2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    632名(単体) 638名(連結)
  • 平均年齢
    39.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.1年(単体)
  • 平均年収
    5,404,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    3.0%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1) 【人材戦略に関する基本方針等】

 人材戦略に関する基本方針につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組み (4)人的資本に関する取組み ②戦略」を参照ください。

 

<従業員給与等決定方針>

  当行における従業員の給与等は、従業員の自律的な成長とモチベーション向上、労働市場における競争力の維持、及び生活の安定を目的として決定しており、個人の能力開発の進捗状況をベースとしつつ、毎期の個人業績を反映する人事評価制度を採用しております。

  従業員の給与体系は、職務遂行能力に応じて設定される「基本給」、職務に応じて設定される「職務給」、職位に応じて設定される「役職手当」、社内資格制度に応じた「スキル手当」、従業員の自己研鑽をバックアップする「自己成長サポート手当」、転居を伴う人事異動の可否選択による「異動オプション手当」により構成され、賞与については、個人業績と当行の業績を反映して支給することで、組織の活性化と持続的な成長を促す設計としております。当行は、引き続き従業員一人ひとりが意欲を持って働ける環境の整備に努めてまいります。

  なお、給与等の改定にあたっては、外部の賃金水準や社会情勢等も適宜勘案し、労使間の十分な協議のもと、公正かつ妥当な水準となるよう決定しております。

 

(2) 【従業員の状況】

① 連結会社における従業員数

2026年3月31日現在

セグメントの名称

銀行業

その他

合計

従業員数(人)

632

6

638

(157)

(1)

(158)

 

(注) 1 従業員数は、出向職員14人並びに嘱託及び臨時従業員198人を含んでおりません。

2 従業員数には執行役員を含んでおりません。

3 臨時従業員数は、(  )内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

4 従業員数は、就業人員を記載しております。

 

② 当行の従業員数

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の対前

事業年度増減率(%)

632

39.0

16.1

5,404

3.0

(157)

 

(注) 1 従業員数は、出向職員14人並びに嘱託及び臨時従業員192人を含んでおりません。

2 当行の従業員はすべて銀行業のセグメントに属しております。

3 従業員数は、執行役員10人(うち取締役兼務者3人)を含んでおりません。

4 臨時従業員数は、(  )内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

5 従業員数は、就業人員を記載しております。

6 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

7 当行の従業員組合は、鳥取銀行従業員組合と称し、組合員数は468人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①当行

当事業年度

管理職に占める女性

労働者の割合

(注1、注3)

男性労働者の育児

休業取得率

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(注1、注4)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

8.8%

115.4%

55.5%

62.7%

62.6%

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.管理職とは「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者を範囲としています。

4.労働者の男女の賃金の差異について、男女間において平均年齢や職位の人員分布に差があることから賃金差異が生じているものです。賃金体系は、職位・職務等が同等であれば性別を問わず同水準の体系となっております。

 

②連結子会社

 連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組み】

当行グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

当行グループでは、経営の基本理念である「地域社会への貢献と健全経営」に基づき、地域社会の持続可能な発展と課題解決に資するサステナビリティの取組みを実践しております。

2022年4月にサステナビリティ委員会を設置し、脱炭素社会に向けた取組みやSDGs・ESGを含むサステナビリティの諸課題に組織的に対応していくための議論を行っております。なお、2024年4月に「鳥取銀行SDGs宣言」を発展的に見直した「鳥取銀行グループサステナビリティ基本方針」を制定し、グループ全体でサステナビリティを推進する体制を構築しております。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

当行グループでは、脱炭素社会に向けた取組みやSDGs・ESGを含むサステナビリティの諸課題に組織的に対応していくため、2022年4月にサステナビリティ委員会を設置しました。 同委員会は半期に一回の頻度で開催され、代表取締役頭取を委員長とし、本部担当役員や本部各部長から構成されており、サステナビリティへの取組みに関する重要事項を審議することで、持続可能な地域社会の実現に向けたサステナビリティ経営を推進しております。なお、2024年4月に同委員会のオブザーバーに監査部担当役員、監査役に加えて関係会社を追加いたしました。サステナビリティ委員会にて議論、審議した事項は必要に応じて経営会議、取締役会に付議され、委員会の開催と同頻度で取締役会に報告される体制としております。

 


≪サステナビリティ委員会における主な審議内容(2025年4月~2026年3月)≫

開催時期

テーマ

2025年6月

・有価証券報告書の記載案について

・気候変動に関するシナリオ分析について

・人的資本経営に関する指標と目標設定について

・サステナブルファイナンス推進ワーキンググループ活動報告

2025年9月

・2024年度ESGデータについて

・電気使用量の削減について

2025年12月

・日銀気候変動対応オペ参加申込について

・仕事と育児・介護・治療の両立支援に関する基本方針の策定について

・金融経済教育の推進について

・倉吉中央支店の太陽光発電設備の設置について

・TNFD提言への取組みについて

・CDPスコア開示

2026年3月

・TNFD提言への取組みについて

・金融経済教育の推進について

・サステナブルファイナンス推進ワーキンググループ活動報告

 

◆人権方針

 当行では、人類共通の不可欠な価値観である「人権の尊重」が重要な基盤との認識のもと、地域経済・社会の持続可能性の向上実現に向け、2022年9月に「人権方針」を策定しました。企業の責任として、全ての人々の人権を尊重する経営に取組みます。

 

当行は、経営の基本理念である「地域社会への貢献と健全経営」にもとづき、地域社会の持続可能な発展を目指すうえにおいて、お客さま・従業員をはじめ、すべてのステークホルダーの基本的人権を尊重します。

 

1.国際規範の尊重 

私たちは、「世界人権宣言」や「ビジネスと人権に関する指導原則」などの人権に関する国際規範を尊重します。

2.差別の排除

私たちは、あらゆる企業活動において、人種、民族、宗教、国籍、出身、社会的身分、信条、年齢、障がいの有無、身体的特徴、性別、性的指向や性自認などを理由とした差別や人権侵害を行いません。

3.人権尊重の企業風土醸成

私たちは、あらゆる人権問題を自分自身の問題としてとらえ、相手の立場に立って物事を考え、互いの考えや行動を理解し認め合うことを励行し、人権を尊重する企業風土を醸成します。

4.働きやすい職場環境の確立

私たちは、常に周りに対して感謝の心を持ち、役職員がお互いをビジネスパートナーとして認め合い、自由に意見を言い合える対等な関係を構築することで、働きやすい職場環境を確立します。

私たちは、言動により肉体的・精神的な苦痛を与えることは、相手の人格や尊厳を侵害する行為と認識し、全てのハラスメントを職場から排除します。

5.公正採用の実施

私たちは、従業員などの採用にあたり、本人の人格、能力と適性のみを基準とした、厳正かつ公平な選考を行います。

6.人権啓発活動・教育の実施

私たちは、人権に関するあらゆる課題の解決に向け、役職員一人ひとりが人権に関する正しい理解 と認識を深めるため、同和問題をはじめとする幅広い人権研修や啓発活動に取り組みます。

 

 

②戦略

サステナビリティ経営の実現に向けて、サステナビリティ委員会にて議論を重ね、2024年4月に「鳥取銀行SDGs宣言」を発展的に見直した「鳥取銀行グループサステナビリティ基本方針」を制定しました。

当行グループは、本方針のもと、地域社会の持続可能な発展と課題解決に資するサステナビリティの取組みを実践してまいります。

 

◆サステナビリティ基本方針

鳥取銀行グループは、経営の基本理念である「地域社会への貢献と健全経営」にもとづき、持続的な企業価値の向上に努めるとともに、サステナビリティに関する諸課題の解決に積極的に取組み、持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。

 

 

 

 

◆重要課題(マテリアリティ)の設定

「サステナビリティ基本方針」に基づき、地域社会や当行を取り巻くさまざまな課題の中から、当行グループが特に取組むべき重要課題を特定し、銀行の方針、戦略を決定しました。

重要課題

リスク

機会

銀行の方針

戦略

環境への配慮

・気候変動・環境保全の対応不足による社会的信頼の低下

・気候変動・環境保全に関連したファイナンスへの関心の高まり

地域社会の環境負荷低減や環境保全活動に取組むとともに、お客さまの環境に配慮した取組みを支援します。

・環境方針の遵守

・TCFD開示  

・生物多様性対応

・CO2排出量削減

・脱炭素経営の支援

地域社会の持続的発展

・少子高齢化、中山間地の衰退等による経済の低迷

・加速するデジタル化への対応不足による顧客離れ

・地域課題解決に資するソリューションの提供

・DX推進による新たな顧客の確保

・金融経済教育、ボランティア等による社会貢献

金融仲介機能を発揮するとともに、お客さまや地域の課題解決に向けた取組みを通じて、地域の持続的な発展に貢献します。

・ソリューション力の強化(創業支援・ビジマ・M&A・経営改善支援等)

・DXの推進

・多様なステークホルダーとの連携・協働

・金融経済教育の実施

・地域行事やボランティア活動への参加

多様な人財の活躍推進

・価値観の多様性への対応不足による従業員のモチべーションの低下や若年層の早期退職

・価値観の多様性への対応による働きがいの向上や新たな人財の確保

すべての役職員が個性や能力を十分に発揮し、働きがいを感じ、活躍できる、多様性と創造性を尊重した職場づくりに取組みます。

・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

・プロフェッショナル人財の育成

・自律と挑戦によるキャリア形成を支援

・副業・兼業の推進

・エンゲージメントの向上

・人権方針の遵守

ガバナンスの強化

・リスクの多様化・複雑化への対応不足による社会的信頼の低下

・顧客本位の業務運営による信頼確保

・情報開示による企業価値の向上

コンプライアンスの遵守やリスク管理体制の強化を図り、健全経営の実践に努めるとともに、積極的に情報を開示し、信頼される企業を目指します。

・リスク管理体制の高度化

・コンプライアンス態勢の強化

・情報開示の充実

・お客さま本位の業務運営方針の遵守

・投融資方針の遵守

・トップライン増強と生産性向上に向けた取組み

 

 

③リスク管理

当行グループは、サステナビリティに関連するリスク、機会をサステナビリティ委員会にて審議し、重要な事項は経営会議、取締役会に報告、付議する体制としております。また、経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスクについては、統合的リスク管理として「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」に分類し、評価しております。それぞれのリスクについての詳細は、「3 事業等のリスク」を参照ください。

なお、気候変動に関するリスク管理は、「(2)気候変動に関する取組み ③リスク管理」を参照ください。

 

◆投融資方針の制定

当行では、地域経済・社会の持続可能性の向上を実現するため、環境・社会にポジティブな影響を与える事業者を積極的に支援する一方、特定事業等への投融資は慎重に判断し、環境・社会へのネガティブな影響の低減・回避に努めることを目的に、2022年8月に「地域社会・環境に配慮した投融資方針」を策定しました。

1.基本方針

当行は、経営の基本理念である「地域社会への貢献と健全経営」にもとづき、地域社会の持続可能な発展と課題解決に資する投融資を積極的に行い支援します。また、地域社会や環境に対して負の影響を与えるおそれがある投融資については、十分に注意しながら取組み可否を検討し、その影響を低減・回避することに努めます。

2.積極的に支援する事業

以下に例示するような事業に対して、積極的に支援を行います。

1.地方創生、まちづくり、地域社会や地域経済の持続的な発展に資する取組み及びその事業

2.気候変動リスクを低減する省エネルギーや再生可能エネルギー事業、脱炭素社会の実現に寄与する事業

3.水資源や森林資源などの保全に資する事業

4.SDGs・ESGの趣旨に沿った経営を志向する事業

5.少子高齢化に対応する教育、医療や福祉に資する事業

6.農林水産業や観光産業をはじめとした地域産業の振興に資する事業

7.防災や減災に資する取組み及びその事業

3.地域社会や環境に与える影響が大きい業種・セクターへの対応

地域社会や環境に対して負の影響をもたらす可能性の高い特に以下に対しては、原則、事業への投融資を行いません。

ただし、例外的に取組みを検討していく場合は、国のエネルギー政策のほか環境社会配慮ガイドラインや公的輸出信用アレンジメントをはじめ国際的なガイドラインや認証取得状況などを参考に、地域社会や環境への影響など個別案件ごとの背景や特性を十分に検討のうえ慎重に対応いたします。

1.新設の石炭火力発電事業

2.クラスター爆弾製造関連事業など非人道的事業

3.人権侵害や強制労働が懸念されるパーム油農園開発事業など

4.原生林や生態系の破壊など環境への甚大な影響が懸念される森林伐採事業など

 

 

④指標及び目標

重要課題

指標

目標

環境への配慮

CO2排出量削減

2030年度:2013年度比で60%削減

2050年度:ネットゼロ

(注1)

サステナブルファイナンスの取組み

2021年度~2030年度の10年間で2,000億円

(注1)

脱炭素アドバイザー取得

推進

2025年度:65名(ベーシックのみ)

(実績:144名)

地域社会の

持続的発展

金融経済教育受講者数

2021年度~2030年度で累計1万人(注2)

(実績:2025年度までで累計約5,000人)

ボランティア活動の参加

人数の増加

目標は設定していませんが、地域社会へ貢献できるよう積極的に参加します。

多様な人財の

活躍推進

キャリアスキル認定者

(累計)

2026年度末で150名

(注3)

一人当たりの人財開発投資額(研修費+人財開発関連手当+教育関連システム経費)

2026年度:400千円

(注3)

一人当たりの研修参加回数

2026年度:年間8回

(注3)

女性管理・監督職比率

2026年度末で27%

(注3)

男性育児休業一人当たり

取得日数

2026年度:14日以上

(注3)

障がい者雇用率

2026年度末で3.00%

(注3)

ガバナンスの

強化

危機管理・リスク管理の高度化により強固なリスク管理体制を目指します。

 

(注)1 詳細は(2)気候変動に関する取組み④指標及び目標を参照ください。

   2 2025年度に目標達成したため、目標を上方修正しました。(受講者数累計5,000人⇒10,000人)

   3 詳細は(4)人的資本に関する取組み④指標及び目標を参照ください。

 

 

(2)気候変動に関する取組み

気候変動への対応が経営戦略のうえで取組むべき重要な課題であると認識し、2022年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。併せて、地域社会の一員としての社会的責任を認識し、環境保全の取組みを推進するため、「環境方針」を策定し、地域社会の環境負荷低減や環境保全活動に取組むとともに、お客さまの環境に配慮した取組みを支援することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

今後、TCFD提言及び環境方針に沿って気候変動への対応を強化するほか、情報開示の充実に努めてまいります。

 

①ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティに関するガバナンスの中で実践しておりますので、詳細は、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」を参照ください。

 

②戦略

当行では、気候変動関連のリスク及び機会を短期(~5年)、中期(5年~10年)、長期(10年~30年)の時間軸にて1.5℃と4.0℃の2つのシナリオを用いて定性的、定量的に分析しています。気候変動リスクについては、脱炭素社会への移行における規制強化に伴う「移行リスク」と、気候変動による自然災害がもたらす水害等の発生を対象とした「物理的リスク」が、当行及び当行の投融資先のお客さまへもたらす影響を認識しています。

 

◆リスク及び機会

リスク/機会

要因

事業への影響

時間軸

財務影響

移行リスク

市場リスク

市場の変化

脱炭素化に向けた産業の変化に伴う保有株式、債券の価値低下

中期~長期

中

レピュテーショナルリスク

顧客からの評価

気候変動関連に対する取組みや情報開示の対応不足に対するステークホルダーからの批判

短期~長期

大

信用リスク

炭素税の導入、規制の強化

脱炭素に関する規制や税制、取引先からの要請強化による融資先の費用負担増加及び業績悪化

中期~長期

大

物理的リスク

有形資産リスク

自然災害の激甚化・頻発化

風水災等の被災に伴う自行資産の毀損・修繕費用発生

短期~長期

大

有形資産リスク

自然災害の激甚化・頻発化

風水災等の被災に伴う自行の事業の中断

短期~長期

大

信用リスク

自然災害の激甚化・頻発化

風水災等の発生に伴う自行不動産担保の価値毀損

短期~長期

大

信用リスク

自然災害の激甚化・頻発化

風水災等に伴う融資先の直接的な損害やサプライチェーンの間接的な損害による事業の中断及び復旧費用負担増加による業績悪化

短期~長期

大

信用リスク

平均気温の上昇

海面上昇による融資先の直接的な損害やサプライチェーンの間接的な損害による事業の中断及び復旧費用負担増加による業績悪化

長期

小

機会

資源効率

省エネ需要の増加

省エネルギー化等による自行の事業コストの低減

短期~長期

小

製品及びサービス

再エネ需要の増加

再生可能エネルギー関連融資を含むサステナブルファイナンスの取組みによる収益増加

短期~長期

大

脱炭素支援の市場拡大

脱炭素支援に関するコンサルティング実施による収益増加

短期~長期

中

インフラ強化の需要増加

災害対策や事業継続目的のためのインフラ投資に基づく資金需要拡大による収益増加

短期~長期

大

レジリエンス

社会的評価の向上

気候変動対応強化と積極的な開示による企業価値・社会的価値の向上

中期~長期

大

 

 

 

◆リスク及び機会への当行の対応

取組み

取組内容

CO2排出量の算定・情報開示

当行グループのCO2排出量の削減に取組むとともに気候変動への当行の取組みを開示しています。

 ・CO2排出量を算定、削減目標の開示

  ・CO2排出量の削減策の実施

 ・気候変動に関する情報収集

脱炭素経営支援

お客さまの脱炭素経営を支援しています。

  ・CO2排出量の可視化

  ・省エネ診断、省エネ・再エネ設備の導入

  ・J-クレジットの仲介

 ・脱炭素経営に関連したセミナーの実施 など

サステナブルファイナンス

お客さまのサステナビリティ経営を資金面から支援しています。

 ・グリーンローン

 ・ソーシャルローン

 ・サステナビリティ・リンク・ローン

 ・サステナビリティ・チャレンジ・ローン

 ・サステナビリティ・スタート・ローン

 ・SDGs関連私募債

 

 

◆気候変動に関するシナリオ分析

・移行リスク 

移行リスクは、当行の融資ポートフォリオにおいて気候変動リスクの影響度が高い「電力」、「ガス」、「石油」セクターを対象にIEAが公表する1.5℃シナリオのもとで、炭素税の導入による個社の財務への影響に起因した当行の与信コストについて分析しました。

・物理的リスク

物理的リスクは、当行の担保物件、与信先企業に与える水害被害を対象とし、担保毀損への影響及び与信先企業の業務停止・停滞に伴う売上減少の影響に起因した当行の与信コストについて分析しました。

 

移行リスク

物理的リスク

シナリオ

1.5℃シナリオ:IEA“NZE Scenario”

※IEA:International Energy Agency(国際エネルギー機関)

4.0℃シナリオ:IPCC“RCP8.5”

※IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)

セクター

電力、ガス、石油セクター

鳥取県内の当行融資先(法人)

分析手法

IEAの”NZE Scenario”における炭素税データを基に投融資先の業績・財務状況について推計し、債務者区分の変化による与信コストの増加額を分析

洪水発生時の浸水規模に応じて担保毀損額及び業務の停止・停滞に伴う売上減少額について推計し、与信コストの増加額を分析

分析期間

2050年まで

2050年まで

分析結果

13億円程度

19億円程度

 

 

◆炭素関連資産の状況

当行では、TCFD提言を踏まえた気候変動に及ぼす影響の高いセクターへの貸出金について、気候変動リスクを定量的に把握するため炭素関連資産をモニタリングしております。2022年度より2021年10月のTCFD提言の改定を踏まえ、炭素関連資産とする対象セクターを「エネルギー(水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く)」、「運輸」、「素材・建築物」、「農業・食糧・林産物」の4セクターに拡大しました。2025年度末の貸出金に占める割合は17.2%となっています。当行貸出金残高に占める4つのセクターの割合は以下の通りです。

炭素関連

セクター

エネルギー

運輸

素材・建築物

農業、食品、林産物

合計

割合

1.3%

1.6%

12.3%

2.1%

17.2%

 

 

③リスク管理

◆気候関連リスクの識別・評価

当行では、業務運営におけるリスク管理の基本指針である「リスク管理統括規定」を制定し、事業運営上において発生しうるあらゆるリスクの予防、発見、及び再発防止に係る管理体制を構築しております。特に気候変動に伴うリスクについては、短期的なリスクのみならず中・長期的なリスクの識別・評価を経営統括部サステナビリティ推進室が実施し、サステナビリティ委員会にて審議された後、特に重要であるリスクについては必要に応じて取締役会等に報告しています。

 

◆統合的なリスク管理

識別・評価された気候関連リスクに関しては、当行への影響度と蓋然性の観点から重要度を決定し、リスク軽減のためにサステナビリティ委員会にて予防策、対応方針を管理する体制としています。また、当行が定める「気候変動関連リスク管理規定」において、「物理的リスク」「移行リスク」を「信用リスク」「市場リスク」「流動性リスク」「オペレーショナル・リスク」のリスクカテゴリーに分類することで、統合的なリスク管理を実施しています。

 

④指標及び目標

◆サステナブルファイナンスの目標と実績

当行では、2021年から2030年までの10年間において累計で2,000億円のサステナブルファイナンスの実行計画を掲げております。2026年3月末の達成率は66.3%であり、年平均13.2%の割合で拡大しております。

算定期間

2021年度から2030年度の10年間

累計実行目標

2,000億円

 

※サステナブルファイナンスの定義:脱炭素社会及び持続的な地域社会の実現に貢献する融資、私募債など

環境

再エネ、省エネなど環境負荷低減に資する事業など

社会

医療、福祉・介護、教育関連、創業資金、事業承継資金など

 

 


 

◆温室効果ガス排出量の削減目標と実績

当行では、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき温室効果ガス排出量の算定を実施しております。温室効果ガスの削減目標については、2030年度に2013年度比で60%削減、2050年度にネットゼロを掲げております。 また、2024年度より新たにサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を把握するためにScope3、カテゴリー15:投融資先ポートフォリオの排出量を算定しております。

※2022年度より連結で開示しております。

指標

CO2排出量の削減

目標

2030年度に、2013年度比で60%削減

2050年度にネットゼロ※(Scope1,2)

 

※ネットゼロとは、CO2などを含む温室効果ガスが“実質ゼロ”という意味で、温室効果ガス排出量から吸収量を差し引いた合計がゼロになる状態をいいます。世界中の多くの政府や企業が採用している温室効果ガス算定基準である「GHGプロトコル」にもとづく分類(サプライチェーン排出量)では、以下のように定めています。

Scope1:事業者自らによる直接排出量で、ガソリン、重油、ガス等の燃料の使用によるCO2排出量

Scope2:事業者が他者から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出量

 


 

                                   (単位:t-CO2)

 

2013年度

2022年度

2023年度

2024年度

2025年度

2030年度

Scope1

485

412

387

393

391

―

Scope2

2,795

1,474

1,490

1,424

1,244

―

Scope1+2

3,280

1,886

1,877

1,817

1,636

1,312

 

    ※マーケット基準にて算出。ロケーション基準では1,088t-CO2 (2025年度)

 

温室効果ガス排出量の実績(Scope3)                  (単位:t-CO2)

カテゴリー

2025年度

カテゴリー1:購入した製品サービス

530

カテゴリー2:資本財

269

カテゴリー3:Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

220

カテゴリー4:輸送、配送(上流)

516

カテゴリー5:事業から出る廃棄物

114

カテゴリー6:出張

108

カテゴリー7:雇用者の通勤

289

カテゴリー8:リース資産(上流)

該当なし

カテゴリー9:輸送・配送(下流)

カテゴリー10:販売した製品の加工

カテゴリー11:販売した製品の使用

カテゴリー12:販売した製品の廃棄

カテゴリー13:リース資産(下流)

カテゴリー14:フランチャイズ

カテゴリー15:投融資

1,531,458

合   計

1,533,508

 

Scope3:事業者自ら排出している温室効果ガス(CO2等)であるScope1、2以外の事業者の活動に関連する他社の温室効果ガスの排出量

 

 

≪Scope3 カテゴリー15:投融資について≫

当行では、2024年度よりPCAFスタンダードの計測手法を参考に、法人の投融資先を対象にCO2排出量を算定しております。なお、今回の算定結果については、国際的な基準の明確化や高度化により、今後大きく変化する可能性があります。

セクター

事業性融資

上場株式・社債

排出量

炭素強度

排出量

炭素強度

(t-CO2)

(t-CO2/百万円)

(t-CO2)

(t-CO2/百万円)

石油及びガス

5,267

2.03

―

―

電力ユーティリティ

184,302

18.38

28,692

21.64

航空貨物

975

2.43

―

―

旅客空輸

4,285

5.02

60

5.02

鉄道輸送

1,080

0.65

―

―

トラックサービス

34,509

3.37

―

―

自動車及び備品

4,572

0.72

―

―

金属・鉱業

93,182

7.55

―

―

化学

35,109

5.53

―

―

建設資材

29,960

15.83

―

―

資本財

88,940

5.17

―

―

不動産管理・開発

19,388

0.97

139

0.21

飲料

2,538

2.80

―

―

農業

9,215

9.80

―

―

加工食品・加工肉

115,388

5.43

―

―

製紙・林業製品

50,310

6.22

―

―

その他

813,722

3.14

9,816

1.12

合計

1,492,749

―

38,708

―

 

(注)1.投融資先の排出量(ファイナンスド・エミッション)は、投融資先の資金調達総額に占める当行の投融資額の割合(アトリビューション・ファクター)に投融資先の排出量を掛け合わせて計算しております。

      上場企業で自社のHP等で排出量を開示している場合は開示情報(ボトムダウン分析)、それ以外の企業については推計値(トップダウン分析)で算定しております。

     投融資残高は、2026年3月末時点の各社の残高を使用しております。また、投融資先の売上高等財務情報は、2026年3月末時点で当行が保有する融資先の最新決算情報を使用しております。

[計算式]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・

ファイナンスド・エミッション

=

Σアトリビューション・ファクターi

×

排出量i

 

 

 

 

 

i

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・

アトリビューション・ファクターi

=

投融資額i

        iは各投融資先

 

 

資金調達総額i

 

 

 

2.データクオリティスコアは、事業性融資:3.57、上場株式・社債:2.58です。

3.炭素強度は、∑取引先企業のCO2排出量/∑取引先企業の売上高により計算しております。

 

◆2050年度ネットゼロに向けたロードマップ

 当行グループでは、2050年度ネットゼロに向けて、ロードマップを作成しております。

 ネットゼロ達成に向けて、当行グループの事業活動によるCO2排出量を把握し、省エネ設備への切替えや再エネ設備の導入など、CO2排出量削減に取組んでまいります。また、地域社会の脱炭素化を実現するため、サステナブルファイナンスの取組目標を掲げ、資金面で支援するほか、脱炭素コンサルティングを通じてお客さまの脱炭素経営を支援してまいります。

 

≪CO2排出量削減≫


≪脱炭素経営支援≫


 

(3)自然資本・生物多様性への対応(TNFD提言への取組み)

当行は、地域金融機関として鳥取県を中心とした山陰地域に根ざした事業活動を展開しております。鳥取県は、日本海に面した豊かな漁場、中国山地に広がる森林資源、大山をはじめとする豊かな自然環境、さらには国内最大級の鳥取砂丘など多様な自然資本を有しており、地域経済・産業の多くがこれらに深く依存しています。農業・林業・水産業・観光業など、当行が融資・支援する主要産業は、健全な自然環境の維持なくしては成立しないものが多く、自然関連のリスクは当行の事業リスクと直結しています。

こうした地域特性を背景に、当行は自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD:Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)が2023年9月に公表した最終提言(v1.0)を参照し、自然資本・生物多様性に関するリスクと機会を適切に評価・管理するとともに情報開示を推進することが、持続可能な地域社会の実現と当行の中長期的な企業価値向上に不可欠であると認識しております。

当行は、こうした認識のもと、鳥取県の豊かな自然資本を守り、地域の持続可能な発展を支えるという地域金融機関としての責務を果たすべく、TNFDフレームワークが示す「ガバナンス」「戦略」「リスクと影響管理」「指標と目標」の4つの柱に沿って、自然関連リスク・機会への対応を推進しております。なお、現時点においては取組みの途上にある項目も含まれますが、今後、開示内容の充実を図ってまいります。以下に、各項目の取組み状況を記載します。

 

①ガバナンス

自然関連のリスク・機会に関するガバナンスは、サステナビリティに関するガバナンスの中で実践しておりますので、詳細は、「(1)サステナビリティ全般①ガバナンス」をご参照ください。

なお、当行はTNFD提言への取組みを推進するにあたり、自然資本の保全に関する事項を銀行全体で審議・管理する体制を強化するため、2026年1月に「サステナビリティ委員会規定」の審議事項に「自然資本の保全に関する事項」を追加いたしました。これにより、自然関連リスク・機会に関する重要事項を経営レベルで適切に審議・監督する体制を整備しております。

 

②戦略

当行は、自然関連リスク・機会の把握に向けた第一歩として、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(Locate・Evaluate・Assess・Prepare)を参考に、自社拠点における自然との接点の特定と、融資ポートフォリオにおける自然資本への依存・影響の分析を行いました。以下に、その分析結果を記載します。なお、今後はこれらの分析結果を踏まえ、自然関連リスク・機会への対応をさらに深化させてまいります。

 

a.当行拠点の自然との接点

当行グループにおける自然との関わりを把握するため、営業拠点と自然環境との接点について分析を行いました。具体的には、国立公園・国定公園・県立自然公園・ラムサール条約登録湿地等の保護地域を重要エリアとして設定したうえで、鳥取県内における当行営業店の分布との位置関係を確認しました。分析の結果、一部の支店においてこれらの保護地域に非常に近接していることが確認されました。

TNFDが参照するENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)の分析によれば、金融サービス業が自然資本に与える影響及び依存度は、製造業や一次産業と比較して相対的に限定的であることが示されています。このことは当行においても同様であり、通常の銀行業務が自然資本に直接与える影響は限定的であると認識しています。

また、当行の鳥取県内を中心とする営業店舗を対象に、国土交通省や都道府県などが作成した洪水ハザードマップ等を用いて浸水リスクを評価した結果、一部の店舗において0.5m以上の浸水深が想定されました。当該リスクの対応として、浸水リスクの高い店舗につきましては、止水板の設置など物理的な浸水対策を講じるとともに、業務継続計画(BCP)の整備・拡充を通じて、早期復旧体制の確保に努めてまいります。

 これらの分析結果を踏まえ、拠点運営に伴う土地利用やGHG排出については、保護地域に近接する立地環境を踏まえた適切な対応が求められると考えています。当行は引き続き、自然資本への影響を最小化すべく、環境負荷の低減に向けた取り組みを推進してまいります。

 

 

<鳥取県内各エリアの主な支店と、保護地域の分布図>

 


 


 

b.投融資先における自然とのかかわり分析

    ◆融資ポートフォリオ分析(Locate)

銀行による自然への依存とインパクトは、投融資を通じた間接的なものが大きいと認識しており、当行の融資ポートフォリオを対象に、ENCOREを用いた分析を行いました。

     分析セクターは、TNFDにおいて自然との関わりが潜在的に重要な12セクター(エネルギー、素材、運輸、自動車・自動車部品、耐久消費財・アパレル、レストラン・食品小売等、食品・飲料、家庭用品・パーソナル用品、医薬品・バイオテクノロジー、半導体・半導体製造装置、ユーティリティ等、不動産管理・開発等)について分析し、ヒートマップを作成しました。

生態系サービスへの依存について、供給サービス・調整及び維持サービス・文化的サービスの3区分、全25項目を対象に評価を行いました。その結果、多くのセクターにおいて、水の供給や調整・維持機能(水量調整、水の浄化、洪水の軽減等)への依存が共通して確認されており、水資源の持続可能な利用が幅広い業種における重要課題であることが示されました。

また、「食品・飲料」セクターは、水の供給、水量の調整、水の浄化をはじめ、特に多くの生態系サービスに対して高い依存度を有しています。また、「素材」セクター及び「医薬品・バイオテクノロジー」セクターも、水や土壌に関連する生態系サービスへの依存が相対的に高い水準にあります。

自然資本への影響については、陸・淡水・海水利用による変化、資源の利用、汚染・汚染除去、気候変動、外来種など、全13項目を対象に評価を実施しました。

分析の結果、多くのセクターに共通して、水・土壌への汚染、GHG排出、騒音等の攪乱が主要な影響ドライバーとして識別されており、これらへの対応が自然資本保全の観点から重要であることが示されました。

また、「エネルギー」セクター、「素材」セクター及び「食品・飲料」セクターは、GHG排出・大気汚染物質の排出・水及び土壌への有毒汚染物質排出、攪乱など、多岐にわたる影響ドライバーにおいて高い評価となっています。

 

<各セクターの自然資本への依存と影響>


 

<各セクターの依存・影響・融資残高の関係>


※鳥取県内に主な事業拠点のある融資先に絞り、バブルチャートを作成。バブルの大きさは融資割合を示す。

 

生態系サービスへの「依存」の大きさ、自然資本への「影響」の大きさ、及び各セクターの融資残高の割合を組み合わせて評価し、優先的に対応すべきセクターの特定を行いました。

鳥取県内の融資先を対象とした分析では、「食品・飲料」セクターが依存・影響ともに高水準にあり、かつ融資残高も相対的に大きいことから、優先的に対応すべきセクターとして特定しました。

 

◆「食品・飲料」セクターにおけるバリューチェーン分析(Evaluate)

     「食品・飲料」セクターのバリューチェーンを整理し、それぞれの依存と影響を分析しました。また、当行の融資割合を組み合わせてバブルチャートを作成しました。その結果、「水の供給」「水量の調整」「水の浄化」など水に依存し、また、「水の使用量」「固形廃棄物の排出」「攪乱」などの影響を与えていることがわかりました。「漁業」セクターや「農業」セクターは依存・影響が大きいものの融資残高は小さく、次に「食料品製造業」セクターが依存・影響が大きく、融資残高も大きいことが分かりました。

 

<「食品・飲料」セクターのバリューチェーン>


 

<「食品・飲料」セクターの自然資本への依存と影響>


 

<各セクターの依存・影響・融資残高の関係>


 

以上の分析により、水資源に依存し、また影響を与えていることがわかったため、食料品製造業から融資残高の大きい5社14拠点を抽出し、水リスクについてAqueduct(※1)及び洪水時のハザードマップ(※2)、浸水ナビ(国土地理院)を用いて分析しました。

Aqueductのリスク評価からは、全ての拠点で共通して、沿岸への窒素やリンの流出による富栄養化の可能性が非常に高いことが分かりました。また、拠点J・Kについては、一級河川の想定破堤点に近接しており、想定浸水深3~5mという比較的高いリスクがあることが分かりました。

    (※1)Aqueduct Water Risk Atlas:世界資源研究所(WRI)が開発した、世界中の水リスク(水不足や洪水など)を評価・分析するツール

 (※2)国土交通省、市町村が提供するハザードマップ

 

 <食料品製造業代表企業の水リスク分析>


 

◆優先セクターにおける自然関連リスクの分析

 以上の分析結果を踏まえ、「食品・飲料」セクターにおけるリスクと機会を特定しました。

<リスク>

「移行リスク」として、水源保全・取水規制の強化に伴う製造プロセスの中断等により生産能力が低下するリスクが想定されます。また、食品ロス・廃棄物削減への取組みが不十分な場合や土壌・水質汚染が生じた場合には、消費者や地域社会からの信頼低下につながる評判リスクも重要度が高いと認識しています。

「物理的リスク」として、降雨増加や沿岸洪水といった急性リスクによる災害復旧コストの増加、及び少雨による水不足に起因する生産能力の低下が挙げられます。また、気候変動に伴う農産物の供給不安定化による調達コストの増加も、事業継続上の重大な課題と位置付けています。


 

 

<機会>

一方、水資源の効率的な利用による運営コストの削減、食品廃棄物・食品ロスの再利用や代替製品への転用による収益の増加は、長期的なコスト削減及び競争優位性の確立につながる機会と捉えています。また、地域社会との連携強化を通じたブランド価値の向上も、持続的な企業成長を支える重要な要素と認識しています。


 

◆今後について

当行は、今後この優先セクターに生じる自然関連のリスク・機会を中心に、当行の事業運営へのリスク・機会を分析し、融資先企業との対話を通じた自然資本リスクの把握・管理を進めるとともに、生態系保全及び持続可能な資源利用に向けた取組みを支援してまいります。

 

③リスク管理

自然資本に関するリスク及び機会の管理については、②戦略に記載のとおり、当行の事業活動及び融資先企業における自然資本への依存度・影響度の把握を進めており、現在、自然資本に関連するリスクと機会の特定・評価の検討を行っております。

今後は、その結果を踏まえ、統合的リスク管理の枠組みにおいて管理する態勢の構築に努めてまいります。

 

④指標及び目標

◆サステナブルファイナンスの目標と実績

自然関連に関する指標及び目標は、サステナブルファイナンスの取組み額としております。「(2)気候変動に関する取組み ④指標及び目標」をご参照ください。

 

 ◆自然資本保全に関する当行の取組み

 ・TNFDフォーラムへの参画

   当行は、2026年3月にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の取組みに賛同し、TNFDフォーラムに参画しました。今後もTNFD提言に基づく開示の充実に向け、検討を進めてまいります。

 

  ・とっとりネイチャーポジティブ宣言

   当行は、2025年11月に鳥取県主体の「とっとりネイチャーポジティブ宣言」に共同宣言しました。

   以前より、鳥取県と「生物多様性保全活動に関するマッチング業務に関する契約」を締結しており、生物多様性の保全に関心がある企業と、地域で生物多様性の保全に取組む団体とのマッチング支援を行ってまいりました。この共同宣言により、当行は鳥取県と賛同企業とともに、地域課題の解決、新たな地域の魅力・価値の創造に努めてまいります。

   なお、当契約に基づき、田中工業株式会社さまと余戸地区ウスイロヒョウモンモドキ保護の会さまをつなぐ支援を行ってきましたが、2026年3月に活動エリアである鳥取市佐治町余戸・三原台が、企業や民間団体が管理する希少な動植物の保全区域を国が認定する「自然共生サイト」に選ばれ、当行も連携活動実施者に認定されました。

 

 

・鳥取市自然資本産業創造協議会への参画

   当行は、気高日光地区を拠点に、地元の自然を保全しながら新たな産業を生み出す「鳥取市自然資本産業創造協議会」に参画しております。同協議会への参画を通じて、地域の自然資本を活かした持続可能な産業創出と地方創生の実現に取組んでまいります。

 

 ・地域ボランティア活動

   当行では、鳥取砂丘一斉清掃や皆生海岸美化活動など、地域で行われる美化・清掃活動に積極的に参加しております。今後も、地域社会の持続可能な発展と課題解決に資するサステナビリティの取組みとして、継続して取組んでまいります。

 

(4)人的資本に関する取組み

①ガバナンス

 人的資本経営に関する施策・方針及び進捗状況、採用計画については、経営会議にて審議しております。また、人的資本に関するKPIについては、定期的に取締役会に報告し進捗状況を管理しております。

 当行が目指す「地域社会の発展を力強くリードするコンサルティングバンク」の実現には、行員一人ひとりの専門性・スキルの向上と多様な人財が活躍できる職場環境の整備が不可欠なため、人事部内に「人材開発室」及び「ダイバーシティ推進室」を設置し、人財育成プランの策定やダイバーシティの推進に取組んでおります。

 

②戦略

 当行グループは、経営の基本理念である「地域社会への貢献と健全経営」を実現していくため、人的資本を価値創造の源泉であると考えております。企業価値の向上に向け、「鳥取銀行グループサステナビリティ基本方針」においては、多様な人財の活躍推進を重要課題と捉え、すべての役職員が個性や能力を十分に発揮し、働きがいを感じ、活躍できる、多様性と創造性を尊重した職場づくりに取り組んでおります。

 当行は、2024年4月にスタートした中期経営計画「for the FUTURE ~未来に向けて~」において「人的資本経営の実践」を重点テーマとしており、目指す姿である「地域社会の発展を力強くリードするコンサルティングバンク」に向け、付加価値の高いコンサルティング機能を発揮し、これまでの金融の枠組みを越えたサービスを提供することができる人財を育成していく方針としております。具体的には、以下の「人財育成方針」及び「社内環境整備方針」を定めるとともに、人材戦略において、「自律人財の育成」、「挑戦する風土の醸成」、「ダイバーシティの推進」をテーマに掲げ、人的資本に関する継続的な取組みを進めております。

 

<人財育成方針>

当行は、すべての役職員が、地域社会の未来を「創り、守り、支える存在」になるために、以下記載の方針に基づき、経営陣指導のもと人財育成に取り組んでおります。

≪方針≫

1.お客さま・地域社会の発展のためのコンサルティング機能を提供できるスキルを持った人財を育成する

2.専門性を発揮できるプロフェッショナル人財の育成に取組む

3.部下の育成支援に係る管理・監督者のマネジメント力の強化をはかる

4.各々が強みや適性を活かし自律的にキャリア形成を行う体制を整備し、自律・挑戦による成長をサポートする

5.支店長及び本部各部長が先頭に立ち、営業店・本部が一体となって組織全体で人財を育成する

 

<社内環境整備方針>

当行は、すべての役職員が、それぞれの個性や能力を十分に発揮し、やりがいを持って活躍できるよう、 行員一人ひとりの自律・挑戦による成長をサポートする、多様性と創造性を尊重した職場環境の整備を推進します。

 

 

 

また、上記の方針を達成するため以下の「方針テーマ」を定め、各種施策の推進に取組んでおります。

<方針テーマ>

◆自律人財の育成

「やりがい」ある制度の充実と成長をサポートする仕組みづくり

◆挑戦する風土の醸成

挑戦をすることで自己実現を目指せる環境づくり

◆ダイバーシティ&インクルージョンの推進

多様性を認め合い、個々の能力を発揮できる組織づくり

 

 

 

③リスク管理

当行では、業務運営におけるリスク管理の基本指針である「リスク管理統括規定」を制定し、事業運営上において発生しうるあらゆるリスクの予防、発見、及び再発防止に係る管理体制を構築しております。人的リスクについては、「人的リスク管理規定」において、リスク管理の基本方針、管理体制等について定めております。

 

④指標及び目標

事業内容が異なる当行グループ全体での設定が困難なため、当行単体で指標及び目標を設定しております。

当行では、2024年4月より新中期経営計画 「for the FUTURE ~未来に向けて~」(2024年4月~2027年3月)をスタートし、重点テーマとして「人的資本経営の実践」を位置づけ、各方針テーマにおいて指標を定めています。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。

方針テーマ

項目

指標・目標

(中計「for the FUTURE」期間中)

2023年度

実績

2024年度

実績

2025年度

実績

・自律人財

 の育成

 

・挑戦する

 風土の

 醸成

a.プロフェッショナル

 人財増強

 (キャリアスキル

 認定制度)

・キャリアスキル
 認定者(累計)

150

人

104人

111人

125

人

b.人的資本投資の

  充実

・一人当たりの人財開
 発投資額(教育関連
 費)

400

千円

249千円

339千円

414

千円

c.人財開発強化

・一人当たり研修
 参加回数

8

回

4.07回

5.19回

10.5

回

・ダイバー

 シティ&

 インクル

 ージョン

 の推進

d.女性活躍推進

・女性管理・監督職
 比率

27

%

24.8%

25.9%

25.9

%

e.多様な働き方推進

・男性育児休業
 一人当たり取得日数

14

日以上

8.1日

10.6日

21.0

日

f.多様性ある職場

  環境の推進

・障がい者雇用率

3.00

%

2.67%

3.02%

3.04

%

 

 

(注)本目標は、中期経営計画 「for the FUTURE ~未来に向けて~」(2024年4月~2027年3月)期間中の目標であり、期間最終年度である2026年度末の当行目標を記載しております。実績は各年度末時点の数値を記載しております。

(1)キャリアスキル認定者は、当行制度であるキャリアスキル認定制度におけるプロフェッショナル人財(スペシャリスト・エキスパート)を対象としております。

(2)一人当たり人財開発投資額は、総研修費、人財開発関連手当(自己成長サポート手当、スキル手当等)、教育関連システム経費の合計金額を各年度の平均従業員数(嘱託及び臨時従業員を除く)で除して算出しております。

(3)一人当たり研修参加回数は、各年度の総研修参加人数を平均従業員数(嘱託及び臨時従業員を除く)で除して算出しております。

(4)女性管理・監督職比率における、管理職とは「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」にある労働者を、監督職とは管理職の手前の「係長級より上位の役職(上席支店長代理・支店長代理等)」にある労働者を範囲としております。

(5)男性育児休業一人当たり取得日数は、厚生労働省が明示している『「育児休業平均取得日数」を公表する場合の公表・計算例』に基づいて算出したものであります。

(6)障がい者雇用率は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」第43条第1項の規定に基づく、障害者雇用率制度における雇用率設定基準にて算出したものであります。

 

a.プロフェッショナル人財増強(キャリアスキル認定制度)

当行では、行員一人ひとりが各々の強みや適性を活かしたキャリアを選択し、自律的にキャリア形成にチャレンジする風土をつくり、行員の各専門分野におけるスキル向上、プロフェッショナル化を目的に、2022年度より行内認定制度として「キャリアスキル認定制度」を導入し、プロフェッショナル人財の育成に取り組んでおります。

中期経営計画 「for the FUTURE ~未来に向けて~」(2024年4月~2027年3月)においても、この「キャリアスキル認定制度」における認定者の増加を図ることで、当行行員一人ひとりの積極的な自律と挑戦を促し、プロフェッショナル人財の増強を行ってまいります。

 

b.人的資本投資の充実

当行では、一人ひとりが自律的にキャリア形成を行える体制を整備し、自律・挑戦による成長をサポートするために、研修体制の充実、自己啓発環境の整備、人財開発に向けた手当の新設等の取り組みを積極的に進めてまいりました。

中期経営計画 「for the FUTURE ~未来に向けて~」(2024年4月~2027年3月)においても、すべての役職員が地域社会の未来を「創り、守り、支える存在」になるために、行員の自律的な学習を支援するラーニングマネジメントシステムの新規導入やタレントマネジメントシステムの利用拡充などのシステム投資に加え、研修体制の更なる充実強化を図るなど、自己啓発を含めた人財開発支援に向けた投資に積極的に取り組んでまいります。

 

c.人財開発強化

当行では、「地域社会の発展を力強くリードするコンサルティングバンク」を実現する行員を育成するため、2022年度より「人財育成プラン」を策定しております。分野別・スキルレベル別の「分野別コンサルティング育成プログラム」、階層ごとの必要な能力開発を行う「階層別キャリアサポートプログラム」を実施、またWeb研修システムを導入するなど研修体系を整備することで体系的、継続的に行員全体がスキルアップし、一人ひとりが自律的なキャリア形成を行えるよう取り組んでおります。引き続き、中期経営計画 「for the FUTURE ~未来に向けて~」(2024年4月~2027年3月)においても、「人財育成プラン」の充実を図ることで、各分野別、階層別の研修体系を強化するとともに、管理監督者の人財育成に向けたマネジメント力の強化にも取り組み、営業店・本部が一体となり組織全体で人財を育成してまいります。

 

d.女性活躍推進

当行では、イノベーションを生み出す多様な人財が活躍する組織を目指し、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を行っております。特に、従業員の約45%を占める女性の活躍推進は、当行の企業価値向上において大きな課題と捉え、女性向けの各種研修実施など、女性のキャリア形成支援に注力しております。

    中期経営計画 「for the FUTURE ~未来に向けて~」(2024年4月~2027年3月)においても、女性管理職比率向上に向けて「女性管理職養成プログラム」の導入を行い、また、管理職の土台となる監督職層の女性比率においては、男女比率同水準までの更なる向上を目指し「営業職女性行員パワーアッププラン」を実施するなど、女性のキャリアアップに向けた支援を積極的に進め、ジェンダー平等に向けた取り組みを行ってまいります。

   (参考)女性管理職比率及び女性監督職比率の推移

 

2023年度実績

2024年度実績

2025年度実績

女性管理職比率

6.0%

7.1%

8.8%

女性監督職比率

40.2%

42.6%

41.6%

 

 

e.多様な働き方推進

当行では、ダイバーシティ&インクルージョンの観点から、多様な働き方を推進すべく、男性の育児休業取得を支援しております。女性に比べると、男性の育児休業における取得日数は非常に限られたものになっているという現状の課題を踏まえ、中期経営計画 「for the FUTURE ~未来に向けて~」(2024年4月~2027年3月)においては、「男性育児休業一人当たり取得日数」14日以上を目標に掲げ、「男性育休応援金」の制度新設や、新たな制度休暇として「ウェルネス休暇」制度を導入するなど、従業員が育児・介護・健康管理等による休暇を取得しやすい環境づくりに取り組み、多様な働き方の更なる推進を図ってまいります。

 

f.多様性ある職場環境の推進

当行では、それぞれの個性や能力を十分に発揮し、やりがいを持って活躍できるよう、多様性と創造性を尊重した職場環境の整備に努めております。中期経営計画 「for the FUTURE ~未来に向けて~」(2024年4月~2027年3月)においては、障がいがある方の職場環境整備の更なる推進を目指して、2024年度中に障がい者雇用グループを組織化しており、引き続き、障がい者が働きやすく、各々の能力を最大限に発揮できるような支援、環境作りに取り組んでまいります。

 

(5)サイバーセキュリティへの対応

当行及びグループ各社は、高度化・巧妙化するサイバー攻撃の脅威について、経営上の重要なリスクの一つと認識し、経営主導によるサイバーセキュリティ対策に継続して取り組んでいます。

 

①ガバナンス

・サイバーセキュリティ管理の重要性を認識し、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を踏まえた必要なサイバーセキュリティ管理体制を整備しています。

 


 

・顧客情報を含む情報資産の管理の適切性を確保する必要性及び重要性を十分に理解し、情報資産管理に係る各種規定・基準に管理方法を整備しています。

 

②戦略

顧客へのサービス提供停止、業務停止、情報漏洩リスクの低減、レジリエンス(復元力)の強化に向け、防御、検知、対応の観点から、計画的かつ継続してサイバーセキュリティ対策に取組んでいます。

・防御

入口・内部・出口の対策を組み合わせた多層防御を構築し、サイバー攻撃に備えた対策を講じています。

・検知(検出)

ネットワーク上の異常な挙動を特定し分析することで、サイバー攻撃の予兆を早期に検知しています。

・対応(復旧)

攻撃された場合の対応を迅速に行えるよう、また攻撃の影響を取り除き迅速に復旧できるプロセス、体制の整備・強化を図っています。

 

③リスク管理

・情報システム開発においては、サイバーセキュリティリスクを考慮した企画・設計に努めています(セキュリティ・バイ・デザイン)。

・環境の変化に応じて情報資産を洗い出し、リスクの所在を明確にしています。

・情報システム資産の機密性・完全性・可用性より重要度を評価し、重要度と被害発生可能性からリスク値を算出しリスク評価を行っています。

・最新の攻撃手法、脆弱性情報を外部組織・ベンダ等より収集し、脆弱性の深刻度、緊急性から脆弱性を評価しています。

・情報システムのリスク評価と脆弱性評価の結果より、リスクの対策方針を決定し、リスクの解消もしくは低減に努めています。

・近年のサプライチェーンを狙った攻撃が増加しており、サードパーティリスクの管理強化に努めています。

 

④指標及び目標

 

項目

目標

2025年度実績

1

サイバー演習実施

年3回

年3回

2

標的型攻撃メール訓練実施

年1回

年1回

3

全役職員に対する情報セキュリティ教育

通年で実施

年2回

4

新入行員に対する情報セキュリティ教育

年1回

年1回