2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 4,046 100.0 1,072 100.0 26.5

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社の事業は、不動産フランチャイズ事業の単一セグメントにより構成されております。

当社は、不動産仲介業のフランチャイズ システム(センチュリー21)を日本において展開しているフランチャイザーであります。事業内容は、米国デラウェア州法人センチュリー21・リアルエステートLLC(国際本部)が開発した「センチュリー21マーク等」及び「センチュリー21システム」をフランチャイジー(加盟店)に提供することであり、その対価として、加盟金、更新料、サービスフィーを受け取っております。具体的には、フランチャイザーとして、店舗ネットワークの拡充(下記①)と業務支援サービス(下記②~⑥)を行っております。

①フランチャイズ加盟店の募集

②フランチャイズ加盟店の経営者、管理者並びに営業スタッフに対する教育・研修

③各種情報システムの提供

④マスメディア並びにウェブによる共同広告の実施

⑤加盟店及び加盟店の顧客に対する金融・保険サービスの斡旋

⑥加盟店をバックアップするための各種サービス業務の実施

(1) 事業の系統図

 


 

 ※ 2025年3月期末店舗数 960店

 

 

 

(2) センチュリー21フランチャイズ広告基金組合は当社と全加盟店の共同拠出により設立された広告基金を管理・運営する団体であります。

同基金に対する拠出金は当社が加盟店から受領するサービスフィー収入の10%相当額(当該拠出金は当社の損益計算書上、発生主義に基づき営業原価に計上しております。)及び加盟店からの月額12万円(加盟時に一時金36万円、4か月目から毎月12万円)であり、2025年3月期の総額は現金ベースで1,494百万円(当社386百万円、加盟店1,107百万円)となっております。同基金組合は“センチュリー21”の一般的知名度向上を目的に全加盟店の共同の利益のためにのみ実施される広告・広報活動等に使用され、原則繰越金(余剰金)が発生しないよう当年度中に費消する方針で運営されております。なお、当社は善管注意義務のある管理者として、拠出金を徴収し、広告・広報活動等だけに同基金を使用する義務を負っており、その使用明細を示した現金収支計算書を国際本部及び全加盟店向けに毎期報告しております。

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月25日)現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態の状況

当事業年度末における流動資産の残高は6,485百万円で、前事業年度末に比べ654百万円増加しております。有価証券の増加が主な要因であります。

当事業年度末における固定資産の残高は1,437百万円で、前事業年度末に比べ372百万円減少しております。ソフトウエアや長期貸付金の減少が主な要因であります。

当事業年度末における流動負債の残高は1,149百万円で、前事業年度末に比べ40百万円増加しております。未払法人税等の増加が主な要因であります。

当事業年度末における固定負債の残高は161百万円で、前事業年度末に比べ13百万円減少しております。退職給付引当金の減少が主な要因であります。

当事業年度末における純資産の残高は6,611百万円で、前事業年度末に比べ254百万円増加しております。繰越利益剰余金の増加が主な要因であります。

 

(2) 経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、日銀が2013年以来物価安定目標に掲げて来た2%のインフレ率が実現する状況となりました。この中で、大企業を中心に賃金上昇の波が広がる一方、食料品を始めとする生活物価全般の上昇が与える消費マインドの減衰も見られました。また、当年度後半に誕生した米国新政権が打ち出す保護主義的通商政策の今後の動向、中国経済の停滞、欧州および中東地域の長引く紛争など、国際経済の不確実性は増大しています。

不動産流通業界におきましては、住宅ローン金利が徐々に上昇しているものの、居住用物件の購入需要は底堅く、特に都市部を中心に国内外の富裕層による高額物件の取引が増加しました。また、国土交通省による2025年地価公示においては全用途平均が前年より2.7%上昇し、住宅地、商業地共に4年連続で上昇しています。しかしながら、建築資材・設備機器価格の高騰と人手不足による建築工事費上昇並びに金利上昇等、今後の市場の先行きは不透明な状況にあります。

このような事業環境の下、フランチャイズ事業の基盤強化とブランド競争力の向上を図るために、引き続き加盟店数の増加と退会の抑止ならびに加盟店の業績向上に資する施策に取り組んでまいりました。

当期の加盟店獲得につきましては期初目標を下回る結果となりましたが、引き続き新規加盟店獲得を推進するために、オウンドメディアと電話営業を用いた集客の強化を図りました。また、当期は複数店舗を展開する一部大型加盟店の退会もありましたが、加盟店業績向上を目的に「センチュリー21経営塾」を開講し、その中で人材の採用・育成・定着に係るノウハウを習得するための「人事の学校」と、財務戦略を習得するための「お金の学校」をスタートしました。業務効率化の観点からは、物件調査および役所調査データを契約書システムに自動転送する仕組みや、フランチャイズ内に蓄積された文書データをAI処理することで、契約書面を自動生成する仕組みを導入しました。

サステナビリティへの取組みとしては、「地域社会と繋がる」、「次世代に繋ぐ」をテーマに、加盟店による地域の生活環境整備や、社会資本である空き家の再利用等、また青少年の情操教育に貢献するための「小学生絵画コンテスト」の主催、小中学生のお仕事体験施設「キッザニア」への出店等を実施しました。引き続き持続可能な社会の実現に向け、加盟店と協働して当フランチャイズ独自のサステナビリティ施策を推進してまいります。

 

このような状況のもとで、当社の営業収益は、サービスフィー収入が3,513百万円(前年同期比6.1%増)、ITサービス収入が324百万円(同3.6%増)、加盟金収入が140百万円(同10.8%減)、その他が67百万円(同0.1%減)となり、全体としては4,045百万円(同5.1%増)となりました。また、営業原価は、958百万円(前年同期比0.7%増)となりました。販売費及び一般管理費は、PC入替に伴うIT関連費用や調査研究費、減価償却費等が増加したことにより、全体としては2,015百万円(前年同期比2.7%増)となりました。その結果、営業利益は1,071百万円(前年同期比14.5%増)、経常利益は1,178百万円(同19.4%増)、当期純利益は802百万円(同18.9%増)となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)における加盟店数の地域別並びに営業収益の収入別・地域別内訳を示すと、以下のとおりであります。

(単位:店)

 

首都圏

関西圏

中部圏

九州圏

北海道

合計

新規加盟店数

9

15

8

9

2

43

退店(解約)数

44

19

9

3

2

77

事業年度末

加盟店数

410

321

99

93

37

960

前年同期比(%)

92.1

98.8

100.0

105.7

100.0

96.6

 

 

(単位:千円)

 

首都圏

関西圏

中部圏

九州圏

北海道

合計

サービスフィー収入

1,920,835

1,068,565

248,648

199,521

76,353

3,513,923

前年同期比(%)

104.4

107.4

101.6

114.4

130.1

106.1

ITサービス収入

324,443

324,443

前年同期比(%)

103.6

103.6

加盟金収入

59,560

47,524

17,421

10,008

5,512

140,027

前年同期比(%)

79.2

97.8

96.8

106.3

94.9

89.2

その他

67,254

67,254

前年同期比(%)

99.9

99.9

営業収益合計

2,372,093

1,116,089

266,069

209,530

81,865

4,045,647

前年同期比(%)

103.3

106.9

101.3

114.0

126.9

105.1

 

 

(注)上記サービスフィー収入に対する全加盟店の同期間地区別総取扱高、総取扱件数並びに総受取手数料は、

   以下のとおりであります。

(単位:千円/件)

 

首都圏

関西圏

中部圏

九州圏

北海道

合計

総取扱高

453,097,893

279,851,578

67,967,074

46,125,699

19,880,174

866,922,420

総取扱件数

361,708

57,154

14,704

16,901

5,702

456,169

総受取手数料

31,676,916

17,983,944

4,012,995

3,146,476

1,215,960

58,036,294

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ1,376百万円減少(64.4%減)し、当事業年度末には761百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、1,038百万円(前事業年度は867百万円の収入)となりました。これは主として税引前当期純利益1,178百万円の計上によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動の結果使用した資金は、1,952百万円(前事業年度は30百万円の収入)となりました。これは主として有価証券の取得によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動の結果使用した資金は、462百万円(前事業年度は660百万円の使用)となりました。これは主として配当金の支払いによるものであります。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性について、運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、営業支援システムの開発費用であります。また、財務活動による資金需要のうち主なものは、配当金の支払いであります。

なお、運転資金につきましてはすべて自己資金により賄っております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、経営者による会計上の見積りを行っております。これらの見積りは、当社における過去の実績や将来計画を考慮し、合理的と認められる事項に基づき判断しておりますが、将来の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 

 

第41期

第42期

対前期比増減

 

加盟店舗数

994店

960店

△34店

 

営業収益経常利益率

25.6%

29.1%

 3.5%

 

自己資本利益率

10.6%

12.4%

 1.8%

 

 

フランチャイズビジネスは、規模の拡大と効率経営が重要であるとの認識のもと、加盟店舗数、営業収益経常利益率、自己資本利益率を重要な経営指標ととらえており、当期の経営指標は、加盟店舗数が960店、営業収益経常利益率29.1%、自己資本利益率12.4%となりました。

加盟店舗数につきましては、期初目標を下回る結果となりましたが、引き続き新規加盟店獲得を推進するために、オウンドメディアと電話営業を用いた集客の強化を図りました。その結果、当期中の新規加盟は43店舗となりました。一方、当期は複数店舗を展開する一部大型加盟店の退会もあり、退会は77店舗となり、前期より6店舗退会が増加しております。結果34店舗の純減となりました。

収益の柱であるサービスフィー収入は前期比6.1%の大幅増加となり、またITサービス収入は査定サービスやポータルサイトの利用増加等により前期比3.6%の増加となりました。その結果、営業収益全体は前期比5.1%増加となりました。また、販売費及び一般管理費は、PC入替に伴うIT関連費用や調査研究費、減価償却費等が増加したことにより、前期比2.7%増となりました。その他、関西支店移転に伴う受取補償金などの一過性収益も寄与したこともあり、営業収益経常利益率は29.1%と前期比3.5%の増加となりました。また、当期純利益が前期比18.9%増加の802百万円と増益となり、自己資本利益率が12.4%と前期比1.8%の増加となりました。

今後につきましても、加盟店舗数の更なる拡大と加盟店へのサービスの質の更なる向上により、営業収益の拡大を図るとともに、企業の持続的成長につなげるため、上記経営指標の一層の向上を目指します。