変動関連のリスク・機会の特定

気候変動に伴うリスク(物理的リスク・移行リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っています。

リスクと機会

概要

時間軸

リスク

 

物理的リスク

 

信用リスク

・水害等に伴う不動産担保(建物)の毀損

短期~長期

・お客さまの事業施設が被災することによる事業停滞・業績悪化

短期~長期

オペレーショナル・リスク

・当行事業施設が被災することによる事業中断

短期~長期

移行リスク

 

信用リスク

・気候変動に関する規制や税制等の強化によるお客さまの業績悪化

中期~長期

・低炭素・脱炭素製品への移行コストの増加や消費者の製品嗜好の

 変化等への対応の遅れなどによるお客さまの業績悪化

短期~長期

風評リスク

・当行が十分な情報開示を行っていないと判断された場合の当行の

 レピュテーションの低下

短期~長期

機会

 

ビジネス機会の増加

・脱炭素社会への移行を支援するための新たな金融商品やサービス

 の提供機会の増加

短期~長期

・気候変動に伴う災害対策のための公共事業や企業の設備資金需要

 等の増加

短期~長期

コスト削減

・当行事業施設の省資源・省エネルギー化による事業コストの低下

短期~長期

 

 

 B 機会

脱炭素社会への移行や生物多様性などへの対応要請の高まりに伴い、お客さまの経営課題は多様化しています。当行では、中期経営計画でパーパス営業の深化を掲げ、多様化するお客さまの経営課題に対し、2022年10月より導入した事業性評価「つなぐプロセス」を起点にお客さまのゴールやニーズを深掘りし、新たな金融商品サービスの提供や資金需要への対応など、質の高いソリューションの提供に取り組んでいます。

気候変動への対応について、お客さまとのエンゲージメントを強化し積極的に支援することが、地域全体の脱炭素化や経済活性化に貢献することとなり、結果として当行の収益機会の拡大、持続的な成長につながるものと考えています。

 

 

 C シナリオ分析

当行では不確実な将来に対する経営の耐性(レジリエンス)を把握し意思決定に活かすため、戦略の一環としてシナリオ分析を実施しました。分析に活用したシナリオや前提条件は以下の通りです。

 

枠組

基準

年度

1.5℃シナリオ(2050年)

4℃シナリオ(2050年)

TCFD

2025

移行シナリオ:NGFS/NetZero2050,IEA/NZE2050,IPCC/RCP2.6

(1.5℃目標に近いケースとしてRCP2.6を併せて参照している)

想定される主な動き:気温の上昇を抑制するために、必要な規制や技術革新が導入される

物理シナリオ:IPCC/RCP8.5

想定される主な動き:規制の導入が鈍く、地球温暖化がさらに進む

TNFD※1

2025

自然シナリオ#1:Ahead of the game※2

市場の移行が進む×生態系サービスの低下が小さい

自然シナリオ#3:Sand in the gears※2

市場の移行が遅れる×生態系サービス低下が大きい

 

※1 TNFDの枠組によるシナリオ分析は、以下の「(3)自然資本・生物多様性への対応(TNFD提言への取組み) ② 戦略」をご参照ください。

※2 出典:TNFD Guidance on scenario analysis (2023年9月)

 

 <気候変動関連リスクのシナリオ分析結果>

物理的リスクおよび移行リスクについて、複数の温度帯シナリオを用いて分析しました。

当行財務への影響は限定的であると評価ができる結果となりました。

 

 <物理的リスク>

物理的リスクについては、気候変動に起因する自然災害の大半を占め、国内で発生確率の高い水害による影響を分析しました。

分析にあたっては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の8.5シナリオ(4℃シナリオ)を前提に、ハザードマップを利用して推計した「当行担保不動産の価値毀損額」および「浸水に起因するお客さまの事業停滞日数」から、2050年までの当行の与信費用の増加額を試算しました。

また、同シナリオを前提に2050年までの当行事業施設の損害額を試算しました。

 

分析対象

国内に本店を置く融資先中堅・中小企業

当行事業施設

分析内容

ハザードマップを利用して推計した当行

担保不動産(建物・マンション)毀損額・お客さまの業績悪化による売上減少額から、与信費用への影響を推計

ハザードマップを利用して推計した当行事業施設(建物・設備等)損害額および浸水被害が発生する拠点割合を推計

分析結果

2050年までの与信費用増加額

:最大で43億円

2050年までの損害額:最大で1億円

浸水被害が発生する拠点割合:19%

 

 

 <移行リスク>

TCFD提言で気候関連の財務影響を受けやすいとされるセクターのうち、気候変動への影響度と当行のエクスポージャーという観点から、分析対象セクターを選定しており、2025年度は「不動産管理・開発」「加工食品・加工肉」セクターを新たに加えました。

地域の基幹産業のひとつである「自動車」セクターの分析においては、モデル企業以外の取引先についても、取扱製品等の影響度に応じた売上予想に基づいて与信費用増加額を試算するなど、分析結果の精緻化に取り組んでいます。

 

分析対象

「自動車」「エネルギー(電力、石油・ガス)」「トラックサービス」「金属・鉱業」「不動産管理・開発」「加工食品・加工肉」

分析内容

・セクターに対して想定される事業インパクトを定性的に評価

・定性分析に基づき、セクターごとにモデル企業を選定してシナリオの予測データや公開情報等を基に将来の業績変化を予想

・上記分析結果をセクター全体に展開し、与信費用の増加額を試算

分析結果

2050年までの与信費用増加額:累計で266億円

 

 

 D 炭素関連資産の状況

当行の与信残高に占める炭素関連資産の割合は、25.2%となっております。

 

 

エネルギー

運輸

素材・建築物

農業・食料・林業製品

与信額

780億円

3,285億円

12,278億円

1,993億円

18,336億円

割合

1.1%

4.5%

16.9%

2.7%

25.2%

 

(2026年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計。ただし、水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く)

 

 ③リスク管理

当行は気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクが当行の事業運営や戦略・財務計画に大きな影響を与える重要なリスクと認識しています。

気候変動リスクについてはシナリオ分析、自然関連リスクについてはLEAPアプローチに基づき依存度・影響度分析を実施し、把握した各種リスクについて、「信用リスク」「オペレーショナル・ リスク」などリスクカテゴリーごとに影響を把握し、既存の枠組みの中で管理する態勢を整備していきます。

※「Locate(発見する)」「Evaluate(診断する)」「Assess(評価する)」「Prepare(準備する)」のフェーズにより、自然関連の依存、影響、リスク、機会の特定・評価を行うことができる手法。

 

当行は、気候変動および自然関連の各リスクについて、以下の評価手法を採用しています。

・気候変動リスク:TCFDに基づく年次評価

・自然関連リスク:LEAPアプローチに基づく、当行の事業活動および投融資先の自然資本への依存度・影響度分析

分析の結果などを踏まえ、気候変動および自然資本・生物多様性への対応や脱炭素社会への移行に向け、お客さまとのエンゲージメントを強化しています。お客さまごとの課題やニーズを深く理解しソリューションを提供することで、ビジネス機会の創出や管理の強化につなげていきます。

2021年6月に制定した「環境・社会に配慮した投融資方針」の中で、新設の石炭火力発電所を資金使途とする投融資は原則として行わないなど、気候変動への負の影響が大きいセクター向け与信に関する取組姿勢を明文化しています。

 

 <環境・社会に配慮した投融資方針>

群馬銀行は、事業活動を通じて持続可能な社会の実現を目指すため、環境及び社会課題解決に向けたお客さまの取組みを積極的に支援してまいります。

一方、環境への負荷や人権問題など社会への影響の大きい事業等に対する投融資に関しては、以下のとおり慎重に判断し、環境や社会への負の影響を低減・回避するよう努めます。

 

 [石炭火力発電事業]

新設の石炭火力発電所を資金使途とする投融資は原則として行いません。但し、石炭火力に頼らざるを得ない当該国・地域の電力・資源事情等を踏まえ、例外的に取組みを検討する場合には、OECD公的輸出信用アレンジメント等の国際ガイドラインや発電効率性能、環境への影響等を勘案したうえで、慎重に検討を行います。

 

 [兵器等製造]

戦争等に使用される、殺戮・破壊を目的としたクラスター弾などの非人道的な兵器を製造している企業への投融資は行いません。

 

 [パーム油農園開発事業]

環境保全や人権保護の観点から、パーム油農園開発事業への投融資については、国際認証(RSPO ※1)の取得状況や環境への配慮や人権侵害の有無など、地域社会とのトラブル発生状況に十分注意のうえ、投融資判断を行います。

 ※1 Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)

パーム油に関連する7セクター(パーム油生産業、搾油・貿易業、消費者製品製造業、小売業、銀行・投資会社、環境NGO、社会・開発系NGO)で運営する非営利組織。「原則と基準」に基づき農園やサプライチェーンを認証。

 

 [森林伐採事業]

森林伐採事業向け投融資を検討する際には、国際認証(FSC ※2、PEFC ※3)の取得状況や環境への配慮など、地域社会とのトラブル発生状況に十分注意のうえ、投融資判断を行います。

 ※2 Forest Stewardship Council(森林管理協議会)

    「適切な森林管理」を認証する国際的な組織。 

 ※3 Programme for the Endorsement of Forest Certification(森林認証プログラム)

持続可能な森林管理のために策定された国際基準(政府間プロセス基準)に則って林業が実施されていることを第三者認証する「森林管理認証」。

 

 

 ④ 指標及び目標

 A 温室効果ガス排出量

 <スコープ1、スコープ2>

脱炭素社会の実現や社会の持続的発展に貢献していくため、当行における温室効果ガス排出量削減目標「2030年度 ネットゼロ」を設定しています。

2025年度の温室効果ガス排出量は、ネーミングライツを取得したぐんぎん尾瀬片品発電所をはじめとする再生可能エネルギー電力の対象店舗拡大や非化石証書の活用などにより3,212t-CO2(オフセット後)、2013年度比71.3%の削減となりました。

今後も環境に配慮した店舗づくり等、「2030年度 ネットゼロ」達成に向け、取組みを強化してまいります。

 

 

2030年度

目標

 

2022年度

実績

2023年度

実績

2024年度

実績

2025年度

実績

温室効果ガス排出量削減

ネットゼロ

 

26.2%削減

(2013年度比)

57.1%削減

(2013年度比)

59.7%削減

(2013年度比)

71.3%削減

(2013年度比)

 

 

 

                                                                               (単位:t-CO2)

項目

2013年度

2023年度

2024年度

2025年度

スコープ1(注1)

2,019

1,381

1,402

1,417

スコープ2(注2)

9,191

3,435

3,447

2,188

スコープ1+2

11,211

4,816

4,849

3,605

(オフセット)

(9)

(333)

(392)

スコープ1+2

(オフセット後)

11,211

4,807

4,516

3,212

 

(注1) スコープ1:当行自らによる直接排出(重油、都市ガス、ガソリン等)

(注2) スコープ2:他社から供給されたエネルギー使用による間接排出(電気、冷水、蒸気等)

※ 省エネ法の定期報告書の基準に準拠し算出。ガソリンにおける排出量は、年間平均ガソリン単価、排出係数を用いて算出。

※ 温室効果ガス排出量の算出範囲は、当行国内拠点におけるスコープ1、スコープ2。

 

<スコープ3>

当行では、温室効果ガス排出量の計測範囲の拡大に取り組み、2025年度からはグループ会社においても排出量の算定を行っています。

                                                                              (単位:t-CO2)

項目

2023年度

2024年度

2025年度

銀行単体

銀行単体

銀行単体

グループ

全体

カテゴリ1

(購入した商品・サービス)

13,876

14,726

16,433

18,531

カテゴリ2

(資本財)

16,132

11,526

15,501

18,921

カテゴリ3

(スコープ1、2に含まれない燃料

 及びエネルギー関連活動)

1,482

1,212

1,967

2,068

カテゴリ4

(輸送・配送 上流)

310

314

393

433

カテゴリ5

(事業活動から出る廃棄物)

146

206

169

173

カテゴリ6

(出張)

450

739

886

925

カテゴリ7

(雇用者の通勤)

3,242

3,147

3,253

3,366

合計

35,638

31,870

38,602

44,417

 

※ 銀行の計測範囲に合わせて、該当する項目を算定。カテゴリ8~14については、事業の性質上該当なし。

※ グループ会社については、銀行単体の計測方法に準じて算定を実施。

 

[計算方法]

カテゴリ1    : 購入した製品やサービスの金額について、各排出原単位を乗じています。なお、算定にあたっては、当行で利用している経費管理システム等から得られるデータを利用し、勘定科目や摘要コードなどを基に算定要否や使用する排出原単位を判定しています。

カテゴリ2    : 各年度において取得した有形固定資産・無形固定資産の金額に排出原単位を乗じています。

カテゴリ3    : 電気の使用量に排出原単位を乗じています。ガソリン、都市ガス、プロパンガス、重油、蒸気(冷水を含む)の使用量については、「LCIデータベースIDEAV3.5(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」の排出原単位を乗じています。

カテゴリ4    : 郵便料および運輸料(グループ内取引を除く)に排出原単位を乗じています。

カテゴリ5    : 廃棄物の収集・処理にかかる支出額に排出原単位を乗じています。

カテゴリ6、7 : 各交通手段別の交通費支給額並びに従業員数に各排出原単位を乗じています。

 

※計測にあたっては、環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(ver.2.8)」および、環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース(ver.3.6)」を使用。

 

 <スコープ3カテゴリ15について>

金融機関にとって、スコープ3カテゴリ15(投融資先の温室効果ガス排出量)は、気候変動におけるリスクと機会を捉えていく重要なものと考えられることから、PCAFスタンダードの計測手法に基づき、2026年3月末時点における国内の事業性融資先法人に対する投融資を対象にカテゴリ15の試算を行いました。

今後も、計測範囲の拡大および高度化に向けた検討を進めていきます。

※ Partnership for Carbon Accounting Financials。投融資先の温室効果ガス排出量の計測・開示を

  標準化するための基準を開発する国際的なイニシアティブ。

 

[業種別排出量(TCFD炭素関連セクター18業種)]

業種

炭素強度

(t-CO2/百万円)

排出量

(t-CO2)

加重平均

データクオリティスコア

 

業種

炭素強度

(t-CO2/百万円)

排出量

(t-CO2)

加重平均

データクオリティスコア

石油・ガス

5.69

733,665

3.42

 

化学

12.96

486,736

2.21

石炭

 

建設資材

11.88

292,306

3.09

電力

27.12

699,956

2.84

 

資本財

4.15

1,522,552

3.52

航空貨物

12.14

186

4.00

 

不動産管理・開発

1.42

421,320

3.42

旅客空輸

 

飲料

2.67

86,285

3.60

海上輸送

14.13

58,238

1.38

 

農業

5.87

45,266

3.87

鉄道輸送

2.67

113,043

1.53

 

加工食品・加工肉

5.68

867,456

3.81

トラックサービス

3.07

518,890

3.94

 

製紙・林業

4.65

181,096

2.97

自動車及び同部品

12.88

2,083,816

3.10

 

その他

3.17

7,307,165

3.40

金属・鉱業

6.91

1,024,932

3.05

 

合計

16,442,907

3.34

 

 

   [排出量の算定式]

 投融資先の温室効果ガス排出量(ファイナンスド・エミッション)は、投融資先の資金調達総額に占める当行の投融資額の割合(アトリビューション・ファクター)に投融資先の温室効果ガス排出量を掛け合わせて計算しています。

※ 開示情報の取得ができた企業については開示情報、それ以外の企業については推計値を使用

 


 

   [業種別炭素強度の算定式]

 業種別炭素強度は、業種毎に下記の算定式で導出しています。

 


 

[データクオリティスコア]

 利用可能なデータの内容を基に、5段階のスコアを付与しています。スコア1が最もデータの質が高く、スコア5が最も低い質となります。

※  2024年度から第三者保証の取得に取組んでおり、計測方法を変更しています。今後も、投融資先の温室効果ガス排出量の開示拡大や炭素強度データの更新、算定手法の高度化等により、算定結果が変わる可能性があります。

 

 <第三者保証の取得について>

温室効果ガス排出量の計測・開示にあたり、数値の信頼性を確保するため、2024年度から第三者保証の取得に取組んでいます。現在、第三者保証機関による検証作業中となっており、検証結果により、2025年度の温室効果ガス排出量が変更となる可能性があります。

 

 B サステナブルファイナンス

サステナブルファイナンスは、環境課題(再生可能エネルギーや省エネ設備等)や社会課題(創業、事業承継、医療等)の解決に資するファイナンスを対象としています。地域のサステナビリティ実現に向け、環境・社会課題等への取組みをさらに進めていくため、2022年度から2030年度までのサステナブルファイナンス累計実行額目標、3兆円(うち環境分野1兆5,000億円)を設定しています。

また、2030年度目標達成に向け、中期経営計画では、2025年度から2027年度までのサステナブルファイナンス累計実行額目標を1兆2,000億円(うち環境分野6,000億円)に設定しました。

2025年度のサステナブルファイナンス実績は、4,535億円(うち環境分野2,917億円)となりました。

サステナブルファイナンスに積極的に取り組むことで、地域のESG課題の掘り起しや解決につなげていきます。

 

項目

2025年度~2027年度

累計

2025年度

 

2022年度~2030年度

累計

2022年度~2025年度

累計

目標

実績

 

目標

実績

サステナブルファイナンス
累計実行額

1兆2,000億円

4,535億円

 

3兆円

1兆5,819億円

 

うち環境分野

6,000億円

2,917億円

 

1兆5,000億円

8,730億円

 

 

<脱炭素化支援件数>

脱炭素化の取組みを強化するため、2025年度よりつなぐKPIとして脱炭素化支援件数1,000件(3年間累積)を設定しています。2025年度の脱炭素化支援件数は440件となりました。

 

<お客さまの脱炭素化支援>

金融機関にとって、スコープ3カテゴリ15(投融資先の温室効果ガス排出量)の削減は、地域の脱炭素化につながる重要な取組みであり、当行では、「つなぐプロセス」によるエンゲージメントなどを実施しています。

特に、地域経済の中核を担う自動車産業は、電動化の急速な発展など取り巻く環境が大きく変化しており、地域のサプライヤーも取扱製品の電動化対応や、製造過程における温室効果ガス排出量削減など、さまざまな対応が迫られていることから、当行においても自動車セクターを重要なセクターのひとつとして捉え、自動車メーカーOBの招聘などによるサポート態勢の拡充に取組んでいます。

また、セクター別の投融資先の温室効果ガス排出量などを踏まえ、優先的に対応するセクターなどを選定し、お客さまのニーズや状況に応じた最適なソリューションの提供を進めています。

 

<ファイナンスによる地域の脱炭素化への貢献>

地域の脱炭素化に向け、当行では、サステナビリティ・リンク・ローンやぐんぎんSLLプラス、ぐんぎんSX支援ローンなどのサステナブルファイナンスに積極的に取組んでいます。

2022年度から2025年度までに当行が取扱った再生可能エネルギー事業向けの融資により、8,447,888MWhの再生可能エネルギーが創出され、サステナビリティ・リンク・ローンなどのサステナブルファイナンス商品を利用したお客さまの温室効果ガス排出量の削減量は、2,216,488t-CO2となっています。

また、上記削減量を年間に換算すると、当行の温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の172倍に相当し、スコープ3カテゴリ15(投融資先の温室効果ガス排出量)として推計すると、76,618t-CO2の削減効果となりました。※1

 

[サステナブルファイナンスによる環境改善効果(2022年4月~2026年3月)]

項目

効果1

世帯換算※2

再生可能エネルギー事業へのファイナンスによる再生可能エネルギーの創出量

8,447,888MWh

約216万世帯

サステナブルファイナンス商品を利用したお客さまの温室効果ガス排出量の削減量

2,216,488t-CO2

約128万世帯

合計

約344万世帯

(群馬県の世帯数:83万世帯3)

 

※1 サステナブルファイナンス(環境分野)のうち、定量的な効果が算出可能な案件を抽出し、当行の基準に基づき算出。

※2 環境省「令和5年度家庭部門のCO2排出実態統計調査結果の概要(速報値)」をもとに、1世帯あたりの年間温室効果ガス排出量(電気)より算出。

※3 出所:群馬県「令和6年群馬県移動人口調査結果(年報)」

 

(3) 自然資本・生物多様性への対応(TNFD提言への取組み)

当行は、持続可能な社会の実現には、気候変動対応に加え、自然資本の損失を止めて回復させる「ネイチャーポジティブ」の実現が不可欠であると認識しています。このため、2024年4月にTNFD提言への賛同を表明し、TNFDフォーラムに参画しました。

当行の主要エリアである群馬県は、尾瀬国立公園や上毛三山などの豊かな自然に恵まれ、多様な動植物が生息・生育する地域です。当行は、地域における自然資本や生物多様性の保全に積極的に取り組むとともに、TNFD提言に基づく開示の充実に向け、LEAPアプローチに沿った評価・開示を進めていきます。

 

① ガバナンス

自然資本・生物多様性への取組みに関するガバナンスは、上記の「(1)サステナビリティに関する取組み ①ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

A 自然関連リスク・機会の特定

<自然資本の関わりと分析対象範囲>

当行は、日本一の流域面積を誇る利根川や尾瀬国立公園、上毛三山など豊かな自然に恵まれた群馬県を中心に事業を展開しています。地域金融機関として、自社の事業活動および投融資を通じて自然資本から様々な恩恵を受けており、同時に、これらの活動が自然資本に対して影響を及ぼしていることを認識しています。

こうした認識のもと、自然資本に関するリスクと機会を適切に把握・評価するために、分析対象範囲を当行の事業活動および投融資先(お客さまの事業活動)に設定し分析を行いました。

 

<当行の事業活動の自然資本への依存・影響評価>

当行の営業拠点等を対象に自然関連の依存・影響の評価を実施し、分析を進めるために優先分析拠点(優先地域)を特定しました。優先地域の特定においては、保護地域との近接性、生物多様性リスク、水リスクについて自然資本評価ツールを活用して分析しました。その結果、保護地域に近接する拠点や、水リスクの中でも特に水質リスク(水の浄化)が高い地域に該当する営業拠点があることを確認しましたが、当行の営業拠点は主に金融サービスの提供を行う施設(一般的なオフィス)であるため、事業活動を通じた自然資本への影響は限定的であると評価しています。

なお、当行は環境負荷低減に向けた取組みとして、2025年3月に境支店でZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証を取得しており、2026年3月には金古支店および倉賀野支店をZEB店舗として移転・開設しました。これらの店舗では、再生可能エネルギーの活用や緑化推進を通じて、地域とともにサステナブルなまちづくりに貢献していきます。今後も優先地域における自然関連リスクの継続的なモニタリングを実施し、環境負荷軽減に向けた取組みを進めていきます。

 

B 法人投融資先の自然資本への依存・影響評価

TNFDが推奨するLEAPアプローチに基づき、以下のプロセスで自然関連リスクと機会を把握・評価しました。

 


 

<Locate:発見>

国内の法人投融資先を対象に、自然との接点の特定プロセス(Locate)として優先的に分析する投融資先セクター(優先セクター)を選定しました。

優先セクターの選定においては、自然関連の依存・影響が相対的に高く、かつ当行の法人向け投融資先において財務的重要性を考慮した結果、①建設 ②運輸 を特定しました。加えて、地域経済活性化の観点から重要性が高いセクターとして、③食品・飲料 ④金属製品(加工等) ⑤自動車製造 を特定しました。

 

これら5つの優先セクターについて、ENCOREツールを使用してヒートマップを作成し、自然関連の依存・影響がM(中程度)以上の項目を識別しました。

※ 経済が自然にどのように依存し、影響を与える可能性があるのか、環境の変化がどのようにビジネスのリスクを生み出すのかを評価し、可視化するツール。

 


注記)本表は、ENCOREツールから抽出されたデータのうち、優先セクターにおいて依存度・影響度が「中程度」以上と評価された項目を抽出したものです。

 

<Evaluate:診断>

特定した優先セクターを対象に自然関連の依存・影響の詳細分析を進めるため、投融資先の立地市町村を踏まえ、セクターごとに投融資残高で重みづけを行い優先分析拠点(優先地域)を選定しました。これらの優先地域の緯度・経度情報に基づき、投融資先の事業活動における自然資本への依存および自然資本に及ぼす影響について、自然資本評価ツールを活用した詳細分析を実施しました。その結果、各優先セクター・優先地域における自然関連のリスクと機会を特定しました。

 

<Assess:リスクと機会の評価>

特定した自然関連リスクについて、金融機関のリスク分類に整理し、2025年度現状を基準として、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオにおける影響の方向性(変化なし・増大・減少)を定性的に評価しました。リスクと機会の評価においては、投融資先の直接操業並びにバリューチェーン全体における自然資本への依存・影響を把握するため、TNFDやSBTN(Science Based Targets Network)の科学的知見を踏まえて整理されたHICL(High Impact Commodity List:影響度の高い原材料リスト)を活用しています。これにより、投融資先を通じて当行のリスクプロファイルに影響を及ぼし得る自然関連リスクをセクター別に把握しています。

※ 企業や金融機関が科学的根拠に基づき自然資本(生物多様性・水・土地等)に関する目標を設定・管理するための国際的枠組み。

 

  自然関連リスクのシナリオ分析結果

自然関連の物理的リスクおよび移行リスクについて、以下のステップでシナリオ分析を実施しました。

ステップ1)投融資先のリスクと機会を特定

ステップ2)金融機関のリスク分類に整理(信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク)

ステップ3)現状、1.5℃シナリオ、4℃シナリオで定性的な評価を実施

ステップ4)リスクについては評価結果を定量化し、優先セクター別にリスクチャートを作成

機会については個別に対応策を検討

 

 

 

優先

セクター

1.5℃シナリオに

おける傾向

4℃シナリオに

おける傾向

当行における主な影響と

解決策の検討

建設

低炭素建材・環境配慮型建築への移行が継続し、木材・セメント等の調達制約および施工制約が常態化。

洪水・異常気象等による労働環境悪化や工期遅延等が頻発し、対策コスト増加。

低炭素技術導入の対応によるコスト増加・収益性悪化により信用リスク増大が懸念される。サステナブルファイナンスや災害対策資金需要への対応を検討する。

運輸

排ガス規制強化に対応するための車両更新(ZEV化)費用増加による移行リスクが増大。

洪水・異常気象等により道路網の寸断や物流拠点の被災(または浸水)が常態化。運行停止やルート変更等が頻発し対策コスト増加。

脱炭素化および燃料転換の遅れは、将来的なコスト増加や収益性の低下等につながり信用リスク増大が懸念される。脱炭素コンサルティングのほか、物流拠点整備に対するファイナンスを検討する。

食品・飲料

食品リサイクル等の義務付け強化(食品廃棄物等の発生の抑制・減量化・再利用)や、プラスチック包装規制への対応コストによる移行リスクが顕在化。

内陸性気候地域における気温上昇によって、農畜産物の収量・品質への影響が顕在化。食品・飲料製造では、原材料調達が不安定化し、調達コスト増加。

自然資本への依存が高く、調達コスト上昇により収益が悪化し、信用リスク増大が懸念される。持続可能な原材料調達(調達先分散や代替品確保等)に向けた支援のほか、環境負荷の低減に資するファイナンスを検討する。

金属製品
(加工等)

化学物質・廃棄物処理・排水に関する規制が厳格化され、対応コスト増加による移行リスクが顕在化。

洪水・異常気象等による工場浸水・操業停止、高温による取水制限・冷却水不足、有害物質流出リスク等が顕在化。

対応コスト増加による収益性悪化や有害物質流出発生時等における信用リスク増大が懸念される。脱炭素や自然資本に関する啓蒙活動のほか、環境負荷の低減に資するファイナンスやコンサルティングを検討する。

自動車製造

脱炭素投資への移行、輸送用機器産業におけるEV転換対応要請の加速や、環境保全に向けた規制強化など、移行リスクが顕在化。特に県内に集積する自動車部品サプライヤーへの影響が懸念される。

洪水・異常気象等による部品サプライチェーン寸断、操業停止、有害物質流出リスク増加。特に県内に集積する自動車部品サプライヤーでは災害時操業支障リスクが増大。

脱炭素化およびEV転換への遅れは競争力低下につながり、信用リスク増大が懸念される。環境認証制度の取得支援、BCP対応支援(製造拠点分散等)のほか、環境負荷の低減に資するファイナンスや事業領域の多角化(他セクターへの進出等)支援を検討する。

 

 

<Prepare:対応策>

リスクへの対応

当行は、LEAPアプローチに基づく評価(シナリオ分析含む)の結果を通じて特定された自然関連リスクに対し、投融資先企業との対話・支援を強化していきます。お客さまとのエンゲージメントを起点として、自然資本の保全・回復や自然関連リスクの低減に向けた取組みを支援するコンサルティング機能の高度化に取り組むことで、当行およびお客さまにおける自然関連リスクの顕在化の抑制と、事業のレジリエンス向上を図っていきます。

 

機会への対応

当行は、自然資本への対応についてもTNFDへの取り組みを踏まえ、お客さまとのエンゲージメントの強化
を検討していきます。お客さまの課題やニーズを深く理解しソリューションを提供することで、地域全体の
自然資本・生物多様性保全や経済活性化に貢献するとともに、当行の事業機会の拡大を図っていきます。

 

 

③ リスク管理

自然資本・生物多様性への取組みに関するリスク管理は、上記の「(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組み) ③ リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

自然資本・生物多様性への取組みに関する指標及び目標は、上記の「(2)気候変動への対応(TCFD提言への取組み) ④ 指標及び目標」をご参照ください。

 

(4) 人的資本、多様性への取組み

当行は、中期経営計画「『Growth with“Purpose”』~地域と群馬銀行グループの持続的な成長に向けて~」において、パーパス「私たちは『つなぐ』力で地域の未来をつむぎます」の実現に向けた重点課題(マテリアリティ)のひとつとして、「人的資本の充実」を掲げています。

当行は、地域と当行グループを持続的に成長させパーパスを実現する原動力になるのは役職員一人ひとりであり、価値を生み出す源泉(資本)であるという考えのもと、人的資本の充実に向け、経営戦略と連動した人財戦略に取組んでいます。

また、当行は人材戦略に基づく人材育成方針・社内環境整備方針及び非財務KPIを定め、諸施策に取り組んでおります。なお、本方針及び非財務KPIは以下の「②戦略」「④指標及び目標」にそれぞれ記載しております。

 


 

 

 ① ガバナンス

当行グループの人的資本、多様性への取組みに関するガバナンスは、上記の「(1)サステナビリティに関する取組み ①ガバナンス」をご参照ください。

 

 

② 戦略

<人材育成方針>

「パーパスの実現に向けて、一人ひとりの個人パーパスを起点とした自律的なキャリア形成と挑戦を支援し、人材の価値を向上させていきます。」

 

 私たち群馬銀行グループは、2021年11月にパーパス「私たちは『つなぐ』力で地域の未来をつむぎます」を制定しました。
お客さまや地域のニーズが高度化・多様化するなか、その期待に応えていくための「つなぐ」力の強化に向けて、全ての役職員に対して自律的に意欲や能力を高めていく機会を提供し、グループ内外のステークホルダーと連携して創造力と総合力を発揮し、パーパスを実現できる人財の育成を図っていきます。また、役職員一人ひとりが地域社会とともに持続的に成長することによってイノベーションを創出し、地域社会の未来をつむいでいきます。

 

<社内環境整備方針>

「価値創造の源泉である役職員一人ひとりが、お互いの個性や能力を認め合いながら心身共に健康で活躍し続け、Well-beingを実現できる環境を整備していきます。」

 

 仕事やキャリア形成に関する価値観が多様化するなか、私たちは働き方改革やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンに積極的に取組むとともに、個々の能力を最大限に発揮できる「適所適材」の活躍機会の提供等により、全役職員が生き生きと働きがいを持ちながら活躍し続けられる健全で快適な職場環境を構築し、一人ひとりのWell-being実現を目指していきます。

 

 

 

2026年3月期における主な取組み

自律的なキャリア形成と挑戦の支援 

当行は、自律的で活力のある組織への転換を目指し、2024年6月にジョブ型人事制度を導入しました。当該人事制度を起点とした、行員による自律的なキャリア形成と挑戦を支援するため、2026年3月期は以下の取組みを実施しました。

 

A ジョブポスティング制度の実施

当行では、自律的かつ多様なキャリア形成を支援する取組みとして、募集職務への配置を希望する行員を公募する「ジョブポスティング制度」を導入し、支店長職や本部専門部署など、様々な職種への配属希望者の公募を実施しました。

本制度がスタートした2024年12月には183名の応募があり、そのうち30名を希望する職種へ任命しました。また、2025年10月は244名と応募者が増加し、そのうち65名を任命しました。過去2回の任命実績は以下の通りであり、行員の希望・適正を踏まえた、幅広いポストへの任命・配置を実施しています。

 

[ジョブポスティング制度活用によるポストへの任命実績(※)]

 

支店長・副支店長

次課長・役

営業店への配置

本部専門部署への配置

合計

2025年

10名

13名

7名

30名

2026年

16名

15名

6名

28名

65名

 

※ 4月1日付異動者のうち、公募に基づき任命した数

 

B 行内FA制度の導入

当行では、評価が高く、専門資格を有するなど、一定の条件を満たした行員が、自ら希望する職務への配属希望を宣言できる「行内FA(フリーエージェント)制度」を導入しました。

本制度では、FA宣言者は自ら希望する職務や配属先を最大3つまで宣言することができ、FA宣言した本人は、当該宣言に基づく、希望部署との面接(FA交渉)により、希望するキャリアを実現させることができます。このように、当行では、専門性の高い人材の自律的なキャリア形成と挑戦を、制度の側面から支援しています。

なお、今年度は17名の応募があり、以下の通り13名が自身の希望するポストへ任命・配置されました。

 

[行内FA制度活用によるポストへの任命実績(※)]

 

支店長・副支店長

次課長・役

営業店への配置

本部専門部署への配置

合計

2026年

3名

5名

5名

13名

 

※ 4月1日付異動者のうち、公募に基づき任命した数

 

C プロジョブ公募制度

当行では、ジョブ型人事制度の導入に伴い、スペシャリスト職群に対する公募の機会を提供するため、「プロジョブ公募制度」を導入しています。

本制度では、専門分野に関する高度な知識と豊富な実務経験を有する行員の能力の積極活用および適所適材の登用を目的としており、今年度は以下の通り26名の任命を行い、2026年4月1日現在の任命者は191名となっています。

 

[プロジョブ公募制度によるスペシャリスト職群への任命実績(※)]

職位

シニアエキスパート

エキスパート

プライマリーエキスパート

合計

任命人数

6名

16名

4名

26名

 

※ 2026年4月1日付で、本制度により任命した数

 

 ③ リスク管理

当行は、人的リスク(不適切な就労状況・職場・安全環境、人材の流出・喪失、士気の低下、不十分な人財育成等により損失を被るリスク)について、オペレーショナル・リスクの一つに区分しており、オペレーショナル・リスクに関する基本規定等に基づいて管理しております。

また、人事運営上の諸問題の発生(報酬・手当・解雇等の問題、ハラスメント等)や、役職員の法令違反行為等に起因する不祥事件、訴訟等の発生についても、リスクの顕在化が想定される主な要因として認識しており、コンプライアンス体制の構築とその実践に努めております。

 

 ④ 指標及び目標

 

重点課題と主な施策

非財務KPI
(注) 1  (注) 2

 

2027年度
目標

2025年度
実績

 

経営戦略と連動した人財ポートフォリオの構築

・能力把握によるAs is-To beギャップの把握

・デジタル人財育成の強化

・各種上位者向け研修、トレーニーの実施

スキルレベル上位者数の割合
※ 年度末における割合(注)3

 

 

 

 法人コンサルティング

 

30%

26.6%

 個人コンサルティング

 

30%

29.9%

デジタル人財認定者数
※ 年度末における人数(注)4

 

 

 

 コア人財

 

30名

19名

 ミドル人財

 

300名

277名

 ベース人財

 

1,500名

1,650名

専門資格保有者数
※ 年度末における人数(注)5

 

330名

308名

 

ジョブ型人事制度に基づく採用・育成・キャリア支援

・計画的な専門人財の確保

・キャリア採用の拡大および新たな採用手法の発展・進化

・キャリア実現に向けた研修の多様化や自律的な学びの促進

・経営人材開発委員会の活用など次世代リーダーの育成に向けた取組み強化

・ジョブポスティングによる幅広いポストの公募の定着化

一人あたり人財投資額(注)6

 

 250,000円

180,757円

(投資総額)

 

(730百万円)

(515百万円)

中途採用比率

 

30%

39.6%

スペシャリスト職群任命者数
(注)7

 

250名

191名

 

DE&I推進

・女性の管理職登用に向けた育成の加速

・女性がより高い職位を目指せる体制・働き方等支援の充実

・育児・介護と仕事の両立支援の拡充

・多様性・専門性追求に向けたキャリア採用の強化

・リスキリングプログラム等の提供による新たなキャリア形成機会の提供

 

女性管理職比率

 

30%

23.4%

女性部店長比率

 

20%

14.0%

中途採用者の管理職登用率

 

47.3%

男性育休等取得率

 

100%

100.0%

男女間賃金格差

 

 

 

 全労働者

 

52.6%

 正規雇用労働者

 

61.8%

 パート・有期労働者

 

59.2%

男性育休等平均取得期間(注)8

 

30日以上

20.2日

 

役職員のWell-being向上への取組み

・「働きやすさ」と「働きがい」の追求

・従業員のファイナンシャル・ウェルネスの向上

・職場環境の整備によるエンゲージメントの向上

・健康経営推進による生産性向上と組織活性化

有給休暇取得率

 

80%以上

80.8%

個人パーパス実践度合い(注)9

 

 

 

 理解

 

4.4

 共感

 

3.8

 行動

 

3.4

エンゲージメント指数(注)10

 

持続的向上

102.8

健康経営優良法人認定

 

認定

認定

 

 

(注)  1 非財務KPI(目標・実績)は、当行グループにおいて主要な事業を営む銀行単体の計数としております。

2 目標を設定していない非財務KPIは、2027年度目標欄に計数を記載しておりません。

3 従業員の業務スキルや職務特性を3段階評価、うち最上位レベルと認定された者の割合

法人…高度なスキルを用いたコンサルティングにより企業価値の向上に貢献できる人財

(FP1級・中小企業診断士の資格保有者等)

個人…高度な資産運用の専門知識を有し、顧客本位の業務運営ができる人財

(FP1級・証券アナリストの資格保有者等)

4 ITの活用により変革的に取り組む人財を「デジタル人財」と定義し下記の基準により3段階に分類しております。

コア人財 …ITの活用により新たな事業や商品・サービス、業務改革等、当行グループの変革を牽引する

(高度情報処理技術者・統計検定2級の資格保有者等)

ミドル人財…顧客に対してITの活用提案・導入・定着を支援する

(ITコーディネーター・情報処理技術者試験レベル1以上の資格保有者等)

ベース人財…ITの基本的な知識を有し、行内システムなどのITを活用し効率的に業務を行う

(ITパスポートの資格保有者等)

5 専門資格は、中小企業診断士、FP1級・CFP、証券アナリスト、公認AMLスペシャリスト、高度情報処理技術者等としております。

6 一人あたりの人財投資額は、「研修に係る費用(資格取得に伴うセミナー等費用、研修派遣者の人件費、研修所経費等)÷業務職の年度平均在籍者数」にて算出しております。

7 2027年度目標を2028年4月における人数、2025年度実績を2026年4月における人数としております。

8 男性育休等平均取得期間は、前々年度に出生した子の1歳までの平均育児休業等取得日数としております。

9 個人パーパスの実践度合いは、理解・共感・行動の3つの尺度において、個人パーパスに関する5段階評価の設問を用意し、その回答結果を基に平均を算出しております。

10 従業員のエンゲージメントを可視化し調査結果を分析するツール「wevox」のエンゲージメント指数の結果は2024年度末時点を100として推移を開示します。