2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,242名(単体) 11,412名(連結)
  • 平均年齢
    40.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    13.0年(単体)
  • 平均年収
    13,478,300円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

コマーシャル不動産事業

2,395

[950]

丸の内事業

2,144

[367]

住宅事業

3,550

[4,533]

海外事業

411

[35]

投資マネジメント事業

396

[34]

設計監理・不動産サービス事業

1,616

[1,706]

その他の事業

502

[53]

全社(共通)

398

[74]

合計

11,412

[7,752]

(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に国内年間平均人員を外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与

1,242

[

185

人]

40

6

か月

13

11

か月

13,478,300

 

セグメントの名称

従業員数(人)

コマーシャル不動産事業

385

[28]

丸の内事業

263

[57]

住宅事業

79

[12]

海外事業

25

[3]

投資マネジメント事業

14

[1]

その他の事業

78

[10]

全社(共通)

398

[74]

合計

1,242

[185]

(注) 1. 従業員数は就業人員であり、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含みます。

臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

 2. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社(890名)及び一部米国連結子会社(104名)にはそれぞれ労働組合が組織されておりますが、労使関係は円満に推移しており、特記すべき事項はありません。

なお、( )内は2025年3月31日現在(一部米国連結子会社は2024年12月31日現在)の組合員数であります。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

I. 女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金差異

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

*1

男性労働者の育児休業取得率(%)

*2,*3

労働者の男女の賃金の差異(%)*1,*4,*5

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期雇用労働者

9.2

84.0

53.3

56.3

44.2

(注) *1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したもので、2025年4月1日時点のものであります。

*2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

*3. 「2024年度(2024年4月から2025年3月)の間で配偶者が子を出産した男性社員の数(a)」に対する「同年度中に新たに育児休業をした男性社員数(b)」の割合(b/a)であります。(b)には、2023年度以前に子が生まれたものの、当該期間に取得せず、2024年度になって新たに取得した社員が含まれるため、取得率が100%を超えることがあります。

*4. 「2024年4月から2025年3月の課税支給総額(a)」を「2025年3月時点で給与が支給されている従業員の人数(b)」で除することで算出した「年間平均賃金(a/b)」において、男性を100としたときの女性の割合を記載しております。(事業年度を通じて、労働者及び男女比の変動がほぼ見られないことから、(b)について事業年度の特定の日に雇用している労働者の数を採用しております。)なお、時短勤務者等もフルタイム勤務者同様1人として集計しております。

*5. 役員・顧問、給与が支給されていない者(休職・通年海外赴任等)は対象外としており、有期雇用労働者には再雇用社員が含まれます。

 

Ⅱ. 女性管理職比率に関する補足

・管理職になりうる職掌のうち非管理職の女性社員比率は約34%であり、かつ下記の施策の実行などにより、比率の改善が見込まれます。

 

<施策> 女性社員がライフイベントや介護等と両立しながら長く働き続けられる環境づくり

・ 外部提携サービスを利用した保活支援

・ 会社提携託児所

・ ベビーシッター費用補助

・ 配偶者の転勤等に伴う転勤希望制度

・ 退職者再雇用制度

・ 介護相談窓口の設置

 

<目標値①>

・女性管理職比率:2030年度までに20%超、2040年度までに30%、2050年度までに40%

 女性管理職比率の目標を2050年まで段階的に設定しております。

 

<目標値②>

・採用における女性社員比率(新卒・キャリア):毎年度40%

 新卒・キャリア採用における女性社員比率の目標を毎年度40%に定め、管理職候補となる女性社員の増加を図ります。

 

Ⅲ. 男性の育児休業取得率に関する補足

・男性の育児休業取得率を向上させるには、対象となる男性自身の意識改革に加えて、上司や同僚の男性育児休業に関する理解の双方が重要だと考えており、下記のような施策を実施しております。

 

<施策>

・男性の育休取得についての理解促進

・ 子どもが生まれた男性社員に対し育休案内

・ 育休未取得の社員に対しては、育休について上長とコミュニケーションを取ることを推奨

・育休取得経験者による座談会の実施(体験談の社内共有)

・育休等に関する制度概要や手続きの流れ等をまとめた「産前産後・育児休業ハンドブック」の周知

 

<目標値>

・2030年度まで毎年100%以上を維持

 

Ⅳ. 男女間賃金差異に関する補足

・男女間賃金差異が生じている要因として、男女間に、「等級人数比率」、「職掌人数比率」、「勤続年数」、「労働時間(産育休を含む)」の差異があることを確認しております。

・総合職における同等級間の男女間賃金差異に上表までの差は見られず、一定の経験年数が必要となる管理職における女性比率を高めることで、改善につながるものと考えます。なお、管理職登用において、男女間に登用率の差はありません。

 

② 連結子会社

 

 

当事業年度

名称

(A)管理職に占める女性労働者の割合(%)*1

(B)男性労働者の育児休業取得率(%)*2

(C)労働者の男女の賃金の差異(%)*1

基準日、対象期間

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期雇用労働者

㈱サンシャインシティ

23.4

33.3

72.8

73.3

62.8

*3

東京ガレーヂ㈱

7.7

-(対象者なし)

77.8

76.3

85.9

*3

三菱地所・サイモン㈱

41.8

-(対象者なし)

89.0

82.7

304.3

*3

三菱地所ホテルズ&リゾーツ㈱

14.7

145.5

59.9

57.3

76.5

*3

三菱地所プロパティマネジメント㈱

15.5

92.5

77.1

76.4

78.8

*3

日本リージャス㈱

34.8

-(対象者なし)

50.0

48.7

110.6

*4

丸の内熱供給㈱

0.0

100.0

78.1

76.5

-(女性の非正規雇用労働者なし)

*3

三菱地所レジデンス㈱

13.8

81.3

70.2

67.7

76.9

*3

三菱地所ホーム㈱

13.3

60.0

68.8

76.4

60.7

*3

三菱地所コミュニティ㈱

6.3

55.6

60.2

60.9

78.3

*3

三菱地所ハウスネット㈱

25.7

36.4

76.2

79.2

78.1

*5

三菱地所投資顧問㈱

9.1

400.0

58.6

71.4

40.0

*3

㈱メック・デザイン・インターナショナル

40.0

66.7

72.2

77.6

54.8

*3

三菱地所リアルエステートサービス㈱

6.8

5.6

62.3

61.1

85.4

*5

㈱三菱地所設計

9.9

47.4

75.9

75.5

102.6

*3

三菱地所パークス㈱

15.9

80.0

83.2

87.0

84.9

*3

三菱地所ITソリューションズ㈱

16.9

70.0

81.1

82.2

83.9

*3

㈱メック・ヒューマンリソース

29.4

100.0

70.2

70.4

-(男性の非正規雇用労働者なし)

*3

(注) *1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

*2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。「2024年度(2024年4月から2025年3月)の間で配偶者が子を出産した男性社員の数(a)」に対する「同年度中に新たに育児休業をした男性社員数(b)」の割合(b/a)であります。(b)には、2023年度以前に子が生まれたものの、当該期間に取得せず、2024年度になって新たに取得した社員が含まれるため、取得率が100%を超えることがあります。

*3. (A)は、2025年4月1日時点のものであります。(B)及び(C)の対象期間は、2024年4月1日から2025年3月31日であります。

 

*4. (A)は、2025年3月1日時点のものであります。(B)及び(C)の対象期間は、2024年3月1日から2025年2月28日であります。

*5. (A)は、2025年3月31日時点のものであります。(B)及び(C)の対象期間は、2024年4月1日から2025年3月31日であります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、三菱グループの経営理念である「三菱三綱領」に基づき、基本使命において「住み・働き・憩う方々に満足いただける、地球環境にも配慮した魅力あふれるまちづくりを通じて、真に価値ある社会の実現に貢献します。」と謳っております。この基本使命に基づき、責任ある事業の推進により、次世代に向けて価値あるまちとサービスを提供し続けることで、三菱地所グループと社会、双方の持続可能性を実現することが、当社グループにとってのサステナビリティの考え方です。

「長期経営計画2030」では、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略の両輪を経営の根幹に据え、サステナブルな社会の実現に向け、事業活動を通じて時代が抱える社会課題の解決に取り組んでいくことを明確にし、推進してきました。

こうした中、2020年のスタートから4年が経過した長期経営計画のレビュー(「長期経営計画2030 Review」)を実施し、当社グループを取り巻く環境の変化を踏まえた戦略のアップデートを行いました。社会価値向上と株主価値向上、2つの戦略目標を両輪で達成するため、サステナビリティビジョン2050で示した当社グループの2050年にありたい姿のスローガン、「Be the Ecosystem Engineers」(※1)を両輪の経営の共通基本方針として再整理し、事業とサステナビリティの更なる一体化を進める姿勢を示しています。

 

また、当社グループを取り巻く自然環境と社会環境の変化、サステナビリティに関する企業への要請の一層の複雑化を踏まえ、マテリアリティ(重要課題)を分析し、当社グループと社会、双方の持続可能性確立のためのアクションとして4つの重要テーマを改定(※2)しました(図1)。

今回の改定において、当社グループのコア事業である、不動産に関わるハード・ソフト双方の事業推進そのものが社会価値向上に寄与することを明確化し、事業活動を通じた社会課題解決への真摯な取り組みを加速させ、当社グループの持続的成長と真に価値ある社会の実現を目指します。

 

※1 (参考/サステナビリティビジョン) https://mec.disclosure.site/j/sustainability/vision/

※2 (参考/三菱地所グループと社会の持続可能性4つの重要テーマ・改定のプロセス)

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/background/

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/process/

 

 

図1 長期経営計画2030 Reviewにおける両輪の経営のフレームワーク及び、

社会価値向上戦略におけるマテリアリティと「三菱地所グループと社会の持続可能性 4つの重要テーマ」

 

 

(1) ガバナンス

■サステナビリティ推進体制

当社グループでは、「三菱地所グループ サステナビリティ規程」において、気候変動を含むサステナビリティ推進活動に関する事項を定めております。本規程に基づき、三菱地所㈱執行役社長を委員長、サステナビリティ統括責任者(三菱地所㈱ サステナビリティ推進部担当役員)を副委員長とする「サステナビリティ委員会」(原則、年2回開催、以下委員会という)を設置し、当社グループのサステナビリティに関する重要事項の審議・報告を行っております。

委員会に先立ち「サステナビリティ協議会」(原則、年2回開催、以下協議会という)において協議・報告、事業グループ等におけるサステナビリティ推進活動に関する情報の集約を行っております。

委員会の審議事項は、内容の重要度等に鑑み、必要に応じて経営会議への付議がなされ、委員会での審議・報告事項については、取締役会に報告され、監督される体制となっております(図2)。

 

■サステナビリティ委員会開催実績・議題

当社ホームページにて詳細開示しています。以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/management/governance/

 

■重要テーマに対するモニタリング体制

長期経営計画2030における社会価値向上戦略として定めるサステナビリティ重要テーマの達成に向けて、事業・機能グループごとの年次計画に盛り込む運用としています。

目標の達成状況及び取組内容については、サステナビリティ推進事務局である三菱地所㈱ サステナビリティ推進部が取りまとめ、委員会・協議会においてそれを踏まえた報告・諮問を行います。また、委員会後の取締役会においては、サステナビリティ統括責任者である三菱地所㈱ サステナビリティ推進部担当役員から、同内容の報告がなされます。なお、年次計画上の達成状況は、役員報酬の定性評価目標の一つとして位置付けられています。

図2 三菱地所グループ サステナビリティ推進体制(2024年度時点)

 

(2) 戦略

①サステナビリティに関する戦略

サステナビリティ重要テーマの位置づけを、「当社グループと社会、双方の持続可能性確立のためのアクション」として、まち・サービス、地球環境、人の尊重、価値の創造に関わる4つの重要テーマを定め、リスク・機会を特定いたしました。

 

4つの重要テーマ

リスク

機会

まち・サービス

~次世代に誇るまちのハードとソフトの追求~

①ライフスタイルの変化による既存ビジネスモデルの座礁、保有資産の価値低下・顧客離れ

②コスト増による開発推進の遅滞

③災害時の復旧遅延、リスク対応能力の不足による信用棄損・顧客離れ

①長期継続的な商品・サービス品質の信頼とその波及による利益・事業機会の安定増

②大丸有(大手町・丸の内・有楽町)のエリアとしてのポテンシャル拡張による差別化の加速、収益機会の増加

③国内実績・ノウハウ活用による海外事業機会増

地球環境

~環境負荷低減に尽力し続ける~

①地球環境変化による当社事業環境の持続性の逸失

②環境対応に関する規制・ガイドライン適合によるコスト増

③顧客の環境対応要請への不適合による顧客離れ、利益機会の減少

①先進的環境対応による商品・サービスの差別化、新たな事業機会・顧客の獲得

②ノウハウを活かした大規模ビルリノベーション・住宅リノベーション等の既存ストック活用による事業機会の獲得

③積極的な情報開示による投資家エンゲージメントの深化と株式市場におけるプレゼンス向上

人の尊重

~人を想い、人に寄り添い、人を守る~

①人権・労働安全衛生対応の不足によるサプライチェーンの持続性・レピュテーションの棄損

②まち・サービスの多様性、少子高齢化社会への対応不足による需給のミスマッチ

③社内多様性への対応不足による人材の流出、社員エンゲージメント・競争力の低下

①業界を先駆けた人権取り組みによる中長期的な競争力の向上

②多様性に配慮したアセットタイプの開発・運営機会の創出

③ウェルネス施策推進によるまち・サービスへの付加価値付け、顧客獲得機会の向上

価値の創造

~新たな価値の創造と循環~

①まちづくり・サービスの凡庸化・既存事業アップデートの停滞による成長の鈍化、競争力の低下

②優良パートナーの不在による事業の多角化・グローバル化の停滞による成長の鈍化

①革新的な開発スキーム・サービス提供によるまちの多様化・差別化と競合優位性の獲得

②多様なパートナーシップによる、事業機会・領域の拡充と当社単体では成し得ない付加価値の提供

 

「三菱地所グループと社会の持続可能性 4つの重要テーマ」の詳細については、以下よりご覧ください。

まち・サービス https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/theme-1/

地球環境    https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/theme-2/

人の尊重    https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/theme-3/

価値の創造   https://mec.disclosure.site/j/sustainability/key-themes/theme-4/

 

[気候変動・自然資本への対応]

・TCFD提言に基づく情報開示

当社は、TCFDの提言内容に則り、2020年5月にフレームワーク(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った開示を行いました。開示内容の拡充を図るため、2023年5月には、これまでのパリ協定が求める水準である産業革命前からの気温上昇が2℃以下を含めた2つのシナリオ分析に加え、移行リスク(低炭素経済へ移行する過程で生じるリスク)を評価するCRREM(Carbon Risk Real Estate Monitor)を取り入れ、気候変動による当社グループ主要事業への将来的な影響分析を開始しました。今後も内容の深化を進めるとともに、気候変動に関するガバナンスや事業戦略の強化を目指します。

 

・CRREMを活用したリスク分析

CRREMの概要 :欧州の研究機関等が開発した商業用不動産の移行リスクを評価・分析するツールです。パリ協定が求める2℃、1.5℃目標に整合する2050年までの温室効果ガス排出量のパスウェイ(炭素削減の経路)と自社物件の排出経路を比較することで、物件の座礁資産化の時期や座礁割合、又は将来の排出にかかるコスト等を算定し、対応策やその効果を検討することができます。なお、座礁資産化とは、自社ポートフォリオの脱炭素経路が2℃、1.5℃のパスウェイを超過することによって、移行リスクのある物件であると評価されることを示します。

 

CRREMを活用した当社の移行リスク分析:将来の気候変動が当社事業へもたらす影響、特に保有する物件の移行リスクについて、CRREMの手法を活用し、定量的な評価を行いました。

[分析対象範囲]

当社の所有する物件のうち、2022年のGRESB(※)報告対象物件から、2021年度末時点で所有していたオフィス、商業、物流施設など合計84物件を対象に分析しました。

[ケースの設定]

ケース 1 :これまでの当社脱炭素の取り組みに加え、省エネ施策の強化(空調・LED等)や、生グリーン電力の導入といった取り組みを考慮したケース

ケース 2 :ケース1に非化石証書付き電力契約による再エネ導入も加え、2025年度までにすべての物件で再エネ由来電力への切り替えを想定したケース

[ケース分析結果]

設定した2つのケースと2℃、1.5℃目標の各パスウェイを比較したところ、以下の結果が得られました。

ケース 1 :省エネ施策強化や生グリーン電力の導入のほか、系統電力の排出係数の低下が寄与するものの、2037年頃には1.5℃パスウェイを上回る排出水準になる見込みです。そのため、本取り組みだけでは不十分である可能性があります。

ケース 2 :再エネ由来電力への切り替えに伴い、2025年度以降、電力由来の排出がなくなる一方、地域冷暖房、ガス由来のエネルギーの排出が一部残る見込みです。その結果、2047年頃に1.5℃パスウェイを超過する可能性があります。

[ケース分析を踏まえた戦略・取り組み(機会内容含む)]

本分析においては、2021年度末時点の物件を対象に、2050年までの間、物件の入れ替え等がない想定としていますが、実際には省エネ性能に優れた物件への建て替え、新規取得等により、温室効果ガス排出原単位の改善も見込まれます。当社が掲げる2025年度の再エネ導入率100%の達成に向け、これまで推進してきた非化石証書付き電力利用を一層進めるとともに、コーポレートPPAの導入等を検討します。また、今後当社が開発する新築建物においては原則ZEB水準の環境性能を目指すことにより、省エネ性能の優れたビルの比率を向上させ、温室効果ガス排出原単位の改善を図ります。

 

(※)GRESBは、欧州の年金基金のグループを中心に創設された不動産会社・不動産運用機関の環境・社会等への配慮の姿勢を測るベンチマークです。

TCFD提言に基づく情報開示に関する詳細情報は、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tcfd/

 

・TNFD提言に基づく情報開示

当社は、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言内容に則り、2025年3月にフレームワーク(ガバナンス、戦略、リスク・インパクト管理、測定指標・ターゲット)に沿った自然・生物多様性分野に関する情報の開示を行いました。

当社グループはサステナビリティ重要テーマのひとつに「環境負荷低減に尽力し続ける」を掲げ、それに関わるマテリアリティ(重要課題)のひとつとして、生物多様性を特定しています。TNFDの提言を踏まえ、事業活動の自然への依存・インパクトを評価しそれにより生じるリスク・機会を特定する取り組みを進め、他事業エリアを含めた内容の深化を進めるとともに、今後も自然と調和した事業戦略の強化を目指します。

[本開示の第一弾]

優先地域 :当社グループの事業の中核を担うエリアである大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアを特定し、分析・評価を行いました。

分析・評価:開発による緑化推進の可視化等の分析の結果、大丸有エリアの緑地面積割合が1975年比で概ね倍増しているなど、これまでのまちづくりが生態系や生物多様性にポジティブなインパクトをもたらしていることが示唆されました。また、このような豊かな緑の確保は、生物多様性だけでなく、ヒートアイランド現象の緩和、CO2吸収、雨水貯留による浸水リスク低減等に寄与するとともに、人と自然が調和したネイチャーポジティブなまちづくりによるエリアの価値やテナントからの評価向上、自然を活用したまちの賑わいの創出や新規事業の開発など、ビジネス上の機会獲得につながると考えています。

 

TNFD提言に基づく情報開示に関する詳細情報は、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/environment/tnfd/

 

 

②人的資本に関する戦略

当社グループの求める人財像である5つの要素を高めながら、「長期経営計画2030」の達成に向けて、高い専門性で新たな価値創造をする役割、協業による強みの掛け算で変革を起こす役割、並びに一人ひとりの強みを掛け合わせ、価値を最大化できる組織づくりの役割を発揮できる人財を育成していくことを、人財育成の方針として掲げております。

当社グループでは、社員は企業にとっての重要な経営資源であるとの認識のもと、「人材」ではなく「人財」という表現を用いております。

 

■5つの要素を高めていくこと

当社グループでは、求める人財像を下記5つの要素を備えた人物であると定義しております。

当社従業員は、ビジネスの状況や一人ひとりのキャリア志向に応じて多様な役割を担いますが、5つの要素は全従業員に普遍的に求めるものとしております。そのため、採用・育成に当たっては、この5つの要素を重視しております。

なお、5つの要素は当社グループ全従業員に対して求めるものであり、グループ各社の人財育成方針のベース・基盤としてあるものです。

 

5つの要素

定義

求める力

「志」ある人

成し遂げたい姿や状態を描き、それを実現していく強い意志と行動力を備えた人

ビジョン構築・浸透力、覚悟・胆力

「現場力・仕事力」のある人

自身の担当領域や不動産全般の「プロ」として知識・スキルを研鑽し、業務を推進できる力を持つ人

目利き力、顧客志向、仕事推進力、生産性、リスク対応力、知識・スキル

「誠実・公正」である人

高い倫理観を持ち、誠実かつ公正に行動し、周囲と良好な関係を築く姿勢を持つ人

オープンマインド、倫理観

「組織」で戦える人

組織としての競争力を高めるために人財育成やマネジメントを行う力のある人

育成力、チームワーク、マネジメント力

「変革」を起こす人

前例や慣例にとらわれず、失敗を恐れずにチャレンジ精神を持って行動する姿勢を持つ人

チャレンジ志向・イノベーション

 

■長期経営計画2030の達成のために人財に求める3つの役割と育成に向けた取り組み

(ア)Professional 高い専門性によって新たな価値を創造していくこと

「長期経営計画2030」の達成に向けては、国内の大型開発の着実な推進に加え、海外事業の強化やノンアセットビジネスの拡大を推進し、各領域における高い専門性を持った人財が新しい価値の創造に向けて事業をドライブしていくことが必要だと考えております。各領域の専門人財の採用強化に加え、社員一人ひとりが必要な専門性を獲得・深化できる施策を整備しています。

 

(イ)Change Maker 協業による強みの掛け算で変革を起こしていくこと

当社グループのまちづくりにおける社内外の膨大なネットワークは大きな強みです。これらの社内外のネットワークを活用することで「新しい視点からの課題の発見」や「協業による強みの掛け算」を生み出し、慣例にとらわれずチャレンジ精神を持って行動する役割が求められます。当社ではこの役割をサポートする研修の整備や、挑戦する風土の醸成に努めております。

 

(ウ)As One Team 一人ひとりの強みを掛け合わせ、価値を最大化できる組織づくりをしていくこと

人財・働き方の多様性の配慮及びエクイティに加え、それぞれの価値観・意見を自由に表明できる環境を整える「オピニオンダイバーシティ」を推進しています。採用における多様性の確保、この役割をサポートする研修の整備にも継続的に取り組んでいます。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、「三菱地所グループリスクマネジメント規程」を制定し、すべての事業活動を対象にリスクマネジメント体制を整備、運用しております。当社グループのリスクマネジメントを統括する機関として、三菱地所㈱執行役社長を委員長、各事業グループ及びコーポレートスタッフの担当役員等をメンバーとする「リスク・コンプライアンス委員会」を、またリスクマネジメントに関する情報の集約など、実務的な合議体として「リスク・コンプライアンス協議会」をそれぞれ位置付けるほか、取締役会の決議により任命されたリスクマネジメント担当役員を統括責任者として、ラインスタッフ部署、コーポレートスタッフ部署、DX推進部並びにグループ各社に責任者を置き、それを推進事務局である法務・コンプライアンス部が支援する形でリスクマネジメント活動を推進しております。また、緊急事態発生時の行動指針や連絡・初動体制、事業継続計画等についても整備、運用しております。

 

毎年実施するリスク分析において、気候変動関連リスクを含む事業活動全般に関するリスクについて評価・分析し、その分析結果を踏まえ、前述の「リスク・コンプライアンス委員会」において、事業活動全般への影響度を踏まえた三菱地所グループとしての重点リスクを審議し、その対策をモニタリングしております。

 

また、以下2つの活動を柱に、リスクマネジメントを推進しております。

①個別重点リスクマネジメント活動(=各事業、機能グループ・グループ各社における個別リスクマネジメント活動の推進)

各事業、機能グループ・グループ各社において、リスク分析の上、重点的なリスク(個別重点リスク)を選定し、対応する活動を毎年実施しております。ラインスタッフ部署はそれぞれの事業グループが所管するグループ各社のリスクマネジメントの推進状況を把握し、連携・支援を実施しております。

 

②重点対策リスクマネジメント活動(=当社グループとして特に注力すべき重点対策リスクの抽出とモニタリング)

当社グループ全体のリスクを的確に把握し、重点的に対策を講じる必要があるリスクを抽出・マッピングすることで注力すべきリスクとそのプライオリティを可視化しております。また、年間を通じて特に重要なリスク(重点対策リスク)を中心にモニタリングするとともに、必要に応じて支援を実施しております。

 

 

(4) 指標及び目標

①サステナビリティに関する指標及び目標

当社グループは、重点的に取り組むべき4つの重要テーマとして、まち・サービス、地球環境、人の尊重、価値の創造を新たに定めております。2025年度には、長期経営計画の達成に向けた取り組みを加速させるため、組織別・機能別の目標やアクションプランの更なる具体化・深化を図っていく予定です。

 

指標

目標/目指す世界

対応する主な取り組み事例

まち・サービス

~次世代に誇るまちのハードとソフトの追求~

世代を超えて愛され、有機的に発展する「選ばれるまち」へ

・現在開発中の「TOKYO TORCH」を含む大手町連鎖型都市再生プロジェクトにおいては、25年にわたって都市機能の刷新と価値向上を推進

・「グラングリーン大阪」では、JR大阪駅前に約45,000㎡の都市公園やイノベーション拠点を整備するなど、多様な出会いと価値創造を促すまちづくりを推進

・各事業領域において、防災・減災に向けた体制構築や、 ハード・ソフト両面における防災まちづくりを推進

地球環境

~環境負荷低減に尽力し続ける~

持続可能なまちと地球環境の実現

・SBTiの「ネットゼロ新基準(The Net-Zero Standard)」に沿った、目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを実施

・RE100に加盟の上、取り組みを推進し、2025年度にグループ全体でRE100達成予定

・国内外の都市において、ストックの有効活用を推進するリノベーション事業を拡大

人の尊重

~人を想い、人に寄り添い、人を守る~

多様な人々が幸せに働き、暮らせる社会へ

・サプライヤー行動規範を策定し、サプライヤーの遵守状況を確認するため、ヒアリングシート調査や施工及び清掃現場での就業者宛ヒアリング等を実施

・多様な生活スタイルや就業スタイルに対応した施設の開発やサービスの提供

・まちづくりを通じたDE&I推進を加速するため、国内不動産会社として初めて「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」に賛同し、ステートメントに署名。ジェンダー平等を経営方針に明確に位置付け

 

 

 

指標

目標/目指す世界

対応する主な取り組み事例

価値の創造

~新たな価値の創造と循環~

時代の変化を先取りし、豊かさや便利さを育む

・2000年のベンチャー支援組織立ち上げから、丸の内エリアを中心としたスタートアップ支援、インキュベーション拠点や産官民学連携によるインキュベーションエコシステム構築により、社会に向けた新たな価値の創出

・日本初のREIT上場を起点に、金融×不動産で新たな投資機会を創出。日米欧亜拠点による投資マネジメント事業プラットフォーム「MEGP」によりグローバルに持続可能な不動産資産を地域社会に提供

 

②気候変動等に関する指標及び目標

 

項目

目標

実績値(*2)

気候変動

(*1)

CO2等の温室効果ガス排出量(2022年6月「SBTi」よりSBTネットゼロ認定取得)

2019年度総排出量に対して、

・2030年度までに、Scope1+2を70%以上、Scope3を50%以上削減

・2050年までに「ネットゼロ」達成(Scope1,2,3いずれも90%以上削減。残余排出量は中和化(*3))

総排出量:

( )内は基準年比増減率

 

2,277,376 t-CO2(▲43.6%)

うちScope1+2:

224,239 t-CO2(▲52.9%)

うちScope3:

2,053,137 t-CO2(▲42.4%)

再生可能エネルギー由来の電力比率

2025年度までにグループ全体で100%達成を目指す

55.4%

廃棄物

(*1)

m²当たりの廃棄物排出量

2030年までに2019年度比20%削減

(2019年度実績:7.1kg/m²)

6.4kg/m²

廃棄物再利用率

2030年までに90%

59.5%

木材調達

国産材を含む違法伐採リスクが低い国で生産される木材のみを調達

(*4)

2030年度までに100%達成

99.98%

(注)*1. 支配力基準に基づき、対象組織を選定しております。三菱地所グループの所有権及び信託受益権が50%以下の物件は、原則データ算定対象外です。2024年6月27日時点の2023年度実績値です。

*2. 2024年度実績は第三者保証取得後、以下に掲載を予定しております。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/environment/

*3. 2050年段階で三菱地所グループのバリューチェーン内で削減できない排出量を「残余排出量」といい、バリューチェーンの外で森林由来吸収や炭素除去技術等を活用して「中和(Neutralization)」することで、ネットゼロとするのがSBT基準に基づく考え方です。

*4. 三菱地所グループが自らのバリューチェーンで実施する木材調達を対象としております。

 

各KPIの実績については、以下よりご覧ください。

環境データ https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/environment/

社会データ https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/social/

 

③人的資本に関する指標及び目標

当社グループでは、人財・働き方の多様性に配慮することや人権を尊重することは、経営や事業を行う上で重要な課題であるとの認識から、「三菱地所グループ行動指針」において、「人権・ダイバーシティの尊重」「一人ひとりの活躍」を掲げ、その着実な実践に向け、取り組みを推進しております。

当社グループでは、多様性確保のため、国籍、性別、年齢、新卒・キャリア採用等に偏りのない従業員構成を目指し、その多様な価値観・意見を心理的安全性のもとに自由に表明できる環境を整える「オピニオンダイバーシティ」を推進しております。多様性の一つの指標として、性別(ジェンダー)に関する指標及び目標を設定しております。

 

当社の当該指標に関する目標及び実績は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ① 提出会社」に記載のとおりであります。

 

当該指標に関する目標及び実績についての詳細情報は、以下よりご覧ください。

https://mec.disclosure.site/j/sustainability/activities/esg-data/social/