2026年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当行は、リスクを「経営理念の実現や経営戦略の遂行に影響を及ぼす不確実性」と認識しております。自行に損失を発生させる脅威としての側面のみならず、収益(リターン)の源泉となる機会としての側面も含めて一体的に捉えることで、事業活動への負の影響を回避・抑制しつつ、将来的な企業価値向上につなげるリスク管理に取り組んでおります。

これらのリスクのうち、以下のリスクを「トップリスク」として位置づけ、優先的に対応しております。

<トップリスク>

当行は、取り巻く環境や事業(経営戦略)の方向性に伴い発生し得るリスクのうち、顕在化した際の影響の大きさや、発生の蓋然性等をふまえ、取締役会において特に重要性が高く優先的に対応が必要と認識したリスクを「トップリスク」としております。

トップリスクを特定するにあたっては、発生した場合に当行の経営基盤を揺るがし得るリスクを「①当行経営の土台となるトップリスク」、当行の経営の持続可能性向上に影響を及ぼし得るリスクを「②当行の持続可能性向上に係るトップリスク」に分類し、それぞれについてリスク要因及びリスクシナリオを整理しております。

特定したトップリスクは、戦略の実現に向けて積極的に受け入れるリスクの種類・量(リスクアペタイト)と紐づけることで、戦略の遂行を通じたリスクの回避・抑制を図り、「事業戦略」と「リスク管理」の整合的かつ一体的な運営を行っております。

なお、特定したトップリスクは、年1回、サステナビリティ委員会の審議を経たうえで、取締役会において見直しの必要性を検討することとしております。

2026年3月開催の取締役会にて特定した「トップリスク」は以下のとおりです。

 

リスク要因

リスクシナリオ(当行への影響)

①当行経営の土台となるトップリスク

 

経営リスク

BCPリスク

大規模災害、パンデミック、システム障害、その他業務継続を妨げる事象の発生

・取引・サービスの停止

・当行の物的及び人的資本の毀損

・取引先の被災による与信費用の増加

オペレーショナルリスク

情報セキュリティリスク

サイバー攻撃の増加・高度化

・取引・サービスの停止、顧客情報の流出

・顧客からの信頼毀損

コンプライアンスリスク

役職員による犯罪、コンプライアンス違反の発生

・法令違反等による行政処分

・ステークホルダーからの信用失墜

金融犯罪の増加・複雑化

・お客さまの特殊詐欺被害やスキミング被害の増加

・マネー・ローンダリング防止態勢不芳等による行政処分

・ステークホルダーからの信用失墜

ESGリスク

環境リスク

気候変動など環境問題の深刻化、生物多様性の重要性高まり

・脱炭素や生物多様性への対応の遅れによる社会的な信頼低下

・異常気象による取引先の事業停止

・担保価値の低下による与信費用の増加

・脱炭素の遅れによる取引先の業績悪化

社会的責任リスク

DE&I及び人権尊重の高まり、人材の流動化

・従業員エンゲージメントの低下

・人材確保の困難化

 

 

リスク要因

リスクシナリオ(当行への影響)

②当行の持続可能性向上に係るトップリスク

 

戦略リスク

市場変動リスク

金利ある世界における競争の激化

・資産・負債構成の変化

・貸出シェアの低下、スプレッドの縮小

・イールドカーブ変化による損益影響

地政学リスク等を契機とした金融市場の急激な変動

・市場の混乱(株価暴落等)に伴う有価証券評価損益の悪化

技術変革リスク

社会・経済のデジタルシフト加速、AI技術の進展

・他行への資金流出

・営業地域での当行の地盤低下(AIを活用しないことによる当行プレゼンス低下等)

成長機会リスク

地域経済の縮小、地域の少子化・高齢化、人口減少

・取引先数の減少によるビジネス規模の縮小

・人口減少による個人預金減少をはじめとした個人取引の縮小

業界の垣根を越えた包括連携

及び他社職員の受け入れ

・営業スタイル及びリスクが従来と異なる商品提供による顧客評価の低下

・企業文化の異なる他社からの出向者受入れによる職員間の文化摩擦

事業領域の拡大

・収益化の遅延に伴う損失の拡大

内向的・保守的な企業風土

・従業員エンゲージメントの低下

・人材流出

財務リスク

信用リスク

日本又は世界的な景気後退、

インフレの進行

・取引先の業績悪化による与信費用の増加

大口与信先の経営支援の長期化、業績不芳先の増加

・経営支援コストの継続発生

・支援先信用悪化による多額の与信費用発生

流動性リスク

顧客行動の変化

・預金の調達コスト上昇、他行への流出

レピュテーションリスク

ガバナンスリスク

低い収益力(資本効率)及び生産性、グループガバナンスの実効性の欠如

・当行グループの企業価値低下

・市場での評価低下、当行株価の下落

・株主総会議案の議決権反対比率の上昇

高い政策保有株式保有比率

・市場での評価低下

・株主総会議案の議決権反対比率の上昇

・株価暴落時に多額の減損発生

 

 

 なお、信用リスク(与信関係費用の増加等)及び市場リスク(有価証券評価損益の悪化、イールドカーブ変化による損益の変動等)については、一定の確率で将来被る可能性のある最大損失額(リスク量)の計測を行い、リスク量を自己資本の範囲内にコントロールすることで、経営体力に比して過剰なリスクテイクを行わないように管理を行っております。また、適宜、ストレステストを実施し、当行の健全性を確認しつつストレス時対応力の強化を図っていくことで、経営のレジリエンスを高めております。

 

<その他のリスク>

 (1) 自己資本比率に係るリスク

当行グループは、海外営業拠点を有していないため「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)」に定める国内基準における所要水準(4%)以上の自己資本比率を維持することが求められております。所要自己資本比率を下回った場合は、金融庁長官による早期是正措置が発動され、銀行業務の健全かつ適切な運営を確保するため、業務の全部若しくは一部の停止等の命令を受けることとなります。

当行グループは、信用リスクには「基礎的内部格付手法(FIRB)」を、オペレーショナル・リスクには「標準的計測手法」を採用し、自己資本比率を算定しております。これらの手法は、経済情勢や景気動向、取引先個社の業況悪化など外部要因・個社固有の要因の影響を受けやすいことから、複数のストレスシナリオを設定したストレステストを定期的に実施し、その結果の検証を通じて自己資本充実度の評価を行っております。また、当該結果はリスク管理方針等にも反映しております。現状、当行グループの自己資本比率は所要水準を大幅に上回っており、ストレス事象顕在化時においても十分な自己資本を有していることを確認しておりますが、必要に応じてリスクアセットのコントロールを行うなど、予期せぬ自己資本比率の低下を回避するための態勢を整備しております。

 

 (2) 当行格付の引き下げリスク

格付機関による当行格付の引き下げ等が行われた場合には、当行グループは不利な取引条件での資金調達を余儀なくされる場合があります。その結果、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

このため、当行グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び対処すべき課題」における「■中期経営計画「だから、挑む。-地域の未来を、たしかなカタチに-」(2026年度~2028年度)」に記載のとおり、企業価値向上に向けた各種施策に取り組んでおります。

 

 (3) 貸倒引当金等に係るリスク

当行グループは、貸倒れの急増が見込まれる場合には、将来の貸倒れに備えるため多額の貸倒引当金等を計上する可能性があります。その結果、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

このため、予想損失額を「第5 経理の状況」における「注記事項(重要な会計上の見積り)(貸倒引当金)」に記載の仮定を置いて算出し、将来の貸倒れに対応できる十分な貸倒引当金の計上を行っております。

 

(4) 年金債務に係るリスク

当行グループの年金資産の時価が下落した場合、年金資産の運用利回りが低下した場合、又は予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があり退職給付債務が増加する場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務が変動し、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(5)繰延税金資産に係るリスク

当行グループは、会計基準に基づき、一定の条件の下で、将来解消すると見込まれる会計上の利益と税法上の課税所得との差異を繰延税金資産として連結貸借対照表に計上しております。しかし、将来の課税所得の予測に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断される場合や会計基準等の変更により繰延税金資産の計上額が制限される場合には、繰延税金資産は減額され、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(6)固定資産の減損に係るリスク

当行グループは、営業拠点等の固定資産を保有しておりますが、今後の経済環境や不動産価格、その他地域銀行を取り巻く環境の変動によって、当該固定資産の収益性の低下又は損失が発生した場合、多額の償却(減損処理)が発生し、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

(7)デリバティブ取引に係るリスク

 当行グループは、金利や為替相場等の変動リスクのヘッジ目的やお客さまに対する各種リスクヘッジ手段の提供のほか、一定の限度額の範囲で収益獲得等を目的にデリバティブ取引を行っておりますが、相場環境や取引相手の信用状況が大きく変動した場合、又は契約不履行が発生した場合、当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

配当政策

3 【配当政策】

当行の剰余金の配当の回数は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。なお、当行は会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

また、当行の利益配分につきましては、株主の皆さまへの安定的な利益還元に配慮しつつ、内部留保の充実度合い、利益の状況及び経営環境等を総合的に考慮したうえで配当を実施し、自己株式取得と合わせた総還元性向30%程度を目安とする方針としております。

上記方針のもと、当事業年度(2026年3月期)の期末配当金は、1株当たり126円(年間配当金234円)(株式分割前)としております。

なお、当行は2026年4月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っております。次期(2027年3月期)以降につきましては、2026年度を初年度とする中期経営計画「だから、挑む。」(2026年度~2028年度)において、株主の皆さまへの安定的な利益還元を基本とし、計画期間中に配当性向40%以上とするとともに、自己株式の取得を業績や市場環境等をふまえて機動的に実施することを株主還元方針として定めております。次期の年間配当金は、1株当たり70円(うち中間配当金35円)を予定しております。

また、内部留保金の使途につきましては、営業基盤の拡充及び経営体質の強化並びにお客さまサービスの向上を図るための投資などに有効活用してまいります。

当行は、銀行法第18条の定めにより剰余金の配当に制限を受けております。剰余金の配当をする場合には会社法第445条第4項(資本金の額及び準備金の額)の規定にかかわらず、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に5分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金として計上しております。

当事業年度における当該剰余金の配当に係る資本準備金又は利益準備金の計上額はありません。

(注) なお、第157期の剰余金の配当は以下のとおりであります。期末配当に関する配当金の総額3,572百万円及び1株当たり配当額126円については、2026年6月26日開催予定の定時株主総会の決議事項となっております。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2025年11月7日

取締役会決議

3,081

108.0

2026年6月26日

定時株主総会決議(予定)

3,572

126.0

 

(注)1.2025年11月7日取締役会決議の「配当金の総額」には、役員報酬BIP信託に対する配当金9百万円を含めております。また、2026年6月26日定時株主総会決議(予定)の「配当金の総額」には、役員報酬BIP信託に対する配当金10百万円を含めております。

2.当行は、2026年4月1日付で普通株式1株に対し4株の割合で株式分割を行っております。当事業年度に属する1株当たり配当額については、株式分割前の金額を記載しております。