2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,268名(単体) 1,357名(連結)
  • 平均年齢
    40.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.1年(単体)
  • 平均年収
    6,934,000円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2025年3月31日現在

セグメントの名称

銀行業

リース業

クレジットカード業・信用保証業

その他

合計

 従業員数(人)

1,268

〔421〕

14

〔1〕

29

〔3〕

46

〔1〕

1,357

〔426〕

 

(注) 1 従業員数は、嘱託及び臨時従業員599人を含んでおりません。

2 従業員数は、執行役員9人を含んでおりません。

3 臨時従業員数は、〔 〕内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

(2) 当行の従業員数

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

1,268

40.3

18.1

6,934

〔421〕

 

(注) 1 従業員数は、嘱託及び臨時従業員576人を含んでおりません。

2 従業員数は、執行役員9人を含んでおりません。

3 当行の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

4 臨時従業員数は、〔 〕内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

5 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

6 当行の従業員組合は、岩手銀行労働組合と称し、組合員数は848人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(3) 当行の管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1、注3)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2、注4)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1、注5)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

7.6

106.7

44.8

59.2

59.1

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号、以下「女性活躍推進法」という)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号、以下「育児・介護休業法」という)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号、以下「育児・介護休業法施行規則」という)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 連結子会社の当事業年度における管理職に占める女性労働者の割合について、連結子会社が「女性活躍推進法」の規定による公表を行わないことから記載を省略しております。

4 連結子会社の当事業年度における男性労働者の育児休業取得率について、連結子会社が「女性活躍推進法」の規定による労働者の男女別の育児休業取得率の公表を行わないこと、「育児・介護休業法」の規定による労働者の育児休業の取得の状況の公表を行わないことから記載を省略しております。

5 連結子会社の当事業年度における労働者の男女の賃金の差異について、連結子会社が「女性活躍推進法」の規定による公表を行わないことから記載を省略しております。

 

① 管理職に占める女性労働者の割合

管理職数(人)

うち女性(人)

女性割合(%)

289

22

7.6

 

(注) 1 管理職数は、女性活躍推進法における「管理職」の定義に従い、次長級以上のうち、マネジメント職群にあたる行員を記載しております。

2 管理職数は、2025年3月31日現在の在籍者とし休職者は含めておりません。

 

② 役席者に占める女性労働者の割合

役席者数(人)

うち女性(人)

女性割合(%)

657

110

16.7

 

(注) 1 役席者数は、役職を有する行員を記載しております。

2 役席者数は、2025年3月31日現在の在籍者とし休職者は含めておりません。

 

③ 男性労働者の育児休業取得率

配偶者が出産した男性労働者数(人)

育児休業等を取得した男性労働者数(人)

育児休業取得率(%)

15

16

106.7

 

(注) 1 育児休業等を取得した男性労働者数には、産後パートナー休暇(子の出生後8週間以内における28日間を限度とした有給の休暇制度)取得者を含めております。

 

④ 労働者の男女の賃金の差異

 

男性平均賃金(円)

女性平均賃金(円)

差異(%)

正規雇用労働者

8,128,162

4,813,770

59.2

パート・有期労働者

2,451,654

1,448,561

59.1

全労働者

7,515,809

3,369,774

44.8

 

(注) 1 正規雇用労働者は、行員、無期の嘱託(フルタイム労働者)としております。

2 パート・有期労働者は、有期の嘱託(フルタイム労働者)、パートタイマー(無期・有期)としております。

3 平均賃金は、退職金及び通勤手当を含めておりません。

4 正規雇用労働者の男女別賃金差異が生じている要因

平均賃金の高い役職者割合の差異が要因となっており、具体的には当年度の支給対象延べ人数における支店長及び役職者クラスの割合は、男性69.4%((3,014人+3,997人)/10,105人)に対して女性22.8%((144人+1,234人)/6,055人)となっております。

・一般クラス(世帯形成層)の差異が8割程度となっておりますが、その要因は当該クラスにおける「エリア選択制度」の利用率が男性13%に対して女性67%である点にあります。なお、エリア選択制度を利用する場合、利用しない者との賃金格差を15%程度設けております。

 

※<参考>正規雇用労働者におけるクラス別の月額平均賃金

 

男性

女性

差異(%)

(②/①)

備考

 

延べ人数(人)

①平均賃金(円)

延べ人数(人)

②平均賃金(円)

支店長クラス

3,014

642,888

144

597,756

93.0

 

役職者クラス

(支店長クラス除き)

3,997

487,911

1,234

426,489

87.4

 

一般クラス

(世帯形成層)

1,936

343,760

2,982

286,393

83.3

エリア選択制度の女性利用率が高い

一般クラス

(独身層)

1,158

267,069

1,695

242,218

90.7

 

合計

10,105

481,210

6,055

309,983

64.4

 

 

5 パート・有期労働者の男女別賃金差異が生じている要因

パート・有期労働者の約55%が女性のパートタイマー(60歳以上のシニアパート除き)となっており、配偶者の扶養の範囲内(月平均9万円程度)で就労していることが要因となっております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般

 ① ガバナンス

a.サステナビリティ方針

当行グループでは、「地域社会の発展に貢献する」の経営理念のもと、社会や環境に配慮した企業活動の展開により、持続可能な地域社会の実現に取り組んでおります。

2023年4月に掲げた向こう10年の長期ビジョン「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」においては、サステナビリティ方針に則り、地域資源の強みとさらなる可能性を引き出し、新たな価値を生み出していくことで、サステナブルな地域社会の実現を目指しております。

当行グループは、長期ビジョンの達成に向け、引き続き地域のリーディングカンパニーとして内外のサステナビリティを巡る諸課題に積極的かつ組織的に取り組むとともに、「ESG(環境・社会・企業統治)経営」と「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)経営」の実践を通じた企業価値の向上に取り組んでまいります。

サステナビリティ方針

岩手銀行グループ(以下、当行グループという)は、持続的な地域社会の実現に向けて、地域、お客さま、株主・投資家のみなさま、当行グループ職員をはじめとするすべてのステークホルダーの権利や立場を尊重しながら、事業活動を通じてみなさまとともに環境、社会、経済のそれぞれの共通価値を創造してまいります。

1.地域やお取引先における多様な課題の解決に資する事業活動を通じて、「地域経済の発展」と「当行グループの企業価値の向上」の好循環を創出します。

2.お客さまや地域のニーズに合った良質な金融機能の開発、提供に努め、当行グループの使命である地域経済の活性化や豊かな暮らしの実現を目指します。

3.豊かな自然環境を有する岩手県を主たる営業地盤とする企業グループとして環境に配慮した経営を実践し、経済成長と環境保全の両立を目指します。

4.経営の透明性の向上や監督機能の強化など、より高い水準のコーポレート・ガバナンス体制の確立を目指し、すべての職員が高い倫理観をもって職務を遂行します。

5.人材はあらゆる価値の源泉であるとの認識のもと、職員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる環境を整え、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現します。

6.経営情報の積極的かつ公正な開示に努め、あらゆるステークホルダーとの継続的かつ建設的な対話を通じて、当行グループに対する期待と信頼に応えていきます。

 

<サステナビリティに関連する当行のこれまでの主な指針・表明事項>

制定・表明時期

内  容

2013年7月

CSRの基本方針

(コンセプトワード「みどりの銀行のイーハトーヴ宣言」を制定)

2017年1月

岩手銀行イクボス宣言

2019年9月

いわぎんグループSDGs宣言

2021年8月

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同

2021年8月

いわぎん健康経営宣言

2022年4月

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進

2023年3月

サステナビリティ方針

2023年4月

人事ポリシー

2023年6月

パートナーシップ構築宣言

2024年3月

マルチステークホルダー方針

 

 

b.サステナビリティ推進委員会の設置

当行は、気候変動がお客さまや当行に及ぼすリスク及び機会を分析・評価し、地域社会のカーボンニュートラルを実現するため、2021年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。2022年8月には、TCFD提言への対応を促進するとともに、ESG経営に関する基本方針や施策を協議・進捗管理することにより持続的な地域社会の実現に資することを目的に、「サステナビリティ推進委員会」(以下、委員会)を設置しております。

委員会は頭取を委員長、取締役専務執行役員を副委員長、その他の常勤取締役や本部各部室長、グループ会社代表者を委員として構成しております。また、施策の企画・立案・研究を行う機関として、本部職員、営業店職員、グループ会社職員で構成する分科会を設置しており、随時開催する分科会において策定した具体的な推進施策等を委員会に対して提言しております。

委員会は原則として年2回開催しており、委員会での協議の内容、進捗状況及びその他必要な事項については取締役会に対し適時・適切に報告し、取締役会では執行状況を監督のうえ、適宜委員会に対して指示・提言・助言などを行っております。取締役会からの指示等を委員会や分科会の活動はもとより経営全般に反映させていくことで、サステナビリティ全般への取組の質の向上に努めております。


<サステナビリティに係る委員会・取締役会等開催状況(2024年4月~2025年3月)>

日 付

会 議

主な協議事項・報告事項等

2024年7月4日

第6回委員会

温室効果ガス(GHG)排出量の実績と削減に向けた取組、地域の脱炭素化に向けた取組、物理的リスクと移行リスクのシナリオ分析結果、サステナブルファイナンスに関する取組と実績、人的資本の開示、2023年度のサステナビリティに関する主な取組

7月23日

取締役会

GHG排出量の実績と削減に向けた取組、物理的リスクと移行リスクのシナリオ分析、人的資本の開示、サステナブルファイナンスの実績

2025年1月21日

第7回委員会

ファイナンスド・エミッションに対応したGHG排出量算定ツールの導入、GX人材育成への取組、人的資本やシナリオ分析の開示方針、当行グループのGHG排出量の削減予想、サステナブルファイナンスの実績、当行のESGスコア、再生可能エネルギー関連事業の進捗状況

2月25日

取締役会

2024年度中の活動状況について「TCFD対応」や「人的資本の最大化」に関する取組を中心に報告

分科会

投融資先の排出量可視化・脱炭素化へ向けた取組支援(ビジネスマッチング、コンサルティング)等

 

 

 ② 戦略

長期ビジョンを実現していくにあたり、当行グループのサステナビリティ方針を踏まえ、成長分野と経営基盤という観点から5つのマテリアリティ(重点分野)を特定しております。特定したマテリアリティは、中期経営計画に落し込み、基本方針及び重点戦略として設定しております。

今後は重点戦略の進捗状況を管理し、PDCAサイクルを実践のうえ、ESG&SX経営を推進してまいります。

<当行グループのマテリアリティ>


<マテリアリティ特定プロセス>

・GRIスタンダード等の各種ガイドライン、SDGs・ESGに関する外部要請事項等を考慮し、当行グループに関連・影響する課題や要因を抽出

・抽出した課題について、類似項目など課題を整理し、「当行グループにとっての優先度」と「ステークホルダーにとっての重要度」の2軸で分析し、優先度の高い順に絞り込み

 ※ 当行グループにとっての優先度:地域企業の課題解決と地方創生への貢献度、企業価値向上への寄与度

 ※ ステークホルダーにとっての重要度:地域社会や経済へのインパクト、持続可能性への貢献度

・主要とする営業エリア(岩手県)のポテンシャルや特徴などを洗い出し

・洗い出した課題と地域のポテンシャルを考慮し、今後、当行グループに求められる事項を洗い出し

・プロセスを踏まえ、マテリアリティを整理するとともに特定

<マテリアリティに関連するリスク、機会及び主な取組>

マテリアリティ

機会

リスク

主な取組

地域創生と地域産業の成長支援

・企業の経営課題の複雑化・高度化に伴うソリューションニーズの増加

・「人生100年時代」を見据えた資産形成ニーズの拡大

・社会構造変化やお客さまニーズへの対応不足による業績悪化

・地域の人口減少、企業の後継者不在等による持続可能性の低下

・企業活動を通じた地域社会の共通価値(CSV)の創出を通じて、新たな課題解決策を提供する

 

 

データ利活用によるサービスと価値の提供

・デジタル化進展に伴う非対面ニーズ、デジタルソリューションニーズの増加

・データを活用した革新的な金融商品や付加価値サービスの創出

・デジタル化への対応遅れや異業種参入などによるグループ競争力の低下

・サイバー攻撃によるシステム障害や情報改ざんリスクの増大

 

・DX事業者等との協業により、地域のお客さまに対して、デジタル技術と地域金融機関の強みである対面サービスとの融合による新たな価値を提供する

 

 

マテリアリティ

機会

リスク

主な取組

脱炭素社会実現に向けた先導的・革新的対応

・地盤とする岩手の強みを活かしたビジネスの創出

・脱炭素社会への移行に伴う新たなファイナンス・サービスの拡大

 

 

・気候変動に関する対応遅延や不足によるステークホルダーからの信認低下

・異常気象に伴う災害発生等による地域企業の財務悪化

 

・グループのCO削減、取引先及び地域に対する脱炭素支援への取組を通じて、脱炭素社会の実現に向けた先導的役割を果たす

 

人材の価値を最大限に引き出す組織づくり

・働きがい向上による多様な人材の確保

・組織風土の変革による新たな発想と価値の創出

 

 

・社会環境の変化への非対応によるエンゲージメントの低下や人材の流出

・優秀な人材の他社流出に伴う、組織の競争力低下

 

・人材は最重要な経営資本との認識のもと、多様な人材がその能力を発揮できる環境を整え、個の力を結集して新たな価値を創造する組織をつくる

コーポレート・ガバナンス態勢の高度化

・持続可能な経営体質へ変革

・内部統制や監査機能の充実によるリスクの早期発見・迅速な対応

 

 

・ガバナンス態勢の整備不足による収益機会の喪失

・サイバーリスクやマネロン等金融犯罪防止への対応コストの増加

・ステークホルダーとのエンゲージメントを重視し、経営の透明性向上や監督機能の強化など、より高い水準のコーポレート・ガバナンスを確立する

 

 ③ リスク管理

当行は、「リスク管理基本規程」を制定し、統合的リスク管理の基本方針を定めるとともに、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクの4つの管理すべきリスクについて、定義、基本方針、責任体制等を明確に定めております。また、各種リスクの統合的管理部署としてリスク統括部を設置し、リスク管理状況のモニタリング等により、リスクの一元的な管理を実施しております。

 ④ 指標及び目標

当行では、長期ビジョンの実現に向けた当行グループの地域への貢献度を測る指標として、「地域価値共創目標」を設定しております。

なお、気候変動及び人的資本に関する指標及び目標は、(2)気候変動、(3)人的資本に記載しております。

<地域価値共創目標>

指標

長期的目標

当行の取組、関与

岩手県の経済成長率

岩手県の県内総生産(実質)の対前年度増加率が、継続的に国の経済成長率と同等以上を目指す

販路拡大や生産性向上などお客さまの企業価値向上に資する取組や起業創業支援、自治体との連携による企業誘致や地域の開発などの活動を通じて、岩手県の経済成長に貢献する

岩手県の温室効果ガス排出量の削減

「いわてゼロカーボン戦略」に掲げる岩手県の2030年度温室効果ガス排出量2013年度比57%削減

環境対応に資するファイナンス支援や取引先の環境課題解決、再エネ事業への参画などの活動により、地域の脱炭素化を先導する

 

 

(2)気候変動

 ① ガバナンス

当行の気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれております。詳細については「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 ② 戦略

a.気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会

当行における気候変動に伴うリスクと機会は以下のとおりです。

リスクの種類

事業へのインパクト

機会

移行リスク

・炭素税などの対価の発生・増加

・設備投資や新しい技術への対応

・消費行動の変化

・政策や規制、技術、市場、評判の観点から、当行及び企業の財務面に影響を及ぼす短期的、中長期的なリスク

・環境課題や社会課題の解決ならびに持続可能な社会の実現に資する融資等のファイナンス

・気候変動に関する課題の解決に向けたコンサルティングやソリューションの提供

・当行グループのGHG排出量削減を含む脱炭素社会実現に向けた先導的・革新的対応

物理的リスク

・洪水、強風、熱波、雪害など極端な事象の発生頻度の高まり

・平均気温の上昇や海水面の上昇

・不動産担保物件の毀損や事業の停止に伴い当行及び企業の財務面への影響を及ぼす急性・慢性の物理的なリスク

 

ア.移行リスク

当行は、与信の状況を踏まえ、脱炭素化の影響が最も大きいと考えられるエネルギーセクター及び岩手県の主要な産業である自動車関連セクターを対象としてリスク量を算定しております。

なお、算定にあたっては、「2050年IEA(国際エネルギー機関)ネットゼロシナリオ(NZE)1.5℃」を使用しております。

今回の分析の結果、移行リスクによる与信コストの増加は累計24億円を見込んでおります。

イ.物理的リスク

当行は、岩手県内所在の担保取得建物が毀損するケース及び岩手県内の法人が事業の停止を余儀なくされるケース、当行が保有する店舗への被害を想定し、百年に一度の洪水が今後25年以内に発生するIPCC4℃シナリオにより、リスク量を算定しております。

今回の分析の結果、物理的リスクによる与信コスト等の増加は最大18億円を見込んでおります。

b.炭素関連資産

炭素関連資産は、一般的に直接的または間接的なGHG排出量が比較的高い資産または組織とされており、当行では次のセクターに関連する資産を炭素関連資産としております。

〈金額単位:百万円)

セクター

項  目

2023年度

2024年度

 エネルギー

金  額

59,393 

61,329

貸出金に占める割合

2.82%

2.77%

 運輸

金  額

60,895 

61,821

貸出金に占める割合

2.90%

2.80%

素材・建築物

金  額

289,957 

319,648

貸出金に占める割合

13.81%

14.48%

農業・食料・林産物

金  額

68,551 

71,760

貸出金に占める割合

3.26%

3.25%

炭素関連資産合計

478,797 

514,559

貸出金に占める割合

22.80%

23.31%

 

 

炭素関連資産の算定プロセス

●  セクターと主な業種

取引先ごとに主たる業種に基づき設定している業種コード及び業種の名称について、GICS(世界産業分類基準)も参考にして「エネルギー」、「運輸」、「素材・建築物」、「農業・食料・林産物」、「その他」の5つのセクターに当てはめてから、「その他」を除くセクターごとに複数の主な業種に分類しております。

主な業種について、エネルギーセクターは「石油、ガス」「石炭」「電力事業」、運輸セクターは「航空貨物輸送」「航空旅客輸送」「海運」「鉄道輸送」「トラックサービス」「自動車、部品」、素材・建築物セクターは「金属、鉱業」「化学品」「建材」「資本財(建物等)」「不動産管理、開発」、農業・食料・林産物セクターは「飲料」「農業」「包装食品、肉」「紙、林産物」としております。

なお、石油卸売業、運輸に附帯するサービス業、産業用機械器具関連事業は炭素関連資産に含めており、再生可能エネルギー関連、上下・工業用水道事業、内陸水運業は炭素関連資産に含めておりません。

●  金額

各年度末時点で主たる業種が上記のセクター・主な業種に該当する法人及び個人事業主向けの事業性貸出金(割引手形、手形貸付、証書貸付、当座貸越)の残高としております。

 

当行は、再生可能エネルギー(太陽光・風力・バイオマス・水力が対象、地熱は除く)及び火力発電向けのプロジェクトファイナンスについて総与信額や個別案件の取組基準を設定しております。また、取組基準や方針の運用状況等について、資金の運用、調達両面にわたる基本方針等を協議することにより収益の向上とリスク管理に資すること等を目的に設置しているALM委員会で協議しております。

 ③ リスク管理

サステナビリティ方針やGHGに関連する指標等の算定を踏まえ、環境・社会に対して負の影響を助長する可能性の高い特定セクターへの融資を制限することについて、次のとおり明確化しております。

特定セクターに対する融資方針

1.石炭火力発電事業

石炭火力発電所の新設案件への融資は、原則としていたしません。

ただし、エネルギー安定供給に必要不可欠で温室効果ガスの削減を実現する案件(※)については、慎重に対応を検討します。

※超々臨界圧などの環境へ配慮した技術を有する案件

2.パーム油農園等開発事業

パーム油農園等の開発事業において、違法な森林伐採や生物多様性を毀損する案件への融資はいたしません。

3.非人道兵器製造関連事業

クラスター弾等の非人道兵器の開発・製造に関与する事業者に対しては、資金使途を問わず融資いたしません。

4.人権侵害に関与する事業

人身売買、児童労働または強制労働に関与する事業者に対しては、資金使途を問わず融資いたしません。

 

 

 ④ 指標及び目標

a.GHG排出量

今回算定・推定したGHG排出量は次のとおりです。

ア.スコープ1、2(連結子会社を含む、単位:t-CO

区  分

2023年度

2024年度

スコープ1

1,051

1,034

スコープ2

1,774

1,054

合 計

2,825

2,088

 

<スコープ1、2の算定プロセス>

スコープ1は直接排出(ガソリン、灯油、重油、ガス)、スコープ2は間接排出(電気)であり、それぞれの使用量に対して最も適切と考えられる排出原単位を乗じて算定しております。

排出原単位は、環境省が公表している「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」ならびに「電気事業者別排出係数(特定排出者の温室効果ガス排出量算定用)」を利用しております。

 

イ.スコープ3(カテゴリー2、3は連結子会社を含む、それ以外は当行単体、単位:t-CO

カテゴリー

2023年度

2024年度

1.購入した製品・サービス

8,261

8,966

2.資本財

1,829

2,188

3.スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動

683

668

4.輸送、配送(上流)

248

237

5.事業から出る廃棄物

30

18

6.出張

167

190

7.雇用者の通勤

557

530

15.投融資

3,287,763

3,483,580

合 計

3,299,541

3,496,377

 

 

 

<スコープ3の算定対象範囲、基礎データ、算定方法>

●  カテゴリー2、3、7、15以外の基本的事項

当行で利用している経費管理システムから得られるデータについて、勘定科目と摘要コードの組み合わせをもって、経費支出項目(以下、支出項目)と算定要否を判定したうえで、カテゴリーごとに算定しております。

●  カテゴリー3、15以外の排出原単位

環境省が公開している「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」を利用しております。また、排出原単位については、各支出項目に照らして最も適切と考えられるものを選定しております。

● 消費税の取り扱い

消費税は控除せずに算定しております。

● カテゴリー1「購入した製品・サービス」

当行の経費管理システムにおいて管理されている支出項目のうち、何らかの形でGHG排出を伴う活動かつ他のカテゴリーに属さないと考えられるものを抽出し、その支出金額に排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー2「資本財」

各年度において取得した有形固定資産・無形固定資産の金額に、資本形成部門「金融・保険」の排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー3「スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動」

ガソリン、ガス、灯油、重油の使用量に対して、「LCIデータベースIDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」の排出原単位を乗じております。なお、電気の使用量に対しては、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」の排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー4「輸送、配送(上流)」

支出項目のうち、通信費(郵便料)、運送費(メール負担金)に排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー5「事業から出る廃棄物」

支出項目のうち、廃棄物の収集料・処理料に対し廃棄物処理に係る排出原単位を乗じております。

● カテゴリー6「出張」

出張、研修、会議出席等に係る支出項目(日当を含む)に対して、公共交通機関の利用を優先していることや排出原単位の交通区分及び実態面を考慮し、旅客鉄道の排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー7「雇用者の通勤」

人事給与情報システムにて管理されている「通勤手当」「嘱託等通勤費」「その他の通勤費」の金額に基づき算定しております。公共交通機関の利用を優先しておりますが、2022年度に距離範囲の拡大を含む自家用車通勤の要件の見直しを行ったこと、排出原単位の交通区分及び実態面を考慮し、支出項目(通勤手当額)に対して自動車・バス(営業用乗合)の排出原単位を乗じております。

●  カテゴリー8「リース資産(上流)」、カテゴリー9「輸送、配送(下流)」、カテゴリー10「販売した製品の加工」、カテゴリー11「販売した製品の使用」、カテゴリー13「リース資産(下流)」、カテゴリー14「フランチャイズ」

該当ございません。

●  カテゴリー12「販売した製品の廃棄」

使用済預金通帳の廃棄などが考えられますが、算定シナリオを組成していないため算定しておりません。

 

 

●  カテゴリー15「投融資」

PCAFスタンダード(※)の方法論に準拠し、事業法人向け融資及び住宅ローンを対象に算定しております。

※PCAFスタンダード…金融機関が投融資先のGHG排出量を計測・報告する際に活用する国際的な基準

具体的には以下のとおりです。

<事業法人向け融資>

GHG排出量の大部分を占めるスコープ3カテゴリー15の算定において、これまでは投融資先の財務データ等から推計していましたが、投融資先の実排出量にもとづく算定を併用することで、より実態に則したGHG排出量の算定を行いました。

なお、2023年度のGHG排出量についても改めて算定しております。

● 算定式

排出量=Σ[投融資先のGHG排出量×アトリビューション・ファクター(当行の投融資残高/投融資先の資金の調達額)]

● 算定方法

「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」及び投融資先の開示しているGHG排出量等にもとづき算定

 

<住宅ローン>

住宅ローン1件ごとに、各年度末時点の残高を分子、当行の住宅ローン関連システムから得られる購入時評価額を分母として当行寄与分を算出し、その結果に対して世帯当たりの年間CO排出量を乗じて算定しております。

なお、購入時評価額を管理の対象としていない住宅ローンなど、住宅ローン関連システムから購入時評価額が抽出されないものについては、それを当初貸出額で代替しております。

また、世帯当たりの年間CO排出量は、環境省が公表している「家庭部門のCO排出実態統計調査結果について」(東北地方、算定対象年度末において把握できる直近の排出量)を引用しております。

 

また、カテゴリー15「投融資」の詳細は次のとおりです。 (単位:t-CO

セクター

主な業種

2023年度

2024年度

エネルギー

石油及びガス

石炭

電力ユーティリティ

57,476

1,076

771,714

55,202

1,186

840,549

運輸

航空貨物

鉄道輸送

トラックサービス

自動車及び部品

647

6,836

111,803

33,281

6,067

110,123

55,815

素材・建築物

金属・鉱業

化学

建設資材

資本財

不動産管理・開発

117,777

78,208

302,483

490,793

16,041

144,397

82,416

326,842

483,798

16,529

 

 

セクター

主な業種

2023年度

2024年度

農業・食料・林産物

飲料

農業

加工食品・加工肉

製紙・林業製品

5,141

55,527

157,193

69,384

5,524

53,353

178,361

73,458

その他

938,270

977,521

住宅ローン

74,113

72,439

合計

3,287,763

3,483,580

 

今後も、GHG排出量の大部分を占めるスコープ3カテゴリー15におけるデータクオリティ(スコア)とともに、その他のカテゴリーについても精度・粒度の向上を図っていく予定としております。

<参考>2023年度有価証券報告書における算定内容

セクター

主な業種

2023年度

エネルギー

石油、ガス

石炭

電力事業

14,818

719

342,489

小計

358,027

運輸

航空貨物輸送

航空旅客輸送

海運

鉄道輸送

トラックサービス

自動車、部品

18,326

1,568

4,420

11,770

7,447

小計

43,533

素材・建築物・資本財

金属、鉱業

化学品

建材

資本財(建物等)

不動産管理、開発

228,098

22,882

35,881

7,616

5,099

小計

299,579

農業・食料・林産物

飲料

2,738

農業

16,216

包装食品、肉

43,160

紙・林産物

75,935

小計

138,051

その他の事業法人向け

融資

397,322

住宅ローン

74,113

合計

1,310,629

 

<2023年度有価証券報告書における算定方法>

炭素関連資産に関連付け、そのセクターや主な業種ごとに、当行に融資取引がある代表的な事業法人が開示している売上高とそれに対するGHG排出量(スコープ1、2)の割合を算出し、その割合を排出係数(炭素強度)として各事業法人の直近決算時点の売上高に乗じる方法を基本に各事業法人における総排出量を推定しました。そして、その推定結果をアトリビューション・ファクター(各事業法人の負債と純資産の合計に占める当行融資残高)に乗じて算定しました

事業法人ごとの排出量=炭素関連資産に基づくセクターや主な業種ごとの排出係数(炭素強度)×事業法人ごとの売上高×アトリビューション・ファクター(事業法人ごとの当行融資の寄与度)

 

ご留意いただきたい事項

上述の指標やリスク量の算定結果は、一定の仮定や前提を置いて導き出したものです。また、独立した第三者による保証・検証を取得しているものではありません。

今後、算定や分析対象セクターの範囲の拡大、精度や粒度の向上、リスクシナリオ分析の高度化、適用する排出係数・排出原単位の変更、算定方法に係る国際的な基準の明確化に対する議論の動向等により、当行で把握・公表する数値についても将来的に変更となる可能性があります。

 

b.サステナビリティ目標

ア.当行グループのGHG排出量の削減

当行グループが地域の脱炭素社会の実現に向けて先導的役割を果たすため、GHG排出量の削減について次のとおり目標を定めております。

時 期

内   容

2030年度

スコープ1、2 ネットゼロ

2050年度

スコープ1~3 ネットゼロ

 

2024年度においては、再生可能エネルギー由来の電力である「よりそう、再エネ電気」を当行グループに導入することで、スコープ1、2において基準年(2013年度)対比で▲72%まで削減が図られました。

当行は、スコープ3を含むGHG排出量ネットゼロやカーボンネガティブを目指すにあたり、自治体との連携強化を図るとともに、面的企業支援に向けて事業性理解や本業支援を通じて、いわぎんSDGs評価・宣言サポートサービス、GHG排出量算定・可視化サービス、J-クレジットなど、取引先の気候変動に関する課題の解決に向けたコンサルティングメニューを幅広く提供しております。

<GHG排出量の推移>


 

イ.サステナブルファイナンス

脱炭素社会への移行にあたって必要となり得る設備投資、技術革新、消費行動の変化については、事業活動における機会にもつながるものであると考えます。

当行は、融資等のファイナンスを通じて環境・社会課題の解決に貢献していくため、ファイナンスの実行目標を設定し積極的に推進しております。

項 目

内   容

サステナブル

ファイナンス

環境課題や社会課題の解決ならびに持続可能な社会の実現に資する投融資・リース取引

目標額

実行等累計額 5,000億円

期間

2021年度~2030年度

 

2024年度のサステナブルファイナンスの実績は801億円(うち再生可能エネルギー関連の融資・リース取引84億円)となり、2021年度からの累計実績は2,541億円となりました。

<サステナブルファイナンスの補足>

● サステナブルファイナンスは、農林漁業、社会保険・社会福祉、医療・保健衛生、教育・学習支援業ならびに再生可能エネルギー関連に対する融資とリース取引、事業承継・M&A資金、政府・自治体・民間企業などが発行するSDGs債(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド)への投資、いわぎん脱炭素応援ローン等としております。

● 期間は、当行がTCFD提言に賛同した2021年度からSDGs達成期限の2030年度までの10年間としております。

 

 

 

(3)人的資本

 ① ガバナンス

当行では、「マテリアリティ」において「人材の価値を最大限に引き出す組織づくり」を重点分野として明記しており取組を強化しております。

 ② 戦略

a.人事ポリシー

当行では、当行における人と組織に対する基本的な考え方として、「人事ポリシー」を制定しており、「目指す組織像」や「求める人材像」を実現するための人事制度や各種人事施策の根幹と位置づけております。

<人事ポリシー>

・当行にとって「人」こそが最も重要な財産であり、あらゆる価値の源泉です

・お客さまの信頼と期待に応え、地域の未来を切り拓くために、職員一人ひとりと銀行がともに成長し続けます

 

このポリシーに基づき、当行では次の観点から個人としての成長や組織としての成長を促進するとともに、個人と組織の成長を支える環境・風土の醸成に取り組んでおります。

●  自律と挑戦(個人としての成長)

・自ら考え、自ら行動することを求め、挑戦の機会を提供します

・能力や専門性の向上と発揮を求め、その環境を提供します

●  人材総活躍(組織としての成長)

・対話の重視によりエンゲージメントを高め、一人ひとりの実力を最大限引き出します

・仕事の成果と行動、挑戦と創意の発揮に対し適正に報います

●  多様な個性・価値観の尊重(成長を支える環境・風土)

・多様な個性や価値観を尊重しあい、新たな発想を生み出します

・個人の希望や事情に合わせた、柔軟な働き方を可能とします

 

b.目指す組織像と求める人材像

目指す組織像

求める人材像

・地域・お客さまのために考え、行動する

・一人ひとりの力を掛け合わせる

・職員の頑張りを後押しする

・働きがいがあり、信頼で結びつく

・自ら考え、実践し、成長する

・失敗を恐れずに挑み、やり遂げる

・プロフェッショナルとして成長する

・認め合い、協働する

 

c.2023年度を始期とする中期経営計画における人的資本に係る基本方針及び重点戦略

<人的資本に係る基本方針>

 多様な人材が働きがいを持ち続ける組織づくり

<重点戦略>

・地域課題を解決できる人材の育成

 研修プログラムの拡充、グループ内留学制度の実施、マーケティング人材などの育成

・チャレンジ性にあふれた企業風土への変革

 社内公募制度の新設、チャレンジを後押しする企業風土変革に向けた管理職育成

・働きがいを持ち続け、安心して活躍できる組織の実現~ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進~

キャリア支援体制の構築、人材育成を主眼とした評価制度の導入、職員のライフプランや価値観などに応じた柔軟な働き方の実現

 

 

d.新人事制度の導入(2024年4月)

ア.導入の目的

・全職員がプロフェッショナルとして成長し活躍するための土台となる「仕事基準」の仕組みを導入するとともに、より公平で納得性の高い評価や処遇を実現します。

・それにより、職員一人ひとりの意欲と実力を最大限引き出し、当行グループの長期ビジョンである「お客さまの課題解決と地域社会の持続的成長を牽引する価値共創カンパニー」を目指すものです。

 

イ.新制度の特徴点

・旧人事制度では、全員がマネジメント職を目指す単線型となっていましたが、新人事制度では上位等級について「プロフェッショナル職群」と「マネジメント職群」に複線化し、さらに若年層向けの「アソシエイト職群」を設けております。

・プロフェッショナル職群は、担当業務領域の専門家を目指すものと位置づけ、異動によってマネジメント職群との転換を行っております。

・職群と等級ごとに「目指す組織像」と「求める人材像」から定義した「等級定義書」を設けるとともに、等級別に「伸ばす意識や行動」「抑える意識や行動」を例示しました。

 ●マネジメント職(管理監督者)の行動例

伸ばす意識・行動

• メンバーの動きやお客さまの状況に目を配り、物事のプロセスをつかむ

• メンバーが自分で考えて動けるように、気付きを与えていく

• 嫌われることを厭わずメンバーに向き合い、要望する

• 組織の目標計画・方針を認識し、自分の言葉で部下に伝える

• 専門知識・スキルを磨き続け、自分の強みとする

抑える意識・行動

• 自分で手を下すプレイヤーでありつづけようとする

• 部下に対して細かい所まで全て指示・命令を出す

• 自分の経験や前例に固執する

• 上司や年上のメンバーに遠慮・過剰配慮し、意見具申をしない

• 日々の業務を回す事だけに関心が向き、部下に向き合わない

 

 

 ③ リスク管理

人材育成方針及び社内環境整備方針

当行創立100周年に向けての長期ビジョンを実現するために、前記した人事ポリシーを踏まえながら「人材育成」と「社内環境整備」に取り組んでおります。なお、両方針に対する「機会」と「リスク」は次のとおりです。

機会

リスク

・多様な考え方や発想を持つ人材の活躍推進による新たな価値の創造

・積極的な人材育成投資による生産性の向上

・能力発揮機会の提供による働きがいの向上

・従業員の健康保持増進による生産性の維持向上

・企業競争力の低下、組織における柔軟性の喪失

・採用競争力の低下、人材の流出

・エンゲージメントの低下

・労働意欲の低下、職場離脱

 

 

 ④ 指標及び目標

a.人材育成

価値共創カンパニーを目指すうえで「人」こそが最も重要な財産であるとの認識のもと、従業員の価値観と職場の多様性を重視しながら、地域課題を解決できるプロフェッショナル人材の育成と個人の成長を促す投資を積極的に行っております。

〔指標〕

・年間の人材育成投資額:100百万円(2024年度実績 99百万円)

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

 

 

ア.経験成長サイクルの促進

2024年度からスタートした新人事制度では、個々の業務経験を学びに変えて、次の業務に生かし成長につなげるという「経験成長サイクルの促進」を人材育成の根幹に据え、このサイクルをまわすために必要となる施策を実施しております。

また、その実現に向けた中心的な取組として2024年度より「1on1ミーティング」を導入しており、2024年度は延べ回数で約6,400回のミーティングが開催されております。


イ.プロフェッショナル人材育成の取組実績

当行ではコンサル人材、高度専門人材などの戦略的人材を計画的に育成すべく、有価証券運用やM&Aなどの専門機関への長期トレーニーやグループ内トレーニーに加え、若手行員を主体として中小企業診断士等の公的資格の取得を支援する「いわぎんエキスパートパス(IEP)」の制度を設けており、地域課題を解決できるプロフェッショナル人材の育成と個人の成長を促す人材投資を行っております。

また、人的資本を効果的・効率的に活用することを通じて、組織が目指す目的の実現に貢献するためには、組織とメンバーをつなぐ「管理職」は、事業成果を出しつつ高い従業員エンゲージメント状態を創出するための非常に重要な役割であると考えております。そのため、チャレンジを後押しする企業風土変革に向けて管理職育成に対する人材投資を行っております。

 

2022年度

2023年度

2024年度

中小企業診断士資格取得者数

4名

7名

2名

年間人材育成投資額

61百万円

80百万円

99百万円

管理職研修受講者数

349名

 865

 

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

ウ.セルフ・キャリアドック

職員のキャリア形成を促進・支援することを目的に、キャリアに関する研修会を入行年次・年齢・役割等級別に実施するとともに、外部のキャリアコンサルティングによる面談を2024年度は340名に対して実施しております。

エ.公募制

本部及びグループ会社で新たな人材を必要とする場合、業務内容や役割、応募条件を提示し、行内から対象者を募集しております。

また、本部や特定の営業店及びグループ会社への異動を希望する行員が志望動機やスキル、自身のアピールポイント等を事前に人事部門へ申請する仕組みを整えており、希望する部署への異動の機会を提供しております。

 

オ.適正な評価運用

評価者ガイダンスを実施し、評価者間の評価目線のばらつきを実感し「評価調整会議」によるすり合わせ手法を習得するとともに、評価後のフィードバックの重要性を理解し、行動変容につなげるフィードバック手法についても習得を進めております。

カ.専門性サーベイ

プロフェッショナルとして求められる専門性の発揮度を多面的に評価することにより、周囲の期待や今後の能力開発の方向性を確認することを目的に実施しております。

キ.360度サーベイ

マネジメントに従事する行員の行動ならびにコンプライアンスへの取組が、上司や同僚、部下にどのように伝わっているかを自身が確認し、自己認識との違いを踏まえてその行動を見直すことにより、マネジメント能力の向上や店内コミュニケーションの良化、ハラスメントのない職場づくりにつなげることを目的に実施しております。

b.社内環境整備

チャレンジ性にあふれた企業風土を組織全体に浸透させ、全ての従業員が誇りと働きがいを持ち続け、自由闊達に意見を述べ、安心して活躍できる組織づくりに取り組みます。

〔指標〕

・エンゲージメントサーベイにおける次の3項目の回答結果4.00以上(従業員は1~5の5段階で回答)

 2024年2月実施結果

エンゲージメントスコア

(全体)

当行で働いていることへの誇り

仕事に対するやりがい

3.59

3.78

3.53

 

・役席者の新規登用女性割合30%以上(2024年度実績 40.9%)

・健康診断等の結果を踏まえた再検査受診率90%以上(2024年度実績 91.5%)

・習慣的な運動実施率20%以上(2024年度実績 21.1%)

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

 

ア.エンゲージメントサーベイの実施

人事ポリシーで掲げる「職員一人ひとりと銀行がともに成長し続ける」姿を実現するためには、「エンゲージメント」(職員の仕事に関連するポジティブで充実した心理状態、企業に対する共感度合)の向上により、一人ひとりが実力を最大限発揮することが必要不可欠となります。

当行の現状を可視化することで様々な課題を洗い出し、エンゲージメントの向上に向けて必要な施策を実施していくため、2024年2月に非正規を含めた全職員を対象に実施しました。

サーベイ結果を踏まえ、「行外における経営層との対話機会の創出」や「経営へのメッセージBOX設置」などエンゲージメント向上に向けた取組を展開しております。

 

イ.D&Iの推進

当行では、多様な価値観を受け入れ柔軟な発想を創出することや、行員の経営参画意識と生産性の向上により企業価値を高めることなどを目的としてD&Iに取り組んできていますが、2022年度より「目指す姿」ならびに「指標と目標」を次のとおり設定し、取組のさらなる充実に向けて推進しております。

1.目指す姿

  行員一人ひとりが安心して成長と活躍ができる組織づくり

2.推進キーワード

(1)対話機会の創出

(2)キャリア開発の支援

(3)人材の積極的登用

3.2030年度までに向けた指標と目標

(1)女性行員の役席者登用

   役席者の新規登用女性割合   30%以上

※2025年度以降は40%以上としております

(2)男性行員の育児休業等取得

   男性行員の育児休業等取得率  100%以上

 

ウ.いわぎん健康経営宣言

2021年8月、「健康経営」への取組の基本方針として、「いわぎん健康経営宣言」を制定しております。内容は次のとおりです。

1.「いわぎん健康経営宣言」

岩手銀行は「従業員の心身の健康」が「地域社会の発展に対する貢献」と「当行の持続的な成長」に不可欠であるとの考えに立ち、「健康経営」を推進してまいります。

また、健康経営の推進のため、従業員一人ひとりの健康意識の向上と働きやすい環境や体制整備に取り組んでまいります。

2.主な取組

(1)からだ

  ・定期健康診断の完全実施

  ・各種検診、再検査等の受診率向上

  ・禁煙の推進による喫煙率減少と敷地内全面禁煙の継続

  ・運動習慣の定着支援及び情報提供

(2)こころ

  ・ストレスチェックの継続実施によるメンタルヘルス不調の予防

  ・ストレスチェック結果を活用した職場巡回の強化

  ・メンタルヘルス不調者の職場復帰支援(組織的体制の構築)

  ・職場内コミュニケーションの促進による働きやすい職場環境の整備

 

 

エ.岩手銀行イクボス宣言

2017年1月、育児や介護へのさらなる理解、ワーク・ライフ・バランスの充実、多様な人材の活躍をとおした地域貢献について積極的に取り組んでいくため、そして全ての役職員が仕事と生活の両立ならびに充実を促す「イクボス」の理念を実現させていくために「岩手銀行イクボス宣言」を次のとおり策定し宣言しております。

一、 私たちは、「イクボス」の精神に則り、育児や介護と仕事を両立しやすい環境づくりに努めます。

一、 私たちは、共に働く職員のワーク・ライフ・バランスを尊重し、自らもその充実に向けて率先して取り組みます。

一、 私たちは、男女ともに多様な人材の活躍をとおして、地域社会の発展に貢献します。

(ご参考)イクボスについて

職場で共に働く部下・スタッフのワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、仕事でも結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことをいいます。

 

オ.年次有給休暇取得への取組

職員の福祉向上を目的として「連続休暇制度」を規定し、年度内に1人1回連続して7日間以上10日間以内で利用しています。なお、フルタイムの職員は原則として全員が利用するルールとしております。

カ.働き方改革(休暇・休職制度など)への取組

導入・新設時期

内 容

備 考

2020年4月

フレックスタイム制度の新設

 

2021年4月

時間単位年休の導入

 

就業時における服装の多様化導入

同時に女子行員事務服を廃止

2022年10月

産後パートナー休暇の新設

出生後8週間以内における28日間を限度とした休暇制度(有給)

あんしん積立休暇制度の新設

時効消滅する年休積立制度の使用目的を拡大

ライフデザイン休職制度の新設

キャリア形成、家族の介護等のイベント発生時における休職選択制度

テレワーク制度の新設

新型コロナウイルス感染症対策として運用していた仕組みを制度化

2024年4月

エリア選択制度の新設

育児・介護など所定の事由に該当する場合には一時的に転居転勤の有無を選択可能

単身赴任手当の新設

転居を伴う異動となり単身により赴任する場合の経済的負担を緩和

 

キ.資産形成支援(ファイナンシャル・ウェルネス)

給与及び賞与支給時に一定の資金を拠出することにより、当行株式を取得することができる従業員持株会を設けています。なお、拠出1口(1,000円)に対して50円の奨励金を付与しております。

2025年3月1日現在の加入者数・加入者割合

加入者数

加入者割合

1,216名

89.2%

 

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

また、従業員持株会を活性化し、従業員の安定的な財産形成を促進するとともに、従業員のエンゲージメントを高め、経営参画意識の向上と業績向上へのインセンティブを付与することにより、当行の中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として、2023年度に「従業員持株会信託型ESOP」を導入しております。

 

ク.賃上げへの取組

従業員のエンゲージメント向上と人的資本投資の強化に加え、将来の当行を担う優秀な人材を確保することを目的として、2025年7月1日付で定例給与対比約3.5%のベースアップ(初任給の引き上げを含む)を行う旨を労働組合に対し回答しております。なお、ベースアップと初任給の引き上げは2023年4月以降3年連続となります。

ケ.非正規から正規雇用への取組

嘱託から行員へキャリアアップする機会を2013年度より提供しており、2024年度までの累計者数は36名となっております。

2022年度

2023年度

2024年度

28名

31名

36名

 

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。

コ.障がい者雇用への取組

外部機関から講師を招聘し本部における管理職向け研修会を開催するなど、障がい者の雇用促進に向けて積極的に取り組んでおります。なお、2025年3月1日現在の雇用率は2.5%となっております。

(注)当行グループの主たる事業会社である銀行単体の計数を記載しております。