2025年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

運輸 不動産 国際物流 流通 ホテル・レジャー その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
運輸 223,225 12.5 34,664 40.9 15.5
不動産 165,359 9.2 13,864 16.3 8.4
国際物流 796,941 44.5 12,967 15.3 1.6
流通 215,359 12.0 7,022 8.3 3.3
ホテル・レジャー 344,905 19.3 13,984 16.5 4.1
その他 45,126 2.5 2,343 2.8 5.2

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、当社、子会社235社及び関連会社15社で構成され、セグメント情報に記載された区分ごとの主要な事業内容及び関係会社は、次のとおりであります。

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

<子会社>

(1)運輸

事業の内容

会社名

鉄軌道事業

近畿日本鉄道㈱

バス事業

近鉄バスホールディングス㈱、近鉄バス㈱、奈良交通㈱、

北日本観光自動車㈱、防長交通㈱

タクシー業

近鉄タクシーホールディングス㈱、近鉄タクシー㈱、奈良近鉄タクシー㈱、

三重近鉄タクシー㈱、名古屋近鉄タクシー㈱、石川近鉄タクシー㈱、

北交大和タクシー㈱

鉄道施設整備業

近鉄技術ホールディングス㈱、近鉄電気エンジニアリング㈱、

近鉄車両エンジニアリング㈱、近鉄軌道エンジニアリング㈱、

全日本コンサルタント㈱

その他運輸関連事業

㈱アド近鉄、国道九四フェリー㈱、近鉄レンタリース㈱、

近畿日本鉄道㈱

(2)不動産

事業の内容

会社名

不動産販売業

不動産賃貸業

不動産管理業

近鉄不動産㈱

近鉄不動産㈱

近鉄ファシリティーズ㈱、ミディ総合管理㈱

(3)国際物流

事業の内容

会社名

航空貨物輸送事業

海上貨物輸送事業

ロジスティクス事業

㈱近鉄エクスプレス、APL Logistics Ltd

㈱近鉄エクスプレス、APL Logistics Ltd

㈱近鉄エクスプレス、APL Logistics Ltd

(4)流通

事業の内容

会社名

百貨店業

㈱近鉄百貨店

ストア・飲食業

近鉄リテールホールディングス㈱、㈱近鉄リテーリング、㈱近商ストア

(5)ホテル・レジャー

事業の内容

会社名

ホテル業

㈱近鉄・都ホテルズ、KINTETSU ENTERPRISES CO.OF AMERICA

旅行業

KNT-CTホールディングス㈱、クラブツーリズム㈱、近畿日本ツーリスト㈱、

㈱近畿日本ツーリストブループラネット、㈱ユナイテッドツアーズ

映画業

㈱きんえい

水族館業

㈱海遊館

観光施設業

近鉄レジャークリエイト㈱、㈱賢島宝生苑、㈱志摩スペイン村

(6)その他

事業の内容

会社名

その他の事業

㈱サカエ、近鉄ケーブルネットワーク㈱、近鉄情報システム㈱、近鉄保険サービス㈱

(注)「会社名」には、主要な連結子会社を記載しております。

 

<関連会社>

事業の内容

会社名

鉄軌道事業

奈良生駒高速鉄道㈱

不動産業

三重交通グループホールディングス㈱

鉄道車両製造業

近畿車輛㈱

建設業

大日本土木㈱

(注)「会社名」には、主要な持分法適用関連会社を記載しております。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度(以下、4において「当期」という。)における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、4において「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当期の世界経済は、米国をはじめ一部地域が成長を牽引したものの、資源価格の高止まりや中国の景気低迷、中東等における地政学リスクの継続に加え、米国新政権における政策動向の不透明感など、予断を許さない情勢が続きました。わが国経済についても、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加などにより緩やかな回復基調にあったものの、人手不足や物価上昇が継続したほか、為替相場をはじめとする金融資本市場の変動などの懸念材料もあり、先行き不透明な状況で推移しました。

このような情勢のもと、当社グループでは、回復傾向にある旅客需要、消費需要や、円安継続に伴い拡大するインバウンド需要の取込みに努めるなど、各事業で収益向上に取り組みました。また、運輸業のうち鉄軌道事業では定期運賃改定の効果が期首から寄与したことや、国際物流業で取扱物量の増加と販売価格の上昇が進んだことなどから、連結営業収益は前期に比較して6.9%増の1兆7,417億87百万円となりました。しかしながら、国際物流業で運賃原価の高騰により利益率が低下したこともあり、営業利益は3.5%減の843億99百万円、経常利益は3.7%減の815億38百万円、法人税等を控除した後の親会社株主に帰属する当期純利益は2.3%減の467億16百万円となりました。

 

各報告セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

なお、令和6年10月1日を効力発生日とするグループ内組織再編を実施し、人材不足への対応のみならずグループとしての人事戦略に取り組む新たな人材会社として㈱近鉄HRパートナーズを組成しました。

これに伴い、当連結会計年度より、「ホテル・レジャー」業に含まれていた人材派遣業を、「その他」の事業に変更しております。

前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

 

a.運 輸

運輸業におきましては、鉄軌道事業で引き続き人流の回復が進み、インバウンドが増加傾向にあることに加え、「わたしは、奈良派。」や「志摩へおいなーい!」などの積極的なキャンペーン宣伝活動により、奈良・伊勢志摩方面への観光旅客が増加しました。

昨年10月に運行を開始した新型一般車両では、ベビーカーのお客様などがご利用しやすいスペース「やさしば」を配備し、従来車両と比較して消費電力を約45%削減するなど、お客様と地球環境に優しい施策を推進しております。

また、増加するインバウンド需要のさらなる取込みのため、クレジットカードのタッチ決済による乗車サービスを開始したほか、「大阪・関西万博」の需要獲得のため、本年3月に大阪上本町駅バスターミナルを整備しました。

当期の営業収益は前期に比較して5.3%増の2,232億25百万円、営業利益は7.3%増の346億64百万円となりました。

 

 

業   種

単 位

当   期

(令和6年4月~令和7年3月)

前期比(%)

鉄軌道事業

百万円

160,514

4.9

バス事業

百万円

34,745

6.8

タクシー業

百万円

10,046

2.4

鉄道施設整備業

百万円

25,891

0.4

その他運輸関連事業

百万円

12,946

0.6

調整

百万円

△20,918

-

営業収益計

百万円

223,225

5.3

 

 

(近畿日本鉄道㈱ 運輸成績表)

区   分

単 位

当   期

(令和6年4月~令和7年3月)

前期比(%)

営業日数

365

△0.3

営業キロ程

キロ

501.1

-

客車走行キロ

千キロ

272,816

0.3

旅客人員

定期

千人

318,334

△0.6

定期外

千人

207,763

3.0

千人

526,097

0.8

旅客運輸収入

旅客収入

定期

百万円

50,032

4.0

定期外

百万円

103,495

5.4

百万円

153,527

4.9

荷物収入

百万円

7

△18.2

合計

百万円

153,535

4.9

運輸雑収

百万円

6,978

4.4

営業収益計

百万円

160,514

4.9

乗車効率

28.4

2.5

(注)乗車効率の算出は、延人キロ/(車両走行キロ×平均定員)によります。

 

b.不動産

不動産業におきましては、不動産販売業で、関西圏を中心にマンション分譲が好調に推移したほか、中古住宅等の買取再販ビジネスが伸長したことで増収となり、不動産賃貸業でも、オフィスビルで空室解消等が進んだ結果、増収となりました。さらに、米国や豪州の不動産を投資対象としたファンドへの出資や、アウトドア体験型複合施設「志摩グリーンアドベンチャー」の開業など、新たな事業機会の創出に努めました。

当期の営業収益は前期に比較して5.0%増の1,653億59百万円となりましたが、分譲マンションにおける原価の上昇や、各事業における物件費・経費の増加等の影響により、営業利益は8.3%減の138億64百万円となりました。

 

業   種

単 位

当   期

(令和6年4月~令和7年3月)

前期比(%)

不動産販売業

百万円

83,066

6.2

不動産賃貸業

百万円

40,059

2.4

不動産管理業

百万円

46,317

4.9

調整

百万円

△4,084

-

営業収益計

百万円

165,359

5.0

 

 

c.国際物流

国際物流業におきましては、航空貨物輸送で半導体や電子部品を中心に物量回復の兆しが見られたほか、中国発Eコマース貨物の輸送需要増加に端を発する運賃原価の上昇に伴う販売価格の引上げなどにより増収となったものの、競合他社との競争の激化や、荷主のコスト抑制意識が強く、販売価格への転嫁にタイムラグが生じたため、利益面では厳しい状況が続きました。

ロジスティクスでは、自動車関連品において米国系主要顧客の販売台数の伸び悩みにより取扱いが低調に推移するなど、米国で需要が減少した影響を強く受けました。

当期の営業収益は前期に比較して8.6%増の7,969億41百万円、営業利益は26.3%減の129億67百万円となりました。

 

区   分

単 位

当   期

(令和6年4月~令和7年3月)

前期比(%)

日台韓

百万円

217,162

10.5

米州

百万円

95,635

2.7

欧州・中近東・アフリカ

百万円

53,291

△1.9

東アジア

百万円

110,849

11.6

東南アジア・オセアニア

百万円

110,188

27.9

APLL

百万円

229,843

3.9

その他

百万円

6,711

11.6

調整

百万円

△26,740

-

営業収益計

百万円

796,941

8.6

 

d.流 通

流通業におきましては、百貨店業で、旗艦店である「あべのハルカス近鉄本店」は、国内外問わず広域から多くのお客様にご来店いただける都市型総合百貨店を目指し、特選ブランドの強化を図るとともに、収益力向上策の一つとして強化しているフランチャイズ事業による店舗展開も進めました。一方、地域店においては、生活機能、商業機能、コミュニティ機能を融合した「タウンセンター化」への変革を推進すべく、各店の地域特性に応じた改装を実施しました。

ストア・飲食業では、近商ストア天美店を建替リニューアルするなど、お客様のニーズに合わせた売場づくりに努めたほか、鵜方駅前にオリジナルクラフトビール醸造所「志摩醸造」をオープンするなど、新規事業の拡大も進めました。

当期の営業収益は前期に比較して1.6%増の2,153億59百万円、営業利益は21.6%増の70億22百万円となりました。

 

業   種

単 位

当   期

(令和6年4月~令和7年3月)

前期比(%)

百貨店業

百万円

115,673

1.8

ストア・飲食業

百万円

99,686

1.3

調整

百万円

-

-

営業収益計

百万円

215,359

1.6

 

 

e.ホテル・レジャー

ホテル・レジャー業におきましては、ホテル業で、サービスの向上やインバウンド需要の着実な取込みを図り、客室単価及び稼働率の上昇につなげました。シェラトン都ホテル東京やシェラトン都ホテル大阪、都シティ 近鉄京都駅等の主要ホテルでは、競争力の確保に向けて順次客室改装工事を進めました。

観光施設業では、30周年を迎えた志摩スペイン村で、人気VTuberとのコラボイベントを前年に続き実施したほか、『ポケットモンスター』とのスペシャルイベントを新たに実施するなど、認知度の向上、新規顧客の獲得に努めました。

旅行業では、海外の個人のお客様が直接予約できる訪日旅行者向けグローバルサイト「YOKOSO JAPAN TOUR」での商品販売を開始したほか、団体旅行でスポーツの大規模な国際大会に関する商品を取り扱うなど、旺盛なインバウンド需要の取込みに注力しました。また、「大阪・関西万博」や本年7月に開業する沖縄北部テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」のチケット付き商品の販売を開始するなど、今後の収益確保に向けた取組みも推進しました。

水族館業では、海遊館で「グレート・バリア・リーフ水槽」のリニューアルを実施するとともに、増加するインバウンド需要の取込みに努め、前年を上回る入館者数を確保しました。

当期の営業収益は前期に比較して8.6%増の3,449億5百万円、営業利益は4.0%増の139億84百万円となりました。

 

業   種

単 位

当   期

(令和6年4月~令和7年3月)

前期比(%)

ホテル業

百万円

45,917

11.8

旅行業

百万円

273,935

7.7

映画業

百万円

3,571

0.0

水族館業

百万円

10,518

5.8

観光施設業

百万円

11,208

30.5

調整

百万円

△246

-

営業収益計

百万円

344,905

8.6

 

f.その他

その他の事業におきましては、ケーブルテレビ業で、積極的な営業活動によりサービス加入者数は増加しましたが、同軸ケーブルから光ケーブルへの切替え工事の開始に伴う費用の増加等がありました。

当期の営業収益は前期に比較して0.1%増の451億26百万円、営業利益は35.0%減の23億43百万円となりました。

 

資産合計は、前期末に比較して529億39百万円増加し、2兆5,072億55百万円となりました。これは、棚卸資産や有形固定資産が増加したことによるものであります。

負債合計は、前期末に比較して248億65百万円増加し、1兆8,935億31百万円となりました。これは、資金調達により借入金が増加したことによるものであります。

純資産合計は、前期末に比較して280億73百万円増加し、6,137億23百万円となりました。これは、利益剰余金が純利益の計上から配当を差し引き増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当期における現金及び現金同等物の期末残高は2,317億48百万円で、前期末に比較して99億9百万円減少しました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が増加したものの、棚卸資産、売上債権及び契約資産が増加したことなどにより、前期に比較して607億83百万円収入が減少し、897億28百万円の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得が増加したことなどにより、前期に比較して264億93百万円支出が増加し、827億89百万円の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払が増加したものの、借入金の返済額が減少したことなどにより、前期に比較して541億20百万円支出が減少し、178億74百万円の支出となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループは、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各報告セグメントの経営成績に関連付けて記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、この作成にあたり、当期末の資産及び負債並びに当期に係る収益及び費用の報告金額に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況等に応じた合理的な判断に基づき仮定及び見積りを行っております。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、会計上の見積りを行う上で、当社グループの主要な事業で用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

a.固定資産の減損

当社グループは、運輸業、不動産業、国際物流業、流通業、ホテル・レジャー業等、多くの事業を展開する特性上、多額の固定資産を保有しており、これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき見積もっております。このうち賃貸施設、百貨店店舗、ホテルやレジャー施設等につきましては、不動産市況の著しい下落や消費環境の悪化による収益性の低下等のリスクをはらんでおります。従って、当初見込んでいた収益が得られない、あるいは正味売却価額が下落したことにより、将来キャッシュ・フローが減少するなど前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。

また、当社グループは、過去の企業買収時に発生したのれんを含む固定資産を保有しており、これらの将来キャッシュ・フローにつきましては、営業収入の成長率、販売費及び一般管理費の見込みを主要な仮定として用いております。将来の不確実な経済条件や市場価格の変動などによって影響を受ける可能性があり、今後、実際の結果が見積りと乖離した場合、のれんの減損を実施する可能性があります。

b.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得を合理的に見積もり、タックスプランニングを行った上で、税務上の繰越欠損金や将来減算一時差異のうち、将来課税所得を減算できる可能性が高いものについて繰延税金資産を認識しております。従って、今後、経営環境の変化や将来の収支予測の変更などにより将来の課税所得の見積額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。

c.退職給付債務及び費用の計算

当社グループは、退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件に基づき行っており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、その影響額は数理計算上の差異や過去勤務費用として累積され、将来にわたって規則的に認識されます。従って、年金資産の運用結果が長期期待運用収益率と乖離した場合のほか、割引率や長期期待運用収益率の見直しあるいは退職給付制度の変更がなされた場合には、退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。

 

② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績に重要な影響を与える要因)

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(経営成績の状況に関する分析)

経営成績に重要な影響を与える各要因を踏まえた当期の経営成績の状況に関する分析は、次のとおりであります。

a.営業収益及び営業利益

営業収益は、アフターコロナの旅客需要、消費需要の回復や円安進行によるインバウンド需要の増加に伴い運輸業、流通業およびホテル・レジャー業で増収となったことに加え、国際物流業で取扱物量が増加したものの、不動産業でマンションの売上原価等が増加したほか、国際物流業でも運賃原価の高騰により利益率が低下したことにより、連結営業収益は前期に比較して6.9%増の1兆7,417億87百万円、営業利益は3.5%減の843億99百万円となりました。

運輸業では、好調なインバウンド需要に加え、名阪特急や伊勢志摩方面への観光需要が堅調に推移したほか、2023年4月に実施した定期運賃改定の効果が本年度は期首から寄与したため、運輸業全体の営業収益は、前期に比較して5.3%増の2,232億25百万円、営業利益は7.3%増の346億64百万円となりました。

 

不動産業では、不動産販売部門でマンション販売価格の上昇や買取再販事業の拡大により増収となりましたが、マンション売上原価や費用が増加したほか、不動産賃貸部門でオフィスなど賃貸物件の稼働率が向上したこと等により増収となりましたが、新規施設の開業による費用が増加したことにより、不動産業全体の営業収益は、前期に比較して5.0%増の1,653億59百万円、営業利益は8.3%減の138億64百万円となりました。

国際物流業では、取扱物量の増加と販売価格の上昇が進んだため増収となったものの、運賃原価の高騰により利益率が低下したことにより、国際物流業全体の営業収益は、前期に比較して8.6%増の7,969億41百万円、営業利益は26.3%減の129億67百万円となりました。

流通業では、百貨店部門であべのハルカス近鉄本店における特選ブランドの強化やフランチャイズ事業の拡充に加え、免税売上や外商売上が高額商品を中心に好調に推移したほか、ストア・飲食部門で観光需要の回復により駅ナカ店舗で利用客が増加したこともあり、流通業全体の営業収益は、前期に比較して1.6%増の2,153億59百万円、営業利益は21.6%増の70億22百万円となりました。

ホテル・レジャー業では、ホテル部門でインバウンド需要の増加等により宿泊利用が大きく増加したため増収となりました。また、旅行部門では海外旅行を中心に旅行需要が回復したほか、観光施設部門では各種コラボイベントが好調に推移し志摩スペイン村の入場者数が大幅に増加したこと等により、ホテル・レジャー業全体の営業収益は、前期に比較して8.6%増の3,449億5百万円となり、営業利益は4.0%増の139億84百万円となりました。

b.経常利益

当期における経常利益は、営業外収益で為替差益が増加した一方、営業外費用で金利上昇に伴い支払利息が増加したため、前期に比較して3.7%減の815億38百万円となりました。

c.親会社株主に帰属する当期純利益

当期における親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益で投資有価証券売却益が増加し、特別損失で減損損失等が減少したため、前期に比較して2.3%減の467億16百万円となりました。

 

(経営判断のために採用している経営指標とその達成状況及びその理由)

当社は、令和3年度から令和6年度までの4カ年を計画期間とする「近鉄グループ中期経営計画2024」に基づき、グループ経営を推進しておりました。

本経営計画の基本方針は「コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革」であり、「営業利益」、「純有利子負債残高」、「純有利子負債/EBITDA倍率」、「自己資本比率」を重要な指標として位置付けておりました。

 

 

当期実績

(令和7年3月期)

経営指標目標

(令和7年3月期)

営業利益

843億円

860億円以上

純有利子負債残高

1兆255億円

1兆700億円未満

純有利子負債/EBITDA倍率

6.8倍

7.0倍程度

自己資本比率

21.7%

21%以上

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループでは、令和6年度を最終年度とする「近鉄グループ中期経営計画2024」において、コロナ禍から回復し、新たな事業展開と飛躍に向かうための経営改革をおこなうことを基本方針としております。事業継続のための投資、将来を見据えた成長投資を、投資規律・効率を重視しながら厳選して行うとともに、原則としてグループ各社の事業活動に必要な資金を当社が一元的に調達することで、資金調達の安定と最適な財務バランスの実現を図ってまいりました。

資金需要の主なものは、各事業の運営資金、販売用不動産など棚卸資産の取得に加え、既存設備の維持更新、安全関連投資及び所有不動産の建替や改装といった設備投資に関するものであります。

これらの資金需要に対応すべく、短期資金については、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、当座貸越やコミットメントラインなどによる金融機関からの借入れ、コマーシャル・ペーパーの発行などにより資金の流動性を確保しております。また、長期資金については、金融機関からの借入れ、シンジケート・ローンの組成、社債の発行及びリースなどの多様な選択肢の中から最適な調達手段を採用しております。さらに、返済年限の長期化を図り、原則として固定金利で調達することで金利上昇リスクに対応するとともに、年度別返済額を平準化することで将来の借り換えリスクの低減にも努めております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

1.報告セグメントの概要

当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

当社グループは、鉄道事業を中心に幅広い事業を展開しており、「運輸」、「不動産」、「国際物流」、「流通」、「ホテル・レジャー」、「その他」の6つを報告セグメントとしております。

「運輸」は鉄道、バス及びタクシーの営業等、「不動産」は不動産の販売、賃貸及び管理等、「国際物流」は航空貨物輸送、海上貨物輸送及びロジスティクス等、「流通」は百貨店、ストア及び駅売店における商品の販売等、「ホテル・レジャー」は旅行、ホテル及び旅館の営業等、「その他」は金属機械器具の製造・販売、ケーブルテレビ、情報処理の営業等をそれぞれ行っております。

2.報告セグメントの変更等に関する事項

令和6年10月1日を効力発生日とするグループ内組織再編を実施し、人材不足への対応のみならずグループとしての人事戦略に取り組む新たな人材会社として㈱近鉄HRパートナーズを組成しました。

これに伴い、当連結会計年度より、「ホテル・レジャー」業に含まれていた人材派遣業を、「その他」の事業に変更しております。

なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成しております。

 

3.報告セグメントごとの営業収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額の算定方法

報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法であります。

報告セグメントの利益又は損失は、営業損益ベースの数値であります。

セグメント間の内部営業収益又は振替高は、第三者間取引価格に基づいております。

 

4.報告セグメントごとの営業収益、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

運輸

不動産

国際物流

流通

ホテル・

レジャー

その他

調整額

(注)

1、2、3

連結

財務諸表

計上額

(注)4

営業収益

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への営業収益

204,258

132,374

732,345

209,910

315,995

33,862

1,628,748

781

1,629,529

セグメント間の内部営業収益又は振替高

7,638

25,144

1,478

2,159

1,465

11,196

49,082

△49,082

211,897

157,518

733,823

212,070

317,461

45,059

1,677,831

△48,301

1,629,529

セグメント利益

32,295

15,114

17,592

5,776

13,442

3,602

87,824

△393

87,430

セグメント資産

943,309

557,668

610,710

144,016

195,674

54,910

2,506,290

△51,974

2,454,316

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

26,374

9,606

25,928

7,046

2,359

2,024

73,339

233

73,572

のれん償却額

3,247

5

3,252

3,252

持分法適用会社への投資額

2,311

2,311

21,383

23,694

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

31,525

8,175

10,665

5,248

4,007

2,301

61,924

△1,138

60,785

(注)1.外部顧客への営業収益の調整額は、持株会社である当社で計上したものであります。

2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない当社の損益であります。

3.セグメント資産の調整額は、セグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない当社の資産等であります。

4.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

運輸

不動産

国際物流

流通

ホテル・

レジャー

その他

調整額

(注)

1、2、3

連結

財務諸表

計上額

(注)4

営業収益

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への営業収益

214,464

139,301

796,778

213,270

342,662

34,585

1,741,062

724

1,741,787

セグメント間の内部営業収益又は振替高

8,760

26,057

163

2,088

2,243

10,540

49,855

△49,855

223,225

165,359

796,941

215,359

344,905

45,126

1,790,918

△49,130

1,741,787

セグメント利益

34,664

13,864

12,967

7,022

13,984

2,343

84,846

△446

84,399

セグメント資産

951,137

607,840

596,713

142,527

211,212

55,345

2,564,776

△57,520

2,507,255

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

28,198

9,942

29,196

6,465

2,853

2,204

78,861

332

79,193

のれん償却額

3,247

0

3,247

3,247

持分法適用会社への投資額

992

992

22,818

23,810

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

36,360

21,614

10,146

6,312

5,684

2,035

82,155

917

83,072

(注)1.外部顧客への営業収益の調整額は、持株会社である当社で計上したものであります。

2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない当社の損益であります。

3.セグメント資産の調整額は、セグメント間取引消去及び各報告セグメントに配分していない当社の資産等であります。

4.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

「セグメント情報」に同様の情報が開示されているため、記載を省略しております。

2.地域ごとの情報

(1) 営業収益

 

 

 

(単位:百万円)

日本

米国

中国

その他

合計

1,051,018

215,324

113,818

249,369

1,629,529

(注)営業収益は役務の提供地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

国内に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えているため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への営業収益のうち、連結損益計算書の営業収益の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

「セグメント情報」に同様の情報が開示されているため、記載を省略しております。

2.地域ごとの情報

(1) 営業収益

 

 

 

(単位:百万円)

日本

米国

中国

その他

合計

1,117,126

213,379

128,087

283,194

1,741,787

(注)営業収益は役務の提供地を基礎とし、国又は地域に分類しております。

 

(2) 有形固定資産

国内に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えているため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への営業収益のうち、連結損益計算書の営業収益の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

運輸

不動産

国際物流

流通

ホテル・レジャー

その他

全社

合計

減損損失

991

2,421

531

254

478

4,677

4,677

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

運輸

不動産

国際物流

流通

ホテル・レジャー

その他

全社

合計

減損損失

408

1,046

1,144

110

208

2,918

2,918

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

運輸

不動産

国際物流

流通

ホテル・レジャー

その他

全社

合計

当期償却額

3,247

5

3,252

3,252

当期末残高

59,264

0

59,264

59,264

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

運輸

不動産

国際物流

流通

ホテル・レジャー

その他

全社

合計

当期償却額

3,247

0

3,247

3,247

当期末残高

56,017

56,017

56,017

 

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自 令和5年4月1日 至 令和6年3月31日)

該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 令和6年4月1日 至 令和7年3月31日)

該当事項はありません。