人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数177名(単体) 27,242名(連結)
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平均年齢43.0歳(単体)
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平均勤続年数4.0年(単体)
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平均年収13,761,056円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2025年3月31日現在 |
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従業員数(人) |
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連結会社合計 |
27,242 |
〔4,268〕 |
(注)1 野村の事業セグメントは、ウェルス・マネジメント部門、インベストメント・マネジメント部門、ホールセール部門の3部門およびその他であります。当社および国内子会社における事業セグメント別の従業員数は、ウェルス・マネジメント部門7,045人、インベストメント・マネジメント部門1,127人、ホールセール部門1,779人、その他4,926人であります。海外子会社の従業員数は12,365人であり、主にホールセール部門に所属しております。
2 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。
(2)提出会社の状況
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2025年3月31日現在 |
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従業員数(人) |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
平均年間給与(円) |
|||||||
177 |
〔-〕 |
43 |
歳 |
9 |
月 |
4 |
年 |
5 |
月 |
13,761,056 |
(注)1 当社の従業員は事業セグメントのうち、主にその他に所属しております。
2 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しております。
3 上記のほか、野村證券株式会社等との兼務者が600人おります。
4 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
(3)労働組合の状況
該当事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異
当事業年度 |
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名称 |
管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1、2 |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)1、3 |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1、2、4 |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
|||
野村證券株式会社 |
18.0 |
100.0 |
56.6 |
56.6 |
71.1 |
野村アセットマネジメント株式会社 |
18.3 |
104.0 |
68.7 |
71.0 |
51.2 |
野村信託銀行株式会社 |
24.5 |
175.0 |
72.4 |
76.8 |
56.4 |
野村ビジネスサービス株式会社 |
25.4 |
- |
69.0 |
71.0 |
49.6 |
株式会社杉村倉庫 |
14.8 |
0.0 |
66.5 |
71.3 |
76.5 |
杉村運輸株式会社 |
2.2 |
80.0 |
39.6 |
65.0 |
46.5 |
(注)1 管理職に占める女性労働者の割合の計算基準時点は2025年3月31日、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異の計算期間は2024年4月1日から2025年3月31日までになります。
2 管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
3 男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。当事業年度に育児休業等を取得した男性労働者の数が、当事業年度に配偶者が出産した男性労働者の数を上回った会社では、取得率が100%を超えます。
4 主要な子会社である野村證券株式会社、野村アセットマネジメント株式会社、野村信託銀行株式会社および野村ビジネスサービス株式会社において、全労働者や正規雇用労働者全体に賃金差異が生じているのは、相対的に賃金の高い上位のコーポレートタイトルまたは職位において女性労働者の割合が低いことが主な要因です。上位のコーポレートタイトルまたは職位に占める女性労働者の割合が高まるにつれて、この差異は縮小していくものと考えます。いずれの会社も女性活躍推進に向けた行動計画においてそれぞれ女性管理職比率等の目標を掲げるとともに、グループ共通の取組みとして、インクルージョンを人事評価に組み込み、特にマネージャーに対しては、女性社員の能力伸長に関する取組み、多様性が受容される職場環境の整備、男性社員の育児休業取得の推奨やそのための環境整備等を必須課題としています。グループ全体で女性活躍推進に向けた取組みを継続的に実践しています。
(参考)主要な子会社におけるコーポレートタイトル別等の男女の賃金の差異
野村證券株式会社においては、管理職・非管理職別では管理職79.6%、非管理職79.6%、コーポレートタイトル別ではマネージング・ディレクター85.6%、エグゼクティブ・ディレクター90.0%、ヴァイス・プレジデント90.5%、シニア・アソシエイト78.8%、アソシエイト75.1%、アナリスト91.3%になります。
野村アセットマネジメント株式会社においては、管理職・非管理職別では管理職92.4%、非管理職100.6%、コーポレートタイトル別ではマネージング・ディレクター94.1%、エグゼクティブ・ディレクター100.8%、ヴァイス・プレジデント92.1%、シニア・アソシエイト92.4%、アソシエイト94.7%、アナリスト98.9%になります。
野村信託銀行株式会社においては、管理職・非管理職別では管理職97.2%、非管理職97.6%、コーポレートタイトル別ではマネージング・ディレクター95.3%、エグゼクティブ・ディレクター98.3%、ヴァイス・プレジデント101.7%、シニア・アソシエイト89.4%、アソシエイト91.2%、アナリスト101.9%になります。
野村ビジネスサービス株式会社においては、管理職・非管理職別では管理職98.8%、非管理職86.0%、コーポレートタイトル別ではエグゼクティブ・ディレクター97.6%、ヴァイス・プレジデント107.3%、シニア・アソシエイト96.0%、アソシエイト97.2%、アナリスト97.9%になります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1)野村におけるサステナビリティに関する考え方(戦略)
野村は創業以来、幅広い金融サービスの提供を通じてリスクマネーを循環させ、金融資本市場の発展に寄与するとともに、顧客に最適なソリューションを提供することで、経済的価値だけでなく社会的価値の創造にも取り組んできました。
野村は、サステナビリティを、「金融サービスグループとしてお客様や多様なステークホルダーのサステナビリティへの取組みをサポートする」ということ、「野村がサステナブルな存在であるために環境負荷の低減、人権の尊重、ガバナンスの高度化といった活動を推進する」ということ、という2つの観点で捉え、取組みを進めています。
より具体的な取組み等については、2025年8月末発行予定の「野村グループ サステナビリティレポート」も合わせてご参照ください。
・金融サービスグループとして、お客様や多様なステークホルダーのサステナビリティへの取組みをサポートする取組み
金融サービスグループとして核となるのは、資金や資本の流れを通じたお客様のサポートです。事業会社や金融機関が発行するグリーンボンドやソーシャルボンドなどの引受けや、M&Aなどの戦略的アドバイザリーサービスの提供、ESG商品ラインアップと称する投資商品の個人投資家への提供を通じたサステナブルな資金循環の促進といった機能を強化することは、野村をお客様にとってのパートナーとして選んでいただくうえでも重要であると同時に、野村にとってサービス、ソリューション提供の機会が広がることでもあり、ビジネス機会としてとらえています。特にサステナブル・ファイナンスへの取組みを強化・促進するため2021年度から2026年3月までの5年間に国内外で1250億米ドルのサステナブル・ファイナンス案件に関与するという目標を設定し、取組みを進めています。
加えて、野村が長年培ってきた事業承継のサポート機能や、地方創生や農業・医療分野でのイノベーション推進機能、調査分析の分野における専門性や知見も活かしながら、社会課題解決のためのソリューション提供に、グループとしての総合力、強みを発揮してまいります。また、野村では、他社に先駆け1990年代から20年以上にわたり、小学生から大人まで幅広い世代に金融経済教育を提供してきました。日本政府が「資産運用立国実現プラン」を掲げ、預金が投資に向かい、企業価値向上の恩恵が家計に還元されることで、さらなる投資や消費に繋がる「成長と分配の好循環」の実現を目指す中、日本における金融リテラシーの向上は非常に重要な課題です。学校教育現場を中心とした金融経済教育のみならず、勤労世代に対する職場を通じた資産形成支援にも積極的に取り組み、社会全体の金融リテラシーの向上に貢献し、サステナブルな資金循環を通じて、金融資本市場の発展に取り組んでいきます。
・野村自身がサステナブルな存在であるための取組み
野村は、持続可能な社会の実現において、環境課題への取組み、人権尊重への取組みは欠かすことのできない重要な要素の1つと認識しています。
野村は、2030年までに野村の拠点で排出する温室効果ガス排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」の達成、および2050年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出量のネットゼロ達成を表明しています。その取組みを具体化するため、当社は、2021年9月に国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が発足させた国際的枠組みであるネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(Net-Zero Banking Alliance、以下「NZBA」)に加盟しました。NZBAは、グローバル金融機関が枠組み作りを議論する場として機能してきました。しかしながら、昨今では、世界各国が脱炭素社会の実現に向けてそれぞれの経済・社会の状況を踏まえた規制や産業政策を策定し、実行していく段階に進展しました。そのような状況を踏まえ、2025年3月、当社はNZBAのメンバーシップから脱退し、各地域の特性に応じてトランジションに向けた資金・資本の循環や顧客のサポートに今まで以上に注力していきます。
また、「野村グループ 人権方針」に基づき、人権に係る課題への取組みの向上・改善、人権尊重の推進に、各種体制整備や研修の実施などを通じて、積極的に取り組んでいます。これらの取組みは後述するサステナビリティ委員会にて定期的に審議するとともに、適切な情報開示に努めています。
パーパスを実践し企業価値向上を実現するためには人材マネジメント戦略の進化が不可欠です。そのため、野村では、採用・育成・評価・配置および登用という人材マネジメントサイクルの差別化と、行動規範、インクルージョン、およびウェルビーイングの深化への取組みを進め、野村の競争力の源泉である「人」がさらに活躍し、高い付加価値の提供につながるサイクルを構築してまいります。(詳細は、「(5)野村の人的資本に関する戦略」をご参照ください。)
(2)サステナビリティに関するガバナンス
当社は指名委員会等設置会社として、経営の監督と業務執行を切り離し、コーポレート・ガバナンスの高度化を図っています。気候変動を含むサステナビリティに関するリスクや機会の認識、種々の施策の推進、リスク管理についても、監督と執行がそれぞれの役割を果たすことで、適切に取り組んでいます。
① 取締役会
取締役会は、「野村グループ企業理念に則り、さまざまな事業活動を通じて金融資本市場の発展に貢献するとともに、当社の持続的成長、社会課題の解決および持続可能な社会の実現に向けた活動に積極的に取り組む」というサステナビリティに関する基本的な方針のもと、当社のサステナビリティへの取組みに係る執行からの報告に対し、助言を行っています。2024年度は、サステナビリティ関連の情報開示、規制動向、およびビジネス等のテーマを取り扱いました。
② サステナビリティ委員会
サステナビリティ推進に係る戦略等について審議・決定する場として、経営会議メンバーを含むグループCEOが指名するメンバーから構成され、グループCEOを委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。チーフ・サステナビリティ・オフィサーは、サステナビリティ委員会における議論をリードし、当社のサステナビリティに関する知見の集約、戦略策定・推進の加速を図っています。2024年度は、自社グリーンボンドフレームワークの策定や野村グループのマテリアリティ、ネットゼロに向けた取組み、サステナブルな社会の共創・支援に向けた投資スキームの設定等のテーマを取り扱いました。
③ サステナビリティ・フォーラム
サステナビリティについてより機動的かつ実質的な議論の機会を確保するため、部門や地域を横断した役員による議論の場として、2023年度より、「サステナビリティ・フォーラム」を設置しています。これは、2021年8月に設置した「サステナビリティ・カウンシル」を発展的に改組したものであり、事業活動との関連性の強いテーマを取り扱う「ビジネス・サステナビリティ・フォーラム」と、情報開示や各種方針策定等を取り扱う「コーポレート・サステナビリティ・フォーラム」に分かれて、運営を行っています。フォーラムでは、取り扱うテーマに応じて、追加メンバーを招聘するなど機動的な体制を構築しています。2024年度は、自社グリーンボンドフレームワークの内容、投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量削減中間目標等について、議論を行いました。
(3)サステナビリティに関するリスク管理
サステナビリティの分野に注目が高まる中、野村はこれらの領域における指針および業務能力を継続的に発展させ、株主、顧客、および社会全体を含むステークホルダーに対して積極的にその態勢を示すことが必要となっています。サステナビリティを取り巻く環境の変化は速く、事業活動においてサステナビリティへの配慮が充分でない場合、レピュテーション、経営成績や財政状態に影響が及ぶ可能性があると考えています。
特に、気候変動リスクについては、中長期的に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして認識しており、適切な管理体制のもとそのリスクを管理しています。
① 気候変動にともなうリスクに対する当社の認識
当社は、気候変動問題の顕在化による環境の変化について、関連するリスクを特定し、ビジネスに与える影響を想定しています。気候変動に起因するリスクには、大型の台風、干ばつ、酷暑といった異常気象によって人的被害や財産上の損害が生じるリスク(物理的リスク)と、脱炭素社会への移行に向けた各国政府の政策変更や急速な技術革新にともなう変化に対応できず取り残されるリスク(移行リスク)があります。当社は、気候変動にともなう物理的リスク、移行リスクとして、例えば、以下のリスクを特定しています。
・取引先の気候変動への対応が不十分なために財務が棄損し、信用力の低下につながるリスク、また契約上の義務を履行できないリスク
・気候変動が市場の変動要因として顕在化した際に、保有する金融資産の市場価格の変動によって、当社が損失を被るリスク
・野村および取引先の気候変動への対応が不十分な場合に、野村のレピュテーションが棄損するリスク
・気候変動に関する内部プロセス・システム・役職員の行動が不適切であること、機能しないことにより、当社が財務上の損失を被るリスクもしくは野村のレピュテーションが棄損するリスク
・競合他社と比較した際に、戦略が不十分であること、あるいはその戦略の遂行の失敗に関連するリスク、戦略とリソースとの乖離を含む戦略遂行リスク
② 気候変動リスクに関するアプローチ
気候変動リスクは、実現した場合に重大な影響を及ぼす可能性が高いものとして認識しており、特定の独立したリスク分野ではなく、多様なリスク分野に影響を及ぼす要因として認識しています。そのため、それぞれのリスク分野における既存の管理フレームワークに、気候変動の要素を考慮した新たなコントロールを追加することで、包括的なリスク管理フレームワークを構築しています。
(4)指標および目標
当社では、サステナビリティに関する取組みのうち、気候変動にかかるリスクならびに機会を測定・管理するため、また、パリ協定への整合やネットゼロ達成に向けた取組みを着実に進めていくため、温室効果ガス排出量等に関して、サステナビリティ委員会の承認を得て以下の指標と目標を設定し、その進捗を管理します。その進捗状況は、定期的に、取締役会にも報告しています。
各指標の2025年3月期の実績値については、2025年8月末発行予定の「野村グループ サステナビリティレポート」や統合報告書において記載予定です。
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指標 |
目標 |
2023年3月期実績値 |
2024年3月期実績値 |
1 |
自社温室効果ガスの排出量(Scope1、2)(※1) |
2030年ネットゼロ |
Scope1:2,473 t-CO2 Scope2:24,183 t-CO2 |
Scope1:2,423 t-CO2 Scope2:19,504 t-CO2 |
2 |
投融資ポートフォリオの温室効果ガスの排出量(Scope3 Category15) |
2050年ネットゼロ |
電力セクター 温室効果ガス: 4,662 ktCO2e 経済的排出原単位: 3,422 tCO2e/$m
注:2023年3月末時点 |
電力セクター 温室効果ガス: 4,516 ktCO2e 経済的排出原単位: 2,477 tCO2e/$m
注:2024年3月末時点 |
3 |
サステナブル・ファイナンス関与額(※2) |
2021年から2026年3月までの5年間で合計1,250億米ドル |
251億米ドル |
285億米ドル |
※1Scope2の排出量はGHG Protocolに基づくMarket-based手法を用いて算出。Market-based(マーケット基準)手法とは、企業が購入している電気の契約内容を反映して、Scope2排出量を算定する手法。契約内容を反映した排出係数を使用するため、再生可能エネルギー起源の電力など、低炭素電力メニューを調達していれば、その効果を反映することができる。
※2サステナブル・ファイナンス関与額の目標には、公募・私募による株式・債券・メザニン債などを通じた資金調達案件、インフラストラクチャー・プロジェクト・ファイナンス案件などを含む。2021年度から2023年度までの累計額は750億米ドル。
(各目標設定における考慮要素)
・自社温室効果ガスの排出量に関しては、省エネルギーへの取組み実績、再生可能エネルギーの普及、導入比率等を総合的に考慮勘案して目標を設定。
・投融資ポートフォリオの温室効果ガスの排出量に関しては、対象資産を特定したうえで、国際エネルギー機関の“Net Zero Emissions by 2050 Scenario”、PCAFが提供する排出係数データベース等を参照して目標を設定。
・サステナブル・ファイナンス関与額に関しては、外部ベンダーが提供するサステナブル・ファイナンスの想定市場規模等を参照して目標を設定。
(5)野村の人的資本に関する戦略
① 人材マネジメント戦略の進化によるパーパスの実践と企業価値の向上
野村は「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」ことをグループのパーパスとして掲げております。このパーパスを実践し企業価値向上を実現するためには、戦略的な成長投資による自己資本利益率(ROE)の向上が求められます。そのためには、野村の人材(人的資本)が、社会課題に対する最適解を追求するプロフェッショナル集団としてその能力を最大限に発揮し、生産性の向上、新たな付加価値の創造、リスク管理の高度化を追求し続けることが不可欠と考えます。
野村は、長期的な視点で人材マネジメント戦略を進化させることにより、人材のエンゲージメントを向上させ、人的資本がチームとしてもたらす知的資本(注1)の差別化を図り、野村が提供する付加価値を更に強化していくことを目指します。
(注1)野村における知的資本とは、組織力、ノウハウ、顧客とのネットワーク、ブランド等、野村の競争力の源泉となるあらゆる無形資産を指します。
② 野村の人材マネジメント戦略
野村の人材マネジメント戦略は、企業理念に掲げる「挑戦」「協働」「誠実」という価値観を基礎として、採用・育成・評価・配置および登用という人材マネジメントサイクルの差別化と、行動規範、インクルージョン、およびウェルビーイングの深化を目的としています。
また、すべての社員に求められる「洞察」「決断」「統率」「育成」および「インクルージョン」の5つの行動に焦点を当てた、リーダーシップ行動モデルを策定しました。今後は、さまざまな人材マネジメント施策に、このリーダーシップ行動モデルを取り入れていく予定です。
a.採用
採用に関しては、野村グループのパーパス実践に向け、「挑戦」「協働」「誠実」という価値観に賛同し、リスク管理の基礎となるリスク・カルチャーを有する人材を獲得することを前提としています。その上で、新たな付加価値に挑み続けるプロフェッショナル人材を獲得・育成するために、日本を含むすべての地域、ならびに新卒採用およびキャリア採用の双方において、部門または職種別の採用を実践しています。
また、専門分野における高度な知識・経験を有する多様な人材が必要となることから、キャリア採用にも力を入れています。ここ数年は、採用者数の半数以上がキャリア採用者となる傾向が続いています。
さらに、2023年1月には、野村の退職者(アルムナイ)をネットワーク化し、グループの外で活躍するアルムナイとの交流を深めながら、アルムナイの再雇用を積極的に促す仕組みを導入しています。2025年3月31日時点で、ネットワークサイトへの登録者数は約290名、前年比で約40名増加となっており、ネットワークの活用を進めています。
b.育成
野村は、以下に掲げる人材育成方針のもと、社員の成長を支援しています。
<人材育成方針> 野村グループは、「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」というパーパスを実践するため、新たな付加価値に挑み続けるプロフェッショナル集団の形成を通じて、野村グループ人材の差別化を目指しています。 |
社員一人ひとりが高度な専門性およびリーダーシップを合わせもつ自律分散型組織を目指しています。そのために、階層別研修を新入社員、インストラクター、マネージャー層に向けた研修に再整理したうえで、部門別の専門性を高める部門別研修と自律的なキャリア形成を促進する自己選択型研修の充実化に取り組んでいます。自己選択型研修の一例としては、2023年度にデジタル人材育成プログラム「Digital IQ University」を開始し、IT業務に携わる社員に限らず多くの社員がデジタルに関する幅広い知識やスキルを身に着けることができる体系的な学習機会を提供しています。部門別研修の一例としては、インベストメント・バンキングにおいて、M&Aユニバーシティというナレッジマネジメント基盤を用いて、社員がM&Aアドバイザリー業務における専門知識を学び、実務に活かすことを可能としています。
また、経営リーダー候補の戦略的育成のために、段階的な学びを促進するさまざまな選抜研修プログラムを実施しています。その中では、自己応募・選抜型で60年以上毎年派遣を続ける海外留学や、ベンチャー企業出向研修等の越境学習体験、経営リーダー候補向けフラッグシップ・プログラムである「野村経営塾」のほか、「野村マネジメント・スクール」をはじめとする国内外の外部機関が提供するリーダーシップ開発プログラムなど、通常業務を超えた新たな視座・視野の獲得機会を提供しています。
c.評価
評価に関しては、野村グループのパーパス実践に向け、日本を含むすべての地域・部門・職種において、各社員の業務内容に期待される生産性の水準に対する外部評価も参考に、適正な評価に基づくペイ・フォー・パフォーマンスの更なる徹底を図っています。国内では、原則すべての管理職に職務給を導入しています。
また、グローバルに360度フィードバックを導入しており、その結果について対象者と評定者との間で対話を行うことにより、対象者の成長支援やリーダーシップ開発につなげています。さらに、組織全体に行動規範の考え方を浸透させ、リスク管理の高度化を図るため、ERCCレーティング(注2)も導入しています。
(注2)ERCCレーティング:コンプライアンス/コンダクト面を評価するもの。なお、ERCCとは、Ethics 倫理観、Risk Management リスクマネジメント、Compliance コンプライアンス、Conduct コンダクトの頭文字をとったもの。
d.配置および登用
配置に関しては、社員の挑戦マインドおよび自律的なキャリア形成を尊重しています。以前よりグローバルに社内公募制度を有していましたが、日本において2020年度より同制度の適用範囲を大幅に拡大しています。コーポレートタイトルを問わず、多くの社員が部門の垣根を超えて同制度に応募し、新たなキャリアにチャレンジするための異動を能動的に実現しています。
また、グループ内の重要なポジションへの人材の登用とそのための後継者育成という観点から、重要なポジションを担う可能性を有する人材プールをグローバルに管理しています。これらの人材プールに対してアセスメントを実施し、各社員のリーダーシップ適性に応じて、さまざまなリーダーシップ開発プログラムを該当社員に提供しています。
③ 企業文化の醸成
野村では、企業文化の醸成のために、行動規範の定着、インクルージョンおよびウェルビーイングの推進等に取り組んでいます。そして人材マネジメント戦略の効果を検証・改善するために、2013年度より「野村グループ従業員サーベイ」、2023年度からは四半期ごとに社員の中からランダムに選ばれた対象者に意識調査を行う「パルスチェックサーベイ」を実施しています。これらの取組みを分析し、その結果を新たな施策につなげるべく、PDCAサイクルに落とし込み、社員のエンゲージメントの向上を目指しています。
2025年4月にカルチャー&エンゲージメント部を新設しました。カルチャー&エンゲージメント部では、ポジティブな企業文化の醸成をグループワイドで促進し、社員のエンゲージメント向上につなげてまいります。
a.行動規範
野村では、法令諸規則の遵守にとどまらず、すべての役職員が社会規範に沿った行動ができるよう、野村の一員として取るべき行動の指針である「野村グループ行動規範」を策定し、研修その他の施策を通して、行動規範に基づく適正な行為(コンダクト)を推進する取組みを日々進めています。毎年8月の「野村創業理念と企業倫理の日」では、全社で過去の不祥事からの教訓を再認識し、再発防止と社会およびお客様からの信頼の維持・獲得に向けて決意を新たにする取組みとして、適正なコンダクトの在り方に関するディスカッション、野村グループ行動規範を遵守することへの宣誓を行っています。野村グループ行動規範は、2019年12月の策定以降、野村を取り巻く社会・経済情勢の変化やステークホルダーの期待によりよく応えることができるよう、毎年見直しを行っています。
b.インクルージョン
約90の国籍の社員が働き、30の国や地域に拠点を持つ野村では、多様な人材こそが競争力、イノベーションおよび高度なリスク管理の源泉と考え、2016年7月に「グループ・ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」を採択しました。以降、時間単位有給休暇の取得やパートナーシップ制度の導入など、職場環境整備にも尽力してきました。野村は「多様性が組織を強くする」という考えを中心に据えており、社員一人ひとりが「自分らしくあることが大切にされ、尊重される職場環境であると感じ、野村に自身の居場所がある」という状態を目指しています。その推進においては、執行役、執行役員、ならびにグループ各社およびグローバル各地域の代表で構成されるワーキンググループにおいてトップダウンでグループ全体のインクルーシブな職場環境づくりを進めるとともに、社員ネットワークを通じてボトムアップによる取組みも行われています。
2024年度以降は、全世界の役職員の人事評価項目にインクルージョンの推進を盛り込みました。全役職員に対して、職場でのインクルージョンに対する理解を深め、より良い職場環境づくりに貢献することを求めています。また、国内の各子会社(合弁会社など一部を除く)において導入した、「育児休業取得奨励金」により、男性社員の連続1か月以上の育児休業取得が促進されました。2024年9月には、社員の約15,000人がインクルージョンを「ジブンゴト化」する目的により、人権啓発の一環として「野村グループ・インクルージョン研修」を受講しマイノリティ課題への理解を深めました。これからも、誰もが自分らしく成長し、ポテンシャルを最大限に発揮できる環境を提供していきます。
c.ウェルビーイング
野村は、以下に掲げる社内環境整備方針のもと、社員のウェルビーイングの実現に取り組んでいます。
<社内環境整備方針> 野村グループの最大の財産は、人材です。社員一人ひとりがもつ独自の強みを十分に発揮し、活躍するためには、心身ともに健康であることが重要です。 野村グループは、適正な労働条件と快適な職場環境の整備をはじめ、社員が意欲をもって働き続けられるよう、育児・介護支援等の福利厚生諸制度の充実や、社員の健康保持・増進に力を入れています。 |
ウェルビーイングに関しては、まずは社員自身が肉体的にも精神的にも、社会的にも満たされた状態になるために「アブセンティーイズムの低減」「プレゼンティーイズムの低減」「ワークエンゲージメントの向上」が必要との認識に基づき、これらを社員の健康保持・増進に取り組むうえでの指標とし、下記のとおり目標を定めています。
(指標および目標)
指標 |
実績値 |
目標値 (2025年度) |
||
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
||
アブセンティーイズム(百万円) |
794.7 |
794.7 |
759.7 |
- |
プレゼンティーイズム(%) |
16.1 |
16.4 |
17.9 |
10 |
ワークエンゲージメント |
53.7 |
53.3 |
53.7 |
60 |
(注)1 アブセンティーイズム:傷病による欠勤にともなう損失額。当事業年度の平均年収に社員数と傷病休暇利用率を乗じて算出しています。ウェルビーイングの取組みを推進することにより低減させることが目標ではありますが、体調不良時に休みやすい環境整備も必要であるため、現時点では目標値は出さずモニタリングに努めます。
2 プレゼンティーイズム:何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、業務遂行能力や生産性が低下している状態を示す値。測定尺度の1つであるSPQ(Single-Item Presenteeism Question 東大1項目版)に基づき、健康意識調査における回答を平均し、100%から当該平均値を控除して算出しています。
3 ワークエンゲージメント:仕事から活力を得て誇りを感じ、従業員がいきいきと仕事をしている状態を示す値。ストレスチェック(新職業性ストレス簡易調査票)における回答を平均し、全国平均を50とした偏差値に換算して算出しています。
4 上記の目標値は野村、実績値は主要な連結子会社である野村證券株式会社の数値になります。
また、社員が経済的に健全な状態(ファイナンシャル・ウェルネス)を保つため、従業員持株会、確定拠出年金制度および職場つみたてNISAなど社員に対して資産形成に資する制度を提供しています。また、従業員持株会への拠出や職場つみたてNISAの拠出には、奨励金制度も導入しています。これらの制度をより効果的に活用できるよう、2023年度には野村證券株式会社において、2024年度には他の国内子会社において、退職金や年金制度について短時間で理解を深めることができる動画コンテンツ(野村ファイナンシャル・ウェルネス・プログラム)を提供しています。