2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

銀行関連事業 リユース事業 その他事業 債権管理回収関連事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
銀行関連事業 2,908 6.6 -652 -13.1 -22.4
リユース事業 34,845 79.3 40 0.8 0.1
その他事業 6,183 14.1 5,571 112.3 90.1

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社及び当社の関係会社(連結子会社4社、持分法適用関連会社2社)の主たる事業は、銀行業務を中心に、信用保証業務、リース業務、クレジットカード業務などの各種金融サービスに係る事業を行っております。また、リユース事業、投資業、M&A仲介・コンサルティング事業等、様々な事業を展開しております。

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

事業の系統図は次のとおりであります。


 

セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC)、

            キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

リユース事業      株式会社STAYGOLD

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited、HS FINANCIAL Pte. Ltd. ※1

 

また、持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 

※1 HS FINANCIAL Pte. Ltd.は、2024年12月16日にシンガポール共和国において設立いたしました当社の完全子会社となります。

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要が好調に推移し、雇用や所得環境の改善が見られる一方で、依然として円安等を要因とした物価上昇による実質賃金の下落傾向が続いており、今後の景気悪化が懸念されます。世界経済においても、全体として緩やかな回復基調ではありますが、米国トランプ政権による関税政策の動向、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化、中国経済の減速懸念など景気の先行きは不透明な状況となっており、中長期的に低成長が続くと見込まれています。

このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は377億66百万円(前期比118億31百万円減)、経常利益は151億22百万円(前期比6億52百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は121億0百万円(前期比26億37百万円増)となりました。

 

前第1四半期連結累計期間において、主要な連結子会社であったハーン銀行の業績が全部連結されていたため、営業収益及び営業損益は前期比で大幅に減少しております。また、営業外収益に計上される持分法による投資利益は、ハーン銀行単体の最終損益をもとに算定されるため、法人税等や非支配株主損益が差し引かれて算定されており、そのため、ハーン銀行の業績は増加しておりますが、経常利益は前第1四半期連結累計期間においてハーン銀行が全部連結されていた経常利益と比較すると減少しております。なお、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比で増加しているのは、モンゴル銀行法の改正によりハーン銀行の留保利益に関する税効果会計(将来加算一時差異)に変動が生じ法人税等調整額の計上額が減少したこと、ハーン銀行およびソリッド銀行の業績が好調で経常利益が底上げされたことなどが要因であります。

 

当社グループは、当社、連結子会社4社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC)、

            キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

リユース事業      株式会社STAYGOLD

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited、HS FINANCIAL Pte. Ltd.(※1)

 

※1 HS FINANCIAL Pte. Ltd.は、2024年12月16日にシンガポール共和国において設立いたしました当社の完全子会社となります。

 

報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

 

a) 銀行関連事業

銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は29億8百万円(前期比175億46百万円減)、営業損失は6億52百万円(前期は営業利益58億83百万円)となりました。ハーン銀行が前第2四半期連結会計期間より持分法適用関連会社に異動することとなったため、銀行関連事業の業績は前期比で大きく減少しております。また、持分法適用関連会社であるハーン銀行及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。なお、持分法による投資損益を含めた銀行関連事業の経常利益は147億95百万円(前期比10億6百万円減)となっております。

 

ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)

モンゴル経済につきましては、国内消費の増加や鉱工業生産の増加、石炭や銅精鉱の輸出増加が寄与し、実質GDP(1-12月)は前期比で4.9%増加と高成長が続いております。インフレ率は、モンゴル経済の好景気や公務員を中心とした賃上げの影響を受け、前期末比9.0%と上昇傾向にあります。また、貿易収支(1-12月)は黒字を維持していますが、主に国内消費が堅調に推移していることから輸入が増加し前期比で29.7%減少、外貨準備高は貿易収支の黒字が継続していることから55億ドル台(前期末比12.0%増)となっております。為替市場では、前期末比で米ドルに対して0.3%上昇(ドル高)、日本円に対して9.6%下落(円安)しました。
モンゴル経済は引き続き好調を維持していますが、主要な輸出先である中国経済の失速の影響が今後の懸念点として挙げられます。

モンゴルの銀行業界につきましては、モンゴル経済が高成長を続けていることや公務員を中心とした賃上げにより個人所得が改善していることから、金融セクターの融資残高は前期末比で40.9%増加しました。また、延滞債権残高は0.5%増加、不良債権残高は8.4%減少となりました。

このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、法人向け融資や個人向け融資、また、モンゴル国のデジタル化の方針に従い個人向けのデジタルバンキングサービスを中心に積極的に展開してまいりました。モンゴル経済が高成長を続けていることから融資残高が増加し、それに伴い資金運用収益も増加しております。一方で、預金残高の増加により資金調達費用も増加しておりますが、デジタルバンキングサービスの推進による手数料収入が増加したことなども影響し、増収増益となりました。

結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期末比で18.7%増加、融資残高は24.2%増加、資金運用収益は24.4%増加、当期純利益は14.3%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前期末比で27.4%増加、個人向け融資は18.8%増加、農牧業向け融資は1.8%減少いたしました。

 

キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)

キルギス経済につきましては、主に小売業や建設業の成長が著しく、2024年度の実質GDP(1-12月)は前期比で9.0%増加と好調を維持しております。インフレ率は前期末比で5.0%上昇と2024年度は鈍化傾向にあり、このインフレ率の鈍化を受け、キルギス中央銀行は主要政策金利を13%から9%へ引き下げておりますが、足元でインフレが再び加速していることを受け、主要政策金利の引き上げを検討する可能性があります。

キルギスコメルツ銀行は、現在、金利変動およびロシアに対する制裁強化の影響を受け、法人と個人への融資を抑制するとともに貸倒引当金を増やしリスク管理に注力している状況です。預金業務では金利の引き下げに伴い、定期預金の募集を進めています。また、コロレス口座ネットワークや海外送金などの決済業務を見直し、手数料収入の増加を目指しています。しかし、融資残高や融資利息の増加が限定的となる一方でITシステムおよびIT人材に対する投資が増加し経費が拡大する傾向にあり、そのため2024年度は最終赤字となりました。

今後、ロシア・ウクライナ情勢を背景にキルギス経済の先行きは依然として不透明な状況となっておりますが、このような環境の中、キルギスコメルツ銀行はリスク管理およびコンプライアンス体制の強化に取り組み、安定した預金基盤の確立と顧客のニーズに応じた融資商品の提供に努めてまいります。さらに、フロントオフィスとバックオフィスの業務効率向上を目指し、業務プロセスおよびコストの見直しを継続して行ってまいります。

 

ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)

ロシア経済につきましては、ウクライナ侵攻による幅広い経済制裁を受けているものの、国内消費が堅調に推移している影響から製造業や小売業が好調で、2024年度の実質GDP(1-12月)は前期比で4.1%増加となりました。一方で、インフレ率は、コスト増による物価上昇が続き前期末比9.5%と依然として高水準を維持しており、ロシア中央銀行は継続的に政策金利の引き上げを行い、主要政策金利は2024年12月末時点で21%に達しています。

このような環境の中、ソリッド銀行は貸出残高と預金残高を堅調に伸ばしており、金利上昇の影響もあり純金利収入は増加しております。ロシアの金融システムに対する制裁が強化される中、ソリッド銀行は継続的に国際業務を見直し、外為取引などを通じて非金利収入が大きく増加しています。この外貨売買による利益は同行の収益構造において重要な柱になり、結果として2024年度は引き続き増収増益となりました。

非金利ビジネスが好調な市場環境に支えられ、ソリッド銀行の業績は大幅に改善していますが、今後の見通しについては、ロシア・ウクライナ情勢の展開が依然として不透明な要因となっております。ルーブルの為替レート、原油価格の変動、経済制裁の影響、そして国際情勢の緊迫化が、今後のソリッド銀行の業績に大きな影響を与える可能性があります。このような状況下において、ソリッド銀行は引き続き貸出残高と預金残高の増加や不良債権の徹底管理、預金コストの効率的な管理に注力するとともに、変化するビジネス環境に対応し、リスク管理体制を強化する取り組みを継続して行ってまいります。

 

b) リユース事業

リユース市場は、SDGsなど環境意識の高まりやフリマアプリなどによるネット販売の急拡大により、市場規模は10年以上も拡大しており、今後も成長を続けていくとみられています。

リユース事業である株式会社STAYGOLDは、新規出店による店舗数の増加や主に時計の販売好調により売上高は増加しております。一方で、事業拡大のための人員数増加や新規店舗増加、広告宣伝費の増加などにより経費が増加しており、また、連結セグメント上では、のれんや無形固定資産の償却費が計上されていることも影響し、わずかな営業利益を計上するにとどまりました。

新型コロナウイルス感染症の収束に伴いインバウンド消費が急回復していることに加え、国内消費においてもリユース品に対する需要は強く、今後も積極的な販売拡大を目指してまいります。また、当連結会計年度では新たに7店舗の新規出店を行いました。

結果として、リユース事業の当連結会計年度の売上高は348億45百万円(前期比57億12百万円増)、営業利益は40百万円(前期は営業損失2億61百万円)となりました。

なお、当社は2025年4月14日付で株式会社PRICING DATAの全株式を取得し連結子会社といたしました。同社は2026年3月期第1四半期末より新たにリユース事業として連結されます。詳細は、2025年4月14日に公表いたしました「株式会社PRICING DATAの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」をご参照ください。

 

c) その他事業

当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社は、その他事業に分類しております。

当社(単体)の営業収益は主に関係会社からの配当金で構成され、前連結会計年度においては関係会社からの配当金がなかったため、当連結会計年度は大幅な増収増益となっております。なお、関係会社からの受取配当金は、連結上は相殺消去されるため連結業績に影響を与えません。

結果として、その他事業の当連結会計年度の営業収益は61億83百万円(前期比61億69百万円増)、営業利益は55億71百万円(前期は営業損失7億36百万円)となりました。

なお、2024年12月16日にシンガポールにおいて設立いたしました当社の完全子会社HS FINANCIAL Pte. Ltd.は、今後、対外投資の拠点として事業活動を行ってまいりますが、設立間もないため、当連結会計年度の連結業績に与える影響は軽微であります。

 

d) 持分法による投資損益

持分法適用関連会社であるハーン銀行及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

前述のとおり、ハーン銀行及びソリッド銀行の業績は好調で増収増益となっております。なお、前第1四半期連結累計期間においてハーン銀行は全部連結されていたため、当連結会計年度の持分法による投資利益は大幅な増加となりました。

結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は154億47百万円(前期比55億29百万円増)となりました。

 

② 財政状態の状況
(資産)

当連結会計年度末の資産合計につきましては、1,153億34百万円となり、前期比165億59百万円増加しました。

これは主に、「短期貸付金」が56億5百万円、「関係会社株式」が140億59百万円増加し、「投資有価証券」が14億91百万円、「関係会社長期貸付金」が14億12百万円減少したことによるものであります。主な増減要因は、「短期貸付金」は当社における短期貸付金の増加、「関係会社株式」はハーン銀行およびソリッド銀行にかかる持分法投資利益によるもの、「投資有価証券」は当社における投資有価証券の減少、「関係会社長期貸付金」は当社における長期貸付金の減少であります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計につきましては、286億33百万円となり、前期比22億75百万円増加しました。

これは主に、「未払法人税等」が6億71百万円、「繰延税金負債」が15億29百万円増加したことによるものであります。主な増減要因は、「未払法人税等」は当社における未払法人税等の増加、「繰延税金負債」はハーン銀行の留保利益に関する税効果会計の変動によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計につきましては、867億1百万円となり、前期比142億84百万円増加しました。

これは主に、「利益剰余金」が117億99百万円、「為替換算調整勘定」が38億47百万円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、171億37百万円(前期比10億62百万円減)となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、45億32百万円の資金増加(前期は255億86百万円の資金減少)となりました。

これは主に、「利息及び配当金の受取額」65億22百万円の資金が増加した一方、「法人税等の支払額」15億6百万円の資金が減少したことによるものであります。

主な要因は、当社におけるハーン銀行からの配当金の受取、当社及び連結子会社における法人税等の支払いによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、60億54百万円の資金減少(前期は81億4百万の資金減少)となりました。

これは主に、「有形固定資産の取得による支出」18億21百万円、「貸付けによる支出」48億60百万円の資金が減少したことによるものであります。

主な要因は、当社における有形固定資産の取得、当社における貸付金の増加によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、2億87百万円の資金減少(前期は121億29百万円の資金増加)となりました。

これは主に、「配当金の支払額」3億0百万円の資金が減少したことによるものであります。

主な要因は、当社における配当金の支払いによるものであります。

 

④ 仕入及び販売の実績

a.仕入実績

当連結会計年度におけるリユース事業の仕入実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門名

金額(百万円)

前期比(%)

BRING

5,417

31.3

BRAND REVALUE

21,874

14.7

合計

27,292

17.6

 

 

b.販売実績

当連結会計年度におけるリユース事業の販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。

事業部門名

金額(百万円)

前期比(%)

BRING

8,238

32.8

BRAND REVALUE

26,607

16.0

合計

34,845

19.6

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は377億66百万円(前期比118億31百万円減)、経常利益は151億22百万円(前期比6億52百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益は121億0百万円(前期比26億37百万円増)となりました。

前第1四半期連結累計期間において、主要な連結子会社であったハーン銀行の業績が全部連結されていたため、営業収益及び営業損益は前期比で大幅に減少しております。今後においても、モンゴル国の銀行法等の規制により、当社のハーン銀行株式保有比率を20%以下に引き下げる必要があり、これにより持分法による投資利益も減少していく見込みとなっております。

また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、国内の景気動向や同業他社との競争激化などに影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては15.3%となりました。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

a) 銀行関連事業

銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は29億8百万円(前期比175億46百万円減)、営業損失は6億52百万円(前期は営業利益58億83百万円)となりました。ハーン銀行が前第2四半期連結会計期間より持分法適用関連会社に異動することとなったため、銀行関連事業の業績は前期比で大きく減少しております。また、持分法適用関連会社であるハーン銀行及びソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。なお、持分法による投資損益を含めた銀行関連事業の経常利益は147億95百万円(前期比10億6百万円減)となっております。

 

ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの資金運用収益や当期純利益は引き続き前期比で増収増益となり、融資残高や預金残高も前期末比で増加しました。

ハーン銀行の業績は、モンゴルの好調な経済成長(前期比4.9%増加)に支えられ、また、公務員を中心とした所得水準の上昇が引当金の減少にも影響し、結果として増収増益となっております。融資の増加は、好調なモンゴル経済を背景に法人向けの事業融資が伸びておりますが、個人向けにおいてもサラリーローンや住宅ローンの伸びが堅調であります。一方で、大手行の間の預金獲得競争が激化しており、そのため預金金利が上昇し、資金調達費用も増加しておりますが、融資残高増加による資金運用収益増加やデジタルバンキング推進による手数料収入増加の影響が大きく、増収増益を達成しております。

モンゴル国内においては、中国向けを主とする輸出が好調に推移しており、モンゴル経済は今後も成長を維持していくと思われます。一方で、中国経済の減速、財政の悪化やインフレ率の高止まりによる金利の上昇など不安要素も存在します。また、ハーン銀行はコロナ禍における国の景気対策に協力する形で、低金利の融資や融資の返済猶予等を実施しました。このため、来期以降、この信用リスクが顕在化し、貸倒引当金繰入額が増加する可能性もあります。

今後も、ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めてまいります。顧客の利便性を図るため、パソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。今後、ハーン銀行は個人向け・法人向け融資に注力しつつ、カード事業やデジタルバンキングサービス等を含めた手数料収入の増加にも引き続き注力いたします。

 

キルギスコメルツ銀行においては、期末時点の融資残高は前期末比で減少しておりますが、年間を通しての平均融資残高は前期比で増加しているため、金利収入は増加しました。また、コルレス口座ネットワークや海外送金などの決済業務の見直しを行い手数料収入が増加し、非金利収入が増加しました。以上の結果、金利収入や非金利収入は増加しておりますが、人件費やシステム関連費などの販管費の増加が影響し、今期は減益となりました。ただし、IFRS基準では、引当金等の追加計上により最終赤字となっております。ロシアウクライナ問題を受け、リスク回避のため融資の実行には慎重な姿勢を続けており、そのため金利収入が伸び悩んでおり、今後、どのように融資を増加させていくかが課題となっております。

キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。新決済システムの導入によるデジタルバンキングの推進、キルギス国内唯一のクレジットカードのプロセシングセンターを設立するなど、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向け融資の増加とともに、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。

 

ソリッド銀行においては、法人向けを中心とした融資残高の増加、外為取引による非金利収入の増加により大幅な増収増益となっております。ソリッド銀行は、現在のところ、ロシアウクライナ問題による業績への影響はなく、大手行が金融制裁を受けているためソリッド銀行で扱う外為取引が増加し外為取引収支が大幅に増加、また、預金残高・融資残高も増加しているため増収増益を続けております。しかし、ロシアは依然としてウクライナ問題に起因する幅広い経済制裁を受けており、今後のロシア経済の悪化や金融制裁対象の拡大などがソリッド銀行の業績にも影響を与える可能性があります。近年、ロシア経済はインドや中国などの新興大国との繋がりを強めており、そのような環境の変化がソリッド銀行にどのような影響を与えるか注視している状況であります。

そのような環境のなかで、ソリッド銀行は貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築や継続的なコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。

 

b) リユース事業

リユース事業の当連結会計年度における営業収益は348億45百万円(前期比57億12百万円増)、営業利益は40百万円(前期は営業損失2億61百万円)となりました。

近年、リユース市場は、循環型社会への促進を受けて成長を続けており、スマホの普及によるフリマアプリの拡大・浸透は市場を活性化させ、現代のサステナビリティの風潮も追い風となり、人口減少時代に突入した我が国においても引き続き成長が見込める市場となっております。STAYGOLDは、中古品をメインとした宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、シルバーアクセサリー、スニーカー等の買取・仕入・販売・仲介及びオークション運営を行っております。

今期のリユース事業の業績は、販売や買取を順調に増加させており、事業拡大に伴い人件費を中心に販管費が増加しておりますが、STAYGOLD単体では増収増益となっております。連結セグメントとしては、のれんや無形固定資産の償却費が多額に計上されていることなどから、わずかな営業利益を計上するにとどまっておりますが、足元の業績は好調であり、今後も、積極的な新規出店等を行うとともに買取チャネルの拡大を継続することにより個人のお客様からの買取りを強化するほか、様々な営業施策を実施してまいります。一方で、リユース事業は、市場の成長性の高さから競争が激化しているため、ブランド力の強化や他社との差別化などが課題となっております。

 

c) その他事業

その他事業の当連結会計年度における営業収益は61億83百万円(前期比61億69百万円増)、営業利益は55億71百万円(前期は営業損失7億36百万円)となりました。

当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金で構成されており、当連結会計年度においては、前連結会計年度において関係会社からの配当金がなかったことにより大幅な増収増益となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、国外における将来性のある国や地域での事業に対しても積極的な投資を展開し、今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。

 

d) 持分法による投資損益

当連結会計年度における持分法による投資利益は154億47百万円(前期比55億29百万円増)となりました。

持分法適用関連会社であるハーン銀行及びソリッド銀行の業績が好調で増収増益となっており、そのため持分法による投資利益は大幅な増加となりました。なお、ハーン銀行およびソリッド銀行の状況は前述のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要のうち主なものは、顧客への貸出金、中古リユース品の買取、新規店舗への設備投資、人件費や不動産賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。設備投資を目的とした資金需要は、STAYGOLDにおける新規店舗開設によるものであります。

また、当社グループにおける必要な運転資金、投資資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金により調達しております。当連結会計年度末における主な有利子負債残高は、顧客からの預り金である預金102億41百万円、金融機関からの長期借入金(1年内含む)13億15百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は171億37百万円となっております。

主な借入先として、キルギスコメルツ銀行において、Ministry of Finance of the Kyrgyz Republicから4億9百万円、Russian-KyrgyzDevelopmentFundから3億8百万円、STAYGOLDにおいて、株式会社高知銀行から1億52百万円、株式会社日本政策金融公庫から98百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

当社は、当社及び子会社の構成単位に分離された財務諸表に基づき、業種別に構成した事業単位について、国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。当社は、「銀行関連事業」、「リユース事業」、「その他事業」を報告セグメントとしております。

「銀行関連事業」は、預金業務、貸付業務等を行っております。「リユース事業」は、リユース品の買取卸売・小売事業を行っております。「その他事業」は、投資業務、M&A業務等を行っております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計処理の方法と概ね同一であります。

セグメント利益又は損失(△)は、営業利益ベースの数値であります。

セグメント間の内部営業収益又は振替高は市場実勢価格のあるものについては当該価格に基づき、それ以外については、双方協議のうえ合理的に決定された価格に基づいております。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結財務諸表計上額

(注)2

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

営業収益

 

 

 

 

 

 

外部顧客に対する
営業収益

20,455

29,133

9

49,597

49,597

セグメント間の内部
営業収益又は振替高

4

4

△4

20,455

29,133

13

49,602

△4

49,597

セグメント利益又は損失(△)

5,883

△261

△736

4,886

122

5,008

セグメント資産(注)3

58,858

18,592

40,853

118,304

△19,529

98,774

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費

836

672

1

1,509

1,509

のれん償却額

237

237

237

持分法投資損益

9,918

9,918

9,918

持分法適用会社への
投資額

43,248

43,248

43,248

有形固定資産及び
無形固定資産の増加

752

443

1,196

1,196

 

(注) 1.セグメント利益又は損失(△)の調整額122百万円は、セグメント間取引消去であります。

2.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

3.セグメント資産の調整額(△19,529百万円)は、セグメント間取引消去であります。

 

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

連結財務諸表計上額

(注)2

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

営業収益

 

 

 

 

 

 

外部顧客に対する
営業収益

2,908

34,845

11

37,766

37,766

セグメント間の内部
営業収益又は振替高

6,172

6,172

△6,172

2,908

34,845

6,183

43,938

△6,172

37,766

セグメント利益又は損失(△)

△652

40

5,571

4,960

△6,066

△1,106

セグメント資産(注)3

71,514

18,241

44,151

133,907

△18,572

115,334

その他の項目

 

 

 

 

 

 

減価償却費

186

702

9

898

898

のれん償却額

237

237

237

持分法投資損益

15,447

15,447

15,447

持分法適用会社への
投資額

57,308

57,308

57,308

有形固定資産及び
無形固定資産の増加

194

187

1,533

1,914

1,914

 

(注) 1.セグメント利益又は損失(△)の調整額△6,066百万円は、セグメント間取引消去であります。

2.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業損失と調整を行っております。

3.セグメント資産の調整額(△18,572百万円)は、セグメント間取引消去であります。

 

 

【関連情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

報告セグメントと同一区分のため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

 

 

 

(単位:百万円)

日本

モンゴル国

キルギス共和国

合計

29,142

18,187

2,267

49,597

 

(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

 

 

(単位:百万円)

日本

キルギス共和国

合計

870

620

1,490

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、特定の顧客への売上高であって、連結損益計算書の売上高の10%以上を占めるものがないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

報告セグメントと同一区分のため、記載を省略しております。

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

 

 

(単位:百万円)

日本

キルギス共和国

合計

34,857

2,908

37,766

 

(注) 売上高は顧客の所在地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

 

 

(単位:百万円)

日本

キルギス共和国

合計

2,236

687

2,924

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、特定の顧客への売上高であって、連結損益計算書の売上高の10%以上を占めるものがないため、記載を省略しております。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

全社・消去

合計

減損損失

-

17

-

-

17

 

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

全社・消去

合計

減損損失

-

212

-

-

212

 

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

全社・消去

合計

当期償却額

-

237

-

-

237

当期末残高

-

2,035

-

-

2,035

 

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

銀行

関連事業

リユース事業

その他

事業

全社・消去

合計

当期償却額

-

237

-

-

237

当期末残高

-

1,798

-

-

1,798

 

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自  2023年4月1日  至  2024年3月31日)

該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自  2024年4月1日  至  2025年3月31日)

該当事項はありません。