2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    231名(単体) 22,811名(連結)
  • 平均年齢
    43.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.1年(単体)
  • 平均年収
    8,709,153円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

 

セグメント

の名称

都市交通

不動産

エンタ

テイン

メント

情報

・通信

旅行

国際輸送

その他

全社

(共通)

合計

 

従業員数

(人)

 

8,556

[1,968]

 

4,408

[3,753]

 

 

1,162

[403]

 

 

1,830

[310]

 

 

1,869

[1,149]

 

3,214

[182]

 

1,376

[344]

 

 

396

[29]

 

 

22,811

[8,138]

 

(注)1 従業員数は就業人員であり、出向社員を除き、受入出向社員を含んでいます。

2 臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しています。

3 臨時従業員には、契約社員、嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いています。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

231

43.3

19.1

8,709,153

(注)1 従業員数は就業人員であり、関係会社等出向社員を除き、受入出向社員を含んでいます。また、臨時従業員については、従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。

2 平均勤続年数は、他社からの出向社員については、出向元会社での勤続年数を通算しています。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

4 当社は純粋持株会社であり、「(1) 連結会社の状況」において、当社の従業員数は全社(共通)に含まれています。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち

正規雇用

労働者

うち

パート・

有期労働者

6.2

92.5

72.8

72.2

(注)3

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

3 データに関する補足情報

<管理職に占める女性労働者の割合>

・昇格要件に性別の差異はないものの、現在の管理職層の採用当時は入社希望者の男性比率が高く採用当時の男女比が現在の管理職の男女比に反映されています

<男性労働者の育児休業取得率>

・育児目的休暇として「あかちゃん誕生休暇」「オプショナル休暇」及び「あかちゃんはぐくみ応援休暇」を含めて算出しています。

・女性と比較すると、長期の連続した育児休業の取得は少ないものの、社内独自の育休取得推進策により平均取得日数は増加傾向にあります。

 

<男女の賃金の差異>

[全労働者]

・相対的に賃金水準の高い管理職層において、女性の割合が低いです。

・勤続年数、年代別に比較した男女の賃金の差異はほとんどありません。

[パート・有期労働者]

・女性労働者がいないため「-」としています。

 

②主要な連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業

取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

うち

正規雇用

労働者

うち

パート・

有期労働者

阪急電鉄㈱

-(注)3

105.1

62.8

67.5

69.1

(注)4

阪神電気鉄道㈱

0.0(注)3

113.2

69.3

75.6

71.8

(注)5

阪急阪神不動産㈱

6.0

93.3

61.5

65.0

64.0

(注)6

㈱阪急交通社

5.5

86.4

39.3

46.6

64.3

(注)7

 ㈱阪急阪神

エクスプレス

3.5

66.7

68.7

73.4

82.4

(注)8

 ㈱阪急阪神

ホテルズ

7.7

86.7

57.9

74.9

61.7

(注)9

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

3 阪急電鉄㈱および阪神電気鉄道㈱の管理職については、原則提出会社からの受入出向者です。

4 阪急電鉄㈱のデータに関する補足情報

<男性労働者の育児休業取得率>

・育児目的休暇として「オプショナル休暇」及び「あかちゃん誕生育児参画休暇」を含めて算出しています。

・育児休業等の取得率・取得日数は増加傾向にあります(2023年度に子が生まれた男性79人のうち50人が取得、平均取得日数は128.2日(取得予定者を含む))。

<男女の賃金の差異>

[全労働者]

・女性494人のうち101人(約20%)がパート・有期雇用労働者であり、男性(約10%)に比べてパート・有期雇用労働者の構成比率が高いです。

[正規雇用労働者]

・平均勤続年数は男性が24.0年、女性が14.6年となっており、賃金差異の要因となっています。

・正社員の昇格要件に男女の差異はありませんが、勤続10年目以降、徐々に賃金差異が生じており、女性の育児休職・短縮勤務等に伴う賃金減少、昇格の遅れ等が影響していると考えられます。

[パート・有期労働者]

・賃金水準が高い契約社員第1種や定年後再雇用者の多くが男性(209人、うち男性205人)であり、男性の賃金水準を引き上げる要因となっています。

・それ以外の雇用区分については、大きな賃金差異は生じていません。

5 阪神電気鉄道㈱のデータに関する補足情報

<男性労働者の育児休業取得率>

・育児目的休暇として「配偶者分娩休暇」、「失効保存年次有給休暇」などを含めて算出しています。

・育児目的休暇はほとんどの男性社員が取得しています。

<男女の賃金の差異>

[正規雇用労働者]

・正規雇用労働者1,267人のうち男性が1,156人を占めており、男性の構成比率が高いです。

・社員の大部分を占める鉄道現業部門では、女性の深夜就業が解禁されるまで女性社員の採用を行っておらず、女性の平均勤続年数が男性に比べて短くなっていることが、差異の原因の1つと考えられます(男性22.2年、女性16.9年)。また、鉄道現業部門における女性採用開始後も、暫くは出産育児を機に離職する社員がおり、女性の平均勤続年数が伸長しない原因となっていました。

・現在では、女性の離職防止を目的として、産前及び育休からの復職時の面談やベビーシッター利用時の費用補助を行っており、加えて鉄道事業においては育児短縮勤務を行う社員専門の勤務系統を設置するなど、女性の雇用継続に繋がる施策を実施しています。

[パート・有期労働者]

・短時間労働者である再雇用嘱託及びアルバイトについては、正規雇用労働者の所定労働時間を参考として、人員数を換算しています。

・賃金差異の主な要因としては、男性は再雇用嘱託が約7割を占める一方で、女性は約6割がアルバイトであり、経験等を踏まえた処遇の違いにより生ずるものと考えられます。

6 阪急阪神不動産㈱のデータに関する補足情報

<管理職に占める女性労働者の割合>

・管理職に相当する年代の女性社員が少ないことが要因と考えられます。

<男性労働者の育児休業取得率>

・育児目的休暇として「配偶者分娩休暇」及び「積立保存休暇」を含めて算出しています。

・当事業年度末に子が出生した社員のうち、年度内に休業・休暇を取得できなかった者が含まれるため100%を下回っていますが、当該社員については翌年度4月に休業・休暇を取得しました。

<男女の賃金の差異>

・相対的に賃金水準が高い管理職については男性が多く、差異につながっていると考えられます。

・女性従業員のうち、職種限定の従業員の割合が男性従業員の同割合に対して高いため、差異につながっていると考えられます。

7 ㈱阪急交通社のデータに関する補足情報

<管理職に占める女性労働者の割合>

・男性に比べて女性の勤続年数が短いため、管理職に相当する年代・勤続年数の女性社員が少ないことが要因と考えられます。

<男性労働者の育児休業取得率>

・育児目的休暇として、「あかちゃん誕生サポート休暇」及び「失効年休」を含めて算出しています。

<男女の賃金の差異>

[全労働者]

・男性よりも女性が多い労務構成ですが、女性のうち多くが地域限定正社員やパート・有期雇用労働者として所属しています。

[正規雇用労働者]

・男女の比率はほぼ同じです。

・地域限定正社員が多く所属しており、そのうち多くを女性が占めています。

8 ㈱阪急阪神エクスプレスのデータに関する補足情報

<管理職に占める女性労働者の割合>

・管理職に相当する年代の女性社員が少ないことが要因と考えられます。

<男性労働者の育児休業取得率>

・育児目的休暇として「出生時パパ休暇(有給)」を含めて算出しています。

<男女の賃金の差異>

[全労働者]

・相対的に賃金水準が高い管理職は男性が多いことが、差異につながっていると考えられます。

[正規雇用労働者]

・エリア限定の従業員の割合が男性従業員の同割合に対して高いため、差異につながっていると考えられます。

[パート・有期労働者]

・女性の比率が高いです。

・男性については相対的に賃金水準が高い管理職が多いため、差異につながっていると考えられます。

9 ㈱阪急阪神ホテルズのデータに関する補足情報

<管理職に占める女性労働者の割合>

・管理職層における男女の人員構成が異なります(男性:229人、女性:19人)。

<男性労働者の育児休業取得率>

・育児休業取得率も過去と比べて上昇傾向にあり、男性従業員にも育児参画の意識や制度認識が徐々に図られてきています。

<男女の賃金の差異>

・昇格要件には差異はありませんが、相対的に賃金水準の高い管理職層の女性比率が未だ低いです。

・育児のための短縮勤務を利用している女性社員が一定数存在します。

10 連結子会社のうち主要な連結子会社以外のものについては、「第7 提出会社の参考情報」の「2 その他の参考情報」「(2) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

1.サステナビリティ全般

(1)ガバナンス

当社グループでは2020年度からサステナビリティ推進委員会(委員の構成等は右図のとおり)を年2回(原則として、9月・2月)開催しています

同委員会ではサステナビリティに関する外部環境(行政・投資家・他社の動向等)やESG評価機関の評価状況等を踏まえ当社グループのサステナブル経営の重要テーマに関する方針を策定したり取組の進捗状況について確認したりするほか中期経営計画に反映すべき事項等について審議・決定しています

また同委員会における審議内容はグループ経営会議に付議されるとともに取締役会にも報告してその監督を受けています

同委員会を中心に、事務局(主管)であるサステナビリティ推進部が経営企画部門や各事業部門と連携しながら、サステナブル経営のPDCAサイクルを回しています。このように、グループ全体のマネジメント体制に組み込んで、サステナブル経営を推し進めています。

 

 

 

 

(2)戦略

当社グループではサステナビリティ宣言においてサステナブル経営を進める上での基本方針や6つの重要テーマ等を定めています重要テーマの特定にあたってはSDGs(持続可能な開発目標)をはじめとするグローバル共通の社会課題や当社グループが特に対処すべき社会課題を踏まえ外部有識者の意見も参考にしながら下記6つに絞り込みグループ経営会議での審議を経て取締役会で承認しました。これらをベースにこれからもお客様や地域社会等との信頼関係を構築しながら持続的な成長を図りひいては持続可能な社会の実現につなげていきますなおサステナビリティ宣言の詳細については第2 事業の状況1 経営方針経営環境及び対処すべき課題等」「2.サステナビリティ宣言に記載のとおりです

重要テーマと取組方針を踏まえた具体的な取組の方向性については、以下のとおりです。

 

 

(3)リスク管理

当社では人事総務室内にグループのリスク管理を統括する担当部署を設け毎年リスク調査を行っています同調査では気候変動(自然災害等)・事故・情報管理・法令順守・その他組織運営等に関するリスクを対象としており組織横断的なリスクについては同担当部署が各コア事業固有のリスクについては各事業部門がそれぞれリスクを特定・分析し適切な対応方を定めるようにしていますまたこれらのリスク分析やリスク対応の状況については毎年取締役会で報告しています

このうち気候変動関連のリスクについては自然災害など事業運営に直接影響するリスクだけでなくエネルギーや資材価格の高騰などバリューチェーンで発生するリスクも項目ごとに分析・検討を行っておりその上で時間軸(短期・中期・長期)をにらみながらリスク評価を実施していますそして年に複数回その対策状況についてモニタリングを行っています

また、気候変動関連のリスクやそれらが事業に与える影響等については、サステナビリティ推進委員会でも審議しています。そして、その内容については、リスク調査時の重点リスクの選定に活かすなど、グループ全体のリスクマネジメントに反映するようにしています。

 

(4)指標及び目標

当社グループがサステナブル経営を推し進めるにあたり、特に重要と考える取組については、2030年度の経営目標として、グループ共通の非財務KPIを設定しています。

 

 

また、その他、健康経営や男性育児休業等に関するグループ共通の非財務KPIや、事業特性に応じたコア事業ごとの非財務KPIを設定しており、グループ全体で重要テーマの実現に向けた取組を進めています。

 

2.気候変動

当社グループは、2021年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」へ賛同の意を表明し、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の各項目に沿った情報開示を進めています。また、2022年5月に公表した長期ビジョンでは、パリ協定の目標である1.5℃シナリオの実現に向け、当社グループのCO2排出量の削減目標として、2050年度実質ゼロを新たに掲げ、その中間地点となる2030年度の目標を△46%(2013年度比)としました。今後も、気候変動への対応を事業戦略に組み込み、事業の強靭性を高めることで、脱炭素社会への移行を着実に推し進めていきます。

 

(1)ガバナンス

ガバナンスについては、「1.サステナビリティ全般」の「(1) ガバナンス」に記載のとおりです。

 

(2)戦略

<リスク・機会の特定>

気候変動への対応を検討するにあたり、当社グループのコア事業のうち、特に気候変動の影響が大きいと想定される鉄道事業と不動産事業について、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスクと機会の特定を行いました。

 

 

<シナリオ分析及び財務的な影響の試算>

特定したリスクと機会のうち特に影響が大きいと想定されるものについて2030年度における鉄道事業・不動産事業への影響を把握するためシナリオ分析を実施しました具体的には脱炭素政策の強化が見込まれる1.5℃シナリオ、物理的リスクの顕在化が見込まれる4℃シナリオにおける事業への財務的な影響の試算(※1)を行いました。

 

分析にあたり活用した社内外のデータは以下のとおりです

① 社内データ:CO2排出量の見通し自然災害リスクへの対応計画ZEB・ZEHの施工計画等

② 外部データ:IEA(国際エネルギー機関)や環境省・気象庁のレポート等(※2)より炭素税の予測

降雨量の予測等

 

※1 単年度の営業利益への影響額についていずれのコストアップも価格転嫁を加味しない場合の試算を行いましたなお当該試算は2023年3月末時点をベースとしており今後新たな前提で試算を行った際は統合報告書等で随時公表する予定です

 

※2 IEAWorld Energy Outlook 2022

IPCCRCP8.5」「RCP2.6

気象庁日本の気候変動2020 大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—」

 

<鉄道事業への影響と今後の対応>

1.5℃のシナリオでは、政策等により環境関連の規制が強化され、炭素税の導入に伴うCO2排出量への課税により△27億円の営業利益への影響が生じることが確認できました。引き続き、省エネルギー型車両への更新やLED照明の導入等によるエネルギー使用量の削減、また駅等への太陽光パネルの設置など再生可能エネルギーの活用に取り組むことで、これらの影響を低減していきます。

4℃シナリオでは、自然災害の激甚化(規模・頻度)により、物理的被害の可能性が高まることが確認されました。今回の試算では、当社沿線で被害額が最も大きいと見込まれる武庫川を選定し、被害額を算出しました。氾濫発生時に車両避難を実施しなかった場合、想定される営業利益への影響額は△39億円となる一方で、車両避難を実施することにより、被害を△4億円まで大幅に軽減できることを確認できました。引き続き各種安全投資や車両避難計画の着実な運用等により、長期運休を回避できる強靭な事業運営に努めていきます。

 

[物理的リスクに対するハード・ソフト両面での対応例]

ハード面では、線路脇で土砂崩れが発生する危険性の高い箇所について、斜面の崩壊や落石の防止、排水機能の強化等の対策工事や、雨量計の増設等を実施しています。

ソフト面では、河川の氾濫による車庫及び車両の浸水被害を回避するため、車両避難計画等の浸水対策を進めています。例えば、今回財務的な影響額を試算した武庫川では、過去100年間、西宮車庫周辺を含む下流域で洪水は発生していませんが、実際に発生したときに想定される影響額の大きさに備え、災害レベルの豪雨(※3)が予想される際に、阪急電鉄の西宮車庫の車両を浸水の影響がないところへ避難させる計画を策定しています。このように、ハード面及びソフト面から気候変動リスクに対する安全対策を進め、被害の低減に努めています。

 

※3 市区町村等が作成したハザードマップ上の「計画規模降雨(100年に1度の降雨規模)」を想定しています。

 

<不動産事業への影響と今後の対応>

1.5℃のシナリオでは、炭素税の導入に伴う建設資材の価格の上昇により△23億円、ZEBをはじめとする建築物への対応や環境規制の強化に伴う建築コストの上昇により△5億円など、営業利益への影響が生じることが確認できました。なお、ZEHについては、国等の補助金を活用するとともに、用地仕入れの段階からZEH採用によるコスト増を収支に織り込み、適正な販売価格を設定する(ZEH住宅への税制優遇等により、顧客のZEHへの評価も向上している)ことにより、営業利益への影響は限定的と見込んでいます。一方、ZEBについては、賃料価格への転嫁が難しく、営業利益に上記の建築コストの上昇に伴う減価償却費相当の影響が生じる可能性がありますが、国等の補助金も活用しながら、できるだけ影響の低減に努めていきます。

4℃シナリオにおける不動産事業への財務的な影響は、限定的であることを確認しました。物理的リスクとして、梅田地区の水害が想定されますが、内水氾濫については、不動産物件への止水板の設置や災害対応マニュアルの整備など既に対応を完了しており、外水氾濫については、発生確率が非常に低い(※4)と見込まれています。

今後も、新たに開発する大型ビルを中心にBCP対応率やグリーンビルディング認証の取得率、新規マンション開発におけるZEH化率などの指標を掲げ、いずれのシナリオにおいても対応できるよう取組を進めていきます。

 

※4 淀川の氾濫に伴う梅田地区の浸水は、市区町村等が作成しているハザードマップの想定最大規模の降雨時(1000年に1度程度)にのみ想定されていますが、4℃シナリオにおいても発生確率は非常に低いと見込まれています。

 

(3)リスク管理

リスク管理については、「1.サステナビリティ全般」の「(3) リスク管理」に記載のとおりです。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、サステナブル経営の重要テーマに「環境保全の推進」を掲げ、グループ共通の非財務KPIとして、CO2排出量(※5)の削減目標を設定しています。具体的には、パリ協定の目標である1.5℃シナリオの実現に向け、当社及び子会社の国内事業所におけるCO2排出量の削減について、2050年度において実質ゼロとする目標を掲げ、また中間目標として、2030年度に2013年度比△46%とすることを目指しています。

 この目標達成に向けた基本的な取組方針は、まずエネルギー使用量の削減を重視し、財務の健全性と投資効率をみながら「①省エネの着実な推進」に取り組むとともに、技術革新の動向をみながら、事業採算性が合うので

 

あれば、「②創エネ(再エネ発電設備等の導入)の検討」を進めていきます。そして、①、②の取組だけで目標を達成することが難しい場合は、「③再エネ電力の購入」によりカバーリングすることで対応していきます。

上記の方針のもと、各事業では、気候変動への対応を含む非財務のアクションプランや進捗管理を適切に行うための指標を設定しています。また、2021年度の温室効果ガス排出量から、スコープ1及びスコープ2に加えて、スコープ3についても算定しています。さらに、CO₂削減に向けた投資の促進等を目的に、2023年度から、インターナルカーボンプライシング(※6)を導入(5,000円/t-CO2)しました。

 

今後も、脱炭素社会に向けた取組を積極的に推し進めていきます。

 

※5 スコープ1、2相当。なお、当社グループではCO2以外の温室効果ガスの割合が極小であることからCO2排出量を温室効果ガス排出量とみなしています

※6 企業が独自に炭素価格を設定し、将来のCO2排出量削減や炭素税の導入による経済的な影響の把握、投資判断の意思決定、省エネ推進へのインセンティブ等に活用する手法

 

 

3.人的資本・多様性

長期ビジョンの実現に向けては、沿線やコンテンツの魅力をさらに高め、事業フィールドをより拡げるなど、グループが一体となって変革を推し進めていく必要がありますので、その原動力となる従業員一人ひとりが活躍することは、欠かせない重要なファクターです。こうしたことを踏まえ、当社グループでは、今後とも従業員の働きがいや働きやすさをより高め、多様な人材が個性や持てる能力を最大限に発揮し、活躍できる環境を整備することで、様々な価値観が響きあう躍動感溢れる組織を創っていきます。

 

(1)戦略

長期ビジョンを実現するためには、同ビジョンと連動した人材戦略が必要です。そのために、新卒の同質性の高い人材だけに頼るのではなく、多様な人材を備え、また従業員の潜在能力を新たに見出し、会社と従業員の双方が協力してそれを高めながら、一人ひとりが活躍しやすい環境を整えていきます。

 

<長期ビジョン(=経営戦略)と連動した人材戦略>

 

 

(2)指標及び目標

経営戦略上必要な人材を計画的に採用・育成し、一人ひとりのパフォーマンスの最大化を図るため、下表のとおり、KPIを設定しています。

 

なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、当社グループに属するすべての会社では行われていないため、連結ベースでの記載は困難です。このため、上表の指標に関する目標及び実績は、注釈があるものを除き、当社及び主要6社を対象として記載しています。また、一部のKPIについては、実績のモニタリングのみを行っているため、目標値を設定していません。

 

4.人権

(1) ガバナンス

ガバナンスについては、「1.サステナビリティ全般」の「(1) ガバナンス」に記載のとおりです。

 

(2) 戦略

当社グループは「人の尊重」をグループ経営理念の価値観の一つとしており、すべての従業員がその趣旨を深く理解できるよう、「人権の尊重に関する基本理念」と「人権の尊重に関する基本方針」を明文化しています。

2023年4月には、国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」等を踏まえ、基本理念と基本方針を改定し、これを踏まえて人権デュー・ディリジェンスにも取り組むなど、今後も負の影響の回避・低減に努めていきます。

<阪急阪神ホールディングスグループ 人権の尊重に関する基本理念>

 私たちは、事業活動を通じて関わるすべての人の人権を尊重することで、出生、人種、国籍、宗教、信条、性別、性的指向、性自認、年齢、障がいの有無などによる差別や人権侵害のない、豊かな社会づくりに貢献します。

 

<阪急阪神ホールディングスグループ 人権の尊重に関する基本方針>

1.人権尊重に関連する法令・規範の遵守

 私たちは、私たちの事業活動を行うそれぞれの国や地域で適用される人権に関する法令の遵守に努めるとともに、国際連合の「国際人権章典(世界人権宣言・国際人権規約)」および国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」※などの人権に関する国際規範を支持・尊重します。

※ 結社の自由および団体交渉権の承認、強制労働の禁止、児童労働の禁止、雇用および職業における差別の禁止、安全で健康的な労働環境を中核的労働基準として定めています。

 

2.適用範囲

 本理念と方針は、阪急阪神ホールディングスグループのすべての役職員に適用します。また、関連するステークホルダーに対しても、本理念と方針への理解・支持を得るよう努め、共に人権尊重の歩みを進めることを期待します。

 

3.人権デュー・ディリジェンス

 私たちは、人権尊重の責任を果たすため、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施し、人権への負の影響の回避・低減に努めます。

 

4.救済・是正

 私たちは、私たちの事業活動において人権への負の影響を直接的に引き起こしたり、助長したりしたことを把握した場合、適切な手段を通じて、その救済と是正を実施もしくは協力します。

 

5. ステークホルダーとの対話

 私たちは、社外の専門家との対話を通じて知見を得るとともに、ステークホルダーの意見に耳を傾け、責任ある対応に努めます。

 

6. 教育・啓発

 私たちは、本理念と方針が私たちの事業活動に定着するよう、必要な教育と啓発を継続的に行います。

 

7.職場環境づくり

 私たちは、私たち役職員一人ひとりの人権を尊重するため、採用に始まるすべての処遇において、公正かつ公平であるよう努めます。また役職員がお互いに一人ひとりの違いを認め、個性や能力を存分に発揮できる職場環境づくりを進めます。

 

8.情報開示

 私たちは、人権尊重の取組について、適時・適切に情報を開示します。

 

なお、「人権の尊重に関する基本理念」と「人権の尊重に関する基本方針」について、当社グループの全役職員に配付する「コンプライアンスの手引き」等を通じて周知を図っているほか、グループ各社の経営層と当社の全管理職を対象に、経営トップによるサステナブル経営の重要性の説明や外部有識者による人権啓発研修を毎年実施するなど、トップコミットメント及び教育・啓発に取り組んでいます。

 

(3) リスク管理

<人権デュー・ディリジェンス>

当社は、人権の尊重に関する基本理念及び基本方針の改定にあたり、全連結子会社に対し、2022年度にチェックリストによる人権尊重に関する状況確認を実施しました。当該リストは、ILO(国際労働機関)が定める中核的労働基準である、結社の自由及び団体交渉権の承認、強制労働の禁止、児童労働の禁止、雇用及び職業における差別の禁止、安全で健康的な労働環境に関して、専門家の助言を踏まえて、当社が独自に作成したものです。

また、「ビジネスと人権」の視点をさらに意識し、グループ全体(サプライチェーンを含む。)において、人権リスクの洗出しと優先順位付けをしたうえで、人権侵害の防止・負の影響の軽減の取組を進めていきます。取組にあたっては、社外の視点を重視し、大学教授やNGO等の外部の専門家と対話しながら進めていきます。

特に、ハラスメントについては、当社社長及びグループ各社のトップからハラスメント防止メッセージを従業員に発信するとともに、毎年、グループ各社がハラスメント防止対策計画を策定し、それに沿った取組を計画的に実施しているほか、当社グループの従業員を対象に「職場環境に関するアンケート」を隔年で実施し、アンケート結果を、グループ各社におけるハラスメント防止対策の立案に活用しています。

<是正・救済>

当社では、人権侵害行為を含む法令等違反行為・反倫理的行為が行われていた場合、又はそのおそれがある場合に、当社グループの役職員及び当社グループのお取引先が利用可能な内部通報制度として、内部相談受付窓口及び外部の弁護士を窓口とする外部相談受付窓口からなる「企業倫理相談窓口」を設置しています(匿名での相談も可能)。なお、企業倫理相談窓口の運用の状況について、毎年取締役会及び監査等委員会に報告しており、2022年度におけるグループ全体の受付件数は69件でした。

さらに、当社では、当社グループの従業員を対象とした「ハラスメント相談窓口」を設置し、職場におけるハラスメントについての相談を受け付けています(匿名での相談も可能)。

両窓口の利用にあたっては、相談者のプライバシーが保護されることはもちろん、相談したことを理由とする不利益な取扱いがない旨を規程等で明示しています。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、研修等を通じて人権啓発に取り組んでおり、下表のとおり、KPIを設定しています。

非財務KPI(※)

目標値(2025年度)

2022年度実績

当社主催人権研修受講率

100%を継続

100%

※ 対象範囲は、当社及び主要6社(阪急電鉄・阪神電気鉄道・阪急阪神不動産・阪急交通社・阪急阪神エクスプレス・阪急阪神ホテルズ)