2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    21,665名(単体) 45,450名(連結)
  • 平均年齢
    37.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    13.5年(単体)
  • 平均年収
    6,841,776円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

(2025年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数

 

モビリティ業

34,297

(5,724)

流通業

2,567

(3,202)

不動産業

3,192

(537)

旅行・地域ソリューション業

2,154

(165)

その他

3,240

(610)

合計

45,450

(10,238)

(注) 従業員数は就業人員数であり、括弧書は外数で臨時従業員の年間平均雇用人員数であります。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

 

(2025年3月31日現在)

従業員数

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与

21,665

(3,895)

37.3

13.5

6,841,776

 

セグメントの名称

従業員数

 

モビリティ業

21,575

(3,888)

流通業

2

(1)

不動産業

60

(4)

旅行・地域ソリューション業

(-)

その他

28

(2)

合計

21,665

(3,895)

(注)1 従業員数は就業人員数であり、括弧書は外数で臨時従業員の年間平均雇用人員数であります。

2 平均年齢、平均勤続年数及び平均年間給与は、従業員数から受入出向者数(355名)を除いたものについての数値であります。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

① 労働組合の現況

 当社には、現在以下の組合があります。

(2025年4月1日現在)

 

労働組合名

組合員数

上部団体

西日本旅客鉄道労働組合

(JR西労組)

日本鉄道労働組合連合会

21,510

(24,941)

国鉄労働組合西日本本部

(国労西日本)

26

(450)

国鉄労働組合

ジェーアール西日本労働組合

(JR西労)

14

(372)

全日本鉄道労働組合総連合会

全日本建設交運一般労働組合西日本鉄道本部

(建交労西日本鉄道本部)

(15)

全日本建設交運一般労働組合

国鉄西日本動力車労働組合

(動労西日本)

(1)

国鉄動力車労働組合総連合会

(注)1 労動組合名の括弧書は、労働組合名の略称であります。

2 組合員数は臨時従業員等を含んでおらず、括弧書は臨時従業員等を含んだ総数であります。

 

 西日本旅客鉄道労働組合、国鉄労働組合西日本本部、ジェーアール西日本労働組合及び全日本建設交運一般労働組合西日本鉄道本部との間において、労働協約を締結しており、この労働協約に基づき、経営協議会、団体交渉等を行っております。

 経営協議会は、安全性向上や決算、事業方針等をテーマに原則として四半期毎に開催することとしており、必要に応じて臨時で開催しております。また、社員の働き方や処遇、福利厚生等に関しては、適宜団体交渉等により、協議を行っております。

 当社の労使関係の理念は「労働協約」に集約されており、その基本とするところは、「会社・組合双方が信義誠実の原則に従い健全な労使関係を確立し、基幹事業である鉄道の安全を基盤として企業の健全な発展と社会的使命の達成を図るとともに、社員たる組合員とその家族の幸福を増進する」ことにあります。このような観点から、労使が十分意思疎通を図り、労使相互信頼のもと、健全かつ安定した労使関係の構築をめざして努力しております。

 なお、子会社の労働組合の状況については、特記すべき事項はありません。

 

② 労働組合等と係争中の労働事件について

 2025年5月1日現在、当社と労働組合等との間で係争中の労働事件は、係属中のものが2件あります。1件は、国鉄西日本動力車労働組合が労働委員会に不当労働行為等の救済申立をしている事件、もう1件は、ジェーアール西日本労働組合に所属する組合員が裁判所に地位確認等を請求している事件であります。

 

 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

  ① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1)

全労働者

正社員

パート・有期社員

3.9

72.0

81.8

79.9

60.8

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

  ② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注2)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注3)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注2)

全労働者

正社員

パート・ 

有期社員

算定方法

全労働者

正社員

パート・

有期社員

JRバス中国㈱

0.0

66.6

66.6

(注4)

68.9

73.8

41.3

西日本ジェイアールバス㈱

4.2

80.0

80.0

(注4)

76.2

75.8

48.2

JR西日本レンタカー&リース㈱

36.4

(注6)

113.6

87.8

94.8

㈱JR西日本テクノス

(注6)

64.0

64.0

(注4)

80.0

82.5

79.2

㈱JR西日本新幹線テクノス

(注6)

42.8

42.8

(注4)

74.7

88.1

79.2

㈱JR西日本テクシア

(注6)

37.5

37.5

(注4)

68.3

71.7

64.6

西日本電気テック㈱(注7)

1.5

65.7

65.7

(注4)

52.2

74.3

36.5

JR西日本電気システム㈱

(注6)

44.0

44.0

(注4)

54.9

64.3

69.6

㈱てつでん

0.0

100.0

100.0

(注4)

(注6)

㈱JR西日本メンテック

(注6)

90.9

90.9

(注4)

66.4

83.1

82.0

㈱JR西日本中国メンテック

(注6)

57.1

50.0

100.0

(注4)

73.6

85.6

79.8

㈱JR西日本金沢メンテック

(注6)

100.0

100.0

(注4)

89.9

87.6

71.6

大鉄工業㈱

(注6)

71.4

71.4

(注5)

57.4

61.7

54.4

㈱レールテック

1.4

55.5

55.5

(注4)

61.4

62.4

54.0

㈱ジェイアール西日本ビルト

2.3

100.0

100.0

(注4)

68.0

64.3

105.8

㈱JR西日本カスタマーリレーションズ

33.3

100.0

100.0

(注4)

73.9

82.7

94.9

㈱JR西日本交通サービス

7.7

78.5

78.5

(注4)

99.7

98.4

87.1

㈱JR西日本中国交通サービス

0.0

85.7

85.7

(注4)

92.4

94.1

67.7

㈱ジェイアール西日本伊勢丹

16.7

 

59.2

57.5

121.6

㈱ジェイアール西日本デイリーサービスネット

11.9

14.2

0.0

(注4)

92.5

86.5

116.6

㈱ジェイアール西日本フードサービスネット

26.1

100.0

100.0

100.0

(注4)

77.1

75.2

91.4

㈱ジェイアールサービスネット広島

20.0

50.0

50.0

(注4)

68.9

74.9

97.3

㈱ジェイアールサービスネット岡山

0.0

 

99.7

94.3

115.2

㈱ジェイアールサービスネット金沢

0.0

 

97.3

90.2

141.9

㈱ジェイアールサービスネット福岡

33.3

 

81.5

84.1

94.1

㈱ジェイアール西日本ファッショングッズ

40.0

100.0

100.0

(注4)

84.5

74.6

139.1

ジェイアール西日本商事㈱

22.2

100.0

100.0

(注4)

(注6)

JR西日本不動産開発㈱

(注6)

100.0

100.0

(注4)

69.8

76.6

50.2

JR西日本プロパティーズ㈱

(注6)

100.0

100.0

(注4)

74.3

74.1

63.5

 

 

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注2)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注3)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注2)

全労働者

正社員

パート・ 

有期社員

算定方法

全労働者

正社員

パート・

有期社員

JR西日本SC開発㈱

(注6)

(注6)

(注6)

JR西日本山陰開発㈱

0.0

 

80.1

82.9

127.3

㈱ジェイアール西日本ホテル開発

15.1

50.0

50.0

(注4)

65.9

79.5

106.8

㈱ホテルグランヴィア広島

(注6)

11.1

11.1

(注4)

50.4

75.4

77.5

㈱ホテルグランヴィア大阪

13.4

 

63.3

71.5

55.8

㈱ホテルグランヴィア岡山

13.3

100.0

100.0

(注4)

93.3

84.7

106.9

和歌山ターミナルビル㈱

15.0

(注6)

(注6)

㈱奈良ホテル

(注6)

(注6)

(注6)

㈱日本旅行

20.1

26.6

23.0

0.0

(注4)

72.1

72.4

72.0

㈱JR西日本コミュニケーションズ

16.7

57.1

66.6

0.0

(注4)

72.9

71.3

64.7

ジェイアール西日本コンサルタンツ㈱

(注6)

50.0

50.0

(注4)

74.2

70.3

54.0

㈱JR西日本ITソリューションズ

11.7

70.0

70.0

(注4)

79.0

79.1

54.8

㈱ジェイアール西日本総合ビルサービス

0.0

52.9

52.9

(注4)

84.3

81.8

65.2

㈱ジェイアール西日本マルニックス

0.0

25.0

33.3

0.0

(注4)

64.0

73.9

68.7

JR西日本フィナンシャルマネジメント㈱

31.3

100.0

100.0

(注4)

80.3

82.8

33.3

㈱ジェイアール西日本ウェルネット

20.0

100.0

100.0

(注4)

94.8

83.5

77.4

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)又は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)に基づく公表の有無にかかわらず、常時雇用する労働者数が101名以上の連結子会社を掲載しております。

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

3 男性労働者の育児休業取得率は、取得の対象となる労働者(算定対象期間中に配偶者が出産した労働者)が存在しない場合、「-」としております。

4 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

5 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

6 上記準拠法の規定による公表の対象ではないため、記載を省略しております。

7 西日本電気テック㈱は、2025年4月1日にJR西日本電気テック㈱に商号変更しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、本項目に記載しているほか、「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、広域でインフラサービスをはじめとした様々な事業を広域で営んでおり、多くのお客様や地域の方々とのつながりを持っております。未来社会を見据えた当社グループの存在意義である「私たちの志」のもと、こうしたつながりを進化させ、事業活動を通じて社会的価値と経済的価値を創出することで、持続可能な社会づくりと企業グループの持続的な発展につなげ、SDGsの達成にも貢献していきます。

 当社グループは、サステナビリティに係るリスクや機会、取り組み等を審議するための体制として、「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は、代表取締役社長を委員長として、本社部門を所管する業務執行取締役や、サステナビリティの取り組み推進及び情報開示を所管する関係部門の長等で構成し、原則年2回開催しております。その審議内容は取締役会に付議・報告を行っており、社外取締役を含む取締役会において議論を重ねることにより、取り組みの透明性を高めております。さらに、同委員会は「私たちの志」の実践と「長期ビジョン」の実現についての取り組みの状況や課題について、社外からの評価や目標への到達度等も踏まえて俯瞰的に総合評価し、具体的なPDCAを推進する主体部署等に必要なフィードバックを行うこととしております。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

 当社グループは、社会課題のうち社会的価値(社会への影響度)と経済的価値(当社への影響度)が共に高い課題を抽出し、重点的に向き合う4つの課題設定(=長期ビジョン)と、その実現を支える基盤としての「地球環境」、「価値創造の源泉であるひとづくり」の課題とあわせて、6つのマテリアリティを設定しました。

 そのうち、基盤である「地球環境」に係る「気候変動及び自然」、並びに「価値創造の源泉であるひとづくり」に係る「人的資本」の2つを重要なサステナビリティ項目としており、それらに関する考え方や取り組みは次に記載のとおりであります。

 なお、サステナビリティ全般に係る取り組みの詳細は、「JR西日本グループ統合レポート2024」(以下、「JR西日本グループ統合レポート」)及び当社ホームページ等で開示しております。
 ・「JR西日本グループ統合レポート」
  (参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/csr_report/
 ・当社ホームページ(サステナビリティ)
  (参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/

 

① 気候変動及び自然

 当社グループは、地球環境保護を重要な経営課題と認識しており、「地球温暖化防止・気候変動対策」、「循環型社会構築への貢献」、「自然との共生(生物多様性、水資源の保護等)」の3つを取り組みの柱とする「JR西日本グループ環境基本方針」を定め、長期的な観点で検討を深め、取り組みを進めております。

参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/env/

 地球環境の保護は将来にわたっての事業継続のための重要な経営課題であることから、気候変動や自然関連のさまざまなリスクと機会の把握に努めるとともに、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」及び「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の提言に賛同し、気候変動や自然関連のリスクと機会並びにその分析について、適切な情報開示を進めていきます。

 なお、気候変動に関するリスクと機会並びにその分析については、当社グループの事業のうち、主要な事業部門を構成する、鉄道、物販・飲食、ホテル、ショッピングセンター及び不動産の各事業を対象としております。自然関連のリスクと機会並びにその分析については、事業拠点の規模や自然資本との接点の大きさの観点で絞り込みを行い、鉄道事業における総合車両所を対象としております。

 

ア.ガバナンス

 当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献し、長期にわたり持続的に発展していくため、地球環境保全の取り組みを推進しております。その推進体制として、代表取締役社長を委員長とし、本社部門を所管する業務執行取締役や主な部門長で構成する「地球環境委員会」を設置し、原則年2回以上、地球環境保護のグループとしての基本方針や環境に係る中長期の計画及び目標設定についての審議のほか、計画や目標に向けた具体的な取り組みの進捗状況の監視をしております。

 なお、地球環境委員会の審議事項は、必要に応じてサステナビリティ委員会やグループ経営会議、取締役会に付議・報告しております。

<地球環境委員会の構成員及び体制図>

 委員長:代表取締役社長

 副委員長:代表取締役副社長

 委 員:本社部門の執行役員を兼ねる取締役、経営計画、設備投資、財務、ガバナンス、

    サステナビリティ、地球環境、BCP、情報開示を所管する部門の長及び各カンパニー長

 

(注)取締役会に付議した案件の例:環境長期目標の策定、気候変動関連のリスクと機会の分析、TCFD提言及びTNFD提言に基づく情報開示の内容等

 

イ.戦略

〇気候変動関連

 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示すシナリオに照らした気候変動の影響や社会経済シナリオに基づき、気候変動に関連する事業へのリスクと機会を分析しました。

 我が国におけるカーボンプライシング導入による費用負担の増加、また台風・洪水の発生頻度増加による被害の増加といったリスクを認識しております。一方、鉄道の環境優位性が評価され、MaaS普及等による利便性向上も通じてご利用増加の機会を得ることも分かりました。

 具体的な分析内容は「JR西日本グループ統合レポート」69~72ページに記載のとおりであります。(分析は社会が気候変動に積極的な緩和策を実施し気温上昇が抑制されるケースを1.5℃シナリオ(RCP1.9)(注)及び2℃シナリオ(RCP2.6)として、一方、緩和策が不十分で気温上昇が抑制されないケースを4℃シナリオ(RCP8.5)として行いました。なお、定性的な分析内容は社会が気候変動に積極的な対応を実施する1.5℃シナリオ(RCP1.9)・2℃シナリオ(RCP2.6)に基づいております。)

(参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/env/pdf/report_tcfdtnfd.pdf

 当社グループは、環境長期目標「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」を策定し、その目標として、グループ全体のCO2排出量(スコープ1及びスコープ2排出量(連結))を2050年に「実質ゼロ」、その達成に向けた中間目標として、2025年度に35%削減、2030年度に50%削減(いずれも2013年度比)することを掲げております。また、サプライチェーン上の排出量となるスコープ3排出量についても、より正確な把握と削減の取り組みを推進していきます。

 目標達成に向け、「長期ビジョン」及び「中期経営計画2025」における地球環境保護の取り組みとして、省エネルギー型鉄道車両の導入等による省エネルギーのさらなる推進、再生可能エネルギー由来電力の導入や次世代バイオディーゼル燃料の実装等再生可能エネルギーの活用の推進に取り組みます。併せて、MaaS等を通じた鉄道・公共交通の利便性向上や都市圏・都市間輸送における鉄道の環境優位性の訴求強化を通じて旅客輸送のモーダルシフトを推進するなど、地域・社会と連携し、社会全体の脱炭素化に取り組んでいきます。

(参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/env/warming/

(注)RCP(Representative Concentration Pathways)…代表濃度経路シナリオ

 

〇自然関連

 当社グループの収益の約6割を占めるモビリティ業、その中でも大部分を占める鉄道事業に関して、自然関連課題評価のための統合的なアプローチとしてTNFDが提唱するLEAP(Locate:発見、Evaluate:診断、Assess:評価、Prepare:準備)アプローチに沿って、分析、評価を行いました。具体的には、検討スコープ及び分析対象とする自然関連テーマを明確化するため、自然リスク評価ツールENCORE(注1)を使用して鉄道事業における自然への依存・影響の概況を確認しました。抽出された項目のうち、TCFDにおいて気候 変動起因による分析対象となっていない項目を中心に、自然資本との接点の 高い操業内容を確認しました。

 鉄道事業においては、大別すると列車運行と設備メンテナンスにより操業が行われており、これらの中から絞り込みを行った結果、事業拠点の規模が特に大きいため自然資本に対する依存・影響が大きく、水の使用量も最も多い総合車両所を検討スコープとして定め、分析を行っております。

 総合車両所の操業における自然資本への依存は、部品の洗浄、給水等に関して水資源への一定の依存を認識したものの、水リスク評価ツールAqueduct(注2)を用いて拠点周辺の水ストレスを評価したところ、全ての総合車両所において水ストレスや水の枯渇リスクの高い地域には立地していないことが分かりました。同じく操業による自然資本への影響においては、不適切な取り扱いに起因した排水や廃棄物などによる水質・土壌汚染の発生による規制への抵触や賠償責任のリスクを認識したものの、ISO14001に準拠した当社独自の環境マネジメントシステムにより環境汚染リスクの未然防止や発生した場合の被害を最小限にとどめる取り組みを行い、環境負荷の低減の活動を実施しております。

 また、自然に配慮した事業推進を通じて、地域との協働の進展、環境負荷低減に資するグループ内企業の製品・サービスの販売の拡大といった機会を得ることも分かりました。具体的な分析内容は「JR西日本グループ統合レポート」73~74ページに記載のとおりであります。

 当社グループは、自然資本に関連する目標として、事業活動における水使用の効率性を示す、連結売上高当たりの水使用量の原単位を2025年度に6.5㎥/百万円以下とすることを掲げております。この目標は、教育を通じた社員一人ひとりの節水の取り組みや、各事業部門での節水型機器への取り替えなど、水使用の低減の取り組みを進めることで2023年度に達成しておりますが、引き続き、生物多様性をはじめとする自然資本全般の保護に資する取り組みを推進していきます。

 今後、当社グループは、認識したリスクと機会に対して適切な対処を講じることで、社会インフラを担う企業グループとして長期持続的な企業価値向上を図りつつ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

(注)1 ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities Risks and Exposure)…自然への依存や影響、環境変化がビジネスにどのようなリスクを生むかを可視化するTNFD紹介ツール

2 Aqueduct…世界資源研究所(WRI)が提供する、水ストレスや水枯渇リスクといった水に関するリスクを評価できるTNFD紹介ツール

 

ウ.リスク管理

 当社グループでは、気候変動及び自然関連によるリスクと機会並びにその対処について、経営環境の変化や公的機関による各種将来予測の公表、更新といった情報をもとに分析内容の更新を行います。そして、分析内容や、環境長期目標の達成に向けた取り組みの進捗状況を定期的に地球環境委員会で審議・監視しております。

 また、地球環境委員会に付議された内容は必要に応じて、サステナビリティ委員会やグループ経営会議、取締役会にも付議・報告し、経営マネジメントにおいて、気候変動及び自然関連に関するリスク等を重要な経営課題として共有し、管理しております。

 

エ.指標及び目標

 当社グループは、気候変動関連については、環境長期目標「JR西日本グループ ゼロカーボン2050」を策定し、その目標として、グループ全体のCO2排出量を2050年に「実質ゼロ」、その達成に向けた中間目標として、政府が示す「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」の実現に向け電力会社の排出係数が低下することを前提として、再生可能エネルギーへの置き換え及び省エネルギーの取り組みにより2025年度に35%削減、2030年度に50%削減(いずれも2013年度比)とする目標を掲げております。

 

 なお、この目標はパリ協定においてめざす、産業革命期からの気温上昇1.5℃未満や同2℃未満の目標達成並びに我が国が掲げるCO2排出削減目標の達成にもつながる水準の目標であると認識しております。

 指標とするCO2排出量の直近集計年度(2024年3月期)の実績については、「JR西日本グループ統合レポート」115~116ページに記載しております。

参照URL:https://www.westjr.co.jp/company/action/env/pdf/report2024_23.pdf

 なお、2025年3月期の実績については、2025年度に発行するグループ統合レポート等により別途公表します。

 自然関連については、事業活動に関係する主要な自然資本である水に関して、事業活動における水使用の効率性を示す、連結売上高当たりの水使用量の原単位を2025年度に6.5㎥/百万円以下とすることを掲げております。今後、TNFDの提言における開示指標も参考に、当社グループの自然関連の指標や目標のあり方について引き続き検討を進めていきます。

 当社グループは、CO2排出削減や自然資本を保護する取り組みの推進を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

 

② 人的資本

 「私たちの志」の実現に向けて、当社グループは「長期ビジョン」及び「中期経営計画2025」を策定し、鉄道をはじめとする既存の「モビリティサービス分野」のブラッシュアップに加えて、「ライフデザイン分野」を中心に幅広い事業にチャレンジしていく方針を掲げております。このチャレンジの主体は当社グループの「人財(注)」であり、「中期経営計画2025」と連動した人財戦略の策定・実行を通じて従来の既存分野・既存スキルを中心とした同質性の高い人財ポートフォリオから、多様性のある人財ポートフォリオへの転換を図ります。

 当社グループでは、能力や経験、イノベーションの意欲等を備えた新たな価値創出に挑戦する人財を「変革人財」と定義し、「変革人財」の蓄積こそが当社グループにおける人的資本の充実であると考えております。

 人的資本の充実に向けて、多様性と働きがいを高める環境を整備し、社員が主体的に学び、挑戦できる機会を豊富に提供することで、「変革人財」の育成と蓄積を推進します。

 これらの取り組みを通じて、グループ全体で変化対応力と変化創出力を備えた多様な人財によりポートフォリオの転換を実現し、当社グループの持続的成長と安定した利益の生み出しに貢献することで、「私たちの志」や「長期ビジョン」の実現につなげていきます。

(注) 当社グループではグループ社員を重要な経営資源と考え、「人財」と表現しております。

 

ア.ガバナンス

 人的資本に係る戦略については、経営戦略本部人財戦略部長のもと人財戦略部が所管し、必要の都度、人財戦略やその進捗状況を取締役会へ付議・報告しております。

 また、各部門の人財育成責任者等で「人財育成ミーティング」を開催し育成状況を定期的にモニタリングするとともに、人事等の公正性及び信頼性を確保することを目的に、代表取締役及び人財戦略部長を委員とする総合人事委員会を設け、人財の育成や適正な処遇を実現できるよう検討、審議しております。

 

イ.戦略

 当社グループの人財戦略は、モビリティサービス分野を中心とした既存分野における事業の質を高めていく一方で、ライフデザイン分野の拡大をめざした取り組みを推進することで、同質性の高い人財で構成されるポートフォリオから、多様性のある人財で構成されるポートフォリオへの転換を図り、持続的に価値創造していく企業グループへの成長に挑戦していきます。

 人財戦略の3本柱として「人財育成」、「ダイバーシティ&インクルージョン」及び「ワークエンゲージメント」を掲げ、人財ポートフォリオの転換を実現すべく、各種取り組みを推進していきます。

 

(ア)人財育成

 当社グループでは、社員が有する多様なスキルや経験がイノベーションの創出や変化対応力の向上につながると考えております。社員一人ひとりが積極的かつ自律的にキャリア開発に取り組むことができる制度の導入や環境整備を行うことで、モビリティサービス分野・ライフデザイン分野における専門性を深めるとともに、責任あるポストでの業務経験や他部門と連携した新たな価値創出の経験を通じて、スキル・経験の多様性を広げ、個の力と組織の力を最大化していきます。

自律的なキャリア開発機会の拡充

・ポスト公募制度(注1)を通じた自律的なキャリア選択機会の拡充

・Off-JTメニューや資格取得支援の拡充

・副業の奨励やグループ外派遣を通じた幅広い社外経験の支援

・新たな事業創出支援、事業化機会の提供(イノベーション創出プログラム(注2))

・全社員対象のオンライン学習サービスの導入

(グループ経営人財候補対象)

キャリアディベロップメントプログラムの導入

・複数の事業、業務経験と戦略上重要な専門性の獲得を意図したジョブローテーション

・専門性獲得に向けたビジネスリテラシーの習得支援

(50歳以上の管理職対象)

ネクストキャリアプログラムの導入

・キャリア研修を通じた保有スキルの棚卸

・リスキリングメニューの整備やリカレント支援

・新たなキャリアへの挑戦を含むキャリア選択機会の提供

 既存分野である鉄道の現場を支える人財の育成については、基幹事業である鉄道事業を将来にわたり安全・安定的に運営していくにあたっての基盤であり、非常に大切なものと考えております。日々の仕事を通じて知識や技術を学ぶOJT(On the Job Training)を基本に、社員研修センターなどで行われる集合研修や通信教育などの自己研鑽を通じて、引き続き社員一人ひとりの成長を支援していきます。

 また、変化対応力の向上に重要な役割を担うDX・ITリテラシーの向上に向けた研修を全社的に実施しているほか、デジタルツールの積極的な利活用を通じた業務改革を主導する取り組みもあわせて推進しております。

 

(注)1 全社員を対象に新規事業やプロジェクトを担う人財を募集する制度。

2 当社グループの全社員を対象に、新規事業及び既存事業でのイノベーションの創出をめざすビジネスアイディア公募制度。

 

(イ)ダイバーシティ&インクルージョン

 国籍、年齢、障がいの有無、性別や性指向、価値観、育児や介護、社内外での経験等を社員一人ひとりが有する大切な“個性”と捉え、多様な“個性”を認め合い、掛け合わせることにより、新たな価値創出につなげます。

 女性活躍推進、仕事と家庭の両立支援、多様な経験を持つ人財の採用等の取り組みを加速し、多様性のある人財ポートフォリオの構築を推進します。

女性活躍推進

(成長支援・環境整備・キャリア開発)

・ライフステージに応じさまざまなキャリアを選択できる環境の整備

・各種制度、慣行及び働き方の見直しによるキャリアアップ意欲の向上

・メンター制やネットワーク構築によるフォロー体制の充実

社会人採用の拡充

・雇用の流動化を踏まえた通年採用の実施

・入社時のスキルが一様でないことを前提とした初期教育の改革

・社会人としての経験を評価した採用時の処遇の決定

障がい者雇用の推進

・特例子会社への業務委託の見直しによる雇用の場の創出

・特例子会社における新規事業の創出

 

(ウ)ワークエンゲージメント

 人財は「心をもつ資本」であり、社員のパフォーマンスは会社やチームとの関係性によって大きく変化します。社員一人ひとりが高いワークエンゲージメントのもと、仕事を通じた成長を実感できるよう、共通の価値観である「私たちの志」を社員と会社が共有し、仕事を通じて理想とするキャリアを描きながら、いきいきと働ける組織風土や文化の醸成、定着を推進していきます。

中期健康経営計画2027(注)の実行

・高ストレス者の低減と病気の未然防止、生活習慣の改善による健康経営の推進

・女性特有の健康課題に対するフォローを通じたキャリア継続支援(フェムテックの活用等)

リアルタイムでの問題把握とフォロー(パルスサーベイ)

・エンゲージメントのタイムリーな把握と向上策への反映を行うPDCAの短サイクル化

社外との連携による箇所長のマネジメント支援

・部外の専門家による低モチベーション職場の箇所長への面談

・好事例の水平展開

(注) 職場や社員個人による健康活動を支援する5ヶ年の行動目標。

 

ウ.リスク管理

 「3[事業等のリスク](4)人財の確保」に記載しております。

 

エ.指標及び目標

 「長期ビジョン」及び「中期経営計画2025」と連動した人財戦略を推進するため、戦略の3本柱である「人財育成」、「ダイバーシティ&インクルージョン」及び「ワークエンゲージメント」の取り組みごとに、グループ及び単体の2027年度KPIを設定しております。

 

(ア)人財育成

 

指標

2024

目標

2024

実績

2025

目標

2027

目標

単体

KPI

全社員

キャリア形成を支援する各種制度の利用者数(注1)

2,024名

3,933名

2,322名

2,880名

次世代

経営人財

準備率(注2)

275%

175%

330%

400%

そのうち、「移動に連動しない事業」に係るスキル保有者の割合

23%

17%

28%

40%

管理職

登用候補

複数の専門性獲得者の割合

30%

45%

30%

30%

次世代

地域人財

地域人財数

地域人財準備人数

10名

20名

30名

60名

次世代

系統人財

系統人財数

系統人財準備人数

10名

20名

30名

60名

グループ

KPI

プロパー役員比率(注3)

24%

26

26%

30%

(注)1 資格取得一時金の申請者数やポスト公募制度の応募者数、イノベーション創出プログラムの応募者数など、キャリア形成を支援する各種制度の利用者数の合計(延べ人数)。

2 重要ポストを担うことができる候補者の準備率。

3 物販・飲食カンパニー、ホテルカンパニー、SCカンパニー、不動産カンパニーを構成するグループ会社を対象範囲としております。

 

(イ)ダイバーシティ&インクルージョン

 

指標

2024

目標

2024

実績

2025

目標

2027

目標

単体

KPI

リーダーに占める女性の割合

7.5%

7.8%

8.0%

10%

管理職に占める女性の割合

4.5%

3.9%

5.5%

10%

障がい者雇用率

2.8%

2.89%

2.8%

(+40.2カウント)

2.8%

(+67カウント)

グループ

KPI

女性プロパー管理職比率(注)

6.8%

9.3

8.1%

10%

参考

(単体)

リーダー候補育成数(累計)

40名

99名

77名

200名

管理職候補育成数(累計)

20名

50名

41名

110名

(注) 当社及びグループ会社を対象範囲としております。

 

 

(ウ)ワークエンゲージメント

 

指標

2024

目標

2024

実績

2025

目標

2027

目標

単体

KPI

いきいき職場率(注1)

72%

71%

77%

88%

グループ

KPI

社員意識アンケートに関する指標(注2)

①やりがい

6.4点

6.3点

6.6点

7.0点

②誇り

6.0点

6.1点

6.3点

7.0点

③志

4.9点

6.4点

5.7点

7.0点

 

(注)1 全職場数に占める、低ストレスかつ高ワークエンゲージメント職場数の割合。

2 グループ会社を対象範囲としております。