2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    506名(単体) 3,761名(連結)
  • 平均年齢
    45.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.8年(単体)
  • 平均年収
    7,322,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社における従業員数

 

 

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

銀行業

その他

合計

従業員数(人)

2,564

1,197

3,761

[616]

[374]

[990]

(注)1 従業員数は、海外の現地採用者を含み、取締役を兼務していない執行役員(子銀行の執行役員を含む)18人、嘱託及び臨時従業員1,008人を含んでおりません。

2 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

 

(2)当社の従業員数

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

506

45.0

19.8

7,322

[294]

(注)1 従業員数は、社外への出向者を除き、社外から受け入れた出向者を含んでおります。また、取締役を兼務していない執行役員6人、嘱託及び臨時従業員292人を含んでおりません。

2 当社の従業員は、すべて「その他」のセグメントに属しております。

3 臨時従業員数は、[ ]内に年間の平均人員を外書きで記載しております。

4 平均勤続年数は、当社グループ内での勤続年数を通算しております。

5 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

 当社の従業員組合は、山口フィナンシャルグループ従業員組合と称し、組合員数は2,848人であります。労使間においては特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 当社

2024年3月31日現在

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

(注3)

有期労働者

(注3)

6.2

108.5

48.5

52.2

52.3

当社が直接雇用している従業員(注4)における割合であり、社外から受け入れた出向者、取締役を兼務していない執行役員、連結子会社が直接雇用している従業員を含んでおりません

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 正規雇用労働者は、使用者との間で期間の定めのない労働契約を締結している労働者で、有期労働者は、使用者との間で期間の定めのある労働契約を締結している労働者であります。

4 2024年3月31日現在、4,587人となっております。

 

 

(参考)                                      2024年3月31日現在

女性管理職比率(%)

6.2

労働基準法上の「管理監督者」及び同等の権限を有する者における比率

女性管理職候補比率(%)

13.9

管理職の一つ手前の職位者における比率

女性係長職比率(%)

37.6

管理職候補の一つ手前の職位者における比率

女性社員比率(%)

44.8

当社基幹社員(※)における比率

(※)中長期的な能力・スキル等の開発を行いながら、マネジメント・専門業務等に従事する者

 

② 連結子会社

当社グループにおいて、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異を公表している連結子会社はありません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

 ①ガバナンス

 当社グループでは、代表取締役社長CEOを委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を定期的に開催し、サステナビリティ関連項目について、審議及び進捗管理を一元的に行っております。サステナビリティ推進委員会における審議内容は、適宜グループ経営執行会議での議論を経て取締役会へ付議され、取締役会がサステナビリティに関する取り組みを監督しております。また、委員会の下には分野別のワーキンググループを設置しており、組織横断的な推進体制を構築しております。

 なお、当社グループの持続的成長と地域価値向上に向けた取り組みを加速させていくため、2024年4月、以下のとおりサステナビリティ推進体制の強化を実施いたしました。

 

イ.「サステナビリティ推進室」の新設

 サステナビリティ推進に関する企画・統括を担う専門部署として、企画統括本部管下の総合企画部にサステナビリティ推進室を新設いたしました。2024年度より、サステナビリティ推進室の統括の下で、当社グループにおけるサステナビリティ戦略の高度化及び取り組みの強化を図ってまいります。

 

ロ.「アドバイザリーボード」の設置及び外部有識者の招聘

 外部有識者の持つ幅広い知見を活用し、当社グループのサステナビリティ戦略の高度化を図ることを目的に、サステナビリティ推進委員会の諮問機関としてアドバイザリーボードを設置いたしました。サステナビリティ経営における重要なテーマについて、アドバイザリーボードを通じた諮問・意見交換を定期的に実施してまいります。

 また、アドバイザリーボードの新設に際し、ボードメンバーとなる外部有識者を招聘いたしました。外部有識者の参画により、当社グループにおけるサステナビリティ推進活動の更なる強化を図ってまいります。

 

(サステナビリティ推進体制図、サステナビリティ推進委員会概要)

 

取締役会における主な決議・報告事項(2023年度)

・2023年度におけるサステナビリティ関連情報の開示内容について

・CO2(Scope1、2)削減の方向性について

・サステナビリティ推進活動の進捗状況について

・サステナビリティ推進体制の見直しについて

・環境省「令和5年度 金融機関向けポートフォリオ・カーボン分析支援事業」における成果について

・気候変動対策ワーキンググループにおける2024年度の年度計画について

・ダイバーシティ&インクルージョン推進ワーキンググループにおける2024年度の年度計画について

・人権対応における2024年度の年度計画について

 

 

 ②戦略

 当社グループでは、サステナビリティ経営の推進により「グループの持続的成長」と「地域価値向上」の連動性を高め、さらには情報開示の充実を図ることで、ステークホルダーの皆さまとの長期的な信頼関係を構築してまいります。

 地域価値向上に資する企業グループを目指し、かつグループ全体でその意思を共有できるものとして、2021年12月に「グループサステナビリティ方針」を策定いたしました。当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献するために特に重点的に取り組むべきESG課題「マテリアリティ」として12項目を特定しており、グループサステナビリティ方針に基づく事業活動を通して、マテリアリティの解決に積極的に取り組んでまいります。

 

《グループサステナビリティ方針》

私たちは、地域の皆さまと共に歩み、共に成長するため、様々な事業活動を通じて、多様な課題の解決に取り組み、地域の価値向上を実践していくことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

《マテリアリティ》

地域社会・経済活性化への取り組み

① 人口減少・少子高齢化への対応

② 地域におけるイノベーション創出、地域産業の成長サポート

③ 地域コミュニティとの連携強化

④ 商品・サービスの安全性と品質向上

環境保全への取り組み

⑤ 省資源・省/創エネルギーへの対応

⑥ 大気汚染・気候変動への対応

⑦ 環境に配慮した商品・サービス開発

役職員全員の働きがいへの取り組み

⑧ 人材育成・研修機会の創出

⑨ 安心・安全な労働環境作り

⑩ 多様な人材の活躍(ダイバーシティ&インクルージョン)

強固な経営基盤づくりへの取り組み

⑪ ガバナンス体制・内部統制の強化

⑫ 経営の透明性向上と説明責任

 

 ③リスク管理

 リスク管理の詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。また、気候変動に関するリスク管理については「(2)気候変動対策 ③リスク管理」、人的資本に関するリスク管理については「(3)人的資本 ③リスク管理」をご参照ください。

 

 ④指標及び目標

 気候変動に関する指標及び目標については「(2)気候変動対策 ④指標及び目標」、人的資本に関する指標及び目標については「(3)人的資本 ④指標及び目標」をご参照ください。

 

(2) 気候変動対策

当社グループは2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(以下TCFD)提言に賛同、TCFDコンソーシアムに参画しており、同提言に沿った情報開示を実施しております。

 ① ガバナンス

当社グループでは、マテリアリティのひとつとして「大気汚染・気候変動への対応」を特定しており、気候変動への対応を経営の重要課題として捉えております。気候変動への対応に関するガバナンスはサステナビリティ全般に関するガバナンスの中に組み込まれており、気候変動に関するリスクと機会の把握・管理や、サステナビリティ推進委員会の下に設置された「気候変動対策ワーキンググループ」を中心とした各種施策への取り組みを取締役会が監督する体制としております。サステナビリティ全般に関するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

 ② 戦略

イ.リスク

a.気候変動に伴うリスク

当社グループの主要エリアである山口県、広島県、福岡県においては、瀬戸内海沿岸地域・北九州地域にコンビナートが形成されており、上場大手企業及びそのサプライチェーンを中心にGHG多排出業種の工場が集積しているという産業構造から、CO2排出量は全国平均よりも多い水準となっております。このような地域特性を踏まえ、当社グループでは気候変動に伴うリスクについて、短期・中期・長期の時間軸で、次のとおり認識しております。

 

 

移行リスク

物理的リスク

主な評価項目

政策/法律

市場/技術

・異常気象の激甚化

・炭素税、炭素価格

・GHG排出量規制への対応 等

・消費者など顧客の行動変化

・エネルギー価格

・エネルギーミックス 等

・操業コストの増加、稼働率の低下、多額の設備投資等により、財務内容が悪化するリスク

・カーボンニュートラル実現に向けた対応が不十分で、ブランド価値が毀損するリスク

・物損被害の発生や事業の中断により、事業継続性や財務内容が悪化するリスク

当社グループに与える主なリスク

・操業コストや製造/建造コストの増加、資産価値の低下、ブランド価値の毀損等により、お客さまの財務内容が悪化し、与信コストが増加するリスク

・気候変動に対する不適切な対応や不十分な情報開示により、当社グループの評判が悪化するリスク

・風水災等の発生により、事業活動の停滞、物損被害により、お客さまの事業や財務内容に影響を与え、与信コストが増加するリスク

・風水災等の発生により、当社グループの本支店が被災し事業継続が困難となるリスク

時間軸(注)

中期~長期

短期~長期

短期~長期

(注) 短期を3年未満、中期を3年~10年、長期を10年超としております。

 

b.シナリオ分析

当社グループでは、TCFD提言に基づき複数のシナリオを用いて、移行リスク、物理的リスクにかかるシナリオ分析を実施いたしました。

移行リスクについては、GHG排出量が大きく気候変動の影響を受けやすいことや融資ポートフォリオを勘案し、昨年度の分析対象である電力セクター及び自動車セクターに加え、海運セクターを新たに追加いたしました。物理的リスクについては、台風や豪雨等の影響を受けやすい地域であることを勘案し、昨年度同様、洪水被害を分析対象としております。

  分析結果から、移行リスク、物理的リスクともに与信ポートフォリオへの影響は限定的であると評価しておりますが、対象セクターの拡大や分析の高度化等に継続的に取り組むことで、気候関連リスクの低減に向けた各種検討に活用してまいります。

 

移行リスク

物理的リスク

リスク事象

・炭素税導入に伴う費用増加による与信先の財務悪化

・脱炭素社会への移行に伴う設備投資等の増加による与信先の財務悪化

・洪水被害による担保物件の毀損

・洪水被害による与信先の事業停止に伴う財務悪化

シナリオ

・IEA1.5℃(NZE)

・IEA2.0℃(STEPS)

・IPCC RCP2.6(2℃シナリオ)

・IPCC RCP8.5(4℃シナリオ)

分析手法

・IEAシナリオや公開情報等をもとに、サンプル企業の2050年までの財務諸表を作成し、サンプル企業の財務への影響を把握

・サンプル企業の影響度を分析対象セクター全体に展開し、与信関係費用の増加額を算出

・ハザードマップのデータから洪水発生時の担保物件への影響、取引先の財務への影響を算出した上で、与信関係費用の増加額を算出

分析対象

・電力セクター

・自動車セクター

・海運セクター

・国内の事業性貸出先

分析期間

・2050年まで

・2050年まで

分析結果

・与信関係費用の増加額

 35億円~350億円程度

・与信関係費用の増加額

 最大60億円程度

 

 

ロ.機会

a.気候変動関連の機会

当社グループでは気候変動に関する機会について、短期・中期・長期の時間軸で、以下のとおり認識しております。

主な評価項目

当社グループに関わる主な機会

時間軸(注)

商品・サービス

・脱炭素社会への移行に向けた地域の環境関連産業の成長に伴う金融・非金融面でのビジネス機会の増加

短期~長期

・お客さまの気候変動対応やカーボンニュートラルへの取り組みを支援する金融・非金融面でのビジネス機会の増加

短期~長期

・自然災害の激甚化に対応したお客さまの防災体制強化・設備拡充を支援する金融・非金融面でのビジネス機会の増加

短期~長期

  (注)短期を3年未満、中期を3年~10年、長期を10年超としております。

 

b.金融・非金融ソリューション

当社グループでは気候変動への社会的な対応を機会と捉え、お客さまのカーボンニュートラルへの取り組みを支援するため、GHG削減に向けた様々な金融・非金融ソリューションを提供しております。

金融ソリューションでは、グリーンローンとサステナビリティ・リンク・ローンのパッケージ商品(注)を展開することで、大企業だけでなく中小企業のお客さまにも利用しやすいファイナンス手法を取り揃えるほか、2023年10月には新たにポジティブ・インパクト・ファイナンスの取り扱いも開始いたしました。非金融ソリューションでは、算定や可視化のプロセスで課題を有するお客さまに対しては「CO2排出量算定支援」等での支援、目標設定や計画策定のプロセスで課題を有するお客さまに対してはカーボンニュートラルに向けた施策の選択や投資の意思決定に寄与する「CO2削減ロードマップ策定支援」等での支援を行うほか、2024年4月には新たなソリューションの提供も開始しており、お客さまの課題に応じた支援が可能となっております。

当社グループが金融・非金融ソリューションを提供し、カーボンニュートラルへの取り組みを進められたお客さまは、2024年3月末で累計213先となっており、2025年3月末までに累計315先を目標としております。

なお、地域のカーボンニュートラルに向けた動きを加速させるべく、自治体等と連携した取り組みについてもさらに強化してまいります。

(注) 各種ローン原則やガイドラインとの整合性に関する外部評価の認証を内包したパッケージ型の商品となります。

 

(地域のカーボンニュートラルに向けた金融・非金融ソリューション)

 

 ③ リスク管理

気候変動に伴うリスクは、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスク、風評リスクといった各リスク・カテゴリーに波及し、そのリスク・カテゴリーのリスクとして顕在化するという特徴を踏まえ、当社グループでは、統合的リスク管理の枠組みの中に気候関連リスクを組み入れた上で、顕在化するリスクに応じて、各リスク・カテゴリーにおいて管理する体制を構築しております。

当社グループでは各リスク・カテゴリーにおいて顕在化する気候関連リスク(移行リスク・物理的リスク)について、短期・中期・長期の時間軸で、次のとおり認識しております。

 

 

 

リスク・

カテゴリー

移行リスクの内容

時間軸

(注)

物理的リスクの内容

時間軸

(注)

信用リスク

・脱炭素社会への移行に伴う事業環境の変化により、取引先の業績が悪化し、与信費用が増加するリスク

中期~長期

・風水災等の発生により、担保価値の毀損や取引先の業績が悪化し、与信費用が増加するリスク

短期~長期

市場リスク

・脱炭素社会への移行に伴う事業環境の変化により、取引先等の業績が悪化し、当社グループが保有する有価証券の市場価値が下落するリスク

短期~長期

・風水災等の発生により、取引先等の業績が悪化し、当社グループが保有する有価証券の市場価値が下落するリスク

短期~長期

流動性リスク

・脱炭素社会への移行に伴う事業環境の変化により、当社の業績や評判が悪化し、資金調達環境が悪化するリスク、預金が流出するリスク

短期~長期

・風水災等の発生により、取引先の資金需要が高まり、預金が流出するリスク

・風水災等の発生により、金融市場が混乱し、資金調達環境が悪化するリスク

短期~長期

オペレーショナル・リスク

・脱炭素社会への移行に伴う規制変更により、対応コストが増加するリスク、罰金・訴訟等により損失を被るリスク

短期~長期

・風水災等の発生により、本支店が被災し、事業継続が困難となるリスク、復旧コストが発生するリスク

短期~長期

風評リスク

・気候変動に対する不適切な対応や不十分な情報開示により、評判が悪化するリスク

短期~長期

・風水災等からの復旧対応や影響を受けた取引先への支援が不十分なことにより、評判が悪化するリスク

短期~長期

(注)短期を3年未満、中期を3年~10年、長期を10年超としております。

 

また、当社グループでは、環境・社会に負の影響を与える可能性のある特定セクターへの投融資に関しては、「環境・社会に配慮した投融資方針」を定め、環境・社会への影響の低減・回避に努めております。なお、投融資方針を制定した2022年5月以降、方針に抵触する投融資は行っておりません。

 

④ 指標及び目標

イ.温室効果ガス排出量

当社グループでは、当社グループ自身のカーボンニュートラル達成に向けて、2022年11月に「2030年度までにCO2排出量(Scope1、2)ネットゼロ」という中長期目標を公表し、CO2排出量の削減に取り組んでおります。

a.Scope1、2排出量(注)

当社グループの事業活動における2023年度のCO2排出量は前年度比で約21%の削減となりました。CO2排出量の更なる削減に向けて、電力における再生可能エネルギーへの切り替え、営業車両における環境配慮型車両への切り替え、照明器具のLED化などの取り組みを強化してまいります。

 

 

(注) 「環境省 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度」における2024年5月31日時点の排出係数に基づき算出しており、算定対象は、当社、連結子会社及び非連結子会社であります。

b.Scope3排出量

当社グループは、2023年度よりカテゴリ15を含めたScope3の算定を行っております。2023年度においては、算定対象範囲を当社及びグループ内銀行(山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行)に限定しておりますが、引き続き算定対象範囲の拡大及び算定精緻化に取り組んでまいります。

(単位:t-CO2)

計測項目

 

 

2023年度

Scope3

(注1、2)

カテゴリ1

購入した製品・サービス

36,745

カテゴリ2

資本財

13,285

カテゴリ3

Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動

1,502

カテゴリ4

輸送、配送(上流)

349

カテゴリ5

事業から出る廃棄物

342

カテゴリ6

出張

534

カテゴリ7

雇用者の通勤

1,416

カテゴリ15

投融資

18,340,964

合計

 

18,395,136

(注)1 算定対象は、当社及びグループ内銀行であります。

2 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン (ⅴer.2.6)」、環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.4)」及び「IDEAv2(サプライチェーン温室効果ガス排出量算定用)」における排出原単位を用いて算定しております。なお、カテゴリ15においては対象先の開示情報等からScope1、2排出量を取得できない場合に限り、推計値を採用しております。

 

c.Scope3カテゴリ15

金融機関は、その事業特性上、サプライチェーンにおけるCO2排出量の大半をScope3カテゴリ15(投融資)が占めることから、グループ内に3つの銀行を有する当社グループにおいても継続的にカテゴリ15の把握に努めることが重要であると認識しております。2023年度は、グループ内銀行における法人に対する事業性融資を対象として算定を実施いたしました。引き続き、算定対象範囲の拡大についても検討してまいります。

 

(単位:t-CO2)

TCFD18セクター別

排出量(2023年度)

電力ユーティリティ

3,636,394

資本財

2,975,539

金属・鉱業

2,124,843

建設資材

1,626,055

海上輸送

1,568,579

化学

1,262,102

加工食品・加工肉

588,426

石油及びガス

584,852

トラックサービス

483,519

自動車及び部品

264,945

製紙・林業製品

254,173

不動産管理・開発

101,244

旅客空輸

74,011

農業

40,527

鉄道輸送

18,914

飲料

15,279

航空貨物

1,164

石炭

その他

2,720,399

合計

18,340,964

 

 

ロ.サステナブルファイナンス(注1)

当社グループでは、2022年度から2031年度までのサステナブルファイナンス累計実行額(注2)について、1兆5,000億円(うち、環境分野・気候変動対応に資するものは5,000億円)の長期目標を設定しております。

なお、2023年度までの累計実行額は4,527億円(うち、環境分野・気候変動対応に資するものは2,819億円)となっております。

(注)1 環境課題や社会課題の解決に資する投融資やお客さまのサステナビリティ向上に向けた取り組みを支援する投融資をサステナブルファイナンスと定義しております。

  2 当社グループ内銀行(山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行)の合算額であります。

 

 

ハ.炭素関連資産

当社グループでは、TCFD提言を踏まえ、気候変動に伴うリスク把握に向けた取り組みとして、貸出金等に占める炭素関連資産(注1)の割合を算出しております。

2024年3月末時点における当社グループの貸出金等に占める炭素関連資産の割合は50.7%となりました。

セクター

債権残高(注2)

割合

エネルギー (注3)

4,957億円

5.7%

運輸

4,853億円

5.6%

素材・建築物

32,591億円

37.4%

農業・食料・林産物

1,788億円

2.1%

上記セクター(炭素関連資産)合計 (注4)

44,191億円

50.7%

全セクター合計

87,081億円

100.0%

(注)1 2021年10月のTCFD提言改訂を踏まえ、炭素関連資産を「エネルギー」「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクターに関連する資産と定義しております。

2 債権残高は貸出金、支払承諾、外国為替、私募債等の合計であります。

3 「エネルギー」に含まれる「電力」は、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電等の再生可能エネルギー事業者を除いております。(ご参考_再生可能エネルギー事業者向け債権残高:2,001億円)

4 2023年度はTCFD18セクター分類に基づき業種の再整理を実施しております。

 

 

(3) 人的資本

当社グループでは、全ての事業活動の基軸となる「使命・存在意義(パーパス)」を定め、社員が活き活きと活躍できる環境・機会を共に創り、一人ひとりが働きがいをもって成長することで組織文化を変容させ、グループ一体となって「地域・お客さまへの価値提供最大化」及び「新たな価値創造」に取り組んでいくことを目指しております。具体的には、「多様な人財の活躍推進」「地域共創を体現する人財の活躍」「社員一人ひとりが正しく報われる仕組み」の3つの観点を重視した取り組みを推進しており、3つの観点を軸とした人財戦略を、経営戦略と連動させることで、人的資本経営の本質的な実践に取り組んでおります。

① ガバナンス

当社グループでは、マテリアリティとして「人材育成・研修機会の創出」「安心・安全な労働環境作り」「多様な人材の活躍(ダイバーシティ&インクルージョン)」を特定しており、人的資本経営及び多様性の推進を重要課題として捉えております。

人的資本経営に関する事項は、グループ経営執行会議での議論を経て取締役会へ付議され、取締役会がサステナビリティに関する取り組みを監督しております。また、ダイバーシティ&インクルージョン推進に関するガバナンスはサステナビリティ全般に関するガバナンスの中に組み込まれており、サステナビリティ推進委員会の下に設置された「ダイバーシティ&インクルージョン推進ワーキンググループ」を中心とした各種施策への取り組みを取締役会が監督する体制としております。サステナビリティ全般に関するガバナンスについては、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

イ.人財の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける人財育成及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。

a.多様な人財の活躍推進

積極的な多様な人財の採用・登用、あらゆる社員の主体的なキャリア育成などによりダイバーシティ&インクルージョンを加速していく。

b.地域共創を体現する人財の活躍

地域との共創を実現することができる人財を育成するとともに、社員一人ひとりのありたい姿の実現に向けた人財開発・各種育成プログラムを展開していく。

c.社員一人ひとりが正しく報われる仕組み

社員のモチベーションを高め、多様なキャリアパスや働き方を実現するための社内環境を整備していく。

 

ロ.具体的な取り組み状況
上記の方針に基づく、当社グループの具体的な取り組み状況は以下のとおりであります。

a.多様な人財の活躍推進

(ダイバーシティ&インクルージョン)

当社グループでは、常にスピード感を持って事業創造できる組織となるための、多様な人財の採用・登用を積極的かつ継続的に行い、同時に育成を進めていくことで、2031年12月までに多様性人財(注)管理職比率を25%以上とすることを目指しており、2024年3月末では12.2%となっております。また、2023年度の経験者採用による入社者数は52名(前年度比+21名)となりました。

多様性確保のためには、多様性を受容する組織風土の醸成も必要であることから、無意識の思い込みや偏見の解消に繋げるアンコンシャスバイアス研修を経営層やマネジメント層中心に実施するなど、社員が高いモチベーションを持ち、多様なキャリアパスや働き方を実現するための取り組みも進めております。

(注)多様性人財は当社社員における女性、外国人、経験者採用者、アルムナイ、副業従事者、外部出向経験者の総称であります。

(女性活躍推進)

当社では社員の40%以上が女性であり、既に多くの事業領域で活躍しておりますが、更なる活躍フィールドの拡大が必要であると考えております。そのため、女性法人外交ジョブトライアルなどの取り組みに加え、2031年12月までに女性管理職比率を15%以上とするという中長期目標を設定し、女性のキャリア形成に係る施策に注力しております。2023年12月には、当社グループ初の試みとして女性社員がキャリア形成等について考え、仲間づくりを行う場としてキャリア形成支援イベントを開催し、約100名の女性社員が参加いたしました。

また、2023年度は女性管理職同士のつながり強化や相互支援・相互研鑽の機会創出を目的として、女性管理職ネットワーク「なでしこ塾」を構築いたしました。なお、2024年3月末における女性管理職比率は6.2%となっております。

 

b.地域共創を体現する人財の活躍

(パーパス実現に向けた人財育成)

当社グループでは、社員が活き活きと活躍できる機会を共に創り、一人ひとりが働きがいをもって成長するための支援を行っていくことは、パーパス「地域の豊かな未来を共創する」を基軸とした事業活動に不可欠と考えております。

2023年度は、階層ごとの「あるべき姿」の実現を推進する育成と、社員一人ひとりの「ありたい姿」に合わせた自律的な学びを促進する育成を両輪で進めてまいりました。マネジメントスキルやデジタルスキルの向上に資する研修の継続的な実施に加え、業務スキルの向上に資する各種業務別研修などの実施により、2021年度比約3倍となる220百万円を人財育成へ投資しております。

また、新しい組織文化を構築するべく、他社のノウハウや知見を当社グループへ還元することを目的に、異業種企業や団体への出向制度を2016年度より実施しており、2024年3月末時点における出向者は累計88名となっております。

 

c.社員一人ひとりが正しく報われる仕組み

(多様なキャリアパスや働き方の実現)

当社グループでは、中長期的な企業価値の向上と社員がそれぞれの個性を活かして輝くことのできる社内環境の整備に継続的に取り組んでおります。

具体的には、復職制度、短時間勤務制度、事業所内保育所の開設、副業制度、フレックスタイム制度の導入、テレワークの実施などを行っております。制度休暇の取得に向けた推進活動も継続し、2023年度の取得率は96.2%となりました。また、男性社員の育児休業取得の推進については、社員へのヒアリング等を中心に現状や課題の分析を行い、特別休暇を新設した他、育休取得前説明会の開催や、管理職向けにガイドブック配布等の啓発活動を行った結果、2023年度の男性社員の育児休業等、育児目的休暇の取得率は108.5%となりました。100%の水準を維持することに加え、取得日数の増加に向けた検討及び推進活動を継続してまいります。

(人権の尊重)

当社グループは、お客さま・地域社会・役職員等すべてのステークホルダーの人権を尊重した取り組みを推進するため、2023年6月に人権方針を制定しており、2023年度は、制定した人権方針について社員に向けた周知活動を実施した他、外部委託先等への周知活動も開始いたしました。また、内部通報制度の利用促進に向け、2023年10月より社外通報窓口に女性の弁護士を1名追加いたしました。

 

ハ.社員エンゲージメント

a.社員意識調査による社員エンゲージメントの測定

当社グループの持続可能性及び社会の持続可能性向上において、人的資本は重要な構成要素の一つと位置付けており、社員の意識や組織文化の状態を把握することを目的に社員意識調査(注1)を実施しております。同調査では、「今のYMFGの組織風土をどのように感じているのか、今の仕事や職場環境をどのように感じているのか」について調査・分析し、当社グループの目指す姿と現状のギャップを把握することで、引き続き問題点や課題点の特定に努めてまいります。

2023年度の社員意識調査では、グループ全体で約4,300名の社員(嘱託、臨時雇等を含む。)が回答し、総合満足度は3.62ポイント(前年度比+0.05ポイント)となりました。同調査では±0.10ポイント以上の変化があった場合に満足度の変化が認められることから、傾向としては「維持(前年度同水準)」と捉えておりますが、総合満足度を構成する主要カテゴリ(注2)の全てにおいて前年度を上回る結果となった他、前年度比で最も上昇幅が大きかった「会社へのロイヤルティ」カテゴリでは、『人材開発(前年度比+0.13ポイント)』『福利厚生(前年度比+0.16ポイント)』の満足度上昇が有意なものとなっております。

一方で、「会社へのロイヤルティ」カテゴリの中でも『評価・処遇(前年度比+0.05%)』や『組織体制(前年度比+0.04%)』については上昇幅が僅少であるだけでなく、他の項目と比較しても満足度が低い水準であり、これらの項目における満足度向上が課題であると認識しております。当社グループは、2024年4月に人事制度を改定しており、同制度に基づき納得感のある評価や適材適所の抜擢人事等の運用を丁寧に行っていくことで、『評価・処遇』に対する満足度向上を目指してまいります。さらに、性別による偏った役割分担を無くす人員配置等により、『組織体制』に対する満足度向上を目指してまいります。

(注)1 当該調査は、最大5.00ポイントで評価されるものであります。

2 総合満足度は、主に「仕事への充実感・適応感」「職場への満足感」「上司への満足感」「会社へのロイヤルティ」で構成されるものであります。

 

 

 

b.「対話」や「傾聴」を起点としたエンゲージメントの直接的・間接的向上

当社グループでは、社員と経営層(代表取締役社長CEO、グループ内銀行頭取)が対話をする取り組みとして、2023年度よりタウンホールミーティングを開催しております。初年度となった2023年度は事業体別・地区別に20回開催され、700名を超える社員が『地域やYMFGの未来』をテーマに経営層と直接対話を行いました。同イベントの中で社員から寄せられた要望やアイデアをもとに、女性社員向けキャリア形成支援イベントやグループ会社合同説明会といった新たなイベントが企画・開催されました。2024年度以降についても、タウンホールミーティングを通じた対話を継続的に実施してまいります。

 

③ リスク管理

リスク管理の詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (4)オペレーショナル・リスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

人的資本に関する取り組みに関する進捗状況を把握するため、当社グループでは具体的な取り組みとの関連性が高いと考えられる指標を用いて、定期的かつ継続的な施策の見直しを実施しております。また、社員の意識や当社グループにおける組織文化の状態を把握する「社員意識調査」を実施し、当社グループの目指す姿と現状のギャップを把握することで、引き続き問題点や課題点の特定に努めてまいります。

主な指標における目標及び実績は、以下のとおりであります。

主な指標

目標

2022年度実績

2023年度実績

教育投資額

2021年度比2倍

2.0倍

3.1倍

多様性人財管理職比率

2031年12月までに25%以上

9.0%

12.2%

女性管理職比率

2031年12月までに15%以上

4.5%

6.2%

男性育児休業取得率

毎年度100%以上を維持

16.3%

108.5%

社員意識調査結果(総合満足度)

3.57ポイント

3.62ポイント