2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    900名(単体) 5,176名(連結)
  • 平均年齢
    38.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.0年(単体)
  • 平均年収
    12,227,592円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ドライバルク

180

(3)

エネルギー資源

205

(5)

製品物流

3,730

(377)

その他

591

(45)

全社(共通)

470

(47)

合計

5,176

(477)

 (注)1. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は、年間平均雇用人員数を( )外数で記載しています。

    2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

900

(57)

38.5

14.0

12,227,592

 

セグメントの名称

従業員数(人)

ドライバルク

104

(3)

エネルギー資源

149

(5)

製品物流

177

(2)

全社(共通)

470

(47)

合計

900

(57)

 (注)1. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(嘱託、人材派遣会社からの派遣社員を含む。)は、年間平均雇用人員数を( )外数で記載しています。

    2. 平均年間給与は、賞与及び時間外手当等を含んでいます。

    3. 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。

 

(3)労働組合の状況

当社(川崎汽船㈱)において、陸上従業員の労働組合は川崎汽船労働組合と称しています。上部団体には加盟していません。海上従業員は全日本海員組合に加入しており、労働条件に関する基本的事項の交渉は、同組合と当社(川崎汽船㈱)の所属している船主団体「日本船主協会外航労務部会」との間で行われています。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

   (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

   (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.(注)3.

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期

労働者

7.4

81.9

63.7

65.4

48.7

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

     当社では2004年から女性の総合職採用を本格的に開始しています。職場におけるジェンダーバランスの強化に向けて「女性活躍推進及び次世代育成支援のための行動計画」を策定するなど、多様性の更なる促進に取り組んでいます。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

  当社では男性の育児参加への機会促進のため、育児休業と別に当社独自の育児目的休暇である「配偶者出産休暇」・「父親のための育児休暇」を導入しており、従業員のワーク・ライフ・バランスを支援しています。

    3.以下は男女の賃金の差異に関する補足説明になります。

            <全労働者>

      当社では性別を理由とした、賃金に関する不利益な取扱いを行っておらず、全ての従業員が働き甲斐を持っ

      ていきいきと働ける企業となることを目指しています。

      なお、全労働者に対する人数比率は、正規雇用労働者:94.3%、パート・有期労働者:5.7%です。

 

      <正規雇用労働者>

      当社では2004年から女性の総合職採用を本格的に開始しているため、平均勤続年数の差異により男女の賃金

      差異が発生していますが、女性の採用を拡大し、性別に関わらず活躍できる配置に取り組んでいます。

      正規雇用労働者のコース別の賃金差異・平均勤続年数・人数比率は以下のとおりです。

 

男女の賃金の差異(%)

平均勤続年数(年)

人数の比率(%)

男性

女性

(正規雇用労働者計に対する比率)

陸上従業員

Gコース(総合職)※1/ EKコース(地域総合職)

71.3

14.7

9.3

63.6

Sコース(一般職)※2

20.1

8.6

海上従業員

78.3

13.0

8.1

27.8

※1. Gコースは陸上勤務中の海上従業員も含む

※2. Sコースは女性のみ

 

      <パート・有期労働者>

      主に定年再雇用ですが、定年退職時のコースに応じた処遇となるため、男女の賃金差異が発生しています。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率

  (%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート・

有期労働者

ケイラインロジスティックス㈱

12.3

83.3

72.4

71.5

60.3

㈱ダイトーコーポレーション

14.3

84.6

80.1

81.3

77.0

日東物流㈱

10.2

100.0

75.9

78.5

90.4

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。

 

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)基本的な考え方

当社は創業以来、海運を主軸とする物流企業として国際的な社会インフラを担ってきましたが、人々の生活や経済を支えるライフラインとしての使命を果たしてゆくには、経営にサステナビリティ(環境・社会・経済の持続可能性)の視点が重要です。また、急速に変化する事業環境のなかで持続的な発展により企業価値を向上させてゆくには、気候変動問題やSDGsなどに代表されるグローバル社会の要請やお客さまのニーズの変化を的確に捉え、経営戦略を機動的に打ち出す必要があります。当社グループが大事にする価値観のひとつである「地球環境と持続可能な社会への貢献」を体現すべく、サステナビリティへの主体的な取組みを通じて、社会課題の解決に貢献しつつ、成長機会の追求と企業価値の向上に努めます。

 

(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス

グローバルな価値観や行動の変容が加速し、地球温暖化による環境負荷の低減に対する意識が高まるなか、当社グループは、サステナビリティ経営を中長期的な企業価値向上の実現に向けた重要課題の一つとして捉え、取締役会において継続的に議論しています。

サステナビリティに重点を置いた経営を強化するため、代表執行役社長を委員長とする「サステナビリティ経営推進委員会」及び「GHG削減戦略委員会」を設置しています。

このうち「サステナビリティ経営推進委員会」は、当社グループのサステナビリティ経営方針、推進体制の審議・策定を通じて、企業価値向上を図っています。

その下部組織である「サステナビリティ専門委員会」は、当社グループが特定しているマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の各課題に対する管掌部門のグループ長が委員として参加しており、マテリアリティに関する取組みの実践状況をモニターし、その進捗状況を定期的に上部組織であるサステナビリティ経営推進委員会に報告しています。

もう一つの下部組織である「環境専門委員会」は、「川崎汽船グループ環境憲章」及び国際標準化機構(ISO)の規格に則って構築された「環境マネジメントシステム(EMS)」を機能的に運用するとともに、その他の環境に関わる活動を推進しています。

一方、「GHG削減戦略委員会」は、各種環境対応が急務ななか、当社グループの燃料転換を主体としたGHG削減戦略を策定するとともに、総合的な対応戦略、機器選定等の技術対応・円滑な運用準備などの方針を策定し、実施を統括しています。具体的には、下部組織として「CII・2030年環境目標対応プロジェクトチーム」「次世代代替燃料推進プロジェクトチーム」「安全環境支援技術プロジェクトチーム」の3つのプロジェクトチームを置き、喫緊の課題であるEEXI(Energy Efficiency Existing Ship Index、既存の大型外航船の燃費性能規制)やCII(Carbon Intensity Indicator、燃費実績の格付制度)への組織的対応を強化するほか、LNG燃料焚き船・LNG燃料供給事業への取組み加速と次世代燃料や新技術の検討、環境規制への技術面も含めた対応方針の策定を担っています。なお、2024年度はGHG削減に関して集中的に討議する「次世代燃料船推進タスクフォース」を組成し、討議結果を経営会議へ報告しました。

 

(2024年度委員会開催実績)

委員会

開催月

主な議題

サステナビリティ経営推進委員会
(全2回)

7月

・マテリアリティKPI設定の件

・サステナブル調達 体制構築進捗報告

・グループ企業行動憲章・川崎汽船企業行動憲章実行要点改正の件

・企業版ふるさと納税制度を活用した藻場再生プロジェクト参加の件

12月

・グループ企業行動憲章・川崎汽船企業行動憲章実行要点改正の件

・サステナブル調達 体制構築進捗報告

・サステナビリティ情報開示義務化の動きについて

・FuelEU Maritime運用方針案

・TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)フレームワークに基づく情報開示アップデート

・2024年度投資評価に適用するカーボンプライシング再評価

サステナビリティ専門委員会

(全2回)

6月

2024年7月開催のサステナビリティ経営推進委員会と同じ

12月

2024年12月開催のサステナビリティ経営推進委員会と同じ

環境専門委員会

(全2回)

12月

・環境マネジメントシステム(EMS)内部監査結果

・環境マネジメントシステムマネジメントレビュー

・環境負荷推移報告(当社運航船のCO2排出効率推移)

・環境負荷推移報告(国内外グループCO2排出総量推移)

・TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)及びTNFDに基づいた開示

・MEPC82の審議結果と今後の見通し

・EU-ETS進捗状況及びFuelEU Maritimeセットアップ(報告)

3月

・2024年 環境目標達成状況(報告)

・2025年 環境目標設定(審議)

・EU-ETS進捗状況 及び FuelEU Maritimeセットアップ(報告)

・ISWG-GHG 18 審議結果と今後の見通し(報告)

・環境マネジメントシステム DNV外部監査結果(報告)

・DRIVE GREEN NETWORK監査結果(報告)

・環境負荷推移(トンマイル当たりのCO2排出量)(報告)

GHG削減戦略委員会

(次世代燃料船推進タスク

フォース)

(全12回)

5月~8月

・次世代燃料船船隊整備計画

・次世代燃料導入プラン

・IMO環境規制の想定と追加コスト

・FuelEU Maritime 対応方針

 

(3)サステナビリティ全般に関するリスク管理

当社はサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程の一環として、必要に応じてマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の見直しを行っています。

直近に実施した2022年度の見直しでは、新たに5分野、12項目のマテリアリティを特定しました。

マテリアリティの特定に際しては、ISO26000やOECD多国籍企業行動指針など、主として CSR(企業の社会的責任)に関連する各種ガイダンスを参考に、SDGsなどで掲げられる社会課題を考慮しつつ、事業戦略との整合性や価値創造の観点なども加味して、「自社にとっての重要性」(ビジネス視点での重要性)と「社会にとっての重要性」(ステークホルダー視点での重要性)という2軸から、マテリアリティの分析・評価を行いました。

 

 

マテリアリティ分析のステップ

Step1 社会課題リストの作成

        ・SDGsなどを中心に社会課題をリストアップ(社会課題のロングリスト作成:全115項目)

        ・自社事業との関連性並びに海運特有の社会課題を加味して社会課題の絞り込みを実施(社会課題のショート

          リスト作成:全50項目)

 

Step2 社会課題の評価(自社にとっての重要性評価、社会にとっての重要性評価)

        ・Step1で絞り込まれた全50項目の社会課題に対して、以下の観点でその重要性評価を実施

     – 自社にとっての重要性

        ・各社会課題について、リスクと機会の観点から自社の企業価値への影響度を評価。当社グループ役職員への

          アンケートも実施し、当社グループが優先的に対処すべき社会課題について意見を聴取

     – 社会にとっての重要性

    ・各社会課題について、当社グループにとって重要なステークホルダー(顧客、投資家、従業員、地域社会、

          国際社会)に与える影響度を、それぞれのステークホルダーの立場に立脚して分析

 

Step3 マテリアリティの特定

        ・Step2において、自社、ステークホルダーそれぞれに対して重要性の高い項目を、自社の企業価値への

          影響度が高い社会課題と位置付け、さらにこれらを「社会課題解決へのアクション」として全12項目に

     集約し、マテリアリティ案を作成

        ・外部有識者と当社経営陣によるダイアログを実施し、マテリアリティ案について意見交換

        ・ダイアログを踏まえて最終化されたマテリアリティ案を、サステナビリティ経営推進委員会で討議し、

          経営会議での協議を経て、取締役会に報告

 

(4)マテリアリティ

当社グループはマテリアリティを、中期経営計画に基づいて企業理念やビジョンを実現するために取り組むべき

重要課題と位置付けています。当社が特定したマテリアリティ12項目は、中期経営計画で掲げる機能戦略の4本柱である「安全・品質」「環境・技術」「デジタライゼーション推進」「人材」と、それらの土台としての「経営基盤」の5分野に分類して整理されています。

 

分野

社会課題解決へのアクション

=マテリアリティ

基本方針

経営基盤

人権の尊重

グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取組みを推進する。

コーポレートガバナンスの強化

企業の社会的責任を果たし、株主等ステークホルダーの負託に応え、持続的に成長していくために、グループ全体に企業倫理を徹底しつつ、有機的かつ効果的なガバナンスの仕組みを構築し、収益・財務体質の強化と相まって企業価値を高めるよう継続して努力していく。

コンプライアンスの推進・強化

国内外の法令や社会規範を遵守し、公正、透明、自由な競争及び適正かつ誠実な取引を行う。

安全・品質

安全運航の推進

船舶の安全運航及び乗組員と貨物の安全確保に最優先課題として取り組むとともに、顧客を第一に考えた、より高品質で安全かつ最適なサービスの提供に努める。

環境・技術

自社の低炭素化・脱炭素化

グループ方針である2050年GHG排出ネットゼロに向けて、サプライチェーン全体で環境負荷の低減活動を推進し、地球規模の脱炭素社会の構築に貢献する。

社会の低炭素化・脱炭素化支援

自社からの海洋・大気への環境影響の限りないゼロ化

事業活動におけるあらゆる環境リスクを考慮し、その対策に取り組むとともに、生物多様性の保全と持続可能な社会の実現への取組みを推進する。

イノベーションの促進

低炭素・脱炭素社会の構築に取り組むため、安全・環境・品質面でのイノベーションの追求に取り組む。

デジタライゼーションの推進

DX対応の強化

情報・業務プロセス及び船舶のデジタライゼーションを一層進め、データやデジタル技術の活用により、安全・環境・品質のコアバリューを磨き上げ、競争力の源泉として付加価値を向上する。

人材

ダイバーシティ&

インクルージョンの促進

多様性を「競争力の源泉」と位置付け、国籍、大学、学部、性別、職種(事務系・技術系)を問わない一括採用・キャリア採用を実施している。また、それによって生み出される価値観の多様性も尊重している。さらに、男性の育児参加を促進するとともに、“K”LINE UNIVERSITYを通じた海外現法スタッフとの一体感の醸成・融合など多様性の更なる促進に取り組んでいる。

労働環境の整備・

健康経営の促進

グループ従業員の人格、個性及び多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境の整備・向上を図るとともに、ゆとりと豊かさの実現をめざして、育児介護休業制度、コンプライアンス相談窓口の設置、過重労働対策、ストレスチェック、メンタルヘルスセミナーの実施などの施策に取り組んでいる。

人材の確保・育成

社会的価値及び経済的価値の向上に向けて各事業ポートフォリオの需要に応じた人材の量的・質的な確保・育成に取り組んでいる。新卒採用に加えて通年でのキャリア採用も実施しており、「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」の育成を目的に多様な研修プログラムを実施している。

 

(5)重要分野への対応

当社グループは、マテリアリティの中でも「環境・技術」や「人材」を特に重要な分野として捉えています。

これらの分野に関する具体的な方針や対応は以下のとおりです。

 

  ①気候変動への対応(自社の低炭素化・脱炭素化、社会の低炭素化・脱炭素化支援)

   「TCFDフレームワークに基づく情報開示」

   a)考え方

     当社グループは、地球規模での気候変動対策を国際社会全体で強化すべき課題として捉え、「2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦」を2021年11月に宣言しました。また、2022年5月公表の中期経営計画における長期ビジョンとして、持続的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進しています。2024年8月には、刻々と変化する最新の状況を踏まえ、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言するシナリオ分析を見直すとともに、そこで特定された「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目における気候変動リスクと機会に関する財務インパクトの試算を実施し、開示内容を拡充しています。

 

   b)ガバナンス

     ※「(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス」をご参照ください。

 

   c)リスクと機会

     社内へのサーベイ調査、関連部門へのインタビューを基に気候変動によるリスク・機会項目の発現可能性、発現時期、財務インパクトを整理し、当社事業への重要度を分析しました。そのうえで、各リスク・機会項目に対して、事業への影響に対する考察・対応策を整理しました。

 

気候変動という長期にわたる不確実な課題に対する経営戦略の持続可能性・強靱性を評価する観点から、「2.4℃シナリオ」、「1.7℃シナリオ」、「1.4℃シナリオ(財務インパクト評価:1.5℃以下シナリオ)」の3つのシナリオを想定し、気候変動によるリスク・機会項目が実際に起こったと仮定して、財務への定量的な影響を把握、対応策を検討しています。また、物理的リスクにおいては、2.4℃よりも温度上昇の高いシナリオ(3.0 ℃以上、RCP8.0相当)を想定してリスク分析を行っています。

(財務インパクト評価の結果)

どのシナリオにおいても、低炭素・脱炭素化に向けた取組みを行わなければ、当社へのマイナスインパクトが長期にかけて発生し続けることをあらためて再認識しました。また、当社事業を持続的に発展させ、人々の豊かな暮らしに貢献し続けるためには、どのシナリオにおいても当社の自助努力にもかかわらず、カバーできない低炭素・脱炭素施策におけるコスト増加を、収入への反映を通して社会全体で負担する必要があると定量的なインパクトとしても認識することとなりました。

 

 

なお、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムの運用により、環境マネジメントシステム関係者による各部門・グループ会社におけるリスクと機会の抽出・評価を年一回実施、認識されたリスクと機会については、必要に応じて「環境専門委員会」若しくは「サステナビリティ専門委員会」を通じて代表執行役社長を委員長とする「サステナビリティ経営推進委員会」へ報告され、対応について審議・指示が行われます。

 

   d)指標と目標

 2030年に向けては、これまで「“K”LINE 環境ビジョン2050」で掲げてきた中期マイルストーンの目標達成に向けて、アクションプランを着実に推進し、2050年の目標としては、GHG排出ネットゼロに挑戦していきます。

 

 

   e)戦略と取組み

 2050年GHG排出ネットゼロに挑戦する過程において、まずは2030年中期マイルストーン達成に向けた取組みとして、自社の低炭素・脱炭素化という観点から、LNG燃料船、LPG燃料船、アンモニア/水素燃料等ゼロエミッションの新燃料船への転換を進めていきます。また自動カイトシステム「Seawing(風力推進)」や統合船舶運航・性能管理システム「K-IMS」などの活用によるCO2排出削減の取組みも推進していきます。

 2024年5月には、当社初のLNG燃料ケープサイズバルカー、CAPE HAYATEが竣工しました。

 

 

       当社グループの気候変動に対する具体的な取組みにつきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

       「サステナビリティ」>「環境」>「気候変動への対応」>「戦略と取り組み」

        https://www.kline.co.jp/ja/sustainability/environment/climate_change.html#005

 

   f)温室効果ガス排出実績

 

  (目標に対する進捗)

 

2008年(基準年)

2024年

基準年比改善率

CO2排出効率

7.21g-CO2/トンマイル

4.20g-CO2/トンマイル

42%

CO2排出総量

1,368万トン

692万トン

49%

 

2024年において当社グループの事業に伴う温室効果ガスの排出量(GHG Protocolによる算定・報告の基準による)は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)6,923,162トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)5,582トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)4,602,610トン、バイオ燃料使用に伴う温室効果ガスの排出量は29,327トンという結果となりました。

 

 

   (スコープ別排出量一覧)

カテゴリ

GHG排出量(ton)

スコープ1

6,923,162

スコープ2 *Location Base

9,994

スコープ2 *Market Base

5,582

スコープ3

4,602,610

<スコープ3の内訳>

購入した物品・サービス

63,383

資本財

459,729

燃料・エネルギー関連

422,670

事業から発生する廃棄物

1,900

出張

643

従業員の通勤

2,332

13

下流のリース資産

60

15

投資

3,651,893

Outside of scopes(バイオ燃料使用に伴うGHG排出量)                29,327

 

②生物多様性保全への対応(自社からの海洋・大気への環境影響の限りないゼロ化)

「TNFDフレームワークに基づく情報開示」

   a)考え方

     当社グループの事業は、海洋を主とした自然資本に依存する事業であり、気候変動問題のみならず、海洋を中心とした生物多様性保全への取組みは、当社の事業活動において重要なテーマの一つと捉えています。

        当社は、TNFDフレームワークに基づく情報開示の一環として、当社事業における環境リスクや自然関連の影響を評価、適切な対応の検討を目的にTNFDが提唱するLEAPアプローチを導入しました。

       気候変動と自然資本の包括的な理解のもと、リスク・機会管理の強化を目指し、持続可能な未来の構築に向けて、今後も継続的な評価・分析及び情報開示を実施していきます。

 

   b)ガバナンス

「(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス」をご参照ください。

 

   c)戦略、リスクと影響の管理、指標と目標

 当社運航船の航路・寄港頻度の多寡などをベースに各事業拠点及び操業箇所の重点エリアの選定を実施。

併せて、生物多様性の重要性が高い海域を「UN Biodiversity Lab」を用いて特定、さらに双方を照らし合わせて、当社事業活動がより多くの自然との接点を持つ優先地域を特定した各地域において、当社事業に関わる

自然関連の依存度・影響度について評価し、事業リスクを特定した結果、全ての優先地域に該当する「油濁汚染」「大気への影響」「海洋生物の移動防止」「哺乳類への影響」の4つを重点分野として集約・特定しました。それぞれのリスクに対する対応の詳細や指標と目標については以下となります。

 

 (LEAPアプローチにより当社事業の関連リスク・機会として特定された4つの重点分野と、その対応及び目標)

 

 

   LEAPアプローチの詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。

   「サステナビリティ」>「環境」>「自社からの海洋・大気への環境影響低減」>「考え方」>「TNFDフレーム

   ワークに基づく情報開示」

   https://www.kline.co.jp/ja/sustainability/environment/impact_mitigation.html#001

 

なお、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムの運用により、環境マネジメントシステム関係者による各部門・グループ会社におけるリスクと機会の抽出・評価を年一回実施、認識されたリスクと機会については、必要に

応じて「環境専門委員会」若しくは「サステナビリティ専門委員会」を通じて代表執行役社長を委員長とする「サステナビリティ経営推進委員会」へ報告され、対応について審議・指示が行われます。

 

 ③人的資本多様性(ダイバーシティ&インクルージョンの促進、労働環境の整備・健康経営の促進、人材の確保・

  育成)

   a)人材育成方針・社内環境整備方針

 当社では、事業の成長や変革をリードする力を有するとともに、事業環境の変化に柔軟に対応し得る人材の確保・育成に取り組んでいます。ポートフォリオ戦略遂行のために、各事業部門の需要に応じた人材の量的・質的な確保・育成を推進するとともに、これを一層促進するために多様な人材が活躍し、持てる能力を最大限に発揮できる労働環境の整備に努めています。

 人材の確保においては、新卒採用に加え通年でのキャリア採用を実施しており、「成長を牽引する役割」を担う3事業を中心に人員を配置するとともに、事業基盤を支えるコーポレート部門にもバランス良く配置を行っています。採用に際しては、国籍、学歴、性別を問わず、多様な価値観を持つ人材の確保に努めています。

 人材の育成では、モラル・コンプライアンスを重視する企業風土を大切にしながら、「事業の持続的成長・変革をリードしていく人材」として海運プロフェッショナル経営人材の育成、「事業環境変化に柔軟に対応できる人材」としてビジネストランスフォーメーション人材及び環境・技術系人材の育成を目的とし、階層別研修に加えて、海運実務研修、乗船研修、会計・財務研修、マネジメントスキル研修、DX研修等を実施しています。

 社内において働く環境整備の一環として、法令を上回る育児休業制度を設け、女性社員が自律的なキャリア継続が出来るための支援や育児に関する社内理解促進のための管理職研修を実施しています。また、男性の育児参加促進のため、当社独自の施策として最大10日間の育児休暇制度を導入するなど、男性育休取得率の向上も推進しています。加えて、介護と仕事の両立を支援するため、介護休業や独自の休暇制度を整備するとともに、介護に関する相談窓口を設けて、介護に直面する社員が安心して働けるような環境の整備に努めています。コンプライアンスの観点からは社内、社外にハラスメント相談窓口を設け、プライバシーに最大限配慮したうえで迅速に問題解決に当たる体制を整備しています。また、当社役職員向けにハラスメント防止セミナーを毎年開催しています。

 

   b)指標と目標

 全ての社員が働き甲斐をもち、いきいきと働ける企業となることを目指すとともに、仕事と家庭の両立を図りながら、誰もが個々の能力を十分に発揮できる雇用環境の整備を進めるため、女性活躍推進及び次世代育成支援のための行動計画(計画期間:2025年4月1日~2027年3月31日)で以下の当社目標を設定して取り組んでいます。

 

    ・ 計画期間末迄に管理職における女性社員比率を15%とする。

    ・ 一人当たりの月平均法定残業時間を30時間未満とする。

    ・ 男性社員の育児のための休暇・休業取得率を50%以上とする。

    ・ 年次有給休暇と企業独自の法定外休暇(年度内に7日間を限度)を合わせた取得日数を12日以上とする。

注)連結子会社についてはそれぞれの課題に基づいて随時目標の個別設定を行っており、ここでは提出会社

単体の数字を記載しています。

 

   c)目標の進捗状況

 「第一部 企業情報 第1企業の概況 5従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異 ①提出会社」をご参照ください。

 

   なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。