2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

そのうち、当行グループに大きな影響を与えるため、特に重要性が高く優先的に対応が必要と取締役会で認識したリスクをトップリスクとしております。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

<トップリスク>

当行グループで認識しているリスクのうち、短期的(1年以内)に、当行グループの業務執行及び業績目標の達成に大きな影響をもたらす可能性があるリスク(下表:リスクマップのA及びB)及び、中長期的(10年以内)に当行グループの経営に重大な影響をもたらす可能性があるリスク(同表C)をトップリスクとしております。

 〔リスクマップ〕

 

 

影響時期

 

 

 

 

短期(1年以内)

中長期(10年以内)

超長期

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年3月の取締役会において決定した2025年度のトップリスクは以下のとおりです。これらのリスクの影響及び影響時期等を認識したうえで、起こり得るリスクシナリオを想定し、あらかじめ対応策を講じることで、リスクの回避・抑制を図るとともに、トップリスクを考慮した事業戦略の遂行により企業価値の向上につとめてまいります。また、リスク顕在時においても機動的に対応できるようにリスク管理体制を整備し、その業務やリスクの特性に応じた管理を行っております。なお、リスク管理の状況については定期的に取締役会等に報告を行っております。

 

リスク要因

影響

リスクシナリオ

対応策

経営リスク

BCPリスク

大規模災害、パンデミック、システム障害、その他業務継続を妨げる事象の発生

取引・サービスの停止

当行の物的及び人的資本の毀損

取引先の被災による与信費用の増加

業務継続体制(オペレーショナルレジリエンスの確保、BCP等)の整備・強化

戦略リスク

市場変動

リスク

金利がある世界における競争の激化

・資産・負債構成の変化

・貸出シェアの低下、スプレッドの縮小

・イールドカーブ変化による損益影響

・ALM機能、スプレッドバンキング制度の強化

・県内における当行プレゼンス向上

地政学リスク等を契機とした金融市場の急激な変動

・市場の混乱(株価暴落等)に伴う有価証券評価損益の悪化

・ALM機能の強化

・有価証券運用の安定化

技術変革
 リスク

社会・経済のデジタルシフト加速

・他行への資金流出

・営業地域での当行の地盤低下

・お客さまのDX化支援・新規ビジネスの創出

・非対面チャネルの充実

・データ利活用等

・店舗・業務のデジタル化

・DX人材の育成・採用

成長機会

リスク

地域経済の縮小、地域の少子化・高齢化、人口減少

・取引先数の減少によるビジネス規模の縮小

・生産年齢人口の減少による個人取引(預金・ローン)の減少

・地方公共団体等との共創体制構築による「まち」の活性化

・法人コンサルティング機能の強化

・個人のお客さまの一生涯のライフデザインへの伴走

・流動性リスク管理の強化

内向的・保守的な企業風土

・従業員エンゲージメントの低下

・人材流出

・挑戦を後押しする企業風土の改革

・自律的なキャリア形成支援

 

 

リスク要因

影響

リスクシナリオ

対応策

財務リスク

信用リスク

日本又は世界的な景気後退、インフレの進行

・取引先の業績悪化による与信費用の増加

・信用リスク管理の強化

大口与信先の経営支援の長期化

・経営支援コストの継続発生

・支援先信用悪化による多額の与信費用発生

・経営支援及び予防的措置の強化

・経営改善計画の見直し

流動性
 リスク

顧客行動の変化

・預金の調達コスト上昇、他行への流出

・粘着性のある預金獲得の取組み

オペレ|ショナルリスク

情報

セキュリティ

リスク

サイバー攻撃の増加・高度化

・取引・サービスの停止、顧客情報の流出

・顧客からの信頼毀損

・サイバー攻撃等へのセキュリティ対策

・インシデント対応力の強化

コンプライアンスリスク

役職員による犯罪、コンプライアンス違反の発生

・法令違反等による行政処分

・ステークホルダーからの信用失墜

・犯罪防止(犯罪機会の低減)の取組み

・正しい企業文化・行動指針の浸透

金融犯罪の増加・複雑化

・お客さまの特殊詐欺被害の増加

・マネーローンダリング防止態勢不芳等による行政処分

・ステークホルダーからの信用失墜

・特殊詐欺被害等拡大防止策の強化

・マネーローンダリング防止態勢の整備

・FATF第5次審査対応

レピュテ|ションリスク

ガバナンス

リスク

低い収益力(資本効率)及び生産性

・当行企業価値の低下

・市場での評価低下、当行株価の下落

・株主総会議案の議決権反対比率の上昇

・コスト・リターン管理の徹底

・業務プロセスの改革(預為・得意先業務改革)

・成長戦略の策定・投資

高い政策保有株式保有比率

・市場での評価低下

・株主総会議案の議決権反対比率の上昇

・株価暴落時に多額の減損発生

・政策保有株式の計画的削減

ESGリスク

環境リスク

気候変動など環境問題の深刻化

・脱炭素の遅れによる社会的な信頼低下

・異常気象による取引先の事業停止

・担保価値の低下による与信費用の増加

・脱炭素の遅れによる取引先の業績悪化

・環境負荷の低減

・環境ビジネスの推進

社会的

責任リスク

DE&I及び人権尊重の高まり、人材の流動化

・従業員エンゲージメントの低下

・人材確保の困難化

・人的資本経営の推進

・誰もが安心して活躍できる場の創出

・戦略遂行に向けた人材力の強化

 

 

 なお、信用リスク(与信関係費用の増加等)、及び市場リスク(有価証券評価損益の悪化、イールドカーブ変化による損益の変動等)については、一定の確率で将来被る可能性のある最大損失額(リスク量)の計測を行い、リスク量を自己資本の範囲内にコントロールすることで、経営体力に比して過剰なリスクテイクを行わないように管理を行っております。また、適宜、ストレステストを実施し、当行の健全性を確認しつつストレス時対応力の強化を図っていくことで、経営のレジリエンスを高めております。

 

<その他のリスク>

 (1) 自己資本比率に係るリスク

 当行グループは、海外営業拠点を有していないため「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)」に定められた国内基準における所要水準(4%)以上の自己資本比率を維持することが求められております。所要自己資本比率を下回った場合は、金融庁長官から早期是正措置が発動され、銀行業務の健全かつ適切な運営を確保するために、業務の全部若しくは一部の停止などの命令を受けることとなります。

 現時点での当行グループの自己資本比率は所要自己資本比率を大幅に上回っており、業務の停止などの命令を受ける可能性は低いと思われます。しかし、例え所要自己資本比率を上回っていたとしても、自己資本の毀損やリスクの増加により自己資本比率が大幅に低下した場合、早期是正措置の発動につながる可能性があります。

 このため、当行グループは、信用リスクアセットの状況や損益予想及びストレステストによる自己資本の充実度評価に基づき、必要に応じリスクアセットのコントロールを行うなど、予期せぬ自己資本比率の低下を回避するための体制を整備しております。

 

 (2) 当行格付の引き下げリスク

格付機関による当行格付の引き下げ等が行われた場合には、当行グループは不利な取引条件での資金調達を余儀なくされる場合があります。その結果、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

このため、当行グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び対処すべき課題」における「■中期経営計画「創ろうイ・イ・ヨ♪」(2023年度~2025年度)」に記載のとおり、企業価値向上に向けた各種施策に取り組んでおります。

 

 (3) 貸倒引当金等にかかるリスク

当行グループは、貸倒れの急増が見込まれる場合には、将来の貸倒れに備えるため多額の貸倒引当金等を計上する可能性があります。その結果、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

このため、予想損失額を「第5 経理の状況」における「注記事項(重要な会計上の見積り)(貸倒引当金)」に記載の仮定を置いて算出し、将来の貸倒れに対応できる十分な貸倒引当金の計上を行っております。

 

(4) 年金債務に係るリスク

当行グループの年金資産の時価が下落した場合、年金資産の運用利回りが低下した場合、又は予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があり退職給付債務が増加する場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務が変動し、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(5)繰延税金資産に係るリスク

当行グループは、会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来解消すると見込まれる会計上の利益と税法上の課税所得との差異を繰延税金資産として連結貸借対照表に計上しております。しかし、将来の課税所得の予測に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断される場合や会計基準等の変更により繰延税金資産の計上額が制限される場合には、繰延税金資産は減額され、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(6)固定資産の減損に係るリスク

当行グループは、営業拠点等の固定資産を保有しておりますが、今後の経済環境や不動産価格、その他地域銀行を取り巻く環境の変動によって、当該固定資産の収益性の低下又は損失が発生した場合、多額の償却(減損処理)が発生し、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(7)デリバティブ取引に係るリスク

 当行グループは、金利や為替相場等の変動リスクのヘッジ目的やお客さまに対する各種リスクヘッジ手段の提供のほか、一定の限度額の範囲で収益獲得等を目的にデリバティブ取引を行っておりますが、相場環境や取引相手の信用状況が大きく変動した場合、又は契約不履行が発生した場合、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当行の剰余金の配当の回数は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。なお、当行は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

また、当行の利益配分につきましては、株主の皆さまへの安定的な利益還元に配慮しつつ、内部留保の充実度合い、利益の状況及び経営環境等を総合的に考慮したうえで配当を実施し、自己株式取得と合わせた総還元性向30%程度を目安とする方針としております。

上記方針のもと、当事業年度(2025年3月期)の期末配当金は、1株当たり85円(年間配当金145円)としております。また、次期の年間配当金は、1株当たり176円(うち中間配当金88円)を予定しております。

なお、内部留保金の使途につきましては、営業基盤の拡充及び経営体質の強化並びにお客さまサービスの向上を図るための投資などに有効活用してまいります。

当行は、銀行法第18条の定めにより剰余金の配当に制限を受けております。剰余金の配当をする場合には会社法第445条第4項(資本金の額及び準備金の額)の規定にかかわらず、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に5分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金として計上しております。

当事業年度における当該剰余金の配当に係る資本準備金又は利益準備金の計上額はありません。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年11月8日

取締役会決議

1,711

60.0

2025年6月27日

定時株主総会決議(予定)

2,425

85.0

 

(注) 2024年11月8日取締役会決議の「配当金の総額」には、役員報酬BIP信託に対する配当金6百万円を含めております。
  また、2025年6月27日定時株主総会決議(予定)の「配当金の総額」には、役員報酬BIP信託に対する配当金9百万円を含めております。