2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業活動において財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。ただし、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。以下においては、将来に関する事項が含まれております。当該事項は本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)法的規制について

 国土交通省は、自動車運送事業者の適正化を図るため、自動車運送事業者の法令違反に対する点数制度を導入しております。そのため、当社グループが使用する車両に対し、過積載などによる累積点数により車両の使用停止・事業の停止・許可の取消処分等の罰則を受ける場合があります。そこで、当社グループでは、安全衛生会議を毎月開催し、適正な業務活動を継続するよう努めております。安全衛生会議では、法令違反・事故の情報共有、再発防止策の周知徹底、ヒヤリ・ハット事例による教育を実施し、安全かつ適正に業務を遂行するために、社内免許制度や総務部安全管理課による業務確認やチェーン装着などの定期的な講習を行い、安全品質の向上を図っております。さらに、当社グループ外の協力会社に関しても、当社グループ内と同様の安全教育を実施し、当社グループが請け負う業務全般に対する安全管理品質の維持に努めております。このような体制の下、現状において許認可等が取消しとなる事由等は発生しておりませんが、今後、許認可等の取消しや事業停止等の処分を受けた場合には、停止期間の営業収益減少リスクが生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 主要な許認可等の概要は、以下のとおりであります。

許認可等の名称

法律名

監督省庁

有効期限

取消事由

一般貨物自動車運送事業

貨物自動車運送事業法

国土交通省

なし

同法第33条

第一種貨物利用運送事業

貨物利用運送事業法

国土交通省

なし

同法第16条

倉庫業

倉庫業法

国土交通省

なし

同法第21条

一般乗用旅客自動車運送事業

(タクシー)

道路運送法

国土交通省

なし

同法第40条

一般貸切旅客自動車運送事業

道路運送法

国土交通省

5年

同法第40条

普通自動車分解整備事業

道路運送車両法

国土交通省

なし

同法第92条他

揮発油販売業者登録

揮発油等の品質の確保に関する法律

総務省

なし

同法第11条

 

(2)人財確保に関する影響について

 当社グループは、労働集約型の事業を展開しているため、事業を拡大していくうえで質の高い人財の確保が必要であります。また、将来的な労働人口の減少への対策として、物流センターにおいては自動化やロボット化への対応、車両においては自動運転技術の対応等、省人化に向けての準備を進めております。しかしながら、適正な人員を確保できない、又は人員確保に係る費用が大幅に増加する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)特定取引先への依存について

 当社グループは、スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアの物流業務を、小売・卸売企業から受託する3PLを主たる事業としております。営業収益の中心である取扱物量だけでなく、事業拠点の拡大及び縮小など、特定の取引先に対する依存度が高くなる傾向にあります。2023年12月期における営業収益に占める上位2社(連結営業収益に占める割合)は、株式会社クスリのアオキ(31.6%)、三菱食品株式会社(14.2%)であります。取引関係維持のため、競争力の維持・強化など最大限の努力をしておりますが、取引先が事業戦略を変更した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)災害等による影響について

 当社グループの事業拠点は、北陸、関東、関西、東海、東北エリアの複数箇所に点在しております。万一、地震や火災が発生しますと、取引先はもとより当社グループの事業活動に影響を及ぼすことが予測されます。さらに、近年の豪雪や猛暑等の異常気象が当社グループの事業活動に影響を及ぼすことも予測されます。事業活動の継続のために災害等に備えておりますが、災害の規模によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)経済動向等による影響について

 当社グループの物流センターで取り扱う商品は、食品・医薬品・日用雑貨が中心であります。そのため、国内景気の大幅な落ち込みによる廉価品の普及や、病気・災害等により購買活動が自粛・制限等される場合には、当社グループの取引先である卸売・小売企業の売上に影響を及ぼし、当社グループの取扱物量や通過金額(注)が減少することが予測されます。そのような経済動向の場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

  (注)通過金額とは、物流センターから出荷された商品の金額(卸売金額)であり、通過金額に契約により定められた料率を乗じて算出した料金が当社グループの営業収益となります。

 

(6)重大な事故等による影響について

 当社グループは、公道を利用してトラックによる商品の輸送を行っております。さらに当社グループ内に所有するトラックを使用するだけでなく、当社グループ外の運送会社等の協力会社に配送業務を委託しております。交通安全・事故防止のために、デジタルタコグラフ(注1)やセーフティレコーダー(注2)を使用した運行管理を実施する他、当社グループ及び協力会社に対して安全運転教育を実施する等、様々な取組を行っております。しかしながら、万一、重大な事故や違反等が発生した場合には、被害者からの訴訟や、顧客からの信頼喪失及び社会的信用の低下の他、車両の使用停止又は業務停止あるいは認可取消などの行政処分等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

  (注1)デジタルタコグラフとは、自動車運転時の速度・走行時間・走行距離などの情報をメモリーカード等に記録するデジタル式の運行記録計のことを指します。

  (注2)セーフティレコーダーとは、安全運転・燃費向上を目的に、「いつ」「どこで」「どういう運転」をしたか運行状況が確認できる車載機のことを指します。

 

(7)原油価格等の変動について

 当社グループは、事業用車両の燃料として軽油及びガソリンを使用しております。そのため、原油価格・為替レートの変動による軽油及びガソリンの購入価格の変動に備えたコスト管理をしております。しかしながら、輸送コスト増加相当分を料金に転嫁できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)規制緩和等による影響について

 当社グループは、物流事業及び旅客事業を展開しており、トラック、バス、タクシーを保有しております。近年のドライバー不足等解消を目的として、道路運送法及び貨物自動車運送事業法等が改正され、事業参入障壁が緩和された場合には、物流事業者と旅客事業者間での業務提携やM&Aが加速する可能性があります。さらに、小規模事業者の参入が増加した場合には、競争激化に伴う輸送費及び3PL業務委託費の見直し等が発生し、営業収益縮減が予測されます。このような規制緩和への対応が遅れた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)競合先の多様化による影響について

 当社グループの取引先は、卸売企業、小売企業が中心であります。取引先が卸売企業の場合は物流事業者間の競合となりますが、取引先が小売企業の場合は物流事業者間のみならず卸売企業とも競合することとなります。また、ネット販売の拡大により、生産者と消費者の間にある小売、卸売、物流企業の垣根が希薄化し、異業種からの参入や、新たな商流及び流通スタイルの登場により競合が激化することが予測されます。このような競合先の多様化への対応が遅れた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)有利子負債依存度及び金利等の変動による影響について

 当社グループは、事業拠点の新設や車両の入替のために継続的な設備投資を行っております。設備投資に係る必要資金については、主に金融機関からの借入金を充当しており、2023年12月31日現在において有利子負債残高は6,335百万円であり、有利子負債依存度は37.6%と高い水準にあります。また、一部の借入金については変動金利で調達しております。

 当社グループでは、健全な企業経営の目的のもと、有利子負債の削減に努め、借入金は金利の固定化を進めておりますが、今後の市場金利の動向により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの一部の借入契約に関しては財務制限条項が付されております。借入金の返済は適切に行われており、当連結会計年度の当社グループの財政状態及び経営成績から判断するとそれらの条項に抵触する可能性は極めて低いものと判断しておりますが、今後、これに抵触した場合、期限の利益を喪失し、当該借入金の一括返済を求められることがあり、この場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、財務制限条項の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結貸借対照表関係 ※3 財務制限条項」に記載しております。

 

(11)システムダウンによる影響について

 当社グループでは、コンピューターシステムを使用して物流センター業務、運送業務等を管理しております。システム管理については、当社グループ全事業所の管理を一元化しており、システムダウンなどのリスク回避のための体制を講じております。しかしながら、予期せぬシステムダウンが生じ、あるいはシステムそのものを破壊された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)情報漏洩による影響について

 当社グループは、物流業務受注に際し、取引先の商品情報等を取り扱うことがあります。そこで、情報の重要度によってアクセス制限を設け、許可者のみが顧客の商品情報等取り扱いできるように社内体制を整備しております。また、社外への情報漏洩を防ぐことを目的として、ノートパソコン等の情報機器及び端末の持ち出しを許可制度とし、管理を徹底しております。しかしながら、情報の漏洩やデータ破損の事態が生じた場合には、顧客からの信頼喪失や社会的信用の低下を招くほか、損害賠償請求等を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)環境規制による影響について

 当社グループは、物流事業における輸送手段として多数のトラックを使用しており、排出ガス規制等の環境関連法令の適用を受けております。当社グループでは、関係法令及び通達等を基準とした環境対策を自主的に進める目的のもと、低公害車を導入し、セーフティレコーダーを利用したエコドライブの教育及び実践を取り入れております。しかしながら、想定を上回る環境規制が実施された場合には、対応する費用の増加により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)M&Aによる影響について

 当社グループは、既存事業の規模拡大や新規エリアへの事業進出に際し、事業戦略の一環として資本参加や資本提携、M&Aを行っております。それらの実行に先立ち、慎重かつ綿密に分析・検討を行っております。しかしながら、事業計画が大幅に遅れて収益計画への影響等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)自動化への対応による影響について

 物流業界を取り巻く環境は、物流倉庫の大型化、自動化、トラックの自動運転化など大きく変化しております。当社グループは、人の代わりとなる設備投資としての自動化・ロボット化への対応ではなく、主に生活物資を取り扱う物流事業者として、緊急時や災害時においても対応が可能な「人を補助する」設備を中心に開発・導入していく方針としております。その場合、独自の機器、設備を開発・導入する投資が増え、投資回収や収益性を実現できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)支配株主との関係について

 当社の代表取締役社長である喜多甚一は支配株主に該当しております。喜多甚一は、同氏の資産管理会社である株式会社喜多商店及び二親等内の親族との合算対象分を含めて、本書提出日時点で当社株式の60.43%を保有しております。同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、今後、市場で当該株式の売却が行われた場合、又は売却の可能性が生じた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先へ譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によっては、当社グループの経営戦略等に影響を与える可能性があります。

 

(17)業績の季節変動について

 当社グループの物流センターで取り扱う商品は、食品・医薬品・日用雑貨が中心であります。そのため、12月には各種イベントや年末商戦によって年間で一番の繁忙期となり物流センターで取り扱う物量が増加致しますが、その反動により1月は閑散期となり物量が減少する傾向にあります。また、2月は他の月と比べると日数減の影響を受け物量が少なくなる傾向にあります。これらの季節変動による物量及び営業収益の増減を踏まえて、当社グループの利益計画を策定しておりますが、各種イベントや年末商戦等の生活習慣や慣例の予期せぬ変更が生じ、当社グループが取り扱う物量が減少し営業収益に影響が出た場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主還元を経営上の重要な課題と認識しており、業績や事業拡大に向けた資金需要に対応した内部留保の確保を総合的に勘案した上で、配当性向やDOEを考慮しながら、長期的に安定した配当を継続することを基本方針としております。

 当社の剰余金の期末配当につきましては株主総会が決定機関であります。当社の配当は年1回の期末配当を行うことを基本方針としておりますが、会社法第454条第5項の規定により、毎年6月30日を基準日として、取締役会の決議によって中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 内部留保資金については、借入金返済等の財務体質の強化に充てるとともに、戦略的な成長投資に充当することにより、企業価値向上に努めてまいります。

 この方針に基づき、当事業年度に属する剰余金の配当を以下のとおり実施いたしました。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年3月28日

202

34

定時株主総会決議