リスク
3【事業等のリスク】
以下に記載いたしました「事業等のリスク」は、当社が把握している情報に基づく想定及び見解を基に当社の事業展開上リスクとなる可能性があると考えられる主要な事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家への積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
(1)市場環境の変化に関するリスク
① 不動産市況の変化に伴うリスク
当社の行う不動産担保ローンのビジネスモデルは不動産市況の影響を受けやすいため、不動産市況が悪化した場合、担保不動産の価格下落を受け新規の貸付が減少するリスクが高まることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 貸付債権の悪化に伴うリスク
不動産市況が悪化して地価が下落した場合には、担保不動産の価値の目減りによって、債権の与信が悪化する可能性があります。当社は、貸付における厳格な与信判断及び途上与信管理における債権メンテナンス(担保不動産の再評価)に注力し、健全な債権内容の維持に努めております。
しかしながら、今後不動産市況が悪化した場合、担保不動産の価格下落による担保不足の貸付債権の増加リスク及び顧客の返済能力の低下による支払遅延リスクが高まることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 貸倒リスクについて
当社の不動産担保ローンは、概ね1年から5年の期間でお客様に融資いたしております。担保物件の多くは居住用不動産ですが、景気動向、金利動向、地価動向等によって価額の影響を受けます。
また、担保の一部には収益不動産がありますが、同様に金利動向、賃貸の需給バランスによる賃料相場等により価額の影響を受けます。
当社は、商業不動産、大型不動産、特殊な用途の不動産等需要が限定的な不動産は原則として担保とせず、一顧客当りの平均貸付額は20,000千円台と小口分散を図っておりますが、不動産価額の変動によっては貸倒れが増加し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の最近5事業年度における営業債権に係る貸倒引当金及び貸倒損失は以下のとおりです。
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第51期 (2020年3月期) |
第52期 (2021年3月期) |
第53期 (2022年3月期) |
第54期 (2023年3月期) |
第55期 (2024年3月期) |
貸倒引当金 (千円) (貸倒引当率) |
79,800 (0.11%) |
79,700 (0.11%) |
86,300 (0.11%) |
98,000 (0.11%) |
105,500 (0.11%) |
貸倒償却額 (千円) (貸倒償却率) |
10,478 (0.01%) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
- (-) |
営業債権 期末残高 (千円) |
72,267,419 |
72,205,083 |
78,224,473 |
88,641,883 |
95,378,759 |
(注)1.貸倒引当率=営業債権に係る貸倒引当金/営業債権期末残高
2.貸倒償却額=営業債権に係る貸倒引当金目的取崩額+貸倒損失額
3.貸倒償却率=貸倒償却額/営業債権期末残高
④ 競争の変化に伴うリスク
当社の主要事業である不動産担保ローン事業には、対象とする不動産の価値判断や顧客リスク判断等のノウハウが必要であり、他業種からの参入、或いは同業種からの当市場への参入は少なからず困難が伴うものと考えております。
しかしながら、今後、他業種、或いは金融機関を含む同業種からの当市場への参入により顧客獲得競争が激化し、優良顧客の獲得が十分にできなかった場合又は優良顧客を奪われた場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 業界全般及び当社に対するネガティブな報道に伴うリスク
当社及びローン業界に対するネガティブな報道や悪質な風評等により、それが事実であるか否かに拘らず、契約解消の増加や顧客の減少などにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制について
当社の不動産担保ローン事業は、「貸金業法」、「利息制限法」及び「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(以下「出資法」という。)の適用を受けております。
当社は、コンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして、社内規程の整備や役員及び従業員への啓蒙活動を通じて、その強化に取り組んでおります。しかしながら、当社の役員及び従業員の故意又は過失により法令違反が発生した場合は、お客様との信頼関係を損なう可能性があります。また、法人として法令違反があった場合は、監督当局から業務の制限や停止等の命令並びにお客様からの当社に対する訴訟の提起及び損害賠償支払いの発生等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
① 貸金業法の業務規制に伴うリスク
当社は「貸金業法」第3条に基づき、1983年12月20日付で関東財務局の貸金業登録を受け、3年ごとに更新登録を行っております(登録番号 関東財務局長(14)第00035号)。この貸金業登録により各種の業務規制と、これらの規制に違反した場合の行政処分(業務の全部又は一部の停止並びに貸金業登録の取り消し等)並びに罰則等の措置が設けられております。
更に、「貸金業法」の施行に当たって、監督官庁である金融庁が定める「貸金業者向けの総合的な監督指針」及び日本貸金業協会が定める「貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則」の適用も受けており、貸金業法における行動指針が定められております。
当社は「貸金業法」、「貸金業者向けの総合的な監督指針」及び「貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則」の遵守を徹底しており、現時点において法令に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社並びに当社の役員及び従業員が法令に抵触した場合、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられ、又は登録が取消され、当社の事業活動に支障を来たすとともに、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の法律改正等による業務規制の変更等で業務が制限された場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 貸付金利の規制に伴うリスク
「出資法」は段階的に上限金利の引き下げが行われ、当事業年度末現在における上限金利は出資法は年20%、利息制限法は年15%(貸付元本額により年20%~15%。当社の場合は貸付元本額が1百万円を超過しますので、利息制限法で規定されている年15%以下の金利が上限として適用されます。)となっております。
当社は既に上限金利以下で貸付を行っており、当社の業績に特段の影響は生じないものと考えておりますが、今後更なる上限金利の引き下げが行われた場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)顧客情報の管理に関するリスク
当社の不動産担保ローン事業は、「個人情報の保護に関する法律」及び「個人情報の保護に関する法律施行令」、更に金融庁告示による「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」及び「金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針」の適用を受けており、当社は同法等における個人情報取扱事業者に該当し、個人情報の適正な利用・管理が義務付けられております。
当社は「個人情報保護および安全管理に関する取扱規程」及び「個人情報保護および安全管理に関する運用細則」を制定し、社内管理体制を整備するとともに、システム面においても、データの管理、アクセス権の制限等、セキュリティの強化を図ってまいりました。同時に、コンプライアンス体制を強化し社員一人一人の意識を高める啓蒙活動を通じて個人情報や機密情報の管理の周知徹底を図っております。当社は上記法令等の遵守を徹底しており、現時点において法令に抵触する事実はないものと認識しております。
しかしながら、万一、何らかの理由により個人情報の漏洩又は同法に違反した場合には、同法による制裁を受けるだけではなく、社会的信用を失墜することになり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)資金調達について
① 資金調達状況
当社は、営業貸付金を中心とした事業運営全般に対して必要となる資金については、銀行をはじめとした金融機関からの借入により資金調達を行っておりますが、当社の主要な借入先である金融機関が金融環境等の事情により当社への貸出方針を変更しないという保証はありません。
当社は現状では資金の調達が著しく困難ではないものと考えておりますが、今後金融市場の不安定化が生じた場合には、資金調達費用の増加や、必要資金の調達が困難となるおそれがあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 金利上昇によるリスク
調達金利は市場環境等により変動いたしますが、当社では金利の動向を見据えて調達金利の固定化、金利キャップ、或いは金利スワップ等を活用することにより金利上昇リスクの軽減を図っていく方針です。
今後、金利の上昇によって資金調達コストが上昇した場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 資金調達に係る財務制限条項について
当社の借入の一部には、財務制限条項が付されているものがあります。現状ではこれに抵触する可能性は低いものと認識しておりますが、今後何らかの事由により事業環境が激変し、財務制限条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、当該借入を一括返済することとなり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)システムリスク及びオペレーショナルリスク
当社は、「情報セキュリティ基本方針」及び「業務処理パソコンおよび情報システム管理規程」等によるシステムリスク管理の基本方針に基づき、システム障害やコンピューターの不正使用等に関するセキュリティの強化に努めております。しかしながら、外部からの不正アクセスや火災、回線故障等の障害を受けた場合、コンピューターシステムの損害規模によっては当社の業務に支障を来たし、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社ではコンプライアンス体制の整備、強化に努めておりますが、当社の役員及び従業員が正確な事務処理を怠ることや、事故・不正等を起こすことによる損失の発生等により業務遂行に支障を来たすおそれがあり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)イベントリスク
当社は当事業年度末現在、本店及び6支店で事業活動を行っており、テロや災害等が発生した場合、事業活動の全部又は一部を休止せざるを得なくなるおそれがあります。その結果、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の育成と確保
当社の不動産担保ローン事業は、金融と不動産に関する専門的な知識を必要とするため、キャリアに応じた階層別研修や外部講師を招いての定期的な講習の実施等、採用した人材の育成に注力しております。しかしながら、採用した人材が十分に戦力となり得ない場合や、優秀な人材が採用できない場合、又は外部に流出した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)自然災害について
当社の営業店舗は東京都を中心とする首都圏に集中しております。したがって、この地域で大規模な地震や台風等による風水害が発生した場合、又は他地域において発生した大規模な地震や風水害等においても、その直接的、間接的影響により正常な営業活動を行うことができなくなる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
利益配分に関する基本方針といたしましては、1株当たり利益水準を高めるべく収益力の向上に努め、その収益力を基準に企業体質の強化と今後の事業展開に必要な内部留保の確保等を考慮したうえで増配等の方策により、株主に対し積極的に利益還元を行う方針です。このような基本方針を踏まえて、配当性向は概ね20%といたしておりますので、当期利益の増減に伴い配当金も変動させていく方針です。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき、1株当たり20円としております。
当社は取締役会の決議により中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会又は取締役会、中間配当については取締役会です。なお、会社法第459条第1項各号の規定に基づき、取締役会の決議により、自己の株式の取得及び配当等を行うことができる旨、また、会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
内部留保金につきましては営業貸付金に充当し営業力の強化を図っていく方針です。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりです。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年6月26日 |
659,520 |
20 |
定時株主総会決議 |