2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,139名(単体) 2,338名(連結)
  • 平均年齢
    40.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.2年(単体)
  • 平均年収
    7,177,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社における従業員数

2025年3月31日現在

セグメントの名称

銀行業務

リース業務

その他

合計

 

信用保証
業務

ソフトウエア
開発等業務

クレジット
カード業務

その他の
業務

従業員数(人)

2,139

36

163

9

46

24

84

2,338

[770]

[10]

[53]

[11]

[4]

[6]

[32]

[833]

 

(注) 1  従業員数は、執行役員を含む就業人員であり、嘱託及び臨時従業員879人を含んでいません。

2  臨時従業員数は、[  ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。

 

(2) 当行の従業員数

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,139

40.0

17.2

7,177

[770]

 

(注) 1  従業員数は、執行役員を含む就業人員であり、嘱託及び臨時従業員815人並びに出向者128人を含んでいません。

2  当行の従業員は、すべて銀行業務のセグメントに属しています。

3  臨時従業員数は、[  ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。

4  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

5  当行の従業員組合は、南都銀行従業員組合と称し、組合員数は1,962人です。

労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 当行

当事業年度

補足説明

管理職に
占める
女性労働者の

割合(%)

(注1)

男性労働者の
育児休業
取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

16.6

100.0

41.1

56.7

56.6

賃金は性別に関係なく同一の基準を適用していますが、雇用形態の比率、管理職比率、在籍年数の違いなどにより男女で差異が生じています。

当行グループでは、男女間賃金格差の解消に向け、マネジメントを担う女性を含む管理職育成に力を入れています。

また、女性比率が高いパート等に対し2024年7月に、2年連続となる時給引上げを実施しました。

 

(注) 1  「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2  「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

 

② 連結子会社

女性活躍推進法等による公表義務のある対象会社はありません。

連結子会社職員を含めた管理職に占める女性労働者の割合は16.8%です。また男性労働者の育児休業取得率

は94.7%です。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ(全般)への対応

当行グループは、環境問題をはじめとするサステナビリティに関する課題への対応を経営上の重要課題の一つとして、「サステナビリティ基本方針」を策定し、グループ全体で取組を進めています。

 

(サステナビリティ基本方針)

 

● 当行グループの経営理念の底流はサステナビリティそのものです。

● 当行グループは経営理念のもと、社会・環境問題の解決を通じてステークホルダーの求める価値を提供し続けます。

● 当行グループは持続可能な地域社会の実現に貢献し、当行グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図っていきます。

 

 

 

① ガバナンス

当行グループは、「サステナビリティ基本方針」に記載のとおり、サステナビリティへの取組を経営戦略の根幹に組み込んでおり、持続可能な地域社会の実現に向け、金融仲介機能の発揮等の本業に加え、グローバルに対応が求められるサステナビリティに関する課題や地域を取り巻くさまざまな課題について、取締役会の監督のもと、サステナビリティ関連施策を推進する体制を構築しています。

具体的には、取締役会において定めるサステナビリティ基本方針と当行グループが優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)に基づき、経営会議において具体的な取組テーマを特定し、テーマに応じて関連部署が連携しながら具体的な施策を推進していく体制としています。また取締役会は、サステナビリティに関する課題への取組が経営戦略に照らして適切であるかを監督しています。

取締役の報酬制度においても、「サステナブル経営の実践」に向けた取締役の貢献意欲を高めるために、従業員のエンゲージメントスコアを指標とする業績連動型報酬制度を採用しています。

なお、ガバナンスの概要及び取締役の報酬制度の概要については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

(マテリアリティの特定プロセス)

当行グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、ステークホルダーの皆さまや当行グループにとっての重要度を勘案して優先的に取り組むマテリアリティを特定しています。マテリアリティの特定プロセスは次のとおりです。

 

STEP1  課題の抽出

国連グローバルコンパクト、ISO26000、GRI、SDGsなど国際的なフレームワークに加え、世界経済フォーラムが公表したグローバルトップ10リスクや日本政府のSDGsアクションプランなどを参考にしながら、当行グループを取り巻く外部環境を踏まえ、サステナビリティ基本方針を起点に、今後、発生が予想される環境、社会、ガバナンス各面の課題を広範に抽出。

 

STEP2  抽出した課題の分析・評価

STEP1で抽出した課題のなかから、特に当行グループに関連性の高い課題を識別し、ステークホルダーの皆さまへの影響度と当行グループへの財務的影響度の2軸で重要性を分析・評価。

 

STEP3  重要課題の特定

STEP2の分析・評価結果をもとに、経営会議および取締役会において機会とリスク、優先的に取り組むべきテーマを議論し、マテリアリティを特定。

 

② 戦略

当行グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2020年度から2029年度までを計画期間とする経営計画「なんとミッションと10年後に目指すゴール」を策定し、10年後に目指すゴールとして奈良県のGDPを2016年度比10%増加させることを目標としており、お客さま自身では解決できない業界、サプライチェーン単位の課題を、当行グループが自らその一部となり主体的に課題を解決することで、新たな収益機会を生み出し、安定した収益基盤の確立を図っています。

また、2025年度より中期経営計画「人財の力で地域の活力を創造する」を開始し、「自ら考え行動し、地域の課題を解決する人財の創出」・「地域を支え続けられる健全な経営」の2つを軸に取り組むことでマテリアリティを解決し、地域の活力創造を目指しています。

 

(当行グループのマテリアリティ)

内容

リスク

機会

主な取組

深刻化する気候変動問題への対応

・気候変動を要因とした自然災害などによるお客さまの事業基盤の毀損を通じた業績の悪化

・脱炭素化に向けた環境関連ビジネスなどの需要の増加

 

・率先した環境保全への取組による地域の環境意識の醸成

・お客さまの脱炭素化、SDGs対応への取組支援

 

・当行グループの脱炭素化に向けた取組

 

・TCFD提言の枠組みに沿った情報開示の充実

地域経済の持続的成長の実現

・国内外の景気、為替などの動向により、当行貸出先の経営状況の悪化による不良債権及び与信関連費用の増加

 

・後継者不在等に伴い事業者の廃業が増加し、資金需要も減少

・お客さまに対するM&Aや資産承継、人材紹介など非金融サービス需要の増加

 

・恵まれた観光資源を活かしたビジネス機会の増加

・地元企業との取引深化

 

・不動産市場の活性化

 

・地元産業の課題解決

 

・地域の事業創出

便利で豊かな社会の実現

・ライフスタイルの多様化や生活様式の変化、デジタルネイティブ世代の拡大に伴う銀行取引の変化

・若年層からの資産形成に向けたサービスに対するニーズの高まり

 

・次世代への資産承継や多様な遺贈・寄附ニーズなどに対応したサービスの提供機会の増加

・対面での接点とソリューション力の強化

 

・非対面チャネルの充実

 

・行内業務のデジタル化

 

・データ利活用の強化

多様な人材が活躍できる健全な企業風土の醸成

・職員の同質性、思考パターンの均一化による組織の硬直化

・ITやリスク管理など専門性の高い人材の獲得による事業領域の拡大

 

・多様な人材の活躍推進による高付加価値のサービス提供

・人財の可視化とキャリアパスの最適化

 

・多様な人財が活躍する組織づくり

 

・エンゲージメント向上

多様化・複雑化するリスクへの備え

・サイバー攻撃の手法の巧妙化、複雑化による顧客情報の漏洩やシステム障害を起因とする社会的信頼の失墜

 

・不確実性の高い経営環境によるリスク管理の高難度化

・株主や投資家の皆さまとの建設的な対話機会の増加による投資家ニーズの把握

・コンプライアンスの徹底

 

・マネロン・金融犯罪への対策強化

 

・サイバーセキュリティの強化

 

・内部監査の高度化

 

 

なお、マテリアリティを踏まえたアクションプランについては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営計画」をご参照ください。

 

 

③ リスク管理

当行グループでは、金融機関を取り巻く環境が大きく変化し、直面するリスクも一層多様化・複雑化しているなか、経営の健全性・適切性を維持するため、リスクの適切な管理を経営の最重要課題の一つに位置づけ、リスク管理態勢を整備しています。

具体的には、統合的リスク管理の考えのもと「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナルリスク」に各リスクを分類し、リスクカテゴリーごとの主管部署とリスク統括部署を定め、リスクを適切にコントロールできる体制を確立し、各リスクの状況については、毎月開催するALM委員会、半期に一度開催するオペレーショナル・リスク管理委員会において評価・分析等を行い、経営陣に報告しています。

なお、リスク管理体制の概要については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を、各種リスクの内容については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。気候変動への対応に関するリスク管理については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動に関する取組 ③リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

当行グループではサステナビリティについて指標及び目標を設定しています。詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)気候変動に関する取組 ④指標及び目標」、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本経営に関する取組 ②指標及び目標」をご参照ください。

 

(2)気候変動に関する取組

① ガバナンス

当行グループは、「サステナビリティ基本方針」を策定してサステナビリティに関する課題への対応に取り組んでおり、そのなかで優先的に取り組むべきテーマを取締役会で議論し、マテリアリティ(重要課題)の一つとして「深刻化する気候変動問題への対応」を特定しています。

気候変動への対応については、半期ごとに経営会議で具体的な施策や目標、進捗等について審議し、その結果が経営戦略に照らして適切であるかを取締役会が監督する体制としています。

 

② 戦略

当行グループは、なんとミッションである「地域の発展」「活力創造人材の創出」「収益性の向上」の遂行を通じてステークホルダーの皆さまに価値を提供するべく、グループ全体で気候変動への対応に取り組んでいます。

地域の一員として、自らの脱炭素化への取組はもちろん、お客さまや地域の取組についても積極的に支援します。

自らの脱炭素化への取組としては、CO2排出量の削減目標ならびにネットゼロ目標を設定し、再生可能エネルギーの導入や店舗内及び店外ATМ照明のLED化、エコカーの導入等の取組を進めています。店舗の新築、建替に際しては、太陽光パネルの設置を予定しており、環境に配慮した設備の導入を進めています。また、紙使用量削減のため、印刷枚数を抑制するための啓発活動を継続的に実施していることに加え、ペーパーレス会議の推進や帳票類の電子化にも取り組んでいます。

お客さまの脱炭素化への取組など、サステナブル経営の実現を支援するため、2025年度より「サステナブルファイナンスチーム」を新設しました。サステナブルファイナンスの推進などを通じてお客さまの経営課題の解決を図ります。

地域の脱炭素化支援への取組の一環として、「<ナント>J—クレジット寄附型私募債」の取扱いを開始しました。私募債発行金額の0.1%以内で当行が奈良県森林由来のJ—クレジットを購入し、奈良県または大阪府へ寄附します。J—クレジット寄附型私募債により、地域のお客さまの脱炭素における機運を醸成し、気候変動への取組や経営課題の解決に取り組んでいます。

「省エネ・地域パートナーシップ(※)」への参加により、お客さまへの省エネに関する情報提供や省エネ設備導入に伴う補助金支援、融資対応を行い、地域一丸となってお客さまの脱炭素化や省エネの推進をサポートしています。

(※)資源エネルギー庁が、金融機関や省エネ団体(省エネ診断等の実施団体)との連携を強化し、中小企業の省エネに向けた取組を支援する体制を地域一丸で構築するために立ち上げた新しい枠組みであり、200を超える金融機関や省エネ支援機関が参加しています。

 

a. リスクと機会

1.5℃、4℃を含む複数の公的シナリオ(※)を前提に、気候変動に伴うリスクと機会の評価を行いました。時間軸については、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)で分析を行っています。

 

 

内       容

時間軸

 

 

移行

リスク

気候変動に関する規制強化や税制の変更等に伴う、お客さまの事業・財務状況への影響や、環境規制対応ができていない不動産担保の価値毀損による与信コストの増加(信用リスク)

短期~長期

脱炭素化に向けた技術革新や市場の変化に伴う、お客さまの事業・財務状況への影響による与信コストの増加(信用リスク)

気候変動への対応が劣後することによる、当行の企業価値の低下
(オペレーショナルリスク(風評))

短期~長期

物理的

リスク

大規模風水災等の発生に伴う、不動産担保の毀損、お客さまの営業拠点被災に伴う事業停止や事業への悪影響等による与信コストの増加(信用リスク)

中期~長期

大規模風水災等の発生に伴う、当行拠点の被災による対策復旧コストの増加
(オペレーショナルリスク(有形資産))

中期~長期

機  会

お客さまの脱炭素化に資する設備投資による資金需要の増加

短期~長期

お客さまの防災対策のためのインフラ投資に対する資金需要の増加

短期~長期

風水災の増加や環境に配慮する顧客行動の変化による、災害に備えた保険商品、環境保全関連の金融商品・サービスの提供機会の増加

短期~長期

お客さまの脱炭素化への取組を支援するソリューション提案等のビジネス機会の増加

短期~長期

 

(※)参考にした公的シナリオ

脱炭素化が進む1.5℃シナリオ等:IEA NZE2050、IEA APS、NGFS Net Zero2050、IPCC SSP1-1.9、SSP1-2.6

温暖化が進む4℃超シナリオ:IEA Steps、NGFS Current policies、IPCC SSP5-8.5

 

b. シナリオ分析

(2)②a.リスクと機会のうち、以下についてシナリオ分析を行いました。

分析の結果、移行リスク、物理的リスクによる財務影響は限定的と評価しています。

ただし、一定の前提条件を仮定した分析であることから、引き続き分析手法の高度化や対象範囲の拡大・精緻化に取り組んでいきます。

 

 

移行リスク

物理的リスク

分析対象

リスク

規制強化や税制の変更等に伴う、お客さまの事業・財務状況への影響を起因とする与信コストの増加

水害発生による不動産担保の毀損、お客さまの営業拠点被災に伴う事業停止・停滞による与信コストの増加

シナリオ

IEA(※1)/

NZE(1.5℃シナリオ)

IPCC(※2)/

RCP8.5(4℃シナリオ)

 

APS(2℃シナリオ)

 

RCP2.6(2℃シナリオ)

分析対象

ポートフォリオ

「電力・ガス」「建設」セクター

当行営業エリア内の事業性貸出

分析手法

移行シナリオに基づき、将来の財務影響を予測、追加与信コストを推計

担保物件・お客さまの所在地別に浸水リスクを判定し、担保毀損、売上減少に伴う追加与信コストを推計

分析結果

2050年までの与信コスト増加額

累計で最大約15億円

2050年までの与信コスト増加額

累計で最大約45億円

 

(※1) IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機関

(※2) IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):気候変動に関する政府間パネル

 

 

c. 炭素関連資産

当行の貸出金に占めるTCFD改訂付属書に基づく炭素関連資産割合(再生可能エネルギー発電事業を除く)は以下のとおりです。(2025年3月末時点)

エネルギー

運輸

素材・建築物

農業・食料・林産品

1.6%

3.6%

24.8%

3.0%

 

 

当行では日銀業種分類をベースに算定しており、GICS(世界産業分類)を基準とした算定方法とは差異が生じる場合があります。

 

③ リスク管理

当行グループは、気候変動への対応を、地域社会の持続的発展にとって重要な課題として認識しています。

当行の気候変動リスクを信用リスクとオペレーショナルリスクに分類し、それぞれALM委員会とオペレーショナル・リスク管理委員会のモニタリング項目に組み込み、リスク管理の高度化を図ります。

また、当行グループは2020年10月に融資ポリシーを制定し、新設の石炭火力発電所建設を資金使途とする融資には原則として取り組まないことや、森林伐採を伴う開発等の資金使途に対する融資に取り組む際は、違法伐採ではないか、また環境への影響等について配慮し、慎重に取組可否を検討する旨を、明文化しています。

 

 

(環境や社会に与える影響が大きい業種・セクターに対する融資ポリシー)

環境、社会に対して負の影響を与える可能性のある融資については、慎重に取組可否を判断し、その影響を低減・回避するよう努め、環境・社会問題に真摯に向き合っているお客さまに対しては、地域金融機関として適切な知見の提供や支援を行います。

なお、環境や社会に与える影響が大きいと考えられる次のような業種・セクターに対して融資を行う場合は十分に留意します。

1.兵器

戦争等に使用される殺戮・破壊を目的としたクラスター弾など非人道的な兵器を製造している企業への融資は行わない。

2.石炭火力発電

新設の石炭火力発電所建設を資金使途とする融資は原則として取り組まない。ただし、国のエネルギー政策等による高効率の発電所建設の場合などは個別案件ごとに慎重に取組可否を検討する。

3.森林伐採

森林伐採を行う開発等の資金使途に対する融資に取り組む際には、違法伐採ではないか、また環境への影響等について配慮し、慎重に取組可否を検討する。

 

 

④ 指標及び目標

当行グループでは、気候変動への対応について、以下の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

 

a. CO2排出量(Scope1、2)

当行グループは、CO2排出量の削減に向けて取組を進めており、以下のとおり、「2030年度までに2013年度比△75%削減」、「2050年度までにネットゼロ」とする目標を設定しました。

2024年度のCO2排出量は5,818t-CO2であり、2013年度から△41%の削減となりました。

前年度に比べ、エネルギー使用量は横ばいで推移したものの、電力等の排出係数の上昇によりCO2排出量が増加しました。

ZEB認証取得済みの本店ビルをはじめ、新築店舗への太陽光パネル設置等により、今後も脱炭素社会に向けて取り組んでまいります。

 (単位:t-CO2)

指  標

目  標

実績

(2013年度)

実績

(当連結会計年度)

CO2排出量

2030年度(2031年3月末)までに

2013年度比  △75%削減

9,925

5,818

 

(2013年度比

41%削減)

2050年度までにネットゼロ

 

 

(単位:t-CO2)

算  定  項  目

2013年度

2022年度

2023年度

2024年度

Scope1 直接排出

都市ガス、

LPガス、ガソリン、重油

1,584

1,517

1,410

1,389

Scope2 間接排出

電気

8,341

3,574

3,755

4,429

合  計

9,925

5,091

5,164

5,818

2013年度比 削減比率

△49%

△48%

△41%

 

 

 

b. CO2排出量(Scope3)

当行グループは、以下のとおり、2022年度よりScope3の算定を開始し、2024年度は全カテゴリーを算定しました。

 

Scope3

 

(単位:t-CO2)

算  定  項  目

2022年度

2023年度

2024年度

カテゴリー1:購入した製品サービス

16,429

15,463

17,994

カテゴリー2:資本財

51,456

56,748

63,094

カテゴリー3:Scope1,2に含まれない

       燃料及びエネルギー活動

1,109

1,028

1,041

カテゴリー4:輸送・配送(上流)

0

0

0

カテゴリー5:事業から発生する廃棄物

179

332

312

カテゴリー6:出張

90

110(87)(※1)

131

カテゴリー7:通勤

2,222

1,953(1,965)(※1)

1,772

カテゴリー8:リース資産(上流)

0

0

0

カテゴリー9:輸送・配送(下流)

218

153

117

カテゴリー10:販売した製品の加工

0

0

0

カテゴリー11:販売した製品の使用

11,553

9,998

8,431

カテゴリー12:販売した製品の廃棄

30

18

11

カテゴリー13:リース資産(下流)

15,788

15,790

13,438

カテゴリー14:フランチャイズ

0

0

0

カテゴリー15:投融資(※2)

未算定

8,895,074

8,991,183

合  計

99,074

8,996,667

9,097,524

 

(※1)2023年度のScope3排出量について、カテゴリー6,7の排出原単位の見直しを行った結果、前年度に

   開示した数値に修正が生じました。( )内は修正前の数値です。

(※2)カテゴリー15については、当行単体を対象としています。

 

(Scope3 カテゴリー15の算定)

金融機関にとって投融資による間接的な排出量はScope3が大きな割合を占めており、当行の気候変動への取組において重要な指標と考えています。当行では、カテゴリー15(投融資)にかかる排出量について、PCAFスタンダード(※)に基づく排出量の算定に取り組んでおり、2024年度は国内事業法人向け融資を対象に算定を行いました。

算定結果は、お取引先との対話(エンゲージメント)に活用し、お取引先の排出量削減を支援することにより、脱炭素社会の実現に貢献していきます。また、算定対象の拡大や算定手法の精緻化にも継続的に取り組んでいきます。(算定方法の見直しやお取引先の開示状況等により排出量算定結果は今後変動する可能性があります。)

 

○ 算定対象

2024年9月末時点の国内事業法人向け融資(プロジェクトファイナンスは除く)

なお、算定に必要な財務データ等が不足する先は対象外としており、算定対象融資は、国内事業法人向け融資の97%をカバーしています。

 

○ 算定手法

PCAFスタンダードに基づき、投融資先各社ごとに、以下の算定式で算定しています。

排出量 ×(当行の融資額 ÷ 資金調達総額)

なお、炭素強度は排出量を融資額で除することで算定しています。

 

 

○ 排出量の把握

投融資先各社の排出量は、ボトムアップ方式・トップダウン方式を併用して算定しました。

・ボトムアップ方式:各社が開示する排出量を利用

・トップダウン方式:各社の売上高に、業種に応じた平均的な排出係数(環境省排出原単位データベースを利用)を掛け合わせて推計

PCAFの定めるデータクオリティスコアは「2.9」となっており、今後も情報精度の向上に取り組んでいきます。

 

(※)国際的なイニシアティブであるPCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)が作成した、金融機関の投融資ポートフォリオにおけるGHG排出量を計測・開示する基準

 

大分類

小分類

融資額
(百万円)

炭素強度
 (t-CO2/融資額)

排出量
 (t-CO2)

エネルギー

石油及びガス

41,758

6.2

259,441

 

石炭

0

0

0

 

電力ユーティリティ

36,694

9.2

337,636

運輸

航空貨物

490

4.4

2,131

 

旅客空輸

2,711

4.2

11,321

 

海上輸送

29,918

4.1

123,665

 

鉄道輸送

74,262

0.4

26,881

 

トラックサービス

39,441

8.7

342,888

 

自動車及び部品

45,509

1.4

62,611

素材・建築物

金属・鉱業

91,069

14.5

1,319,103

 

化学

129,311

5.9

759,000

 

建設資材

15,777

19.4

306,450

 

資本財

330,406

6.4

2,104,782

 

不動産管理・開発

268,290

0.3

84,245

農業・食料・林産品

飲料

25,271

1.5

36,939

 

農業

434

8.8

3,816

 

加工食品・加工肉

47,304

9.1

432,082

 

製紙・林業製品

47,065

6.6

308,646

その他

その他

898,710

2.7

2,469,546

総  計

2,124,420

4.2

8,991,183

 

 

c. サステナブルファイナンス

当行グループは、地域やお客さまのサステナビリティ課題の解決に向けた活動を資金面から支援するため、サステナブルファイナンスの実行額について以下の目標を設定しました。

2023年度から2024年度の累計実行額実績は3,537億円(進捗率35.4%)、うち環境系ファイナンスは1,112億円となっています。

指標

目標

実績

(当連結会計年度)

サステナブルファイナンス

(投融資累計実行額)

2023年度~2030年度(2031年3月末)
の8年間で1兆円

3,537億円

(うち環境 1,112億円)

 

(対象範囲)

環境分野・社会分野の課題解決に資するファイナンス

・環境分野:再生可能エネルギー、省エネルギー、ZEB、ZEVなど

・社会分野:地域活性化、地方創生、スタートアップ、事業承継、BCP対策など

お客さまのSDGs対応を支援・促進するファイナンス

 

 

(3)人的資本経営に関する取組

 

① 戦略

 (人財育成方針)

当行グループの人財における重要な価値観として、「NANTO人材コア・バリュー」=「期待を超える」を制定しています。人材コア・バリューとは当行グループ従業員らしさを表現する「ものさし」であり、当行グループは、職員が「誠実」を基礎として、「積極」「挑戦」「創造性」「発見力」を意識して主体的に行動し、お客さまや同僚の期待を超えることを目指し、人財の育成に取り組んでいます。

 

(社内環境整備)

銀行業務に加え、銀行以外の経験も積んだ広い視野が必要であるとの考えのもと、「成長機会の整備」として職員の自律的なキャリア形成に向けたサポート、論理的思考力の強化に向けた各種研修や資格取得支援の強化、外部出向等の拡大等、「人財の多様化」に向け、キャリア採用拡大やダイバーシティ推進、副業制度導入等の諸施策を実施しています。

また、職員の健康が当行グループの発展や地域貢献に向けた活力の源であるとの考えにより、「健康経営」に取り組んでいます。

 

 

a. 成長機会の整備

お客さまと価値共創する関係を構築していくためには営業力や事務スキルの育成にとどまらず、経営リテラシーの向上や本業で身につけた課題解決力の更なるブラッシュアップが必要です。既存人材のポテンシャルを最大限に引き出すため、以下の取組を実施しています。

 

イ 自律的なキャリア形成に向けた支援

自律的なキャリア形成の促進、挑戦する職員気質の醸成、組織の活性化を目的として公募により希望職種にチャレンジできるキャリアチャレンジ制度を設けています。

 

ロ 論理的思考力強化に向けた取組

おもしろい人材の基礎となる論理的思考力強化への取組としては、2020年度に全職員を対象にロジカルシンキング研修(e-ラーニング)を実施し、以降毎年4月の新入研修においてロジカルシンキングのプログラムを盛り込んでいます。

また、銀行の課題解決を実践する「経営課題解決実践研修」や組織・チームの課題解決を実践する「論理的思考力強化研修」、各参加者がディスカッション(経営課題等の考察)を行う「集合ディスカッション」を通じて、論理的思考力の習得と実践を図っています。「経営課題解決実践研修」、「論理的思考力強化研修」及び「集合ディスカッション」には、これまで延べ322名が参加し、おもしろい人材の基礎を構築しています。

 

(各プログラムの概要)

 

研修形式

対象

内容・目的

基礎

新入職員研修

新入職員

論理的思考力の基礎習得

ロジカルシンキング研修

全職員

課題解決に向けた論理的思考力の基礎習得

応 

 

経営課題解決実践研修

支店長級職員

銀行の課題解決実践を通じた論理的思考力の
習得・実践

論理的思考力強化研修

20歳代後半~
40歳代前半職員

組織・チームの課題解決実践を通じた論理的
思考力の習得・実践

集合ディスカッション

ディスカッション(経営課題等の考察)を通じた
論理的思考力の習得・実践

 

 

 

ハ 地域やお客さまの課題解決に資する資格取得支援

お客さまのデジタル課題や、相続、資産運用などのニーズ変化を背景に、応用情報技術者、中小企業診断士、宅建、FP1級などの資格取得を推奨しています。2020年8月からは資格保有手当や奨励金を充実し、支援を強化しています。

 

(活力創造に関わる資格)

対象資格

資格保有手当支給月額

ファイナンシャル・プランニング技能検定1級、中小企業診断士、

証券アナリスト、社会保険労務士、情報処理安全確保支援士

10,000円

公認会計士、弁護士、不動産鑑定士、税理士

20,000円

 

 

ニ 外部出向拡大、トレーニー派遣、グループ会社間交流

おもしろい人材には、銀行業務に加え、銀行以外の経験も積んだ広い視野が必要であるとの考えのもと、外部出向の拡大やトレーニーの派遣、グループ会社間の交流などを通じて、若手世代から成長機会を整備しています。

 

(2025年3月末時点の派遣人数等)

・20~40歳代外部出向人材

3名(地域企業1名・自治体2名)

・トレーニー派遣

7名(国内4名・海外3名)

・グループ会社間交流

4名(出向常勤役員4名)

 

 

b. 人財の多様化

時代や環境の変化に伴い銀行に求められる役割が変化するなか、当行グループが今後も地域やお客さまに貢献していくためには、過去の経験等に基づく判断だけではなく、従来の枠に捉われない柔軟な考え方を取り入れる必要があります。

そのため、様々な考えやスキルを持つ多様な人財が活躍できる銀行グループとなるべく、各種施策に取り組んでいます。

 

イ キャリア採用の拡大

これまでから、グループ内の業務経験では習得しにくいスキルや、高い資質を持つ人材の即戦力としての活躍を期待し、外部からの人財採用に取り組んできました。今後も、IT戦略や信託コンサルティング等、当行グループが強化していく専門分野に強い人財や、マネジメントや営業活動において即戦力として活躍が期待できる人財等、多様な人財を対象にキャリア採用の拡大を図り、管理職への登用者数も現状より増加させます。

また、当行を退職した人材が、退職理由を問わず復職できる「アルムナイ制度」を設け、多様なキャリアを持つ人財の確保に努めています。

 

(キャリア採用者数(2025年3月末実績))

・キャリア採用者数

164名(2025年3月末在籍者・連結子会社含む)

うち管理職数

45名(課長級以上、役員含む)

うち役員数

6名(執行役員含む)

・キャリア採用者に占める管理職比率

27.4%

 

 

ロ ジェンダー平等などのダイバーシティ推進

女性を含む多様な人財の活躍推進に向けて、意識改革に取り組んでいます。2024年度に、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みの解消などを目的として、全職員に「アンコンシャス・バイアス研修」(階層別)を実施。以後、階層別研修において同内容を継続実施しています。

また当行グループでは、マネジメントを担う女性を含む管理職の育成に力を入れている他、育児休職者の復職支援施策等を通じて、妊娠・出産後も女性が活躍しやすい環境の整備に取り組んでいます。

 

ハ 副業制度の導入

銀行業務だけでなく、業務外活動を通じて得られる多様な経験、高度な専門性やスキル、人脈、ネットワークが不可欠との考え方に基づき、2021年から副業を行える環境を整備しています。2025年3月末時点において、27名が副業制度を利用しています。

 

c. 健康経営

2018年度より、職員の健康が当行グループの発展や地域貢献に向けた活力の源であるとの考えのもと、心身の健康保持・増進に向けた取組を積極的に推進しています。このような取組に対し、経済産業省および日本健康会議が実施する健康優良法人認定制度において、健康優良法人2025(ホワイト500)の認定を受けました。

また、全職員が仕事と家庭生活のクオリティを高め、「やりがい」「生きがい」「働きがい」を持って活き活きと働ける職場の実現に向け、職場環境の改善等に取り組んでいます。

 

 

② 指標及び目標

当行グループでは、人的資本経営に関する戦略(人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)について、以下の指標を用いています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

なお、当行では、当該指標に関する関連データの管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、一部連結グループにおける記載が困難です。このため、以下の指標に関する目標及び実績は、一部連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。

 

a. 成長機会の整備(提出会社単体)

・なんとミッション(中期経営計画)における目標

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

活力創造に関わる資格保有者数

2025年3月末までに1,000人

1,062人

 

 

b. 人財の多様化(連結グループ)

・女性活躍推進法に基づく「行動計画」

目標① 役職者(課長級以上)に占める女性の比率を20%以上にする。

目標② 育児休職またはファミリーサポート休暇取得率について、5日以上の取得者を100%にする。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

女性管理職比率(課長級以上)

2028年3月末までに20%以上

16.8%

男性の育児休職または
ファミリーサポート休暇取得率

2028年3月末までに

5日以上の取得者  100%

(1日以上)94.7%

(5日以上) 94.7%

 

 

c. 健康経営(提出会社単体)

・健康経営戦略マップにおける目標

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

定期健康診断の受診率

毎年  100%

100%

特定保健指導の実施率

毎年   70%

80.0%