2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,184名(単体) 11,045名(連結)
  • 平均年齢
    40.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    13.0年(単体)
  • 平均年収
    12,732,428円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

コマーシャル不動産事業

4,432

[1,085]

住宅事業

3,483

[4,426]

海外事業

381

[37]

投資マネジメント事業

377

[34]

設計監理・不動産サービス事業

1,498

[1,625]

その他の事業

494

[49]

全社(共通)

380

[83]

合計

11,045

[7,339]

(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に国内年間平均人員を外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与

1,184

[

191

人]

40

3

か月

13

9

か月

12,732,428

 

セグメントの名称

従業員数(人)

コマーシャル不動産事業

622

[86]

住宅事業

73

[10]

海外事業

20

[3]

投資マネジメント事業

15

[1]

その他の事業

74

[8]

全社(共通)

380

[83]

合計

1,184

[191]

(注) 1. 従業員数は就業人員であり、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含みます。

臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

 2. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社(871名)及び一部米国連結子会社(101名)にはそれぞれ労働組合が組織されておりますが、労使関係は円満に推移しており、特記すべき事項はありません。

なお、( )内は2024年3月31日現在(一部米国連結子会社は2023年12月31日現在)の組合員数であります。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

I. 女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金差異

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

*1

男性労働者の育児休業取得率(%)

*2,*3

労働者の男女の賃金の差異(%)*1,*4,*5

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期雇用労働者

8.1

82.4

53.0

56.0

42.9

(注) *1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算

出したもので、2024年4月1日時点のものであります。

*2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76

号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

*3. 「2023年度(2023年4月から2024年3月)の間で配偶者が子を出産した男性社員の数(a)」に対す

る「同年度中に新たに育児休業をした男性社員数(b)」の割合(b/a)であります。(b)には、2022年度以前に子が生まれたものの、当該期間に取得せず、2023年度になって新たに取得した社員が含まれるため、取得率が100%を超えることがあります。

*4. 「2023年4月から2024年3月の課税支給総額(a)」を「2024年3月時点で給与が支給されている従

業員の人数(b)」で除することで算出した「年間平均賃金(a/b)」において、男性を100としたときの女性の割合を記載しております。(事業年度を通じて、労働者及び男女比の変動がほぼ見られないことから、(b)について事業年度の特定の日に雇用している労働者の数を採用しております。)なお、時短勤務者等もフルタイム勤務者同様1人として集計しております。

*5. 役員・顧問、給与が支給されていない者(休職・通年海外赴任等)は対象外としており、有期雇

用労働者には再雇用社員が含まれます。

 

Ⅱ. 女性管理職比率に関する補足

・管理職になりうる職掌のうち非管理職の女性社員比率は約32%であり、かつ下記の施策の実行などにより、比率の改善が見込まれます。

 

<施策> 女性社員がライフイベントや介護等と両立しながら長く働き続けられる環境づくり

・ 外部提携サービスを利用した保活支援

・ 会社提携託児所

・ ベビーシッター費用補助

・ 配偶者の転勤等に伴う転勤希望制度

・ 退職者再雇用制度

・ 介護相談窓口の設置

 

<目標値①>

・女性管理職比率:2030年度までに20%超、2040年度までに30%、2050年度までに40%

 女性管理職比率の目標を2050年まで段階的に設定しております。

 

<目標値②>

・採用における女性社員比率(新卒・キャリア):毎年度40%

 新卒・キャリア採用における女性社員比率の目標を毎年度40%に定め、管理職候補となる女性社員の増加

 を図ります。

 

Ⅲ. 男性の育児休業取得率に関する補足

・男性の育児休業取得率を向上させるには、対象となる男性自身の意識改革に加えて、上司や同僚の男性育

児休業に関する理解の双方が重要だと考えており、下記のような施策を実施しております。

 

<施策>

・男性の育休取得についての理解促進

・ 子どもが生まれた男性社員に対し育休案内

・ 育休未取得の社員に対しては、育休について上長とコミュニケーションを取ることを推奨

・育休取得経験者による座談会の実施(体験談の社内共有)

・育休等に関する制度概要や手続きの流れ等をまとめた「産前産後・育児休業ハンドブック」の周知

 

<目標値>

・2030年度まで毎年100%以上を維持

 

Ⅳ. 男女間賃金差異に関する補足

・男女間賃金差異が生じている要因として、男女間に、「等級人数比率」、「職掌人数比率」、「勤続年

数」、「労働時間(産育休を含む)」の差異があることを確認しております。

・総合職における同等級間の男女間賃金差異に上表までの差は見られず、一定の経験年数が必要となる管理

職における女性比率を高めることで、改善につながるものと考えます。なお、管理職登用において、男女間に登用率の差はありません。

 

② 連結子会社

 

 

当事業年度

名称

(A)管理職に占める女性労働者の割合(%)*1

(B)男性労働者の育児休業取得率(%)*2,*3

(C)労働者の男女の賃金の差異(%)*1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・有期

労働者

三菱地所プロパティマネジメント㈱

14.7

63.4

72.0

71.5

77.6

日本リージャスホールディングス㈱

52.5

-(対象者なし)

52.8

51.8

108.0

丸の内熱供給㈱

0.0

-(対象者なし)

69.9

68.1

61.2

㈱サンシャインシティ

19.3

0.0

69.9

69.8

71.5

東京ガレーヂ㈱

7.7

150.0

82.1

93.1

86.6

三菱地所・サイモン㈱

43.1

0.0

75.7

83.6

41.9

三菱地所ホテルズ&リゾーツ㈱

14.2

81.0

58.2

71.5

53.5

㈱丸ノ内ホテル

33.3

200.0

88.3

81.4

71.5

三菱地所レジデンス㈱

13.1

84.2

67.2

65.7

69.1

三菱地所ホーム㈱

11.5

14.3

68.0

48.0

65.5

三菱地所コミュニティ㈱

6.5

31.8

64.0

60.4

67.7

三菱地所ハウスネット㈱

24.5

25.0

77.1

79.3

72.5

三菱地所投資顧問㈱

13.8

0.0

61.1

86.7

33.3

㈱メック・デザイン・インターナショナル

28.1

33.3

76.0

78.7

53.9

三菱地所リアルエステートサービス㈱

6.8

37.5

62.4

61.1

73.9

㈱三菱地所設計

9.3

78.6

73.1

70.0

77.1

三菱地所パークス㈱

17.9

42.9

80.2

87.1

79.9

三菱地所ITソリューションズ㈱

14.4

57.1

79.3

79.0

64.4

㈱メック・ヒューマンリソース

20.0

100.0

73.7

74.8

67.5

(注) *1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したもの

で、2024年4月1日時点のものであります。㈱丸ノ内ホテルは2024年4月1日を効力発生日とする吸収合併消滅会社であるため、2024年3月31日時点のものであります。

*2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規

定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。対象期間は2023年4月1日から2024年3月31日であります。

*3 「2023年度(2023年4月から2024年3月)の間で配偶者が子を出産した男性社員の数(a)」に対する「同年度

中に新たに育児休業をした男性社員数(b)」の割合(b/a)であります。(b)には、2022年度以前に子が生まれたものの、当該期間に取得せず、2023年度になって新たに取得した社員が含まれるため、取得率が100%を超えることがあります。対象期間は2023年4月1日から2024年3月31日であります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、三菱グループの経営理念である「三菱三綱領」に基づき、基本使命において「住み・働き・憩う方々に満足いただける、地球環境にも配慮した魅力あふれるまちづくりを通じて、真に価値ある社会の実現に貢献します。」と謳っております。この基本使命に基づき、当社グループは130年以上にわたって、丸の内エリアの開発を手掛け、その活気と賑わいを大手町や有楽町へ、さらに国内外へと拡大してきました。

昨今、2015年のパリ協定の発効、SDGsの採択などを契機に、気候変動・サステナビリティに関する企業に対する社会的な要請は複雑さを増し、サステナビリティを前提とした事業・ビジネスモデルの変革が必要不可欠となっております。

 

このような状況を受け、サステナビリティの観点を、より一層経営や事業活動に組み込むため、2018年度に全社横断でワーキングを実施し、SDGsの観点で当社グループが注力すべきテーマを、7つのマテリアリティ(サステナビリティ経営上の重要課題)として特定いたしました。

また、「長期経営計画2030」(※1)においては、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略の両輪を経営の根幹に据え、サステナブルな社会の実現に向け、事業活動を通じて時代が抱える社会課題の解決に取り組んでいくことを明確にしています。

社会価値向上戦略の軸として「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030(以下、2030年目標)」(※2)を定めており、マテリアリティも踏まえたサステナビリティの観点からグループ全体で重点的に取り組むべき4つのテーマを特定(図1)の上、2030年時点における達成目標と各テーマのアクションプラン案を整理しています。

なお、当社グループは社会環境等の変化を受け、2024年度に向けて上記4つの重要テーマ及びマテリアリティの見直しを図り、2024年5月10日に公表しました。当社グループは新たな重要テーマのもと、事業活動を通じた社会課題解決への真摯な取り組みを継続し、当社グループの持続的成長と真に価値ある社会の実現を目指します。

 

※1 (参考/長期経営計画2030資料)https://www.mec.co.jp/assets/img/plan2030/plan200124.pdf

※2 (参考/2030年目標「サステナビリティレポート2023」、2023年度時点)

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/report/2023/pdf/all_mec_SR2023.pdf#page=40

 

 

図1 2030年目標/Sustainability Vision 2050

 

 

 

(1) ガバナンス

■ 体制概要

当社グループでは、「三菱地所グループ サステナビリティ規程」において、気候変動を含むサステナビリティ推進活動に関する事項を定めております。三菱地所㈱執行役社長を委員長、サステナビリティ統括責任者(三菱地所㈱ サステナビリティ推進部担当役員)を副委員長とする「サステナビリティ委員会」(原則、年2回開催)では、気候変動をはじめとするサステナビリティに関する重要事項の審議・報告を行い、それに先立ち「サステナビリティ協議会」において事前協議・報告、事業グループ等におけるサステナビリティ推進活動に関する情報の集約を行っております(図2)。なお、「サステナビリティ委員会」の審議事項は、内容の重要度等に鑑み、必要に応じて「経営会議」への付議がなされ、「サステナビリティ委員会」での審議・報告事項については、取締役会にて報告され、監督される体制となっております。

 

また、「サステナビリティ委員会」で承認された方針・計画の実行に当たっては、「サステナビリティ統括責任者」のもと、三菱地所㈱各部・三菱地所グループ各社の「サステナビリティ推進責任者、担当者」、「サステナビリティ推進事務局(三菱地所㈱ サステナビリティ推進部)」を中心に具体的な活動・検討を進めております。

 

■ サステナビリティ委員会開催実績・議題

当社ホームページにて詳細開示しています。以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/management/promotion/

 

図2 三菱地所グループ サステナビリティ推進体制(2023年度時点)

 

(2) 戦略

①サステナビリティに関する戦略

サステナビリティの観点からグループ全体で重点的に取り組むべき4つのテーマである「Environment」・「Diversity & Inclusion」・「Innovation」・「Resilience」について外部環境の変化を予測し、リスク・機会を特定いたしました。

 

4つのテーマ

機会

リスク

対応する主な取り組み

Environment

・ 環境負荷が小さい不動産の取得・賃借ニーズの増加

・ 既存ストックの有効活用による、解体・建て替えスパンの長期化に伴う廃棄物削減

・ 環境負荷が小さい不動産取得・賃借ニーズが増加する中、対応が遅れる場合の空室率増加、成約率や販売価格の低下

・ 環境規制の強化による新規不動産開発、改修工事基準の厳格化に伴う対策費用の増加

・ SBTiの「ネットゼロ新基準(The Net-Zero Standard)」に沿った、目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを実施

・ RE100に加盟をし、2025年度までにグループ全体でRE100達成を目指した取り組みを実施

 

 

4つのテーマ

機会

リスク

対応する主な取り組み

Diversity & Inclusion

・ 海外の方のニーズに対応した施設・サービスの需要増加

・ 外国人労働者受け入れによる労働力不足の解消

・ テレワークの加速やフリーランスの増加など多様な生活スタイルや就業・消費スタイルに対応した施設・サービス需要の増加

・ 人口動態の変化に伴う新たなニーズに対応した施設・サービスの需要増加

・ バリアフリー等ユニバーサルデザインに対応した施設・サービスへのニーズの増加

・ サプライチェーンマネジメントをはじめとしたカントリーリスク・コンプライアンスリスクの増加

・ ダイバーシティへの対応が不足している施設・サービスの需要低下

・ 人口動態の変化(労働人口の減少等)に伴う施設・サービスの需要低下

・ バリアフリー等ユニバーサルデザインに対応した施設・サービスへのニーズの増加する中、対応が遅れる場合の利用者の減少及び空室率増加

・ 多様な生活スタイルや就業スタイルに対応した施設の開発やサービスの提供

・ サプライヤー行動規範を策定し、サプライヤーの遵守状況を確認するため、ヒアリングシート調査を実施

Innovation

・ 技術革新、普及に伴う環境対策・投資費用の低減

・ ITやロボットを活用した、施設運営の効率化・利便性向上

・ スマートコミュニティ、ハウス、オフィスの開発機会、ニーズの増加

・ IT化・デジタル革新への対応が遅れることによる、施設・サービスの需要低下

・ スマートコミュニティ、ハウス、オフィスの開発機会、ニーズの増加が高まる中、対応が遅れることによる機会損失

・ eコマース等のオンライン売買の進展に伴う、実店舗・サービスに対するニーズの減少

・ インキュベーションオフィスを運営

・ 先端技術・テクノロジー・ロボットの活用

・ スタートアップ企業やベンチャーキャピタル等への出資による新規ビジネスの創出

Resilience

・ 気候変動に伴う災害(都市水害など)への対応力が高い不動産の取得・賃借ニーズの増加

・ 地震等の災害への対応力が高い不動産の取得・賃借ニーズの増加

・ 気候変動に伴う災害(都市水害等)の激甚化・増加による資産価値減少、維持・対策費用の増加

・ 地震等の災害発生による資産価値の減少、維持・対策費用の増加

・ 老朽化に伴う改修費用、災害対策コストの増加

・ 防災・減災に向けた体制構築

・ ハード・ソフト両面における防災まちづくりを重視

 

[気候変動・自然資本への対応]

・TCFD提言に基づく情報開示

当社は、TCFDの提言内容に則り、2020年5月にフレームワーク(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示を行いました。開示内容の拡充を図るため、2023年5月には、これまでのパリ協定が求める水準である産業革命前からの気温上昇が2℃以下を含めた2つのシナリオ分析に加え、移行リスク(低炭素経済へ移行する過程で生じるリスク)を評価するCRREM(Carbon Risk Real Estate Monitor)を取り入れ、気候変動による当社グループ主要事業への将来的な影響分析を開始しました。今後も内容の深化を進めるとともに、気候変動に関するガバナンスや事業戦略の強化を目指します。

 

・CRREMを活用したリスク分析

CRREMの概要 :欧州の研究機関等が開発した商業用不動産の移行リスクを評価・分析するツールです。パリ協定が求める2℃、1.5℃目標に整合する2050年までの温室効果ガス排出量のパスウェイ(炭素削減の経路)と自社物件の排出経路を比較することで、物件の座礁資産化の時期や座礁割合、又は将来の排出にかかるコスト等を算定し、対応策やその効果を検討することができます。なお、座礁資産化とは、自社ポートフォリオの脱炭素経路が2℃、1.5℃のパスウェイを超過することによって、移行リスクのある物件であると評価されることを示します。

 

CRREMを活用した当社の移行リスク分析:将来の気候変動が当社事業へもたらす影響、特に保有する物件の移行リスクについて、CRREMの手法を活用し、定量的な評価を行いました。

[分析対象範囲]

当社の所有する物件のうち、2022年のGRESB(※)報告対象物件から、2021年度末時点で所有していたオフィス、商業、物流施設など合計84物件を対象に分析しました。

[ケースの設定]

ケース 1 :これまでの当社脱炭素の取り組みに加え、省エネ施策の強化(空調・LED等)や、生グリーン電力の導入といった取り組みを考慮したケース

ケース 2 :ケース1に非化石証書付き電力契約による再エネ導入も加え、2025年度までにすべての物件で再エネ由来電力への切り替えを想定したケース

[ケース分析結果]

設定した2つのケースと2℃、1.5℃目標の各パスウェイを比較したところ、以下の結果が得られました。

ケース 1 :省エネ施策強化や生グリーン電力の導入のほか、系統電力の排出係数の低下が寄与するものの、2037年頃には1.5℃パスウェイを上回る排出水準になる見込みです。そのため、本取り組みだけでは不十分である可能性があります。

ケース 2 :再エネ由来電力への切り替えに伴い、2025年度以降、電力由来の排出がなくなる一方、地域冷暖房、ガス由来のエネルギーの排出が一部残る見込みです。その結果、2047年頃に1.5°Cパスウェイを超過する可能性があります。

[ケース分析を踏まえた戦略・取り組み(機会内容含む)]

本分析においては、2021年度末時点の物件を対象に、2050年までの間、物件の入れ替え等がない想定としていますが、実際には省エネ性能に優れた物件への建て替え、新規取得等により、温室効果ガス排出原単位の改善も見込まれます。当社が掲げる2025年度の再エネ導入率100%の達成に向け、これまで推進してきた非化石証書付き電力利用を一層進めるとともに、コーポレートPPAの導入等を検討します。また、今後当社が開発する新築建物においては原則ZEB水準の環境性能を目指すことにより、省エネ性能の優れたビルの比率を向上させ、温室効果ガス排出原単位の改善を図ります。

 

(※) GRESBは、欧州の年金基金のグループを中心に創設された不動産会社・不動産運用機関の環境・社会等への配慮の姿勢を測るベンチマークです。

TCFD提言に基づく情報開示に関する詳細情報は、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tcfd/

 

②人的資本に関する戦略

当社グループの求める人財像である5つの要素を高めながら、「長期経営計画2030」の達成に向けて、超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かして協業による強みの掛け算を生み出していく役割及び高い専門性によって価値創出していく役割を発揮できる人財を育成していくことを、人財育成の方針として掲げております。

当社グループでは、社員は企業にとっての重要な経営資源であるとの認識のもと、「人材」ではなく「人財」という表現を用いております。

 

■ 5つの要素を高めていくこと

当社グループでは、求める人財像を下記5つの要素を備えた人物であると定義しております。

当社従業員は、ビジネスの状況や一人ひとりのキャリア志向に応じて多様な役割を担いますが、5つの要素は全従業員に普遍的に求めるものとしております。そのため、採用・育成に当たっては、この5つの要素を重視しております。

なお、5つの要素は当社グループ全従業員に対して求めるものであり、グループ各社の人財育成方針のベース・基盤としてあるものです。

 

5つの要素

定義

求める力

「志」ある人

成し遂げたい姿や状態を描き、それを実現していく強い意志と行動力を備えた人

ビジョン構築・浸透力、覚悟・胆力

「現場力・仕事力」のある人

自身の担当領域や不動産全般の「プロ」として知識・スキルを研鑽し、業務を推進できる力を持つ人

目利き力、顧客志向、仕事推進力、生産性、リスク対応力、知識・スキル

「誠実・公正」である人

高い倫理観を持ち、誠実かつ公正に行動し、周囲と良好な関係を築く姿勢を持つ人

オープンマインド、倫理観

「組織」で戦える人

組織としての競争力を高めるために人財育成やマネジメントを行う力のある人

育成力、チームワーク、マネジメント力

「変革」を起こす人

前例や慣例にとらわれず、失敗を恐れずにチャレンジ精神を持って行動する姿勢を持つ人

チャレンジ志向・イノベーション

 

■ 長期経営計画2030の達成のために人財に求める2つの役割

(ア)超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かし、協業による強みの掛け算を生み出していくこと

当社グループのビジネスモデルの特徴は、まちづくりという長期的な事業において、社内外の膨大なネットワークとの協業によって新しい価値を生み出していくことです。

当社グループの強みである超長期的視点と時代を先取りするDNAを活かしながら、社内外のネットワークを活用することで「新しい視点からの課題の発見」や「協業による強みの掛け算」を生み出すために、慣例にとらわれずチャレンジ精神を持って行動する役割が求められます。

当社ではその役割をサポートする施策を整備しております。

 

(イ)高い専門性によって価値創出していくこと

「長期経営計画2030」の達成に向けては、国内の大型開発の着実な推進に加え、海外事業の強化やノンアセットビジネスの拡大とサービス・コンテンツ領域への進出を推進し、各領域における高い専門性を持った人財が新しい価値創出に向けて事業をドライブしていくことが必要だと考えております。このことを踏まえ、各領域の専門人財の採用強化に加え、社員一人ひとりが必要な専門性を獲得・深化できる施策を整備しております。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、「三菱地所グループリスクマネジメント規程」を制定し、すべての事業活動を対象にリスクマネジメント体制を整備、運用しております。当社グループのリスクマネジメントを統括する機関として、三菱地所㈱執行役社長を委員長、各事業グループ及びコーポレートスタッフの担当役員等をメンバーとする「リスク・コンプライアンス委員会」を、またリスクマネジメントに関する情報の集約など、実務的な合議体として「リスク・コンプライアンス協議会」をそれぞれ位置付けるほか、取締役会の決議により任命されたリスクマネジメント担当役員を統括責任者として、ラインスタッフ部署、コーポレートスタッフ部署、DX推進部並びにグループ各社に責任者を置き、それを推進事務局である法務・コンプライアンス部が支援する形でリスクマネジメント活動を推進しております。また、緊急事態発生時の行動指針や連絡・初動体制、事業継続計画等についても整備、運用しております。

 

毎年実施するリスク分析において、気候変動関連リスクを含む事業活動全般に関するリスクについて評価・分析し、その分析結果を踏まえ、前述の「リスク・コンプライアンス委員会」において、事業活動全般への影響度を踏まえた三菱地所グループとしての重点リスクを審議し、その対策をモニタリングしております。

 

また、以下2つの活動を柱に、リスクマネジメントを推進しております。

① 個別重点リスクマネジメント活動(=各事業、機能グループ・グループ各社における個別リスクマネジメント

活動の推進)

各事業、機能グループ・グループ各社において、リスク分析の上、重点的なリスク(個別重点リスク)を選定し、対応する活動を毎年実施しております。ラインスタッフ部署はそれぞれの事業グループが所管するグループ各社のリスクマネジメントの推進状況を把握し、連携・支援を実施しております。

 

② 重点対策リスクマネジメント活動(=当社グループとして特に注力すべき重点対策リスクの抽出と

モニタリング)

当社グループ全体のリスクを的確に把握し、重点的に対策を講じる必要があるリスクを抽出・マッピングすることで注力すべきリスクとそのプライオリティを可視化しております。また、年間を通じて特に重要なリスク(重点対策リスク)を中心にモニタリングするとともに、必要に応じて支援を実施しております。

 

リスク管理の具体的な方策として、「2030年目標」で掲げる4つのテーマ(① Environment ② Diversity & Inclusion ③ Innovation ④ Resilience)に関する取り組み目標を、2020年度より組織・機能ごとの年次計画に盛り込む運用とし、その達成状況をモニタリングすることにより、気候変動をはじめとするサステナビリティに関するリスク管理体制の強化に寄与するものと考えております。

なお、ESGに関する取り組みの達成状況は、役員報酬の定性評価項目の一つに位置付けられております。

 

また、「2030年目標」に対する進捗状況については、「サステナビリティ委員会」にて原則年2回報告が行われ、定期的にモニタリングがなされます。また、年次計画の策定に係る事項は「取締役会」の審議事項であり、2030年時点における目標達成に向けたアクションプランの妥当性等を中心に監督される体制となっております。今後、「2030年目標」に向けた取り組みを加速させるため、組織別・機能別の目標やアクションプランの更なる具体化・深化を図っていきたいと考えております。

 

(4) 指標及び目標

①サステナビリティに関する指標及び目標

当社グループは2030年目標の達成に向け、グループ全体で重点的に取り組むべき4つのテーマである「Environment」・「Diversity & Inclusion」・「Innovation」・「Resilience」について以下のKPIを策定し、取り組みを進めております。

 

Environment

項目

目標

KPI

実績値(*2)

気候変動

(*1)

CO2等の温室効果ガス排出量

(2022年6月「SBTi」よりSBTネットゼロ認定取得)

2019年度総排出量に対して、

・2030年度までに、Scope1+2を70%以上、Scope3を50%以上削減

・2050年までに「ネットゼロ」達成(Scope1,2,3いずれも90%以上削減。残余排出量は中和化(*3))

総排出量:

2,099,270 t-CO2

うちScope1+2:

265,442 t-CO2

うちScope3:

1,833,828 t-CO2

再生可能エネルギー由来の電力比率

2025年度までにグループ全体で100%達成を目指す

51.4%

廃棄物

(*1)

m²当たりの廃棄物排出量

2030年までに2019年度比20%削減

(2019年度実績:7.1kg/m²)

5.6kg/m²

廃棄物再利用率

2030年までに90%

59.1%

Diversity & Inclusion

項目

目標

KPI

実績値

ダイバーシティ

(*4)

女性管理職比率

・2030年度までに20%超

・2040年度までに30%

・2050年度までに40%

8.1%(*5)

新卒における女性社員採用比率

毎年度40%以上

43.8%

中途採用における女性社員採用比率

毎年度40%以上

38.1%

男性の育児休業取得率

(対象年度中に配偶者が出産し、出産年度にかかわらず同年度中に育休を開始した社員の割合)

・2030年度まで毎年100%以上を維持

82.4%(*6)

女性の育児休業取得率

2030年度まで毎年100%

100%

産休・育休後の復職率

2030年度まで毎年100%

100%

健康経営

(*7)

メタボハイリスク層の割合 (40歳以上)

(定期健康診断において、生活習慣病の判定に影響する項目の何れかが、医療機関受診推奨値を超えた人の割合)

・2025年度までに25.6%

・2030年度までに14.8%

(全国平均相当、2019年度割合比で約60%改善)

7.5%

健康層の割合(40歳以上)

(定期健康診断において、生活習慣病の判定に影響する項目の全てが正常値の範囲内の人の割合)

・2025年度までに20.85%

・2030年度までに32.8%

(全国平均相当、2019年度割合比で約370%改善)

23.9%

がん検診の実施率

2021~2030年度まで毎年90%

88.6%

高ストレス者

2021~2030年度まで毎年10%以下を維持(全国平均相当:10%)

5.5%

人権

(*8)

持続可能性に配慮した調達コードと同等の木材(認証材及び国産材)の利用比率

2030年度までに100%

80%

 

 

Innovation

項目

目標

KPI

実績値

ビジネスモデルを革新しパフォーマンスを最大化

まちづくりの視点から新たな発想やビジネスの創出をサポートし、都市・産業の成長に貢献する

Resilience

項目

目標

KPI

実績値

防災対応

救命講習資格保有率

2030年度まで毎年100%

82%(*9)

防災訓練の実施

帰宅困難者受入施設割合

100%(*10)

(注)*1. 支配力基準に基づき、対象組織を選定しております。三菱地所グループの所有権及び信託受益権が50%未満の物件は、原則データ算定対象外です。2023年6月29日時点の2022年度実績値です。

*2. 2023年度実績は第三者保証取得後、以下に掲載を予定しております。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/environment/

*3. 2050年段階で三菱地所グループのバリューチェーン内で削減できない排出量を「残余排出量」といい、バリューチェーンの外で森林由来吸収や炭素除去技術等を活用して「中和(Neutralization)」することで、ネットゼロとするのがSBT基準に基づく考え方です。

*4. 対象組織は当社です。ただし、産休・育休後の復職率はグループ5社(当社、三菱地所プロパティマネジメント㈱、三菱地所レジデンス㈱、㈱三菱地所設計、三菱地所リアルエステートサービス㈱)です。2023年度実績値です。ただし、女性管理職比率及び新卒における女性社員採用比率は2024年4月1日時点の実績値です。

*5. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したもので、2024年4月1日時点のものであります。

*6. 「2023年度(2023年4月から2024年3月)の間で配偶者が子を出産した男性社員の数(a)」に対する「同年度中に新たに育児休業をした男性社員数(b)」の割合(b/a)であります。

*7. 対象組織は当社です。2022年度実績値です。

*8. 対象組織は当社及び三菱地所レジデンス㈱です。2022年度竣工物件を対象としており、2022年度実績値です。

*9. 対象は当社及び三菱地所プロパティマネジメント㈱です。2023年度実績値です。

*10.行政との帰宅困難者等受入協定などを締結している施設、及び施設ごとに定める帰宅困難者対応行動手順書等において自主的に帰宅困難者の受入方針・計画等を策定している施設(国内新築(2002年以降竣工)・大型(延床面積100,000m²以上)オフィス・商業施設)の実績値です。2023年度実績値です。

 

<参考>各KPIの実績については、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/environment/

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/social/

 

②人的資本に関する指標及び目標

当社グループでは、人財・働き方の多様性に配慮することや人権を尊重することは、経営や事業を行う上で重要な課題であるとの認識から、「三菱地所グループ行動指針」において、「人権・ダイバーシティの尊重」「一人ひとりの活躍」を掲げ、その着実な実践に向け、取り組みを推進しております。

当社グループでは、多様性確保のため、国籍、性別、年齢、新卒・キャリア採用等に偏りのない従業員構成を目指し、その多様な価値観・意見を心理的安全性のもとに自由に表明できる環境を整える「オピニオンダイバーシティ」を推進しております。多様性の一つの指標として、性別(ジェンダー)に関する指標及び目標を設定しております。

 

当社の当該指標に関する目標は「①サステナビリティに関する指標及び目標」表内の「Diversity & Inclusion」ダイバーシティ項目、実績は「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社 I. 女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金差異」に記載のとおりであります。