リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、直面するリスクに対する基本的な方針を定め、各種委員会において定期的に協議し、業務の健全性及び適切性の確保を図っております。
各リスク管理主管部署が抱えるリスクのうち、計量化が可能なリスクについてはバリュー・アット・リスク等の共通の尺度を用いて計量化を行い、リスクに見合う資本(リスク資本)を各リスク別に配賦し、各リスク管理主管部署は配賦されたリスク資本の範囲内でリスクテイクを行っております。また、警告水準としてのアラームポイントを設定し、アラームポイントに到達した場合には現状分析や対応策の協議、経営に対する報告等を実施することで、リスクの適切な管理かつ迅速な対応に努めております。
計量化が不可能なリスクについては、各種方針・規程に則りリスクのコントロール及び削減を図っており、適切な管理かつ迅速な対応に努めております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日において当社及び当社の関係会社(以下、本項目においては当社といいます。)が判断したものであります。
(1) 信用リスク
<予想を上回る貸倒の発生>
当社は、自己査定基準と格付基準に基づいて、融資先に対し格付・債務者区分を判定し、決算において貸倒引当金を計上しております。経営破綻の状態にある融資先に対しては回収不能見込額に対し全額貸倒引当金を、それ以外の融資先にかかる債権については、貸出金の状況に応じて過去の一定期間における貸倒実績から算出した貸倒実績率等に基づき見積もった貸倒引当金を計上しております(2024年3月末 貸倒引当金50億円)。
しかしながら、今後の経済情勢の悪化、自然災害の発生、地域経済の落ち込み、融資先の経営状況の悪化などによって、実際の貸倒が、見積もった貸倒引当金を上回り、不良債権や当社の与信関連費用が増加する可能性があります。
<担保価値の下落>
当社は融資先に対する債権の保全として、不動産や有価証券などに担保権を設定しているものがあります。担保価値が下落した場合には、貸倒引当金の積み増しが必要となり当社の与信関連費用が増加する可能性があります。
(2) 営業戦略に係るリスク
当社は、中期経営計画において人財に基づく経営変革と業務変革により対面営業力強化等に取り組んでおります。これまで本業支援・最適提案の実践により拡大した営業基盤を活かし、一社ごと、一人ひとりのお客さまに対する課題解決と夢の実現に真摯に取り組むことで、お客さまとの取引の密度を高め「いつも会って話せる あなたのメインバンク」を目指しております。
しかしながら、対面営業力強化等が競争優位性を得られない場合、当初想定した成果をもたらさない可能性があります。
(3) 市場関連リスク
<金利変動リスク>
当社は、円建債券や外貨建債券、投資信託等への投資を行っているため、国内外の金利変動リスクに晒されています(2024年3月末1,455億円)。今後、金融政策の変更や財政悪化等によるソブリンリスク顕在化、その他金融市場の混乱等により想定を超えて金利が上昇した場合、評価損が発生し、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、金融政策の変更等により市場金利が一段と低下した場合、再投資利回りが低下することにより資金利益が低下し、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<株価下落リスク>
当社は、市場性のある株式、投資信託を保有しております(2024年3月末287億円)。今後、株価下落が発生した場合には、当社が保有する株式、投資信託に減損又は評価損が発生し、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<市場信用リスク>
当社は、信用リスクを内包する債券やデリバティブ商品等への投資を行っております。今後、国内外の経済情勢や投資先の経営環境の悪化等により信用スプレッドが変動した場合、評価損が発生し、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
<為替変動リスク>
当社は、資産及び負債の一部を米ドル等の外貨建てで有しております(2024年3月末136億円)。今後、外貨建ての資産と負債が通貨毎に相殺されない場合には、資産と負債の差額について、為替相場の変動により円貨換算額が変動し、評価損や実現損が発生する可能性があります。当社では、必要に応じ適切なヘッジを行っておりますが、予想を超える大幅な為替相場の変動が発生した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
<市場流動性リスク>
当社は、市場で取引される資産を保有しておりますが、保有する有価証券等の売買において、市場の混乱等により取引ができなくなったり、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることで、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 災害等に関するリスク
当社は、大地震・台風等の自然災害やパンデミックの発生等の不測の事態に対して、被害を最小限にとどめ早期に事業を復旧する体制整備に努めております。
しかしながら、不測の事態が発生した場合には、当社資産の毀損による損害の発生、取引先の経営悪化、事業活動の制限等により、直接的又は間接的に、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 気候変動に関するリスク
当社は、気候変動に関するリスクの把握・評価や、情報開示の重要性を認識し、「サステナビリティ委員会」において気候変動対応を経営戦略へと反映する体制としておりますが、取り組みが奏功しない、もしくは不十分とみなされた場合、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、気候変動に伴う自然災害や異常気象の発生等によってもたらされる物理的な被害、気候関連の規制強化及び脱炭素社会への移行が、当社の取引先の事業や財務状況に影響を及ぼし、取引先への影響を通じて当社の与信ポートフォリオ管理・運営に影響を与えることにより、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策上の不備に係るリスク
金融犯罪が多様化かつ高度化し、世界各所でテロ犯罪が継続的に発生する等、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下、マネロン対策といいます。)の重要性が高まる中、当社は各種法規制及び金融当局の監督に従って業務を遂行しており、法令諸規制を遵守する態勢を整備しております。また、経営陣の主導的な関与も含めた部門横断的なガバナンスにより、継続的にマネロン対策の取り組みに対する態勢の整備・強化を目的として、「マネー・ローンダリング対策委員会」を設置し対策の更なる強化を実施しております。
しかしながら、当社が法令諸規制を遵守できない場合、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令等を受ける可能性があります。また、これらにより当社の風評リスクが顕在化し、顧客やマーケット等の信用を失うことで、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 流動性リスク
当社は流動性の高い資産を安定的に保有するなど流動性リスク管理に万全を期しておりますが、今後、当社の業績や財務状況が悪化、格付が低下するなどした場合には、資金調達コストの増加や必要な資金の確保が困難となり、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります(2024年3月末流動性カバレッジ比率 157%)。
(8) 資金利益に係るリスク
当社の資金利益は、主に預金として受け入れた資金を貸出金や有価証券で運用することによって得ておりますが、調達資金と運用資金には資金の満期、適用金利更改時期、金利変動のパターン等に差異があるため、将来の金利動向等により資金利益が減少するリスクがあります。
(9) 自己資本比率に係るリスク
当社は、海外営業拠点を有しておりませんので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率について「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国内基準(4%)以上の水準を確保することが求められています(2024年3月末単体自己資本比率 8.62%)。
当社の自己資本比率は以下のような要因により影響を受ける可能性があります。
・債務者及び債券発行体の信用力悪化に際して生じうるリスクアセットの増加
・不良債権処理費用の増加に伴う与信関係費用の増加や有価証券の時価の下落に伴う減損による損失の発生
・繰延税金資産の回収可能性判断に基づく繰延税金資産の取崩による自己資本の減少
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・その他の不利益な展開
当社の自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から、業務の全部または一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。
(10) 固定資産減損に係るリスク
当社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。今後の経済情勢や不動産価格の変動等によって保有している固定資産の価格が大幅に下落した場合などに新たな減損を実施することとなり、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 事務リスク
当社は、預金・為替・貸出などの銀行業務に加え、クレジットカード業務、リース業務など幅広い業務を行っております。これら多様な業務の遂行に際して、役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等による不適切な事務を行うことにより、損失が発生する可能性があります。当社では、厳正な事務処理を徹底し、事務事故の未然防止に努めておりますが、大きな賠償に繋がるような事務事故が発生した場合、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) システムリスク
当社のコンピュータシステムは、業務のあらゆるプロセスにおいて活用されており、地域の経済活動及び社会生活に深く関わり、高い公共性と社会的重要性を持っております。一方において、自然災害、システム障害、コンピュータ犯罪、不正アクセスなど、広範囲な脅威にも直面しております。そのため、システムリスク管理規程を定め、コンピュータシステムの安定稼働に努めるとともに、各種の安全対策も実施しておりますが、仮に重大な脅威が顕在化した場合には、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 法令等遵守に係るリスク
当社は、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、法令等遵守態勢強化に努めております。万一法令諸規制が遵守できなかった場合には、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 情報漏えいリスク
当社は、業務の性格上、多数のお客さま情報及び経営情報を保有しており、個人情報保護宣言(プライバシーポリシー)をはじめ、各種情報管理に係る規程を整備し、厳格な情報管理に努めております。
万一情報の漏えい、紛失、不正利用等が発生した場合、当社の社会的信用を失墜するのみならず、損害賠償責任を負うこと等により、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) 法務リスク
当社は、法令等遵守の徹底に努めるとともに、各種業務が法令諸規制に適合していることについて、リーガルチェックを徹底することにより、法務リスクの顕在化を防止しております。万一、法令違反や契約上の契約不適合等を理由として、当社に対する訴訟が提起された場合には、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(16) 業務委託に係るリスク
当社は効率的な業務運営を行うこと等を目的として、当社の業務の一部を他社に業務委託する場合があります。しかし、万一当社の業務委託先において、委託した業務に係る不適切な事務処理、システム障害、情報漏えい等の事故が発生した場合、当社の業務委託先に対する監督責任等が問われることなどにより、当社の業務運営、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(17) 退職給付債務に係るリスク
当社の退職給付費用及び債務は、年金制度に基づき年金資産の期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。年金資産の時価が下落した場合や実際の結果が前提条件と異なったり前提条件が変更された場合には、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(18) 格付に係るリスク
当社は、格付機関より格付を取得しています。当社では、収益力増強や財務の健全性向上等に取り組んでおりますが、格付の水準は、当社から格付機関に提供する情報のほか、格付機関が独自に収集した情報に基づいて付与されているため、常に格付機関による見直しがなされる可能性があります。また、わが国の金融システム全体に対する評価等によって当社の格付が低下する可能性があります。仮に、格付が引き下げられた場合には、資金調達コストの上昇や必要な資金を市場から確保できず資金繰りが困難になる可能性があります。その結果当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(19) 規制変更のリスク
当社は、現時点の規制(法令、規則、政策及び会計基準等)に従って業務を遂行しておりますが、将来、規制の新設、変更、廃止並びにそれらによって発生する事態が、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(20) 風評リスク
当社では、風評に関する情報を早期に把握する体制を構築するとともに適時適切な情報開示による風評発生の予防策及び、風評リスク発生時の危機対応策などを定めておりますが、銀行業界及び当社に対する風説・風評が流布された場合、それが正確かどうかにかかわらず、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、銀行業を営む公共性の高い業種であり、長期にわたり安定的な経営基盤の確保に努めるとともに、配当についても安定的な配当を継続することを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は中間配当及び期末配当の年2回として、中間配当を行うことができる旨及び取締役会の決議によって毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。また、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当期は、普通株式は基本方針に基づき中間配当として1株当たり25円、期末配当金として1株当たり25円の配当を実施いたしました。次期の普通株式の配当につきましては、年間50円(中間配当25円、期末配当25円)を予定しております。
また、コロナ禍における地域の資金需要にお応えするため、2021年12月に第2回A種優先株式100億円を発行いたしました。
当期の優先株式の配当につきましては、第2回A種優先株式で中間配当として1株当たり82円50銭、期末配当金として1株当たり82円50銭といたしました。次期の優先株式の配当につきましては、年間165円(中間配当82円50銭、期末配当82円50銭)を予定しております。
内部留保資金につきましては、今後の事業展開及び財務体質の強化のための原資として、有効に投資していくこととしております。
また、銀行法第18条の定めにより剰余金の配当に制限を受けております。剰余金の配当をする場合には、会社法第445条第4項(資本金の額及び準備金の額)の規定にかかわらず、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に5分の1を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金として計上しております。
なお、当社においては資本準備金及び利益準備金の合計額が定められた必要額に達しておりますため、当事業年度においては、当該剰余金の配当に係る利益準備金の計上は行っておりません。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。